ハイマックス、生成AIを活用したソフトウェア開発プロセスを導入 フレームワーク標準化により事業の拡張性を強化
目次

中島太氏(以下、中島):はじめまして。株式会社ハイマックス代表取締役社長の中島です。本日はお忙しい中、当社の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
それでは、目次に沿って当社の事業内容や事業戦略についてご説明します。どうぞよろしくお願いします。
ハイマックスについて〔会社概要〕

中島:会社概要です。当社は1976年に設立し、本社は設立以来横浜にあります。今年度で第50期を迎えました。
事業内容は、ソフトウェアの企画、設計・開発およびメンテナンスサービスの提供です。
2025年3月期の実績は、売上高が180億6,600万円、営業利益が18億700万円、従業員数は2025年9月末日現在で996名です。
ハイマックスについて〔経営指標〕

中島:主な経営指標の推移についてです。直近の2025年3月期では、営業利益とROEのいずれも2桁の水準を維持しています。この詳細は後ほどご説明します。
ハイマックスについて〔沿革・業界動向〕

中島:スライドには、情報サービス産業の歩みと社会情勢、当社グループの売上高の推移を示しています。
1986年には売上高が10億円未満でしたが、当社は先端技術の研究開発部門を新設し、1988年からは人材開発部門を設け、技術力の向上と人材の育成に力を入れてきました。
2001年に株式上場し、2015年には売上高が100億円を突破しました。現在は、さらなる飛躍を目指し、中期経営計画の実現に向けて売上高200億円超えを目指しています。
ハイマックスについて〔歴史〕

中島:当社は50年の歴史の中で、さまざまな取り組みを行ってきました。
当社の強み・特長〔人材育成〕

中島:当社の強みと特長についてご説明します。
1つ目は、人材育成です。近年の技術者不足への対応として、新卒採用人数を従来の50名程度から、直近では連結ベースで約80名まで増加させました。当社の資本である人材の増強に積極的に取り組んでいます。
採用した新入社員には、3ヶ月間の導入教育を実施しています。さらに、技術面や階層別に社内外の教育カリキュラムを整備し、スキルと経験を軸としたキャリアパス制度も設けており、着実な成長を支えています。
当社の強み・特長〔技術力向上〕

中島:2つ目は、技術力向上への取り組みです。スライドには、情報処理技術者試験などの資格取得者一覧を示しています。資格取得者には社内表彰制度を設けるなど、積極的にチャレンジできる仕組みを整え、奨励しています。この実績は当社のホームページでも公開しており、業界でも誇れる水準だと自負しています。
特に注力しているのは、データ分析やアジャイルといったDX技術者の育成、およびプロジェクト現場責任者であるプロジェクト・リーダーの育成です。また、全社員に対してeラーニングの必須講座を導入し、さらなるスキル向上に取り組んでいます。
当社の強み・特長〔サービス分野〕

中島:3つ目は、システムのライフサイクル全領域にサービスを提供できることです。
当社のシステムの構築は、「どのような業務を処理するのか」などの企画から始まります。その後、システムを設計し、開発を行います。開発が終わり、お客さまがシステムを利用開始された後も、メンテナンスが必要となります。そして、一定期間システムが利用されると、次のシステム再構築の計画が検討されるというライフサイクルになっています。
特にメンテナンスサービスは、長期的で安定した取引が確保できるとともに、お客さまの業務ノウハウを蓄積できます。この業務ノウハウを活用することで、次期システムへの参入面で優位になります。
企画および設計・開発(SSS)の工程で領域を拡大し、システム稼働後のメンテナンス(SMS)で継続受注することにより、安定した売上高の拡大につなげています。
当社の強み・特長〔ユーザー業種〕

中島:当社が開発したシステムをご利用いただいているユーザー企業の業種は、金融業界向けが約7割、非金融向けが約3割です。
どの業種のシステムも社会インフラとして重要な役割を担っています。万が一システム障害が発生すると社会に大きな影響を与えるため、当社には高い技術力と業務ノウハウが求められます。
当社は設立以来、特に高い信頼性が重視される金融業界向けを主軸として、売上を拡大してきました。
当社の強み・特長〔主要顧客〕

中島:当社の主要なお客さまについてです。最も重要な取引先は、野村総合研究所などの大手システム・インテグレーター(SIer)です。また、ジェーシービー、ALSOKなどのエンドユーザー企業から直接受注するケースもあります。
さらに、30年以上継続してお取引しているお客さまが売上高の約7割を占めており、20年以上のお客さまを含めると約8割となっています。
kenmo氏(以下、kenmo):独立系のSIerは数多く存在すると考えられますが、御社の現在のポジショニングや競合の状況について教えていただけますか?
中島:まず、ポジショニングについてですが、当社は中堅のSIerというポジションに位置していると考えています。当社と同規模、あるいはやや規模の大きい会社と提案や見積もりのコンペで競合することが多いことから、そのようなポジションにあります。
このような環境の中で、当社は特に金融システム、特に保険業務分野において強みを持っていると認識しています。
kenmo:コンペは頻繁に競合する状況なのでしょうか? それとも案件が非常に豊富で、むしろ採算性の良い案件を選べるような売り手市場になっているのでしょうか? その点も含めて教えていただけますか?
中島:世間一般的には、仕事は大量にある方向に進んでいると考えています。ただし、そこでも必ずコンペが発生しています。どちらかというと、優先的に受注を得るためには、かなりの特色を持たないと難しいと思います。
開発事例

中島:ここからは、みなさまの生活の中で当社が開発に携わったシステムが活用されている事例を、いくつかご紹介します。
開発事例〔保険業界向け〕

中島:まず、生命保険業界向けの事例をご紹介します。営業職員がタブレット端末を活用し、その場で保険商品を提案できる保険加入審査システムの開発に携わっています。
スピーディーにオーダーメイドの提案が可能になることで、保険会社の業務効率化および競争力向上を支援しています。
開発事例〔クレジット業界向け〕

中島:次に、クレジットカード不正利用対策についてです。クレジットカードの偽造などによる不正使用は年間約555億円以上に達しており、クレジット会社にとって重要な経営課題となっています。
当社では、クレジットカードの不正使用検知システムの開発に携わっています。このシステムは、過去数十億件に及ぶ膨大な利用履歴をもとに不正使用を解析し、不正使用の可能性を検知する仕組みです。これにより、安全で安心なキャッシュレス社会の実現に貢献していると考えています。
開発事例〔その他〕

中島:当社のサービスは、ユーザー企業の経営戦略を実現することに加え、みなさまの便利で快適な暮らしを支える社会インフラであると考えています。
開発事例〔DX案件〕

中島:スライドには、最近よく耳にする「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に関する案件の売上高および構成比率の推移を示しています。DXとは、企業がデジタル技術を活用し、競争上の優位性を確立することを指します。当社も、このDX案件の受注に積極的に取り組んでいます。
kenmo:「DX案件について、売上比率を25パーセントに伸ばす上で、今後伸びる領域と、勝ち筋を教えてください」というご質問をいただいていますが、こちらはいかがでしょうか?
中島:DX案件は、全体的に情報系やフロント系の案件に偏っている状況です。これは、基幹系のDXまではまだ進んでいないことを示していると思います。
また、「売上高の構成比率を何パーセント伸ばすか」という目標の実現にはまだ数年かかる見込みです。ただし、これはあくまでも当社の見込みですが、全体的に5割から6割程度まで積みあがると予想しています。
kenmo:DXは「2025年の崖」というテーマが話題になっていました。すでに2026年になりましたが、それでもなおDXが必要とされる旧態依然のシステムが現場には相当数残っている状況なのでしょうか?
中島:そのような認識です。これまで作り上げられたシステムを、現在もなんとか稼働させている状況が続いていると思います。そのシステムの詳細を十分に理解している方がどの程度存在しているかは、かなり疑問が残る状況です。そのため、業務を改革しながらシステムを刷新することを希望する声が多いのではないかと考えます。
一方で、生成AIが台頭してきているため、この生成AIを活用しながらDXに取り組む流れになると考えています。
開発事例〔生成AIの取り組み①〕

中島:生成AIに関する当社の3つの取り組みをご紹介します。
1つ目は、生成AIを活用したシステムの開発です。従来のシステム開発は技術者が手作業で行っていましたが、今後はソフトウェア開発現場で生成AIツールの活用が一般化すると考えています。
実際に、当社では生成AIを活用したソフトウェア開発プロセスを導入し、設計から実装、ドキュメント作成までの工程をAIで効率化することで、開発スピードを大幅に向上させています。
さらに、フレームワークの標準化により、複数案件への展開が容易になり、事業の拡張性を強化していきます。
また、情報保護、著作権、セキュリティなどのリスク管理を徹底し、人とAIの協働による新しい開発スタイルを確立していきます。結果として、高い生産性と競争力の強化を実現したいと考えています。
開発事例〔生成AIの取り組み②〕

中島:2つ目の取り組みは、生成AIを活用した「ジシャナビ」です。
これまでの業務自動化・効率化の取り組みでは、RPA、いわゆるロボットを用いて定型業務の単純作業を行ってきました。一方、生成AIは意思決定や創作活動といった非定型業務を支援できます。これにより、大幅な効率化が可能になると考えています。
当社が開発した「ジシャナビ」は、お客さま固有の社内規則やマニュアルなどを事前に学習させることで、例えば社内システムの利用方法に関するご質問に、わかりやすく回答します。
これにより、システム部門は煩雑な問い合わせ業務などから解放されることになります。
開発事例〔生成AIの取り組み③〕

中島:3つ目は、生成AIツール「スキルブースター」を新入社員研修で活用した事例です。「スキルブースター」は新入社員の問題解決能力向上を目的として開発され、研修における質問対応や問題解決支援を行います。
このツールは新入社員だけではなく、現在は人事部や開発現場においても効果が期待されています。
特筆すべき点は、この生成AIツールを入社わずか1年目の社員が中心となって開発したことです。経験の浅い社員でも、実用レベルの生成AIツールを開発できる環境整備と、DX教育への投資の成果だと考えています。今後もAIに関する研究と投資を継続し、事業の拡大につなげていきます。
kenmo:生成AIのトレンドは、このSIer業界にとって大きな変化だと思います。いくつかお聞きしたいのですが、まず率直に、開発現場への生成AIの導入についてうかがいます。
クラウドコードなど、さまざまな生成AIによるソースコード開発が当たり前になりつつあります。御社における生成AIの導入状況について、同業他社に比べて進んでいるという認識か、それともまだ足りていないと考えているのかを教えてください。
中島:当社における生成AIの取り組みは、約2年前に遡ります。2024年度のスタート時点において、先ほどお伝えしたお客さまの売上ポートフォリオでも触れましたが、いわゆるSIerなどメーカーのお客さまの関連業務が全体の約7割を占めています。そのため、まずはお客さまがどのようなAIエンジンを採用し、どのようなプラットフォームで開発を進めているのかを調査することから始めました。
そこを調査し、その技術を習得する計画を立て、昨年度に実行しました。今年度はようやく、お客さまとともにプロトタイプの開発や事前の準備作業を進めることができています。そのため、他社より若干、半歩から一歩リードしているのではないかと感じています。
また、その中で約3割のお客さまについては、直接プライムとしてユーザー企業さまから仕事を受注しています。そのため、これらの企業に対しては、当社から生成AIを活用したエンジンやプラットフォームを提供していく必要があります。
今後は、それ以外の部分についても当社で開発を進めており、現在、システム構築の作業工程はテストフェーズに入っています。当社の規模からすると、こちらも若干進んでいるのではないかと考えています。
kenmo:先ほど「DX案件の開発を、生成AIによって加速していく」というお話がありました。例えば、「ブラックボックス化したシステムを生成AIによって解析して」といった一般的な取り組みも進めているのでしょうか?
中島:そのようなご相談もあります。ただし、システムがブラックボックス化されているため、そこへ新しい機能や要件を追加して再構築したいというご要望は多いものの、それはなかなか難しい状況です。
まずは現状のソースコードを最新のプラットフォームに移行させるところから始め、ソースコードを生成していったんリリースします。その後、新しい業務要件や要望を取り込むようなご提案を行っています。
kenmo:「『AIに仕事が奪われ、今後は逆に人手が必要なくなる、業績に大きな変化が起こる』といったリスクについて、現状の認識を教えてください。
現在、市場において特色のわかりにくいSIerのバリエーションが低下している気がします。御社でも、このあたりのリスクを業績予想に織り込んでいるのではないでしょうか?」というご質問をいただきました。こちらは多くの方が関心を持つテーマかと思います。
中島:ご質問で触れていただいたように、この先、システム構築の世界では間違いなく生産性が向上し、人手があふれる時代が到来すると考えています。我々としては、まさにその方向に進んでいただければと思っています。
その理由として、当社はこれまでシステム開発を中心に事業を展開してきましたが、今年で50周年を迎えます。次の10年、20年、30年を見据え、新たなビジネスモデルを取り入れていきたいと考えているためです。
現在、システム開発に携わっている社員には、すでに取り組んでいますが、いわゆる上流工程からコンサルティングを含めたサービスを提供する事業に注力しています。その中で生成AIを用いてアウトプットを生成し、社員の稼働が減少した分を新たな事業に振り向けていきたいと考えています。
kenmo:ちょうど今、スライドで「入社1年目の社員が生成AIツールを開発した」という事例も出ています。新入社員が生成AIの最近のトレンドをキャッチアップしており、「むしろ生成AIを使って開発しないのはどうなの?」といったかたちになっているのかと思います。
逆に、比較的ベテラン社員の方たちが生成AIの導入に消極的である、といった現場感はあるのでしょうか?
中島:非常によいご質問ですね。
まず、若手社員のほうが生成AIに親しみやすい点は間違いありません。しかしながら、システムを構築する上でのルールや、お客さまの慣習といった部分については、若手社員にはまだ経験が不足しているのが現状です。
そのため、先輩社員と協力してチームを組み、取り組むことが効果的だと考えています。現段階ではそのように進めています。
ただし、今後生成AIがさらに成熟し、先輩社員の助言がなくてもシステムが完成するようになっていく可能性もあります。そのような状況では、生成AIがソースコードや設計書、テスト仕様書を作成し、それに基づいてテストを進める場面も出てくるでしょう。ただし、現在のところ、生成AIは不具合の原因を特定・検証するレベルには達していません。
したがって、このような場面では先輩社員が活躍する機会は依然として多く存在すると考えています。
kenmo:生成AIは全体の98パーセントを作ることが得意ですが、金融システムでは基本的に100パーセントが求められます。残りの2パーセントが難しいということですね。
中島:おっしゃるとおりです。
業績動向〔2025年3月期 実績〕

中島:直近の業績動向についてです。2025年3月期の売上高は、前期比4.1パーセント増の180億6,600万円となりました。主な要因としては、ビジネス領域を拡大した新規プロジェクトの立ち上げや、金融向けDX案件の拡大が挙げられます。
営業利益については、売価の改善および生産性向上に取り組んだ結果、18億700万円となり、前期比5.1パーセントの増益を達成しました。売上高営業利益率は10パーセントです。
業績動向〔2026年3月期第3四半期 実績①〕

中島:2026年3月期第3四半期の実績です。エンドユーザー向けDX案件の拡大により、売上高は134億7,100万円で、前期比1.1パーセントの増収となりました。
一方、営業利益は11億2,700万円で、前期比14パーセントの減益となりました。これは、当社社員および協力会社を含めた人材への継続的な投資を実施した結果です。
業績動向〔2026年3月期第3四半期 実績②〕

中島:受注高および受注残高の状況です。特に受注残高は、システム・メンテナンスサービスで前期比16.1パーセント増加しました。
業績動向〔2026年3月期 予想〕

中島:今期の連結業績についてです。2026年3月期は売上高200億円、営業利益18億2,000万円を目指しています。なお、1株当たり当期純利益は110円87銭となります。
中期経営計画 『NEXT C4』〔基本戦略〕

中島:現在取り組んでいる中期経営計画の概要です。主力である受託開発事業の拡大に向けて、非金融分野およびエンドユーザー取引の比率は30パーセントを維持します。また、デジタル技術を核としたDX案件の売上高比率を25パーセントまで高めていきます。
人的資本への投資として、DX技術案件を専門的に取り扱う部門を設置し、DX技術者数およびDX技術系資格の保有数を増やしています。全社施策として、プロジェクトリーダーの増員に向けた投資を継続します。
当社技術者の育成に加え、ビジネスパートナー企業を含めた開発人員の増強に努めます。さらに、M&Aも積極的に検討していきます。
kenmo:「中期経営計画では非金融分野の比率維持を掲げていますが、特定の業界に依存するリスクなどをどう評価していますか? 金融DXの特需が一巡した後の成長シナリオとして、非金融分野をどのように拡大させるのか、具体的なターゲット層や勝算を知りたいです」というご質問をいただいています。
中島:比率としては非金融向けを30パーセントまで拡大することを目指しています。実は、数年前までは非金融向けの業務比率が20パーセントを下回っており、どちらかというと金融向けの業務に偏りすぎていました。そのため、これまであまり積極的に進めてこなかった非金融向けの分野にチャレンジし、事業を拡大していきたいと考えています。
また、DXの進展状況については、非金融のお客さまのほうがかなり積極的に取り組んでおり、金融向けのお客さまはやや出遅れている印象があります。
したがって、先ほどのご質問にあった「金融向けが一段落したら」という点については、現在は逆の状況です。非金融のお客さまが一段落した後に、金融向けのお客さまへ注力していこうと考えています。
kenmo:中期経営計画に関連する部分でもありますが、業績を伸ばしていくためにはプロジェクトリーダー層の育成が非常に重要な課題になると思います。実際、御社の課題感としてはいかがでしょうか?
中島:プロジェクトリーダーの育成は、まさに喫緊の課題です。当社では5年ほど前から、育成に向けて非常に積極的に取り組んでいます。これはおそらく、当社だけでなく、当社規模の企業であれば同業他社の方々も口をそろえて述べていることかと思います。
体系的な教育を行うため、スキルマップシートのようなものを作成し、「できていないところをできるようにしよう」と着実に取り組んでいます。この内容は毎年更新しており、かなり力を入れてプロジェクトリーダーの育成に取り組んでいる状況です。
kenmo:反対に、プロジェクトリーダーがもっと育つことで、より多くの案件を獲得できるという課題感もありますか?
中島:まさにそのとおりです。
kenmo:育成が今後の業績成長の鍵ということですね。
株主還元〔配当推移〕

中島:当社の株主還元策についてです。安定的かつ適正な利益還元を継続して実施することを配当の基本方針としており、配当性向は40パーセントを目安としています。
この方針に基づき、今期の配当計画では、株主のみなさまの日頃のご支援に応えるため、年間配当を1株につき46円とし、前期から1円の増配を予定しています。これにより5年連続の増配となり、配当性向は41.5パーセントとなります。
今後も安定的かつ適正な利益還元を継続していきたいと考えています。
kenmo:株主還元について2点うかがいます。まず、「自己資本比率が極めて高く、財務健全性も非常に高い状態で、キャッシュも豊富にあります。一方、ROEの向上という観点では、さらなる資本活用の余地があると思います。今後どの程度のキャッシュを配分し、それによってROEをどのくらいの水準まで引き上げる目標をお持ちでしょうか?」というご質問をいただいています。
中島:ご質問にもありましたが、手元資金が潤沢である点については、健全な財務体制を維持しつつ、将来の運転資金はもちろんのこと、戦略的なM&Aやアライアンスに活用していきたいと考えています。
また、ROEは現在10パーセント程度ですが、今後数年間でもう少し引き上げられるよう努力していきたいと思っています。そのためにも、この潤沢な資金をどのように活用するか、引き続き検討しています。
kenmo:もう1つは、事前質問でもいただいたところです。創立50周年ということで、多くの企業が記念配当を実施しています。御社も創立50周年ということで、そこに期待してしまう部分があります。詳細についてはお話しできないこともあるかと思いますが、考え方を教えていただけますか?
中島:おかげさまで50周年を迎えることができ、本当に感謝しています。当然ながら、私どもも50年という節目に、なんらかの対応により株主さまに還元できるかたちをとりたいと考えています。
しかしながら、現時点では具体的にどのような対応をとるかについてご説明できる段階ではありません。決定次第、適切なかたちで開示しますので、その際にご確認いただければと思います。
kenmo:ありがとうございます。期待しています。
株主還元〔株主優待制度〕

中島:当社の株主優待制度についてです。当社では、毎年3月末に100株以上を保有する株主のみなさまに、保有株式数に応じて社会貢献型のクオカードを贈呈しています。
株主還元〔自己株式〕

中島:当社は資本効率の向上および株主還元の充実を図るため、2025年12月3日にToSTNeT-3(自己株式立会外買付取引)による自己株式の取得を実施しました。取得総数は約120万株です。
さらに、自社株式を約140万株消却する予定です。当社は機動的な資本戦略に備え、自己株式を取得して保有していますが、将来の株式希薄化懸念を軽減することなどを目的として、自己株式の一部を消却します。なお、消却予定日は2026年2月27日です。
サステナビリティへの取り組み〔気候変動〕

中島:当社のサステナビリティへの取り組みについてです。当社は2023年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいます。
2024年度には、FIT非化石証書を購入し、基準年度から83パーセントの削減を実現しました。
サステナビリティへの取り組み〔CDP〕

中島:このような取り組みの結果、国際的な環境情報開示システムを運営する非営利団体CDPによる2025年度評価において、気候変動分野でスコア「B」を獲得しました。前回評価の「C」から2段階の引き上げとなりました。
引き続き、本業を通じてステークホルダーのみなさまの信頼と期待に応え、当社グループの企業価値を高めるとともに、持続可能で真に豊かな社会の実現に向けて、貢献していきます。
サステナビリティへの取り組み〔人的資本と社会貢献〕

中島:人的資本への投資についてお話しします。
当社グループの最大の資本は「人」です。先ほどご説明したとおり、現在のように人的資本経営が注目される以前、創業間もない頃から人材育成専門部門を設置するなど、人的資本への投資を行ってきました。今後も社員がより働きやすい環境を整え、その能力を十分に発揮できるよう努めていきます。
また、社会への貢献活動として、創業の地である横浜への貢献をテーマに、さまざまな活動を継続しています。
(お知らせ)

中島:お知らせがあります。当社は今年5月21日に創立50周年を迎えます。この50年を歩んでこられたことに、心より感謝申し上げます。
今後も、人的資本への投資と技術基盤の高度化を通じて、事業競争力の強化および持続的な企業価値の向上に取り組んでいきます。
また、50周年記念サイトを期間限定で公開していますので、ご覧いただければ幸いです。
カンパニー・ステートメント

中島:当社のカンパニーステートメントは「Your best partner.」です。DX技術要素を核に、実装能力に裏打ちされた技術力を恒常的に提供できる企業として、お客さまから信頼され、選ばれる存在であり続けることが当社の存在意義であると考えています。
お客さまだけでなく、株主や投資家のみなさまからも信頼され、選ばれる企業となり、そうあり続けたいと考えています。
以上で私からのご説明を終わります。本日はお忙しい中、当社の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:物価高対策と利益改善への取り組みについて
向井沙耶氏(以下、向井):「四季報には2027年3月期も前年度並みの80人ほどの新卒採用とあります。今年度は人材投資を含めたコストに利益が押されている印象がありますが、来年度に向けて利益率を上げていける施策、例えば単価交渉などは進んでいますか? 具体的に教えてください」というご質問です。
中島:正直に言って、利益を少し押し下げている部分はあると思います。
ご説明の中でもお話ししましたが、当社の資本は「人」、すなわち「社員」です。そのため、まずは社員が最近の物価高の影響を受けないよう、月額給与水準の引き上げに尽力しています。
これは1年で完了するものではなく、数年かかると思いますが、社員への先行投資として、みんなで元気よく働きながら、後々しっかり回収していければと考えています。
「利益率を上げていける施策などは考えていますか?」というご質問にも回答します。
売価改善の話もあり、最近はお客さまに売価の見直しをお願いしていますが、意外にも聞き入れられています。売価にしっかり反映できていると感じています。これが施策の1つです。
もう1つは、AIを活用して生産性を向上させる取り組みです。この2つの取り組みで、厳しいコスト高に対応していきたいと考えています。
質疑応答:ベテラン社員の給与水準向上に向けた対策について
kenmo:今の話に関連して個人的に聞きたいのですが、給与の引き上げについて話がありました。最近、新卒社員の初任給がどんどん上がっているという話があります。
一方で、40代以上のベテラン層の給与水準がなかなか上がらず、次第にギャップが縮まっています。その結果、40代以上のベテラン層の給与水準がなかなか上がらないことを理由に辞めてしまう場合があります。
そうすると、ベテランのPM人材が抜けてしまい、生産性が下がる問題が生じる可能性があります。この点について、どのような対策をお考えでしょうか?
中島:まさにタイムリーなご質問です。昨年度は月額給与水準を全社平均で7.5パーセント引き上げました。当時は、どちらかというと若手社員を中心に底上げするイメージが強く、中堅層まで十分に手が届いていませんでした。
年に一度、社員満足度(ES)調査を実施していますが、中堅社員から「我々も上げてください」という声が直接寄せられました。そのため、来年春の改善に向けて、具体的な数字はまだお話しできませんが、すでに4月から検討を開始しています。中堅社員にも給与アップを明確に実感していただけるよう取り組んでいく予定です。
質疑応答:四季報の数字に関する見解について
kenmo:「四季報では、2027年3月期、来期の予想が売上220億円、純利益14億5,000万円となっていますが、その数字の確度についてどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。四季報の数字ということもあり、明確な言及が難しい部分もあるかと思いますが、ご回答をお願いします。
中島:私どもも四季報をしっかり拝見していますが、当社から発信した数字ではありません。「世間にはこのように評価されている」と真摯に受け止め、次年度の事業計画を組み立てています。
ただし、売上高や特に利益については、先ほどもお伝えしたとおり、社員のベースアップを重視しており、この基盤を着実に向上させていきたいと考えています。まずは先行投資を行い会社の土台を整えた上で、社員がスキルアップしAIを活用できるようになることで、投資を回収していきます。
したがって、四季報の数字はおおむね近いかもしれませんが、現時点では明確なことをお伝えするのは難しく、申し訳ありません。
質疑応答:若手社員の技術力向上に要する期間について
kenmo:「人材投資で一時的に利益が出にくい状況ですが、いつ頃回収できる見立てでしょうか?」というご質問です。
中島:特に若手、例えば新入社員を考えた場合、私どもの見立てでは約3年です。ある程度技術力が身に付き、学んだことを実践でうまく活用できるようになるためには、少なくとも3年は必要だと感じています。
質疑応答:不正検知システムの運用と課題について
kenmo:先ほど不正検知システムのご説明がありましたが、経験に基づくものかと思います。「不正検知システムの性能が良すぎて、本人が使用しているにもかかわらずカードが使えなくなり困った経験があります。システムの精度をもう少し上げることはできないのでしょうか?」というご質問です。
中島:不正検知を解析する際、ふだんから利用されているようなカードの使い方であれば、おそらく検知には引っかからないと思います。
ふだんお使いにならない場面で、しかもある程度の金額を使用された場合には、念のため「問題ないか」を確認する意味で、カードを一時的に止める対応を取ることも考えられるかと思います。
したがって、その精度を向上させるためには、先ほどから話題に出ているAIの活用を進め、どこまで精度を向上できるかが今後の課題になると考えます。
kenmo:グレーな部分の判断は難しいですね。
中島:本当に難しいですね。実際、私自身もカードを止められた経験があります。
kenmo:私も電話がかかってきたことがあります。誰しも一度は経験したことがあるかもしれませんね。
質疑応答:生成AI導入によるSIer業界の変化と将来展望
kenmo:「日経平均の割に株価が上昇していないのはなぜだと思いますか?」というご質問です。生成AIの波が押し寄せ、マーケットの懸念として「既存のSIer業界は5年後、10年後に残っているのか」が挙げられるなど、さまざまな変化が起きていると思います。
SIer業界全体が生成AI導入によってどのように変化していくのか、その点も含めて教えてください。
中島:生成AIを導入することで、生産性が向上し、システムを構築する際のコストも削減されると思います。その結果、複数の案件を1人で担当するようなかたちになるのではないかと思います。
一方で、仕事の量が十分にあるのかが重要な課題になると思います。この点が、SIer業界全体での競争の焦点になっていくのではないかと考えています。特に、大手企業が積極的に受注に取り組むと想定しています。
そのような状況の中で、生成AIを活用しながらも、SIerの株価は全体的に厳しい評価を受けているようです。特に大手企業では、業績を伸ばして結果を出しているにもかかわらず、株価に反映されていないケースが見られます。これは生成AIに関する不安が影響しているのではないかと感じています。
しかし、1年から2年後には状況がどのように変わるのかという点については、明るい要素が多いのではないかと私は考えています。
kenmo:明るい要素というのは、生産性がより向上するということですか?
中島:おっしゃるとおりです。一方で、システムの開発やメンテナンスにおいて生産性が向上することで、その過程に関わった社員や関係者が、企業内部で新しいビジネスを立ち上げる可能性があると思います。これまでのビジネスモデルとは少し異なるかもしれませんが、そのような変化が期待できます。
また、そのような取り組みには無限の可能性が秘められていると感じています。特に、システムや技術を活用しながら新しいビジネスモデルに挑戦していく可能性が広がっていると考えています。
中島氏からのご挨拶
中島:長々とお話ししてしまい、大変失礼しました。本日は、当社の会社説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。
当社はこの50年間、新しい技術に対応し、その波に飲み込まれないよう、技術力の向上と人的資本への投資に注力してきました。この先も、AIを活用しながら当社にはまだ多くの伸びしろがあると感じています。
もしご関心をお持ちいただけた視聴者さまがいらっしゃいましたら、ぜひ当社の株式を保有していただければ幸いです。本日はありがとうございました。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:2026年3月期は増収計画ですが、利益率を上げる最大の打ち手は何ですか?
回答:利益率を上げるためには、やはり売価の改善(単価の適正化)の継続に尽きます。
今期は自社で平均7.5パーセントのベースアップと協力会社に対する単価アップによる人件費を引き上げたため、利益率を圧迫していますが、当社は公正取引委員会の価格適正化の指導をもとに売価改善の交渉を粘り強く継続していきます。
<質問2>
質問:開発案件を増やし、成長を加速させるために、新規獲得と既存深耕の方針はどのように描いていますか?
回答:成長を加速するためには、新規獲得と既存深耕の両輪による戦略が重要です。
新規獲得では、DXや生成AIなどの先端技術領域への需要拡大をもとに、業務変革やモダナイゼーションを求めるエンドユーザーにはDX案件として提案力を強化し、積極受注を図っていきます。
一方、既存深耕では、当社の強みである「企画→開発→運用→次期企画」まで一貫して支援するライフサイクルを最大限活用し、メンテナンスを通じて得た業務の知見をもとに次期システム刷新やDX提案へと継続受注の拡大に注力していきます。
<質問3>
質問:積極的な採用(80人規模)も、トップラインの伸びはわずかな気がします。これは退職者の影響なのか、単価、稼働率なのか、どのような影響が要因なのでしょうか?
回答:当社が積極採用を進めても売上が伸びない背景には、SIer特有の構造的な要因があります。
新卒の人材が即戦力として売上を生むまでには時間がかかります。当社は新人への導入教育を始め、中堅層までを対象にDX技術者育成やプロジェクトリーダー教育など人材投資が先行するため短期での売上貢献は限定的となります
他にも非金融のDX案件は伸長しているものの、全社の売上を大きく押し上げる規模にはまだ至っていません。従来の受託開発案件に比べて、単価や規模面で相対的に小さいことが現状です。
<質問4>
質問:AIを活用したプロジェクトで、導入前後に改善した指標や成果KPIがあれば具体的に教えてください。
回答:誠に申し訳ありませんが、当該内容は競争戦略上の理由により、公開していません。何卒ご理解賜れますと幸いです。
<質問5>
質問:M&Aの目標数値はあるのでしょうか?
回答:M&Aについては、当社のコア事業とのシナジー効果が見込める企業と考えています。
売上規模は10億円から20億円くらいを想定しています。
<質問6>
質問:今後どのようにして株価をあげていくのでしょうか?
回答:株価を上げていくためには「①業績成長と収益性改善」「②株主還元強化」の2点が挙げられます。
1点目は、しっかり売上を伸ばし、利益の改善を図ることが第一です。拡大傾向にあるDX案件については、非金融向けとEUに目を向け、成長の領域を拡大していきます。
特に非金融向け取引は増加基調にあり、公共・流通以外の業種の参入で、さらなる成長が期待できます。
また、収益性については人材投資により圧迫されていますが、お客さまとの売価交渉を通じて利益率の改善に努めていきます。
2点目は、「安定かつ適正な株主還元の継続」をベースに、事業の成長と収益性・内部留保のバランスを取りながら、業績に応じて、柔軟かつ機動的な還元を継続していきます。
<質問7>
質問:金融依存を保ちつつ成長を伸ばすために、非金融の拡大はどの業界から進めますか?
回答:どの業界かというよりは、当社の得意分野と生成AI活用のかけ合わせで拡大を進めたいです。
<質問8>
質問:長期ホルダー向けの優待は検討されていないのでしょうか?
回答:現在の当社の優待制度では、保有期間に応じた設定は行っていません。貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
<質問9>
質問:業績の進捗率が低いように思いますが、業績修正(下方修正)の懸念はいかがでしょうか?
回答:第3四半期までの進捗率は、通期計画に対してややゆるやかな推移となっています。
エンドユーザー案件やDX案件の動向を含め、事業環境および案件状況を総合的に点検した上で、現時点では通期業績予想を据え置いています。
なお、外注単価や人件費の上昇など収益性に影響を与え得る要因については、 引き続き注意深くモニタリングしていきます。
今後、業績予想に影響を及ぼす重要な事象が生じた場合には、適時適切に開示します。
<質問10>
質問:配当性向は40パーセント水準のため、コスト高で売上が伸びても利益が出ないと配当拡大が望めません。DOEと合わせた還元は検討されますか?
回答:DOEについては、当社の配当政策における1つの考え方として認識していますが、現時点では採用していません。
いただいたご意見は、今後の株主還元方針を検討する上での参考にさせていただきます。貴重なご意見を賜り、誠にありがとうございます。
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