2026年3月期決算説明
DMP、フィジカルAI需要を捉え「Data for AI」を拡大 ライセンス型中心の収益構成に移行し投資回収フェーズへ
目次

吉村修一氏(以下、吉村):ダイナミックマッププラットフォーム株式会社代表取締役CEOの吉村です。本日はお忙しい中、当社の2026年3月期通期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
スライドは本日の流れです。まず会社概要と事業概要についてご説明します。その後、2026年3月期通期決算実績、2027年3月期通期業績予想についてお話しします。さらに、パイプラインのアップデートを行い、Q&Aに移ります。
本日のポイントですが、2026年3月期は修正予想を上振れで着地し利益改善を実現した点、2027年3月期はフィジカルAI市場を背景に調整後EBITDAが黒字化する点を中心に、ご説明します。どうぞよろしくお願いします。
会社概要

まず、会社概要です。これまでの説明会での内容と重複する部分もありますが、当社についての理解を深めていただくために、おさらいを兼ねて最新の会社概要をご説明します。
2016年6月に日本国政府の主導のもと、自動車会社をはじめとする事業会社各社が協調出資するかたちで設立されました。その後、北米の同業他社を海外買収しています。
自動運転や社会のデジタル化に関わるビジネスを進める上で、自動車会社や中央省庁との関係が、当社の事業推進において有利に働いています。
数字でみるダイナミックマッププラットフォーム

スライドは、当社DMPの特徴を1枚にまとめています。進出国数は26ヶ国、海外売上高比率は74パーセントと、グローバルにビジネスを展開しています。
ライセンス型売上高は2026年3月期に、前年比2.2倍に成長しています。各地域における高精度3次元データカバレッジが180万キロメートルに達しており、今後、年平均約30パーセントの成長が見込まれるフィジカルAI向けに高精度3次元データを提供しています。
これらの数字から、すでにグローバルで優良なデータアセットを保有し、フィジカルAIの進展に向けて、当社のライセンスビジネスが成長していくことをご理解いただけるかと思います。
ハイライト

当社のハイライトは4点です。1点目に、当社はダイナミックマップという高精度な位置情報基盤をグローバル規模で構築するディープテック型のスタートアップとなります。今後、グローバルで飛躍的拡大が見込まれる自動運転を含むフィジカルAIの市場において、先進技術をベースに先行して事業を展開してきました。
2点目に、当社は日系大手自動車メーカー10社や北米のGeneral Motors Company(GM)、日本国政府等の優良な顧客基盤を有しており、高い売上成長性が期待できます。
これは、当社が大手企業の技術を結集するかたちで設立されたこと、その後、米国の最大手企業を買収した経緯によるものです。当社は拡大するグローバル市場の恩恵を一手に享受できるポジションにあります。
3点目に、当社は競合比でも圧倒的なデータ量を保有しており、世界初のレベル2+・レベル3の自動運転を実現した技術力という競争優位性があります。
当社の従業員は、グローバルで現在235名いますが、その7割がエンジニアです。日本と米国を中心としたエンジニアがそれぞれの技術を持ち寄り、開発を継続しています。
最後に、ビジネスモデルについては後ほどご説明しますが、フロー型のプロジェクトビジネスと、ストック型のライセンスビジネスの2本柱で取り組んでいます。
プロジェクトビジネスを通じて事業基盤が整いましたので、以降、収益性の高いライセンスビジネスによって、全社として高収益体質が実現可能となります。この点について、本日はご説明します。
Modeling the Earth

当社のビジョンを一言で表すと、スライドに記載のとおり「Modeling the Earth」、日本語では「地球のデジタル化」となります。
現実世界をデジタル空間に複製し、デジタル社会のインフラとなる高精度3次元データを提供するプラットフォーマーを目指しています。
このプラットフォームとさまざまな情報を結びつけることで、分析・制御・予測を可能にし、社会課題の解決に資するイノベーションを実現しています。
当社の提供するサービス

続いて、当社の提供するサービスについてご説明します。当社のサービスは大きく分けて4つです。まず、スライド左上の「自動運転向けデータ」は、自動走行システムなどが使用する高精度な3次元地図データです。
このデータには、車線数や区画線の情報、道路に含まれるさまざまな情報、建物や構造物の位置情報などが含まれています。自動運転の制御の際に車載される他、AIの学習用等に用いられています。
右上は、そのデータを可視化する「Viewer」です。点群データは一つひとつの点がセンチメートル級の高い位置精度、つまり緯度・経度・高さという座標情報を持っています。これらのデータは、インフラ管理や事故調査、シミュレーションなどに活用されています。
左下は「Guidance」システムです。高精度な3次元ガイダンスを実現し、除雪作業の支援の他、空港や港湾、物流センターなどで使用されています。
最後に右下は「位置情報」サービスです。「空間ID」をはじめ、その他広範な位置情報サービスを提供しています。
世界最大級の高精度3次元データを構築

当社の最大の強みは、世界最大級のデータ量になります。この領域に特化して、研究開発と設備投資を進めた結果、主なお客さまである自動車メーカー各社の要求を充足し、かつ競合比でも圧倒的なデータ量を、高精度3次元データとして構築することに成功しました。
グローバルで合計180万キロメートルに及ぶ整備済みデータは、量産車に搭載される自動運転およびADAS向け利用にとどまらず、世界各国における産業のデジタル化、社会課題解決に貢献する大きなポテンシャルを持つと考えています。
ビジネスモデル全体像(プロジェクトとライセンスの2本柱)

当社のビジネスモデルは、プロジェクト型ビジネスとライセンス型ビジネスの2つに分類されます。
スライド左側のプロジェクト型は、安定した利益率を確保しながらデータやソフトウェアの整備を進めるため、事業基盤の構築を担う役割を担います。当社が有する180万キロメートルに及ぶ世界最大のデータは、このプロジェクト型ビジネスを通じて整備してきました。
そして、このプロジェクト型ビジネスで整備したデータ・ソフトウェアをライセンス型として提供することで、コストを増やさずに収益を増加させることが可能です。このように高い収益性を実現できるというのが、スライド右側のライセンス型ビジネスです。
特定のお客さまからの受注で整備したデータを、他の自動車メーカーや自動運転システム会社、半導体メーカー向けにライセンス提供することで、高い利益率を実現できます。
現実世界の変化に合わせてデータの更新が必要となるため、1回限りではなく、継続的かつ累積的に売上が伸びていくビジネスモデルになっています。
各種データ連携を通じたダイナミックマッププラットフォーム構築

当社の歴史を振り返ると、公道における静的なデータ取得からスタートし、そのカバレッジを拡大させ、現在では世界26ヶ国、180万キロメートルにまで達しています。
スライド左上にあるように、さまざまな動的データとの統合・システム化を進めながら、ダイナミックマップを構築してきました。
近年では、スライド右下の空港、港湾、物流センターといった、公道以外の特定エリアでの需要が高まっており、このエリアで事業を拡大しています。
ダイナミックマップは、今後の産業のデジタル化・効率化を進めるための社会的な共通基盤になることが期待できます。
測量ネットワーク構築-測量能力拡大の必要性-

そのために、公道向けのデータ収集に用いてきたスライド左上のMMS(モービル・マッピング・システム)に加え、データ取得の手法の拡大に取り組んでいます。
特に、先ほどお伝えしたような狭域、特定エリア向けには、MMSを走行させるのではなく、ドローンやハンディレーザースキャナ、スマホの「LiDAR」など、他の技術・方法を積極的に活用し、機動的な測量、データ収集の体制構築が必要です。既存の測量パートナーに加え、自社での測量能力の強化に取り組んでいます。
M&Aによる事業領域拡大

その方法として、M&Aを通じて事業領域の拡大に取り組んでいます。過去には、2019年に市場シェアの獲得を目的とする水平統合型のM&Aとして、Ushr, Inc.(現DMP North America)という北米の企業を買収し、グローバル市場No.1のポジションを獲得しました。現在は、「垂直統合型」M&Aとして、川上・川下の両方の領域での買収を進めています。
すでに実施した日本海測量設計株式会社と株式会社リカノスの買収は、川上における「データ収集」、すなわち現実世界を正しく計測する事業領域の拡大に該当します。
川上の領域で、その他には、当社のデータ生成に必要となる「調査・解析」「3Dモデル化」を行う企業を対象としています。
また、川下の領域では、当社が保有するデータを活用することで、分析・制御・予測の向上が期待されるエリア、すなわち「GIS」「シミュレーション/3DCG」「AR/VR」の業界が対象となります。
連続的M&Aを通じたグループ拡大

当社では、このようなM&Aを通じた非連続的な成長を、オーガニックな成長に加えて重要な戦略と位置づけています。
当社の歴史を振り返ると、2019年にUshr, Inc.を買収し、一体経営を進めたことで、日本のベンチャーながら欧州・韓国・中東を含む26ヶ国への進出が可能となりました。このM&Aは、当社の事業拡大における大きなターニングポイントとなりました。
その後、上場を経て、昨年(2025年)からM&Aを再開しています。2025年10月に日本海測量設計株式会社をグループに迎えて、先月、2026年4月には株式会社リカノスをグループに迎え入れました。
これらの会社が有する地域密着型の測量能力やドローン測量技術、建設土木業界における実績をグループに取り込むことで、当社のビジョンである「Modeling the Earth」を実現していきたいと考えています。
今後も、複数の測量会社の連続的な買収、測量事業の中核となる企業の買収、さらには先ほどのスライドでご説明したような川上・川下にあたる事業領域の拡大を通じて、グループの成長に取り組んでいきます。
フィジカルAIの「データプラットフォーム」

以上のような取り組みを通じて、自動運転からモビリティ・インフラ・広告・エンターテインメントへと活用領域を広げているところです。多様な産業において、フィジカルAI時代に適した「データプラットフォーム」を提供していきます。
成長の為の基盤整備が完了、ライセンス型中心の収益構成へ転換

ここからは、2026年3月期の通期決算実績についてご説明します。スライドにサマリーをまとめています。
2026年3月期は、これまで進めてきた成長のための基盤整備が概ね完了し、収益構成がプロジェクト型中心からライセンス型中心へと転換した重要な年度であったと振り返っています。あらためて、2026年3月期は、当社創業以来10年間の「仕込みが終わった年」と総括しています。
スライドの上から、事業面では、当社の高精度3次元地図データが、ホンダの「アコード」、SUBARUの北米向け新型「アウトバック」、日産「リーフ」などに搭載され、搭載車種は累計で6社38車種となりました。
ウーブン・バイ・トヨタをはじめ、大手自動車メーカーや海外の大手半導体メーカーとの間で、AI用途、いわゆる「Data for AI」と呼ばれるビジネスで、ビジネス向けのオートモーティブ法人ライセンス契約を締結しました。AIの学習・検証用途での需要が顕在化し、法人ライセンス売上高の成長につながりました。
開発面では、北米における高精度3次元データの整備距離が拡大し、グローバルで180万キロメートルに到達したのが2026年3月期の特徴です。
AI活用やデジタルツイン関連の取り組みとして、日本マイクロソフト、NVIDIAとの提携・協業を開始しました。
また、当社データの活用領域拡大を目指し、都市開発・不動産市場を見据えたビューアーシステム「3Dmapspocket」の機能強化を進めるとともに、ゲームへのデータ提供による実績が生まれ、エンタメ領域への事業拡大が進捗しました。
スライドの一番下に記載されているM&Aでは、測量会社のネットワーク化に向けた最初の買収を完了し、ロールアップに向けた基盤整備も進展しました。
以上をまとめると、2026年3月期は、事業・開発・M&Aの各面で基盤整備が進み、ライセンス型中心の収益構成へと移行する重要な転換点だったと捉えています。
修正予想比でライセンス型が増加し調整後EBITDAは大幅改善

2026年3月期の実績について、修正業績予想との比較をご説明します。スライド左側は売上高、右側は調整後EBITDAを示しています。
2026年3月期の実績は売上高が約57億円と、ライセンス型売上の伸長により修正予想を約2億円上回って着地しました。
スライド右側の調整後EBITDAについても、ライセンス型売上の増加に加え、プロジェクト型案件での原価低減、買収効果、販管費低減などが寄与し、修正予想比で約5億円改善しています。結果として、収益性が大きく改善しており、事業構造転換の効果も表れています。
ライセンス型が前年比2倍成長し、調整後EBITDAも改善

前年度との比較についてご説明します。前年比では、中東における新規整備案件についてプロジェクトに遅延等が生じたため、プロジェクト型売上の期ずれを主因として減少しました。
一方で、ライセンス型売上は前年同期比で2.2倍以上の成長となりました。具体的には、ライセンス型売上が前年の約12億円から約26億円へと拡大しており、量産ライセンスや車載ライセンスの積み上がりに加えて、AI用途を中心とした法人向けライセンスの伸長が大きく寄与しています。
その結果、売上高全体としては前年を下回ったものの、収益性の高いライセンス型売上の構成比が上昇しました。これにより、スライド右側の調整後EBITDAも前年度から約1億円改善しています。
スライドでは、当社の収益構造がプロジェクト型中心からライセンス型中心へと着実に転換し、収益性が改善している点をご確認いただけると思います。
第4四半期に法人ライセンス案件中心に23億円の売上、調整後EBITDAも改善

第4四半期の状況についてご説明します。第4四半期は法人ライセンス案件を中心に売上が伸長し、約23億円の売上となりました。その結果、通期の売上高は修正予想を上回って着地しています。
スライド右側の調整後EBITDAについても、第4四半期は緑の四角で囲っているとおり、約8億円の黒字となり、通期ベースでも修正予想および前期実績からいずれも改善して着地しました。
ライセンス型が大幅続伸。プロジェクト型は期ずれと政府案件縮小で不調

続いて、カテゴリー別の事業実績についてご説明します。ライセンス型では、AI用途等の法人ライセンスが牽引し、量産ライセンスも新たな車種への搭載が開始されて堅調でした。
一方、プロジェクト型は、受注形態の変更により政府案件の規模が縮小し、GM向け案件の期ずれにより計画を下回りました。こちらは第3四半期の決算説明会でご説明したとおりです。
表の一番上の「オートモーティブ法人ライセンス」は、自動運転の本格普及に向けたAI学習用途・シミュレーション用途・法規対応用途などの需要の高まりを背景に、期初計画を上回る受注・売上となりました。
具体的には、ウーブン・バイ・トヨタ、海外大手半導体メーカー向けに加え、第4四半期に新たに大手自動車メーカーから2件受注しました。この結果、売上全体が修正予想を上回り、「Data for AI」の需要顕在化が実績として示されるかたちとなりました。
2つ目の「オートモーティブ量産ライセンス」は、Honda「アコード」、SUBARU「アウトバック」、日産「リーフ」の発売が開始され、量産車種数が世界最多の38モデルとなりました。
3つ目の「3Dデータライセンス」は、本格的な事業規模の確立に時間を要した展開となりました。都市開発・不動産市場を見据えたビューアーシステム「3Dmapspocket」の機能強化を行い、不動産デベロッパー向けの提供開始にとどまりました。
4つ目の「3Dデータプロジェクト」は、政府案件の受注形態の変更により受注規模が大幅に縮小しました。民間案件については自動化ニーズが高まっていますが、残念ながら2026年3月期の売上貢献は、期ずれにより限定的でした。
最後に、一番下の「オートモーティブプロジェクト」は、案件の期ずれが発生しました。中東エリアについては、現地の情勢を注視していますが、2027年3月期には計画どおりプロジェクトを完遂する予定です。
サウジアラビアをはじめとする中東における3Dデータは、さまざまな要因により通常取得が困難な稀少なデータであるため、今後の大きな発展が期待されます。
なお、2027年3月期に延期となった新規国におけるGMからの整備案件は、期ずれが発生したものの、今年度正式に受注済みです。
法人ライセンスが拡大中(Data for AI)

ここであらためて、「Data for AI」に対して具体的にどのような顧客ニーズがあり、当社がどのような価値を提供しているのかをまとめています。
スライド上段に記載しているとおり、当社は、大手自動車メーカーグループ、海外大手半導体メーカー、自動運転システム開発会社の、大きく3つの分類の企業に対し、高精度3次元データを法人単位でライセンス提供しています。
これらの顧客企業では、AIを活用した自動運転やADASの開発が本格化しており、学習用途のデータに加え、安全性検証や法規制・認証対応での用途、さらにAIが現実世界を正しく理解・判断するための推論・判断用途として、高品質な実世界データが求められています。
当社が提供するデータは、グローバルで整備済みの高精度3次元データを、即時に利用可能なかたちで提供できる点が強みです。
産業用途で使用されるデータであるため、忠実性が高く現実世界を再現できています。それがデータセットとしては重要であり、お客さまのAI開発プロセスにおける効率化と高度化の両立に貢献していると考えています。
このように、当社はこれまで整備してきたデータ資産を活用し、AI用途向けに法人ライセンスとして提供することで、高収益なライセンス売上の拡大を進めています。その成果が顕在化したのが昨年でした。
事業環境と取り組み方針- AIネイティブなデータ・商品開発を強化、法人ライセンス拡大

ここからは、2027年3月期通期業績予想についてお話しします。まず、2027年3月期の事業環境と、当社の取り組み方針についてご説明します。
事業環境ですが、自動運転を含むフィジカルAIの進展が見込まれ、産業界におけるAI関連投資の裾野拡大も見込まれています。
一方で、地政学的リスクや原油価格の動向など、自動車業界を取り巻く事業環境には依然として不確実性が存在しています。
このような環境認識のもと、スライド右側に3つの取り組み方針を記載しています。1つ目に、技術的な観点から、「AIネイティブデータ」の開発を一段と強化していきます。
AIの学習、推論、検証といった用途において、お客さまが即座に利用可能なデータを提供することが非常に重要であり、「Data for AI」、つまりAIのためのデータを提供する中で、技術開発を進めています。
2つ目に、フィジカルAI市場における旺盛な需要を、ライセンスビジネスとして高利益に拡大していきます。
最後に、測量会社のロールアップを中心としたM&Aに継続的に取り組み、フィジカルAI時代を支える測量能力を強化します。また、データ利用拡大を促す「川下」領域のM&Aにも取り組んでいきます。
調整後EBITDA黒字化へ

2027年3月期の通期業績予想についてご説明します。前のスライドでご説明した事業環境や不確実性を踏まえ、売上高を70億円、ライセンス型売上高を30億円、調整後EBITDAを5,000万円としています。
HDマップ搭載車種の増加やAI用途を中心とした法人ライセンスの拡大により、ライセンス型売上を30億円にまで着実に成長させる計画です。
その結果、スライド右側の利益指標である調整後EBITDAについては、ライセンス型売上の拡大とコスト構造の改善を背景に、黒字化を見込んでいます。
これまで10年にわたり進めてきた成長のための事業基盤構築が一巡し、2027年3月期は本格的な投資回収フェーズへ移行する重要な年度になると捉えています。
なお、今期の業績予想の前提として、想定為替レートは足元の水準よりも円高に設定しており、円建て海外売上・利益の観点では保守的な前提となっています。
法人ライセンスがライセンス型を牽引、プロジェクト型は民間企業中心へ

スライドでは、カテゴリーごとに注力する取り組みをまとめています。上から順にご説明します。
「オートモーティブ法人ライセンス」については、大手自動車メーカー、半導体メーカー、自動運転システム開発会社から、「自動運転向けAIで活用したい」という引き合いがあります。各国で施行される安全規制対応のデータ需要も含め、これらの需要を着実に取り込んでいく方針です。
2つ目の「オートモーティブ量産ライセンス」は、すでに当社データが搭載されている6社38車種の台数増加に加え、新規車種への搭載も進めていきます。これにより、車両台数の積み上がりに伴う安定的なライセンス収益の拡大を目指します。
3つ目の「3Dデータライセンス」は、インフラ管理用途における「3Dmapspocket」をはじめ、空港・物流施設向けのガイダンスシステム、データ連携システムの拡販を進めます。
また、販売パートナーを通じたデータ提供や、フィジカルAI用途に対応したAIネイティブデータの展開を、自動車以外の領域でも進めていきたいと考えています。
次に、プロジェクト型ビジネスについてです。プロジェクト型は、ライセンス型売上拡大のための基盤整備として、引き続き一定規模で取り組みを進めていきます。
政府向けでは、国との関係が近いこともあり、国の政策・方針に沿った自動化、デジタル基盤、防衛防災・宇宙といった領域の案件に取り組み、社会実装に向けて関係省庁と連携していく方針です。
民間向けでは、物流や空港分野を中心とした「民間主導の自動化投資」の需要に対応していきます。また、グループに加わった測量会社と連携し、当社がこれまであまり取り組んでいなかったドローン測量や建設・土木分野など、新たな分野への展開も進めていきます。
一番下の「オートモーティブプロジェクト」は、中東地域における整備案件を着実に遂行するとともに、新規国でのデータ整備も新たに受注したため、これまでのような大規模な量ではありませんが、27ヶ国目のデータ収集に取り組む方針です。
フィジカルAIとは

当社を取り巻く市場環境として重要なフィジカルAIについて、あらためて整理します。最近はみなさまも耳にされる機会が多いかと思いますが、フィジカルAIは自動運転やロボティクスに代表されるように、物理空間に作用するAIを指します。
従来のAIが自然言語や画像など、デジタル空間の閉じたデータを対象とするのに対し、フィジカルAIは、実世界を知覚、判断、行動し、その結果を再び知覚するというクローズドループで動作します。
そのため、カメラや「LiDAR」といったセンサー由来の情報が不可欠となり、出力も単なる情報提供ではなく、実際の移動や操作など、物理的な行動につながります。
その際、特に重要な点が安全性と信頼性です。フィジカルAIでは、失敗した時に人身事故や物損といった現実世界にダメージが発生するため、従来のAI以上に高い水準の検証や説明可能性が求められます。
このような背景から、フィジカルAIにおいては、実世界を高い精度で再現した信頼性の高いデータが重要です。
当社は創業以来、物理空間のデータを生成・蓄積してきた実績があり、この領域において一定のデータ基盤と技術を有しており、すでに優位なポジションにあります。
高成長するフィジカルAI市場へデータ提供

外部調査機関によると、フィジカルAI市場は2025年に約50億ドルの規模で、2035年には約830億ドルにまで拡大し、今後10年間で年平均30パーセントを超える高い成長が見込まれています。
また、この成長は、自動運転やロボティクスを中心に、研究・実証段階から、実際の社会実装のフェーズまで短期間で急速に進展することが期待されています。
製造、物流、医療など幅広い分野でフィジカルAIを活用した自動化投資が進み、物理空間でAIが動作するユースケースが急激に拡大していくと考えられています。
地域別に見ても、北米に加えてアジア太平洋地域でも高い成長が見込まれており、フィジカルAIはグローバルに拡大する市場とされています。
当社は、これらのフィジカルAI市場において、AIの学習・検証・シミュレーション用途向けの高精度3次元データをすでに提供しており、市場拡大とともに中長期的な事業機会の拡大が期待されています。
「Data for AI」でフィジカルAIの社会実装に貢献する

それでは、当社のデータがフィジカルAIにどのように役立つのか、フィジカルAIが抱える課題の観点から、データの用途類型を簡単にご紹介します。
当社のデータがフィジカルAIに役立つ類型としては、「学習」「評価・検証」「補助情報」「認証」「安全機構」の5つに大別されます。
1つ目の学習用データは、AIモデルを効率よく賢くするために必要となる基礎データです。2つ目の評価・検証用データは、実環境を高精度で再現し、AIの性能を確認する、つまりAIを信頼できるようにするために用いられます。
3つ目の補助情報は、今後エッジ側にフィジカルAIが搭載される際に、AIの判断や推論の精度を支え、AIの動作を補助する役割を果たします。
4つ目の認証は、先ほどお伝えしたように安全性が重要となりますので、当局により法規・規格への適合性を示すことの根拠となります。こちらはAIを販売できる状態にする役割を果たします。
5つ目の安全機構について、AIの動作範囲、自動運転でいうODDを規定し、異常な動作を抑制・制限する役割を担います。
これら5類型に共通するのは、実世界を正確に表現した高品質な空間データが不可欠であるという点です。
当社では、これらを「Data for AI」として体系的に整理し、フィジカルAIが実装されるためのデータ提供を行っています。
粗利率80%超のライセンス型を伸ばし中長期で成長率10-30%で成長を続ける

最後に、中長期的な成長方針についてご説明します。当初の計画どおり、2026年3月期にデータ新規整備が完了し、成長のための事業基盤構築が完了しました。
全社として、売上高は中長期的に10パーセントから30パーセントと着実に成長を続けていきたいと考えています。
その成長を牽引するのは、やはりライセンス型の売上です。ご説明したAI用途向け法人ライセンスでは、粗利率が100パーセントとなる案件もありますが、ライセンス型売上全体としては80パーセント超の粗利率を狙っていきます。
2026年3月期はライセンス型の売上が前年比で2.2倍に成長しました。2027年3月期以降は、フィジカルAI市場や自動運転市場などの成長を背景に、ライセンス型の売上をさらに伸ばし、投資回収フェーズへ移行していきたいと考えています。
ライセンス型ビジネス(オートモーティブ)

毎四半期実施している、パイプラインのアップデートについてお話しします。これまでどおり、4つに分けていますが、本日は2月に開示したものからの更新箇所に絞ってご説明します。
1つ目は、ライセンス型ビジネス(オートモーティブ)です。自動車メーカーAと自動車メーカーBの両社で今年度に新規車種への搭載のパイプラインが追加されました。
一方、自動車メーカーDは2028年モデルが見送りとなりましたが、既存モデルでの累積台数が着実に増加しています。
次に、スライド下段に黄土色で示した法人ライセンスについてです。2025年度に追加で大手自動車メーカーグループ、大手車載システムメーカー、自動運転システム開発会社からの受注・契約締結がありました。2025年度に受注に至らなかった海外大手地図メーカーと海外大手半導体メーカーの案件は、引き続き、2026年度の受注を目指して活動しています。
2026年度の案件としては、2025年度に北米データの提供実績があった海外の大手半導体メーカー向けに、日本、欧州16ヶ国、韓国など地域を拡大し、追加契約を締結しています。
また、海外における自動運転システムの開発会社向けに新たに受注・契約した他、自動運転システム開発会社向けの案件を受注に向けて進めています。
ライセンス型ビジネス(3Dデータ)

2つ目は、ライセンス型ビジネス(3Dデータ)です。除雪支援については、今年も冬から春にかけて日本各地でご利用いただき、2025年度の提供台数は前年比で大幅に成長しました。これにより、降雪地域での生活維持、担い手不足への対応に貢献できたと考えています。
都市開発・不動産用途を見据えて機能を強化した「3Dmapspocket」については、大手デベロッパー向けに提供を進めています。
商品化が進展した物流・空港・港湾など、狭域・特定エリア向けのデータ連携システムについては、2027年度以降の提供・実装に向けて、取り組みを進めています。
プロジェクト型ビジネス(3Dデータ)

3つ目はプロジェクト型ビジネス(3Dデータ)です。2026年度は、政府向けでは空港・港湾自動化、防災防衛、農業、宇宙分野におけるパイプラインがあります。
民間向けでは、物流自動化など民間主導の新しい需要が高まっていますので、追加しています。引き続き、社会実装に向けて、関係省庁、民間企業との連携を進めていきます。
プロジェクト型ビジネス(オートモーティブ)

4つ目は、プロジェクト型ビジネス(オートモーティブ)です。中東における受注済み案件は、一部売上計上の期ずれが発生しましたが、案件規模を拡大して受注を完了しており、今年度にプロジェクトを完遂する予定です。
新規案件については、今年に入って米国子会社の第1四半期に新たな国での新規整備案件を受注済みです。その他の商談中の案件も、引き続きクローズに向けて取り組んでいきます。
更新整備は、今年度分の受注が完了しており、来年度以降も継続的に受注していきます。
中長期ビジョン

最後に、当社の中長期ビジョンです。「Modeling the Earth」を実現するため、DMPグループとして、中長期で事業を成長させるべく取り組んでいきます。引き続き、ご支援いただけますと幸いです。
質疑応答:2月修正予想より増加したライセンス型売上の用途と契約内容について

司会者:「2月の修正予想より増えたライセンス型売上2億円について、どのような用途や契約が多かったのか、イメージがわかるように教えてください」というご質問です。
吉村:2億円の増加についてご説明します。まず、修正予想比でのライセンス型売上の増加は、大手自動車メーカー向けに法人ライセンスを提供できたことによるものです。お客さまの名前は開示できませんが、用途としては2つの案件があります。
1つはADASシステムの改善・検証のシミュレーションを目的としてデータを利用したいというものです。もう1つは、ADAS車両の国際法規対応を目的にデータを利用したいというものです。
これらの用途向けに、当社がすでに保有している高精度な3次元データをそのまま提供したため、追加のコスト、いわゆる変動費は一切かかりませんでした。その結果、限界利益率100パーセント、粗利益100パーセントで提供できたことが、こちらの増加につながっています。
質疑応答:商談のリードタイムと再現性について
司会者:「2月の修正発表後、比較的短期間で売上計上されていますが、商談が具体化してから契約までのリードタイムはどの程度でしょうか? 今後、再現性はありますか?」というご質問です。
吉村:当社は、大手自動車メーカーや半導体メーカー、自動運転企業と、ふだんから継続的に幅広い商談を進めているポジションにあります。お客さまの課題を解決できる場合、商談を開始し、データ提供からクロージングまで特に手間がかからず、リードタイムが短くなるケースがあります。
先ほどのシミュレーション用途と国際法規対応の用途については、1社のお客さま向けに提供したものですが、特定のお客さまに限ったものではありません。国際法規は広く対応が求められるものであり、シミュレーションも共通しているニーズです。業界共通の課題やニーズであるため、今後も同様の案件が他社向けに発生する可能性があると考えていますります。
もちろん、個別の案件のタイミングや規模は、お客さまの開発状況や安全に対する考え方などに左右されます。そのため、同様の案件の発生をこの場で約束することはできませんが、当社としては、今後も各お客さまとの継続的な商談を通じてパイプラインの確度を高め、案件を着実に積み上げていきます。そして、すぐにデータを納品できるよう、活動を継続していきたいと考えています。
質疑応答:調整後EBITDA改善の背景と収益構造の変化について

司会者:「2月に開示された修正予想と比べて、調整後EBITDAが大きく改善しています。期初予想と比較すると、売上高が下回った一方で、調整後EBITDAは大きく崩れませんでした。この背景にある収益構造の変化について、整理して説明してください」というご質問です。
吉村:まず、売上が期初予想を下回った理由は、2月に第3四半期決算説明会でご説明したとおりです。プロジェクト型の売上が主に顧客側の事情で期ずれしたり、契約形態の変更により一部案件の規模が縮小したりして、期初予想比で16億円減少しました。
一方、第4四半期においては、ライセンス型の売上、とりわけ「Data for AI」の用途が好調で、結果的に期初想定を3億円上回りました。売上規模はプロジェクト型よりも小さいものの、限界利益率が100パーセントと極めて高いため、調整後EBITDAへの寄与が大きかったといえます。
さらに、コスト構造の改善やM&Aの効果によって利益面が下支えされ、プロジェクト型の売上減少に伴う利益減を補うかたちで、調整後EBITDAが期初予想と同水準を維持しました。また、2月に修正された予想と比較しても、5億円改善して着地しました。
質疑応答:コスト削減と効率化の継続性について
司会者:「今回の決算発表を聞くと、前期にコスト削減や効率化が進んだと理解しています。こうした改善は、今後も継続性があると考えてよいのでしょうか?」というご質問です。
吉村:まず、今回の削減と効率化は、今後も続く構造的なコスト削減の最適化と、個別案件にひもづいたコスト削減の両方が組み合わさったものです。
前者は、先進国における新規整備が概ね完了し、累計で180万キロメートルに達しました。今年2月に開示した北米子会社の人員最適化や、業務プロセス見直しなどの構造的な改善については、北米では2月に行われたため、連結では今年度4月より反映されます。これらは今期以降も継続性があると考えています。
一方で、個別案件にひもづく原価低減は、案件の内容や進捗に左右される個別要素が強いため、毎期同じ水準で効果が出るものではありません。ですので、構造的なコスト削減をベースにしながら、引き続きコスト構造の改善に取り組んでいく方針です。
北米子会社における人員最適化は本年2月に実施しましたが、連結決算では2027年3月期に含まれます。今年度から効果が表れるため、適時開示で示した金額効果が発現するものとご理解ください。
質疑応答:第4四半期の収益性改善の要因について

司会者:「第4四半期でかなり収益性が良くなっていますが、これは季節的な要因でしょうか? それとも構造が変わってきた結果でしょうか?」というご質問です。
吉村:売上が期末に集中するのは、当社のトレンドからご理解いただけるように、従来からの季節的な要因が影響しています。
一方、今回の収益性改善は、ライセンス型売上の拡大が大きな要因です。ライセンス型売上を中心としたビジネスへの転換は、構造的な変化と捉えています。
四半期ごとの変動はありますが、当社は現在、事業フェーズがシフトしている最中であり、中長期的に収益性が向上しやすい事業構造への移行が進んでいると考えています。その上で、本年度の業績見通しを発表しています。
今後もライセンス型売上の成長に注力しつつ、季節要因に左右されにくい収益構造の構築を進めていく方針です。
質疑応答:資金調達の状況について

司会者:「資金調達について、当面必要な資金をどう確保していくのでしょうか?」というご質問です。
吉村:まず、当面の事業運営に必要な資金は十分に確保できています。手元の流動性についても十分な水準を維持しています。その上で、直近では金融機関からの借入による資金調達を実行しています。
具体的には、今年4月に連結子会社において約3億円規模の借入を実行しました。また昨日、当社単体として5億円の新規借入を実行しています。デットによる資金調達を機動的に行える実績に加え、金融機関のみなさまとの良好な関係を構築しています。
加えて、金融機関との間で計20億円のコミットメントラインを確保しています。当面は、必要に応じて借入による資金調達を進める方針です。
なお、金利水準の上昇を踏まえ、手元資金を過度に厚くすることにこだわらず、今回のコミットメントラインの活用など、資金調達のコスト効率化を意識した資金運営を行うというのが財務方針です。
繰り返しになりますが、取引先の金融機関と良好な関係を維持しつつ、引き続き密接に連携していきたいと考えています。
質疑応答:出来高改善に向けた取り組みについて
司会者:「出来高が少ない状況について、何か打開策は考えていますか? ご教示いただければと思います」というご質問です。
吉村:出来高については、決算説明会や各種説明会、個別の対話などを通じて、投資家のみなさまとの接点を増やすことを意識しています。これらの活動を通じて、DMPを認知いただく投資家のみなさまの裾野を広げ、中長期的に流動性が改善するよう、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。
まず、機関投資家向けの取り組みについてお話しします。本日ご説明したライセンス型売上への転換により、今年度は(当社が重視する利益指標である)調整後EBITDAの黒字化という事業フェーズの進展を見込みます。決算説明会後、本日以降に機関投資家とのミーティングが予定されており、1on1を通じて継続的にご説明していきます。
特に、フィジカルAIを背景とした「Data for AI」という成長機会や収益構造の変化が、利益にどう反映されていくのかについては、定量的・定性的に両面からしっかりとご説明していきます。
個人投資家のみなさま向けの取り組みについては、接点をより増やすことが重要だと考えています。説明会への参加機会をオンラインとリアルの双方で増やしていきたいと考えており、今月からは毎月リアル説明会に参加し、投資家のみなさまに直接ご説明する予定です。
また、日常的にはSNSの活用やプレスリリースの積極的な発信を通じて、情報発信に注力しています。単なる財務的な進捗だけでなく、事業内容やビジネスモデル、フィジカルAI時代における当社の位置づけ、M&Aなど、投資家のみなさまに関心を持っていただける内容を積極的に発信し、認知および理解の向上に努めていきます。
いずれにしても、当社は機関投資家のみなさま、個人投資家のみなさま、それぞれに対する継続的な情報提供と対話を通じて、投資活動の拡大と市場での理解が進むよう努めています。
結果として、日々の出来高で流動性が改善し、より良い状況を実現することに真剣に取り組んでいきます。
質疑応答:業績予想の前提条件について

司会者:「業績予想の前提条件を教えてください」というご質問です。
吉村:当社では顧客動向や市場環境を踏まえ、業績予想を作成しています。案件ベースで積み上げており、時期や規模に一定の見通しが立っているものを中心に反映させています。
ライセンス型の売上についてですが、まず「Data for AI」の拡大を見込んでいます。自動車メーカー、半導体メーカー、自動運転のシステム会社など新規のお客さまに加え、既存のお客さまからの追加利用や用途の拡大、カバレッジの増加といった点が主な成長ドライバーとなっています。
次に、プロジェクト型の売上についてです。昨年度は特定の国家プロジェクトに過度に依存して計画を策定していたことを反省しています。第3四半期の説明会でご説明したとおり、受注形態の変更により、案件規模が縮小した経験を踏まえ、今年度は大規模案件を前提とせず、中小規模の案件で、デジタル化や防災・防衛、宇宙・通信といった分野の案件を積み上げる計画です。
政府案件から民間案件への比率を増やすことでリスク分散を図り、ポートフォリオを組んでいるのがプロジェクト型の特徴です。
コスト面の前提ですが、2月に北米子会社で実施した人員最適化による構造的なコスト削減が行われましたが、大きな混乱はなく、オペレーションが一定程度定着し正常に行われていますので、こちらを継続しています。
また、為替レートについてですが、もう少し具体的な数字を挙げると、現在の水準よりも円高水準で、1ドル145円で設定しています。そのため、円建てで見た場合の海外業績のインパクトという意味では、保守的な前提となっています。
これらを踏まえ、現時点での達成確度を重視した前提条件に基づき、業績予想を開示しています。
質疑応答:パイプラインの状況について

司会者:「パイプラインの状況について教えてください。昨年と比較して、現時点でのパイプラインの状況はいかがでしょうか?」というご質問です。
吉村:まず、パイプラインの状況についてです。日本においては、進行期が始まって1ヶ月半しか経過していないタイミングです。
一方、北米を中心とした海外は12月決算ですので、すでに進捗が見えている部分もあります。昨年度と比較すると前倒しで受注が進んでおり、手応えを感じています。
その背景として、フィジカルAIと自動運転の市場が本格化する中で、「Data for AI」の用途の拡大を前提に受注が進んでいます。
また、昨年度からの期ずれ分がありましたが、新規の国での受注もすでに完了しています。中東でのデータ整備については、現地の情勢から簡単ではありませんでしたが、当局から承認許可を得ることができました。
現時点では(業績面に与える)大きなリスクを感じておらず、今年度も順調に進捗できると考えています。
質疑応答:高精度3次元データ提供における競合環境について

司会者:「高精度3次元データの提供について、今後の競合環境をどのように見ていますか? フィジカルAI市場が伸びる中で、自動運転領域とは異なるプレーヤーの参入リスクについての考え方を教えてください」というご質問です。
吉村:まず、高精度3次元データに対するニーズは、従来の自動運転用途にとどまらず、フィジカルAIを通じたシミュレーションやインフラ管理といった新たな分野にも広がっていきます。これに伴い、新規参入の可能性があると認識しています。
一方、当社が提供するデータは、自動運転やADAS用途を前提とし、過去に整備・提供してきたものです。産業ごとに求められる精度や網羅性、現実世界の変化に伴う更新性、そして実運用での実績という観点から、すでに十分な差別化が図られていると認識しています。
単に3次元データを取得することと、実運用に耐え得るデータを継続的に提供し続けることの間には、大きな隔たりがあります。
当社の場合、用途や精度レベルが異なるケースでは、必ずしも直接的な競合になるとは考えていません。むしろ用途に応じた棲み分けが進む領域もあると考えています。
競合の広がりそのものをリスクとして捉えるよりも、フィジカルAIや空間データの理解が進み、市場全体の拡大を示すものと受け止めています。
これまで積み上げてきた世界最大級のデータおよびデータを収集・生成する能力や生成技術、実績を強みとし、ポジションを確保していきたいと考えています。
まとめると、新たなプレーヤーの参入リスクは認識しているものの、当社の競争優位性が短期的に大きく損なわれるリスクは極めて限定的であると捉えて事業を進めています。
質疑応答:価格競争リスクと差別化戦略について

司会者:「市場が拡大する中で、価格競争についてマージンが低下するリスクをどう見ていますか? 価格競争に陥らないための戦略や差別化ポイントを教えてください」というご質問です。
吉村:価格競争のリスクについてですが、市場が拡大する中で、参入プレーヤーが増えれば価格競争が起こるのは自然の原理だと思います。特に用途や精度要件が限定的な領域では、価格を軸とした競争が起こり得ます。
一方で、当社が目指しているのは、単体でデータを販売する事業者ではなく、さまざまなデータを組み合わせて提供するデータプラットフォーマーという立ち位置です。
高精度な3次元データを、シミュレーションやAIのさまざまな用途に対して、データ群として提供していくことを考えています。このような用途では、データの精度や網羅性、更新性、他のデータとの親和性、実運用での使いやすさが評価されるため、単純な価格比較にはなりにくいと考えています。
また、フィジカルAIの用途では、データが一度きりではなく現実世界が変化する中で継続的に利用されるため、リカーリングやサブスクリプションといった課金モデルと相性が良いと考えています。このような継続的に使われる仕組みにもしっかりと取り組んでいきたいと思います。
いずれにしても、価格競争に陥りやすい単体の売り切り領域を追求するのではなく、データプラットフォーマーとしてのポジションを確立することで、十分に利益を確保できる継続性のある事業構造を維持していきたいと考えています。
質疑応答:フィジカルAI時代における中長期ビジョンについて

司会者:「フィジカルAIが多角化した際、DMPはどのような事業規模やポジションを目指しているのか、中長期のビジョンを教えてください」というご質問です。
吉村:当社は単なる3Dの地図会社ではなく、フィジカルAIを活用した現実世界のデータプラットフォーマーと自社を定義しています。現実世界を高精度に再現したデータを、さまざまなAIや産業用途に提供する基盤的な存在を目指しています。
フィジカルAIの時代には、現実世界のあらゆる営みがデジタル化され、分析・予測され、その結果が制御や行動というかたちで現実世界にフィードバックされるループが生じます。
これを当社では「サイバーフィジカルループ」と称していますが、DMPグループはこのサイバーフィジカルループを推進する企業集団を目指しています。そのため、事業規模としては、M&Aを通じてサイバーフィジカルループを回す一大企業グループの規模感を目指していきたいと考えています。
このフィジカルAI時代においては、AIモデルそのものに加え、どのような現実世界のデータを使用し、それを学習、運用、検証していくかが競争力の源泉となります。
当社はグローバルで高精度かつ更新可能な3次元基盤データをベースにしながら、サイバーフィジカルループを回す企業グループの構築を目指しています。
先ほど、業界でのポジションに関するご質問がありましたが、当社単独ですべてを完結するのではなく、さまざまな企業やサービスが当社のデータを前提に価値を創出するような、エコシステムの中核的な存在を目指しています。同時に、M&Aを通じて企業群としての成長を図り、現実世界データのインフラ企業としての役割を担っていきます。
中長期的には、社会や産業にとって不可欠な存在になることをビジョンとし、事業を展開しています。
質疑応答:ビッグテックとの競合および提携の可能性について

司会者:「フィジカルAIの分野は、ビッグテックやAIプラットフォーマーも関心を持っています。そのような大手と競合するのではなく、提携する可能性もあるのでしょうか?」というご質問です。
吉村:フィジカルAIの領域は、確かにビッグテックやAIプラットフォーマーもNext Big Thing(ネクストビッグシング)として関心を持っている分野です。このようなプレーヤーの動きは十分に注視し、意識しています。
同時に、フィジカルAIの実装が進むほど、現実世界を正確に表現したデータの必要性や重要性が高まっていきます。我々はビッグテックと同じレイヤーでAIの基盤モデルを作るような考えはまったくなく、その領域で競争する立場でもありません。
むしろ、フィジカルAIを成立させるために、現実世界データを提供する側、いわば産業を下支えするインフラ的なポジションを目指しています。そのため、大手プレーヤーとの関係については、対抗することはなく、補完・連携する関係が多いと考えています。
現に、当社の高精度な3次元データは、ビッグテックやプラットフォーマーの技術基盤として活用していただいています。昨年度に、MicrosoftやNVIDIAとの連携を発表しています。(NDAの都合で)具体的な社名は挙げられませんが、ビッグテックや世界的なAI企業へ、「Data for AI」としてデータの提供を開始しています。
今後も、大手プレーヤーとの連携は、技術的および事業的に有効であれば十分な選択肢になります。当社はデータ資産の価値において、中立性が重要だと認識しています。
特定の企業との緊密な提携ではなく、データの提供を基本方針としています。本来であれば、提供先のビッグテック企業の名前を挙げ、投資家のみなさまの期待に応えたいところですが、機密情報やNDAの関係により開示が難しい状況です。
開示できないことは非常に心苦しいのですが、提携企業や取引先を増やし、その実績を数字として示していきたいと考えています。
質疑応答:調整後EBITDA黒字化後の成長方針について

司会者:「調整後EBITDAが黒字化した後は、規模拡大と利益率向上のどちらを重視するフェーズに入っていくのでしょうか? それとも両立を目指しますか?」というご質問です。
吉村:基本的には、規模拡大と利益率の向上の両方を同時に追求していく必要があります。ただし、それにはしっかりとしたステップがあるべきだと思っています。
昨年度には、先進国における180万キロメートルの新規データ整備が一巡しました。まずはライセンス型売上を中心に利益を着実に積み上げ、その利益を安定基盤とした上で、規模と収益性の両方を高めていくことを重視したいと考えています。
それぞれのカテゴリーにおける規模拡大のプランをお話しします。量産ライセンスについては、量産車に搭載されて着実に積み上がっており、引き続き安定的に拡大していく領域です。
法人ライセンスに関しては、AI用途を中心に、提供形態や活用シーンが明確になってきています。今後は利用拡大に伴い、規模が加速度的に拡大していくことを期待しています。
3Dデータビジネスにおけるライセンスビジネスは、現時点では売上規模が必ずしも大きいわけではありません。しかし、オートモーティブ以外のフィジカルAI向け需要を取り込むことで、将来的には大手向けと同程度、あるいはそれ以上の規模に成長することを期待しています。
次に、利益率の観点でお話しすると、ライセンス型売上の拡大により、当社の特徴である固定費中心のコスト構造において限界利益での回収が進むため、利益率が段階的に向上していくと考えています。
なお、ライセンス型売上は限界利益率が高い特性があるため、規模の拡大がそのまま固定費の回収につながり、利益が増加しやすい構造となっています。この収益性の改善につながりやすい構造にあることは、ご理解いただけているかと思います。
一方、フィジカルAI向け事業の拡大についてです。当社が提供すべきデータは、従来よりも広範かつ多様化していくと考えています。この目標に向けて、測量会社とのネットワークを構築し、当社グループの整備・更新能力を活用することで、データ整備の効率化を図りながら、規模拡大と収益性の両立を目指していきます。M&Aも、非常に重要な要素と捉えています。
調整後EBITDAが黒字化した後も、成長に向けた投資を継続します。ただし、採算性や投資対効果を慎重に見極めた上で規律ある投資を進め、持続的な企業価値の増大に取り組んでいきます。
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