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第3四半期累計実績ハイライト

橋本宗之氏(以下、橋本):本日は当社の決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。Sansan株式会社CFOの橋本です。私より2026年5月期第3四半期の実績についてご説明します。

4ページをご覧ください。2026年5月期第3四半期累計実績のハイライトです。1点目に、売上高は前年同期比26.1パーセント増となり、堅調な成長を維持しました。調整後営業利益は、経理AXサービス「Bill One」の赤字縮小等により前年同期比131.1パーセント増となり、過去最高益を達成しました。

2点目は、「Bill One」の高成長が継続し、4四半期連続でMRR(月次固定収入)の純増額が拡大しました。

3点目は、当第3四半期までの順調な業績推移を受けて、2026年5月期の通期業績予想と中期財務方針(2027年5月期通期)を上方修正しました。

経営成績の概況

第3四半期の3ヶ月間の実績についてご説明します。売上高は前年同期比25.3パーセント増と堅調に成長し、売上総利益率は前年同期比で0.4ポイント改善しました。

調整後営業利益は、売上高の伸長に加え販管費率の低下等により前年同期比69.6パーセント増と大幅な増益となり、四半期単位でも過去最高益となりました。

これらの背景により、経常利益および親会社株主に帰属する四半期純利益も大幅な増加となりました。

調整後営業利益の増減要因

調整後営業利益の詳細についてご説明します。売上高は前年同期比25.3パーセント増加と堅調に成長し、原価率は0.4ポイント低下しました。

広告宣伝費については、「Bill One」の好調な受注状況を背景にテレビCM等のプロモーションを強化したことで前年同期比51.1パーセント増となり、売上高比率は1.7ポイント上昇しました。一方で、人件費の増加は前年同期比11.7パーセント増にとどまり、売上高人件費率は4.0ポイント低下しました。

その結果、販管費率は前年同期比で6.1ポイント低下し、成長に必要な投資を継続しながら、調整後営業利益は前年同期比69.6パーセント増の大幅な増益となっています。

セグメント別実績の概況

続いて、セグメント別の概況についてご説明します。Sansan/Bill One事業は堅調な売上成長が続き、調整後営業利益は大幅な増益となりました。

Eight事業は好調な増収を継続したものの、調整後営業利益は前年同期比マイナス24.3パーセントとなりましたが、黒字を維持しました。

Sansan/Bill One事業の概況

続いて、8ページからセグメント別の詳細についてご説明します。Sansan/Bill One事業の売上高は、「Sansan」の堅調な成長と「Bill One」の高成長継続により、前年同期比23.6パーセント増となりました。

また、「Contract One」とグループ会社であるナインアウト社の業績が計上されている「その他」も好調に推移し、売上成長に寄与しました。そのうち、「Contract One」の売上高は前年同期比101.9パーセント増となり、契約件数は前年同期末比102.2パーセント増の653件となりました。また、ARR(年間固定収入)は2026年3月末時点で10億円を超える等、足元でも好調に拡大しています。

調整後営業利益は前年同期比76.8パーセント増の大幅な増益となりました。内訳として、「Bill One」の収益性改善が大きく寄与しており、第3四半期では単月で黒字化する月も見られる等、赤字額は約6,000万円まで縮小して前年同期比で約8億円改善しています。また、「Sansan」の調整後営業利益は前年同期比19.2パーセント増益となりました。

「Sansan」:主要指標の状況

「Sansan」のKPIについてご説明します。スライド左側に示すとおり、ストック売上高は前年同期比15.6パーセント増と堅調な成長を継続しました。

スライド中央のグラフで示した契約件数は前年同期末比12.8パーセント増、四半期での純増数は372件となり、第2四半期から成長率が加速しました。契約当たり月次ストック売上高は前年同期比1.4パーセント増となり、高水準で推移しています。

スライド右側のグラフは、直近12ヶ月平均月次解約率を示しています。当第3四半期においては0.54パーセントと第2四半期とほぼ同水準となり、安定して1パーセント未満の低い水準を維持しています。

また、解約理由についてはこれまでと変わらず、個社特有の事情に基づくものです。例えば、生成AIを活用して「Sansan」の代替となるシステムを内製化したことによる解約等は特に認識していません。

「Bill One」:主要指標の状況

続いて、「Bill One」のKPIについて10ページをご覧ください。スライド左側のグラフのMRRは、前年同期比36.8パーセント増の約11億5,600万円となりました。第2四半期末からは約8,600万円の純増となり、四半期純増額は4四半期連続で拡大しています。

次に、スライド中央に示した有料契約件数は前年同期比36.1パーセント増、四半期での純増数は325件となり、前期第3四半期以降、安定して300件を超える成長が継続しています。有料契約当たり月次ストック売上高、直近12ヶ月平均月次解約率はともに前年同期比でやや改善し、良好な水準を維持しました。

「Sansan」:AI機能による収益基盤の強化と拡大

続いて、「Sansan」「Bill One」「Contract One」のAIを活用した機能の開発状況と、今後の業績寄与の方向性についてご説明します。

まず、2025年5月期の通期決算でご紹介した「Sansan MCPサーバー」です。本機能は、ユーザーが自社で利用している「Microsoft Copilot」等の生成AIから、「Sansan」上に蓄積された名刺情報やコンタクト履歴を直接呼び出せるようにする仕組みで、いわば「Sansan」と外部の生成AIをつなぐ橋渡しの役割を担います。

昨年11月にトライアル提供を開始して以降、大企業を中心とした10社以上の先行ユーザーと検証を重ねてきた中で、課題が見えてきました。それは、「Sansan」上のデータを単に外部AIに渡すだけでは、回答の精度やまとめ方等が、各社で利用しているAIモデルの性能やユーザーの指示の出し方に左右されてしまい、得られるアウトプットのクオリティにばらつきが生じてしまうというものです。

この課題を解決するため、現在は「Sansan」側でもAIを介在させて、データを用途に応じた最適なかたちに整理・加工してから外部AIに渡す仕組みへとアップデートを進めています。これにより、例えば、直近のニュースや過去の接点、活動の要約までを網羅した高精度なレポートを「Sansan」側で構成し、それをそのまま外部AIが活用できるようになります。

その結果、ユーザーは複雑な設定や高度なプロンプト設計をしなくても、誰でも簡単に生成AIから的確な回答を引き出せるようになります。

「Sansan」:AI機能による収益基盤の強化と拡大

昨年11月に提供開始した「Sansan AIエージェント」は、先ほどの「Sansan MCPサーバー」とは異なり、あくまで「Sansan」上で完結するAI機能になっています。「Sansan AIエージェント」を使えば、「Sansan」内のデータや「Sansan」に連携している営業ツール等のデータを「Sansan」上で自然言語で参照・活用することができます。

この「Sansan AIエージェント」は、かなり大がかりな、いわばフルカスタマイズのような性質を持つ機能でしたが、一部大型の受注を獲得する等、確かな顧客ニーズを確認することができました。

ただし、このフルカスタマイズ版のままであるとどうしても導入可能な企業が限定されてしまうため、今後はより多くのユーザーを獲得していくために、この「Sansan AIエージェント」の主だった機能を「Sansan AIサーチ」として整理し、「Sansan」上でより使いやすくしていく方針としました。

例えば、「Sansan AIサーチ」を使うと、製造業でDXを進めている企業の中で「自社と既に接点がある企業」と「接点がない企業」をリストアップする等といった抽象度の高い指示に対して、名刺やコンタクト履歴、関連するWeb上の公開情報等を掛け合わせた精度の高いリストを瞬時に出力できるようになります。

これらの機能については、段階的な先行提供等を行いながら、今年の夏頃を目指して正式に実装していく予定です。AI機能の拡充によって新規顧客の獲得・促進だけではなく、既存顧客の単価上昇にも期待できるものと考えています。

このような機能開発を通じて、「Sansan」に蓄積されたデータの活用度が高まるほど、データベースそのものの価値も高まっていくと考えています。その源泉となるのは、生成AIが公開情報からは取得できない名刺やコンタクト履歴といった一次情報です。

「Sansan」はサービスの利用を通じて、こうした一次情報を継続的に取得・蓄積できる構造を有しているため、AI活用が進むほどこの構造的な強みが一層強化され、生成AIの進化とともにますます競争優位性や利用価値の向上につながっていくものと期待しています。

「Bill One」:AI機能による収益基盤の強化と拡大

続いて、「Bill One」についてもAIを活用した機能の状況と業績寄与についてご説明します。まず、昨年11月にオプション機能として「AI自動照合」の提供を開始しました。これは、企業が受領した請求書や納品書の内容と、発注書や検収書等の仕入れに関する内容を、総額や明細単位で照合する機能になっています。

企業では、過払い等を防止する目的でこのような照合対応を行っていますが、多くの場合担当者による手作業で実施しており、大きな業務負荷が生じています。特に明細が数千行に及ぶケースや、月末月初に数十名規模で対応する企業もある等、業務負荷・コストともに非常に大きい領域です。こうした背景から本機能に対するニーズは非常に高く、企業の業務効率化において重要なテーマの1つとなっています。

この機能を使えば大幅な工数やコスト削減が実現できることから、発表後には多くの反響をいただいています。機能提供開始前に、自動照合オプションの利用を含む新規受注として1社でARR約4,200万円の案件を獲得したほか、提供を開始した当第3四半期においては1社でARR約2,800万円規模の案件を獲得する等、順調に立ち上がりつつあります。

今後、本機能の導入が広がることで、「Bill One」の平均単価の上昇の他、「Bill One請求書受領」の導入加速や、エンタープライズを含む高単価案件の獲得にもつながっていくことを期待しています。

「Bill One」:AI機能による収益基盤の強化と拡大

次に、2026年夏頃を目途に提供予定の「AI自動起票」についてご紹介します。まず、経理処理における「起票」とは、請求書の内容をもとに勘定科目や金額等を入力して、社内承認のための伝票を作成する業務です。

「AI自動起票」は、この起票業務を、受領した請求書の明細データと過去の起票データをもとに、AIが勘定科目や税率等を自動入力し、サジェストする機能になっています。担当者が日々「Bill One」上で起票していくことで、学習データベースに処理情報が蓄積され、AIによる処理精度が自動的に向上するため、業務負担を大幅に軽減していくことができます。

さらに、新たな機能として検討している「自動承認」では、起票された内容と請求書データをAIで自動的にチェックして、承認プロセスを簡素化します。機能提供前にもかかわらず、当第3四半期においてすでに本機能の利用を前提とした新規受注も獲得する等、多くの反響をいただいており、本機能も今後の「Bill One」の成長に寄与してくれることを期待しています。

「AI自動照合」「AI自動起票」「自動承認」といった機能が実現できている背景には、「Bill One」が請求書という一次情報を取得する構造を有し、かつ明細単位まで高精度にデータ化している点があります。

請求書の処理業務は、受領から照合、起票、承認、仕訳に至るまで、複数の工程が密接に連続するプロセスです。AIによる業務自動化を真に成立させるためには、正確にデータ化された一次情報と、こうした業務プロセス全体を一貫して支える仕組みの両方が不可欠です。「Bill One」は請求書処理の入口から押さえていることで、後続の業務プロセスまで一体で自動化できる強みがあり、これが提供価値の拡張余地にもつながっています。

「Contract One」:AI機能による収益基盤の強化と拡大

最後に、「Contract One」におけるAI活用機能の開発状況についてご説明します。現在、AIを活用した契約書レビューサービスは市場にも存在しますが、基本的には法律や一般的なレビュー観点に基づく確認や、自社の雛形との比較を中心としたものが多いと認識しています。

一方で、ビジネスの現場で求められるのは、取引先との関係性や過去の契約条件を踏まえた、より実務に即した判断になります。このようなニーズに応えるべく、「Contract One」では、過去の契約書データをもとに自社基準で判断できるAI契約書レビュー機能の提供を開始します。

「Contract One」では、「Sansan」で培ったデータ化や名寄せ技術を活用して、過去の契約書から最新の覚書に至るまでの契約情報を取引先ごとに正確に紐づけ、構造化したデータベースとして整備しています。これによって、ユーザーが生成AIを活用して、過去の類似案件や当該取引先との契約経緯等を踏まえながら、有利・不利の判断といった自社独自の基準に基づく契約書レビューを行えるよう支援していきます。

実装の仕組みとしては、MCPサーバーを介して、ユーザーがふだん利用している「Claude」等の生成AIから「Contract One」のデータベースにアクセスできる環境を構築します。その結果、ユーザーは使い慣れたAI環境から、過去の契約判断を踏まえた回答を得ることや、取引先ごとの条件に応じた契約書レビューを行うことが可能になります。

「Contract One AIレビュー」は2026年4月中の提供開始を予定しており、「Contract One」の提供価値を一段と高めることで、新規契約の獲得を含めた事業のさらなる成長につなげていきます。

Eight事業の概況

続いて、Eight事業についてご説明します。16ページをご覧ください。BtoCサービスの売上高は前年同期比9.9パーセント増となりました。BtoBサービスの売上高は、ビジネスイベントの堅調な成長や採用関連サービスの好調な成長などにより、前年同期比で43.8パーセント増となり、これらの結果、Eight事業全体の売上高は前年同期比41.1パーセント増となりました。

調整後営業利益は、来期以降の堅調な成長の継続に向けて新しい大型イベントの開催に着手したことで、やや収益性が悪化して前年同期比で24.3パーセント減となりましたが、黒字を維持しています。第3四半期累計期間では大幅な増益を達成しており、まったく問題はありません。

2026年5月期通期業績予想及び中期財務方針(2027年5月期通期)の上方修正

次に、業績見通しの上方修正についてご説明します。18ページをご覧ください。第3四半期までの業績推移を受けて、2026年5月期の通期業績予想と中期財務方針を上方修正したので、順にご説明します。

2026年5月期通期業績予想の上方修正

まず、今期業績の上方修正について19ページをご覧ください。売上高は、各サービスの堅調な成長を背景にレンジの下限を引き上げ、新たに前年同期比24.0パーセント増から25.0パーセント増を見込みます。

また、調整後営業利益についてもレンジの下限を引き上げ、前年同期比126.0パーセント増から143.0パーセント増、調整後営業利益率は15.0パーセントから16.0パーセントを見込みます。

中期財務方針(2027年5月期通期)の上方修正

次に、中期財務方針について20ページをご覧ください。従来、中期財務方針の中で、来期の調整後営業利益率の方針は18パーセントから23パーセントとしていましたが、今期の好調な利益推移を受けてその下限を引き上げ、新たに20パーセントから23パーセントに上方修正します。なお、このタイミングでは利益率の見通しのみを見直ししたので、売上高や調整後営業利益等の詳細については、2026年7月予定の通期決算発表の際に開示する予定です。

ここまでをあらためて振り返ると、売上高・利益ともに順調に推移しており、なかでも利益については想定を上回るペースでの進捗となっています。高成長を続ける「Bill One」の赤字額が大きく縮小したことに加え、大きな収益基盤である「Sansan」が安定して利益を創出するフェーズにある構造そのものが大きく寄与しています。

現在、株式市場においては生成AIの急速な発展を背景に、SaaS企業の中長期的な成長性に対して慎重な見方が根強くあることは認識しています。当社はこれまでご説明してきたとおり、生成AIの進歩はリスクではなく事業機会として捉えています。

この好調な足元の業績を来期、再来期へとしっかりとつなげていくことで、さらなる売上高成長と利益率の向上を実現させていきます。

以上で説明を終了します。ありがとうございました。

質疑応答:受注トレンドの傾向について

質問者:生成AIを活用して「Sansan」の代替となるシステムを内製化したことによる解約等の影響は出ていないというお話でした。また、受注トレンドについては「Bill One」の新規受注が好調であ

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