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2026年3月期 通期 累計 業績ハイライト

髙野明彦氏(以下、髙野):みなさま、本日はお忙しい中、株式会社メンバーズの通期決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。代表取締役兼社長執行役員の髙野です。よろしくお願いします。

本日は、2026年3月期の決算および取り組み実績や成果のほか、今後の方針についてご説明します。特に今回は、決算発表と併せて、新たな長期ビジョン「FUTURE VISION」を公表していますので、それを踏まえた方針についてもお話しする予定です。

まずは、2026年3月期の通期実績についてご説明します。この2年間は、従来のWeb運用からDX現場支援へと事業転換を進めてきました。

その結果、DX領域比率は54.2パーセントまで上昇し、成長率は32.6パーセントと順調に推移しています。また、付加価値売上高は前年比10.5パーセント増の235億700万円となり、過去最高を更新しました。

この2年間は収益性の改善にも取り組んでおり、営業利益は前年比3倍超の16億円となりました。こちらは、想定どおりの進捗と考えています。その他のKPIについては、後ほどご説明します。

2026年3月期 通期 連結 P/L

公表計画対比では、売上高および付加価値売上高はほぼ計画どおりで、各段階利益は計画を上回る結果となりました。DX現場支援ポジションへの転換により単価が向上し、稼働率も大幅に改善しています。

その結果、売上総利益率は前年比で5.5ポイント増、営業利益率も4.4ポイント増とそれぞれ改善しました。過去2期にわたる収益性改善の成果が表れていると考えています。とはいえ、営業利益率は6.6パーセントと、目標とする10パーセント以上の水準には達していないため、改善の余地があると考えています。

連結 売上収益/付加価値売上高

四半期ごとの売上収益および付加価値売上高の推移です。下期は上期に比べ成長率がやや低下していますが、これは主に従来の大型Web案件の減少によるものです。そのため、この点は過度に気にせず、DX領域の成長に注力していきたいと考えています。

連結 営業利益/販管費・率/売上総利益率

四半期単位の営業利益の推移です。減益が始まった2023年3月期の水準を上回り、過去最高益であった2022年3月期に近い数字となっています。

売上総利益率の推移についても、低水準であった過去2期を大幅に上回り、4Q単独では30パーセント台へと回復しています。

DX現場支援ポジションへの転換加速 -DX比率/専門カンパニー全体付加価値売上高・DC数

最も力を入れているDX現場支援への転換について、DX領域比率およびDX領域の付加価値売上高の四半期ごとの推移です。スライド左側の赤色のグラフのとおり、非常に力強く成長していると考えています。

昨年の累計の成長率はプラス32.6パーセントと好調に推移しました。一方、薄いグレーで示される従来領域の付加価値売上高は減少していますが、先ほど述べたように、DX領域の成長に集中することで全体に占めるDX領域比率を高め、全社の成長率を向上させたいと考えています。

DX領域の成長を牽引しているのが各種の専門カンパニーであり、こちらも右側のグラフのとおり、非常に順調に成長しています。

DX現場支援ポジションへの転換加速 -各事業領域付加価値売上高・DC数

主要4事業の状況です。データ活用支援領域は、規模はまだ小さいもののAIの追い風もあり、付加価値売上高が前年比42.7パーセント増と順調に推移しています。

従来領域が中心のUIUX領域は微増にとどまっていますが、マーケティングDX領域は第4四半期単独の成長率がプラス18パーセント、年間累計成長率もプラス13.9パーセントと、成長性が回復してきていると考えています。

DX現場支援ポジションへの転換加速 -DX人材比率/SINCA90プロジェクトの推進

DX領域への転換に向けた人材育成も順調に進んでいます。DX人材比率は、目標の65パーセントに対して実績は72パーセントと、大幅に目標を達成しました。

DX現場支援ポジションへの転換加速 -PMO人材の育成/一人あたり売上単価の向上

ポジション転換に向けて特に注力しているPMO人材の育成は、1,000名の目標に対し1,482名と、大幅に目標を上回る結果となりました。

ポジション転換の成果として、1人あたりの売上単価は昨年度累計で前年比6.5パーセント増、第4四半期単独では7.7パーセント増となっています。一方で賃上げも進めているため、引き続き単価のさらなる引き上げを目指していきます。

DX現場支援ポジションへの転換加速 -1社あたりの収益最大化

営業面についてです。アカウント・ベースド・マーケティング(ABM)型のアカウントマネジメントを通じて、1社あたりの売上拡大に取り組んでいます。その結果、年間売上が3億円以上の顧客が3社増加し、14社となりました。

DGT上位50社における1社あたりの付加価値売上高も順調に向上しており、DX領域のクロスセルで成果を挙げていると考えています。

DC数/新卒・中途採用数 / 離職率

デジタルクリエイター(DC)数についてです。前期比で171名減少し、2,456名となりました。

稼働率改善を目的に採用を抑制し、特に前期は新卒採用数を87名と例年より大幅に抑えたため、想定どおりの減少となっています。稼働率の問題はほぼ前期で解決したと考えていますので、今後は成長スピードと併せて採用の拡大を進めていきたいと考えています。

2026年4月には、244名の新卒社員が入社しました。稼働率と成長率のバランスを見ながら採用を進めていますが、一定の新卒採用力は引き続き保持できていると考えています。

一方、離職率は前期比1ポイント増の12.1パーセントとなりました。これは中途採用市場が過熱していることや、当社が低稼働状態だったことが主な要因だと考えています。ただし、低稼働状態は前期でほぼ解消したため、今後は離職率改善に向けてエンゲージメント向上施策を進めていきたいと考えています。

稼働率

稼働率の状況です。スライド右側のグラフのとおり、全体の稼働率は前年比6.6ポイント増の83.1パーセントと、大幅に改善しています。前期の採用抑制を経て、過去2期の低稼働状態からは脱却できたと考えています。

左側のグラフを分解すると、1年目と2年目を除く社員の稼働率は目標水準である85パーセントちょうどとなりました。一方で、2年目社員の稼働率は81.2パーセント、1年目社員の稼働率は61パーセントです。

採用抑制やデジタルクリエイター数の減少により低稼働状態を解消しましたが、目標とする水準にはまだ達しておらず、稼働が逼迫している状況でもありません。このため、改善の余地や成長の余力があると考えています。

脱炭素DX関連事業の確立/脱炭素人材の育成

当社のビジョン実現に向けた、脱炭素DXおよびCSVの取り組みについてです。まだ規模は小さいものの、着実に事例を積み上げていると考えています。

昨年度末に「グリーンマーケティングガイドライン」を公開していますが、これは企業の脱炭素の取り組みと消費者との適切なコミュニケーションのあり方を提示したものです。

企業の脱炭素の取り組みが「やらなければいけないもの」や「守りの取り組み」に終始しがちな状況から、「攻めの取り組み」すなわち「グリーン成長」へつなげるものにしていく一助となることを目指しています。

全員参加型経営の確立 -社員エンゲージメントと株主意識の向上

当社の特長である「全員参加型経営」をさらに強化する取り組みとして、スライド右下の「Creator's Value 1.6(CV1.6)」についてご説明します。こちらでは、生産性の向上を社員の賃上げにつなげ、10年間で基準年収を1.6倍にするという目標を掲げています。

この4月のベースアップにより、2020年比で累計27.2パーセントの賃上げを達成しています。着実に進捗しているとはいえ、目標との差がまだあるため、さらなる加速を図りたいと考えています。

左側にある社員の持株比率についても、全員参加型経営の象徴として高めていきたいと考えています。今期はわずかに減少してしまいましたが、今後は会社の成長を社員に還元する取り組みとして、社員の持株比率の向上に努めていきたいと思っています。

全員参加型経営の確立 -脱炭素アクションスコア/社員エンゲージメントスコア/NPSの向上

その他の重要指標についてです。社員エンゲージメントスコアは、前期比0.11ポイント増の3.52となり、目標をクリアして高水準を回復しています。当社の特長である「あたかも社員」の仕事への高い熱量という強みは、このようなかたちで維持できていると考えています。

一方で、中身を詳細に見ると、若手の成長実感は一般と比較して高水準ではあるものの、入社3から4年目が谷間となり、離職につながるケースも見受けられます。そのため、こうした課題を中心に改善を図ります。

さらに、今回公表した「FUTURE VISION」を基にビジョン経営をより強固にすることで、改善を進めていきたいと考えています。

顧客と共にビジネス変革をリードする -DX案件事例

掲載許可を得た案件事例についてご紹介します。こちらは、日テレWandsさまのAIサービス開発事例です。

顧客と共にビジネス変革をリードする -DX案件事例

阪急阪神不動産さまのデータ活用支援事例です。

顧客と共に社会変革をリードする -CSV案件事例①

三井化学さまのサステナビリティマーケティング事例です。

顧客と共に社会変革をリードする -CSV案件事例②

オムロンソーシアルソリューションズさまのライドシェアサービス開発事例です。

顧客と共に社会変革をリードする -CSV案件事例③

山形県長井市さまのGX支援事例です。

新ビジョン-FUTURE VISION

今後の方針および戦略についてご説明します。昨日の決算発表と同時に、新たな長期ビジョンである「FUTURE VISION」を発表しました。

もともと当社には、2020年から取り組んでいた「VISION2030」という長期目標がありました。しかし、AIに代表される市場環境の大きな変化によって当社の成長戦略との間にズレが生じ、成長性や収益性が悪化していました。

それを踏まえ、「VISION2030」で掲げていた「営業利益100億円」や「DC数1万人」などの目標を2年前に凍結し、この2年間は収益性の改善と事業転換に集中してきました。

その成果として、収益性の回復に加えて、独自ポジションの確立や事業転換の方向性が見えてきました。このタイミングを機に、この先10年間での実現を目指す長期的な目標やビジョンを掲げ、力強い成長を実現していきたいと考えています。

新たなビジョンステートメントは「Digital for Hope. デジタルクリエイターの創造性を解放し、気候変動をグリーン成長に、人口減少を一人ひとりの豊かさに変える」と定めました。

「VISION2030」で掲げていた気候変動や人口減少といった社会課題の解決という想いは継続していますが、これらをより具体的に、デジタルクリエイターがテクノロジーを創造的に活用することで、未来に希望をもたらすという意思を込めて表現しています。

FUTURE VISIONに向けた価値創造プロセス

価値創造プロセスの全体像はスライドに記載のとおりです。ここでは概要のみお伝えします。

気候変動や人口減少が、すでに現実の危機として進んでいます。さらに、それらの課題を解決しにくくしている要因、または加速させている要因として、昨今の国際情勢や貧富の差の拡大という社会の分断が大きな課題となっています。

それと同時に、AIに代表されるテクノロジーの驚異的な進化が進んでいます。ただし、これらのテクノロジーはあくまで「手段」です。手段である以上、使い方次第で社会課題をさらに悪化させる場合もあれば、逆に解決の大きな武器となる可能性もあると考えています。

もちろん当社としては、それを社会課題解決の非常に大きな武器とし、社会全体に高い競争力を発揮したいと考えています。そして、生産性向上への貢献、持続可能性や幸福をもたらす挑戦を数多く生み出す存在を目指します。

そのため、10年間で1,000件のインパクト事例を創出することをKGIとします。加えて、業界のリーディングカンパニーの一角となり、社会に大きな影響力を持つ存在となるべく、営業利益100億円の実現もKGIとして掲げています。

この目標を実現するための当社のポジションと提供価値については、これまでお話ししてきたDXの現場支援や内製化支援と大きく変更はありませんが、今回明確に言語化しました。

「人の力」により、ビジネスと社会のあるべき姿を「形」にするデジタル実装パートナーとして、顧客のデジタル企業化を内側からともにやり抜くことを、当社のユニークで強いポジションかつ提供価値として掲げていきたいと考えています。

「人の力」については、より具体的に「信頼の力」「デザインとCSVの力」「技術を形にする力」の3つと定義しています。さらに、そのポジションと提供価値を実現するための人的資本・組織資本として、「採用と育成の力」「人が集い育つ場」「カンパニー制」「インクルーシブな文化」「ラーニングアジリティ」の5つを定義しています。

これらが当社の大きな強みとなるよう注力し、強化していきたいと考えています。

外部環境:急拡大するDXおよびAI市場、DX推進を阻む人材不足

価値創造プロセスの長期的な戦略の背景および外部環境として、DX市場やAI関連市場の大きな成長が予測されています。そして、それを企業が推進する上で大きな障害となっているのが、DX人材の質・量両面での不足です。

AI時代に人的投資を拡大する合理性

一方で、AIが人間の仕事を代替することで、プログラマーやデザイナーの業務が代替され、人材需要が見込みよりも減少する可能性がある点に懸念を抱いています。

この影響で、SaaSベンダーやITベンダーの成長性が大きく低下するのではないかという認識もしています。それは一面の事実であり、特に事務職を中心とした定常業務やデスクトップ中心の専門職の業務は、大きくAIによって代替されると予測しています。

当社でも、従来主力事業であった大型のWeb運用事業がAIに代替され、プログラマーやエンジニアの需要にも大きな変化が生じています。つまり、当社もそのマイナス影響を明確に受けているということです。

ただし、そのような認識を持つ一方で、生成AIにより社会全体でデジタルテクノロジーの導入ハードルが大きく下がっている側面もあると考えています。その結果、生成AIの活用の幅や機会がより拡大しています。

特に今後、人手不足がさらに深刻化すると予想される工場や店舗、建設現場、医療現場、製造業、エッセンシャルワークの現場では、AIの実装が強く求められています。経済産業省によると、それを支えるデジタル人材は2040年に339万人が不足すると推計されています。

実際に当社では、これまでWebマーケティングやデジタルマーケティング領域を中心とした事業を展開しており、お客さまの多くはマーケティング部門に属していました。しかし最近では、これらの領域に限らないAIの活用支援事例が多数増えています。

AI導入による従来ビジネスの需要の減少も見られますが、それを補って余りある新たな需要や市場が創出されていくと考えています。このような市場感を踏まえ、引き続き当社の強みである人的資本に対して積極的に投資する長期的なポジションと戦略を取っています。

2027年3月期方針/戦略

このような長期的なビジョン戦略をもとに、今期の方針・目標を掲げています。これまで進めていたDX現場支援のポジション転換をさらに大胆に加速し、基本的には今期でその完成を目指します。

そのため、従来領域の低単価・低成長案件からの撤退も辞さず、高単価化や値上げに取り組み、それを社員の成長や報酬アップへの好循環につなげていきたいと考えています。そして、あらためて「FUTURE VISION」の挑戦に向けたCSVの推進を強化します。

これらにより、付加価値売上高の成長率を15パーセント以上に引き上げ、営業利益を25億円以上、営業利益率を10パーセントにすることを目指します。

事業ポートフォリオ転換による高成長シナリオ

業績目標および株主還元についてご説明します。

目標成長率15パーセントと言っても、当社の成長率がなかなか上がらないと感じる方もいるかもしれません。しかし現在、当社は事業転換の途上にあります。スライド左側のグラフのとおり、成長性の高いDX領域の比率が前期で50パーセントを超え、主力事業になってきました。

一方、従来領域では売上減少が続いており、その影響でDX領域の成長率を相殺しています。この傾向は今も続いていますが、成長性の高いDX領域の全体に占める比率が現在の54パーセントから60パーセント、70パーセントと高まれば、全体の成長率もDX領域の成長率に近づいていくと考えています。そのため、比率が50パーセントを超えた前期以降は、全体の成長率も向上に転じると考えています。

当社の事業の営業利益率は通常10パーセント超となるため、この成長を継続していくことで、「FUTURE VISION」で掲げる10年間の範囲内において、営業利益100億円に到達することは十分可能だと考えています。

2027年3月期方針/業績目標

そのような将来的なイメージを持っていただきながら、今期の業績目標についてご説明します。先ほどお伝えした社内目標を持ちつつも、従来領域の減少は継続する見込みです。昨今の社会情勢を踏まえた景気動向が不透明な中で、公表計画はその目標よりも保守的な数値を設定しました。

具体的には、売上収益が前期比10パーセント増の268億6,600万円、付加価値売上高が前期比11.3パーセント増の261億5,400万円、営業利益が前期比56.2パーセント増の25億円とし、営業利益率は10パーセントに近い数字を目指していきます。

株主還元/ROE

株主還元についてご説明します。2026年3月期の配当は、計画どおり前年比1円増の33円を予定しています。2027年3月期の配当は、収益性の回復が見込まれることを踏まえ、従来の方針どおりDOE5パーセント以上、配当性向25パーセント程度を維持し、前年比2円増配の35円を計画しています。

当社のROEはこの2年から3年間低下していましたが、事業構造の転換や収益性の改善のめどがついてきたため、今後は20パーセント超の水準を維持していきたいと考えています。

以上で私からのご説明を終了します。収益性の回復や事業展開には時間を要しましたが、今後は新たに掲げた「FUTURE VISION」に基づき、大きな成長に挑戦していきたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。

質疑応答:代表的な離職理由と離職率の悪化要因について

司会者:「社員への還元強化については好感を持っていますが、ベースアップなどを行っているにもかかわらず離職率が悪化しているようです。代表的な離職理由と、還元強化の中でなぜ離職率が悪化しているのかについて教えてください」というご質問です。

髙野:基本的に、還元そのものは社員にとって好意的に受け止められていると考えています。ベアに加え、全体の賃上げ率はここ最近でさらに高まっています。これがなければ、おそらく離職率はさらに悪化していたと思いますが、これがあった上でも現在の水準にとどまってしまっていると感じています。

要因としては、外部環境における中途採用市場の過熱が挙げられます。特に若手社員、入社3年目から4年目の社員が同じ仕事を続けていることで成長実感が薄れ、そのタイミングで中途採用市場が加熱していることから、簡単に転職できてしまう状況が生じていました。

その結果、離職率が悪化しているものと考えています。加えて、この2年から3年は成長実感の低下を招くとともに、会社全体の低稼働状態も影響していたと思います。

しかし、現在はこの低稼働状態がほぼ解消されつつあり、会社の成長にあわせて社員に対する還元も拡大しています。今後は低稼働を完全になくし、改善をさらに進めていきたいと考えています。

また、「VISION2030」の目標を凍結していたことも一つの要因と考えています。当社ではビジョン経営を非常に重視していますが、それがやや曖昧で宙に浮いた状態になっていた点がありました。

今回「FUTURE VISION」を新たに定め、長期的に目指すゴールを設定しました。この目標を掲げることで社員の低稼働状態を脱却し、短期的な還元に加え、社員の長期的なエンゲージメントの向上にもつなげられると考えています。

質疑応答:営業利益率目標と成長投資について

司会者:「基本戦略の収益性目標として営業利益率10パーセントを設定されていますが、2022年3月期は12.6パーセントの営業利益率が出されていました。営業利益率10パーセントを超える分は、採用を含めた投資に回してセーブする考えでしょうか? また、この目標を今期にも達成できる期待はどの程度あるかも教えてください」というご質問です。

髙野:基本的には営業利益率10パーセント以上を目標とし、それ以上については採用、育成、マーケティングなどに投資していきたいと考えています。

2022年3月期については、中途採用が思うように進まず、本来成長に向けて投資すべきところができなかった結果として利益率が高くなってしまい、当時も「利益率が少し出過ぎた」とご説明していました。

しかし、今回は成長に向けた投資に振り分ける方針です。投資を抑えて利益を捻出する方針はとっていませんので、大きな上振れはあまり想定していません。

質疑応答:今後の需要状況と展望について

司会者:「現状としてDXのAI実装は活況なテーマであり、貴社は企業内製化を手助けする企業ですので、事業環境は好況であると認識しています。一方、ここ数年が貴社事業の需要のピークで、その先は仕事が減少していくのではないかとも懸念しています。展望について補足をお願いします」というご質問です。

髙野:「FUTURE VISION」でお話ししましたが、AIの実装は今後ますます進むと考えています。従来、当社のお客さまはマーケティング部門でしたが、今までとは大きく異なる、バリューチェーンに対するAI実装の仕事が社内で増えています。こうした実装の中には、コンサルティングやSIerが取り組むような大規模なプロジェクトも含まれますが、それ以上にAI実装の幅が広がると考えています。

広い現場へ展開し、地道に実装していく中で、当社のこれまでの事業スタンスが非常に有効であると感じており、今後も市場が大きく広がっていくと考えています。

質疑応答:営業利益目標達成に向けた過程について

司会者:「2027年3月期の営業利益計画として、25億円が示されました。一方で、中長期では営業利益100億円という大きな目標も掲げています。まずはこの25億円という水準を、100億円へ向かう過程でどのように位置づけているのか、考え方を教えてください」というご質問です。

髙野:成長率を15パーセント以上で維持していけば、売上としては10年以内に1,000億円が見えてくると考えています。それに加え、当社の基本的な目標である営業利益率10パーセント以上を達成できれば、いずれは営業利益100億円も視野に入ると考えています。

今期の25億円は、利益率10パーセントを達成するためのスタートの年だと位置づけています。前期は約16億円で、利益率は6.6パーセントとまだ低い水準で、発射台と捉えています。

今期は25億円の営業利益と10パーセント程度の利益率を目指しつつ、過去最高益の約19億円を大きく更新して、次の成長ステージへのスタートラインに立つ年と考えています。

質疑応答:営業利益100億円を目指す上で重視する要素について

司会者:「営業利益100億円を目指すうえでは、単価の上昇、人員の拡大、DX領域のシフトなど、いくつかの要素があると思います。現時点では、どの要素を一番大事にしながら利益成長を作っていく考えですか?」というご質問です。

髙野:最も重要だと考えているのは単価の向上です。現在はおおよそ100万円程度ですが、今後は最大200万円を目指すイメージで単価を向上させていきたいと考えています。

一方で、それを実現するために重要なのは、ポジションの転換と高付加価値なサービスや事業領域の創出です。DX領域へのシフトも引き続き進め、新たな高付加価値の専門カンパニーを設立することが非常に重要だと考えています。

現実として、現在も専門カンパニーの中には単価200万円以上のカンパニーもあります。そうしたイメージを持ち、高付加価値の専門カンパニーを新たに構築しながら、単価の引き上げを目指します。

単価向上を通じて、採用力の向上や離職率の低下といった課題の解決も図るシナリオで考えています。

質疑応答:成長に向けて注力したい課題について

司会者:「成長を続けるためには、人材の採用・育成・定着や大型顧客への深耕なども重要になると思います。営業利益100億円に向けた過程で、今後特に力を入れて取り組みたい課題はどのあたりでしょうか?」というご質問です。

髙野:繰り返しになりますが、単価の向上に取り組み、人材への投資や採用、育成につなげようと考えています。単価向上と人的資本投資に取り組む姿勢は変わらず、当社の強みとして非常に重要な要素であると捉えています。

当社では「あたかも社員」といった言葉を用いていますが、ビジョンドリブンの経営の中で挑戦心や貢献心などの志向性の強い社員が、高い熱量を持ってお客さまの現場で仕事をすることが当社の強みとなっています。

採用や育成への投資をより大きな好循環へとつなげていくために、単価向上を実現し、こうした好循環を推進することを目指しながら、人的資本投資にも引き続き注力していきたいと考えています。

質疑応答:大型顧客への入り込みについて

司会者:「大型顧客への入り込みという点で、何か突破できた実感はありますか?」というご質問です。

髙野:「突破できた」という実感まではまだ至っていませんが、多くの気づきが得られたと感じています。当社の「あたかも社員」を活用したDX現場支援は、デジタルマーケティング領域以外でも、特にAI実装関連で多くのニーズがあり、それに応える提供価値が当社の強みとなっています。

こうして得たさまざまな実績を基に、今後はマーケティング部門以外へのクロスセルをさらに進められるとの手応えを感じています。この取り組みを突破口とし、さらなる拡大を目指していきたいと考えています。

質疑応答:離職率目標と今後の採用戦略について

司会者:「1人当たり単価×稼働率×人員数が売上となるため、売上拡大には採用数と離職率が重要であり、現状の離職率が下がらないと、毎年の採用が離職で消えてしまうと思います。今期の離職率目標は11パーセントとのことですが、来期の目標は何パーセントでしょうか? また、営業利益100億円に向けた採用と離職率の狙いを教えてください」というご質問です。

髙野:ご指摘のとおり、前期の離職率は約12パーセントで、今期の目標は、悪化を食い止めて回復させるという意味で前期比1ポイント減の11パーセントとしています。

とはいえ、11パーセントが低い水準だとは考えていません。目標としては離職率そのものではなく、その先を見据えています。具体的な計画は現時点ではありませんが、「FUTURE VISION」で示したイメージとしては、8パーセントから9パーセントの水準を目指しています。

10パーセント以上に悪化する前に達成していた水準がその程度であり、10パーセント以上に悪化させず低水準に抑えることが、今後のデジタルクリエイター市場の拡大において非常に重要だと考えていますので、この水準を目標に掲げています。

質疑応答:人員拡大および単価上昇イメージについて

司会者:「離職率が8パーセントから9パーセントとなると、人員拡大の純増はどれぐらいになるのでしょうか? また、単価の上昇はどれくらいを狙っていますか?」というご質問です。

髙野:単価の上昇については、基本的には毎年8パーセント程度、短期的には10パーセント以上の増加を目指したいと考えています。ただし、現実的なラインとしては7パーセントから8パーセント程度が妥当で、積極的すぎない範囲だと考えています。

人員拡大については、もともと「VISION2030」でデジタルクリエイター数1万人という目標を掲げていました。しかし、これは単価の向上をあまり見込まない上での目標であり、今回は単価をより重視した計画となっています。

新しい計画ではそこまでの人員拡大は必要なく、7,000名程度が実現可能な数字と考えています。この目標を10年間で実現する方針ですので、毎年数百名前半から最大500名の純増で実現が可能と見込んでいます。

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