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ダイナミックマッププラットフォーム株式会社336A

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目次

吉村修一氏(以下、吉村):ダイナミックマッププラットフォーム株式会社代表取締役CEOの吉村です。本日はお忙しい中、当社の2026年3月期第3四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

こちらのスライドは、本日の流れです。本日はこれまでの構成とは異なり、本日開示した通期業績予想の修正と来期の方針をご説明します。

続いて、通常どおり2026年3月期第3四半期実績、そしてパイプラインのアップデートをご説明しますが、今回は事業トピックスと開発トピックスは割愛し、今般の業績予想修正を中心に、質疑応答の時間を取りたいと考えています。

案件期ずれを主要因として通期業績予想を修正

通期の業績予想の修正についてご説明します。このたび、2026年3月期の通期業績予想を修正することにしました。

まず、スライド左側にある売上高のウォーターフォールチャートについてです。ライセンス型は期初予想より1億円増加する予定で、昨年度の11億7,000万円から今年度は24億円と、前年比2倍以上の成長を見込んでいます。

一方で、今回の売上高減少の要因はプロジェクト型にあり、期ずれを主たる原因として減少を見込んでいます。

売上高の差異について、スライドのグラフや表をご覧いただきながらご説明します。まず、ライセンス型についてです。AI用途法人ライセンスが期初予想よりも好調で、1億円の増加が見込まれています。

AIの進展に伴い、自動運転システムの開発が活発化しており、当社が提供する3Dデータに対する需要が着実に拡大しています。その結果、国内外で新たな商談も増加しています。

減少の要因ですが、まず、国内における3D政府プロジェクトは、受注形態の変更により8億円の減少となり、これは純粋な売上減少となっています。

海外オートプロジェクト(受注済進行中)と記載されている部分は、すでに受注している中東における新規整備案件プロジェクトの進捗が遅れているため、2億6,000万円の期ずれが発生しています。

また、海外オートプロジェクト(FY26に受注)については新たな国での新規整備案件です。米国の関税政策が自動車メーカーに与える業績への影響を背景に、当社への発注が遅れたことが原因です。

この案件は、すでに受注済みです。ただし、米国子会社であるDynamic Map Platform North Americaは12月決算となっていますので、2025年度、すなわち昨年12月末までの売上計上に間に合わず、期ずれが発生しています。

その他、国内3D民間プロジェクトが3,000万円の実施時期延期となり、これらの期ずれを合計すると、売上高の減少は合計8億円となります。

スライド右側の利益面ですが、調整後EBITDAは期初予想比で5億円減少を見込んでいます。そのうち3億5,000万円は期ずれが要因です。

ライセンス型で上振れた売上高1億円が、そのまま調整後EBITDAにプラスに働いていますが、利益面ではプロジェクト型の案件で減少しています。具体的には、プロジェクト案件の期ずれによる影響が合計2億9,000万円、補助金6,000万円が翌期へ期ずれする見込みです。

さらに、国内3D政府プロジェクトの売上減少による影響として、2億5,000万円の減少を業績予想に織り込み、今回修正を発表しました。

ライセンス型はAI用途・新車搭載で好調。プロジェクト型は期ずれと政府案件縮小で不調

今期の業績予想の修正について、売上のカテゴリーごとに詳しくご説明します。まず、全体としてはライセンス型がAI用途の法人ライセンスを牽引し、量産ライセンスは新たな車種への搭載が開始されるなど、堅調な状況です。

一方、プロジェクト型は受注形態の変更により政府案件の規模が縮小したことや、General Motors向け案件の期ずれが影響し、計画を下回っています。この状況を〇×△で表現しています。

最初のオートモーティブ法人ライセンスは、自動運転車の本格普及に向けてAI需要の受注が増加しているため、◎としています。

受注済みのウーブンバイトヨタ向けのデータ提供や、海外の大手半導体メーカー向け案件に加え、この第4四半期ではさらなる追加受注を狙っています。

次の行のオートモーティブ量産ライセンスは、Hondaの「アコード」およびSUBARUの「アウトバック」が北米で発売を開始しており、量産車種は世界最多の37モデルに達し、計画どおりに進捗しています。また、第4四半期にはさらに1車種を追加発表する予定です。

その下の、3Dデータライセンスについてですが、3次元点群データのビューアーシステムである「3Dmapspocket」というサービスや、除雪支援システム「SRSS」といったシステムを提供しています。

システムの開発や販売パートナーを通じてデータ拡販を進めるためのパートナーリングは進展していますが、本格的な事業規模を確立するには時間を要しているのが実情であり、ここは課題が残ると考えています。

今後、商品・サービスごとの成長性や収益性を踏まえながら、どの領域にどの程度経営リソースを配分するのかを見極めていきます。「SRSS」は着実に数量を増やしていますが、「3Dmapspocket」にはどこまで経営リソースを投下するのか、第4四半期から来期に向けて判断していきたいと考えています。

次に、3Dデータプロジェクトです。政府案件の受注形態の変更に伴い、受注規模が大幅に縮小したため、こちらは×と評価しています。

具体的には、「デジタルライフライン」案件で、期初段階では発注元であるNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)から直接受注することを想定して案件規模を計画していました。しかし、契約形態が間接的な受注に変更されたことにより、案件規模が大幅に縮小する結果となりました。

その分、民間企業からの自動化投資に対するニーズが高まっていますが、今期の売上貢献は期ずれの影響により限定的であり、評価を△としています。来期に向けては、民間企業向けの3Dプロジェクトを拡大する方針です。

一番下のオートモーティブプロジェクトですが、General Motors向け案件の期ずれにより△と評価されています。受注済みの中東における新規整備案件は、当局との折衝に時間を要したため、一部の売上および利益が期ずれしました。

ただ、時間はかかりましたが、中東エリアの3Dデータは、当局の承認を必要とする希少なデータであり、今後の大きな発展が期待されています。

また、米国の関税政策の影響により、General Motorsの業績が変動し、その結果、新規整備案件の発注タイミングが2025年度から2026年度へと延期されました。ただし、アメリカでは12月決算ですが、すでに今年2月に複数案件を受注済みです。近日中に正式受注をリリースし、2026年度に計上する予定です。

来期はライセンスビジネス拡大と固定費減少により売上拡大・収益性向上する回収期へ

来期の通期業績予想ですが、本年5月に予定している通期決算発表時に開示する予定です。本日は、来期の方針をご説明します。

堅調なオートモーティブのライセンス型売上は、AI向けの需要を背景に平均80パーセントの高い粗利率を維持しつつ、今期2倍の成長を見込んでいます。来期以降も継続的な成長を見込んでいます。

スライド左の2027年3月期の重点領域にある「攻め」についてです。VLA(Vision Language Action Model)という新しい自動運転アーキテクチャや、End-to-End AI自動運転向けの法人ライセンスに注力する方針です。

すでに一定の実績があり、自動車会社や半導体メーカーからの引き合いも堅調です。さらに、近年はフィジカルAI向けに、世界最大規模のAIネイティブなデータセットとして提供していきたいと考えています。

次の量産ライセンスは、初めて量産車に搭載を開始した2019年からすでに7年が経過しました。搭載台数の累積効果が表れてきたことに加え、新たに北米でSUBARUの新型「アイサイト」への搭載が開始されたことで、新規車種数が増加し、売上・利益の増加が期待できる年になると考えています。

また、新たな国や地域への進出および事業展開、国内ではM&Aロールアップによる測量会社のネットワーク化を通じた地方展開の加速を目指します。

その下の「守り」ですが、今期計画を下回る要因となった政府プロジェクトを民間プロジェクトへと適切にシフトし、大型案件への依存に伴うリスクヘッジを図っていきます。

また、左下にある事業フェーズの変化により、固定費が大きく変動します。これは、来期が創業以来初めてデータの新規整備が収束する年になることを意味しています。

当社の事業フェーズは、「データの新規整備」から「データの提供+更新」という新しいフェーズへ移行します。

この事業フェーズの変化に伴い、求められる職種は従来のフィールドエンジニアやデータプロセッサー、プログラムマネージャーから、アプリデベロッパーやデータアナリスト、セールスエンジニアへと移行し、生産量が減少することで体制も縮小されます。

この事業フェーズの変化に合わせて、生産体制の最適化を今月実施し発表しています。これにより、4億1,000万円の人員最適化も含めて大幅な固定費の削減が可能となります。

以上を踏まえ、スライド右側に示しているように、2027年3月期には利益率の高いライセンス型売上を中心に売上を確実に成長させ、利益面も改善した姿を示せればと考えています。

粗利率80%超のライセンス型を伸ばし中長期で成長率10-30%で成長を続ける

中長期的な成長方針のスライドをご説明します。当初計画どおり、今期にデータの新規整備を完了し、成長のための事業基盤の構築が完了しました。

期ずれにより、今期は全社の売上高・調整後EBITDAが計画比で減少します。ただし、新規整備を完了したデータを活用したライセンス型の売上高は、前年同期比で2倍に成長します。来期からは、いよいよライセンス型を中心とした収益構成へとシフトし、投資回収のフェーズに入る予定です。

その後、全社の売上高は中長期的に10パーセントから30パーセントの着実な成長を続ける見込みです。

この成長を牽引するのは、ライセンス型の売上高です。AI用途向け法人ライセンスでは粗利率が100パーセントとなる案件もありますが、ライセンス型売上全体として、粗利率80パーセント超を目指し、さらなる成長を図ります。

カテゴリー別の施策を下段にまとめています。こうした施策に取り組み、売上成長を実現するとともに、ライセンス型中心の収益構成へのシフトを目指したいと考えています。

2026年3月期 第3四半期 サマリー

2026年3月期第3四半期の実績をご説明します。こちらのスライドには、第3四半期のサマリーをまとめています。

事業面ですが、先ほどからご説明しているとおり、量産および法人向けの両方でオートモーティブのライセンスが着実に進捗しています。

SUBARUの北米市場向け新型車「アウトバック」に当社の高精度3次元地図データが搭載されたことで、搭載車種は合計6社37車種となりました。オートモーティブ以外では、物流自動化の領域などで、3Dライセンスの商品化に向けた民間企業との取り組みが進捗しています。

開発面では、実世界の解析にAIを活用する新たなプラットフォームの開発と、NTTのグループ企業であるNTT-ME社との点群データ連携があります。さらに、点群ビューアーとしての「3Dmapspocket」を総合3D空間プラットフォームへ格上げしたほか、ドライブゲームへのデータ提供など、オートモーティブ領域以外への展開も進んでいます。

M&Aに関しては、測量会社のネットワーク化プロジェクト第1号案件を10月1日にクロージングしました。現在、ロールアップに向けて複数の後続案件を検討している状況です。

2026年3月期 第3四半期累計 連結業績ハイライト

このスライドでは、業績ハイライトをまとめています。2026年3月期第3四半期累計の売上高は前年同期比で減収となりました。ライセンス型は堅調に伸び、前年同期比50パーセント増となりましたが、プロジェクト型は減収となっています。

すでに通期業績予想の修正でご説明したとおり、General Motors向けのオートモーティブビジネスの期ずれや国家プロジェクトの受注規模縮小の影響が一部反映されています。

また、調整後EBITDAもプロジェクト売上の減少に伴い、マイナス12億8,700万円となり、前年同期比で2億3,100万円悪化してマイナス幅が拡大しています。

ライセンス型ビジネス(3Dデータ)

ここからは、パイプラインを4つに分けてアップデートします。今回は、昨年11月に開示した内容を基に、更新箇所に絞ってご説明します。

1つ目は、ライセンス型の3Dデータビジネスです。交通シミュレーション領域において、販売パートナーを通じたデータ拡販とデータ販売を開始していますが、販売規模の拡大は途上と評価しています。国内では、除雪や道路管理用途で顧客数が継続的に増加し、利用が促進されています。

スライド下に記載された海外の州政府向け案件は、今年度の受注を目指していましたが、結果的には叶いませんでした。ただし、来期の北米の1月からの期に向けて、受注活動に注力しています。

今年1月に初めてCESに出展しました。その後もインフラ管理関連のイベントであるTRBなどにも出席し、米国における州政府案件に取り組んでいます。今後の新たな展開に期待しています。

ライセンス型ビジネス(オートモーティブ)

2つ目は、ライセンス型のオートモーティブビジネスカテゴリーです。まず、上段の量産車向けライセンスです。SUBARUとの北米案件において、当社データが搭載された新モデルの量産はすでに開始されていましたが、今回、正式に契約締結も完了しました。これにより、翌期から売上高および利益に貢献する見込みです。

また、新たに上段の1車種について、量産開始および契約締結が完了しました。名前はまだお伝えできませんが、近日中にリリースを予定しています。

下段の法人向けライセンスは、自動車メーカーグループや自動運転システム開発会社、海外大手半導体メーカーなどから需要が高まっています。

来期には、すでに販売実績のあるお客さまへの追加販売として用途の拡大や、提供地域やロードクラスの拡大を進める予定です。また、新規のお客さま2社を含め、法人ライセンスにかかわる商談が増えています。

各社との商談を通じて、法人ライセンスに関する当社データへの強い需要を確認しており、パイプラインの案件について新たに記載を追加しました。

プロジェクト型ビジネス(3Dデータ)

3つ目は、プロジェクト型の3Dデータビジネスのカテゴリーです。国家プロジェクト案件や契約済みの各案件について、第3四半期に研究・開発に取り組みました。今期の売上は、昨年度14億6,000万円を計上した「デジタルライフライン」というプロジェクトが、受注形態の変更に伴い大幅に規模が縮小したことにより、減少しました。

国家プロジェクト向けの売上減少分を民間企業でカバーするべく取り組んでいますが、一定のリスクがあることから、修正した業績予想に反映しています。

下段の民間企業との取り組みは、物流自動化など民間主導の新しい需要が高まり、新規で4社とのパイプラインが構築されています。民間向け案件は政府向けと異なり、複数年にわたる継続プロジェクトとなることが多い点が特徴です。

プロジェクト型ビジネス(オートモーティブ)

パイプラインカテゴリーの最後にあたる、プロジェクト型のオートモーティブビジネスです。こちらは通期の業績予想でもご説明したとおり、中東における受注済みの新規整備案件で、一部売上計上の期ずれが発生しています。

また、新たな国・地域で見込んでいた新規整備案件が翌期以降に受注延期となったため、これらを修正した業績予想にしっかりと反映しています。

米国子会社の第1四半期における今月の受注状況は、先ほどお伝えしたとおりです。引き続き進行中の案件を着実に遂行し、商談中の案件のクロージングに向けて取り組んでいます。

中長期ビジョン

当社の中長期ビジョンです。「Modeling the Earth」の実現に向けて、DMPグループ一丸となり、中長期で事業を成長させていきたいと考えています。引き続きご支援を賜りますようお願いします。どうぞよろしくお願いします。

質疑応答:今期の売上減少の原因について

司会者:「今期は大幅な売上減少に陥ると理解しましたが、あらためて売上減少の原因を説明していただけますか?」というご質問です。

吉村:スライド4ページ目を使用して、あらためてご説明します。今回の15億円の売上減少ですが、大きな要因はプロジェクト型売上が期初予想比で16億円減少したことです。

内訳ですが、8億円分が米国関税政策の影響を受け、海外オートプロジェクトを中心に期ずれが発生しています。 その他に期ずれ要因以外では、国内3D政府プロジェクト「デジタルライフライン」の受注規模縮小により、8億円の減少となりました。想定していた政府プロジェクト自体はすべてきちんと受注していますが、NEDO側のプロジェクト推進体制の変更が当社の売上規模に大幅な影響を与えたものです。

足元では政府プロジェクトから民間プロジェクトへのシフトが進んでいることをお伝えしました。しかし、民間プロジェクトへの対応に注力しているものの、今期は「デジタルライフライン」による売上減少分を民間で補いきれませんでした。

質疑応答:期ずれの内容と再発防止策について

司会者:「期ずれが売上減少の主たる原因と理解しましたが、本当に期ずれと言える内容なのでしょうか? 具体的に期ずれした案件の内容を教えていただけますか? また、期ずれの再発防止策があれば教えてください」というご質問です。

吉村:期ずれの内容は、具体的には3つあります。1つ目が、海外オートプロジェクトの進行中案件のプロセス遅延、工期の遅延になります。具体的には、中東の特にサウジアラビアにおけるデータ収集に時間を要したものです。

当社は、実際にセンサーを乗せた車両で走行してデータを収集しています。このデータは、経済安全保障上、極めて重要であり、いわゆる機密情報にあたります。

そのため、当局への確認を得る必要があり、今回はサウジアラビアにおいて日本の国土地理院に相当するGEOSA(測量地理空間情報総局)という国家機関から承諾および承認を得て実施しています。

中東では王族の権限が非常に強いため、想定よりも交渉が難航しました。当初は1年以内に承認が得られると計画していましたが、実際には26ヶ月を要してようやく承認を得ることができました。また、中東の気候は年間を通じて高温ですが、夏になるとさらに気温が上昇します。そのため、車両に搭載しているセンサーが不調になることがあり、年間を通じてデータを収集できるわけではないという特殊な環境です。

これに伴い工期が延長したため、もともと今期に売上計上を想定していた一部が、来期にシフトしています。ただし、案件全体の売上規模は増加する見込みであり、案件自体が消失したり縮小したりすることはまったくありませんので、ご安心いただければと思います。

逆に言えば、サウジアラビアに限らず、中東の高精度3次元地図データ全般は、承認を得て取得することが難しい貴重なデータです。

オイルマネーに関心のあるグローバル企業がこうした地域に参入し、スマートシティのプロジェクトや自動運転のプロジェクトを立ち上げようとする場合、当社のデータを使用せざるを得ない状況にあり、さまざまな引き合いをいただいています。

時間はかかりましたが、グローバル企業ともビジネスができることを大きなチャンスと捉えています。これが1つ目の期ずれの要因となっています。

2つ目の期ずれは、海外オートプロジェクトにおける新規案件の受注延期です。具体的には、General Motors向けの新たな国・地域での新規データ整備案件となります。

今期中に受注を見越し、現地での生産体制整備を進めていましたが、米国の政策や関税環境などの影響を受け、General Motors側の業績が予想以上に振るわなかったことで、検討に対しても慎重姿勢が強まりました。

その結果、(12月が決算期である)米国子会社の会計期間における今期中、すなわち昨年末までに受注に至らなかったものの、2月に正式に受注したため、期ずれとなりました。

なお、General Motorsは、中長期方針として、当社のデータを前提にしたADASサービス「Super Cruise」を、世界中のさまざまな国や地域で拡大していく計画を持っています。この方針に変更がないことはお伝えできます。

期ずれの3つ目に関しては、国内の3D民間プロジェクト案件の期ずれです。現在、活発化している民間企業の自動化投資に対応して受注している案件に関連しています。

実装化に向けてプロジェクトをフェーズごとに進めていますが、すでに公表している事案の中には、例えば三井不動産など、顧客企業側の都合により実施が来期にずれ込むケースが発生しています。

ただし、これらの案件や需要が消失したわけではなく、単にタイミングが後ろ倒しとなった、いわゆる期ずれの状況です。

再発防止の観点から考えると、期ずれの原因はお伝えしたとおり、顧客企業側の事情や政策環境による影響があり、その結果として顧客企業の行動変化が要因となっています。個別案件のレベルでは、当社だけで完全にコントロールすることが難しい場合もあると認識しています。

期ずれが当社の業績に与える影響を抑えるために、より多くの案件機会を創出し、リソースを適切にコントロールしながら、大型案件への依存度を低減させつつ、着実に案件を履行していくことが重要だと考えています。この考えに基づき、来期に向けた準備を進めているところです。

質疑応答:ライセンス型ビジネスの具体的内容と今後の見通しについて

司会者:「プロジェクト型ビジネスが落ち込む一方で、ライセンス型ビジネスが伸びたということですが、具体的にどのような案件なのでしょうか? また、今後も発生し続けるものなのか、具体的なニーズがあるのかご説明をお願いします」というご質問です。

吉村:ライセンス型の売上は、量産ライセンスの搭載メーカー、車種、台数が着実に成長していることに加え、オートモーティブ向けのAI用途法人ライセンスも堅調です。その結果、期初予想を上回る見通しとなっています。

量産ライセンスについてご説明します。今期は、Honda「アコード」および北米におけるSUBARU「アウトバック」の車種に新たに搭載されました。「アコード」や「アウトバック」といった人気車種への搭載により、毎年販売台数の増加が見込まれています。

また、当社は毎年、それらの車両に対してのデータ更新を1台ごとに課金できます。このため、累積的に売上・利益へ貢献していくものと考えています。

もう1つは、法人ライセンスです。AI活用が進展し、自動運転システムの開発が活況を呈しています。世界的なブームとなり、活動が非常に活発化していると感じています。当社が提供する高精度3次元地図データの需要も拡大しており、新たな商談が増加しています。

実績としては、ウーブンバイトヨタなどトヨタグループ向けや海外大手半導体メーカー向けの案件が成約しています。自動運転システムの開発用途で当社のデータを提供する際には、お客さまごとに契約を行い、自動車メーカーと車種を限定したり、地域を日本、アメリカ、ヨーロッパのいずれかに限定したりするなどの条件を設けています。

対象とするプロジェクトの期間も限定しており、1回売って終わりではなく、同じお客さまに対して追加販売を行い、アップセルを図ることもあります。

同様の取り組みを他の自動運転開発を行っている企業にも展開可能です。自動車メーカーだけでなく、半導体メーカーや車載システムメーカー、自動運転システムの開発会社など、幅広い企業への展開が可能であり、この分野で引き続き高い成長が見込めると考えています。

質疑応答:国内政府プロジェクトの縮小について

司会者:「プロジェクト型ビジネスについてです。国内の政府プロジェクトは期ずれではなく、純粋に規模が縮小しているとのことですが、具体的にご説明ください」というご質問です。

吉村:国内の政府プロジェクトは、ご質問のとおり、受注形態の変更によって、グロースの売上高が減少している状態です。想定していた政府プロジェクトはすべて受注しており、現在も通年のプロジェクトが進行中で、私たちは研究開発に取り組んでいます。

ただし、売上減少の原因として挙げられる「デジタルライフライン」というプロジェクトは、昨年同様、プロジェクト全体を弊社が取りまとめる役割を想定し、期初に計画を立てていました。

しかし、期が進む中でNEDO側の推進体制が変更され、その結果、コンソーシアム経由での受注となりました。そのため、当社の受注売上規模が大幅に減少したことが背景にあります。

当社が関与している「デジタルライフライン」というプロジェクトは、発足からかなりの年数が経過していますが、NEDO側の予算が年々減少しているのが実態です。

ただし、当社の高精度な3次元データや技術力、そしてソリューション力に対する全体的な需要が低減したわけではありません。この減少は、NEDO側の予算の縮小および契約形態の変化、間接的な受注となったことに起因していると分析しています。

足元では民間企業による自動化投資が活発化しており、政府プロジェクトから民間プロジェクトへのシフトが実需として増加しています。

これは社会実装に近づいていることを示しており、もともと国が立ち上げたプロジェクトが実装に近づくと、民間へ引き継がれるのが本来のかたちです。まさにこの流れに入っており、現在は民間プロジェクトへの対応に注力しています。

今期の売上高は政府プロジェクトの縮小と民間プロジェクトの増加の間に少しギャップが生じ、埋めるには至りませんでした。しかし、来期以降は民間分野での成長を図っていく考えです。

質疑応答:業績予想に伴う資金繰りへの影響について

司会者:「今回の業績予想に伴って、資金繰りに影響はありますか?」というご質問です。 

吉村:資金繰りに問題はありません。こちらのスライドを使用し、内訳をご説明します。コミットメントライン、すなわち、あらかじめ一定の金額を確保し、必要な時に自由に引き出せる性質の資金ですが、20億円を確保しています。

内訳としては、三菱UFJ銀行から10億円、商工中金から10億円のファシリティがあり、流動性に十分な余力を確保しています。

さらに、長期借入金の返済を進める中で、一部の7億円については、返済期間10年間の元金均等返済で借り換えを完了しました。

これだけのファシリティがありますので、営業キャッシュ・フローがプラスになるまでの間、手元の資金で十分対応していける見通しです。

また、ロールアップ型のM&Aを進めており、実際に10月1日には1社がグループインしました。ここからは連続的な買収を進めていくことを発表していますが、買収資金をどのように捻出するのかという点については、基本的に当社が買収する会社は、資金が豊富で、利益も確実に出ており、キャッシュが十分に回っている企業です。

そのような企業の中で後継者がいないケースにおいて、当社のグループに志を同じくして参画いただくかたちで買収を行っています。

このため、買収資金の一部については、買収対象企業の与信を活用します。現地の地方銀行や信用金庫といった、これまでは資金ニーズがなかったため十分な貸し出しが行えなかったところから、M&Aファイナンスとして資金を借り受けます。

これにより、当社としての資金流出を抑制しつつ資金を回し、数年かけて計画的に返済していくことで、結果的にはキャッシュ上でプラスとなる買収のかたちとなります。そのため、資金が枯渇するという懸念はなく、安定的に進めていけると考えています。

質疑応答:売上の下振れほど利益が悪化しない理由について

司会者:「売上が15億円減少するのに比べて、利益は5億円の下振れです。利益の下振れ幅が小さい理由を教えてください」というご質問です。

吉村:売上の下振れほど利益が悪化しない見通しになっているという点ですが、ライセンス型の売上が計画を超えて推移しており、粗利のミックスや構成差が効いているとご理解いただければと思います。

このAI用途の法人ライセンスは「Data for AI」、つまりAI向けのデータ提供サービスとして販売しています。このサービスは追加の原価、いわゆるマージナルコスト(限界費用)が少ないため、売上がそのままEBITDAに寄与しやすい構造となっています。

また、量産ライセンスも新規搭載が開始され、車種が拡大するにつれて、売上が新規時だけでなく、毎年更新時にも計上される仕組みです。そのため、費用をかけずに売上が増加し、利益を生み出すのがライセンス型ビジネスの特徴です。

一方で、プロジェクト型では売上減少や期ずれが主な要因であり、構造的な採算悪化ではないということです。この2つ、ライセンス型とプロジェクト型の要因が組み合わさることで、利益の下振れ幅は売上に比べて限定的になる見込みだと捉えていただいて問題ないかと思います。

質疑応答:補助金計上の期ずれについて

司会者:「スライド4ページに補助金計上の期ずれというものがありましたが、これは具体的に何のことでしょうか? 最近、ベンチャー企業による補助金の不正受給という話を耳にするので教えてください」というご質問です。

吉村:このスライドに補助金に関する説明がありますが、こちらについてご説明します。補助金は、国や特定の省庁と契約しているもので、特定のプロジェクトの成果物を検収したり、要件が完了したりしたことに応じて計上されていくものです。

当初の想定よりもタイミングが遅れ、履行が後ろ倒しとなった案件があり、約6,000万円の補助金が翌期にシフトした状況です。

具体的にこの6,000万円について説明すると、これは経済産業省からの補助金であり、「プローブカーデータを活用したグローバルでの高精度3次元地図データの更新技術の大規模実証」というプロジェクトのためのものです。

補助対象事業自体は計画どおり、変更なく進捗しています。タイミングに関してのみ来期にずれ、6,000万円が計上される予定です。そのため、今回は調整後EBITDAから控除されています。

この件は、いわゆる不正受給などとはまったく関係がなく、きちんと契約に基づき進捗に応じて計上されていますので、ご安心ください。

質疑応答:成長トレンドへの回復施策について

司会者:「今期、大幅に売上減少する後に成長トレンドに乗せられるのでしょうか? 具体的に伸びる領域を教えていただけますか?」というご質問です。

吉村:まず、成長トレンドにしっかりと戻していきたいと考えています。具体的には、期ずれした案件は来期に受注済みのものを確実に履行し、売上に取り込んでいきます。

また、プロジェクト売上を一定水準で維持しつつ、期ずれ案件の履行、新規のオートモーティブにおけるデータ整備や更新、国内の政府プロジェクトの強化、そして特に民間プロジェクトを強めることで、過去のトレンド水準に戻したいと考えています。

当社の事業基盤の整備と、将来的にライセンス型ビジネスへと転換するためのシーズを作ることも重要なテーマと考えています。この取り組みにはR&D的な意味もありますが、採算性を非常に重視しており、案件を選別しながら進めていきたいと考えています。

一方で、今期は「デジタルライフライン」を直接受注することを前提に進めたものの、リソースをそこに割きながら、案件を選別し過ぎた結果、全社の売上高見通しが下がったという現状があります。そのため、確実性が高い規模の小さい案件を分散させることで、安定感を高めたいと考えています。

ライセンス売上の拡大についてですが、ここが成長トレンドを牽引していくと思います。量産ライセンスでは搭載台数の増加に伴い累積的に伸びることが期待され、また、AI用途の法人ライセンスも大きく拡大させる方針です。

AIを活用した自動運転の開発は、先ほど少し言及しましたが、この1年ほどで急激な成長を感じています。そして向こう1年から2年の間に、当社が保有するデータに対する需要がさらに拡大すると予想しています。

自動車会社本体だけでなく、半導体やソフトウェアの企業など、幅広いお客さまが競いながら自動運転の開発を進めており、いよいよ自動運転社会の到来を感じています。

AIの活用がその最も大きな背景にあると思いますが、AIを活用する際に当社データに対する需要が高まっています。このタイミングで一気にお客さまを囲い込み、その後のデータの継続利用や追加需要の取り込み、アップセルにつなげることで、法人ライセンス分野で安定した売上成長を達成する考えです。

質疑応答:プロジェクト型ビジネスのリスクコントロールについて

司会者:「プロジェクトを伸ばさないことは理解できましたが、今期の国プロの規模縮小のように、プロジェクト型ビジネスのリスクは今後どうやってコントロールしていくつもりでしょうか?」というご質問です。

吉村:先ほども少し言及しましたが、「デジタルライフライン」という大型案件への過度な依存がリスクとなった点について、社内で反省と分析を行っています。結果として、大型案件への依存を抑え、分散化を進める取り組みを来期に向けて進めているところで、政府プロジェクトから民間プロジェクトへの比率を少し引き上げる方針です。

現在、民間企業の自動化投資が活発化しており、特に物流業界や建設業界など、人手不足から自動化が必須となっている分野でさまざまなお話をいただいています。これらを踏まえ、ポートフォリオを構築しながら進めていきたいと考えています。

プロジェクト推進の体制面に関してですが、社内のリソースもある中で、現在取り組んでいるロールアップ型のM&Aを通じて構築している測量会社や建設コンサルティング会社といったネットワークが活用可能だと考えています。

このネットワークを通じた体制強化により、より多くのプロジェクト案件へのリソース対応が可能になると考えています。従来はスライド左上にあるMMSを中心に取り組んできましたが、新たに右上の航空測量や衛星情報も活用しています。

また、ドローンやハンディレーザースキャナ、スマホから収集される3Dデータも、この測量ネットワークを活用することで、生産キャパシティの整備を進めていきたいと考えています。

質疑応答:中長期の方針について

司会者:「中期方針の変更はありますか?」というご質問です。

吉村:中長期的な取り組み方針は変わりません。スライドにもあるように、1つは利益率の高いライセンス型の売上を着実に積み上げていくことです。プロジェクト型については、ライセンスにつながるような研究開発や設備投資のプロジェクトを選別的に受注し、分散化を図りながら一定程度進めていきます。

オートモーティブ領域に加え、物流、建設現場、インフラ、エンタメなど自動車以外の領域への拡大も変わらず進めていきたいと考えています。

今回の修正ですが、時期要因と期ずれが主な理由となっています。一方で、構造戦略や戦略の大きな方向性については、量産ライセンスの拡大やAI用途のライセンス受注増といった足元の実績がこれを裏付けていると考えています。

海外事業は、北米での体制を最適化したことにより、コストコントロールとAI対応を中心とした事業力の強化を両立させ、来期以降の利益回復や投資回収の確度をさらに高めていきたいと考えています。

質疑応答:データ更新のコスト削減とロビー活動について

司会者:「仮に今後、マップレス主導の自動運転市場になった場合に備え、交差点や逆走事故が頻発する道路など局所的なデータに絞り、田んぼ道や見通しの良い道についてはHDマップの作成を行わない方針にすることで、データ更新コストが抑えられると思うのですが、そのような方針は選択肢にありますでしょうか? 

また、安全性を担保する冗長化のためのHDマップの重要性を認知してもらうためのロビー活動などは行っておられるのでしょうか?」というご質問です。

吉村:データ更新のコスト抑制は確かに大きなテーマであり、さまざまなアプローチで取り組んでいます。AI活用は非常に重要で、プロセス効率化の効果が大きいため、「AI for Data」と銘打ち、8年前から社内でAIを活用してデータ生成に取り組んできました。

しかし、それでは限界があるため、昨年、日本マイクロソフトと連携し、データ生成プロセスの効率化を通してコストの大幅削減に取り組んでいます。

AI活用やシステム構成、センサーなどの関連機能との組み合わせによりますが、データの整備や方針の対象を限定する対応も、有力な選択肢と考えています。2016年からスタートしたデータの中には、実際には自動運転やADASなどで使用されていない地物や情報も含まれています。

これらを削減したり、今回のご質問のように特定エリアを対象から外したりすることで、コスト効率化が図れるというのはご指摘のとおりだと思いますので、このような取り組みを進めていきたいと考えています。

ロビー活動についてですが、これは日本国内はもちろん、米国においても連邦政府への働きかけなど、各種チャネルを活用して進めているのが実態です。

質疑応答:北米における取引の流れと利益率について

司会者:「北米のGeneral MotorsやSUBARUへのデータ提供の流れをご説明いただけますでしょうか? 具体的には、日本のHonda『アコード』では、同社の公表情報からゼンリン経由の流れであると理解しています。

一方、北米ではどのような流れになるでしょうか? また、日本と北米の流れの違いにより、貴社の利益率は変わりますでしょうか? 量産ライセンスでは北米が貴社売上の主力になっていると理解していますので、よろしくお願いします」というご質問です。

吉村:まず、General Motors向けについてですが、当社の北米現地法人は、もともとGeneral Motorsから出資を受けていた関連会社であったことから、直接General Motorsと取引し、納品を行っています。

一方、今回発表した北米におけるSUBARU向けについては、Tier1メーカーに供給しており、間接的にSUBARUに納めています。これはそれぞれの自動車会社の調達方針によって異なるものです。ただし、商流による当社の利益率には変動がないという点が回答になります。

質疑応答:逆走防止対策におけるHDマップの活用について

司会者:「最近、日本において高速道路の逆走事故が問題になっていますが、デジタル道路地図の技術を活用して、自動車に逆走防止のシステムを導入することはできないのでしょうか?」というご質問です。

吉村:逆走防止については、確かにニーズを感じていただけるところだと思います。今回、事前に質問をいただきましたので、あらためて調べたところ、年間で日本だけで220件程度の逆走が発生しています。

高速道路での逆走がほとんどで、そのうち約50件が毎年実際の事故につながり、全体の約2割が事故になるという状況です。逆走を起こす多くの方は高齢者ですが、最近では交通ルールを理解していない外国人による逆走も増加しています。

このため、国交省は昨年、全国の189ヶ所で逆走が起こりやすい場所を特定し、さまざまなハードウェア的な対策を講じています。逆走防止機器の取り付けについては発表されていますが、それだけでは対応に限界があるというのが現状です。

一方で、今回ご質問いただいたとおり、当社保有のHDマップ(高精度3次元地図データ)では、各レーンや車線ごとに進行方向がデータとして埋め込まれています。これを自車位置の情報とマッチングさせることで、逆走している場合にも非常にわかりやすくその情報を伝えるソフトウェア的な解決が可能です。

問題は、自動車会社がこれを搭載する意思決定をするかどうかという点です。車両制御までしようとすると、高度運転支援システム車両や自動運転車両が対象となるため、一定の導入ハードルがあります。また、これを単純にアラートとして伝えるだけのサービスで、自動車会社がどれだけ収益性を見出すかといった課題もあります。

過去にも当社から提案を行った実績はありますが、最近では220件中50件と事故件数が微増してきたことに加え、外国人の交通ルールに起因する影響が出てきたという業界の新たな動向もあります。

この点を踏まえ、当社としてもあらためて検討を進めたいと考えています。また、ふだんから投資家や株主のみなさまより「このデータはこのように使えるのでは?」といったアイデアをお寄せいただき、社内で議論に活用しています。この場をお借りして、感謝申し上げます。

質疑応答:SUBARU北米市場向け新型「アイサイト」へのデータ提供について

司会者:「直近でSUBARUの受注案件によって、株価もストップ高となり、我々株主にとっても明るいニュースでしたが、詳細を教えていただけますか?」というご質問です。

吉村:SUBARUの北米市場向け新型「アイサイト」に搭載されたものです。今回、新型「アイサイト」の搭載が発表された車種は「アウトバック」です。これは北米市場で月に約1万台、年間では約15万台売れている人気車種となっています。

これにより、当社のデータを継続的に提供している企業は計6社となりました。今回、新型「アイサイト」が搭載されたのは「アウトバック」からですが、今後、搭載車種が拡大していくことを期待しています。

この「アイサイト」の高度化に伴い、ハンズオフアシスト、いわゆる手放し運転や、アクティブレーンチェンジアシストという、前方車両が遅い場合に自動的に車線変更して追い越す機能など、より高度な運転支援機能において、当社が提供する高精度3次元地図データの重要性が一段と高まっています。

また、こうした技術が国連などの規制にも徐々に組み込まれています。その結果、当社データの搭載車販売台数が、ご期待いただいているとおり増加していくものと考えています。

質疑応答:高精度3次元地図データの新車種への搭載について

司会者:「足元は新車への搭載が増えるため最もわかりやすいのですが、他に新車搭載の計画はないのでしょうか?」というご質問です。

吉村:先ほどのSUBARUに関する回答に近いのですが、パイプラインのアップデートのスライドを現在投影しています。複数のパイプライン案件で商談が進んでいる点は、以前から変わりはありません。

また、北米におけるSUBARUの新型「アイサイト」、手放し運転、追い越しや車線変更などのADAS機能の需要は、日本と比較して非常に高いということが確認されています。

近日中にも追加車種への搭載について発表する予定で準備を進めていますが、現時点では名称などをお伝えすることはできません。ただ、最近のニュースでも取り上げられていますが自動車メーカー各社は戦略の見直しを進めています。

これまでのEV向け大型投資に伴って自動車会社各社による大規模な減損処理がニュースになっていますが、次の差別化・投資対象のエリアとして、自動運転やADAS(先進運転支援システム)の開発に各社とも回帰している状況です。このような背景から、当社への引き合いや発注が増加していることは明らかだと考えています。

質疑応答:新たな国・地域での新規データ整備について

司会者:「来期に向けた規模拡大において、データ量を増やして面を取るためには、27ヶ国目以降へ新たに進出する方法もあると思いますが、現時点で具体的な計画はないのでしょうか?」というご質問です。

吉村:実態として、複数の新たな国や地域で新規データ整備の準備を進めているのは事実です。業績予想修正の要因として言及した期ずれ案件も、これら新たな国や地域における新規データ整備の案件ですので、縮小傾向ではなくしっかりと拡大している状況です。

一方、新たな国や地域への進出は、顧客ニーズをしっかり踏まえた上で検討しています。これまでにグローバルで180万キロメートルの新規データ整備を進めてきましたが、同じペースで急速に展開するわけではありません。事業フェーズが新規データ整備から、データの提供と更新へと移行したと考えています。

また、新規データ整備の案件受注については、プロジェクト型案件として採算を重視しながら取り組む方針です。なお、2月に入ってからも新規案件を受注しており、27ヶ国目の案件なども順次発表していく予定です。

質疑応答:PTVとのアライアンスの成果について

司会者:「3Dデータのライセンス型ビジネスについて、PTVとのアライアンスの成果はいつ出てくるのでしょうか? 毎四半期の説明の中で定量的な説明がないため、来期以降にどの程度期待できるのかわかりません。詳しく教えてください」というご質問です。

吉村:PTVですが、2025年の8月に、我々のデータを活用した新しい共同プロダクトをリリースしました。しかし、その売上貢献が依然として限定的で、計画を下回っているのがPTVとのアライアンスの現状です。

この「Model2Go for PTV Vissim」というのが新しい共同プロダクトですが、我々のセンチメートル級のデータを基に、PTV Vissimという世界最大の公共交通系シミュレーション用のデータの道路ネットワークを自動生成し、即時にシミュレーションに展開して利用できるプロダクトです。

対応地域ですが、当社は世界最大の3Dデータアセットを保有しているため、米国、カナダ、ヨーロッパ、日本、韓国など26ヶ国での利用が可能です。この体制は、PTVが当社データの代理店(ディストリビューター)として販売を行うかたちで、昨年8月にスタートしました。

しかし、開始から半年弱が経過した現在、PTVからの案件数が予想ほど伸びていないのが実態です。立ち上げたばかりでPTV側の販促活動が追いついていない可能性も考えられますが、それにしても件数は少ないと感じています。

当社としては、これもライセンス型ビジネスであり、固定費はかからず、売れた分がそのまま売上と利益に直結する仕組みとなっています。そのため、大きなマイナスはありませんが、期待していた分、再度ブーストをかけたいと考えています。

今月もヨーロッパ、特にドイツ本国や日本側とミーティングを行い、来期に向けた取り組みを進めています。

質疑応答:ゲーム分野における高精度3次元地図データの活用について

司会者:「自動車以外にも用途が広がることが、DMPの成長可能領域だと思います。例えば、ゲーム向けにデータを提供するニュースがあったと思いますが、具体的にどのデータが使われているのか教えてください」というご質問です。

吉村:ゲームについては、先ほど逆走防止の際にお答えしたように、投資家から「ゲームにもこういうデータが使えて、可能性があるのではないか」というご質問をいただいたところもあり新規のチャレンジとして取り組んでいます。

具体的にはスライドに投影していますが、フランスのApex Studioが開発しているオープンワールド型のドライブゲームで『Apex Point』というゲームがあります。ここに、当社の横浜市大黒ふ頭エリアにおける高精度3次元地図データを提供しました。

これは興味深い点ですが、自動運転向けに実際に利用されている高精度3次元地図データをゲームに実装したことで、実世界とほぼ同じ走行体験をゲームユーザーに提供できるようになりました。

近年のゲーム業界では、より高い没入感が求められています。特にドライブゲームにおいては、リアルな世界をそのまま走れることに価値があり、道路の形状や周辺環境の再現度がそのタイトルの価値を大きく左右する要因となっています。

ゲーム領域は当社にとっても新たなマーケットであり、この高精度3次元地図データを保有する各国で展開する可能性があると考えています。現在、国内においてもゲーム会社と連携し、ドライブ向けデータの提供についてディスカッションを進めています。

すでにあるデータ資産の活用領域を拡大し、収益源の多様化と拡大に取り組んでいます。

質疑応答:「3Dmapspocket」の開発と利用について

司会者:「プレスリリースを見ていると、『3Dmapspocket』というソフトウェアの開発に関するリリースが増えていますが、どのような開発をしているのでしょうか? 利用は増えているのでしょうか?」というご質問です。

吉村:「3Dmapspocket」ですが、まず3次元点群データを確認するためのソフトウェアとしてローンチしました。その後も継続的に機能強化を進めており、直近では総合3D空間プラットフォームとして新たにローンチしています。

簡単にお伝えすると、Googleの「Photorealistic 3D Tiles」というものがあり、この機能に実写3D表示を新たに追加しました。

点群データとは点の集合体を指しますが、今回の追加開発により、実写の衛星写真などを組み合わせて3Dの写真をハイブリッドで表示することが可能になりました。これにより、都市空間をリアルかつ写真のようなかたちで3次元的に再現できるだけでなく、詳細な構造を精密に確認することができます。

また、実写の3D上で高度な計測機能が追加され、距離、高さ、面積、容積といった情報を正確に把握することが可能です。

これまで、点群データは写真データが中心で、主に道路関連の利用が主流でした。しかし今回は、衛星情報や衛星写真データなどさまざまなデータを組み合わせることで、建築、都市計画、都市開発、さらにはインフラ点検といった用途まで、道路に限定されることなく幅広く活用できるレベルへと進化しています。

さらに、追加開発により任意の3Dオブジェクトを配置できる仮想配置機能を実現しました。例えば、地球上の任意の場所を更地にして、そこへ自分たちが作成したBIMデータやCIMデータを実サイズで配置し、景観の変化や日射の影響などをシミュレーションすることが可能です。

この機能により、ユーザーが作成した3Dモデルを実写の3D空間に配置して重ね合わせることで、さまざまな検証ができるようになりました。

従来の点群ビューアーは、主にインフラ管理や事故調査を目的に、高速道路会社や保険会社が利用しており、本格利用は一部に限られ、多くの場合はPoC的な使用にとどまっていました。

しかし、今回のローンチにより、顧客層が広がり、都市開発の当局、デベロッパー、設計会社といった幅広い分野へ商品の説明や提案をご紹介しているところです。

とはいえ、この「3Dmapspocket」自体は現時点では売上への貢献が限定的であると考えています。これは従来存在しなかったまったく新しいプロダクトであるため、市場への浸透にはエデュケーションが必要であり、売上や利益への貢献には時間を要しています。

そのため、ユースケースの拡大や潜在顧客への効果的な販促活動に取り組む必要があります。来期における可能性の高い分野を見極め、リソースが限られる中で方向性を定めて対応していきたいと考えています。

質疑応答:海外の州政府案件について

司会者:「海外州政府との案件は、今期は成約に至らなかったとのことですが、海外でのオートモーティブ以外の事業は進捗しているのでしょうか?」というご質問です。

吉村:海外の州政府との案件ですが、これは2024年度に小規模ながら成約し、市場に参入しています。今期は売上拡大を目指していましたが、12月決算でアメリカが締まったため、結果的に今期の成約には至りませんでした。

政府機関を顧客とする特殊な市場で、これを海外で展開するという内容です。業界内での関係性構築が重要であり、例えば北米のインフラ業界に精通した人材の配置など、採用や対応を進めています。

インフラ管理や安全な交通環境、V2X環境の整備において、当社が整備したデータが非常に有効であることは調査でも認識されています。これによりライセンス型の売上として大きな収益機会となる可能性があり、またAI時代の基盤データのスタンダードとなる可能性もあると考えています。

ワシントン、つまりアメリカの連邦政府にも働きかけを進めています。ただし、簡単に参入できる市場ではないのが実情です。当社は国内で3Dデータビジネスを展開しており、これをうまく海外にも広げていくことを目指しています。

時間はかかっていますが、オートモーティブ以外の分野への大きな取り組みを進めており、この推進を来期も継続していく方針です。また、オートモーティブ以外の事業を推進する新たなチームを北米に設置することも検討しています。

質疑応答:日本海測量設計の買収と測量能力拡大について

司会者:「買収した日本海測量設計を第3四半期に連結決算へ取り込んだと思いますが、その定量効果はいくらなのでしょうか? また、今後もロールアップ型の投資を行っていく計画だと理解していますが、投資収益はどのように考えているのでしょうか?」というご質問です。

吉村:日本海測量設計ですが、買収前の2024年度実績は、売上高が約2億円、営業利益が6,000万円超、EBITDAが約8,000万円で、営業利益率はおよそ3分の1、33パーセントを達成している会社であるというプロファイルです。

第3四半期に取り込んだ具体的な数字をご説明します。売上高は約5,200万円、営業利益は約1,600万円となっています。このロールアップ型のM&A活動においては、社内で投資規律を設定しており、EV/EBITDAのマルチプルを5倍以内に抑える方針でソーシングしています。

その中で、日本海測量設計も、投資効果が十分にあると考えています。今後のロールアップについても、グループとしてP/Lへの貢献はもちろん、ROI(投資利益率)においても業績への貢献を確実に果たしてくれると見込んでいます。

また、この測量ネットワークの構築は、投資利益やP/L収益の確保はもちろんのこと、事業拡大を進める上で課題となっている測量能力の拡大や、地域の測量業界を取り巻く課題の双方を解決するために取り組んでいます。

プロジェクト型を進めていく際に、空港、港湾、物流センターといった狭域・特定エリアに対してソリューションを提供する場合、3Dデータの取得が必要です。この際、従来のMMSを用いた大規模なデータ量は必要ではありませんが、ピンポイントでの測量が求められます。

そのため、事業拡大に向けて、測量技術を拡充することが重要です。スライド下に示されているドローンやハンディタイプの測量機器を活用するなど、測量技術を強化するとともに、機動的な測量体制の整備が不可欠です。

これまでは外注を利用していましたが、外注だと外部に資金が流出するだけで終わってしまうため、グループ内で対応することで技術力を高めるとともに機動性を確保する取り組みを進めています。

社会課題の解決を最重要視し、このロールアップを進めていきたいと考えています。日本のインフラは老朽化が進んでおり測量はすべての建築・土木の起点となります。我が国では測量事業者が減少し、その担い手が、この20年間で大幅に減少している状況を受け、担い手の確保と維持をきちんと行う必要があります。

デジタルインフラ整備に新技術を導入する取り組みをDMPグループとして進め、地域の測量業界を取り巻く課題解決にもしっかりと貢献していきたいと思います。また、数字としても確実な実績を出していきたいと考えています。

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