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アネスト岩田株式会社6381

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目次

三好栄祐氏(以下、三好):あらためまして、アネスト岩田株式会社代表取締役 社長執行役員 CEOの三好です。本日は、アネスト岩田の決算説明会にお忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございます。

また、日頃より株主のみなさまには、当社の事業運営に多大なるご支援を賜り、誠にありがとうございます。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

本日は、決算概要とこれからの我々の成長戦略についてご説明します。資料が多く見にくい部分があるかもしれませんが、みなさまにわかりやすく丁寧にご説明しますので、どうぞよろしくお願いします。

それでは、資料に沿ってご説明します。目次にあるとおり、まず決算の説明を行い、その後に長期成長戦略「Vision2035」についてご説明します。

決算説明のポイント

まず、決算説明のポイントです。2026年3月期の実績として、売上高は559億900万円で、前年同期比2.8パーセント増となりました。事業別に見ると、エアエナジー事業とコーティング事業は増収を達成しました。一方、BtoCの新規事業であるその他の事業は立ち上げ時期であるため、増収ながら赤字という結果となりました。

営業利益は55億6,300万円で、前年同期比5.8パーセント減少しました。当初の目標である計画値は達成しましたが、日本を中心とする人件費の増加により前年同期比で減益となっています。

経常利益は77億1,800万円で、前年同期比8.1パーセント増、純利益は53億5,600万円で前年同期比25.2パーセントの増加となりました。この結果には、為替差益のほか、当社の関西支店売却による特別利益の計上が大きく寄与しています。

2027年3月期の計画では、増収減益となる見通しです。圧縮機は日本とインド、塗装機器は欧米を中心に増収を計画しています。しかし、人材確保に向けた人件費の増加や、当社100周年事業に伴う一過性の販売管理費の増加を見込んでいるため、営業利益は減益になる見込みです。

1株あたりの年間配当は、100周年記念配当5円を加えて93円を予定しています。また、自社株買いを5月13日から開始しています。

決算ハイライト

決算のハイライトです。売上高は増収となったものの計画には未達でした。一方、利益面では営業減益ながらも、全指標で計画を達成しています。

当期純利益は、関西支店の売却などの影響もあり、過去最高を更新しました。配当は期初想定から4円増配となる87円を予定しています。

通期業績予想との差異(計画比)

通期業績予想との差異についてご説明します。これは当初立てた計画との差異です。

まず、売上高は580億円を計画していましたが、約20億円のマイナスとなり、最終的には560億円弱という結果になりました。

この要因の内訳についてご説明します。まず、圧縮機(コンプレッサ)ですが、中国国内の不調に加え、中国の輸出分の回復が想定よりも遅延したことが1つの理由です。また、インドにおいては小形圧縮機における競争激化や価格競争が大きく影響し、これが押し下げ要因となりました。

コーティング事業については、塗装機器の欧州フラッグシップモデルが一巡したことで想定以上に落ち込みが大きくなりました。また、米州では関税の影響もあり価格が上昇し、それに伴い売上の減少が発生したため、販売計画の進捗が遅れたことが影響したと考えています。

営業利益は、計画値の55億5,000万円に対して55億6,300万円と達成しています。これは、売上総利益が想定以上に下がったものの、この分を経費コントロールでカバーした結果です。

営業利益増減の要因分析(前年比)

営業利益増減の要因分析です。営業利益は、先ほどは計画比でお伝えしましたが、ここでは前年比です。前年は59億300万円でしたが、今年度は55億6,300万円となり、3億3,900万円の減益となりました。

これは、当初から計画していたとおり人件費や研究開発費の増加によるものです。経費コントロールを徹底しましたが、結果的に追いつかなかったことも減益の要因です。

売上原価率は若干改善していますが、販売管理費率が悪化しています。今後の課題として、販売管理費をいかにコントロールするかが非常に重要であると考えています。

地域別業績

地域別の業績です。米州および中国に関しては、先ほどお話ししたとおり減収となりましたが、その他のエリアは増収となっています。詳細は後ほどあらためてご説明します。

エアエナジー事業の概況

エアエナジー事業の概況についてご報告します。まず、欧州の売上がエアエナジー事業で年間を通じて好調に推移しました。

日本では、約5年前からサービス力を強化し、サービスを当社の大きな戦略に位置づける取り組みを進めてきました。その結果、ようやくこのサービス強化が人手不足などの課題に対して他社に比べて大きな差別化と優位性を持つことができるようになりました。こちらの売上が伸びたことで、日本は増収となりました。

米州においては、全体では米州の売上が減少したと先ほどお伝えしましたが、ブラジル向け車両搭載用のオイルフリー圧縮機が好調で、圧縮機のみで見るとブラジル市場が後押ししました。

中国においては、中国国内での販売および輸出が減少し、苦戦を強いられる結果となりました。

これにより、トータルでは圧縮機事業やエアエナジー事業全体で微増収という結果にとどまりました。営業利益率は9.8パーセントで、業績は停滞しています。特に中国市場が総利益を押し下げる要因となり、その影響で全体の利益も減少する結果となりました。

コーティング事業の概況

続いて、コーティング事業の概況です。コーティング事業は、若干の増収となりました。先ほど圧縮機について、日本市場ではサービス強化により増収したと述べましたが、日本市場全体を見ると、市場開拓の遅れにより、工業塗装市場向けスプレーガンの売上が減少しました。

欧州では、自動車補修市場向けに特化した戦略を実行した結果、この分野の売上が伸びました。一方で、米州は先ほど述べたように売上が減少しました。

中国では、エアエナジー事業の状況とは異なり、特に自動車補修市場向けのマーケティングと戦略実行が奏功し、好調を維持しています。

その他の事業の概況

その他の事業の概況として、国内で新規のBtoC向け事業の一環として「オートテックベース湘南」を立ち上げています。まだ立ち上げ段階のため、現時点での判断は難しいかもしれませんが、新たな事業に向けて着実に活動を開始しています。

貸借対照表の概要

貸借対照表の概要です。新聞などでも開示・発表されていましたが、将来的な新領域の事業開拓を目的に投資有価証券を取得したことで、固定資産が増加しています。

その他、株主資本の増加により、自己資本比率は68.0パーセントに上昇しています。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フローについては、現金及び現金同等物が約180億円という数字となっています。この部分については、本中期および今後の長期的視点のもとで、資本政策や株主さまへの還元、新たな成長投資に注力しつつ、有効的なお金の使い方を慎重に見極め、意義のある活用をしていきたいと考えています。

設備投資計画・研究開発費の状況

設備投資計画と研究開発の状況です。設備投資額は36億6,000万円で、計画比106パーセント、研究開発費は18億3,800万円で、計画比99パーセントとなっています。

主な設備投資の内容としては、本社と欧州子会社の基盤強化を目的とした土地や建物の取得、また、先ほどご説明したBtoC事業であるモビリティアフターサービス事業の一環として、神奈川県寒川町に車体整備工場を新たにオープンしました。

また、インドの成長戦略の核となる中形圧縮機組立工場を新設しました。その他、本社試作棟への設備納入などを増強しました。

来期の計画としては、設備投資額を39億1,000万円、研究開発費を23億6,000万円を予定しています。欧州や中国など各エリアを強化するため、生産設備への投資計画や、各拠点の生産設備の更新、増強分もこの計画に織り込んでいます。

株主還元策

株主還元策です。こちらは、現中期経営計画が始まった時点で、株主のみなさまにお知らせした内容です。

年間配当金については、期初予想から4円増配予定となります。現中期からDOE(株主資本配当率)を還元指標に採用し、7パーセントから7.5パーセントに設定しています。これに基づき、年間配当金を87円とする予定です。

また、自己株式の取得については、現中期経営計画期間中に30億円から35億円規模で実施することをお知らせしています。2026年5月13日からは、上限15億円の自己株買いを実施しています。

2027年3月期は、先ほどお話ししたとおり、記念配当を含めて93円を計画しています。

トピックス

トピックスです。先般発表しましたが、高圧領域およびガス圧縮機用コンプレッサの製造会社である株式会社SANWAの全株式を取得する予定です。

なぜこの会社の全株式を取得してグループ化しようと考えたのかについては後ほど成長戦略の中で触れますが、今後、当社はエネルギーソリューションメーカーへと進化していくべく、より高圧の領域やガス圧縮領域を重要な計画目標として掲げています。その中で、この会社の技術力は非常に魅力的であり、今回の合意に至りました。

もう1つのトピックとして、地雷除去支援用コンプレッサについては、以前にもご報告しましたが、ウクライナにおいてトライアルが開始されています。

2027年3月期 通期見通し

2027年3月期の見通しです。2027年3月期は、売上高600億円、営業利益52億円という計画になっています。増収減益の計画で、売上は増加しますが、100周年事業に伴う一過性の経費などが大きく増えるため、減益の計画となっています。

2027年3月期 通期見通しの前提条件

通期見通しの詳細に関して、まずは売上高600億円をどのように達成するのかについてご説明します。

稼働を開始したインドにおける中形圧縮機組立工場の稼働率を向上させることで、販売台数を増加させます。また、欧米における自動車補修市場では、スプレーガンを中心とした塗装機器の販売を回復させます。さらに、新型オイルフリー中形圧縮機の上市を計画しており、これが下期より売上に寄与する見込みです。

リスク要因に関しては、他社と同様にホルムズ海峡情勢による大きな影響を受ける可能性があります。そのため、引き続き動向を注視しながら、販売計画などにおいて、もし落ち込みが生じた場合には適切な対策を講じていきたいと考えています。

営業利益は52億円を見込んでいます。国内外における人件費や物流コストの増加、原材料調達価格の上昇に加え、創業100周年事業に関連する一過性の費用計上、新製品開発や設備増強、さらには、今後の成長戦略の中核を担うものとして位置づけている、M&Aに対する費用増加が主な要因です。

また、経常利益は、一過性の利益要因がなくなることにより、減益となる見通しです。

代表挨拶

続きまして、長期成長戦略についてご説明します。アネスト岩田がこれからどのような会社になっていくのか、しっかりとご説明したいと思います。

現在進行中の第一次中期経営計画と10年の長期ビジョンを見据えた計画についてお話しします。今回の中期経営計画は「第一次中期経営計画」と呼んでおり、これが第3期まで続きます。この計画は、第4期の1年目が終了する段階で、10年の長期ビジョンに到達する予定です。

代表挨拶として、あらためて「Vision2035実現に向けた決意」というかたちでスライドに記載しています。

私は1年前に社長というポジションを拝命しましたが、アネスト岩田としてのあるべき姿、そしてありたい姿を描いた上で、私たちが何を行うべきなのか、経営陣としてどのような戦略を立てて実行していくべきなのかが、非常に重要であると考えています。

当然ながら社外取締役も含めて、私たちが目指す姿をしっかりと共有しています。そして、その方向性に基づいて取締役会でガバナンスを効かせ、多方面からのアドバイスをいただいています。これがなければ、取締役会の判断が都度場当たり的なものになりかねません。

一方で、取締役会の実効性について考えた時、果たして本当に実効性が高いものかどうかという疑問を、私自身ずっと感じていました。この部分について、10年先に向けたビジョンを全取締役で共有した上で、月々の取締役会で議題が付議された際、それが10年間のビジョンのどの部分を補完するのかについて、明確に理解することが重要だと思っています。

そのため、今回「Vision2035」をしっかりと作り上げ、そこに向かってひたすら実行していくことが非常に重要です。私自身、2035年まで社長を続けさせていただく場合は、この方針をぶれずに進めていく決意です。こうした思いを込めて、本日、代表挨拶として述べました。

マスタープラン (長期成長戦略) 策定の背景と取り組み

「Vision2035」実現に向けて何を行うべきかをしっかりと構築し、それを具体的なかたちに落とし込むことが重要との認識から、今回、シナリオ分析に基づく長期成長戦略としてマスタープランを策定しました。こちらについてご説明します。

マスタープラン策定の背景と取り組みについてですが、スライドの「これまで」の部分に示されているように、まずシナリオ分析を行います。

もちろん未来を完全には予測できませんが、VUCA時代といわれて久しい状況を踏まえつつ、今後「我々を取り巻く環境がどのように変化していくのか」をある程度想定した上で、「こういうことが起きた時には、こういう方向にいく」というシナリオプランニングの手法を活用した複数のシナリオを、経営幹部候補メンバーおよび現経営陣で作りました。

今回第一次中期経営計画を公表していますが、その後、10年後の目指す姿を描き、それを実現するために何を具体的に進めていくべきかということを、先ほどのシナリオを基に策定したものが、今回のマスタープランの戦略策定です。

マスタープランでは、我々がどのような姿を実現したいと考えているのかが示されています。それは、スライド右側にも記載されている「エネルギーソリューションメーカーの実現」です。

ここで「エネルギーソリューションメーカー」について、簡単にご説明します。当社は、創業時に塗装機を製造し始め、その塗装機を使用するためにコンプレッサの製造を開始しました。しかし、事業部制を採用したことで、それぞれの事業が個別に成長してきたものの、シナジーが薄れてしまった点を反省すべき課題として認識しています。

当社を取り巻く事業環境は、近年大きく変化しています。かつては「コンプレッサは空気が出ていればよい」「塗装機は塗料がきれいに吹ければよい」という時代でしたが、現在は大きく状況が変わっています。

現在では、いかに効率的に圧縮空気を活用して工場を稼働させるか、また塗装ではいかに塗着効率を100パーセントに近づけ、高付加価値な塗装を実現するか、といった点が重視されるようになりました。このような時代の中で、当社のようにコンプレッサと塗装機の両方を手掛けるメーカーは、我々以外にはほとんどないという現状にあります。

そのため、ここでしっかりとシナジーを創出し、エネルギー効率の良い製品や大きなメリットを提供できる製品をお客さまに提案し続けるメーカーを目指すこととし、当社のありたい姿として「エネルギーソリューションメーカー」という方向性を掲げています。

それを実現するために、マスタープランの実行に加えて、組織体制を根本的に見直しました。具体的には、事業部制を廃止し、CxO制を導入することで各機能部に分割し、各機能の最高責任者を設けました。

この体制によってスピード感を持ちながら、お互いの機能が互いを監視しあう仕組みを整え、ガバナンスを効かせつつ機能強化を図るような組織に変更しました。

Vision2035におけるあるべき姿と道筋

この「あるべき姿と道筋」は、一見して理解しづらいかもしれません。「エネルギーソリューションメーカーの実現」に向けて、エアエナジーとコーティングという2つの事業におけるシナジーを創出し、エネルギーソリューションに関連した新規事業を確立することが、2つの大きな柱となります。

その中で、図の三角形のピラミッドの中には、これまでの新市場の攻略や、コーティングのトータルソリューションの提供、AIを活用したコーティング技術の確立などが示されています。このように各事業別に戦略を構築し、それを実行に移していきます。

この活動を支えるのが「モノづくり・生産」と「経営基盤」です。こちらについては後ほど詳しくご説明します。

1,000億円を達成するためには、既存事業のオーガニックな成長に加え、既存事業から発展した新しい領域、さらにはまったく異なる新しい領域への進出が非常に重要です。

これらをしっかりと構築し、計画を立て、組織を整え、確実に実行していくことを示した図になっています。

Vision2035実現に向けたロードマップ (主要戦略)

こちらが「Vision2035実現に向けたロードマップ(主要戦略)」となります。エアエナジー事業では、高効率オイルフリー圧縮機の連続的な新製品の開発を進めており、近々オイルフリーの中形圧縮機を上市する予定です。この製品の登場により、中形圧縮機の市場が大きく変わると確信しています。この製品を高付加価値製品として位置づけ、エアエナジー事業の主要な戦略とします。

またもう1つの柱として、環境対応型製品などを通じた既存周辺領域への拡大を掲げています。お客さまはコンプレッサを利用して何かを動かしたり、特定の用途に使ったりしています。ただ単にコンプレッサを提供するだけでは不十分であると考えています。

そのため当然、トータルエネルギーソリューションという観点から、その周辺にあるコンプレッサの先の領域を取り込むことで、周辺領域の拡大を図っていきます。

もう1つは、ガス圧縮機です。先ほどSANWA社のM&Aについてご説明しましたが、この技術と当社の技術を掛け合わせることで、今後、新たなガス圧縮機市場の攻略を、第二次中期経営計画のスタートに合わせて進めていきます。

コーティング事業については、当社は自動車補修市場が主力ですが、工業塗装市場を攻略しなければ、塗装機メーカーとしての未来はないと捉え、この分野への取り組みを重点項目としています。

モノづくりについては、生産戦略本部を立ち上げ、現在グローバルで分散しているモノづくりの統括機能を本社に設けた上で、それぞれがどのようなものを作っていくのかを見据え、計画を立てて進めていく方針です。

新規事業については、コア・コンピタンスの分析と醸成に取り組んでいます。

我々を含め、どの企業もM&Aや新規事業に取り組みたいと考えています。しかし、なぜそれが実現できないのかというと、率直に言えば、本気度が足りないからです。

これは今後の当社の核となる重要な部分であるため、本気で取り組んでいきます。体制を構築し、プロセスの中でM&Aや新規事業を進めるためのノウハウを構築し、断固たる決意を持って計画を立てていきます。

さらに、それらを実行するための経営基盤も重要です。先ほど述べたように、まずはCxO制を導入し、各機能の強化を図ります。

今回地域を4つのエリアに分け、それぞれのエリアの長、つまり地域統括として日本人を派遣しています。なぜグローバル企業でありながら外国人ではなく日本人を起用したのかという点については、当社の過去の反省を踏まえた結果です。

当社グループ売上の約65パーセントが海外であるため、グローバルガバナンスをしっかりと効かせるとともに、我々の「Vision2035」を実行する体制として何が最も適しているかを議論しました。そして、日本人のエリア統括の長を立てることが最適であるとの結論に至り、今回このような体制を採用しています。

Vision2035実現に向けた成長戦略

こちらは「Vision2035」の実現に向けた成長戦略ということで、中期経営計画の資料を再掲しています。

Vision2035実現に向けた組織体制の変更

先ほどご説明した組織体制について、図のようにエリア統括に対して各CxOが横串で入る2軸のマトリックス型組織へ移行しました。

今後は各CxO、具体的にはCSOが事業ポートフォリオや事業戦略を、CFOが新規事業や経営基盤を、CTOが製品開発を、CPOがモノづくり・生産をそれぞれ担当します。

さらに、エアエナジー事業とコーティング事業の事業部を廃止することで、各事業の責任区分や灯が消えてしまうのではという懸念もありましたが、それぞれに管掌を設けるかたちで対応しています。

このメンバーはスピード感を持って、先ほど述べた成長戦略の実行状況をしっかりと監視・監督し、経営会議で共有していきます。

その経営会議で共有した内容を取締役会で報告し、取締役の間でしっかりと共有した上で、先ほど述べた目指すべき姿に向けてガバナンスを効かせ、取締役会の実効性を高めていく体制を整えています。

【事業ポートフォリオ】 構想と成長投資方針

続いて、マスタープランにおける主要戦略として、事業別の詳細な実施内容をご説明します。

まずは全体像です。事業ポートフォリオの図は少々見づらいかもしれませんが、端的に申し上げると、既存事業で得た利益を成長戦略にしっかり投資し、その事業を収益を生む柱へと育てていく方針です。すなわち、一般的なプロダクトポートフォリオの考え方を仕組みとして構築し、それを回していくことが当社の投資方針となります。

【AE】 エアエナジー事業:Vision2035実現に向けた市場攻略

エアエナジー事業の「Vision2035」に向けた市場攻略についてです。これも先ほどの説明のとおりです。

中形一般工業に対しては、これまでのオイル式スクリューコンプレッサ市場に、当社はオイルフリーの中形圧縮機を投入し、市場攻略を図り、シェア拡大を目指します。

また、ガス圧縮機および真空装置市場においては、先ほどSANWA社に関連してご説明した技術の活用などを通じて、新たな市場攻略を進めていきます。この分野は非常に重要です。

そのため、これらに対しては、前のスライドで述べたとおり、しっかりと投資していきます。

各グローバル市場において、そのような体制が整った際には、セールスエンジニア、すなわち営業力を強化する必要があります。そのため、ここにも資金を投じ、しっかりと製販の仕組みを構築していきます。詳しくは、資料をご覧ください。

【CT】 コーティング事業:Vision2035実現に向けた市場攻略

コーティング事業です。今後、私たちは工業塗装市場への再参入を図り、この分野に対して投資を行い、徹底的に競争していきます。

具体的には、当社のスプレーガンの売上が海外で伸びているとご説明していますが、これは自動車補修市場における取り組みを指しています。ぶつけた車を修理する自動車補修市場において、当社のスプレーガンが活躍しています。

ただし、塗装全体で見ると、自動車補修市場は一部分に過ぎません。以前、当社は自動車補修市場について、自動車メーカーの技術進歩により「ぶつからない車」「事故が起きない車」が普及し、この市場が縮小するのではないかと懸念していましたが、現在では、基本的になくならないと考えています。

小規模な事故が多発しているため、事故の内容や車の修理内容が変化したに過ぎず、スプレーガンの使われ方自体は変わらないという結論に至っています。

さらに、当社の技術の新たな利用対象として非常に重要となっているのが工業塗装市場です。この市場は裾野が非常に広く、例えば、みなさまがご覧になっているパソコンの塗装や家具の塗装などが含まれます。

最たるものとしては、自動車や自動車部品などに塗装が施されています。このような市場に対し、我々は今後力を注いでいきます。

ただし、この分野には我々の技術以外の競合技術も存在するため、M&A戦略を積極的に推進し、そのような技術を持つ企業のグループ化を検討します。そして、それにより先ほどのSANWA社のガス圧縮機と同じようなシナジーを創出していきます。

【モノづくり・生産】 生産戦略における大方針

それらの両事業を支えるモノづくりについてです。

これまでは、それぞれの事業部の下に各工場が位置する構図でした。しかし、現在はCPOが担当する生産戦略本部というモノづくりの専門部門を設け、競争力を強化する新たな体制の構築をスタートしました。

それに伴い、横浜本社にモノづくり革新センターを設置する計画です。ご来訪いただいた方はご存じかもしれませんが、正門を入って左側にモノづくりの中心となる試作棟を設けています。ここでは、新しい技術をスピード感を持って、試作機の製作をはじめとして次々と作り上げています。その技術をすべてのグローバル工場に展開していきます。

また、福島では現在、工場DXが進行中で、もうすぐスタートできる段階にあります。さらに、PLMは先日カットオーバーしたため、これらの取り組みとしっかり連携させ、モノづくりの強化を進めていきます。

【製品開発】 主な製品開発・上市イメージ

主な製品開発の上市イメージです。こちらは先ほどご説明したように「エネルギーソリューションメーカー」というかたちで、お客さまに認められる高付加価値の製品をこれから継続的に上市していきます。

CT事業では「SMART SPRAY ハンドスプレーガン」「CUBIC LINE」「無溶剤UV塗装システム」を、この第一次中期経営計画の間に上市する計画です。

第二次中期経営計画に入ると、先ほど述べたとおり、工業塗装市場を攻めるための取り組みをさらに進めていきます。

AE事業では、先述のとおり、近々「中形オイルフリー式コンプレッサ」を上市する予定です。これにより市場攻略を進めると同時に、その技術を活用した機器組込用の本体として、例えば電動バスに搭載されているコンプレッサなど、組込用市場への展開を進めていきます。

第二次中期経営計画期間中には、先ほど述べたガス圧縮機市場の攻略を進めるとともに、オイルフリー式コンプレッサシリーズの拡大を図る計画です。また、オイルフリー式の真空ポンプの開発計画も進めています。

【新規事業】 新規事業開発方針

新規事業の開発方針は「インオーガニック」です。現在の既存事業の領域拡大とともに、新しいビジネスとして進めているBtoC事業や「ANEST IWATA A.I.R」が行っている事業などを、体制を整えた上で推進していきます。

そのため、この分野にはリソースを投入し、本気で取り組んでいく方針です。ご理解いただければと思います。

【新規事業】 インオーガニック成長の推進

このスライドは、今ご説明した内容です。

【経営基盤】 人的資本戦略

人的資本戦略についてです。

これはどの企業にも共通していることですが、今後どのように人材を活用していくかが課題となります。国内では、戦略人事の考え方に基づき、新たな人事制度を今後構築していきます。また、経営幹部のサクセッションプランとして、次期経営幹部や取締役の候補者などのプランをどのように策定するかが重要な課題になります。

先ほどの「Vision2035」を達成するには、人材が非常に重要であり、それを実現し、継続的に発展させられるような人的資本戦略をこれからしっかりと構築していきます。

この戦略の構築に向けた取り組みはすでに始まっており、あらためてどこかの機会でご報告します。

【経営基盤】 組織体制

経営基盤の組織体制についてです。先ほど説明したCxO制に関連し、スライド左側の下部に示されている「コーポレートガバナンス部」という部門を設立しました。

当社はグローバル企業であるため、グローバルな視点でガバナンスを効かせ、企業価値を向上させていくことがこれから非常に重要となります。そのため、社長直下にコーポレートガバナンス部を設置し、私自身も常にその監視を受ける体制としました。これは当然のことであり、私自身にとっても1つの覚悟を示すものです。

コーポレートガバナンス部を新設するとともに、「Vision2035」やCxO制をしっかりと機能させるため、厳格な監視・監督のもと、企業価値を向上させる体制を構築していきます。

第一次中期経営計画における経営指標

第一次中期経営計画の進捗状況について、ご報告します。

先ほどの説明のとおり、今期の実績は、売上高559億円、営業利益55億6,000万円、営業利益率10パーセント、ROE11パーセント、EPS136円という結果となっています。

2027年3月期の予測は、売上高600億円、営業利益52億円、営業利益率8.7パーセント、ROE8パーセント、EPS100円と、若干数字は下がる見込みです。

しかし、2028年3月期には、売上高620億円、営業利益61億7,000万円、営業利益率10パーセント、ROE11パーセント、EPS132円を計画しており、回復を目指します。

さらに、先ほど説明した長期成長戦略「Vision2035」をスタートさせ、2028年3月期の中期経営計画最終年度の目標を確実に達成することを、ここで宣言します。

第一次中期経営計画における取り組み方針サマリー

事業戦略については、先ほどの説明どおりの内容ですので、ご確認ください。資本政策についても同様で、中期計画で策定したものを、そのまま着実に実行しています。

成長戦略・事業戦略の全体感 (第一次中期経営計画の位置づけ)

このスライドは、第一次中期経営計画に掲載した内容を再掲しています。

第一次中期経営計画における注力領域

このスライドも同様に、第一次中期経営計画の内容を再掲したものです。

事業戦略における取り組み方針 (1/2)

事業戦略における取り組み方針です。先ほどご説明したマトリックス組織の話に関連して、AE事業とCT事業の各成長戦略を、それぞれのエリアの特性に合わせて具体的な戦略に落とし込みます。

また、各エリアには統括責任者を配置しており、その中で各事業管掌およびCxOとしっかり共有しながら推進します。その上で、売上拡大を目指して遂行します。

事業戦略における取り組み方針 (2/2)

こちらは先ほどのご説明どおりの記載になっていますので、ご確認ください。

エリア別の売上計画

エリア別の売上計画です。先ほど説明した4エリアとその他のエリアでは、それぞれを統括する責任者がしっかりと責任を持ち、エリア特性に合わせた成長戦略を実施します。全エリアの売上を確実に向上させていきます。

資本政策 (再掲)

資本政策の再掲です。営業キャッシュフロー原資260億円以上の投資を実行する旨を、中期経営計画で宣言しています。

設備投資に80億円、成長投資としてM&A、研究開発、新規事業に180億円を割り当てます。

株主還元では、DOEを7パーセントから7.5パーセントに設定し、自己株買いを30億円から35億円実施計画としています。ROEの達成目標は11パーセントに設定しています。

キャッシュアロケーション (再掲)

こちらも再掲となります。

株主還元方針

こちらも先ほどの説明どおり、株主還元として総額130億円規模の配当と自己株買いを実施する予定です。

取締役会構成と保有スキル

最後に、取締役会の構成と保有スキルについてです。

先ほど述べた成長戦略を達成し、取締役会の実効性をさらに高めるために、我々に必要なスキルを持つ取締役像を今後再定義します。

再定義した上で、そのスキルに適した人材であるかを、私自身も含めて確認します。さらに、実効性を向上させるための取り組みを、現行の中期経営計画期間内で進めていきます。

以上、駆け足となり時間が超過してしまいましたが、反省すべき点として、資料が長く多すぎることが挙げられます。今後は、よりわかりやすく、よりコンパクトにまとめ、しっかりとご報告・ご説明ができるよう努めていきます。ご清聴いただき、ありがとうございました。

質疑応答:SANWA社の株式取得の目的と技術の具体的用途について

質問者:決算説明資料のトピックスで説明のあったSANWA社の株式取得の目的について、高圧とガス圧縮の技術を取り込むというご説明でしたが、この技術の具体的な用途と今後の方向性について教えてください。

岩田仁氏(以下、岩田):こちらのご質問は、CSOの岩田が回答します。SANWA社では、用途として船舶のエンジンスタート時やスキューバダイビングの呼吸用圧縮空気などに使用できるような高圧を出せるコンプレッサを製造・供給しています。

非常にニッチな分野ではありますが、当社が供給している一般的な工場用コンプレッサよりも、はるかに高い圧力で圧縮できる特徴を持っています。

高圧化により、希少ガスなどをより小さく圧縮し、移送の容積を縮小することも可能になると考えています。最終的には、将来の成長戦略において、当社にない技術を持つSANWA社を活用していきたいと考えています。

質問者:具体的な用途として、例えば製品や産業など、どのような分野でこの技術が用いられるのでしょうか? 

三好:現在、SANWA社は船舶関連に取り組んでいます。船のエンジンを始動する際には、高圧で空気を送らないとエンジンがかかりません。ただ、我々が目指しているのは船舶ではありません。水素などのガスを圧縮する市場である、ガス圧縮の分野です。

この市場には、高圧技術が必要不可欠です。一般的なコンプレッサメーカーの通常の圧力は、せいぜい1メガパスカル程度で、我々の競合も同様です。

しかし、この高圧技術では90メガパスカル、つまり90倍もの圧力を実現します。これは汎用コンプレッサメーカーにとって驚異的な圧力であり、これを実現できるメーカーは世界でも非常に限られています。

例えば、水素ガスを圧縮している企業としては、加地テックという1社が寡占状態となっているほどの市場です。

私たちはこれからコンプレッサメーカーからエネルギーソリューションメーカーへと進化していくことを先ほど宣言しました。その上で、このようなガス圧縮市場は非常に規模が大きな市場であり、以前から参入したい、これから取り組んでいきたいと考えていました。

そのような中で、SANWA社という、船舶用として技術を展開している小規模な会社と出会いました。同社は優れた技術を持っており、それを我々のものとして活用し、新たにガス圧縮市場へ本格的に進出していくことを目的に、今回SANWA社を取り込むことにしました。

質問者:ガスの圧縮ですが、具体的に水素ガスの圧縮は何に必要なのでしょうか?

岩田:水素は一例ですが、いきなり水素ガスの圧縮に対応するかどうかは、技術的なハードルがあるため、今後の課題として考えています。

希少ガス、例えば現在話題になっているヘリウムは、なかなか採取が難しいです。このようなガスも圧縮することで移送容積を小さくすることが可能です。つまり、空気以外の気体の圧縮にも多用途で活用していきたいと考えています。

空気以外の気体を圧縮する場合、ガスによって圧縮時の反応が大きく異なるため、その都度、圧縮機の技術も対応を変える必要があります。こうした技術を取り込みつつ、当社の販路や得意とするアプリケーションを活かして、新たな市場を開拓していきたいとご理解いただければ幸いです。

質疑応答:インドの中形圧縮機組立工場の稼働状況と販売体制について

質問者:インドで中形圧縮機の組立工場が稼働を始めたという話ですが、現在の稼働と販売体制の状況について教えてください。

岩田:昨年末から量産試作が順調に進み、4月の稼働率はほぼ100パーセントに達しています。

この工場はもともと組立工場として、ノックダウン生産、つまり組立用の部品を輸入し、インドで組み立てる役割を担っていました。そのため、すでに既存の販路やサービスネットワークが整備されています。

約300社のネットワークが構築されており、これらのネットワークへのPR活動も進んでいることから、今後は販売の拡大が期待され、その結果として生産も増加していくと考えています。

これまでは、圧縮機の完成品を海上輸送していたため、必要な時に商品が必ずしも揃うとは限らず、販売チャンスを逃すケースがありました。しかし、この課題にも対応できる体制が整ったのではないかと期待しています。

質疑応答:2027年3月期の業績見込みと価格上昇への対応について

司会者:「ホルムズ海峡の情勢が御社の業績に与える影響について、現時点でのご認識をおうかがいできますでしょうか? 具体的には、2027年3月期の業績見通しの織り込み状況や、足元での影響の有無、今後状況が長期化した際の影響見通しについても、あわせてご説明いただけますと幸いです」というご質問です。

大丸正徳氏:CFOの大丸が回答します。2027年3月期の業績については、現時点では影響を見込んでいません。

お客さまへの影響については、部品の供給面を確認しており、7月前半までは確実にお届けできることを社内で確認しています。

一方で、すでに仕入れ業者からは今後それに伴い、価格上昇の通知も届き始めています。そのようなことを考慮し、価格の上昇を市場のお客さまへの値上げで対応できるかどうかをあらためて社内で検討し、今後どのような影響があるかについては、様子を見ながら開示していきたいと考えています。

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