2026年3月期決算説明
ダイダン、過去最高の繰越工事高を確保 好採算案件・施工効率化で営業利益・ROEは中計目標を大幅超過の見込み
2026年3月期 決算説明

佐々木洋二氏(以下、佐々木):取締役上席執行役員CIO兼業務本部長の佐々木です。2026年3月期の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は、2026年5月13日公表の2026年3月期決算、2027年3月期業績予想、および中期経営計画の進捗状況について、ご説明します。
連結業績サマリー

2026年3月期の連結業績のサマリーについてご報告します。
2026年3月期の連結業績は、採算性の向上により過去最高益を達成しました。さらに受注工事高も過去最高を更新し、期末繰越高も大幅に増加しました。
主な経営成績の内容は、次のとおりです。完成工事高は2,562億2,800万円で、前期比2.5パーセント減少しました。受注工事高は3,531億200万円で、前期比25.5パーセント増加しました。
営業利益は344億7,900万円で、前期比49.7パーセント増加しました。期末繰越工事高は3,552億7,300万円で、前期比37.5パーセント増加しました。また、ROEは22.5パーセントとなりました。
連結業績サマリー:連結営業利益増減の内訳

連結営業利益の前期からの変動についてのウォーターフォールチャートです。
2026年3月期の連結営業利益は、完成工事高の微減やベースアップに伴う従業員給料の増加、現場業務効率化・事務作業効率化をはじめとするDX投資等による一般管理費の増加などの減少要因がありました。一方で、完成工事総利益率の上昇による増加要因により、前期比で大幅に増加し、344億7,900万円となりました。
連結業績サマリー:完成工事・営業利益および利益率の推移

営業利益面の推移についてご説明します。
営業利益および営業利益率が上昇傾向にある主な要因は、完成工事総利益および完成工事総利益率の上昇によるものです。
完成工事総利益は560億8,300万円となり、前期と比べ147億3,400万円増加しました。完成工事総利益率は21.9パーセントとなり、前期に比べ6.1ポイント上昇しています。
この要因は、施工段階におけるプレハブ・ユニット加工のためのオフサイト施設を活用したフロントローディング、バックオフィスからの現場サポートによる施工プロセスの高度化、加えて、近年の建設工事の大型化を背景に、事業所間で流動的に人員を配置し、全社的なバックアップ体制を通じて施工体制を構築するなど、工事原価低減の各種施策によるものです。
これらにより、営業利益および営業利益率も上昇しています。
連結業績サマリー 連結経営指標等(財政状態)の概要

財政状態の概要をご説明します。スライドでは、連結経営指標のうち財政状態を示しています。
総資産は2,320億円となり、前期末に比べ7.8パーセント増加しました。これは、売上債権の回収が順調に進み、現金及び預金が増加したことによる流動資産の増加、借入金返済による流動負債の減少、利益剰余金の増加による純資産の増加などによるものです。
右下の重要な財務指標についてご説明します。1株当たり純資産(BPS)は1,008円47銭となり、前期末に比べ176円65銭増加しました。
また、3月末の株価は2,623円となり、株価純資産倍率、PBRは2.60倍となりました。その他の重要な財務指標は、スライド右下のとおりとなっていますので、ご参照ください。
連結業績サマリー キャッシュ・フローの内訳

キャッシュ・フローの変動についてご説明します。
前期に進捗した大型工事の代金回収が進んだため、現預金は大きく増加し、現金及び現金同等物の期末残高は819億2,500万円となりました。
営業活動、投資活動、財務活動によるキャッシュ・フローの主な増減は、スライド右下にあるとおりとなっていますので、後ほどご参照ください。
なお、当社はお取引先さまとの共存共栄を目指し、さらなる関係強化の取り組みの一環として、すべてのお取引先さまに対する支払条件を2026年1月支払い分より全額現金で支払うこととしました。
今後もサプライチェーン全体で社会的責任を果たすべく、さまざまな取り組みを推進していきます。連結業績のサマリーに関するご説明は以上です。
連結受注工事高の状況:産業施設工事

2026年3月期の決算の概況についてご説明します。
まず、連結受注工事高の状況についてです。スライドは、連結受注工事高のうち、産業施設工事の受注状況を示しています。当社では、工場、研究所、データセンター、物流施設を産業施設工事と区分しています。
産業施設工事の受注は、大型案件の計画の延期や中止により1,305億100万円となり、前期と比べ323億円減少したものの、引き続き高水準で堅調に推移しています。
来期に向けて、計画延期した工事や今後受注が見込まれる工事を中心に、安定的な受注の確保に努めていきます。
連結受注工事高の状況:海外工事

海外工事の受注状況についてです。当社の海外事業は、シンガポールを中心に、タイ、ベトナム、台湾の4ヶ国で展開しています。
海外工事は、シンガポールにおいて、大型プロジェクトの受注およびPresico Engineering Pte. Ltd.(以下、Presico社)の連結子会社化により、652億8,800万円となりました。前期と比べ254億1,700万円増加し、全体で大幅な増加となりました。
連結受注工事高の状況:リニューアル・新築工事

リニューアル・新築工事の受注状況についてです。
リニューアル工事は、大・中規模、小規模工事ともに増加した結果、1,334億700万円となり、前期と比べ224億700万円増加し、過去最高の受注を達成しました。
また、新築工事は、海外の大型医療関連施設等の受注により2,196億9,500万円となり、前期と比べ494億2,300万円増加し、過去最高の受注を達成しました。これにより、受注全体においても過去最高を達成しました。
連結完成工事高の状況

連結完成工事高は、前期と比べ65億300万円の減少となったものの、Presico社の連結子会社化や好調なリニューアル工事の受注および竣工により、概ね期首の計画どおり推移し、2,562億2,800万円となりました。
期末繰越工事高の状況

期末繰越工事高は、期首繰越工事高が増加した中、旺盛な建設需要を背景に受注工事高を確保したことにより、3,552億7,300万円となりました。前期に比べ968億7,300万円増加し、過去最高となりました。
来期以降の期末繰越工事高も、海外工事、リニューアル工事を中心に、引き続き高水準で推移する見込みです。
連結通期業績予想 2027年3月期 連結通期業績予想の概要

2027年3月期の連結通期業績予想については、中期経営計画「Stage2030 Phase2 磨くステージ」に基づく事業戦略により、完成工事高は前期と比べ3.4パーセント増加の2,650億円としました。
各段階利益においても、良好な受注環境による完成工事高の増加を受け、増益となる見通しです。
また、受注工事高は3,600億円、期末繰越工事高は4,502億7,300万円とし、過去最高であった2026年3月期を上回る見通しです。
連結通期業績予想【参考】

なお、業績予想の詳細については17ページをご参照いただきますようお願いします。
株主還元

株主還元についてご説明します。
当社は健全な財務体質の構築に努めるとともに、経営上の最重要施策である株主への利益還元を進めており、「配当性向40パーセント以上かつ純資産配当率(DOE)4.8パーセントを下限とすること」を配当方針としています。
この方針に基づき、2027年3月期の配当金は、中間配当42円、期末配当43円の計85円とさせていただく予定です。
以上で、2026年3月期の決算と2027年3月期通期業績予想についてのご説明を終わります。
中期経営計画《磨くステージ》

内藤健氏(以下、内藤):上席執行役員社長室長の内藤です。中期経営計画「磨くステージ」の状況を説明します。
「磨くステージ」では、「人材戦略を基盤とした人づくりの実現により企業価値を高める」を一貫した経営方針として注力していきます。
重点領域として定めた4つの事業領域を軸に、グループ一丸となって取り組んでおり、総じて順調に最終年度を迎えます。
中期経営計画《磨くステージ》数値目標

「磨くステージ」の数値目標の状況です。
「磨くステージ」の計画最終年度である2027年3月期は、連結売上高が2025年5月に修正した目標に対して若干未達の予想ながら、連結営業利益とROEは修正目標を大きく超過達成する見込みです。
目標に対する進捗評価

連結売上高は、大型案件の谷間により2027年3月期まで踊り場が続く見込みですが、これは想定範囲内です。
海外事業の安定的な寄与や過去最高となる繰越工事の確保など、次期中期経営計画の成長につながる前向きな進捗が実現できていると考えています。
連結営業利益とROEの上振れは、受注環境の追い風に加え、大型工事の積極的な受注や施工効率化施策が奏功し、収益力が抜本的に向上した結果と評価しています。
キャピタルアロケーションの見直し

キャピタルアロケーションの見直しについて説明します。
好調な収益状況を踏まえ、キャッシュインは中期経営計画(中期経営計画)の3年間累計で150億円増加し、810億円と想定しています。
増加するキャッシュのうち、株主還元には50億円、成長投資には100億円をそれぞれ振り分けます。
成長投資の追加分は、繰越工事の増加に備えて運転資本を確保した上で、採用強化やAI・DX投資といった広義の人的資本投資に積極的に取り組み、次期中期経営計画でさらに収益力を向上させることを目指します。
政策保有株式の縮減状況

政策保有株式は着実に縮減を進めています。
政策保有株式の連結純資産比率は19.4パーセントとなり、目標である20パーセントを1期前倒しで達成しました。今後も資本効率向上に向け、さらに縮減を進めていきます。
人的資本強化への取り組み

人的資本強化への取り組みを説明します。
国内施工力の量的拡大に向け、毎年100名以上の新卒・中途採用を継続してきました。その結果、連結ベースでの2026年3月末の社員数は2,568人となり、2,500人を超えました。
なお、2026年3月期には、2026年4月1日入社の新卒採用168名に加え、中途採用66名の計234名を採用しました。
人的資本強化への取り組み

加えて、従業員一人ひとりの早期戦力化を目指し、戦略的な人材育成にも本格的に取り組んでいます。
具体的には、キャリアの段階に応じた研修制度を整備し、実務に直結する知識や技術を習得できる機会を充実させています。
2025年10月から本格着工した八尾研修所の高度化改修工事も一部完成するなど、順調に進捗しています。
人的資本強化への取り組み

さらに、直近3年間で累計15.77パーセントの給与ベースアップを実施したほか、従業員持株会向け株式インセンティブ制度を導入しています。
また、役職員の健康作りに資する施策に継続的に取り組んだ結果、「健康経営優良法人2026」の大規模法人部門で、ホワイト500に2期連続で選定されました。
人的資本の質・量両面での充実は当社の価値創出の源泉であり、今後も引き続き強力に進めていきます。
空調衛生工事の施工力強化への取り組み

収益の基盤となる空調衛生工事の施工力強化に向けた取り組みを説明します。
現場作業の省力化や標準化による施工力の拡大と生産性の改善を図るため、オフサイト加工施設の機動的な展開を加速しています。
当社では、常設の5ヶ所のオフサイト加工施設に加え、現場近隣へスポット的にオフサイト加工施設を展開することで、手待ち時間や物流費の圧縮を図っています。
このような現場単位の施設をすでに6ヶ所稼働させており、今後さらに6ヶ所を増設する予定です。
パートナーシップ強化への取り組み

施工を担う技能者を有する協力会社とのパートナーシップ強化に関しては、ベトナム人技能実習生の来日支援を開始するなど、協力会社の採用強化支援に多面的に取り組んでいます。
電気事業への取り組み

電気事業では、電気技術者を毎年30名以上採用することで、施工力を着実に向上させています。
加えて、高度な技術を要する大規模工事の受注にも積極的に取り組むことで、事業規模を着実に拡大しています。
海外事業への取り組み

海外事業は、連結化したPresico社の安定した寄与もあり、業容を大きく拡大しました。連結業績への存在感がある事業となってきたため、今後は利益率の向上に取り組み、連結経営に持続的に貢献する事業への進化を目指します。
再生医療事業への取り組み

事業化を目指す再生医療事業は、機器販売事業と細胞製造受託事業の両輪で取り組んでいます。
特に昨年度は、細胞製造受託事業で連結化したセラボヘルスケアサービス社が治験薬の製造受託が本格化し、経済産業省の再生医療等製品CDMO企業リストに掲載されるなど、着実な成果につながっています。
サステナビリティへの取り組み

最後に、サステナビリティへの取り組みを説明します。
当社では、温室効果ガス排出削減の継続、エンゲージメントスコアの向上、階層別コンプライアンスワークショップの実施など、環境・社会・ガバナンスの各側面で持続的な企業価値の向上と社会課題の解決に取り組んでいます。
質疑応答:売上高・利益成長の見込みについて

司会者:「受注工事高は過去最高である一方で、完成工事高は減少しています。売上成長が伸び悩む中で、利益だけを伸ばせる状況はどこまで持続できるか、今後の売上・利益の成長イメージを教えてください」というご質問です。
山中康宏氏(以下、山中):代表取締役社長執行役員の山中です。売上高の減少というご質問と、売上成長が伸び悩むというお言葉がありましたが、この1、2年における完成工事高は想定どおりです。
3年前までは、資料13ページのグラフのとおり、完成工事高は2024年3月期までの2,000億円を下回る水準で推移していましたが、2025年3月期に一気に2,600億円まで伸びました。受注時の工事工程から、この中期経営計画の期間中は一時的に踊り場があると予想していました。
したがって、完成工事高が伸び悩むというよりも、現在の繰越工事量を見ていただければ明らかなとおり、来期以降、一気に完成工事高を伸ばしていけると考えています。
売上予想が横ばいの中で、さらに利益を伸ばしていけるのかというご質問ですが、完成工事高を2,600億円に一気に伸ばした際の利益を押し上げた主な要因としては、オフサイトの活用と、大型工事への本格着工前のフロントローディングが挙げられます。
ここ2、3年の取り組みを通じて、大型工事に対してどの段階でどのような作業を進めていくべきか、どの時期にどれくらいの人材を投入してフロントローディングを実施するべきかを学び、結果として成果を出せる体制が徐々に整ってきています。
また、会社に現場サポート部門を設け、バックオフィスから施工中の現場をサポートすることで利益を伸ばしてきました。ただし、現状で完全な状態に至ったわけではなく、さらなるブラッシュアップが可能と考えています。そのため、今期の売上高が横ばいであっても、この取り組みを続けていくことによって利益を上げていけると見込んでいます。
さらに、競争の緩和により受注時採算が上がったり、現場が最終段階に差し掛かった際の追加工事の獲得や、国の施策等もあり物価スライドなどの要素を適切に反映できるようになったことも、引き続き利益拡大に寄与していくと考えています。
加えて、来期から受注残の消化が進むことにより、完成工事高が大きく伸びることで利益もさらに向上すると期待しています。
ここ数年の推移を踏まえると、次の中期経営計画の3年間においても、利益の成長が見込めると考えています。
質疑応答:期末現金状況について
司会者:「現金および現金同等物がかなり増えていますが、自己資本利益率が上がっているように見えます。株主還元、あるいは成長投資等、どのように使われる予定ですか?」というご質問です。
佐々木:ご指摘のとおり、2026年3月期の期末の現金および現金同等物は約800億円と、大きく積み上がった状態であると認識しています。
この要因としては、売上高が横ばいで推移してきた中、昨年度までに竣工した工事代金の回収が大きく進んだことが挙げられます。
その一方で、手元現金のうち、預かり消費税や法人税など租税として支払うものが数多くあり、期末に向けて約170億円から200億円の現金が減少すると想定しています。 また、先ほど社長の山中から説明があったように、来期以降、売上高が大きく伸びることを見込んでいるため、その際の運転資金の増加に備え、手元に一定程度の現金を確保する必要があると認識しています。
株主還元の強化については、自己株式の取得を選択肢の1つとして検討していく方針です。成長投資やM&Aに関する内容は内藤から説明します。
内藤:先ほど説明したとおり、成長投資は好調な利益環境を背景に530億円まで増加させています。そのうち、M&Aには約150億円前後を拠出できると考えています。
すでに現在、Presico社をはじめとしたM&Aに約30億円を投じているため、予算枠としては100億円強の案件にも対応できる状況にあると考えています。
みなさまからも「国内の施工力が逼迫しているので、M&Aで底上げできるのではないか?」という提案をいただくことがあります。当社としてもそのような良い案件があれば積極的にチャレンジしたいと考えており、日々多くの案件が持ち込まれている中で、スピード感を持って検討を進めています。
しかしながら、国内においては、非常に高稼働な状況が続いており、まず対象企業の価格が非常に高騰しています。また、例えばM&Aの対象となる企業も、すでに最大限の施工を行っているケースが多く、そのような企業を対象にM&Aを実施した場合、大きな成長余地がないことが懸念されます。
その結果、価格のみが上がり、M&Aによるシナジーが現時点では非常に発揮しにくい状況にあります。そのため、案件ごとの詳細な検討を進めつつも、慎重な対応をせざるを得ない案件が大半を占めています。
一方で、海外の施工会社に対するM&Aには、非常に大きなチャンスがあると考えています。
東南アジアの設備会社は現在成長期にあり、技術や資金を必要とする企業が増加しています。そのような背景から、技術力や資本力のある日本の企業とのアライアンスを模索するケースが着実に増えている印象を持っています。
当社は、シンガポールのPresico社の買収事例が現地や近隣諸国において広く認知されているようで、これが呼び水となり、最近、当社に匿名で声がかかるケースが増えています。
海外では、当社の資金力や国内外での実績と、成長段階にある企業の事業基盤を組み合わせたM&Aが、双方にとってWin-Winとなる大きなチャンスを生み出す可能性があると考えています。そのため、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えています。 新規事業である再生医療事業領域においては、着実にアライアンスや投資を進めていく必要があると考えています。
スタートアップが中心の市場であるため、1件あたりの規模はあまり大きくなく、果実を得られるのは先のことになりますが、堅実な経営を持続しつつ投資を行うことが、将来の大きなリターンにつながると考えています。
質疑応答:自社株取得による株主還元について
司会者:「自社株取得による株主還元については、どのように考えていますか?」というご質問です。
山中:当社の株主還元政策は、一貫して配当を優先しています。現在、配当性向40パーセント以上、DOE4.8パーセントを下限とすることを重要施策としています。
現時点では自己株式の取得を予定していませんが、自己株式については常に検討を続け、必要に応じて機動的に実施するというのが当社の考え方です。引き続き、増益による増配を実現する方針は変わりません。
質疑応答:売上総利益率について
司会者:「2026年3月期第4四半期単独の売上総利益率が、第1四半期から第3四半期の売上総利益率よりも落ちている理由を教えていただきたいです。また、今後の売上総利益率の見通しも教えてください」というご質問です。
佐々木:完成工事総利益率は、ご指摘のとおり、第4四半期を見ると19.0パーセントと、他の四半期に比べて若干下がっているように見受けられます。
しかし、当社としては特にこの第4四半期が下がったとは認識していません。工事が大型化しているため、大型案件の進捗・完成タイミングに利益率が上がる傾向があります。
例えば、2026年3月期は、第1四半期で利益率の高い案件の寄与により大きく利益が上がり、第3四半期でも一定の利益率を確保できたと認識しています。一方で、第4四半期はそのような案件が若干少なかったため、第4四半期単独に着目すると利益率が低く見える結果となっています。
工事が大型化したことにより、工事の進行タイミングなどで利益率が若干変動することがありますが、年間を通じて高い利益率を確保できたと認識しています。
今後の完成工事総利益率の見通しについても、山中の説明にもあったとおり、オフサイトやバックオフィスからの現場サポート、その他の活用により、一定の利益率を確保できるものと認識しています。
質疑応答:中東情勢の影響と対応策について
司会者:「豊富な手持ち工事がある一方で、中東情勢の影響による資材不足等によって、工期のしわ寄せのリスクもあると思いますが、どのような対応策があるのでしょうか?」というご質問です。
山中:中東情勢による影響については、材料不足やサプライチェーンの乱れによる工期へのしわ寄せがあるかもしれないという不安は常に抱えていますが、今期予想においては、イラン情勢の影響は特に見込んでいません。
材料の不足や価格高騰に対して、当社は一定の対応能力を持っています。一方でゼネコンの前工程において影響が出る可能性もあり懸念しています。そのため、これらの動向を注視し、機敏に対応できる体制を整える方針で、すでにその体制作りは開始しています。
具体的な対応策として、新規の見積もり時「工程の遅れもしくは急な材料の高騰等があった場合には、新たな追加工事のお願いをするかもしれません」という文言を盛り込むかたちで対応しています。
質疑応答:事業規模・売上規模について
司会者:「手持ち工事が豊富にあると思いますが、御社の事業規模・売上規模はどの程度まで伸ばしていける余地があるのでしょうか? また、売上高がどのようなカーブを描いて出てくるのか、来期に大きく売上が出てくるのか、再来期に大きく出てくるのか、イメージ感を教えていただきたいです」というご質問です。
山中:おっしゃるとおり、手持ち工事は非常に豊富です。受注残高が大きく積み上がっており、来期の計画では、期末までにさらに1,000億円を積み上げるという事業計画を描いています。
ここからどの程度まで伸ばしていけるのか、また、どのような進展パターンを描いていくのかという点ですが、今期は中期経営計画「磨くステージ」の最終年にあたります。そのため、次の3年間については「輝くステージ」という名称を掲げた中期経営計画を策定する1年になります。この計画の中で、どのような方向性を持たせていくのかを明確にしていく予定です。
ただし、現時点で当社の成長の基盤となっているのは、やはり当社の社員、もしくは現場で働いてくださるサプライチェーンの技能者のみなさまの人数です。当社では7年前から毎年100名規模で新たな人材を採用し、社員数を増やしてきました。また、研修制度にも変化を加え、さらなる成長を促しています。
7年前に採用した新入社員が、これから3年後には勤続10年目になります。彼らが一人前として独立して業務を遂行できるようになり、その成長のカーブが、いわば人口ボーナスのように大きく跳ね上がる時期が来るのではないかとイメージしています。
現在は受注残高が豊富であるため、再来期には間違いなく売上が大幅に上がると見込んでいますが、その先も人員施策を通じてさらに大きく成長させられるのではないかと考えています。
質疑応答:社員の確保・育成に関する取り組みについて
司会者:「御社が事業規模を拡大していける背景には、どのような理由があるのでしょうか? これまで取り組まれてきた人づくりへの施策などを詳しくご教示いただきたいです」というご質問です。
内藤:まず、当社の技術社員を確保することが成長の第一歩である点は、社長からも申し上げたとおりです。
当社では、他社に先駆けて新卒採用の強化に取り組んできました。2023年3月頃から、約50名の社員増を実現しています。これらの人材が着実に育ち、戦力化していることから、この採用強化によるこれまでの蓄積と今後の継続が、基本的には重要な原動力になると考えています。
また、採用するだけでなく、それをどのように育成するかという施策も重要だと考えています。従来、教育研修は人事部などのコーポレート部門が主導で行っていましたが、これを技術本部、すなわち技術現場主導に切り替え、より現場に密着したかたちで技術・技能を育成する組織体制に変更しています。
このような変更をさらに加速させるため、大阪府八尾市にある研修所を、現場の研修に即したかたちになるよう高度化工事を進めています。
最後に、処遇やベースアップですが、3年間累計で15.77パーセントのベースアップを実施しました。また、処遇面では、現場手当の充実など、現場に出る社員の働く環境を整備することを重要視しています。
さらに、業界特性として、事業所単位で人員・スキル・ノウハウが固定化しがちという課題があります。これに対して、事業所や事業部を超えたローテーションを実施するなどの取り組みを行っています。
多角的な経験を通じて、早期に実効性のある教育を行える体制を整えています。
質疑応答:海外事業の位置づけについて
司会者:「大型施設受注とPresico社連結によって、海外受注工事高が大幅に増加しています。海外事業の受注高・売上高・利益動向に関して、2027年3月期予想、および中期的見通しや方向性を教えてください。
一般に、海外建設事業は採算性が低く、業績の足を引っ張るといわれていますが、御社にとっての海外事業の位置づけや強み、改善課題などをご教示ください」というご質問です。
山中:これまでも過去の決算説明会等でお話ししてきましたが、海外事業は一貫して、さまざまなリスクや利益への貢献などを考慮し、海外の売上高を会社全体の15パーセントから20パーセントとすることを目標にしています。現在、当社の売上高は約3,000億円に近づいていますので、そのうち海外事業は450億円から600億円を目標と考えています。
今後も海外の売上高のさらなる向上を目指すという目標に変わりはありませんが、ご指摘のとおり、海外の利益水準は現在の国内に比べて、低採算であることに変わりはありません。
そのため、次期中期経営計画では、会社全体の売上高が増加しても、あわせて海外の売上高を飛躍的に伸ばす方針をとるわけではありません。海外の売上高の目標をある程度抑えつつ、3年間で利益改善に取り組みたいと考えています。
その後、利益改善が達成された上で、さらに次の中期経営計画において大きく売上を伸ばし、利益体質の改善を図る方針です。
2027年3月期の予想についてですが、受注工事高はすでに見えている部分があり、600億円程度を見込んでいます。一方、完成工事高は350億円程度になる見通しです。
質疑応答:海外事業の伸長や継続性について
司会者:「海外事業の伸びはシンガポールの大型案件依存が強い印象ですが、案件の分散や継続性はどのように見ておけばよいでしょうか?」というご質問です。
山中:シンガポールは非常に長い歴史を持つ拠点です。現在、シンガポールにはシンガポール支店と、そこから派生した現地法人であるDAI-DAN INTERNATIONAL ASIA PTE.LTD.そして関係会社のPresico社と3つの事業体制となっています。シンガポールでは、先ほど言及したように大型物件の受注が進んでいます。これは、当社がシンガポールにおいて、長い歴史の中で培ってきた実績によって信頼を得た結果であり、政府系の大型案件の入札を積極的に進められる環境にあるためです。その結果として、大型工事の受注を実現しています。
一方で、Presico社は中小型のローカル企業からの仕事を中心に事業を展開しています。ただし現状では、Presico社の方が利益率が高いという実情があります。入札競争が厳しい中でも、地元に密着した活動により成果を上げています。
このように利益率の高さも踏まえると、この3つの事業体制をより利益体質に変えていくためには、Presico社の役割は非常に大きいと考えています。
いずれにしても、現在はシンガポールを中心に、大型および中小型の仕事を受注できる状況が整ってきています。今後は高い利益を上げられる体質へと改善を進め、さらなる成長を目指していきたいと考えています。
また、タイを含む東南アジア諸国においても当社の展開は進んでいますが、まだこれからという段階です。この間に日本からの支援や営業活動を含め、他地域にも事業を分散し、それぞれの強みを発揮していきたいと考えています。
質疑応答:来期以降の成長見通しについて
司会者:「売上高は来期に踊り場を脱するとのことですが、現状の繰越工事高から判断するに、来期の売上高の成長率は10パーセント超のイメージでしょうか?」というご質問です。
内藤:来期以降の中期経営計画は現在策定中のため、具体的な数字は申し上げられません。ご指摘のとおり、繰越工事高は過去最高となっています。現在は踊り場にありますが、来期から再び成長の軌道に乗せるためには、相応の加速が必要と考えています。
次期中期経営計画においては、建設物価の上昇率を年率4パーセント程度で見込む必要があると見ています。そのため、3年累計の実質ベースで考えると、売上高は年間4パーセント以上の成長を達成しなければ、企業成長を実現できないと考えています。 具体的な数字は、現在策定中のため示すことはできませんが、ご期待いただいてもよい水準になるのではないかと考えています。
質疑応答:受注時の採算性について
司会者:「受注時の採算性は、若干だったとしても、まだ一応は右肩上がりの状況でしょうか? それとも、さすがに少し下がってきたイメージでしょうか?」というご質問です。
山中:ここ数年、需給関係の変化により競争環境が緩和された結果、受注時の採算性はかなり向上しました。ただし、これ以上採算性を上げようとすると、競争が再び激化する可能性があると考えています。この点は、物件の規模などにもよるのが実情です。
当社としても、将来的にストックとなる案件においては競争に勝つ必要があるため、受注時の採算性をある程度下げてでも契約を獲得しなければならないと考えています。一案件ごとにどのような戦略で臨むかが重要ですが、現状では採算性が高い水準を維持しているという印象です。なお、今後の受注時採算の上がり下がりについては、現時点で明確な見通しはありません。
質疑応答:現預金と余剰資金の基準について
司会者:「手元の現預金は、月商の何ヶ月分を確保しておく必要があるという考え方でしょうか? 余剰資金とならないような基準があるのかをうかがいたいです」というご質問です。
佐々木:手元の現預金は、これまでもこのような場で「月商の2ヶ月分」と申し上げてきました。現在の売上規模で考えると、450億円から500億円程度の現金が必要であると認識しています。
一方で、現時点の800億円という現預金は、一部を租税の支払いや来期以降の運転資金に充てるため、特に余剰資金ではないと考えています。また、余剰資金とならないための明確な基準は、現時点では設定していません。
繰り返しとなりますが、工事の大型化が進む中で建て替えが大きく先行し、その後に大きな入金が見込まれる工事が増えている状況です。このため、工事の支払条件によって手元資金が大きく変動する状況が続いています。余剰資金の基準については、今後検討していく方針です。
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「建設業」のログ




