第134回 個人投資家向けIRセミナー 第2部
ニーズウェル、AI関連・自治体向けソリューション展開を強化 業務特化型AI提供開始、文教向け経費精算システム初導入
会社概要

松岡元氏(以下、松岡):株式会社ニーズウェル代表取締役社長の松岡です。本日はお忙しい中、当社の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。2026年9月期第2四半期の決算概況と今後の戦略についてご説明します。
本日のポイントは大きく3点です。1つ目は、当社の事業が着実に推進している点です。2つ目は、AIやDX、自治体などへの事業展開についての説明です。最後に、当社が取り組んでいるソリューション事業が進行しており、ビジネスモデルの転換が着実に進んでいる点です。
以上を中心にお話ししますので、よろしくお願いします。
まずは会社概要です。当社は1986年に創業したIT企業で、第40期を迎えています。主な事業は、業務系システム開発、IT基盤、ソリューションの3つで、これらを組み合わせたITのトータルサービスを提供しています。
売上高は直近で100億円規模に到達しており、従業員は約600人の規模で事業を推進しています。
1-1 決算ハイライト 総括

松岡:上期の決算概況をご説明します。上期は売上高・利益ともに計画を達成し、計画どおりに推移しました。売上高は52億600万円、営業利益・経常利益はともに6億円を少し上回る結果となっています。
詳細は後ほど説明しますが、1つ目のポイントとして、業務系システム開発、ソリューション、IT基盤のそれぞれの事業で着実に事業成長を遂げていることが挙げられます。2つ目として、収益性を確保できている点だと考えています。
昨年度より株主優待制度を導入しており、その経費が今期にかけて発生していますが、その影響を除くと前年同期比107パーセントの成長を実現できています。
IT企業の利益率としては比較的高い水準にあり、10パーセント以上の営業利益を確保できている点が評価されるポイントだと思います。
1-2 売上高・経常利益 年度別・四半期別推移

松岡:当社がどのように成長してきたかをご説明します。売上は、これまでどおり安定してお客さまとの取引を継続し、特にAIやDXといった分野の進捗により売上が伸びています。
利益の推移を見ると、より効率的に収益を上げられるビジネスへ徐々に改善していることがわかります。また、SIについては、プロジェクトマネジメントにおける生産性向上が寄与し、確実に利益を生み出せるようになってきたと考えています。
スライド右端の「株主優待費用の影響」の参考箇所ですが、見かけ上は第2四半期の利益が少し下がったように見えます。しかし実際には、株主優待制度にかかる経費の影響を除くと、前年同期比107パーセントと生産性を向上させており、利益は確保できていると考えています。
1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):1UP投資部屋のKenです。ここで質問ですが、株主優待を導入されているということで、費用とのバランスが非常に難しいのではないかと思います。その点はどのようにお考えでしょうか?
松岡:株主優待の施策は、昨年度より当社のことを幅広く知っていただき、また長期的に株式を保有していただくことを目的として開始しました。一方で、これにかかる経費については常に配慮が必要であると認識しています。
株主さまへの還元と、次世代の人材育成のための投資とのバランスは常に意識しており、想定される株主数などを考慮しながら設計を行っているところです。
1-3 サービスライン別売上高推移

松岡:サービスライン別の売上高推移です。この上期は、業務系システム開発、IT基盤、ソリューションの各分野でまんべんなく売上が伸びたことが重要なポイントだと考えています。
業務系システム開発の売上高は34億9,500万円、IT基盤が7億9,000万円、ソリューションが9億2,000万円です。当社ではこれまでどおり、既存のお客さまとの関係を強化しつつ、着実にオーガニック成長を続けています。
特にポイントとして、ソリューションにおいてAI関連ソリューションとクラウド型の経費精算ソリューションが挙げられます。当社では「SAP Concur」の導入支援を行っており、この分野で大きく進捗したと考えています。
特にこの上期は、「SAP Concur」の日本の国立大学への導入実績があり、これが今後の成長につながる大きなポイントの1つになると考えています。
新たな挑戦としては、自治体や官公庁など公的な領域に向けたソリューションパッケージを作成しており、これを成長ドライバーとして展開していく計画です。また、自治体に対しては導入のハードルを下げるかたちで、さまざまな提案が可能になると考えています。
AIの領域では、春前頃に「AI医師スケジューリング」という業務特化型のAIソリューションを提案しました。また、現在技術的に注目されているRAGを活用した社内のチャットボットなどの受注も順調に伸びています。その受注実績はソリューションの成果にもつながっていると考えています。
これらのソリューションをお客さまに提案し導入いただくだけでなく、その周辺のSIや基盤の構築、オンプレミスからクラウドへの展開も順調に進みました。その結果、事業全体を成長させることができたと考えています。
1-4 経常利益増減要因分析

松岡:利益の増減要因です。売上が伸びたことで、トップラインを拡大しながら利益を確保できました。一方で、先ほど少し触れた優待関連の費用や採用にかかる費用も、現在積極的に投入しています。
AI時代におけるエンジニア不足が叫ばれる中で、エンジニアの存在価値を最大化するために、既存社員とともに効率的にAIを活用しながらエンジニアを育成していくことを目的とした採用活動の強化などを行っているため、採用関連の経費がかさんでいます。
このような投資を行いながらも、経常利益率は11.9パーセントを確保できており、投資と利益のバランスを取りながら事業を推進できていると考えています。
1-5 損益計算書

松岡:損益計算書です。スライド右側にKPI指標を示していますが、ビジネスが順調に成長していると考えています。
生産性向上のために販管費の抑制に努めた結果、経常利益率は約12パーセントを確保できており、自己資本比率が70パーセント以上を維持できていることも、重要なポイントの1つだと考えています。
1-6 貸借対照表
松岡:こちらも同様の内容です。
財務状況でお話ししたとおり、自己資本比率が高いため、成長投資を継続できる十分な体力を持っていると考えています。これを原動力にして、事業を確実に推進していきたいと思います。
1-7 プレスリリース

松岡:プレスリリースについてお話しします。当社は適時開示と並行して、当社の取り組みや案件の受注があったタイミングなどで積極的に情報発信を行い、幅広く事業推進の内容を知っていただく取り組みを進めています。
これらの取り組みを継続することで、情報発信をきっかけに別のお客さまからお問い合わせをいただく機会にもつながっているため、今後もこのような活動を続けていきたいと考えています。
2-1 中期経営計画(連結)・2026年9月期サービスライン別売上計画

松岡:2026年9月期の業績計画です。2027年9月期に売上高130億円を目標に掲げていますが、今期、2026年9月期では連結で売上高110億円を目指しています。
ソリューションの割合を22.5パーセントまで少しずつ伸ばす計画です。ソリューションビジネスの拡大を加速させることに注力しており、この割合は目標値ではありますが、これを超えられるよう事業を推進しています。
2-2 株主還元

松岡:株主還元の予定ですが、2026年9月期は配当性向49.4パーセントで1株あたり12円を予定しています。配当性向は45パーセント以上を目標としています。この配当に関しては、利益の状況や事業の推進状況を見ながら、適宜、最新の情報を開示していく予定です。
株主優待制度では、毎年3月末日を基準日とし、1,000株以上を継続して1年以上保有している株主さまに対し、1万5,000円分のQUOカードを贈呈しています。
株主還元や情報開示を含め、企業価値向上を目的として事業を推進しています。
3-1 経営理念・中期方針

松岡:成長戦略についてご説明します。
当社の経営理念は「広く経済社会に貢献し続ける」です。中期基本方針として「真のシステムインテグレータへ移行」を掲げ、事業を推進しています。
根底にあるのは、いわゆる労働集約型のビジネスから、課題解決で選ばれる会社への転換を図ることです。この後少し説明しますが、この転換をさらに発展させ、ソリューションプロバイダーへの転換を目指して事業を推進しています。
3-2 ニーズウェル3つの強み

松岡:当社の強みは大きく3つあります。
1つ目は、DXや生成AI、AIエージェント、クラウド経費精算など、クラウド関連のソリューション提供力です。当社の規模でこのソリューションのラインアップの数は多いほうだと自負しており、技術力を基盤にさまざまなかたちで発信できていると考えています。これらを武器として、事業展開をさらに推進していきます。
2つ目は、生命保険や損害保険分野を中心とした金融系システム開発力が強い点です。当社は現在40期を迎えますが、金融系システム開発を基軸として規模を拡大してきました。金融系システム開発は、品質やプロジェクトの進行方法に厳しい規定が多い分野であり、それに対応する業務知識やプロジェクト進行のノウハウを熟知しているエンジニアが多数在籍していることが、当社の事業の基盤となっています。
これらのエンジニアとソリューションを組み合わせることで、爆発的な開発力とソリューション提供力を生み出せると考えています。
3つ目は、エンドユーザーとの取引の割合の多さです。この割合はソリューションを展開することでさらに伸ばせると考えています。
事業基盤を確立する中で、生命保険会社や通信キャリアさまなどエンドユーザーの比率を拡大してきましたが、今後さらにこの比率を伸ばすためのドライバーがソリューションになると考えています。これを強みとして、事業展開を進めていきます。
3-3 ValueCreationProject:全社でブランド力向上・ 企業価値向上を実現

松岡:企業価値を向上させる取り組みとして、社内で「ValueCreationProject」という名称で、全社的にブランド力の向上やビジネスモデルの転換を目的とした事業を推進しています。
もともとご説明したような事業基盤がある中で、AIやDXをテーマにソリューションビジネスの成長を加速させるとともに、人材の確保と育成にも取り組んでいます。社内では「『なかま』探し」「なかま『強化』」と呼んでおり、この取り組みを進展させながら企業価値を向上させていきます。
3-3 ValueCreationProject:全社でブランド力向上・ 企業価値向上を実現

松岡:3つのポイントを軸に、企業価値の向上に取り組んでいます。
1つ目は、事業の拡大による成長です。既存顧客との関係を深める一方で、新しい分野への挑戦を継続し、事業を展開していきます。また、M&Aや業務提携などを活用し、当社の弱い部分を補強しつつ、事業拡大を加速させます。
2つ目は、ビジネスモデルの転換です。つまり、ブランド力の向上を目指します。先ほどお話ししたAIやDX、クラウドといったソリューションを中心に、付加価値をさらに高めるビジネスモデルへの転換を進め、ソリューションプロバイダーへの変革を目指します。
この変革を実行することで、収益性を大きく向上させることができると思います。また、エンジニアの数に依存した事業成長から一歩進んだビジネスモデルへの転換が可能になると考えています。
3つ目が、人材への投資と持続的な経営です。
先ほどの「『なかま』探し」と「なかま『強化』」に関連して、長期的に事業を推進するうえで一定の規模が必要となるため、人材の確保を進めています。それに加え、AI時代を生き抜くための育成や教育、場合によってはリスキリングにも取り組んでいます。
これらの3つを同時に進めることで、企業価値を向上させていけると考えています。
3-4 重点施策

松岡:重点施策についてお話しします。
特に昨今、AIが急速に浸透する中で、人(エンジニア)と当社が持つソリューションの価値を最大化するビジネス構造の構築が、当社の重点施策となります。
重点施策は大きく3つあり、「ソリューション・サービスの強化」「採用・教育の強化」「AI時代を見据えた技術力強化、サービス強化」をテーマに掲げて進めています。
3-4‐1 ソリューション・サービスの強化

松岡:ソリューション・サービスの強化についてです。ソリューションは、先ほどもご説明したとおり数多く保有しており、その一部をスライドに記載しています。
ソリューションプロバイダーとして多様なメニューを揃え、お客さまに当社の技術をわかりやすくお伝えすることが重要だと考え、このような表現を行っています。
価値を訴求したビジネスに注力するだけではありません。これらのソリューションは、単に作りたいものを作ったのではなく、お客さまとの対話を重ねる中で、必要とされるものを作り上げてきた実績です。
お客さまとともに作り上げていくというイメージを大切にしながら、当社はソリューションを展開しています。
3-4‐1 ソリューション・サービスの強化:AIソリューション・サービスの拡大

松岡:その中でもAI事業は特に重要であると考えています。現在の市場においてAIは非常に注目されるトレンドとなっていると思います。これにより、私たちの仕事の進め方が大きく変わると想定されますし、実際にその変化がすでに始まっているという実感もあります。
ソリューションの観点から見ると、当社は直近で、「AI医師スケジューリング」のような業務特化型AIソリューションを提供したり、他社との協業で生成AIの活用プラットフォーム「つなぎAI」を担ったりするかたちで提供を開始しました。
「AI医師スケジューリング」は、医師のシフトを自動で生成するツールですが、この技術を基盤に、他の業界やさまざまな分野に応用できると考えています。このソリューションを基盤に迅速に展開することで、シェアの拡大や新たな領域への挑戦につながると考えています。
「つなぎAI」は、当社がこれまで提供しているソリューションと「つなぎAI」を組み合わせることで、従来のソリューションにAIを加えた付加価値を、より低いハードルで提供できる好機と捉えています。これを最大限に活用して、AI事業をさらに展開していきたいと考えています。
Ken:このスライドについて質問です。「ChatGPT」や「Claude」などに将来的に代替されてしまうのではないかという意見が、投資家市場の中でもかなり聞かれますが、その点はどのようにお考えですか?
松岡:私自身、「Copilot」などを業務で使うことも多くあり、例えば頭の整理をする場面や、業務の一部がAIによって自動化・代替されることは確かにあると思います。
特に個人の業務効率化という意味では、近いうちにさらに進むと考えられます。一方で、例えば社内で標準化したAIの活用や、業務として成立させるためのガバナンス強化といった観点では、依然としてエンジニアの役割は重要であり、欠かせないと考えています。
代替されるというよりも、例えばシステム開発においてAIを活用することで効率化が可能となり、その効率化によって受注可能な案件数が増えると考えています。そのような観点から、エンジニアの価値を高めながら事業を拡大することができるのではないかと思います。
3-4‐1 ソリューション・サービスの強化:クラウドソリューションの拡大

松岡:クラウドソリューションの拡大をご説明します。
主に当社は、先ほどお話しした「SAP Concur」を活用してビジネスを展開しています。このソリューションのポイントは再現性にあると考えています。
また、「SAP Concur」を大学や自治体へ導入していますが、1つ導入事例ができると、ほぼ同じかたちで横展開が可能です。カスタマイズを一部加えながら、迅速に展開できるという特徴があります。
当社は、新しい領域への挑戦を特にこの半期で進めてきました。この挑戦を基に、今後どれだけスピーディに横展開していけるか、その再現性をこのソリューションが最も担っていけると考えています。
したがって、次の新領域の成長ドライバーとしてこのソリューションを活用し、広く認知していただきたいと考えています。その結果、ソリューションの導入を促進するとともに、クラウド化など別の業務改善の提案にもつなげていきたいと思っています。
3-4‐1 ソリューション・サービスの強化:ソフトウェアテストの拡大

松岡:ソフトウェアテストについてです。ソフトウェアテストは、特にAI時代において追い風となるソリューションだと考えています。
AIの浸透により、システム開発自体もAI駆動開発が進んでいますが、そこで重要なのは品質を担保するための試験です。試験の一部は自動化や効率化が進むと思いますが、最終的に品質をチェックするのは人であるべきだと考えています。
その意味でも、当社がお手伝いできる領域がより広がっていくのではないかと考えています。
その中で、当社は品質に関わる認証としてISTQBの「ゴールドパートナー」に認定されました。当社の品質確保の力や、その実績を蓄積すること、さらに品質に関するアドバイスを含めた業務の遂行ができるエンジニアの育成が進んでいます。
テーマとしてはアウトソーシングサービスなどいくつかありますが、総合的にお客さまのAIを活用した品質の確保を支援するソリューションを展開しています。
3-4‐1 ソリューション・サービスの強化:ITアウトソーシングサービスの拡大

松岡:ITアウトソーシングについてです。このソリューションは、お客さまの理解を深めていくための非常に重要なソリューションです。
現在、例えば情報システム部門やAI導入を検討されているお客さまが多く悩んでいる状況があると考えています。実際にホームページやお問い合わせを通じてのご相談がかなり増えてきました。
そのような中で、当社のITアウトソーシングサービスをご活用いただき、エンジニアと対話することで、お客さまの課題を十分に定義することができます。具体的にどのような点で悩んでいるのかなどを明確にできるため、目指すゴールの定義や整理がしやすくなりました。
これにより、当社のソリューションをどのように活用いただくか、場合によっては別のソリューションをご提案し、業務効率化につなげることで、当社が運用を行うといったさまざまな提案を行えるようになります。
このようなスキームを確立することで、お客さまとのコミュニケーションが増え、その結果としてお取引やエンドユーザーの比率の向上、受注につなげていく重要なサービスだと考えています。これを提供するための技術力の向上やエンジニアの育成を現在並行して進めている状況です。
3-4‐1 ソリューション・サービスの強化:マイグレーションサービスの拡大

松岡:マイグレーションについてです。このソリューションは市場において非常に重要であり、必要とされるソリューションとなっています。
レガシーシステムからのオープン化やモダナイズが注目を集める中、市場は1兆円を超える大きな規模であり、当社が提供できるサービスの幅を今後さらに広げていけると考えています。
特に、スライドの右下に記載している「MigrationLC」という名称のサービスは、今年の4月に提供を開始しました。こちらは小規模向けで、古い「Excel」や「Access」で作られたツールのローコード技術を活用してモダナイズし、迅速に必要な機能を提供できるサービスとして展開しています。
このサービスは、お客さまからのお問い合わせを基に、「どうにかできないのか」という声を受けて開発したソリューションです。おかげさまで、さまざまなパターンに対応しながら、個別開発も含めて広く提供できるようになってきました。
ここまでが、事業に関する重点施策です。
3-4‐2 採用・教育の強化

松岡:採用と教育の強化についてお話しします。現在、AIが浸透し、システム開発のプロセスにもかなり変化が出てきています。
私たちの業界では、あらためてAI駆動開発をベースにしたシステム開発の標準化が必要だと考えています。それに伴うマネジメントの重要性も高まっています。
そのため、エンジニアの数を増やしていくことが非常に重要です。ニーズウェルグループ全体として、2027年に700名体制を目指して採用活動を進めています。
エンジニアの採用を中心としていますが、同時に、当社が開発して世の中に発表していくソリューションを確実に展開できる営業体制の強化も重要です。この2つの取り組みを並行して進めています。
このような採用のほか、教育・研修の強化にも取り組んでいます。当社のエンジニアは堅実なベース技術を持っていますが、それに加えて、AIや業務改善の提案に直接つなげられる技術の強化をテーマに、教育体制を強化しています。
また、人とAIを管理するマネジメントが、非常に重要なポイントになると考えています。AIに依存するのではなく、あくまでもAIをプラスアルファとして活用し、確実な土台となるマネジメントの強化を進めていきたいと考えています。
エンジニアの育成と輩出を、当社の強みの1つとして位置づけられるよう、現在その推進に取り組んでいます。
3-4‐3 AI時代を見据えた技術力強化、サービス強化

松岡:AI時代を見据えた技術力の強化およびサービス強化についてです。AIの浸透が進む中で、AIで自動化する部分と人が押さえるべき部分が明確に分かれていくと考えています。
もともと当社では、お客さまの業務改善を推進する手段として「ITリエンジニアリング」というソリューションを活用してきました。このソリューションをさらに発展させ、AIの活用と人によるコンサルティングの双方でサービスを強化する取り組みを進めています。
それを進めるために、社内の技術力を向上させるべく、研究開発と社内の標準化を強化しています。
1つ目はAIの活用です。先ほど業務特化型の「AI医師スケジューリング」のお話をしましたが、もう1つ、「慢性疼痛治療AIソリューション」にも取り組んでいます。「慢性疼痛治療AIソリューション」では、患者ではありませんが慢性的にどこかが痛いといった症状を分析したり、リハビリのスケジュールを提示できたりするような開発を進めています。この取り組みについては、近いうちに公表できるのではないかと考えています。
また、AIチャットとの連携においては、「SharePoint」の閲覧権限や、AIを安全に活用できるようにする社内インフラの整備を進めています。さらに、AIを利用する環境をパッケージ化することを目指した研究開発も進行中です。
AI駆動開発はシステム開発における重要なポイントになると考えています。そのため、社内で確実に標準化を進め、その基盤を活用して効率的なシステム開発が行える仕組みを現在確立している状況です。
Ken:AIによる効率化に関連してAI駆動開発のお話もありましたが、粗利がどの程度上昇可能なのかを教えていただけますか?
松岡:業界や考え方によってさまざまですが、私の想定では、直近で起きることとして、例えば開発工程の一部で自動化が進む傾向があると考えています。コーディング、テスト、ドキュメント作成といった部分で、人員削減が可能になる点が挙げられます。
一方で、生成AIを使用するためのコストも課題です。例えば、LLMの利用料や、AIエージェントを動かすための高スペックなマシンが必要なケースもあります。また、クラウドベースのSaaS提供サービスを利用する場合、利用料の増加が見込まれます。
そのため、人員を削減した分、即座に利益が増えるわけではないと見ています。ただし、効率的にシステム開発を行うことで対応可能なプロジェクト数を増やせる点は非常に大きなメリットです。AI技術を持つエンジニアがサービス提供体制を強化することにより、プロジェクト数の増加を図ることができます。結果的に、トップラインの向上と利益の増加を目指して対応するべきだと考えています。
Ken:先ほども少しお話しいただいたかもしれませんが、AIが当たり前となる時代において、SI業界の今後についてご意見をうかがいたいです。個人的な見解でもかまいません。
松岡:AIはシステム開発やシステムの運用において間違いなく役割を果たし、その浸透度もさらに深まっていくと考えています。
一方で、AIを活用する際には、あくまで人が中心でなくてはならないと考えています。AIの手綱を握るのも人であるべきです。例えば、上流工程に入り込んでコンサルティングを行う部分はエンジニアが対応し、効率的な開発の自動化はAIが担いますが、人が完全に不要になるわけではありません。
また、人とAIをマネジメントするのも、やはり人の役割です。さらに、AIと人が共同で作り上げたシステムを評価する際にも、その中心は人であるべきだと考えています。
最終的には人が責任を持って判断し、特に私たちのような会社では成果物として責任を持ったかたちで提供するためにも、人が関与するべきだと思います。
運用や監視は自動化が進むと思いますが、なにか問題が発生した際の対応はやはり人が行うべきであり、人とAIの役割分担が今後さらに明確になるのではないかと考えています。
どの部分を人が担当し、どの部分をAIに任せるのかを社内で定義し、それを標準化することで、SIにおけるエンジニアの価値を高めていくことができるのではないかと思います。
Ken:受注件数が増加し、例えば「これは採算合わないよね」という形式だったものが「これは事業として進めていけるんじゃないか」といったものにカスタマイズされるなど、ソフトウェアのテスト業務はさらに増えるのではないかと私も感じます。
松岡:そのとおりですね。今後、ソフトウェアのテスト需要はますます高まると思いますし、より幅広い試験が可能になるでしょう。その結果、品質を担保するための方法も確立されていくと思います。今後、それをさまざまなかたちでサービスとして提供できるようにしていきたいと考えています。
3-5 収益拡大と目標

松岡:収益拡大に向けた目標についてです。当社では、ストック売上の割合を2027年までに70パーセントまで引き上げること、またエンドユーザーとの取引を拡大し、売上高の65パーセント以上を維持・拡大していくことを目標に掲げています。
先ほども少しお話ししましたが、これまでの事業を着実にオーガニック成長させていくことと、新たなソリューションへの取り組みを通して実現が可能だと考えています。引き続き現実的に進めていきたいと思います。
Ken:ストック売上比率について少し質問します。進捗や手応えはいかがでしょうか? この70パーセントに向けての状況を教えてください。
松岡:現時点では60パーセントを超えてきています。現在お取引しているお客さまとの関係を強化し、お手伝いできる領域を増やすとともに、ソリューションを成長ドライバーとしてさまざまな領域に挑戦しています。
その結果が出てくれば、エンドユーザーとのお取引もさらに増えると考えています。堅調に増加を進めていけるのではないでしょうか。
簡単ですが、資料の説明は以上となります。
質疑応答:AIを活用したシステム開発の見通しについて
荒井沙織 氏(以下、荒井):「生成AIや開発支援ツールの活用によって、開発生産性や利益率にはどの程度の改善余地があると見ていますか? またその効果は、今後どのタイミングから業績に表れてくると考えていますか?」というご質問です。
松岡:AIを活用したシステム開発という新しいスタンダードが、IT業界全体にさまざまなかたちで浸透していくのではないかと思います。
当社も今期から特に注力していますが、AI駆動型開発やAIを活用したシステム開発、ローコード開発などを含めた新しい標準化を進めています。これが進展することで、例えば来期以降、AIを活用したスピーディな開発が可能になると思います。
このような環境では、開発数を増やすことができるようになるため、トップラインの成長やこれに伴う収益性や利益の向上が期待できると考えています。標準化を着実に進めることで、開発という観点での成長を確固たるものにできると確信しています。
質疑応答:研究開発テーマの収益貢献について
荒井:「研究開発を通じて価値提供力を高めるとのことですが、現在取り組んでいる研究開発テーマのうち、今後収益貢献が期待できる領域はどこでしょうか?」というご質問です。
松岡:今回「AI医師スケジューリング」を開発し発表しました。これは病院で働く医師の方々のシフトを効率よく自動生成するものです。さまざまな条件が多岐にわたり、これまで人が時間をかけて考えていたものを、すぐに出せるようにすることで業務効率化を図る点がポイントです。この技術は、他のさまざまな分野にも展開可能だと考えています。
そのような意味で、業務特化型のAIは、当社が得意とする技術分野の1つです。お客さまの過去データや過去の実績を分析し、専用モデルを構築することにおいて、当社には多くの実績があります。
この強みを活かして、さまざまな業界に対してソリューションを展開していけるのではないかと考えています。これが実現できれば受注につながり、最終的には収益向上につながると考えています。
現在注力している業界としては、病院DXを1つの柱として掲げていますが、それ以外の領域、例えば自治体向けのサービスにも早急に提供を進めることが重要だと考えています。
荒井:具体的には、どのように活用されるイメージでしょうか? 具体例を教えていただけますか?
松岡:イメージとしては、AIそのものが目立つというよりも、例えば、従来は「Excel」で作っていたものが、画面に新しいボタンが追加され、そのボタンを押すだけで、これまで手作業で行っていたことが自動で完結するようになる、といったイメージです。
また、社内のチャットボットに問い合わせをすると、それまで裏で「Excel」を使っていた処理がバックグラウンドで動き、その結果を「Excel」形式で出力する、といった使い方が挙げられます。
つまり、表には見えない部分でAIが自動化を進めているというのが、イメージに近いのではないかと思います。
Ken:スケジュールをAIに任せるというのは非常によいアイデアだと思います。業界によるとは思いますが、例として空運業界では、パイロットや客室乗務員の人数が膨大で、スケジュールの対応に特化した専任スタッフがいるほどだと聞きます。
例えば、誰かが休んだ場合に対応するための判断をAIがすぐに行い、運行への支障を最小限に抑える、といった効率化が実現できるのではないかと考えています。さまざまな業界で利用できる可能性があると思います。
松岡:少し話がそれますが、同様のお問い合わせを受けたことがあります。例えば配車表など、車とドライバーのマッチングに関することです。
乗せる人によって、この運転手とこの車の組み合わせが適しているといった、感情的なパラメーターも関係することがあります。
Ken:得意なことや、作業がやりやすいことなどですね。
松岡:そのような点をAIがあらかじめ学習しておくことで、それらを考慮したシフトや成果を出すことが可能です。そう考えると、AIは非常に有効に活用できるのではないかと思います。
質疑応答:目標達成に向けた重要な取り組みについて
荒井:「中期経営計画では、売上高成長率年に10パーセント、経常利益率が10パーセントなどを掲げられていますが、この目標達成に向けて、人材育成、採用、研究開発の中で最も重要な取り組みは何でしょうか?」というご質問です。
松岡:直近の話としては、エンジニアの数が非常に重要なポイントになると思います。そのため、採用活動が重要になると考えています。
次に、エンジニアの方々のリスキリングを含めた育成・教育も重要です。具体的には、生産性を高めること以上に、AIを活用した新しい開発手法や、開発の標準化によってシステム開発を進められる環境の整備やご提案ができるようになるための教育が求められます。
どれがどれだけ重要かと言われると、判断が難しいところですが、それぞれを同時に進めている状況です。研究開発については、よりお客さまに求められるものを作ることを目的としており、例えば市場のニーズに応えるスピード感を考えると、研究開発も非常に重要だと考えています。
この3つの要素は、どれを優先しても一概に良いとは言えないため、その時々でバランスを取りつつ、例えば投資額の配分やそれに伴う調整が必要ではないかと思います。
質疑応答:ITアウトソーシングについて
Ken:「ITアウトソーシングについて質問です。レクチャーサービスは、顧客のDX人材不足に対応する長期体制構築型のサービスと理解しています。今後、運用・保守や業務改善支援をストック型売上として積み上げていく余地はどの程度ありますか?」というご質問です。
松岡:お話しいただいたとおり、ITアウトソーシングはお客さまの運用をサポートするために、ある程度の体制を整えたり、場合によってはお客さま先に常駐して業務を遂行したりすることがあり、エンジニアの数に比例する部分があります。
その中の業務でも、一部をAI化して自動化することで、これまで10人が必要だった作業を半分の人数で回せるようになると、お客さまにとってもメリットがあり、当社としてもその5人を別のプロジェクトに配属することが可能となります。そのような意味では、事業の幅を広げていけるのではないかと思います。
情報システム支援は、日本においてはお客さま先での運用サポートが重要であり、SI事業を展開する企業にとって欠かせない事業になると考えています。そのため、今後もこの分野を拡大していけるのではないかと思います。
松岡氏からのご挨拶
松岡:本日は最後までお聞きいただき、ありがとうございました。AIやDXが浸透する中で、当社ができることや、お客さまをお手伝いできる領域を拡大しつつ、企業価値をさらに高めながら事業を拡大し、その成果を株主さまや社員に還元できるようなスキームを構築したいと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いします。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
Q:コアパートナーと他のパートナーではどのような違いがありますか? 何故、パートナー比率自体は変えず、コア率のみを上げる方針なのでしょうか? パートナーとの関係強化であれば、M&Aを検討してはどうでしょうか?
A:当社は、パートナー企業さまを単なる外注先ではなく、協業により価値を共創するパートナーと位置付けています。その中でも、当社と戦略を共有し、継続的かつ安定的な取引が可能な中核的パートナーを「コアパートナー」と定義し、優先発注や当社研修への参画等のインセンティブを通じて関係強化を図っています。
パートナー比率の引上げとコアパートナー比率の向上により、取引の安定化および品質・付加価値の向上を図る方針です。
なお、M&Aについては、パートナーとしての連携を十分に深めつつ、戦略的意義や双方の意向を踏まえ、必要に応じて検討していきます。
<質問2>
Q:株主優待費用の影響で営業利益・経常利益は前年同期比で減少していますが、優待費用を除くと実質的には増益とのことです。来期以降も株主優待費用を吸収しながら、利益成長を継続できる見通しでしょうか?
A:株主優待制度は中長期的な株主さまとの関係強化を目的としたものであり、研究開発や人材の採用・育成等の成長投資とともに、当社の重要な施策の1つと位置付けています。
来期以降についても、事業の成長や付加価値向上、オペレーションの効率化等により、株主優待費用を吸収しながら安定的な利益成長の継続を目指しています。
<質問3>
Q:「AI医師スケジューリング」や生成AI活用プラットフォーム「つなぎAI」など、AI関連ソリューションのラインナップが増えています。現時点では引き合い段階が中心なのか、すでに売上・利益に貢献し始めているのか教えてください。
A:現時点では導入に向けた検討・提案段階の案件が中心であり、本格的な売上・利益への寄与はこれからのフェーズと認識しています。
一方で、「AI医師スケジューリング」や「つなぎAI」をはじめ、複数のソリューションに対する引き合いは着実に増加しており、市場ニーズの高まりを感じています。
今後は、個別案件の受注および導入実績の積み上げを通じて、収益貢献につなげていく方針です。
<質問4>
Q:国産メーカーの汎用機撤退やレガシーシステム刷新を背景に、マイグレーション需要が増加しているとのことです。マイグレーション開発ソリューション「MigrationLC」は、今後どの業種・顧客層の需要が強いと見ていますか?
A:マイグレーション開発ソリューション「MigrationLC」については、金融・保険・製造業を中心とした基幹システムを保有する企業のように、長年運用されてきたレガシー資産を有し、業務継続性を保ちながら段階的な移行を求められる企業の他、人材不足・作業の属人化等の課題を抱える企業においてもニーズが高いと認識しています。
今後もこのような分野を中心に提案活動を強化し、案件獲得および実績の積み上げを進めていきます。
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