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株式会社パワーエックス485A

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電気機器

エグゼクティブ・サマリー

伊藤正裕氏(以下、伊藤):みなさま、こんにちは。株式会社パワーエックス取締役兼代表執行役社長CEOの伊藤です。本日は2026年12月期第1四半期決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。

まずエグゼクティブ・サマリーです。当社のビジネスは製造業であり、発注を受けて工場で生産を続け、その製品を順次納品するという形態です。季節的に第1四半期は特に製品を集中的に作り込む時期ですが、この第1四半期でも前年同期を上回る増収増益を達成しました。

この作り込みについて、今期の年間売上予算のうち製品製造率は34パーセントに達しています。当社は受注生産のみを行っており、このすべてが今年中に納品予定の製品です。また2月以降に89億円の新規受注を獲得し、現在890億円の受注残を有しています。

市場環境については、最近エネルギーが話題となっていますが、国内外ともに追い風の状況です。

また、先週モンテネグロの国営電力会社であるElektroprivreda Crne Gore AD Nikšić社(以下、EPCG社)との提携も行いました。こちらの概要と当社の海外戦略についてご説明します。

さらに、私どもとしても非常に期待し、楽しみにしている新商品のご紹介もします。

前回「決算資料が非常に長く、大量で読むのが大変」とのご意見をいただきました。そのため、今回新たな試みとしてスライドに表示しているQRコードを読み込んでいただくと、マークダウン(MD)ファイルをご覧いただけるようになっています。

このMDファイルをダウンロードしてAIに読み込ませると、AIが最も読みやすい状態に工夫されたマークダウンファイルとして活用できます。これにより資料に記載された内容をもとに回答できるようになっています。

AIフレンドリーな決算説明資料として専用に作成しましたので、ぜひお試しいただきたいと思います。

2026年12月期第1四半期>連結業績サマリー

藤田利之氏:執行役コーポレート領域管掌CFOの藤田です。第1四半期の業績についてご説明します。第1四半期の損益について、売上高は19億4,500万円で前期比10.7パーセントの増加となりました。営業損失は6億9,700万円で前期比から1億600万円の改善が見られました。

親会社株主に帰属する当期純損失は10億700万円で、前期比から2億1,500万円の改善となり、増収増益を達成しています。

売上の季節性がありますので、業績予想の進捗率は5.1パーセントですが、受注状況については業績予想売上の99.7パーセントまで正式受注残および受注見込みを達成しています。我々としては想定どおり進捗していると考えています。

売上総利益率は34.6パーセントで、売上総利益は6億7,300万円となっています。この第1四半期においては、蓄電所の運営サービス収入が好調だったことや、EVCS事業で一部高採算案件があったことから、前期比で利益率が改善しています。

一方、第2四半期以降については、業績予想でもお伝えしているとおり、モジュールの仕入れ価格や為替の影響などが依然として発生すると見込んでおり、これは当初ご説明していたとおりの状況だと考えています。

販管費は13億7,100万円で前期比1パーセント増にとどまっています。売上が伸びる中、コスト管理は想定どおり進んでいると言えます。

その結果として、営業損失、EBITDA、経常損失、当期純損失と赤字の段階ではありますが、すべての利益段階で前期比から改善する結果となり、我々の想定どおり進捗が順調に推移していると考えています。

2026年12月期第1四半期>連結業績サマリー

生産状況についてご説明します。売上には大きな季節性がありますが、生産に関しては年間を通じて平準化を図っています。

これは生産キャパシティの稼働率を高めるだけでなく、コストの抑制や品質の確保、さらには工場で働く方々の負担軽減も目的としています。

したがってこの生産ベースを会社の事業進捗の目安の1つとして考えています。現状では生産ベースで34.6パーセントと、着実に進捗している状況です。

当社では、基本的に受注に基づいて生産を行っています。そのため見込み生産の場合と異なり、滞留在庫が発生することはありません。受注案件の進捗は順調に進んでいるとお考えいただければと思います。

2026年12月期第1四半期>売上高・売上総利益・売上総利益率―四半期推移

四半期ごとの業績についてご説明します。FY2024およびFY2025ともに、第4四半期に売上がかなり偏重して大きく伸びています。今期も第4四半期に売上が増加する傾向は変わらないと考えています。

少し異なる点として、第3四半期に大型案件が多く予定されていることから、売上の構成比が前年に比べてやや上がると想定しています。ただし下期偏重の傾向は変わりませんので、第2四半期以降もその点を考慮していただければと思います。

利益率については、第1四半期において一時的な要因でやや上昇しているように見えますが、それらを除いた場合、FY2025から続くトレンドには大きな変化はないと考えています。この状況は想定の範囲内だと考えています。

2026年12月期第1四半期>売上高・売上総利益・粗利率―四半期推移

売上の季節性について補足します。下期に売上が集中する理由について、当社には「補助金案件」と呼ばれるものがあります。例えば、2024年度の補助金を例に挙げると、2027年1月19日までに実績報告を提出することが補助金の要件となっています。

多くのお客さまがこの報告期限日から逆算するかたちで、当社の蓄電システムの納品や設置のスケジュールを組んでいます。

この報告より早く行うこともできますが、さまざまな案件の納期が伸びがちな状況下では、提出時期を見据え、ギリギリの時期でクロージングする傾向があります。そのため案件が下期に集中するという傾向があります。

また補助金を検討していたものの、補助金なしに切り替えた案件の場合でも、補助金案件のスケジュールに似る傾向があります。

他にも、お客さまが3月決算の場合、年度末までにさまざまな業務を完了させたいという要望のもと、12月までに納品したいという声が多いのが実情です。

このように補助金の有無にかかわらず、結果的に下期に案件が集中する傾向は昨年、一昨年ともに見られており、今後も続くと考えています。この季節性についてご理解いただければと思います。

2026年12月期第1四半期>セグメント業績

各セグメントにおける売上の内訳について補足します。メイン事業であるBESS事業では、自社製品の「Mega Power」に加え、他社から仕入れる商品や、納入後に立ち上がる保守運用サービスが含まれています。

電力事業では、電力販売だけが電力事業と思われるかと思いますが、実際には機器売上も含まれます。案件によっては、蓄電所の建設に伴う機器売上が最初に計上され、その後に電力運用を任せていただくパターンもあります。

EVCS事業についてはスライドに記載のとおりです。

いずれにしても自社製品、特に「Mega Power」の売上の利益率が最も高いため、「Mega Power」の構成比率によって、各事業や全社的な利益率が変化するという特徴があります。

2026年12月期第1四半期>セグメント業績

セグメント業績に関する報告です。BESS事業については、他社製品の売上構成比が一時的に上昇した影響で、前期比では売上がほとんど変わらないにもかかわらず利益が減少しているように見えます。

これは収益性が悪化しているわけではなく、自社製品と他社製品の納期がずれたため、第1四半期において他社製品が多く納品されたことが主な原因です。この状況は一過性のものであり、今後自社製品の納品が進むと改善する見込みです。

電力事業については蓄電所の運営サービスが好調であり、前期比157.4パーセントの成長となりました。またトーリング型収入の採算が良好であることから黒字化を達成し、収益性が大きく改善しています。

EVCS事業については、売上はほぼ横ばいだったものの、利益率の高い案件があったため、利益面では改善しています。

ただし第1四半期における一過性の好案件も含まれているため、今後も当面は効率的な運営を図る方針に変わりはありません。

2026年12月期第1四半期>四半期販管費の内訳と比率

販管費についてです。全体では13億7,000万円で、前期比1.0パーセント増にとどまっており、販管費の増加を抑制できていると考えています。

売上拡大に最も必要なS&M(セールス・アンド・マーケティング)のコストが増加する一方で、G&A(ゼネラル・アンド・アドミニストレーティブ)のコストが抑えられており、想定どおりに管理できていると考えています。

2026年12月期第1四半期>受注残高(正式受注)の推移

正式受注の推移についてご説明します。スライドの数字は契約書の締結が完全に完了している案件のみの金額であり、受注見込みなどを加えるとさらに大きな数字になります。

前期末の約370億円から、今期第1四半期の3月31日時点で約475億円、さらにこの5月末時点で約694億円となっています。昨年12月から5月までの4ヶ月半で、正式受注金額が約324億円増加しました。

順調に補助金の採択案件等の受注見込みを経て正式受注につながっており、事業全体が順調に推移していると考えています。

2026年12月期第1四半期>FY2026受注残高(正式受注・受注見込み総額)

今期の業績予想の進捗率についてです。売上の業績予想は380億円としています。正式受注残については93.8パーセント進捗しています。さらに受注見込みも加味すると、進捗率は99.7パーセントに達しています。

第1四半期の結果を説明している段階ではありますが、今年度の業績はほぼ受注の時点で見通せる状況です。

2026年12月期第1四半期>連結貸借対照表

連結貸借対照表です。特にご説明したいのは借入金の部分です。短期借入金および1年内長期借入金として22億5,000万円となっています。これはコミットメントラインを設定しているものの使用していない状況です。ここから運転資金などに使える80億円が確保されています。

我々のように季節性がある場合、運転資金を柔軟に活用できることは非常に重要です。したがってコミットメントラインの増額にも柔軟に対応できていると考えています。

また、先日発表した新工場の資金については、現状の自己資金に加えて長期借入の増額交渉も進めており、これらの資金手当が順調に推移していると考えています。

伊藤:私どもは製造業であるため、受注をいただいてから製品を製造し、まとめて納品しています。納品した際に売上計上するため、現在は溜め込んでいくフェーズとなっています。現状としては予定どおりに推移していると考えています。

受注残高内訳(受注見込を含む)―年度別

受注残の状況と今後の見通しについてです。この3ヶ月の最大の成果は、受注見込みを正式受注につなげてきたことです。今回390億円近くの正式受注を追加することができました。

FY2027には正式受注として291億円を追加し、今期も33億円を新たに追加しました。さらに、FY2028以降にも46億円取得できています。

加えて受注見込みも順調に増えており、現在の受注残高は約890億円となっています。

受注残高内訳(受注見込を含む)―年度別

受注見込みは、すでに発注の意向をいただいている案件のみを含めています。一方で、まもなく契約に至る可能性が高い案件についてはパイプラインとして管理しています。

FY2026の売上については、今年の目標である380億円に達成できる見込みです。さらに残りの3ヶ月間での営業活動や商談中のパイプラインもあるため、さらなる上振れを目指していきます。

来期のFY2027については、まだ営業期間が15ヶ月残っていますので着実に成果を上げていきたいと考えています。おかげさまでパイプラインは豊富で、現在の受注残高は421億円となっており、着実に積み上がってきている印象です。引き続き、粛々と受注を増やしていきたいと考えています。

受注残高+顧客と交渉中の案件

スライドでは、交渉中の商談規模をギガワット時で示しています。FY2026でも約100メガワット時の商談が残っており、FY2027には約10倍である1ギガワット時、そしてFY2028以降には現在約3.7ギガワット時規模の大型商談が進行中です。

スライドに記載している内容は、具体的にお客さまと交渉を行い、確実に契約成立できると見込んでいる「A案件」です。

私どもは現在、長期的で強い追い風を感じており、足元を固めて邁進していくことで着実に積み上げていけると感じています。

現在、総額で約4.8ギガワット時規模の商談が進行中であり、積極的に営業活動を展開して成果を上げていきたいと思います。

蓄電システム関連の市場動向

市場環境の変化についてです。近年、蓄電池やエネルギーを取り巻く環境が変化しています。今回は特に蓄電池に影響する4つの環境変化についてお話しします。QRコードからアクセスできるYouTubeの動画でも詳細にご説明していますのでご参考ください。

今回は要点をまとめてご説明します。

蓄電システム関連の市場動向―需給調整市場についてのアップデート

まず1つ目の需給調整市場(一次調整力)についてです。需給調整市場とは、蓄電池を所有することで調整力として収入を得ることができる、蓄電池の収益源の1つです。この収益源の上限価格が19.5円となっていましたが、制度改正により4月からは15円へと引き下げられました。

実際には現在の平均価格は12.27円となっています。地域によっては15円で推移している場合もあります。

結果的に、収益性の悪化は現時点では認められていません。蓄電池による運用で非常に高いIRR(内部収益率)が依然として得られています。

インフラとして十分な収益が得られるIRRというのは7円でも達成可能です。したがってこの需給調整市場で不安になる必要はないと考えています。現在、平均価格は12円で推移しています。

蓄電システム関連の市場動向―卸電力取引スポット市場についてのアップデート

2つ目は卸売電力市場です。卸売電力市場とは、日本で取引されている総電力の約4割が市場で取引され、残りの約6割が相対取引となっています。相対取引では発電と小売がセットになっている、発電所と小売事業を持つような電力会社が大半を占めています。

直近では、この相対取引を行っていた発電所が市場に参入してきました。この動きは、中東やイランの情勢による価格高騰が原因ではなく、発電所が市場に参加してブロック入札を行うようになったことによるものです。その結果、日中と夜間の電力価格差が大きくなっています。

電池にとっては非常に良い状況です。仕組み上、昼間の電気料金が安く夜間の料金が高くなるため、4月から昼間と夜間の料金の差が50円程度まで広がっています。

したがってこの夏は、需給調整市場よりも収益が上がるのではないかと専門家が考えるほどです。卸売市場も電池にとって大きな追い風となっています。

蓄電システム関連の市場動向―容量市場についてのアップデート

3つ目は「Net Cone」についてです。「Net Cone」とは「Cost of new entry」の略で、新たな発電所を建設する際に必要となるコストのことです。今のままでは4年後に電力が不足する可能性があるため、それを補填する仕組みとして、4年後に政府と連携して送配電を担う発電所を建設する企業に対してお金を支払うものです。これが「容量市場」と呼ばれるものです。

容量市場は、基本的にガス火力発電を基準に設計されています。「Net Cone」とは、新たな発電所を建設する際に必要な総コストから、市場で得られる収入を引いた赤字分を補填する制度です。

これまでは赤字分を1万円と見積もられていましたが、現在は2万円、場合によっては3万円に達する可能性があると言われています。したがって新たな発電所を建設する際に、容量市場からの収入が増加しているのが現状です。

蓄電所も発電所の一種であるため、この容量市場に応募することができます。蓄電所にとっての新たな収入源として容量市場が注目されており、魅力的で有利な存在となっています。このこともまた蓄電所にとって追い風となっています。

蓄電システム関連の市場動向 ―セキュリティ関連についてのアップデート―

「JC-STAR」というセキュリティ認証制度についてです。私どもがIPOした時にはこの制度はまだ決まっていませんでしたが、現在は決定とされました。2027年4月に高圧、10月には低圧と、系統電力網に接続する際に、この「JC-STAR」のセキュリティ認証が取得されていないと接続できないという系統要件が設けられました。

その結果、多くのメーカーの製品がセキュリティ要件を満たさず、接続できない状態に陥っています。一方で、パワーエックスはJC-STARの★1(レベル1)をすでに取得しています。

今後、制度上で★2(レベル2)や★3(レベル3)が追加された場合にも、もちろんきちんと対応する予定です。

これらは当社がこれまでコアとして取り組んできたテクノロジーであり、自社内ですべてのセキュリティを内製化し、ソースコードを作成しています。すなわち当社の得意分野であり、この「JC-STAR」が要件化されたことは非常に大きな追い風となっています。

2027年4月を目前に控えた今、これから電池を購入しようと考える場合、JC-STAR認証製品を検討せざるを得ない状況かと思います。

当社にはすでにさまざまな製品があります。当社の「YouTube」チャンネルにも掲載されていますので、ご関心のある方はぜひそちらの動画をご覧ください。

BESS事業:トピックス

BESS事業についてご説明します。こちらが当社の本業です。現在の状況は順調で、正式受注が順調に増加しています。

運転開始も大幅に増えています。具体的には、トヨタ自動車の東日本工場や今治造船、またさまざまな蓄電所において運転開始されており、非常に安定して稼働しています。お客さまにもご好評をいただいていると自負しています。

今後も粛々と、品質第一で引き続き進めていく考えです。

BESS事業 直近のプレスリリース

直近のプレスリリースはスライドのとおりです。ご関心のある方はQRコードからご覧ください。

電力事業:事業概要

電力事業についてです。私どもは電力の小売免許を持っており、電力も販売しています。最近お客さまにご好評いただいているのが、当社が電池を提供し、そのオペレーションも当社が担当するというサービスです。

蓄電所の運転は「トーリング」または「アグリゲーション」と呼ばれますが、当社では最近ここに注力しており、蓄電所の運用を一括して任せていただくケースが非常に増えています。

電力事業:トピックス

したがって「なぜ電力事業に機器販売が含まれているのか」と疑問に思われるかもしれませんが、これは垂直統合で販売したお客さまも電力事業部に計上しているためです。

このパイプラインは現在1.5ギガワット時にも達しています。本当に大型の案件については大半がトーリングであり、市場での電力販売は一部にとどめるケースが多くなっています。さらにこの3ヶ月間だけでも、蓄電所の運用実績は10拠点で19メガワット増加しています。

電力提供サービスは、中東情勢の影響で一時停止していましたが、最近情勢が落ち着いてきたため再開しました。ただし2月比では9拠点しか増えておらず、3メガワット程度にとどまっています。

したがって、電力事業を牽引しているのは蓄電所のオペレーションと垂直統合である機器販売とのセットでのサービスとなっています。この点が当社の強みになっており、他社にはない特色です。

PowerX 海外 Go-To-Market戦略

海外事業についてお話しします。先日、モンテネグロの会社との提携を発表を行いました。本来であれば、当社が「どのような方法で海外市場に進出するのか」についてご説明する機会を設けるべきでしたが、相手側の事情もあり、フライングのかたちで発表することとなりました。

基本方針として、当社は日本市場において高成長率をあと3年から4年は維持できる自信があります。しかしながら長期的に高成長率を維持できるかと言われると、日本の電力市場そのものに限界があるため、いずれ成長が鈍化するリスクがあると考えています。

その時点で対応を考えるのでは遅いと考えており、今のうちにどんどん新たな種を植えていく必要があると考えています。当社はメーカーですので、国際認証を取得した商品であればどの国でも販売できます。

私どもの電池も国際認証を取得していますので、世界中のどの地域へも出荷できます。したがって私どもの製品に喜んでいただけるお客さまを探すために、4ヶ条を策定しました。この4つの基準を満たさない限り、マーケットには参入しない方針です。

1つ目は「十分なTAM(獲得可能な最大市場規模)の存在」です。ここでの「十分」とは、当社が市場シェアの10パーセントや20パーセントしか取れなくても、事業として成り立つ規模の大きなTAMを指します。

2つ目は「競争環境の優位性」です。なるべく競合の少ない地域やエリアを狙おうと考えています。競合には特に中国企業が多いですが、最近はエネルギー分野には地政学的な側面もあり、進出できる地域とできない地域が存在します。私どもは競合が少ないエリアで、特に求められている地域に進出しようと考えています。

3つ目は「価格競争力」です。海外に進出するにあたり、粗利が低い状態で展開することは避けたいと考えています。当社が製造でき、かつ健全な粗利が確保できる価格で販売できるエリアに限定します。

現在、日本円の為替状況は高くはないため、価格優位性の面でいえば、ほぼ世界中どの地域でも進出が可能な状況です。

4つ目は「地政学的親和性」です。展開の早さを鑑みて、日本と良好な関係を有する国や地域へ地域に積極的に進出したいと考えています。

蓄電システムをめぐる欧州市場の動向

EUおよび欧州についての見解です。今年に入って状況が大きく変化し、高リスク国製のインバータやPCSの使用が禁止されるという規制が突然出されました。また高リスク国には中国、ロシア、イラン、北朝鮮などが含まれています。

このような状況を踏まえて、日本企業としてはEUが非常に興味深い市場となっています。ユーロと円の為替の状況や、私どもが築いてきた友好的な関係も良好です。

さらにEU圏内で電池を製造することで優遇措置を受けることが期待できます。今後は積極的に取り組んでいきたいと考えています。

モンテネグロの国有電力会社EPCGと戦略的協力に関するMoUを締結

以上を踏まえ、モンテネグロの国営電力会社であるEPCG社と戦略的協力を締結することとなりました。

蓄電システム(BESS)に関する覚書(MoU)を締結し、6ヶ月以内には本契約を締結したいという方針のもと、両社で協議を進めています。

目標としては、3年間で500メガワット時程度を実現しようという見通しではありますが、当社としてはさらにアグレッシブに進めていきたいと考えています。

モンテネグロのエネルギー戦略とBESSの必要性

「なぜモンテネグロなのか」について、モンテネグロはほとんど水力発電に依存している国だからです。石炭火力もあるものの、EU加盟に伴い石炭火力を止める必要があり、電力が再生可能エネルギーにどんどんシフトしています。このシフトにより電力が非常に不安定になるため、蓄電池が多く必要になるという点がありました。

また、EPCG社の会長は「太陽光と蓄電システムは我々にとって石油だ」と話しています。つまり自国で生成したエネルギーを蓄電システムによって最適な価格まで蓄え、他国に販売するという取り組みを進めています。イタリアとも海底ケーブルで600メガワットもの電力が接続されています。

さらに、モンテネグロ国内で使用されている電力量よりも、モンテネグロを通過する電力のほうが多くなっています。例えば、セルビアがイタリアに電力を売る場合、モンテネグロに託送料を支払う必要があります。この託送のための空き容量や需給調整において、蓄電池は極めて有効です。

我々としては、モンテネグロでの蓄電池生産も検討したいと考えています。

PowerXが獲得を目指すBESS需要規模(MWh/年(2027~2030))

モンテネグロで蓄電池を生産し、周辺地域で販売できれば、かなりのマーケットシェアを確保できます。バルカン諸国だけで年間600メガワット時あり、さらにイタリアを含む周辺地域を加えると、年間2ギガワット時のマーケットポテンシャルがあります。

そのうちの何パーセントかを確保できれば、我々にとって非常に重要なエリアとなると考えています。

モンテネグロから西バルカン、南イタリア、ブルガリア、ギリシャなどへ

モンテネグロは地政学的にも非常に有利な場所であると考えています。モンテネグロはEUに加盟すると言われており、2028年を目標としていると聞いています。もし加盟が実現すれば、ここの工場はEU工場として位置づけられます。

仮に加盟しなくても、周辺国へ陸路や鉄道、海路でもアクセスが可能なため、地政学的に非常に魅力的なエリアです。

また、日本もモンテネグロもNATO加盟国であることから、友好的な関係性があると考えています。選定基準の4ヶ条をクリアしていることも踏まえ、当社としては積極的に展開したいと考えています。

参考:PowerXが獲得を目指すBESS需要規模 算出過程(1)

当社では、同様の取り組みを他の国でも展開できないかと考えています。

参考:PowerXが目指すBESS需要規模 算出過程(2)

それぞれの国について十分な調査を行っており、その根拠をエビデンスとしてスライドに示しています。

今後、東欧の他に東南アジア、南アメリカ、アフリカといった地域への進出を目指す

赤道を中心とした30度前後のエリアは、太陽光が非常に豊富です。現在、地政学的にも石油に関するさまざまなサプライチェーンの不安があり、各国とも自国のエネルギー開発に積極的に取り組んでいます。

そこで、私どもは東南アジアやアフリカや南アメリカといった地域への進出も目指しています。現在それぞれからお話をいただいており、私どもも積極的にチャレンジしていきたいと思います。日本の業績を悪化させたり、リスクを伴わない範囲で進めていきたいと考えています。

PowerXデータセンター プロダクト

新商品についてご紹介します。当社は2026年2月に「Mega Power DC」を発表しました。こちらは蓄電池の外装と冷却技術を活用し、直流技術を用いたコンテナ型データセンターです。

建物を建設するのが非常に困難な時代でも迅速に設置できるという特徴があり、現在多くの引き合いをいただいています。

来期には一定の実績を積み、再来期には大きな意味のある売上を目指して取り組んでいます。

量産型データセンター事業:トピックス

「Mega Power DC」のアップデートについてお伝えします。前回、委託生産についてご説明しました。お客さまから受託したサーバーを当社で組み上げ、委託生産として納品するという「フェーズ0」についてお話ししました。

「フェーズ1」では当社が仕入れて販売する、またはメーカーと提携するという取り組みを進めています。現在、Dell Technologiesと統合ラックソリューションの検討を行っています。

製品をパッケージ化して販売することで、完全に動作が保証された状態でお客さまに導入いただけるため、非常に購入しやすい商品となります。

またDell Technologiesの製品は最先端のAIファクトリーにも対応しており、「NVIDIA Blackwell」シリーズや「Hopper」シリーズに対応した7000シリーズおよび8000シリーズを現在検討中です。

データセンター関連の電力需要は世界中で増え続ける見込みであり、電力供給問題への対応が迫られている

本日の新商品についてご紹介します。現在、日本ではまだ実感が薄いかもしれませんが、アメリカではすでに新しい電源の半分をデータセンターが消費しています。

先ほどAI用の資料についてお話ししましたが、みなさまがスキャンしたデータをAIに入力し、Q&Aを行う過程で、大量の電力が使用されています。そのためデータセンターは非常に多くの電力を消費しており、電力供給の問題が深刻化しています。

そこで最先端のデータセンターにおいて「いかに電力を抑制しながらデータセンターを稼働させるか」が研究の最前線となっています。

単に省電力を目指すだけではなく、既存の電力系統に合わせたインフラでデータセンターを構築・運用できるようにすることが、現時点での最大の課題となっています。

PowerXのVision

当社では「永遠に、エネルギーに困らない地球」というビジョンを掲げています。データセンターの増加によるエネルギー課題を解決できないかと考え、これまで研究を重ねてきました。

当社によるデータセンターの電力課題への取り組み―実証実験

スライドの写真は、パワーエックスの東京ラボで行われた実験の写真です。スライドの図に示すとおり、左側のサーバーと右側の蓄電システムを制御コンピューターで接続しています。

図の右下にある「Grid Simulator(グリッドシミュレーター)」は系統を模擬する装置で、擬似的にさまざまな系統状況を再現することが可能です。

そのため、電力が不足すると周波数が大きく低下したり、電圧が変動したり、系統側から抑制指示が来たりといった状況を再現できます。その際、「Control Computer(コントロールコンピューター)」がデータセンター側へ「出力を下げてくれ」という依頼を出します。これは、コンピューターが現在実行中の計算処理に対して指示を与えるかたちになります。

同時に電池にも指示を出し、データセンター側の電力が減少する前に、追従して電力を供給し続けることで省エネ化を図ります。しかしながら計算能力は失われません。

このように計算力を維持したまま電力を削減する仕組みを、一時的に数分から最大で10分程度まで実現できるかどうかを実験しました。

実証実験の基本概念

この実験結果です。通常は消費電力を下げると、計算能力も低下します。私どもの考え方としては、消費電力は下がるものの蓄電池によって補うことで、計算量を維持します。

系統事象時の電力放電&GPU電力抑制結果

青い折れ線グラフは、実験結果における電力のレスポンスを示しています。右側に向かって抑制が進むにつれて、電力の必要性が減少していくことがわかります。

自社開発ソフトウェア:系統事象時の動作の記録(1)

グラフの黄色部分は系統の模擬を示しており、さまざまな系統事故が継続的に発生している状態を表しています。

例えば電力が不足して周波数が崩れそうになったり、電圧が大きく下がったりする事象に対して、緑色部分が示すように、電池が系統の指令に応じてフル稼働しデータセンターを支えています。同時にコンピューター側にも指示を出し、計算能力を維持しながら、このグリッドイベントを乗り越えたという結果を示しています。

自社開発ソフトウェア:系統事象時の動作の記録(2)

系統事象時の動作の記録を示したものです。これらの結果から、私どもはこの新製品を商品化したいと考えています。

本実験からの発見と結論

まずサーバーに高容量・高出力の蓄電池、および直流制御技術を用いることで、AIインフラは電力系統の事象によって計算能力を犠牲にすることなく対応することが可能です。

一方で、GPUのワークロードを整理する際には、その内容を正確に把握する必要があるということがわかりました。

したがって、単純に蓄電池を導入すればいいということではなく、蓄電池と制御を組み合わせる必要があるということが明確になりました。これにより商品化が可能であると考え、新しい商品を発表します。

PowerX Energy Blade

「PowerX Energy Blade 2027」です。こちらはいわゆるラック型の蓄電システムになります。既存のデータセンターや建物型データセンターに設置可能です。ラックの中の「X」のロゴが付いているブレードはすべて蓄電池です。

このシステムは普通の無停電装置とは異なり、非常に容量もパワーも大きく、さらに系統との接続が可能で、電圧も高い仕様となっています。

小型の蓄電池がデータセンター内のコンピューターの横に設置されているような構造であり、きわめて応答速度が速いという特徴があります。

PowerX Energy Blade Rack

スライドの画像のように、ラック形式になっています。

PowerX Energy Blade Rack

ブレードは引き出すことが可能です。

PowerX Energy Blade

ブレード単体です。手前にあるのが液冷装置で、中に電池が内蔵されており、奥にはコンピューターが設置されています。さらに専用の冷却用熱交換装置やプラグが備わっている商品です。

PowerX Energy Blade

「PowerX Energy Blade」の前面の外観です。

最大48kWh・120kwh・800V DCを1ラックで実現するAI向け蓄電システム

「PowerX Energy Blade」をラックに入れたものを「PowerX Energy Blade Rack」と呼びます。

「PowerX Energy Blade」は、私どもがこれまで使用していたリン酸鉄電池ではありません。この電池はニッケルマンガンコバルト電池(8C)で、ドローンなどに搭載されているハイパワーな電池です。49.5ボルトに対応し、さらに小さなブレードサイズでありながら、1キロワット時から3キロワット時までの容量で構成可能です。

同時にラックには16個のブレードが格納可能で、相当な容量を収めることができます。最近のコンピューターはすべて直流対応であり、200ボルトから800ボルトまで直流電圧を調整して出力することが可能です。

また、最大で125キロワットの出力が可能なため、NVIDIAの「Vera Rubin」のような、もっとも電力を多く消費する高いコンピュート能力を持つ最新鋭のAIデータセンターにも、まったく問題なく電力供給できます。

データセンター事業者の新たな収益源創出、早期系統連系などに貢献

私どもがお客さまに提供できるメリットは3つあります。これは日本だけなく世界にも売り出していきたいと考えていますが、本日は日本をメインマーケットとしてお話しします。

まずは新たな収益源の創出です。先ほどから需給調整市場についてお話ししてきましたが、19.5円から15円、現在では12円となり、7円でも対応可能だというお話をしました。この市場には、データセンターごと応募することが可能です。これにより、今までになかった新しい収益源を生み出すことができます。

同時に、このような蓄電池を導入することで、データセンター側でピークカットが可能になります。これによりさらに有利な条件で系統接続を進めることができ、また契約自体も従来より好条件となる可能性があります。

またGAFAMをはじめとするいわゆる大手企業では、「再生可能エネルギーを用いてデータセンターを運用したい」というニーズが増えています。そのためにはアーリーマッチングを行う必要があります。そのためにも蓄電池の導入が重要になります。

需給調整市場参加による既存データセンターに新たな収益源

日本にもある一般的な20メガワット規模のデータセンターでは、すべてのラックが埋まっていることはないと考えられます。そのため空いているラックに私どもの「PowerX Energy Blade」を導入していただき、需給調整市場と接続します。これによりデータセンターが電力の調整力、特にメガワット調整力に貢献できるようになります。

一時調整力の価格は現在12円です。この価格を前提とした場合、新たな年間収入は18億5,000万円となります。また1.4年で設備投資を回収でき、5年間は使用可能なため、非常に収益性が高く、データセンターで一気に収益源を増やすことが可能です。

仮に一時調整力の価格が7円に下がったとしても、2.5年で11億円の収入が見込めます。万が一5円という非常に低い水準に下がった場合でも、4年間で7億7,000万円の新たな収入が得られます。これは、20メガワットの既存建物をデータセンターに導入しただけで達成できます。

したがって、新しいデータセンターを建設する際に導入していただくことも可能ですし、既存のデータセンターに導入することも可能です。

この仕組みは日本国内だけでなく、海外でも展開できます。特に、アメリカの需給調整市場では、より高い収入が期待できます。それだけ現在は電力が不足しています。

電力供給に困っているデータセンターに導入すると収入が増加します。また電力が不足しているデータセンターで使用すれば、その分AIサーバーの導入量をピークカットでき、増加させることが可能です。さらに、系統接続の時間も早くなります。

「タイム・イズ・マネー」という観点からも、大きな商機につながると考えています。

2027年に提供開始

私どもは「PowerX Energy Blade」の協業パートナーや販売先を募集しています。さらには海外展開も目指しています。

特許を数多く取得し、実験も積み重ねてきた、非常に魅力的な商品だと思っています。2027年の販売開始を目指して全力で進めていきます。

PowerXデータセンタープロダクト

私どものデータセンタープロダクトのラインナップです。こちらのフルラインナップで挑戦していきます。

またこちらについて、株主のみなさまや投資家のみなさまにご心配をおかけするような見通しはありません。すべて今期の予算内で予定どおりに進行しており、適切に投資を進めていますので、どうぞご安心ください。

伊藤氏からのご挨拶

長時間にわたりご視聴いただき、ありがとうございます。我々パワーエックスを個人投資家のみなさまに応援、ご支援いただき、心より感謝申し上げます。

我々としては、みなさまに対してフェア・ディスクロージャーを徹底し、少しでも正しい情報を正直に提供していくことを目指しています。「YouTube」も市場の変化に合わせて撮り直しました。

また決算説明資料は非常に長く、そのままではAIに取り込むと多くのトークンを消費し誤認が生じる可能性があったため、AI専用の決算説明資料を作成しました。

こちらをダウンロードしていただき、AIで使っていただければ、資料に書かれている内容について誤認が少ないよう配慮しています。またフィードバックがありましたら、お知らせいただければ幸いです。

我々は引き続きIR活動に努めていきますので、これからもよろしくお願い申し上げます。

社員一同、みなさまからのご支援に深く感謝しています。今後も粛々と事業を進めていきたいと思っています。いつもありがとうございます。

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