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株式会社TORICO7138

東証グロース

小売業

株式会社TORICO沿革

安藤拓郎氏(以下、安藤):はじめまして。株式会社TORICO代表取締役の安藤です。本日はお時間をいただき、ありがとうございます。

本日は、TORICOのこれまでの歩みと、今後の成長戦略についてご説明します。

まず、当社の沿革からご紹介します。

当社は2005年に創業しました。実は最初の事業は漫画ではなく、スニーカーの企画・販売事業でした。

「Nike」や「adidas」のようなブランドを目指して挑戦しましたが、現実は非常に厳しく、年間売上は50万円にも満たない状況でした。このままでは会社を続けられないという危機感を持っていました。

そんな中、当時私自身が、漫画を1巻から最終巻まで一気に読むことを趣味にしていたことから、「クリック一つで漫画全巻をまとめて購入できるサービスがあれば便利なのではないか」と考え、「漫画全巻ドットコム」を思いつきました。

サービスは約1週間で立ち上げましたが、私と同じニーズを持つお客さまが非常に多くいらっしゃり、開始初月でスニーカー事業の年間売上を上回る結果となりました。

これをきっかけに事業の軸を漫画へと転換し、EC事業を中心に事業を拡大してきました。

その後、イベント事業など新たな事業領域にも進出し、2022年には東京証券取引所マザーズ市場へ上場しました。そして直近では、新たな成長領域として2025年12月より暗号資産事業を開始しています。

サービス概要

安藤:次に、当社のサービス概要についてご説明します。

当社の事業は、大きく3つの事業で構成されています。

1つ目が、コミックEC事業です。「漫画全巻ドットコム」「ホーリンラブブックス」「まんが王」の3つのECサイトを運営しています。

「漫画全巻ドットコム」は全巻セット販売を強みとし、「ホーリンラブブックス」は女性向け、「まんが王」は男性向けと、それぞれ異なるユーザー層に特化したサービスを展開しています。

また、当社は創業以来、一貫して紙のコミックを中心に取り扱っており、電子書籍ではなく紙媒体に特化していることが特徴です。

2つ目が、イベント事業です。コミックEC事業から派生するかたちでスタートした事業で、「マンガ展」のブランドで展開しています。現在は東京・大阪・台湾に店舗を構え、IPを活用した展示やコラボカフェ、限定グッズの販売などを行っています。

東京では、渋谷の「MAGNET by SHIBUYA 109」5階に店舗がありますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りいただければ幸いです。

3つ目が、暗号資産事業です。新たに「TORICO Ethereum」を設立し、イーサリアムの保有・運用を開始しました。

この事業では、イーサリアムの運用による収益を既存事業へ還元するとともに、中長期的にはコミック事業やイベント事業との連携を通じて、新たな事業機会の創出も目指しています。

2年間の構造改革(選択と集中)の完了

安藤:事業開始以来、「漫画全巻ドットコム」は順調に売上を伸ばし、成長を続けてきました。一方で、ここ2年から3年は非常に厳しい事業環境が続いていました。

コミック市場では、さまざまなエンターテインメントとの競争が激化する中、大型ヒット作品に恵まれない状況が続きました。その結果、当社も2年間から3年間にわたり黒字化を達成できない状況が続いていました。

しかし、事業構造の見直しや収益性改善の取り組みを着実に進めた結果、前期下半期には黒字化を達成することができました。

【選択】全社的な聖域なきコスト削減

安藤:黒字化の最大の要因は、売上だけを追うのではなく、収益性を重視した事業運営へと転換したことです。

売上を大きく伸ばすことが難しい事業環境の中で、利益を確実に生み出せる体質への改革を進めました。

具体的には、不採算サービスの終了や不採算店舗の閉店を進めるなど、事業の選択と集中を徹底しました。

また、販管費の適正化にも取り組み、特に広告費や倉庫オペレーションを見直すことで、収益性を重視した効率的な運営体制を構築しました。

さらに、人員配置や業務プロセスの見直しによって人件費率も改善し、その結果、販管費全体では前期比2億6,000万円の削減を実現しました。

コミックEC事業の収益性を伴う成長回帰

安藤:現在でも、当社売上の2/3は紙コミックの販売が占めています。

この紙コミック市場の縮小に伴う売上減少が、当社が黒字から赤字へ転落した大きな要因でした。

一方で、スライドのグラフにあるとおり、前期は売上の減少幅が大きく縮小し、底打ちの兆しが見え始めています。

また、売上は前年を下回ったものの、先ほどご説明した構造改革を進めたことで、売上の規模を追うのではなく、利益を着実に生み出せる事業構造へ転換することができました。

その結果、前期下半期にはコミックEC事業の黒字化を達成しています。

イベント事業「マンガ展」概要

安藤:次に、イベント事業についてご説明します。当社の中でも、今後の成長ドライバーとして大きく期待している事業です。

「マンガ展」というブランドで展開しており、祖業であるマンガを中心に、アニメやキャラクター、さらに近年ではドラマやVTuberなど、取り扱うIPの領域を着実に広げています。

当社は、さまざまなIPを活用し、グッズの企画・製造・販売に加え、コラボカフェや展示会などのイベントまで一貫して企画・運営しています。店舗とECを組み合わせた展開により、IPの価値を最大化できる点が当社の強みであり、この取り組みによる収益は順調に拡大しています。

イベント事業の着実な成長

安藤:売上はスライドに記載のとおり右肩上がりで成長を続けています。現在の売上規模は約7億円ですが、この数字は主に日本国内で展開している事業によるものです。

当社が取り扱うマンガやアニメ、ドラマ、VTuberといったIPは海外でも高い人気を有しており、今後は海外展開を進めることで、さらなる成長余地があると考えています。

イベント事業における海外興行の加速

安藤:海外売上は現時点ではまだ1億円に満たない規模ですが、当社では今後の大きな成長領域と位置付けています。

スライドの写真は、台湾で当社が開催したイベントの様子です。日本の関西ローカルで放送された深夜ドラマの主演2名を招き、約500名規模の会場で3公演を開催しました。

結果として、チケットは即完売し、最高価格3万円以上のチケットも完売するなど、日本のIPが海外でも高い支持を得られることを実証することができました。

このような成功事例を積み重ねることで、日本国内で培ってきたイベント運営のノウハウを海外へ横展開できると考えています。海外市場には依然として大きな成長余地があり、今後はイベント事業のさらなる拡大に取り組んでいきます。

現地パートナーとの連携によるグローバル展開

安藤:想定市場規模は自社調べですが3,000億円以上と見込んでおり、今後も市場の拡大が続くと考えています。

一方で、当社のイベント事業の売上は現在7億円程度であり、市場全体から見れば、まだ非常に小さなシェアにとどまっています。つまり、それだけ今後の成長余地が大きいと認識しています。

また、この市場には当社規模でIPのイベントを企画・運営し、グッズ販売やECまで一貫して手掛ける事業者はまだ多くありません。特にBL(ボーイズラブ)領域においては、当社は先行して事業基盤を構築しており、優位性を有していると考えています。

こうした強みを活かしながら、市場の成長を着実に取り込み、イベント事業を今後の売上・利益成長を牽引する事業へと育てていきたいと考えています。

暗号資産事業の展望

安藤:暗号資産事業については、暗号資産への投資・運用を進め、その運用成果を既存事業への投資や成長に還元していく方針です。

また、中長期的には、暗号資産そのものの運用にとどまらず、ブロックチェーンなどの関連技術を活用した新たな事業の創出にも取り組み、次の成長の柱へと育てていきたいと考えています。

構造改革の完了と「稼ぐ」フェーズへの移行

安藤:構造改革を進めたことで、ここ数年の課題であった赤字体質から脱却し、安定的に利益を創出できる経営基盤を築くことができました。

そして、今期からは「稼ぐフェーズ」へ移行していきます。主力のコミックEC事業で安定的に利益を創出しながら、イベント事業や海外事業をさらなる成長ドライバーとして拡大していきます。

加えて、暗号資産事業についても、運用益の既存事業への還元に加え、ブロックチェーン関連技術を活用した新たな事業機会を創出し、中長期的な非連続成長の実現を目指していきます。

独自性を有する3事業による中長期的な企業価値の向上

安藤:最後に、各事業のまとめです。

コミック事業は売上の底打ちが見えてきており、今後は安定的に利益を創出する当社の収益基盤として、着実な成長を目指していきます。

イベント事業については、すでに10万人を超えるBLファンダムを基盤として保有しています。この強固なファン基盤を活かし、国内外でイベントやグッズ、ECなどを通じた事業展開をさらに推進し、当社の成長を牽引する事業へ育てていきます。

暗号資産事業については、運用にとどまらず、その先の事業展開も視野に入れています。現在、新たな取り組みの準備を進めており、今期中にはみなさまへ公表できるよう取り組んでいます。

今後は、安定した収益基盤の上に新たな成長事業を積み重ねることで、持続的な企業価値の向上を目指していきます。

ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

質疑応答:黒字化の継続性について

1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):2026年3月期下半期の黒字化に関して、継続性とその背景を教えていただけますか? 

安藤:売上はピーク時から減少していますが、その売上規模でも利益を確保できる事業構造へ転換することができました。この収益構造は構造改革の成果であり、一時的な要因によるものではありません。そのため、下半期の黒字化は継続性のあるものと認識しています。

質疑応答:直近の黒字転換を達成した具体的施策について

Ken:黒字化達成に関して、直近で改善されて効果が出ている施策はありますか? 「売上が落ちると利益を出すのは難しい」と思われがちですが、2025年3月期上半期の1億3,000万円の赤字から黒字転換しているということですので、そのあたりについて教えていただけますか? 

安藤:大きな要因の一つは、広告宣伝費や販売促進費を大幅に適正化できたことです。

これまでは売上を維持・拡大するために、広告投資や高いポイント還元を積極的に実施していました。例えば、購入金額に対して10パーセント程度のポイントを付与するような施策も行っていましたが、こうした販売促進施策を段階的に見直してきました。

加えて、市場環境も変化しています。現在では、コミックの「まとめ買い」に関して、当社はこの分野で独占的なポジションを築いています。

その結果、お客さまが当社の本店ECだけでなく、「Amazon」や「楽天市場」に出店している当社の支店から購入いただいた場合でも、多くのお客さまは最終的に当社から商品を購入いただいているかたちとなっています。

このように、販促に大きく依存しなくてもお客さまに選んでいただける事業基盤が整ってきたことで、広告宣伝費やポイント施策を適正化しながら、利益を確保できる収益構造へ転換することができました。

Ken:つまり、わざわざポイントを付与しなくても、御社にたどり着いた顧客がそのまま購入してくれる層が多いということですね。それによって、残存者利益的なかたちで御社に自然と顧客が集まっている状態ということですか? 

安藤:ポイント合戦から大きく抜け出せたことが非常に大きい要因です。

Ken:下半期に関しては、売上が若干底打ちのようなかたちになっていますか? 

安藤:おっしゃるとおりです。

質疑応答:イベント事業の具体的内容と成長余地について

Ken:イベント事業についてのご質問です。具体的にどのような事業を展開しているのか、また、どのような部分が成長していくのか、成長余地についても教えていただけますか?

安藤:日本のさまざまなIPについて、IPホルダーから許諾をいただき、当社がオリジナルグッズやコラボメニューを企画・制作し、2週間から1か月程度の期間限定イベントとして展開しています。

期間限定での開催となるため、この期間を逃すと店舗やECサイトでは購入できない商品が数多く並びます。その希少性が高い購買意欲につながっており、「この機会に欲しいものをまとめて購入したい」という熱量の高いファンの方に多くご利用いただいています。

このように、限定性の高い商品・体験を提供することで、高い顧客満足度と収益性を両立できることが、当社イベント事業の特徴です。

質疑応答:IPホルダーとの接触機会と取引継続のアプローチ方法について

Ken:IPホルダーとの接触機会や取引の継続は非常に重要だと思うのですが、御社がアプローチする際には、どのようにしてつながっていくのでしょうか? 

安藤:当社は長年コミック販売事業を展開してきたことから、出版社とのネットワークを築いてきました。その信頼関係を基盤に、取引先やIPホルダーとのつながりを着実に広げています。

また、先ほどご紹介したドラマ領域についても、コミック事業で培ったネットワークを起点として、多くのコンテンツホルダーとの関係構築が進んでいます。

こうした実績を積み重ねた結果、現在では当社から企画を提案するだけでなく、「このIPでイベントを開催できませんか」といったご相談やお問い合わせをいただく機会も増えてきています。

当社の企画力やイベント運営力が評価され、案件をご相談いただけるようになってきたことは、今後の事業拡大に向けた大きな強みであると考えています。

質疑応答:イーサリアムを中心とした暗号資産事業の方向性と運用について

Ken:イーサリアムや暗号資産に関連したご質問です。我々からすると、ボラティリティがあるように感じます。また、暗号資産の保有リスクに対して、「リターンはそれほど大きくないのではないか?」と感じていますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか?

尾下順治氏(以下、尾下):TORICO Ethereum CEOの尾下より、ご回答します。正直なところ、現時点で表面的にはリターンが小さく見える部分があるのは事実です。ただ、TORICOとしては暗号資産事業で少し方向転換をしようということで、昨年の夏に暗号資産を保有する方針を打ち出しました。この方針は取締役会決議を経て開示し、そこから参入するまで約半年を要し、昨年の12月に正式に参入しました。

当初はビットコインを中心に検討していましたが、途中でイーサリアムのほうが適していると判断しました。その理由の1つとして、イーサリアムにはステーキング報酬という、保有するだけで増加する性質がある点が挙げられます。

さらに、イーサリアムは次世代金融のプラットフォームになると言われており、この特性が当社の既存事業との将来的なシナジーを生み出す可能性があると考えたためです。

ただし、イーサリアムに切り替える過程で、運用方法や購入手法、オプション取引でのターゲットバイイング(プットオプションで売却し価格を平準化して管理する手法)などにおいて、参入時の想定と変わりました。その結果、監査法人との協議や社内の合意形成に若干時間を要してしまいました。

また、利回りの最大化といった面で社内の体制が不十分だった点もありました。そのため、私が昨年12月にTORICOに入社し、この整備を進めてきました。そして現在は、ようやく体制が整ってきたところです。そしてターゲットバイイングやオプション取引についてはすでに発表のとおり実施を開始しています。

運用においては、単なる誰もが得られるステーキング報酬にとどまらず、イーサリアムの特性を最大限活用した利回り追求型の運用がようやく可能となる段階に達しました。この準備により、これからパフォーマンスを向上させていく見通しです。

Ken:具体的な運用の部分については、スライドに記載の3つが挙げられるということでしょうか? 

尾下:おっしゃるとおりです。

Ken:それでは、今お話しいただいた点がメインになるということですね? 

尾下:そのとおりです。その間にどうしてもイラン情勢なども含めて、時価総額が大きい分だけ国際情勢に大きく左右される部分があります。現在は60日間の停戦合意という状況です。これが恒常的なものになれば、おそらく暗号資産市場に資金の流入が再び見られると思います。

そのため、中期的にはポジティブに捉えていますが、現時点では相場的に厳しい状況であることも自覚しています。

質疑応答:第3四半期・第4四半期のイベント事業好調の要因について

Ken:イベント事業について、第3四半期と第4四半期が好調であった要因をあらためて教えていただけますか? 

安藤:イベント事業は、取り扱うIPによって売上が大きく変動する特性がありますが、近年はその変動幅を着実に抑えられるようになってきました。

特に、ドラマIPを活用したイベントについては、これまでの実績を見る限り、安定して高い集客と物販需要が見られており、収益性の高いカテゴリーとして手応えを感じています。

実際に、ドラマIPを活用したイベントでは、売上・利益ともに大きく伸ばすことができました。こうした実績を踏まえ、今後はドラマIPを重要な柱の一つと位置付けながら、イベント事業全体の安定的な成長につなげていきたいと考えています。

質疑応答:イベント来場者の動機とファン層の広がりについて

Ken:「ドラマの出演者に会いたい」という要望が強いファンがいることで、振れ幅が小さいという認識で合っていますか?

安藤:実際には、イベント期間中にドラマの出演者の方が来場されるケースはほとんどありません。来場いただく場合も特別なイベントに限られ、多くは1日限りです。

一方で、イベント自体は2週間から1か月程度開催しています。そのため、来場動機は出演者との交流ではなく、作品やIPそのものへの愛着が中心となります。

来場されるのは、原作漫画のファン、ドラマのファン、出演キャストのファンなど、さまざまなファン層です。それぞれが作品の世界観を楽しみながら、このタイミングでしか手に入らない限定グッズやコラボメニューを目的に来場・購入されます。

このように、特定の出演者の来場有無に売上が大きく左右される構造ではなく、複数のファン層に支えられている点が、当社イベント事業の特徴だと考えています。

質疑応答:イベント事業の戦略について

Ken:イベント企画に関して、本数を多く実施していると思いますが、今後はこの本数をさらに増やしていくのか、または1本あたりの単価や規模を拡大していくのか、どちらを目指しているか教えていただけますか? 

安藤:両方とも伸ばしていきたいと考えていますが、どちらかといえば、1案件あたりの売上・利益を拡大していくことを重視しています。

当社が運営する店舗数には一定の制約がありますので、自社店舗だけで売上を伸ばしていくには限界があります。そのため今後は、国内外のパートナー企業との提携を拡大し、当社店舗以外でも商品販売やイベント展開を行うことで、1つのIPから得られる収益を大きくしていきたいと考えています。

また、イベントを立ち上げるための企画や制作にかかる工数は、規模にかかわらず大きくは変わりません。そのため、本数を闇雲に増やすのではなく、より集客力が高く、売上・利益を最大化できる案件に注力していく方が、経営効率は高いと考えています。

もちろん、体制強化に伴って対応できる案件数は増やしていきますが、基本的な考え方としては、「本数を追う」よりも「1案件あたりの価値を高める」ことを重視し、その収益機会を国内外の提携先へ横展開していくことが、今後の成長戦略になります。

質疑応答:2027年3月期の業績予想の組み立て方について

Ken:2027年3月期の業績予想の組み立て方についてうかがいます。赤字縮小ということで、先ほどコミック事業の部分で「ある程度、構造改革が進んできた」というお話もあったかと思いますが、この組み立て方について、可能な範囲でさらに詳しくお話しいただけますか? 

安藤:コミックEC事業については、構造改革の効果が着実に現れており、収益基盤は改善してきています。また、イベント事業についても成長を見込んでいます。

そのため、もう少し強気な業績予想を期待される方もいらっしゃるかもしれませんが、今回公表した業績予想は、あえて非常に保守的な前提で策定しています。

利益については営業利益0円を計画値としています。まずは確実に達成できる水準を示した上で、それを着実に上回り、必要に応じて上方修正を目指すという考え方で業績予想を組み立てています。

私たちとしては、強気な計画を掲げることよりも、確実に達成し、市場からの信頼を積み重ねていくことを重視しています。

質疑応答:幻冬舎との業務提携について

質問者:暗号資産事業についてですが、昨年、出版社の幻冬舎との業務提携を発表されて、その瞬間に株価が大きく上昇したことを覚えています。しかしその後、私の知識不足かもしれませんが、それに関するニュースリリースが特段見当たらなかったように記憶しています。

その際のニュースリリースでは、Web3領域を利用するとの記載がありました。そのため、漫画やIPにブロックチェーンを活用すること、またはメディアとしての活用をお考えなのかと思いましたが、幻冬舎との提携は現在も継続中でしょうか? また、その方向性や進展についてなにか教えていただけますか? 

安藤:まず、ニュースリリースをご覧いただき、継続的にフォローしていただいていることに感謝申し上げます。

幻冬舎さまとの提携は現在も継続しており、定期的に協議を重ねながら、出版やIPとWeb3・暗号資産を組み合わせた新たな事業の可能性について検討を進めています。

現時点では具体的な内容を公表できる段階には至っておらず、みなさまにお伝えできる情報が少ないことは申し訳なく思っています。一方で、水面下では複数のアイデアについて両社で議論を重ねており、事業化に向けた検討を進めています。

具体的な取り組みについては、みなさまにお知らせできる段階になりましたら、適時適切に開示していきますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。

尾下:少し補足します。私が入社する前に、幻冬舎さまとの提携があり、エンタメ領域や出版領域においてブロックチェーンおよびWeb3技術の活用に取り組まれていました。したがって、私は途中から参画したかたちになります。

実は私の経歴として、前職や前々職でブロックチェーン技術をエンターテインメント、ゲーム、またNFT(非代替性トークン)を用いたトレーディングカードなどに活用する取り組みを行ってきました。しかし正直申し上げて、エンターテインメント分野においてブロックチェーン技術がそこまで相性の良いものとはいえません。

やはりブロックチェーンはフィンテック分野、つまり金融に活用することでその価値を最も発揮する技術であると考えています。そのため、私が参画したことにより、方向性を少し見直しました。

現在私が事業責任者として注視しているのは、コンテンツの世界における製作委員会やコンテンツファンドのように、金融を必要とする領域です。この分野には多くの可能性があると捉えています。したがって、そこはぜひ取り組むべきだと考え、さまざまなアイデアを出しています。

一方で、本やグッズをNFT化するという領域については、死屍累々といいますか、むしろ成功が難しいことが証明されているような状況です。そのため、現時点ではこれに取り組むことはまったく考えていません。どちらかというと、コンテンツと金融の融合によるアップデートを進めていきたいというのが、現在の方針です。

質疑応答:BL関連商品の取り扱いと上場企業としてのリスク対応について

質問者:イベント事業において、BL関連が伸びているというお話がありましたが、上場企業としてそのあたりが認知されるのはリスクがあるのではないかと思います。「U-NEXT」のような事例もありますが、その点についてどのようにお考えか教えてください。

安藤:ご指摘の点は、当社としても十分に認識しており、コンテンツの取り扱いについては明確な基準を設けています。

当社が取り扱っているのは、出版社から正式にライセンスを受けた商業作品が中心であり、同人作品などは基本的に取り扱っていません。また、商品化するグッズについても、作品の世界観やキャラクター性を楽しんでいただくことを目的としたもので、缶バッジやアクリルスタンドなど一般的なキャラクターグッズが中心です。

当社としては、BLも多くのファンに支持されるIPジャンルの一つとして取り扱っており、アダルトコンテンツを展開することを目的とした事業ではありません。上場企業として、法令や社会的な受容性、ブランドイメージにも十分配慮しながら事業を運営しています。

また、海外展開においては、国や地域によって法規制や文化的背景が異なりますので、それぞれのルールや慣行を十分に確認した上で、適切に展開していく方針です。

質疑応答:暗号資産事業の方針について

Ken:「暗号資産事業に関して、どれくらいの通貨の種類、運用を目指しているのでしょうか? 1社だけでしょうか? それとも、アルトコイン、ビットコイン、柴犬コインなども考えているのでしょうか?」というご質問です。 

尾下:端的にお答えすると、イーサリアム以外はまったく考えていません。将来的に何か取り扱いを増やす可能性があるとすれば、先ほどお話しした「コンテンツ×ファイナンス」の世界での取り組みです。

一例として、セキュリティトークンを活用するものが考えられます。例えば、みなさまでBLを盛り上げてBLフェスを開催し、その資金をセキュリティトークンで募り、成功した場合には収益をみなさまに分配する、といったアイデアには十分な可能性があります。このようなことについては、現在ある程度検討が進んでいます。

一方で、ビットコインやその他の柴犬のようなアルトコイン、いわゆる草コインに手を出すことは、まったく考えていません。当社の目的は、財務基盤を整え、その上で運用益をしっかりと出していくことです。そのため、値上がり益を期待せざるを得ないような資産については、一切取り扱う予定はございません。

質疑応答:イーサリアムのリスク対応策について

Ken:「イーサリアムはビットコインと違い、発行枚数に制限がないため、将来半値もあり得るのではと思っています。値動きに対してはどのように考えているのでしょうか? また、どのようにリスクを減らしていくのでしょうか?」というご質問です。 

尾下:話すと非常に長くなるので、簡単にご説明します。イーサリアムは確かにビットコインと異なり、上限枚数が決まっていません。しかし、もともとイーサリアムというネットワーク上で利用されるETH(イーサ)という通貨があり、これはネットワークを利用する際の手数料として消費される性質を持っています。

つまり、イーサリアム上でなにか処理を行う際には、このETHを消費します。ETHを支払うことで、イーサリアム上で自分たちのトランザクションが処理してもらえる仕組みになっています。

実は、このイーサリアムは数年前のアップデートにより、トランザクションでETHが使用されるほど、このトランザクションで手数料として支払われたETHの一部が「焼却」され、市場から永久に消滅する仕組みが導入されました。したがって、イーサリアムが金融基盤として普及し、利用されればされるほど、ETHが減少していくという構造を持っているのです。

したがって、上限は決まっていないものの、大きなダイリューション(希釈化)を引き起こす構造にはなっていません。そのあたりは少し技術的な話になり難しい部分もありますが、当社としてはさほど心配していません。

質疑応答:イーサリアムのステーキング報酬と参入障壁について

質問者:イーサリアムのステーキング報酬についてですが、これはパソコンやサーバーで行うものなのでしょうか? また、参入障壁についても教えてください。

尾下:ご質問にあったサーバーというのは、マイニングサーバーというものです。マイニングと呼ばれるものは、ビットコインの処理のためにコンピューティングリソースを提供することで報酬としてビットコインを得られる仕組みです。

一方で、現在のイーサリアムはこの仕組みとは異なります。プルーフ・オブ・ステーク(PoS)と呼ばれる仕組みを採用しており、これはネットワークの維持・承認作業のために、一定のイーサリアムを「担保(ステーク)」として拠出することで、利子のようなかたちで報酬を得るものです。

この仕組みにおいては、マイニングのような膨大な計算リソースや特殊な機材を提供する必要はありません。そのため参入障壁は非常に低く、当社が得ているようなベースのステーキング報酬は、みなさまが個人で暗号資産取引所などを通じてイーサリアムを保有するだけでも、比較的簡単に得ることができます。だからこそ、当社としては単に保有するだけでなく、運用手法のさらなるアップデートが必要不可欠だと考えています。

当社は法人として一定の資金規模を有しています。そのため、既存金融と同様に大口機関投資家向けの優れた運用手法へのアクセスが可能となっており、市場平均である「ベータ(通常のステーキング報酬)」だけでなく、「アルファ(超過収益)」を狙った運用手法を採用できています。このような資金ボリュームの優位性を持つことで、一般的な参入障壁のない個人向けの仕組みと比較しても、より高いパフォーマンスを発揮できるのです。

もしこれを行わないのであれば、当社という法人がイーサリアムを保有して運用する意味が薄れてしまいます。先ほど述べたように、ようやく大口運用の準備が整ったこともあり、今後はこのアルファを狙う手法により、運用報酬をさらに増やしていく方針です。

質疑応答:イベント事業の継続性・他者との差別化について

質問者:イベント事業についておうかがいします。御社が今後事業を継続していかれる中で、IPの所有会社などでも同様の取り組みが可能かと思います。その中での差別化や、御社ならではの強みがありましたら教えていただけますか?

安藤:当社の強みは、大きく3つあると考えています。

1つ目は、ファン理解の深さです。特にBL領域では10年以上事業を展開し、これまで数百件に及ぶイベントを企画・運営してきました。その過程で、ファンのみなさまが何を期待し、何を大切にされているのかという知見を蓄積してきています。

2つ目は、その知見を形にできる企画力です。社内には作品やファンへの理解が深い専門チームがおり、作品の世界観を大切にした空間づくりやグッズ企画を行っています。ファンの期待値が非常に高いジャンルだからこそ、この部分は簡単には真似できない強みだと考えています。

3つ目は、IPホルダーとの役割分担です。『ドラゴンボール』や『ワンピース』のような超大型IPでは、版元やIPホルダー自らイベントを展開されるケースもあります。一方で、それ以外にも魅力的なIPは数多く存在しますが、リソースの制約などからイベント化されていない作品も少なくありません。

当社はそうしたIPをイベント化し、ファンのみなさまに新たな体験を提供するとともに、IPホルダーに新たな収益機会を提供しています。こうした実績とノウハウが評価され、継続的にご相談をいただけていることが、当社ならではの強みだと考えています。

尾下:少し補足します。実は私、前々職でゲーム会社に勤めていました。その際に非常に感じたのは、IPホルダーの方々が自ら取り組めばよいのではないかと思ったことです。

しかし、やはり「餅は餅屋」のような課題があり、集英社さまも現在ゲーム事業に参入されていますが、ゲーム制作のノウハウをお持ちではありません。IPは極めてすばらしいものを多く育てており、創り上げるノウハウはありますが、ゲームという分野における知識や技術は不足しているわけです。

そうした観点からすると、イベントにおいてもまだまだ「餅は餅屋」のような課題が多く残されていると考えています。このような背景のもと、当社はイベント事業に取り組んでいます。

また、スライドのグラフのとおり、当社のイベント事業は右肩上がりに成長していますが、現状ではリアルイベントのみが中心です。今後これをオンラインと併用するような展開も可能になるでしょう。

オンラインイベントが実現すれば、オンラインECとの連携も進められ、さらに地域拡大も見込めます。このように、現在の成長の傾きを今以上に伸ばすことが可能だと考えていますので、ぜひご期待いただければと思います。

安藤氏からのご挨拶

安藤:本日は、当社のプレゼンテーションをご視聴いただき、誠にありがとうございました。

当社は、コミックEC事業の収益基盤を改善するとともに、イベント事業では国内に加え、海外への展開や提携先との連携などを通じて、大きな成長機会があると考えています。

今後も、当社ならではの企画力とIP展開力を活かし、収益と利益のさらなる拡大に取り組んでいきます。ぜひ今後の成長にご期待いただき、引き続きご支援のほどよろしくお願いします。

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