第136回 個人投資家向けIRセミナー 第1部
シナネンHD、過去最高の経常利益を背景に累進配当を導入 3事業連携と顧客拡大で中計100億円へ
AGENDA

奈良陽介氏(以下、奈良):みなさま、本日はお忙しい中、シナネンホールディングス株式会社の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。私は財務経理部長の奈良です。
本日は、限られた時間ではありますが、当社の魅力、直近の決算、今後の成長に向けた方向性について、できるだけわかりやすく、率直にお伝えしたいと思います。みなさまのご理解とご関心を深めていただけるよう努めますので、どうぞよろしくお願いします。
本日のアジェンダはスライドに示したとおりです。まず会社概要をご説明し、その後、直近の決算ハイライト・経営アップデート、2026年3月期の決算概要、2027年3月期の通期業績予想、今後の営業戦略について順にお話しします。
通期業績予想の部分では、ご視聴いただいているみなさまにとって特に重要な株主還元についてもお話しします。どうぞよろしくお願いします。
会社概要

奈良:会社概要です。シナネンホールディングス株式会社は、昭和2年(1927年)4月に創業し、今年で創業99年となるエネルギー関連企業グループです。本社は東京都品川区に所在し、東京証券取引所プライム市場に上場しています。
グループ全体では連結子会社29社を有し、幅広いネットワークを通じて事業を展開しています。主力事業は石油・ガス・電気といったエネルギーの販売で、全国のご家庭や法人のお客さまへ安全かつ安定的にエネルギーを供給しています。
さらに、エネルギー供給にとどまらず、住まいや暮らしに関わる多様なサービスも手がけ、地域社会の豊かな生活を支える企業グループとして着実に成長を続けています。
会社の歴史

奈良:当社グループの歴史についてご説明します。当社は、昭和2年(1927年)に設立された電興無煙炭商会を起点とし、本社工場が現在の品川区にあったことから、品川燃料に改称しました。その後、1998年に品川燃料からシナネンへと社名を改称しました。シナネンという社名は、旧社名である品川燃料に由来しています。
沿革

奈良:創業当初は豆炭や煉炭といった固形燃料のメーカーとしてスタートしましたが、その後、1950年代頃から石油やLPガスの販売を強化し、LPガス基地やサービスステーションへの積極的な投資を進めてきました。
2000年代からは、システム事業、総合建物メンテナンス事業を手がけるとともに、電力小売自由化を機に電力事業も開始し、事業の多角化を推進しています。
代表取締役 中込太郎(なかごめ たろう)

奈良:代表取締役のご紹介です。新卒で当社に入社後、主力であるエネルギー事業で経験を積み、2012年には総合建物メンテナンス事業の立ち上げに参画しました。
さらに、2023年10月には関連4社を統合し、シナネンアクシアを設立するなど、事業拡大を牽引してきました。強いリーダーシップを発揮する中込を中心に、グループ一丸となり、企業価値のさらなる向上を目指しています。
主要子会社紹介

奈良:現在、事業セグメントは3つに分かれています。エネルギー事業は石油・ガス・電力の販売等、メンテナンス事業はオフィスビル、集合住宅、病院の運営管理およびメンテナンス、モビリティ事業は短距離モビリティの企画開発・卸売・小売、シェアサイクル事業を手がけています。
業績の回復と大幅進展

奈良:直近の決算ハイライトと経営アップデートです。スライドに示しているとおり、当社グループの経常利益は2年前の水準から大きく回復し、2025年3月期が44億円、2026年3月期が53億円となりました。2期連続の増益となり、前期の53億円は当社グループとして過去最高益となります。
この業績は一過性の要因によるものではなく、これまで進めてきた事業構造の転換や収益基盤の見直し、各事業での収益改善の積み重ねが確実に成果としてあらわれた結果と考えています。また、当期についてもさらなる増益を見込んでいます。
2024年6月に現社長の中込が就任して以来、主に2つの方針を掲げています。1つは「国内事業基盤の再整備」、もう1つは「リテールサービス戦略の強化」です。その実行にあたり、どの事業に経営資源を集中させるのか、どの領域で当社グループが最も価値を発揮できるのかといった観点から、選択と集中を進めてきました。
具体的には、エネルギー事業の主力4社を統合し、シナネンを中核とした事業体制へ再編しました。また、グループ全体の戦略との親和性や将来の成長性、ベストオーナーは誰かという観点から、シナネンエコワークおよびシナネンファシリティーズの売却も実行しました。
2027年度、当社グループは創業100周年を迎えます。次の100年に向けて、過去最高益の達成を1つの通過点としながら、利益をさらに拡大できる事業構造への転換を引き続き進めていきます。
過去2年間の取り組み

奈良:過去2年間の取り組みと今後の方向性についてご説明します。この2年間は、選択と集中、そして経営体制の整備に重点的に取り組んできました。具体的には、エネルギー事業における主力4社の統合、ホールディングスと新生シナネンの一体的な経営体制の構築、一部子会社の売却による事業ポートフォリオの見直しを実行しました。
これらは単なる組織再編ではなく、次の成長に向けて当社グループがどの領域で競争するのかを明確にするための取り組みです。これからの当社グループは、エネルギー事業、メンテナンス事業、モビリティ事業の3つの事業領域を中心に、地域に新たな価値を提供するサービス会社へと進化していきます。
その基盤となるのはメンテナンス事業です。地域を点ではなく面として捉え、取引する建物の数を増やし、お客さまとの接点を深めていきます。これにより、地域における当社グループの事業基盤をさらに強固なものとしていきます。
その上で、建物のライフサイクルコストの1つとして、エネルギーのベストミックスを提案していきます。具体的には、エネルギーを単体で販売するのではなく、建物や暮らし、地域全体の中で最も合理的で価値のあるエネルギープランを提案するということです。
例えば、高効率給湯器などの設備、脱炭素燃料、再生可能エネルギー電力を組み合わせることで、脱炭素や災害対応を含め、地域のエネルギーを最適化していく会社を目指します。
そして、地域と地域をつなぐ役割を担うのがモビリティ事業です。「地域の中に深く入り込むこと」と「地域と地域をつなぐこと」の両方を実現することで、当社グループならではの価値を生み出せると考えています。
メンテナンスで地域との接点を広げ、エネルギーで最適化を提案し、モビリティで地域と地域をつなげていきます。この3つを一体的に動かすことで、地域に新たな価値を提供する企業グループへと進化していきます。
100周年、その先へ

奈良:シナネンホールディングスグループは、2027年4月に創業100周年を迎えます。2026年度および2027年度は、第3次中期経営計画の仕上げの期間であると同時に、次の100年に向けた成長のための変革期と位置づけています。
当社グループは、これまで長きにわたり、エネルギーを中心に地域のお客さまの暮らしを支えてきました。この役割はこれからも変わることはありません。エネルギーの安定供給、保安、品質は、当社グループにとって不変の基盤です。
一方で、これからの時代においては、エネルギーの提供にとどまらず、地域の暮らし、建物、移動、さらには地域そのものの価値を高める会社へと進化していく必要があります。
今回、創業100周年を前に、当社グループの存在意義をあらためて見つめ直しました。「何のために、このグループが存在するのか」「何を大切にし、どこに向かうのか」の答えとして、新たに定めたグループミッションが「世界に誇れる地元をツクる」です。
私たちの仕事は、単に商品やサービスを提供することではありません。地域のお客さまの暮らしを支え、建物を支え、移動を支え、地域そのものの価値を高めていくことです。その積み重ねが、「世界に誇れる地元をツクる」ことにつながると考えています。
このミッションを実現するために、グループの存在意義をそろえ、人作りの方針を掲げ、事業ポートフォリオを組み替えてきました。これからは、エネルギー、メンテナンス、モビリティの主要事業を中心に、地域に価値を提供し続ける経営へと、さらに変革を進めていきます。
経営理念の改革

奈良:当社グループの経営理念の改革についてご説明します。先ほどお伝えしたとおり、創業100周年、そしてその先の100年を見据え、ミッション、ビジョン、バリューを改めました。ミッションは「世界に誇れる地元をツクる」です。このミッションを実現するためのビジョンとして「Be the First Company to Contact」を掲げています。
これは、地域のお客さまや企業が困った時、何かを始めたい時に、最初に相談していただける会社になることを意味しています。そのために、当社グループはエネルギーにとどまらず、より多様なサービスを提供し、地域の課題解決をリードする存在を目指していきます。
また、このミッションとビジョンを実現するためのバリューとして、「期待を超える」「誇りを磨く」「共創を楽しむ」の3つを定めました。
「お客さまの期待を超える品質を届けること」「一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、日々の成長につなげること」「グループ内外の強みを持ち寄り、新たな価値をともに創り出すこと」を単なる言葉で終わらせるのではなく、日々の行動として実践することが重要です。この新たな理念の下、当社グループは地域に選ばれるサービス会社へと進化していきます。
ロゴの刷新

奈良:グループロゴを刷新します。2026年4月の主力4社の統合に加え、2027年の創業100周年を機に、当社グループの新たな象徴となるロゴを定めました。まずは動画をご覧ください。
(動画が流れる)
このロゴには、シナネンの「S」と「N」が、インフィニティ、つまり無限大のかたちとなって組み合わさることで、価値が無限に循環していく姿を表しています。
また、異なる強みや価値が引き寄せ合い、新たなつながりを生み出し、未来を創っていく姿も込められています。「インフィニティ」は英語で「無限」「無限大」「永遠」を意味し、終わりや限界がない状態を表す言葉です。
長年にわたり当社グループのビジュアルアイデンティティとして親しまれてきた現在のロゴを変更することは、大きな決断でした。しかし、これは単なるデザイン変更ではありません。
これまでの100年への感謝を込めるとともに、これからの100年に向けて当社グループが変わり続け、新たな価値を生み出し続けることへの意思表示でもあります。この新しいロゴは、2026年7月1日より順次使用を開始します。
ロゴの刷新

奈良:これまで当社グループには、「シナネン」や「ミライフ」をはじめ、複数のブランドが併存しており、外部から見た時にブランド体系がわかりにくいという面がありました。今回、主力4社を統合した新会社の社名を「シナネン」とすることを踏まえ、グループ全体のブランド体系を統一していきます。
新たなミッション、新たなロゴ、そして統一されたブランドの下で、「シナネン」ブランドの認知度を高め、お客さまからの信頼感と安心感をさらに高めていきます。そして、地域から選ばれる会社、困った時に最初に相談される会社となるべく、グループ一体となって変革を進めていきます。
2026年3月期 業績概要

奈良:2026年3月期の決算概要についてご説明します。売上高は、石油の販売数量の減少とガスの販売価格の下落により前期比で減少しました。一方で、営業利益と経常利益は、不採算事業を前期に売却したことで販管費が削減されたこと、さらに非エネルギー事業の業績が拡大したことにより、前期比で増益となりました。
2026年3月期 セグメント別売上・営業利益概況

奈良:事業別の状況をご説明します。エネルギー事業のBtoC(ミライフ3社)は、売上高が前期比で41億円減少しました。これは、気候の影響による灯油・ガスの販売数量の減少、およびガス価格が安かったことが主な要因です。一方、営業利益が前期比で3億1,000万円増加した背景には、前期に不採算事業から撤退したことによるコスト削減が挙げられます。
エネルギー事業のBtoB(シナネン)の売上高は、前期比で159億5,000万円減少しました。軽油は販売数量を増やしましたが、灯油と重油の販売数量が気候の影響などにより減少したことが要因です。また、営業利益が前期比で5億円減少した主な理由は、電力販売の相対取引における利幅の縮小です。
非エネルギー事業は、売上高が前期比で16億9,000万円増加し、営業利益が前期比で3億8,000万円増加しました。増収増益の主な要因は、総合建物メンテナンス事業において集合住宅の業務エリアが拡大したこと、斎場や病院での業務が堅調だったことによります。
また、シェアサイクル事業において、シェアが拡大して利用件数が増加したことに加え、価格改定を実施したことも寄与しています。
塩谷航平氏(以下、塩谷):BtoB(シナネン)の減益要因について、電力販売の相対取引における利幅縮小というお話がありましたが、これは市況要因による一過性のものと認識してよろしいでしょうか? それとも調達構造に大きな変化があり、構造的に続くものと認識したほうがよろしいでしょうか?
奈良:こちらは一過性のものと考えていただいて問題ありません。ただし、市況自体が厳しくなってきている部分もあり、双方の要因が影響しています。今後、こちらについても会社として対応していきたいと考えています。
塩谷:当期はエネルギー事業で営業利益を9億円増益させる計画となっていますが、市況が少し厳しい中でどのように達成していくのか、回復の前提を教えてください。
奈良:この後のスライドでもご説明しますが、当社は現在、リテールサービス戦略を掲げており、その推進のために前期、主力4社の統合を実施し、ブランド、商品、リソースを一体化させました。このような集中したリソースを活用し、お客さまへ提案するサービスを増やすことで増益を見込んでいます。
塩谷:BtoC(ミライフ3社)については、前期比で売上が減収となる一方で利益は改善しました。不採算事業の撤退が増益要因とのことですが、これは一過性のもので当期は剥落するという認識でよろしいでしょうか?
奈良:事業の撤退については、まさに一過性のものと考えており、前期特有のものです。当期以降はコスト管理を行いつつ、先ほどお話ししたリテールサービスの強化により、売上高も伸ばしていくことを考えています。
経常利益推移(四半期毎)

奈良:経常利益はスライドのグラフに示しているとおり、四半期別に見ると増益傾向にあります。特に第2四半期は、夏場は灯油やガスの需要が減少するため通常は赤字となる時期ですが、当期は黒字を達成しました。
これは、エネルギー事業部門において不採算事業から撤退したことによる収益性の改善と、利益率が比較的高い非エネルギー事業の収益が拡大しつつある結果です。
ただし、下期に利益が偏重している構造は変わりません。後ほどご説明する営業戦略を遂行し、ストック型サービスの拡大を図ることで、下期偏重の構造を改善していきたいと考えています。
なお、第4四半期は28億2,400万円と特に好調でした。これは、季節的な需要に加え、3月の石油価格高騰により利益が約5億円押し上げられたことによるものです。
親会社株主に帰属する当期純利益

奈良:当期純利益は初めて40億円台に達し、2025年3月期の31億円から2026年3月期は44億円と13億円の増加となりました。主な要因はスライドに記載のとおり、子会社であるシナネンエコワークの売却益が貢献しています。
先ほど、過去2年間にわたり取り組んできた経営方針と経営体制の一新についてご説明しました。「選択と集中」という観点から事業ポートフォリオを再構築し、シナネンエコワークを売却するとともに、ミライフ3社とシナネンを統合しました。
併せて、「コスト競争力の向上」の観点から、人員構成を適正化し、組織をスリム化するために早期退職制度を実施しました。その結果が当期純利益に反映されています。
2026年3月期 連結貸借対照表:増減要因

奈良:バランスシートについてです。総資産は1,080億円で、前期末比21億円の増加となりました。主な増減はスライド右側に記載しているとおりです。資産では、現預金が49億円増加し、売上債権が40億円減少し、投資有価証券が40億円増加しています。
負債については、仕入債務が40億円減少し、純資産は48億円増加しました。この結果、自己資本比率は55.6パーセントに向上しました。
2026年3月期 連結キャッシュフロー:主な内容

奈良:営業キャッシュフローは、当期純利益を主な要因として65億8,000万円のプラスとなりました。投資キャッシュフローは、通常は設備投資等でマイナスになるところですが、2026年3月期は金銭信託の解約と、先ほどお伝えしたシナネンエコワークの売却により、1億9,000万円のプラスとなりました。
財務キャッシュフローの18億円の減少は、配当の支払いと長期借入金の返済によるものです。この結果、現金は前期末比で49億7,000万円増加しました。
2027年3月期 通期業績予想

奈良:2027年3月期の通期業績予想についてご説明します。当期の予想はスライドに示しているとおりです。ROEは8.4パーセントと、8パーセントを超える計画です。
営業利益は前期比19億円増を計画しています。内訳は、エネルギー事業がリテールサービスの推進による顧客拡大とコストコントロールによりプラス9億円、メンテナンス事業が集合住宅のメンテナンス業務のエリア拡大と利益率の改善によりプラス5億円、モビリティ事業が運営品質の高度化と収益性の高いエリアへの展開によりプラス7億円を見込んでいます。
グループ全体でサービスのメニュー拡充と品質の向上により売上を拡大し、仕入力を強化して収益性を上げ、稼ぐ力を高める計画です。なお、事業のセグメントは、先ほどお伝えしたとおり、エネルギー4社の統合に合わせ、3つのセグメントに整理しました。
塩谷:当期は増益を見込んでおり、各グループでのコスト管理や収益性の改善を見込んでいます。一方で、外部環境として、中東情勢が悪化し、原材料や燃料の調達は前期よりも難易度が上がっている印象があります。前期と当期を比較して、この影響についてはどのように考えていますか?
奈良:現時点では、当社のビジネスへの影響はほとんどありません。原油高騰による原価の上昇はありますが、販売価格に転嫁する取り組みを行っており、損益への影響は特段想定していません。石油の仕入れや供給についても現時点では影響はありませんが、当然ながら今後の動向については注視していかなければならないと考えています。
塩谷:原油価格が上がった場合も、迅速に販売価格に転嫁することが可能ということでしょうか?
奈良:基本的には機動的に対応していきます。
キャッシュフロー

奈良:キャッシュフローについてご説明します。キャッシュフローは成長投資を中心に戦略的に配分する方針です。営業キャッシュフローは80億円以上を見込んでおり、これを成長投資と株主還元に充当します。
成長投資は40億円から50億円ほどを計画しています。スライドに赤で示したエネルギー事業では、リテールサービスの拡充、ガス・灯油顧客の商圏買収、設備更新投資、販売システムの開発と物流の効率化、電力関連の投資を行います。
水色で示したメンテナンス事業では、施設管理・清掃、斎場・病院の運営請負、集合住宅メンテナンスの拡大に投資します。緑で示したモビリティ事業では、店舗の出店やシェアサイクル関連の投資に充当します。
株主還元については、配当と自己株式の取得により、総還元性向40パーセントを計画しています。
株主還元策の拡充

奈良:株主還元策の変更についてご説明します。これまでは配当性向30パーセントを目安としており、2026年3月期の配当額は1株当たり30円増配の120円としました。また、自己株式の取得を2026年2月より開始しました。配当はこれまで期末の年1回でした。
これをスライド右上に示したとおり変更します。累進配当を導入するとともに、自己株式の取得を継続し、総還元性向40パーセント以上を目安とします。そして、中間配当を行うこととしました。
スライドに示したグラフをご覧ください。2026年3月期の配当性向は29パーセント、総還元性向は33パーセントでした。2027年3月期は、配当を120円で据え置きとしていますが、自己株式の取得と合わせて、総還元性向40パーセント以上を目安に運営します。
なお、3月末時点で株価は7,770円、PERが19倍、PBRが1.4倍でした。5月の決算発表後、当社の株価はザラ場で一時9,000円を超えました。当期も、第一に成長投資、第二に株主還元に努め、価値向上を進めていきます。
中期経営計画 経営体制方針

奈良:今後の営業戦略についてご説明します。2027年度を最終年度とする中期経営計画における経営方針の概要です。スライドの図に示しているとおり、基盤である「エネルギー事業会社としての責務」を果たすことが第一です。
その上で、経営基盤として「人財育成と風土改革の推進」「業務・資産効率性向上」を強化しながら成長戦略を推進しています。成長戦略は「国内事業基盤の再整備」「リテールサービス戦略の強化」「新たな事業への取り組み」の3つです。
中期経営計画 定量目標

奈良:第3次中期経営計画の定量目標についてです。スライドに示しているとおり、経常利益は2025年3月期の44億円から2026年3月期は53億円となり、当期予想は66億円と着実に積み上げています。当期のROEは8.4パーセントを見込んでいます。
また、中期経営計画の最終年度である2028年3月期の財務目標は、経常利益100億円、ROE8パーセント以上です。
なお、先ほどお伝えしたように、2027年3月期より報告セグメントをエネルギー事業、メンテナンス事業、モビリティ事業の3区分に変更します。当期は2026年3月期の実績ベースで、売上高の約9割、セグメント利益の約8割をエネルギー事業が占めています。
当社グループの収益の柱はエネルギー事業であり、ここをしっかりと伸ばしていくことが大前提です。その上で、メンテナンス事業とモビリティ事業を着実に育て、収益源の多様化を図ります。
当期の経常利益66億円については、引き続きエネルギー事業が収益の大半を担いつつ、メンテナンス事業とモビリティ事業がそれぞれ着実に利益貢献を高めていく構成を見込んでいます。なお、エネルギー事業のピンク色の濃い部分は、リテールサービス推進プロジェクトに起因するものです。こちらについては、次のスライドでご説明します。
塩谷:2028年3月期の目標である経常利益100億円については、当期予想の66億円から大きなジャンプが必要かと思いますが、どのセグメントでどのような施策を見込んでいるのか、具体的に教えていただけますか?
奈良:先ほどお話ししたとおり、大前提としてエネルギー事業を着実に伸ばしていきます。その中で、リテールサービス戦略を推進します。これはエネルギー事業だけにとどまらず、メンテナンス事業やモビリティ事業も含め、グループ全体の営業戦略として考えています。
冒頭でお話ししたとおり、メンテナンス事業でお客さまの数や接点を増やし、エネルギー事業でベストミックスを提案することに加え、モビリティ事業で地域と地域をつないでいきます。各事業領域が複合的に交わり、100億円を目指すという戦略を描いています。
営業戦略 - リテールサービス推進プロジェクト

奈良:当社グループの営業戦略の中核を担うのが、リテールサービス推進プロジェクトです。これまでグループ各社が個別に提供していたサービスメニューを結集し、地域の拠点を通じて街全体に届けるという取り組みです。
お客さまは、個人の住宅、地元の法人やビル・施設、さらには自治体やコミュニティと多岐にわたります。サービスメニューには、LPガス、灯油、電気などのエネルギーをはじめ、リフォーム、ハウスクリーニング、小修繕、太陽光、水まわり、保険など、暮らしや建物に関する幅広いサービスを取り揃えています。
エネルギー分野のシナネン、メンテナンス分野のシナネンアクシア、モビリティ分野のシナネンサイクル、シナネンモビリティPLUSが一体となり、地域密着型で顧客ニーズに応えるサービスを推進していきます。今後も新たなサービスメニューを積極的に拡充していきます。
営業戦略 - リテールサービス推進プロジェクト

奈良:リテールサービス推進における重点項目は4つあります。1つ目は「サービス拡充」です。全拠点でエネルギーのみならず、住宅メンテナンスや省エネ提案など、グループ商材を結集した住まいのサービスを提供します。
2つ目は「顧客拡大」です。個人のお客さまや地元・地場の法人、自治体などに対し、クロスセルや新規獲得を進めていきます。
3つ目は「ブランド強化」です。拠点を中心に地域に密着し、当社グループのサービス内容と品質の高さを認知していただけるよう、知名度向上を図ります。
4つ目は「競争力強化」です。サービス品質の向上と業務効率化により、新しいことに取り組む余力を作り、競争力のあるサービス企業を目指します。
特に2026年度は、この中でも「顧客拡大」を最重要課題と位置づけて推進します。具体的には、法人営業の強化、既存顧客へのクロスセル、フックサービスの活用の3つを軸に取り組みます。
定量目標のスライドに示している棒グラフのピンク色の部分は、この取り組みにより得られる利益予測です。
塩谷:リテールサービス戦略において、御社が社内で管理しているKPIや、重視している数値にはどのような項目があるのでしょうか?
奈良:先ほどのスライドでもお話ししたとおり、顧客数が重要なKPIの指標になると考えています。KPIの目標を達成するためのKAI、すなわちキーアクションを各拠点や各個人に持たせ、顧客拡大のKPIを達成できるよう社内で管理しています。
営業戦略 - エネルギー事業

奈良:セグメント別の営業戦略についてです。まず、エネルギー事業についてご説明します。先ほどお伝えしたとおり、エネルギー事業は当社グループの売上高の約9割を占める収益の柱です。一方で、LPガスや石油といった既存燃料は、構造的に需要が縮小していく事業環境にあります。
こうした中で、エネルギーを単体で販売するのではなく、石油・ガス・電力を組み合わせたベストミックスを地域のお客さまに提案し、脱炭素と災害対応を含めた地域のエネルギーを最適化していきます。これがエネルギー事業の基本方針です。
その実現に向けて、石油、ガス、電力の各分野で成長戦略を推進します。石油分野では、物流DXの推進による配送効率の向上、直販シフトの拡充による収益力の強化、および次世代燃料の開拓に取り組みます。
電力分野では、リスク管理態勢としてEaRの導入、顧客情報のデータベース化による営業の高度化、および専門性の強化を進めます。ガス分野では、他社との提携による販売チャネルの拡大、顧客基盤の飛躍的な拡大、そして電力にとどまらない包括的なサービスの提供を推進します。
営業戦略 - メンテナンス事業

奈良:メンテナンス事業についてご説明します。メンテナンス事業では、ビルや商業施設の管理・清掃、斎場や病院の運営請負、集合住宅のメンテナンスなど、幅広いサービスを提供しています。
スライドに示しているとおり、建物のライフサイクルコストの大部分は維持・管理にかかるものであり、当社グループの事業領域はその多くをカバーしています。これは、建物の価値を長期的に維持・向上させる上で、当社のサービスが重要な役割を果たしていることを意味します。
メンテナンス事業により地域全体を面的に押さえ、取引する建物数を増やすとともに、建物との接点を広げてお客さまとの関係を深めることが、今後の事業基盤となります。その上で、建物のライフサイクルコスト全体を見据えつつ、そのメニューの1つとしてエネルギーのベストミックスを提案していきます。
エネルギーを単体で販売するのではなく、建物や暮らし全体の中で、何が最も合理的で、何が最も価値につながるのかを提案します。
営業戦略 - モビリティ事業

奈良:モビリティ事業についてご説明します。モビリティ事業は、移動手段の提供を通じて、地域のお客さまの暮らしにおける移動課題を解決する事業です。中核となるシェアサイクル「ダイチャリ」は、一都三県および観光地で展開しており、現在、自転車の投入台数は約1万6,000台、ステーション数は約3,000ヶ所まで拡大しています。
また、小売店事業の「ダイシャリン」を全国36店舗で展開しているほか、短距離モビリティの企画開発・OEM事業・卸売事業、さらに10台から1,000台まで自転車のあらゆるニーズに対応するレンタル事業も行っています。お客さまの行動範囲や選択肢を広げ、安心で快適な住み続けたい街作りに貢献していきます。
塩谷:モビリティ事業において、「ダイチャリ」のサービスが非常に気になりました。御社はモビリティを含む非エネルギーセクターで約10億円の利益を見込んでいると思いますが、その中で「ダイチャリ」のビジネスが収益に与えるインパクトはどの程度でしょうか?
奈良:2026年5月14日に開示した決算短信の後発事象にも記載していますが、新しいセグメントについて、2026年3月期のセグメント利益はモビリティ事業で約2億円、メンテナンス事業で約4億8,000万円となっています。
塩谷:競合他社を見ていると、「ダイチャリ」はかなりの成長が期待されると思います。減価償却を含めたユニットエコノミクスは、すでに黒字化していると考えてよいでしょうか?
奈良:おっしゃるとおりです。事業立ち上げ時には、もちろん先行投資が多く発生し、一時的に赤字となっていました。しかし、事業もかなり軌道に乗り、減価償却を吸収するだけの収益を上げています。「ダイチャリ」はシナネンモビリティPLUSが運営していますが、こちら単体でもしっかりと収益を確保できている状況です。
塩谷:今後もステーション数はさらに拡大していくのでしょうか?
奈良:そのとおりです。ステーション数の拡大と自転車の投入を推進し、事業拡大を目指しています。
塩谷:こちらは自治体に直接営業するのでしょうか? それとも施設運営者に営業するのでしょうか?
奈良:さまざまなケースがあります。我々が地域にとって必要となる場所をリサーチし、その土地の所有者、つまり一般の個人の方や法人、自治体の方などに個別にアプローチして、ステーションを置かせていただいています。
説明は以上です。
質疑応答:1顧客あたりの収益向上施策について
荒井沙織氏(以下、荒井):「エネルギー事業で築いてきた顧客基盤に対して、メンテナンスやリフォーム、省エネ提案などを組み合わせることで、1顧客あたりの収益をどのように高めていく方針ですか?」というご質問です。
奈良:こちらは、まさにリテールサービス戦略で掲げている内容だと思います。これまでは、エネルギー会社としての意識が潜在的に強くあり、エネルギー以外の顧客ニーズを十分に拾いきれていないことが課題だったと考えています。
そのため、これからはエネルギー会社からサービス会社へと変革し、そのようなニーズを拾い上げて収益を上げていきたいと考えています。
荒井:先ほど「今後サービスメニューを増やしていく」というお話がありましたが、生活に根ざした分野として、具体的にはどのようなところを考えていますか?
奈良:現在、我々のリソースの中にはハウスクリーニングやおうちのお困りごとに対するサービスがあります。また、ガス機材の交換工事ももともと主力事業として手がけており、それらはこれまでどおり提供できると考えています。
そのような中で、おうちの中のお困りごとにさらに対応できる新しいサービスを開発しながら、人財の育成にも注力していきたいと思っています。これらを並行して進めることで、今後はお客さまと接点を持ちながらさまざまなニーズを拾い、サービスを吸収・拡大していきたいと考えています。
質疑応答:経常利益100億円を達成するための成長ドライバーについて

塩谷:「中期経営計画についてです。経常利益100億円を達成する上で、最も大きな成長ドライバーは何ですか?」というご質問です。
奈良:先ほどお話ししたとおり、これまではエネルギー事業をいかに成長させるかが、社内で潜在的に非常に強く意識されてきたと思います。そのため、先ほどのご質問の回答と重なる部分はありますが、それ以外のニーズをエネルギー事業でどれだけ拾い上げられるかが大きな要素であると考えています。
また、エネルギー事業で既存顧客からニーズを拾い上げることも重要ですが、メンテナンス事業も地域の建物などに深く入り込む点で、当社にとって基盤と考えている領域です。メンテナンス事業を通じて地域に深く入り込んでいくことも大切であり、そこからエネルギー事業のサービスにいかに転換できるかが非常に重要であると考えています。
質疑応答:統合効果について
塩谷:「シナネンとミライフ3社の統合を経て、どのような効果を最も期待していますか?」というご質問です。今後は、これまで取り組んでこなかったクロスセルなども文脈に入ってくると思いますが、いかがでしょうか。
奈良:2025年度までは、地域の中でいかに成長できるかという点を中心に取り組んできました。2015年にホールディングス化し、分社化した中で、そのような方針に基づいて動いてきましたが、会社間の情報や戦略の連携が十分に活かしきれていなかった部分がありました。
しかし、会社を1つにまとめることで、営業戦略を横串で刺すことが可能となります。それぞれの地域で培ってきた戦略やリソース、育て上げたサービスメニューを他の地域に横展開できるようになることを期待しています。
質疑応答:利益成長を継続するための施策について
塩谷:「中期経営計画だけではなく、2028年3月期以降も利益成長を続けるために、3事業でのアプローチの説明がありましたが、その中で最も重要な施策を教えてください」というご質問です。
奈良:正直に言うと、すべてが本当に重要だと考えています。一方で、メンテナンス事業でいかにお客さまとの接点を広げていけるかが特に重要なポイントだと思います。そこからエネルギーに関する提案を行ったり、お客さまのメンテナンスで入り込んだ地域から別の地域をつなぐモビリティ事業を強化することにつながります。
この3つが連携して成長することで、現中期経営計画で掲げている来期の経常利益目標100億円の達成や、創業100周年以降のさらなる成長にもつながると考えています。
塩谷:最初にメンテナンス事業で接点を作ることが大切ということですね。
奈良:そのように考えています。
荒井:クロスセルと顧客拡大のどちらに注力していきますか? 先ほどのお話からは、まずは顧客拡大に注力するという印象を持ちました。
奈良:おっしゃるとおりです。まずは我々が接点を持てるお客さまをいかに広げていくかが、今後のビジネスにおいて非常に重要であると考えています。今年度は顧客数を増やすことに重点を置き、社内のKPIとしても顧客数を重要な指標としています。
質疑応答:投資計画について

塩谷:「営業キャッシュフローの80億円プラスアルファを成長投資と株主還元に配分する方針ですが、今後はエネルギー事業、メンテナンス事業、モビリティ事業のどの領域に最も投資を振り続ける予定ですか?」というご質問です。
奈良:一番大きく投資するところはエネルギー事業になると考えています。ただし、各事業でそれぞれ重要な部分があり、メンテナンス事業も今後さらにエリア拡大を進めていく必要があるため、成長投資を考えています。
質疑応答:投資有価証券の取得内容と目的について

塩谷:スライド20ページで、投資有価証券の取得でプラス40億円という説明がありましたが、これはどのような属性の有価証券ですか? シナジーのある投資先が見つかったのでしょうか?
奈良:こちらは主に社債の購入で、株式の取得も一部あります。資金の活用は、株主のみなさまへの還元はもちろん、事業成長のための投資が主となっていますが、投資を行うまでの待機資金を有効活用するために、与信運用として主に社債を購入しています。
塩谷:現金で置いておくのではなく、短期間ではあるものの社債で運用し、将来、成長投資が必要なタイミングでまた現金化するということですね。
奈良:おっしゃるとおりです。事業投資を行うまでの運用であり、事業投資に必要となった場合には現金化して投資に回していきます。
質疑応答:累進配当導入の背景について

塩谷:累進配当の導入の背景について、あらためてお聞かせください。
奈良:株主のみなさまへの還元は重要な部分です。当社は2年前まで決算があまり良くない時期がありましたが、現社長である中込が就任してから事業を再構築し、安定的に利益が積み上がる事業構造へと回復しました。
そのような中で、2026年3月期は過去最高の当期純利益を計上し、当期は経常利益66億円、来期には100億円を目指しており、それ以降もさらなる成長を計画しています。こうした状況を踏まえ、株主のみなさまに当社を安心して応援していただけるよう、累進配当の導入を決定しました。
塩谷:株価下落時のクッションにもなるということですね。
奈良:そのとおりです。
質疑応答:2023年3月期、2024年3月期の減益の背景について

塩谷:2023年3月期、2024年3月期の減益についてのお話もありましたが、その背景は燃料価格の高騰が原因と考えていました。しかし、そうではないのでしょうか?
奈良:一過性の損失が理由です。過去の投資による減損損失や、一部電力事業においてポジションを取り、リスクのある商売を行った結果、うまくいかなかったことによる損失の計上がありました。
ただし、投資については減損損失ですべて処理しており、電力事業もその失敗を活かし、現在は市場連動型メニューに切り替えて、外部環境に左右されにくい、リスクを抑えた商売に移行しました。その結果、現在では安定的に利益を積み上げています。
塩谷:先ほどお答えいただいたように、今回は原油価格が上昇したとしても損益計算書には影響がないということでしょうか?
奈良:そのように考えています。
奈良氏からのご挨拶
奈良:当社は来期に創業100周年を迎えます。中期経営計画最終年度である来年度の経常利益100億円を目指し、今後も成長していきます。ただし、来年度までが当社の目指している姿ではありません。創業100周年以降の次の100年に向けた成長も期待していただきたいと考えています。
今後とも何卒ご支援をよろしくお願いします。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:2026年3月期は過去最高益となりましたが、前期の不採算事業撤退やコスト削減効果もあったと理解しています。2027年3月期以降も利益成長を続けるために、最も重要な施策を教えてください。
回答:2026年3月期においては、前期の不採算事業撤退によるコスト削減効果がありましたが、その他のコスト構造においてもしっかりと整理をし、売上面・コスト面の両方からアプローチを行うことで今後の利益拡大を図っていきます。また、リテールサービス戦略の強化によるベース利益の底上げを進めていくことで増益を維持し、さらなる成長を見込んでいます。リテールサービス戦略においては単なるエネルギー単体の商売ではなく、さまざまなサービスをクロスセルで提案していくことを重要視しており、それによってベース利益の向上を見込んでいます。
<質問2>
質問:「エネルギー会社からサービス会社へ進化」という方針を掲げていますが、個人投資家がその進捗を確認するうえで、今後どのようなKPIを見ればよいでしょうか?
回答:特に重視しているのは顧客数となります。当社がサービスを提供する顧客数を増やし、ストック収益を積み上げていくことで、安定的な収益の確保を目指していきます。
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