2026年2月期決算説明
三陽商会、2027年2月期は前期不振要因の克服により増収増益を計画 新ブランド展開やM&Aも積極的に推進
内容

大江伸治氏(以下、大江):本日は、弊社の2026年2月期決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
決算説明資料のアジェンダです。1つ目が2026年2月期 業績結果、2つ目が2026年2月期 振り返り、3つ目が2027年2月期 計画です。
連結PL:2026年2月期実績

2026年2月期の実績をご説明します。スライドには定量結果とともに前年差・計画差を示しています。ここでの計画は、本年2月27日に公表した修正計画を指します。
売上高は584億5,000万円で、前年差20億8,000万円の減少、計画差1億5,000万円の上振れとなりました。売上総利益は356億円で、前年差22億1,000万円の減少、計画どおりの結果となりました。販管費は343億円で、前年差8億円の減少、計画差1億円の下振れとなりました。
営業利益は13億円で、前年差14億2,000万円の減益、計画差1億円の上振れとなりました。経常利益は14億4,000万円で、前年差13億9,000万円の減益、計画差1億4,000万円の上振れとなりました。当期純利益は41億1,000万円で、前年差1億1,000万円の増益、計画差1,000万円の上振れとなりました。
以上の結果、売上高および経常利益までは前年差で減収減益の決算となりました。計画差については、当初計画に対して大幅な下振れとなりましたが、修正計画に対しては若干上回る着地となりました。
また、当期純利益は、投資有価証券売却益を特別利益として計上したことにより、前年差1億1,000万円の増益となりました。当初計画差でも1,000万円上回ることができています。
連結PL:KPI

KPIです。売上総利益率は60.9パーセントで、前年差で1.6ポイント低下し、計画からは0.2ポイント下振れとなりました。販管費率は58.7パーセントで、前年差で0.7ポイント上昇し、計画からは0.3ポイント下振れとなりました。
営業利益率は2.2パーセントで、前年差で2.3ポイント低下しましたが、計画からは0.2ポイント上振れとなりました。経常利益率は2.5パーセントで、前年差で2.2ポイント低下しましたが、計画からは0.2ポイント上振れとなりました。当期純利益率は7.0パーセントで、前年差で0.4ポイント上昇し、計画どおりの結果となりました。
ROEは10.3パーセントで、前年差で0.3ポイント上昇し、計画からは0.1ポイント上振れとなりました。
四半期別の売上高推移

四半期ごとの商況をまとめたものです。売上高は四半期ごとに多少のアップダウンがありましたが、期を通して低調な推移が続き、結果として通年では前年比97パーセントに終わりました。
要因としては、春先の低気温とその後の急激な気温上昇により、春のプロパー商戦が短期間で終息したこと、さらに8月から10月上旬までの記録的な猛暑により秋冬商戦の初動が大幅に遅れたことが挙げられます。この結果、秋冬についてもプロパー販売期間が短縮されるなど、イレギュラーな気象条件の影響を受けました。
さらに、国内外の政治経済情勢の先行き不透明感や恒常的な物価上昇を受けて、消費者の生活防衛意識が高まり、消費マインドが冷え込みました。節約志向が高まったことで低価格のマスマーケットは活況であった一方、中高級品市場は総じて低調に推移しました。
加えて、これまで市場を牽引してきたインバウンド売上が不振でした。これは中国人客の訪日リスクの影響などによるもので、前期は期を通してインバウンド売上が低迷しました。
結果として、特に百貨店は非常に厳しい状況が続き、2025年度12ヶ月間の百貨店アパレル市場の売上推移は、前年比97パーセントにとどまりました。
当社の場合、百貨店比率が60パーセントを超えているため、百貨店不振の影響を直接受けました。
参考)チャネル別売上実績

チャネル別の売上実績を記載しています。まず、スライドの下段をご覧ください。百貨店が前年比92パーセント、直営店が98パーセント、EC・通販が108パーセント、アウトレットが108パーセントとなっています。
プロパー販路である百貨店と直営店が前年割れだったのに対し、セール販路であるECとアウトレットが前年比108パーセントとなり、プロパー販売の不振をセール販売で補った構図がそのまま表れた結果です。
チャネル別の構成比はスライド上段で示したとおりになりました。百貨店は61.8パーセントで、前年から2.8ポイント低下しました。直営店は5.9パーセントで前年と変わりません。EC・通販は15.2パーセントで前年から1.6ポイント上昇し、アウトレットは13.4パーセントで前年から1.4ポイント上昇しました。
参考)販管費実績の内訳

販管費の実績です。スライドにあるとおり、販管費は前年差で7億9,500万円減少しました。ただし、売上の下振れに伴い、売上連動の販売手数料が8億9,700万円減少しています。
それを除いた実質販管費は、前年から1億200万円増加、計画に対しては6,000万円下振れする結果となりました。
項目別の対前年差については、スライドの右側に記載しています。
連結BS

連結バランスシート(貸借対照表)です。主要項目の前年比較を記載しています。各項目別の前年比較は、スライドの右側に記載しています。
総資産は期末で約599億円となり、前年から28億6,200万円増加しました。純資産は約409億円で、前年から16億2,000万円ほど増加しています。結果として、自己資本比率は68.3パーセントとなり、前年から0.6ポイント低下しました。
重点施策の進捗状況と評価

2026年2月期の振り返りと自己評価をご報告します。まず、「売上高の確保」について、前年比で97パーセント、20億8,000万円の減収となりました。評価としては「×」です。この背景は先ほどご説明したとおりです。
「粗利率の改善」については、粗利率は60.9パーセントと前年から1.6ポイント悪化しました。修正計画に対しても0.2ポイントの下振れとなり、評価は「×」です。前期は1年を通してプロパー販売が不振であり、それをセール販売で補完する構図が続きました。
その結果、プロパー販売比率は通期59.5パーセントとなり、前年から4.9パーセント低下しました。また、平均売価も2万3,000円と、前期から800円低下しています。
一方、調達原価率については、プロパー上代に対して前年から0.3ポイント低下しました。最終的には、原価削減の効果がプロパー販売比率の低下で相殺される結果となりました。
重点施策の進捗状況と評価

「販管費のコントロール」については、販管費は前年差で8億円減少しました。ただし、売上連動の販売手数料が9億円減少しているため、実質販管費は1億円の増加となりました。しかし、計画に対しては6,000万円下回り、販管費を抑制することができたため、評価は「〇」としています。
次に、「インベントリーコントロール」については、期末の在庫は81億8,000万円で、前年から1億6,000万円増加しています。ただし、中身を詳しく見ると、当期品と翌期品のフレッシュ在庫は2億3,000万円増加した一方、繰越品は前年から7,000万円減少しています。このように在庫総額は増加しましたが、旧品比率は低下したことから、評価は「△」としました。
「財務改革」については、自己資本比率は68.3パーセントと、前年から0.6ポイントほど低下したものの、引き続き高水準を維持できました。負債資本倍率(DER)は0.18倍と低水準を維持しており、財務の健全性も引き続き維持できていることから、評価は「〇」としました。
売上高不振の要因分析

売上不振の要因分析をスライドにまとめました。先ほどお伝えしたとおり売上トップラインは前年比97パーセントと不振が続き、それがKPIの悪化にもつながっています。
売上不振の要因については、先ほど気象条件や市場環境などの外的要因を説明しましたが、これ以外にもさまざまな内的要因がありました。それらをブランド軸、商品軸、顧客軸、チャネル軸の4つのメッシュで記載しています。
まず、ブランド軸についてです。「BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE」は合計で前年差8億2,000万円の減収となりました。「BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE」は当社の中でもインバウンド比率が高いブランドであり、インバウンド売上が約4億3,000万円、前年から減少しています。すなわち、8億2,000万円の減収のうち、約4億3,000万円がインバウンド売上の減少によるものです。
その他、「BLUE LABEL CRESTBRIDGE」については、企画MDがやや前年の踏襲型となり、企画の刷新が滞りました。また、「BLACK LABEL CRESTBRIDGE」については、コアカテゴリーであるスーツをはじめとするテーラリングアイテムが不振であったことも要因です。
また、「BAKER STREET」については、このブランドのみで8億円の減収となりました。「BAKER STREET」は従来、ライセンスブランドである「THE SCOTCH HOUSE」というブランドで事業を展開していましたが、ライセンス契約終結に伴い、プライベートブランドである「BAKER STREET」に切り替えました。ブランド切り替え後の認知度不足、特にフリー客の売上が確保できなかったことが減収につながりました。
婦人服については4ブランドで構成しています。「AMACA」は非常に好調だったものの、それ以外の3つのブランドが不振で、結果として婦人服全体で4億9,000万円の減収となりました。
これら4ブランドを合計すると約21億円の減収であり、3つの事業領域で減収となりました。この減収が全体の減収要因となり、それ以外のブランドについてはほぼ前年並みの売上を確保することができました。
次に商品軸についてです。コートやアウターなど、当社が得意としている重衣料が前年を上回りましたが、スーツは前年比90パーセントにとどまりました。また、洋品、いわゆる中軽衣料が前年比96パーセントで不振に終わりました。
顧客軸では、さまざまな顧客対策のための施策を実施した結果、顧客売上は前年比104パーセントと好調でした。特に上位顧客であるロイヤル顧客については前年比112パーセントと施策の効果が出ましたが、一方でフリー客売上は前年比91パーセントにとどまりました。
チャネル軸では、百貨店が前年比92パーセントとなり、百貨店のみで約30億円の減収となりました。一方で、百貨店以外のチャネルについては9億1,000万円の増収となっています。
百貨店売上の不振については、百貨店市場全体が前年割れであったことに加え、一部電鉄系百貨店の閉店や売場縮小、さらにラグジュアリー優先方針によるフロア改編などがあり、当社における百貨店売場は前期において実質17店舗減少しています。
つまり、百貨店チャネルについては、市場全体が不振であったことに加え、当社では売場の減少も影響し、前年比92パーセントにとどまりました。
連結PL:2027年2月期 計画

2027年2月期の計画についてです。同期間は現行の中期経営計画の第2年度に該当します。後ほど定量計画の修正についてもご説明しますが、この第2年度である2027年2月期も、当初計画から修正した内容となっています。
スライドにあるとおり、売上高は600億円で、前年差15億5,000万円の増収を見込んでいます。売上総利益は372億円で、前年差16億円の増加を見込んでいます。販管費は351億円で、前年差8億円の増加を見込んでいます。
コア営業利益は23億円、前年の営業利益と比較して10億円の増益を見込んでいます。営業利益は21億円で、前年差8億円の増益を見込んでいます。経常利益は20億円で、前年差5億6,000万円の増益を見込んでいます。当期純利益は40億2,000万円で、前年差9,000万円の減益を見込んでいます。以上を、2027年2月期の計画としています。
後ほどご説明しますが、4月3日に本社土地の一部売却と本社ビルの建て替え実施について公表しており、当期からその関連費用の一部発生が見込まれています。スライドに記載しているコア営業利益は、本社建て替えによる影響を除いた営業利益です。一方、営業利益はその影響を加味したものとして表示しており、2段でそれぞれを示しています。
連結PL:KPI

KPIについて説明します。KPIでは、売上総利益率が62.0パーセントで、前年差1.1ポイントの改善を見込んでいます。販管費率は58.5パーセントで、前年差0.2ポイントの低下を見込んでいます。コア営業利益率は3.8パーセントで、前年の営業利益率と比較して1.6ポイントの改善を見込んでいます。
営業利益率は3.5パーセントで、前年差1.3ポイントの改善を見込んでいます。経常利益率は3.3パーセントで、前年差0.9ポイントの改善を見込んでいます。一方で、当期純利益率は6.7パーセントで、前年比0.3ポイントの低下を見込んでいます。また、ROEは10.0パーセントで、前年差0.3ポイントの低下を見込んでいます。以上が今期の計画です。
売上高回復の為の施策

売上高回復のための施策についてご説明します。今期は前年比103パーセント、15億5,000万円の増収を計画しており、その実現に向けた施策をスライドに簡単にまとめています。
先ほどご説明した前期の不振要因を克服することが、増収の鍵となると考え、そのための具体的な取り組みを記載しています。
外的要因である気象条件や市場環境に対しては、MDサイクルの短縮化や中軽衣料の強化、エントリープライス商品の積極投入を含む価格戦略の見直しなどを計画しています。
さらに、当社がよりコントロール可能な内的要因の克服策についても、詳細に記載しました。
まず、ブランド軸についてです。先ほどご説明した3つの事業領域における不振要因の克服に関して、「BLUE LABEL CRESTBRIDGE」については、すでに新しいディレクターを起用し、前年踏襲型MDからの脱却、企画MDの抜本的な刷新を実行している状況です。
「BLACK LABEL CRESTBRIDGE」は、カジュアルシフトが若干進みすぎ、カジュアルブランド化している側面があります。コアカテゴリーであるスーツ・テーラリングアイテムを徹底的に強化することにより、本来のオーセンティック・ブリティッシュ・トラッドブランドとしてのイメージを再構築したいと考えています。
また、「BLUE/BLACK CRESTBRIDGE」共通の特徴として、アウトレットの売上比率が比較的高いことが挙げられます。そのため、アウトレット強化策として商品流動の効率化や専用商材の拡充を実施したいと考えています。
「BAKER STREET」については、価格戦略を抜本的に見直し、上質さと値ごろ感を兼ね備えた大人カジュアルブランドとしての認知度向上を目指し、特にフリー客売上の大幅な拡大を図りたいと考えています。
婦人服については、「AMACA」の成功モデルを他の3ブランドに横展開します。加えて、4ブランドの複合ショップである「SANYO Style STORE」に関しては、すでに10数店舗を展開していますが、さらに多店舗化する計画です。
また、商品軸に関しては、前期に不振であったスーツについて、「Paul Stuart」は比較的高いスーツ比率を維持できているものの、スーツ比率が低下している「MACKINTOSH LONDON」と「BLACK LABEL CRESTBRIDGE」においては、スーツの徹底強化を図ります。そのためのエントリープライス商品の拡充や店頭VMの強化を実行したいと考えています。
洋品や中軽衣料については、全ブランドで商品の差別化を図ると同時に、価格戦略を徹底的に見直します。裾野を少し広げることにより、特にフリー客への訴求力を高める方針です。
顧客軸に関しては、フリー客への訴求をいかに強化するかが鍵となります。特に、「SANYO MEMBERSHIP」会員の新規獲得キャンペーンにて、新規会員の獲得がフリー客売上の拡大につながることが実績として証明されています。このため、会員獲得キャンペーンをさらに強化します。また、エントリープライス商品の拡充やデジタル施策の強化、その他の取り組みについても推進します。
顧客売上は前年同期比104パーセントと好調でしたが、顧客対策のための施策をさらに強化し、顧客売上のさらなる拡大を目指します。
チャネル軸については、特に電鉄系百貨店の閉店や売場縮小がほぼ一段落したことを受け、今後は積極的に出店攻勢をかけたいと考えています。ただし、百貨店市場における売場の確保は依然として容易ではないため、百貨店以外の販路を開拓し、それらの売上を拡大することがより重要な課題となると考えています。
具体的な施策としては「SANYO Style STORE」、および「EPOCA THE SHOP」などの編集型複合ショップのインショップ展開を強化するとともに、百貨店以外にも「SANYO Style STORE」の新バージョンである「SANYO Style STORE+」という新しい店舗モデルを、百貨店以外の商業施設に出店します。
さらに、百貨店以外の販路を念頭に置いた施策として、すでに公表している新ブランド「AUREME」をはじめとする店舗展開を積極的に実行します。
2027年2月期計画:売上高の確保

販路別の売上高です。
2027年2月期計画:粗利率の改善

粗利率改善のための施策についてです。今期の粗利率は62.0パーセントと、前年から1.1ポイントの改善を計画しています。そのための施策として、従来通りの取り組みを継続推進します。
特に価格戦略の見直しにおいて、調達原価をいかに抑えるかが非常に重要な課題となりますが、その重点施策として挙げられるのは、コストファクターとして非常に大きい素材のソーシングを多様化することです。
つまり、素材調達における選択肢を広げることを目指し、既存仕入先だけでなく新規仕入先も含めた幅広い提案を求める方針です。また、すでに一部実行している施策として、ブランド横断展開素材の開発、いわゆる共通素材を複数ブランドで活用する取り組みも積極的に実施します。
インベントリーコントロールの強化とプロパー販売比率の改善は、密接に関連する課題です。インベントリーコントロールについては、引き続き仕入の20パーセントプール運用を活用することや、売れ筋商材のQR対応をさらに高度化すること、MDサイクルを短縮してMDの精度を向上させることによって、実需発注体制を強化します。
あわせて、前期からすでに実行している施策として、繰越品の消化に特化した専門のタスクフォースチームを組成しており、このチームにより繰越品を徹底消化します。これにより、期末在庫は前期末の81億8,000万円に対して、今期末には73億3,000万円まで減らすことを目指します。
そして、インベントリーコントロールを強化することで、プロパー販売比率を前期から4.7ポイント向上させ、64.2パーセントを目指したいと考えています。この64.2パーセントという数値は前々期の水準にあたります。したがって、前期に低下したプロパー販売比率を前々期の水準に戻すという目標です。
2027年2月期計画:販管費のコントロール

販管費のコントロールについてご説明します。今期の販管費は351億円を計画しており、これは前期から8億1,000万円の増加となります。ただし、増収に伴う売上連動の販売手数料の増加が2億5,000万円あるため、それ以外の実質的な販管費の増加は5億6,000万円を見込んでいます。実質販管費の増加の内訳は、スライドに記載したとおりです。
本社土地一部譲渡及び本社ビル建て替え

本社土地の一部譲渡および本社ビルの建て替えについてです。本件は、すでに4月3日に公表済みです。
本社土地の一部譲渡および本社ビルの建て替えを決定した背景として、本社ビルが築56年を迎え、耐用年数が到来していることがあります。老朽化が進行し、オフィス環境が年々劣化しているため、建て替えが必要不可欠な状況です。
そこに、当社の本社ビルの一部を購入したいという引き合いがあり、協議の結果、本社の土地の一部である約219坪を売却し、残りの約480坪に新本社を建設する計画を決定しました。
土地売却による譲渡益は28億円であり、こちらは建て替え費用の一部補填に活用する予定です。具体的には、解体費や仮事務所への引っ越し費用、仮事務所の賃料などです。
譲渡益と建て替え費用の一部はセットオフすることが可能です。ただ、譲渡益については譲渡実行の段階で特別利益として一括計上される一方、建て替え費用は販管費として計上されるため、営業利益にマイナスの影響が生じます。そのため、営業利益については、この要素を除いた「コア営業利益」と加味した「営業利益」の2段階でご説明したということです。
いずれにしても、本社ビルの建て替えによって、労働環境の改善やさらなる業務効率化、生産性の向上、社員のモチベーションアップにつながると考えています。これにより、当社の人的資本戦略にも合致するものであると判断しました。
中期経営計画の進捗状況

続いて、中期経営計画の進捗状況についてご説明します。
Mission, Vision, Values

この中期経営計画は昨年4月に公表しましたが、基本方針および内容については当初計画どおりで特段の変更はなく、Mission、Vision、Valuesについても変更はありません。
長期目標とその達成に向けた中期経営計画の位置付け

長期目標とその達成に向けた中期経営計画の位置付けについてです。スライドに記載のとおり、10年後の長期目標からバックキャストして、その達成に向けた3ヶ年計画を策定するという基本的な建て付けも変更ありません。
長期目標達成に向けたアプローチ

長期目標達成に向けたアプローチとしては、コア戦略としてオーガニックグロースによる既存事業の拡大を掲げています。
そのほか、既存事業の事業領域の拡張、新規自社ブランドの開発、海外展開、M&Aといった施策も講じており、これらも当初計画どおりです。
オーガニックグロースの継続推進

コア戦略であるオーガニックグロースのための施策です。スライドに記載のとおり、構造改革施策の継続推進によるKPI改善、商品力の強化、販売力の強化を実施することは、当初の計画から変更はありません。
新たな成長戦略/M&A

オーガニックグロース以外の成長戦略については、前期にいくつかの進展がありました。スライドの右側に、進行中の案件を記載しています。
既存ブランドの事業領域の拡張として、「Paul Stuart Golf」の導入をすでに開始しています。
新規自社ブランドの開発としては、前期にEC専用ブランド「BIANCA」をローンチしました。また、すでに公表済みの「AUREME」は、ファッションビルを主販路として今秋冬より展開を開始する予定です。「HANAE MORI」についてもローンチを予定しており、本日プレスリリースを行いました。
海外展開については、日本アパレル・ファッション産業協会が運営する「J∞QUALITY FACTORY BRAND PROJECT」の一環として、昨年イタリアの展示会「Pitti Immagine Uomo」に「SANYOCOAT」の「100年コート」を中心に出店し、数百万円の受注を得ました。2回目となる本年の出店では一気に受注が拡大し、複数社から数千万円の受注がすでに確定し、非常に強い手応えを感じています。
今後は「100年コート」に加えて、「青森ダウン」や「福島ジャケット」など、当社のメイドインジャパンの三陽サミットシリーズの商品を積極的に出展し、受注を拡大させたいと考えています。
また、M&Aについては、すでにタスクフォースチームを組成し、種々の検討を重ねています。現在、ロングリストからミドルリスト、さらにはショートリストに絞り込む段階に至っています。
ブランドポートフォリオ

ブランドポートフォリオについては、当初の計画どおり変更はありません。
ブランドポジショニング

ブランドポジショニングについても、当初の計画どおり変更はありません。
チャネル戦略

チャネル戦略についても、当初計画どおりで変更はありません。
定量計画修正の背景

定量計画は前期実績および現状を考慮し、修正を加えています。スライドはその背景を記載したものです。
まず1つ目として、前期実績が当初計画を大幅に下回り、中期経営計画初年度で大きくつまずく結果となったことが挙げられます。また、重点課題であった商品力と販売力の強化について、双方で十分な成果を上げられず、多くの課題を残すことになり、基礎競争力の強化が未だ不十分であることが明らかになりました。
また、夏の長期化など気象条件の変化が定着しつつあります。商戦サイクルが大きく変化する中で、各商戦への対応や、秋冬の重衣料に偏重したこれまでの商品戦略について、抜本的な見直しと修正が求められています。
加えて、地政学リスクを含む国内外の政治経済情勢の不透明感がさらに増していること、慢性的な物価上昇に伴う実質所得の低下傾向が当面続くと見込まれることなどから、消費者の生活防衛意識がさらに高まることが予測されます。
このような状況下において、中高級品市場の地合いが一段と悪化する懸念があり、当面、市場の好転は期待できないと判断しています。
このように、中期経営計画の策定時に前提とした与件条件や市場の拡張性についての予測と、初年度を終えた状況との間に大きな乖離が生じていることを踏まえ、今期および来期の定量計画を修正せざるを得ないとの判断に至っています。
三か年計画:連結PL

3ヶ年の連結PLです。2027年2月期計画は先ほど説明したとおりです。
最終年度である2028年2月期の修正計画についてご説明します。売上高は620億円、売上総利益は386億円、販管費は373億円、コア営業利益は25億円、営業利益は13億円、経常利益は12億円、当期純利益は40億8,000万円です。これが最終年度の定量計画です。
コア営業利益と営業利益の間に12億円の差がありますが、これは新オフィスの建て替えに伴う解体費用を含む建て替え費用、仮事務所への引っ越し費用と賃料がこの期に集中して発生するためです。
また、経常利益と当期純利益の間に約28億円の差がある理由は、本社土地売却益によるものです。これは、この期に譲渡を予定しており、譲渡益が発生するためです。あわせて、投資有価証券売却益を特別利益として計上することも見込んでいます。
スライドの下に記載しているとおり、620億円の売上計画にはM&A等は含まれていません。言い換えれば、仮にM&A案件が実現した場合には、計画が上振れする可能性があるということです。
三か年計画:KPI

3ヶ年計画のKPIです。2027年2月期については先ほど説明したとおりです。最終年度となる2028年2月期の計画をご説明します。
売上総利益率は62.3パーセント、販管費率は60.2パーセント、コア営業利益率は4.0パーセント、営業利益率は2.1パーセント、経常利益率は1.9パーセント、当期純利益率は6.6パーセント、ROEは10.2パーセントです。
PBR改善計画:現状分析・課題・解決策

資本戦略は、当初の計画から特段の変更はありません。コア戦略として、まずROEの改善を図ります。ROEを改善することで、PERやPBRを向上させます。
PBRについては、2年前は0.72倍でしたが、直近では1倍を超えました。このように、さまざまな資本政策の効果がPBRという指標に表れていると考えています。
PBR改善計画:ROEの改善

ROE改善のための施策も当初計画から変更はありません。分子であるReturnの増加と分母であるEquityのコントロールのため、積極的に成長投資、社員還元、株主還元を実行します。
PBR改善計画:その他のPBR改善策

事業成長に加え、IR/SR活動のさらなる強化により、PBRの改善を促進します。こちらも当初計画どおりに推進しています。
ネットキャッシュ・アロケーション:2026年2月期実績

スライド21ページおよび22ページにネットキャッシュ・アロケーションを記載しています。まず、前期の実績についてです。期初のネットキャッシュは168億円で、新たにキャッシュインが44億円ありました。
これに対し、成長投資に6億円、社員還元に1億円、株主還元に38億円を使用しました。その結果、期末のネットキャッシュは167億円となり、1億円減少しました。株主還元については配当に加え、前期に2度実施した自社株買いも加味しています。
ネットキャッシュ・アロケーション:2028年2月期までの計画

スライド22ページは、今期および来期にわたるネットキャッシュ・アロケーションです。
キャッシュの使途

目安ではありますが、キャッシュの使途について、スライドで成長投資、社員還元、株主還元ごとにブレイクダウンを示しています。
中でも成長投資については、サンヨーソーイング青森工場の建て替えを決定しており、そのために約20億円を投資することがすでに決まっています。また、新たなブランドの立ち上げや海外展開等も、すでに実行途上にあります。
さらに、M&Aについてはすでにショートリストへの絞り込み段階に入っており、約50億円強の投資を見込んでいます。
配当計画

配当方針についてです。中期経営計画期間中はDOE 4パーセントを維持する方針です。前期は中間配当で69円、期末配当で70円、年間配当139円の配当を実施しています。
今期については、先ほどお伝えしたように、同じくDOE 4パーセントを維持し、中間配当72円、期末配当75円、年間配当147円と見込んでいます。
ただし、本年9月1日に株式を3分割する予定があり、実施した場合には、1株当たりの期末配当は25円となる見込みです。
中期経営計画達成を支える非財務価値

非財務価値についてご説明します。まず、人的資本については、当初の計画から変更はありません。基本施策として、人材育成と人事インフラの整備を重点課題として進めています。
①人的資本への投資強化

各詳細も当初の計画どおりです。前期の進展として、女性管理職比率が直近では19パーセント台まで上昇し、目標の20パーセントが視野に入ってきました。
また、自社株買いで取得した自己株式の一部を、従業員持株会を通じ、従業員にRS(譲渡制限付株式)として付与しています。さらに、本社ビルの建て替えにより、従業員の労働環境の改善も実施されます。
②社会信頼基盤:コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスも計画どおりです。
②社会信頼基盤:サステナビリティ

サステナビリティについてご説明します。サステナビリティ委員会を通じて、さまざまな施策を立案し、実行しています。
リユース事業については、前期の衣料回収実績が9万2,000点となりました。前年の約5万点弱からほぼ倍となり、前年度生産着数に対する比率も3.6パーセントに達しています。引き続き前年度生産着数の10パーセントを目標とします。
当社のサステナビリティへの取り組みについては、社外評価も向上しています。まず、CDP質問書の気候変動分野においてAマイナススコアを取得しました。さらに、「日経サステナブル総合調査」SDGs経営編では2年連続で星3.5を獲得しています。
以上、2026年2月期の決算および中期経営計画の進捗状況について、ご説明しました。
質疑応答:社長交代と新体制における役割分担について
質問者:社長交代の件についてうかがいます。新社長となる平林氏の新体制に、どのような点を期待されていますか?また、大江社長が会長に就任されるということで、大江氏と平林氏の役割分担はどのようにされるのでしょうか?
大江:私自身、社長就任から6年が経過しており、年齢の問題もあり、いつまでも続けるわけにはいきません。当社には指名・報酬委員会という取締役会の任意の諮問委員会があり、この委員会においてサクセッションプランを当社の重要課題と位置付け、議論を重ねてきました。その結果、平林氏が最適であるとの判断に至りました。
私自身は社長を退任しますが、引き続き代表取締役会長として社長とともに経営にあたります。いわゆる2トップ体制を構築することで、ガバナンスと業務執行の両面で体制を強化します。これにより、この2年間ほどの業績停滞を脱し、業績を浮揚させることで、会社を成長軌道に乗せることを目指します。
平林氏は三井物産で長年にわたりさまざまな業務を経験されていますので、知見、識見も申し分ないと私自身は考えています。私よりも年齢が若いこともあり、新しい発想や異なる角度から経営や業務執行を見ていただくことで、刷新されることを期待しています。
質疑応答:中東情勢による原料費高騰への対応と、出店戦略への影響について
質問者:中東情勢に絡み、現在、原料費の高騰が話題となっていますが、御社としてどの程度の原料費高騰を織り込んでいるのでしょうか?あるいは、安定的な商品の供給に向けてすでに対策を講じているのであれば教えてください。
大江:中東情勢による当社への直接的な影響はありません。当社の調達はアジアが中心であり、中東エリアからの輸入はないためです。ただし、間接的にはこれからさまざまな影響が出てくる可能性があると危惧しています。
ひとつには、当社の扱う商品は天然繊維もありますが、合成繊維を使用する比率が非常に高いことがあります。合成繊維のほとんどが石油由来の商品であるため、原料価格の上昇が当社の調達コスト引き上げにつながることが懸念されます。
また、繰り返しになりますが、地政学リスクを含め、国内外の政治経済情勢の不透明感が消費者心理に非常に大きな影響を及ぼしています。物価上昇と相まって、お客さまの節約志向や生活防衛意識が非常に高まっているのが現状です。
このような状況は、当社が属する中高級品市場にもさまざまな影響を与えています。百貨店が前期に非常に不振であったのも、そうした理由によるものです。直接的な影響はないものの、間接的な影響は非常に大きいと考えています。
対応策については妙案があるわけではありませんが、前期の不振要因をしっかり分析できていますので、その一つ一つについて丁寧に対策を講じるという地道な対応よりほかにないと考えています。
質問者:間接的な影響について、例えば、住宅メーカーが一部資材の受注停止を発表しています。その点が出店戦略に影響を及ぼす可能性はありますか?
大江:可能性はあると思います。我々は年に何十件もの新規出店を行っていますので、店舗設営費などにも影響が出てくることが考えられます。
質疑応答:中東情勢に伴うナフサ不足の影響と値上げ時期について
質問者:こちらも中東情勢に関する質問で恐縮ですが、ナフサ不足なども懸念されています。御社において、もし価格改定や値上げの議論が出てくるとすれば、それはいつ頃になるのでしょうか?可能性としては、今期秋冬シーズンが考えられますが、その先になるのでしょうか?時期について可能な範囲内で教えてください。
大江:現に、一部の仕入先からはそのような申し入れがあります。この件については、加藤副社長からお答えします。
加藤郁郎氏(以下、加藤):一部の原料メーカーから、表地や裏地、付属品に関する値上げの要請があるのは事実です。
値上げに対しては、資材を集約するなどにより対応するほか、今期秋冬シーズンでは冬物資材を早期に仕入れたり、ブランドを横断して発注をまとめたりする方法で、値上げの影響を抑えることになると思います。
質疑応答:大江氏の6年間の振り返りと今後の課題について
質問者:大江社長にお尋ねします。新体制下では代表取締役会長として続けられるということなので、少し早いですが振り返りをさせてください。6年前のちょうど今頃、社長に就任された際は、営業赤字が4年続いていました。また、そのような状況下でさらにコロナ禍に突入し、非常に大変な時期に社長に就任されたと思います。この6年間を振り返り、最大の成果は何でしょうか?
また、ご説明と重複する部分もありそうですが、今も課題として残り、平林次期社長と共に取り組んでいかなければならないものは何だとお考えでしょうか?
大江:この6年間を振り返ると、最初の3年間と後の3年間で大きく2つのフェーズに分けられると思います。最初の3年間は、コロナ禍の影響を受けながら、徹底的な事業構造改革を行いました。具体的にはコストダウンやリスクマネジメント、とりわけインベントリーマネジメントに注力し、収益構造のボトムラインをいかに確保するかに徹底して取り組んできました。そのことについては、明確に成果が出たと考えています。
再生プランを経て、3年目には黒字化を達成しました。特に前中期経営計画の初年度と第2年度では、計画を大幅に上回る売上高と利益を確保することができ、シナリオどおりの結果を出せたと総括しています。
ただし、前中期経営計画の第3年度からは少し足踏みが続き、新たな中期経営計画に入った途端に、先ほどご説明したとおり、計画大幅未達に終わってしまいました。収益構造のボトムラインを確保した上で、いかに成長戦略を実施し、会社を成長軌道に乗せるかという次のフェーズに入ったわけですが、成果を出すどころか、逆に少し足踏み、むしろ後退してしまいました。その点については非常に忸怩たる思いを抱いています。引き続き私自身も伴走しますが、新しい社長の下で新しい発想を取り入れ、私とは異なる手法を用いることにより現在の局面を打開してもらいたいと期待しています。
一方、基本的な戦略や方針については、三陽商会という会社の特性や保有するさまざまなアセットを考慮すれば、妥当なものであると現在も考えています。今後はその応用、すなわち方法論を再検討して、より有効な手法を採用することが必要になると考えています。
いずれにせよ、私自身もしばらくは伴走し、2トップ体制により業務執行におけるパワーを向上させて取り組みたいと考えています。
質問者:6年前と大きく変わった部分はどのようなところでしょうか?
大江:ずっと営業赤字が続き、どうすればよいのかわからないような状況から、ある程度方向性を定め、こうすればこうなるはずだという仮説のもと実行してきた結果、成果が出たという成功体験を社員全員が共有しています。
したがって、経営がというよりも、社員全員がPDCAを回して成功体験を勝ち取ったことによって、社員の意識が非常に大きく変わったのではないかと考えています。
前期は売上が落ち、減益にはなりましたが、それでも利益を上げることができました。この点について、前期の実績は非常に情けない不本意な結果ではあったものの、当社の収益構造の強靭さを示すものでもあったと考えています。
今後はトップラインをもう少ししっかり伸ばすことができれば、現在の構造を維持する限り利益を確実に出し、拡大させることができると確信しています。
方法論的にはまだ不十分な点もありますが、どうすれば利益を出せるかについては、それを実行する社員の十分な共通認識ができたのではないかと考えています。
質疑応答:新ブランドの展開とアッパーミドル市場戦略について
質問者:今年の秋冬から「AUREME」、来年の秋冬から「HANAE MORI」の展開が始まるとのことですが、昨年発表された新しいブランドは、どちらかというとミドル寄りという印象が強かったのに対し、今回はアッパーミドル寄り、あるいは更に上の市場を視野に入れた展開となるブランドのように感じています。新ブランドの今後の展開や開発の方向性について、改めてどのような方針をお考えか、お聞かせください。
加藤:まず「AUREME」についてです。これは発表のとおり、中期経営計画における新たな成長戦略として、ファッションビルや商業施設、ECなど、百貨店以外を主販路とする新規自社ブランド開発を重要な戦略の1つとして位置づけています。この方針に基づき、2026年秋冬シーズンより展開を開始するものです。
2026年9月に店舗およびECでの販売を開始し、5年後にはファッションビルを中心に約10店舗、売上20億円を目指します。
ブランドのディレクターには櫛部美佐子氏を起用し、ブランドコンセプトとして「空気をまとい素肌に寄り添う 未来のための日常着」を掲げ、都市生活者が直面する気候や環境変化に寄り添った機能性とファッション性を両立した高付加価値デイリーウェアを提案します。「AUREME」は、このような考えに基づいて展開します。
続いて、本日発表した「HANAE MORI」についてです。中期経営計画に掲げている新たな成長戦略の一環として、新規ブランド開発、市場拡大、および事業領域の拡大を推進するものです。
MNインターファッション株式会社とのパートナーシップのもと、ウィメンズのトータルコレクションブランド「HANAE MORI」の企画・製造・販売を、2027年秋冬シーズンより開始するためのプロジェクト始動を決定しました。
当社は、アッパーミドル市場において圧倒的な存在感と競争優位性を持つトップランナーを目指すことを長期目標としています。「HANAE MORI」は、その戦略を担うブランドの1つに位置づけています。
また、森英恵氏の生誕100年という節目に始動するこのプロジェクトでは、海外進出した日本人デザイナーの先駆けとなった「HANAE MORI」ブランドを現代の視点で捉え、時代を超えた価値を持つブランドとして、新たに提案するものです。
「タイムレス・エレガンス」を軸に、ミニマルでありながら存在感のあるデザイン、高品質かつ手の届く価格帯、「HANAE MORI」の世界観を現代の感性で表現したトータルコレクションとなります。
本ブランドはクリエイティブデザイナーに、パリの一流メゾンで10年以上の経験を持ち、国内ブランドのディレクターとしても実績豊富な大槻聡士氏を起用します。百貨店におけるアッパーミドル層、さらに最上階の中でも最も高い領域を目指して、これから開発に着手する方針です。
大江:補足説明をすると、現在、アパレル市場ではハイエンドラグジュアリーブランドが引き続き市場を牽引しています。しかし価格が高騰しすぎており、一般消費者には手の届かない状況です。
それに対し、百貨店もいつまでもラグジュアリー依存ではいられないということで、いわゆるアフォーダブルラグジュアリーやアクセッシブルラグジュアリーといった領域のブランドを求めています。例えば、伊勢丹新宿店でも、そのようなブランドが数多く展開されています。
当社においても、一部ブランドではミドル市場へのアプローチも試みていますが、基本的な戦略としては、より高価格帯の領域を志向し、アフォーダブルラグジュアリー市場への参入を目指しています。
例えば、既存ブランドでは「MACKINTOSH LONDON」「Paul Stuart」「EPOCA」などが、その領域を目指したいと考えています。それ以外にも、初めからその市場を念頭に置いた新ブランドの立ち上げが必要になるだろうと考えています。そのような発想に基づき、現在「HANAE MORI」がどのようなかたちになるかは未定ですが、1つの材料として検討しています。
質疑応答:現在のM&A戦略とブランド獲得への取り組みについて
質問者:M&Aに関しての質問です。昨年の本決算における中期経営計画の中でも少し触れられており、検討が進んだものと思います。他方で、アパレル業界内では最近、特にこの1年でM&Aの動きが加速している印象を受けます。その中で、現在のM&A戦略について、どのように優れたブランドを取得するのか教えてください。
大江:M&Aについては、タスクフォースチームを組成し、現在はショートリストへの絞り込み段階まで進んでいます。一方、これまでの事例を見ると、M&Aは成功確率がそれほど高くない傾向にあります。
そのため、当社の企業価値を高められる案件であるのかどうか、また、ガバナンスやオペレーションマネジメントの観点から、当社が本当にハンズオンで対応できるのかという点も慎重に検討する必要があります。
ここ1年、売上が少し停滞している背景として、オーガニックグロースだけでは大きな成長を実現するのが難しいことがあり、それを痛感しています。そのため、新規ブランドの立ち上げや、アクイジションによる商権確保などの手法は、成長戦略において不可欠であると考えています。
質疑応答:経営体制変更の背景について
質問者:先日、筆頭株主が変更となりましたが、今回の経営体制変更にはその点も影響があったのでしょうか?
大江:筆頭株主とはさまざまな意見交換や意思疎通を図っていますが、具体的な対話内容については差し控えます。
今回の人事は、筆頭株主の存在とはまったく関係がありません。経営体制の変更は、社内で慎重に議論を重ねた結果として指名・報酬委員会および取締役会が決定したものであり、外部からの圧力や進言があったということは一切ございません。
質問者:次期社長候補の平林氏は大江社長と同じく三井物産株式会社のご出身とのことですが、もともと面識があったり、能力を評価されていたりした経緯はありますか?
大江:平林氏とは仕事上の直接的な関係はありませんでしたが、三井物産のさまざまな方から、平林氏は非常に優秀であるとの評価を伺っておりました。人格や識見を含めてすべての面で非常に高いレベルにある方だと認識しています。
なお、三井物産のOBであることは偶然であり、指名・報酬委員会において多くの候補者の中から平林氏が最適であると判断され、選ばれました。
質疑応答:気候変動への対策について
質問者:売上高の減少に気象条件が影響している点を挙げられていますが、御社は業界内でもいち早くシーズンMDに取り組んできたかと思います。なぜ苦戦されているのか、最も重要なポイントとその対策を教えてください。
加藤:2023年から2024年にかけて、早い段階から夏の長期化に対応するための商品開発とMDの細分化を推進してきました。しかし、それだけでは対応しきれない課題もあり、価格の問題など時期ごとに異なる要因がありました。
例えば8月・9月の猛暑に向けた商材の揃え込みは、一定の効果がありました。ただし、ファッション好きなお客さまの購買行動は、先物買いなど、当初想定していたよりもさらに細分化されていることがわかりました。そのため、価格設定や季節ごとの展開商品については、さらに詳細な分析に基づき改善する必要があると、この2年間のさまざまなトライを通じて学びました。
また、秋冬シーズンでは、特に12月から2月にかけて、暖冬の影響や、寒さが突然訪れるといったイレギュラーな気象条件にも対応する必要があります。例えば、1月や2月に寒波が到来し、防寒用品の需要が急増することもあります。この2年間で得られた学びを活かし、今期に向けてしっかりと対応したいと考えています。
質疑応答:百貨店販路について
質問者:百貨店販路は現在売上高構成比で約60パーセントを占めていますが、今後の構成比はどの程度を見込んでいますか?
加藤:当社が中高級品市場でしっかりと競争力を発揮する上で、百貨店は重要な販路となっています。一方で、ファッションビルやショッピングモール、ECなど、その他販路に対応するブランド開発を同時に推進することも必要です。将来的には百貨店の比率が徐々に下がることを前提とした戦略を立てつつ、引き続き全力で取り組みたいと考えています。
大江:百貨店販路の位置づけについては変更していません。当然、百貨店は当社にとっての主戦場です。前期の百貨店販路に関しては、特にインバウンド売上減少の影響もあり前年割れという結果になりましたが、今期に入り前年を超える基調へと回復してきています。
ここ最近では円安の影響もあり、百貨店全体としては、3月にはインバウンド売上が前年を超えたと聞いています。また、前期は低調でしたが、今後もずっと悪いとは考えていません。
先ほど申し上げたように電鉄系百貨店の閉店に関連して、今年2月に名鉄百貨店が閉店しましたが、これをもって大規模な売場縮小については一段落したと考えています。これからは、ほぼ均衡状態が続くのではないかと見ています。
また、百貨店市場については、ここ数年で売場自体の差別化がさらに進みました。高級品市場としての百貨店市場がより明確になり、他の市場と一線を画した特別な売場としての位置づけやプレゼンスが以前よりも高まったと考えています。
ただし、問題となっているのは、百貨店がさらにラグジュアリー志向を強め、時計や宝飾売場の優先度を高めている点です。このような方針により、当社にとっては売場確保のハードルが高くなっているという課題があります。しかし、それゆえに私たちは百貨店に対する攻勢をさらに強化し、現在の売場を維持するだけでなく、新しい売場も獲得していかなければなりません。
そのため、既存のブランドだけではなく、例えば複合型ショップの「EPOCA THE SHOP」や「SANYO Style STORE」を強化します。「EPOCA THE SHOP」は、松坂屋名古屋店ではこれまで路面中心だった展開をインショップ形式に切り替えることで、非常に良い成績を収めています。このような新しい店舗モデルを開発し、百貨店にとっても魅力的な出店形態を提案することが必要だと考えています。
顧客に関しても、当社のようなアッパーミドルブランドの商品価値やブランド価値を正しく評価し、理解していただけるお客さまは、やはり百貨店の顧客であると考えています。商業施設での展開においては客層となかなか合わない部分があるため、我々にとってコアな顧客は百貨店の顧客であるという構図は変わりません。
例えば、我々の上位顧客、いわゆるロイヤル顧客のほとんどが百貨店の顧客です。したがって、当社は百貨店に対して、決して消極的な見方をしているわけではありません。ただし、百貨店での売場の確保が以前より難しくなっている現状において、百貨店への依存体質では成長が難しいというジレンマがあります。そのため、百貨店以外の販路を開拓し、百貨店以外の売上を拡大することで、百貨店の売上も伸ばしながら相対比率を下げるというのが、今後の戦略になると考えています。
質疑応答:「SANYO Style STORE+」の郊外型ショッピングセンター出店について
質問者:新バージョンとおっしゃっていた「SANYO Style STORE+」の出店について、郊外型ショッピングセンターへの出店もあり得るのでしょうか。
大江:おっしゃるとおりです。しかし「SANYO Style STORE」の既存の商品ラインですと、価格帯が少し合わず、百貨店との住み分けも必要であるため、既存ブランドの別ラインを新たに編成し、少し価格帯を調整した上で、一部GMS系の商業施設にも出店したいと考えています。既存の「SANYO Style STORE」とは別バージョンとして商品構成も変更しながら、展開したいと考えています。
質疑応答:非公開化に対する考えについて
質問者:我々のような短期的な利ざやを追求する投資家から見ると、アクティビストに対してどのようにイグジット機会を提供するのかが最大の論点だと考えています。現在、非公開化は検討されていますか?
大江:非公開化については、現時点では考えていません。上場を維持し、上場維持基準など厳しい条件下で会社を持続的に成長させることが、中長期的に企業価値を高めることにつながると考えています。
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