【QA】クルーズ、ITアウトソーシング事業と介護福祉人材サービス事業の高成長が鮮明 構造改革後の主力事業が本格拡大
2026年3月期第2四半期決算補足説明
司会者:ただいまより、クルーズ株式会社2026年3月期第2四半期決算の補足説明会を始めます。
本日は2026年3月期第2四半期決算についての補足説明を、クルーズ株式会社代表取締役社長の小渕、取締役副社長の稲垣、496株式会社取締役副社長の横倉を中心に行います。
事前に今回の決算の開示資料や決算説明動画等を見ていただいている前提で質疑応答をメインとしていますので、いただいたご質問に回答するかたちでの決算の補足説明とさせていただきます。
質疑応答:ITアウトソーシングおよびその他SESサービスの業績動向について
司会者:「ITアウトソーシングのその他とSESサービスについて、売上が四半期ベースで過去最高ですが、営業利益の伸びが下期偏重であることや、新入社員の利益貢献だけが理由なのでしょうか?」というご質問です。
横倉一真氏(以下、横倉):お集まりいただき、ありがとうございます。496株式会社取締役副社長の横倉です。こちらは、売上の伸びに対して営業利益の伸びが少ないのはなぜかという意図のご質問かと思います。
回答としては、介護福祉人材サービス事業の売上が前年同四半期比で267パーセントと大きく伸ばすことができており、事業が順調であるため、さらに伸ばすために投資をしている段階です。そのため、トップラインは伸びていても、その分まだマイナスが大きく出ています。
したがって、ITアウトソーシング全体で見た際、売上の伸びに対して利益の伸びが少なく見えるかと思いますが、これは一時的なものであると考えています。時間の経過とともに投資分を回収し、利益の伸びも大きくなっていくと考えています。
質疑応答:今後の営業利益の見通しについて
司会者:「現況の営業利益の増加では、売上高130億円の場合、営業利益15億円は厳しいように見えます。見通しを教えてください。離職防止策はうまくいかなかったのでしょうか?」というご質問です。
横倉:「現状の営業利益の伸びを見ると、130億円の売上で営業利益15億円は厳しいのではないか?」というご指摘についてです。
介護福祉人材サービス事業のように、投資によって赤字先行となっている事業が一部ありますが、ITアウトソーシング事業全体としては損益分岐点を超えた状態となっています。
そのため、今後売上が伸びれば、その分一定の比率で利益が伸びていく状態です。また、先行赤字がなくなることで、営業利益率も大きく改善されることになります。
また、離職率の防止策については順調に成果が出ていますが、雇用している以上、SES事業はどうしても一定の離職が必ず出るものになります。
今回発表した新規採用数の改善ほどのインパクトがなかったということから、説明資料では特段触れなかったという回答になります。
小渕宏二氏(以下、小渕):代表取締役社長の小渕です。「離職率の防止策はうまくいかなかったんですか?」というご質問に関しては、シンプルに回答したほうが良いかと思います。防止策はうまくいっていますが、胸を張れるほどではなかったために触れていないということですよね?
横倉:そのとおりです。
小渕:うまくはいっているものの普通の話です、ということですよね。
横倉:はい。
小渕:ここは随時、「胸を張れるようがんばってくれ」と思っています。
横倉:そうですね。長期的に向き合っていかなければいけない課題ですから。
小渕:そうですよね。短期的に解決するものではないため、うまくいっているか、いっていないかと言うと、策は打っておりうまくいってはいるものの、胸を張れるほどではなく、長期的に改善していくということですね。
質疑応答:介護福祉人材サービス事業の成長要因と競合環境下での伸長について
司会者:「介護福祉人材サービス事業が前年同四半期比で267パーセント成長と大きく伸びていると思いますが、この成長要因は何が大きいのでしょうか? 介護派遣領域は競合も多いかと思いますが、その中でも成長できている理由を教えてください」というご質問です。
横倉:介護現場で働く派遣スタッフの採用力が大きな理由になっています。介護福祉人材サービス事業のメインの投資は、そのようなスタッフの採用費となっています。採用単価を抑えつつ、良い人材の応募を安定して獲得できれば、必ず成長し続ける事業になっています。
また、グループ会社における求人広告事業での実績・ノウハウやSES事業、ITアウトソーシング事業の中のSES事業の採用ノウハウを活用できていることが、大きな成功要因になっているかと考えています。
質疑応答:今後の投資方針と新規事業領域への展開について
司会者:「構造改革が完了し、今後は利益が積み上がっていく段階ということですが、投資段階である介護福祉人材サービスを除いた新たな事業領域への投資予定はありますか? それとも、向こう3年から5年はこの事業を確実に伸ばしていくことに注力する方針でしょうか?」というご質問です。
小渕:はい、そのつもりです。したがって、現時点ではそれ以外に決定していることもなく、実施予定もありません。
ただし、事業ではありませんが、純投資にあたる不動産投資については、都心の手堅いエリアを前提に投資は続けていきます。
ご質問の意図は、「新規のサービスや事業に取り組む際、おそらくP/Lが痛むため、そのような投資はないですよね?」ということでしょうか? おそらく広告宣伝投資なども必要になるでしょうし、P/Lが痛むような投資があるのか、ないのかという意図かと思います。
そのような意味でいうと、先ほど申し上げたもの以外はないため、これから何かを企画し、ゼロからスタートする事業やサービスはなく、現時点では実施予定もありません。
質疑応答:ベンチャー株投資および不動産投資の会計上の位置づけについて
司会者:「ベンチャー株投資、不動産投資も好調とのことですが、こちらは投資であるため、経常損益の項目になるのでしょうか?」というご質問です。
小渕:ご質問のとおり、経常損益項目となります。
質疑応答:不動産賃貸費用の増加要因と収支への影響、金利上昇リスクについて
司会者:「不動産賃貸費用が多く増えた理由、および賃貸収入から経費と利息の増加を差し引くとマイナスになるかと思いますが、実際はどうでしょうか? また、今後金利が上がっていく可能性がある中、さらに収支は悪化していくのでしょうか?」というご質問です。
稲垣佑介氏(以下、稲垣):取締役副社長の稲垣です。1つ目は不動産賃貸費用が多く増えた理由、2つ目は不動産の収支について、3つ目は金利が上がっていく中での収支悪化の可能性と、3点のご質問に分かれるかと思います。
まず、個別の質問にご回答差し上げる前にお話ししたいのですが、今回の決算短信等をご覧いただくと、第2四半期時点で120億円ほどの不動産を保有している状況となっています。
大前提として、現在の不動産投資の取り組みに関する考え方について、従前からお伝えしてはいますが、相対的に流動性が高く、手堅いと考える主に都心5区の物件で、価値の向上が狙えると踏んだものを選別し、投資を行っています。
つまり、120億円ほどの不動産が例えばプラス10パーセントの価値になれば、12億円の価値向上が実現し、仮にプラス50パーセントの場合は60億円という、比較的大きな価値向上が実現する、そのような期待値を持って行っている純投資となっています。
投資には絶対ということはありませんが、少なくとも現場の感覚としてはかなり強い手応えを感じて順調かと思っています。
その中で、ご質問いただいた内容に回答していきます。まず、不動産投資の取り組みについては、純投資であるため、先ほど小渕からもご説明がありましたが、経常損益の項目です。賃貸収入が営業外収入として、その他の費用については営業外費用に計上されています。
費用が大きく増えた理由をご質問いただいていますが、純粋に保有不動産の総額が増加したため、費用だけでなく収入も含めて増加しました。つまり、収入も費用も大きくなっていることが理由になっています。
次に、不動産の収支についてです。個別の不動産の収支は、利息の利払いも含めて本質的にマイナスにはなっていない状況であるため、ご安心ください。
実際には、費用が最も大きな項目は減価償却費となっています。支払い、キャッシュを伴わない減価償却費の計上によるものであるため、こちらを除外して考えるとプラスとなっています。
最後に、金利が上がっていく中での収支悪化の懸念については、当然ながらその可能性は否定できないと思っています。
誰にもわからないことではありますが、仮に100億円かかることを行った場合、金利が1パーセント変動すれば1億円変動するという話があります。とはいえ冒頭にお話ししたとおり、投資としての長期的な成果は価値向上によって図られるものではないかと思っています。
ここでは数十億円規模のお話をしており、その中で言えば小さな話になってくると思っています。来期からは、あらためて今後の取り組みについてもう少しお伝えしようかと考えているため、もう少しお待ちいただければと思います。
質疑応答:営業利益15億円時の1株利益と通常の経常損益前提での影響について
司会者:「営業利益が15億円の場合、1株利益はどのくらいになるのでしょうか? 経常損益などが通常どおりの場合はどうなりますか?」というご質問です。
小渕:当期利益については、先ほどお話ししたとおり、営業利益15億円を前提とした場合でも、経常利益の部分でさまざまな営業外収益や費用が入ったり出たりするためなんとも言えません、というのが結論となります。
一株利益は税引後当期利益から計算することになりますが、営業外収益や費用には、主に不動産や投資に関わる収益費用など、ファンドの運用損益があります。これらが将来どのようになるかは現時点でわからないため、経常利益や税引き後当期利益についてはコメントが難しいということです。
その前提の下で目安としての一株利益を計算するならば、営業利益の70パーセント程度を税引後当期利益とみなしたうえで、それを株数で割っていただければと思います。
質疑応答:Ada.事業の成長率鈍化の要因について
司会者:「Ada.事業について、第1四半期決算時の前年同四半期比171パーセント増に比べると、今回の第2四半期は120パーセント程度と成長がやや鈍化しているように思います。こちらの理由について教えてください」というご質問です。
小渕:Ada.事業の伸びが低かったというお話ですが、シンプルに言えば読み外していました。今年の9月や10月は、例年に比べて非常に暑い時期が長く続いたため、我々の秋冬商品の需要予測の精度も悪かったこともあり、秋冬物の売れ行きが悪かったことが主な要因です。
広告宣伝投資があとから追いかけるかたちで、思いきり広告宣伝のアクセルを踏み、売上も無理やり上げようと思えば上げられるのでしょうが、注力事業はITアウトソーシング事業であるため、あまりここで深追いはしなかったということです。
質疑応答:2028年3月期のAda.事業見通しについて
司会者:「2028年3月期のAda.事業はそこまで大きく期待はできないため、ITアウトソーシング事業のみ記載しているのでしょうか?」というご質問です。
小渕:以前からお話ししているように、ITアウトソーシング事業がメイン事業であることから、ITアウトソーシング事業の部分をクローズアップしているためです。
質疑応答:非連続領域への投資方針について
司会者:「非継続事業のリスク再発防止について質問です。GameFiやSHOPLISTなど、過去の不採算事業撤退を経て、構造改革が完了ということですが、同様の非連続領域への投資再開は、今後抑制する方針でしょうか?」というご質問です。
小渕:非常に難しく書いてありますが、要するに、現在取り組んでいるもの以外に実施するのかという話だとすれば、実施しません。
質疑応答:ITアウトソーシング事業の成長持続性と来期以降のトップライン前提について
司会者:「ITアウトソーシング事業の成長持続性について質問です。SESを中心としたITアウトソーシング事業は前年比154.3パーセント成長とのことですが、この成長率の持続可能性について、来期以降のトップライン成長の前提を教えてください」というご質問です。
小渕:トップライン成長の前提に関するご質問ですが、以前からお話ししているように、この事業のKPIにおいて重要なのは、採用数です。新規採用数と離職率を下げ、純増数を大事にしています。
つまり、「純増数×単価」が大事となります。さらに言えば、純増数が上がり、「稼働エンジニア数×単価」が売上となるため、人数と単価を重要視しています。トップラインとしては、これらの数字が伸びることを前提としています。
質疑応答:現状の株価に対する経営陣の認識について
司会者:「少数ですが、御社の株主として10年弱のお付き合いがあります。経営陣として、現状の株価をどのように捉えていますか? ぜひがんばってください」というご質問です。
小渕:がんばります。10年お付き合いいただき、ありがとうございます。心からお礼を申し上げます。こちらの質問の方は、10年ご期待いただいているということかと思います。長いお付き合いで応援していただける方には、我々も真剣に期待に応えたいと思っています。
せっかくなので長くコメントしますが、このように長くお付き合いいただいている方には本当に真剣に取り組んでいることをお伝えしたいと思いますし、お返しをしていきたいと思っています。
この10年、数えてみれば2014年あたりになるかと思いますが、スマートフォンでは『モンスターストライク』など、さまざまな大ヒット作のゲームが出ていました。
我々もそこに乗じてスマートフォンゲームの提供もしましたし、『ACR DRIFT』リリース時にも「全世界配信だ」と言っており、確か株価も時価総額も非常に伸びた時期ですよね。
そのような繁栄がずっと続くだろうと思っていたところから、スマートフォンゲームのヒット率が下がり、競合他社が倒産していき、消えた会社も多数ある中で、頻繁にCMを行っていた大手の会社ですら売上と営業利益が減少するような、ジリ貧の世界になる業界だったわけです。
その中で、さらに小規模でCMも打っていなかった会社、あるいはCMを打っていた会社についても、時価総額は2桁となる10億円、20億円という世界になりました。
売上高も50パーセント下がり、営業利益は8四半期から12四半期連続赤字となっていたり、「監理ポスト行きだ」という話も多数あったり、未上場企業には倒産した会社もたくさんある中で、私の経営方針でもありますが、少なくとも我々は必ずバッターボックスに立ち続けていきます。
バッターボックスに立っていなければバントもできませんし、ホームランも狙えませんし、ヒットも狙えないわけです。つまり、バッターボックスに立つことが大事であり、倒産してはいけないということです。
この10年間は、メイン事業をSHOPLISTに移したり、今回はSHOPLISTからITアウトソーシング事業に移したりさまざまなことをしてきました。会社が倒産すれば株券が紙くずになり、一番ご迷惑をかけてしまうため、そうなってはいけないと、がんばって生き残ってきました。
当然ながら、そのように事業再編を実施していると、2個、3個と新しい事業が今回のように立ち上がります。他社からは、「本当に次から次へとクルーズは新事業を当てるね」「生き残ってこれるの、しぶといね」と言われます。私もそうだとは思っていますし、「クルーズ家の芸当」の1つではあります。
それはそれで誇りに思いますし、上場企業が2個、3個とメイン事業を変えることはなかなかできないことだと思います。これは各役員や各現場のがんばっている方たちのおかげであり、これ自体も誇りに思っています。
ただし、言い換えればメイン事業がいつも駄目になるということの裏返しです。したがって、コングロマリットになったり、メイン事業が駄目になりそうになったりすると、当然ながら株価や期待値が下がるわけです。
「本当に大丈夫かよ」「何をしようとしているんだ」と思われ、市場ではコミュニケーションが取りにくくなり、現在はマーケットから見放される側になっていることは認識しています。
それを認識した上で、倒産して紙くずになるよりは、生き残って、来年や再来年にヒットまたはホームランが打てることのほうが大事ですし、私たちは必ず打とうと思っています。
私も26歳からこの会社を経営しており、25年が経ちます。上場したのは2007年であり、現在18年目になります。紆余曲折を経てここまで生き残ってきましたが、上場企業で18年も社長をしていると、経営者として見れば、未上場の方たちからすると「いや、今でも十分大きいじゃん」と言われます。
そのようなことではなく、本当に地に足つけて、投資家のみなさまにも期待していただき、この先を予測でき、明るい気持ちで数字を見ていけるよう、「このような社会や事業を作り、このような会社になっていきたいんだな」をしっかりお伝えしていくつもりです。
社内においても当然ながら同じような温度感で未来が見据えられるよう、腰を据えて事業に取り組んでいくことによって、株価も事業も同時に伸ばしていきたいと心から思っています。そのために、祖業であったものをすべて撤退してまで、覚悟を持って事業を絞ってきています。
私にとっても、もう数多くないチャンス・チャレンジの期間に入ってくる、そのうちの1つだと思っています。どうか10年付き合っていただけたのであれば、私は必ず恩返しをしたいと思っているため、恩返しできるまでお持ちいただきたいと思っています。
また、現在はふがいない株価だと思っています。ただ、ふがいない会社だとも、事業だとも思ってはいません。上場企業として取り組みながら、新しい事業にメイン事業を変えていくことは、心臓の細いバイパス手術を行うことと同じぐらい難しい手術です。
命を止めずにやっていかなければいけないわけで、現在はやっとバイパスがつながったという状況です。ここから徐々に会社としては筋トレに近いものを始めており、筋肉質になってきています。いよいよここから、運動ができる準備を整えています。
大きくしゃがみ込んだ分、ここからは飛躍していきたいと思っていますが、現在は売上も営業利益も株価も冴えないと思っています。私たちの実力値はこのようなものではありませんし、男としてもこのようなもので終わりたくないと思っています。期待していてください。10年間、持っていただいてありがとうございます。
質疑応答:社長の情の熱さについて
司会者:質問ではありませんが「社長は喜怒哀楽が激しいタイプですが、情があって熱い男だと思いますので、応援しています」という激励のお言葉です。
小渕:おっしゃるとおり、喜怒哀楽は激しいです。真剣に応援していただける場合は、私も真剣に返したいと思っています。また、このような厳しくも温かいコメントには心から感動しますし、力になります。
このコメントを送ってくださった方の期待にも、私は必ず応えたいですし、期待を超えていきたいと思っています。来年、再来年を見ていてください。私の言っていることがわかると思います。
曲がりなりにも18年も上場企業を経営していますし、一時は時価総額が約900億円まで到達していたこともありました。3つも4つも事業を当てられるということは、それだけ私が売上や利益などのお金を作ることが得意であると言えます。
私たちは今日に至るまで生き残ってきたわけですが、その頃よりはかなり体力をつけてきましたし、人材も育ってきて、良い下地が揃っています。ここからは、路線をあれこれ変えず、逃げずに男として勝負していきたいと思います。
質疑応答:ITアウトソーシング事業で今後単価上昇が期待できる領域や職種について
司会者:「ITアウトソーシング事業の稼働エンジニア数は、前年同期比142.1パーセントと大幅に増えています。今後、単価上昇が期待できる領域や職種にどの程度注力していく予定ですか?」というご質問です。
小渕:エンジニアの単価については、現時点ではさらに上げていこうとは考えていません。単価の高いエンジニア採用に特化すると基本的には採用単価が膨れ上がります。今の投資対効果を維持して拡大したいので人数を最大化する方に振っています。
ただ、将来的に採用単価が上がっていく可能性はあるかもしれません。当社でも広告事業を行っていたためわかるのですが、広告宣伝に1,000万円かける場合と、1億円や10億円かける場合では採用単価が変わるため、さらに人数を増やそうとすると採用単価が上がっていってしまう場合はあると思います。
また、単価とは話はずれますが今後稼働人数最大化という観点で考えると、期待できる領域や職種については、介護領域に活路があると考えています。そのため介護領域には引き続き取り組みますが、介護領域以外の領域や職種には、現時点では注力していく方針はありません。
質疑応答:Ada.事業とITアウトソーシング事業のシナジー創出について
司会者:「Ada.事業の営業利益が黒字化しています。採用・マーケ・ブランドなど、ITアウトソーシング事業とのシナジー創出に向けて、具体的な取り組みがあれば教えてください」というご質問です。
小渕:Ada.事業とITアウトソーシング事業はまったく別のもので、シナジー効果はさほどないと考えています。採用・マーケ・ブランドなども、特にありません。こちらについてはまったく別の領域、セグメントであると思っています。
質疑応答:今年大きく変えたことについて
司会者:「社内の定性的なことも含めて、今年大きく変えたことがあれば教えてください」というご質問です。
小渕:私が社内に出なくなったことくらいです。ITアウトソーシング事業については、子会社として代表がいますし、今はSHOPLIST事業も、ゲーム事業もありません。そのため、私はホールディングスの投資家としての立場で見ています。
この説明会の場には、大株主の方もいらっしゃるかもしれません。私はそのような方々と同じように、株主としての目線で、どのような方向にすればよいのかを見ています。
私は株主でもありますが、複数の子会社を統括するクルーズの代表です。そのため、きちんと情報を吸い上げた上で、なるべく現場の代表たちに決裁権限を渡し、スピードを上げていくことに注力しています。
稲垣さん、他に変えたことはありますか?
稲垣:変えたことというより、メイン事業がこれだけ大転換したことが大きいと感じています。雰囲気ががらりと変わったと思います。
小渕:細かなところはたくさん変わりましたが、大きなところで変えたことはありません。メイン事業が変わったことで雰囲気は大きく変わりましたが、それによって変わったことはありません。もし他に気づいたことがあれば、あらためてコミュニケーションを取らせてください。
質疑応答:エンジニアの採用戦略の強化ポイントについて
司会者:「第2四半期時点で674名の稼働エンジニアに対し、通期目標は830名とのことでした。この純増ベースを中長期的に持続するための、採用戦略の強化ポイントを教えてください」というご質問です。
横倉:採用戦略といっても、まずはエンジニアに選ばれる環境作りが重要だと考えています。給料、キャリアステップ、残業が少ない、もっと成長したいなど、エンジニアによって求めるものは異なります。それらすべてに向き合えるような環境をしっかり積み上げていくことが、採用強化につながっていくと考えています。
同時に採用手法についても、媒体などの新しいサービスを常に模索しています。また、業績が拡大するにつれて、エンジニアに安心して選んでいただけるようになってきています。さらに業績を積み上げていける見込みが立っており、その傾向は加速すると考えています。
また、具体的な取り組みとしては、当社ではいろいろな採用サービスを使っていますが、媒体から応募があった際、応募通知を全員が見て3分以内に対応しようという取り組みをしています。
また、面接で内定承諾をいただいてもどうしても入社には至らないケースもあるため、入社までの間にその人のキャリアステップに向き合って面談も実施しています。
このように、一つひとつの作業工程に全メンバーがコミットして取り組んでいます。その結果、同じ媒体を使っても他社の何倍も採用できています。
小渕:人材サービスは「人対人」のサービスであるため、面接でお話して入社いただく際も、「もう少しがんばろうよ」と離職を留意する場合も、人と人との細やかなやりとりがポイントです。
当然ながら、細かいオペレーションはロジカルに仕組み化しており、「応募には3分で必ず対応すること」などは人に依存せず、仕組み化で対応できています。
ただし、採用面談時は熱意をもって柔軟に自分の言葉で話し、口説いたりします。そのような姿勢で、地道に進めていくことが一番大事だと思います。
したがって、仕組みが大事だという共感のもとに、徹底してオペレーションを回しながら、求職者に対して真剣に親切に、地道に取り組める環境を整えています。そのような部分がかなり大事だと思います。
ところで、横倉さんは今、何歳ですか?
横倉:来週で31歳です。
小渕:彼は31歳で、現在はこの売上高をもつ会社の副社長です。横倉さんと一緒に、1人か2人で創業しましたが、創業当時はまだ27歳くらいでしたよね。
横倉:25歳でした。
小渕:私が創業した時と同じくらいの年齢で創業し、5年から6年で現在の売上高に到達することはかなり難しいと思います。「よくやっているよ」と上から言うわけではなく、本当にすばらしいと思います。本当にありがとうございます。
稲垣さん、もう少し笑顔で頷いてあげてくださいよ。自分でも同じことができますか?
稲垣:いえ、できないですね。
小渕:なかなか難しいというのが本音だと思います。ただし、人材ビジネスは市場規模が大きいため、まだこのような程度では満足しませんよね。
横倉:そうですね。
小渕:人材ビジネスは、もっと規模を拡大してスケールを出していかなければならないと思っています。
質疑応答:純投資のリスク管理や運用方針について
司会者:「決算資料では、来期以降の純投資、ベンチャー株、不動産等の収益貢献が示されましたが、この純投資領域におけるリスク管理や運用方針の考え方をお聞かせください」というご質問です。
小渕:こちらについては、IRにも「心配だ」「不安だ」という問い合わせがたくさん入ってきます。おっしゃるとおり、投資規模は大きくなってきており、おそらく100億円、120億円、150億円といった規模になってくると思います。
先ほど稲垣からご説明したとおり、現在の投資規模は120億円です。「会社規模に対して非常に大きいのではないか」「現金に対して大きいだろう」と、不安に思う方もいるかと思います。規模が大きくなってきたため、徐々にではありますが、不動産投資についてもお知らせしていこうと思っています。
ベンチャー株投資については、上場できるかできないかについては相手もある話ですので、お知らせすることは難しいです。純投資でもありますし、現在は新たな追加投資は行っていないため、詳細は差し控えたいと思います。
なお、これまでには直接投資だけでなくファンド経由の投資も含めてですが、投資先が上場することで大きなリターンが得られたものもあります。
今後3年から4年の間に、さらに2社か3社程度は上場するだろうと期待していますが、こればかりは我々にもわからないため詳細は伏せさせてください。結果が出ましたらあらためて発表しますので、お待ちください。
不動産投資については、これから徐々にオープンにしていきたいと思っています。「現金がないのに不安だ」というご意見をよくいただきますが、不動産は、例えば10億円の現金に対してレバレッジをかけて100億円の物件を買いにいく世界です。
身の丈に少し合っていない買い物に見えますが、それが不動産投資というものであり、それこそが不動産投資の妙味でもあります。持っているものが会社の規模に対して、資産が大きいとのご意見もいただきますが、不動産投資では当たり前のことだと考えています。
また、ご質問のリスク管理や運用方針についてです。我々は不動産会社ではなく、単なる純投資ではあるものの複数の宅建士が在籍しています。
実は、不動産投資を始める5年から6年前から、「この先必要な時代が来るから、宅建士の資格を取っておいてほしい」と指示しました。現在は7名ほどが兼務で関わっていますが、現場で関わっている人は全員が宅建士に登録しています。
また、リスク管理については、大前提として、都心の限定された区や、事前の会議で定めたエリア以外には手を出さないと決めています。
その決まったエリアに対して、200項目以上のチェック項目があります。例えば、地面師の危険性や、この先価値が上がるのかという物件の将来性、空室率のリスクなどをチェックします。また、当然ながら、我々はなぜ空室になってしまうのかも勉強しています。
運用方針についても、収益性やコスト分析のチェック項目があります。例えば、「築年数が古い場合は、水圧ポンプが故障して数年後にこのぐらいの修繕がかかりそうだ」とか、「エレベーターが大きいため、工事の際には大金がかかりそうだ」とチェックします。
また、立体駐車場の場合は、築年数が古いとすぐに駐車場の修理のための部品を取り寄せることができるとは限りません。もしその部品が取り寄せられなかった場合は、車を出庫できず、営業できなかった費用や、持ち主からの車を使えなかった時の損害として数千万円レベルかかる可能性もあります。したがって、利回りがもう少し高くないと駄目だと判断します。
このような細かいポイントが200項目ほどあり、それら全部をチェックし終わらなければ購入することはありません。その水準でなければ買わないという運用方針の元で行っています。
質疑応答:不動産開発事業への展開の可能性について
司会者:「不動産にかなり詳しい印象がありますが、良い意味で、不動産開発事業を展開する可能性はありますか?」というご質問です。
小渕:現時点で、事業にするつもりはありません。現在の本業はやはり、介護福祉人材サービス事業も含めたITアウトソーシング事業であるため、この事業でがんばっていきます。
不動産についてはかなり詳しいと思っていますが、世の中ではもっと詳しい方が不動産事業に取り組んでいます。したがって、今は地に足をつけて、SESと介護の領域に集中したいと思っています。
不動産についてはあくまでも純投資として、余剰資金においてレバレッジをかけて、将来クルーズに対して利益の恩恵がありそうな物件だけを買っていく方針です。
宅建士は7人いますが、業務の合間に取得させたものです。うまくオペレーションは回せていると思っています。当社は、仕事のオペレーションを作るのも回すことも非常にうまい会社だと思います。
宅建士の試験は1年に1回しかありませんが、このような事態になることを予想し、あらかじめ取得しておいてもらってよかったと思っています。
質疑応答:来年に向けた意気込みについて
司会者:「1年通じて本当に厳しい年だったと思います。来年に向けて意気込みをお願いします」というご質問です。
小渕:先ほども熱く話してしまいましたが、期待していただける方もたくさんいらっしゃると思っています。「ああ、あの時に買っておけばよかったな」と後悔させるような株にしますので、期待してください。
株式投資では、株価が低い時に買っていた人が勝ちます。勝てるのはなるべく早く安いうちに仕込んだ人であり、私は必ず期待に応えます。稲垣も横倉も、同じ気持ちです。私には期待に応える自信があります。
おっしゃるとおり、本当に厳しい年でした。この3年、4年あたりは厳しかったと思います。ただし、例えば宅建士においても、4年前、5年前に勉強して取得してもらっていなければ、今の成果は得られなかったと思っています。
細かな数字はお話しできませんし、実際に売却するまでわかりませんが、資産価値をかなり評価してくださる方もいます。このように、4年前、5年前の行動が今の結果に表れるのが、経営者や社長の仕事だと私は思います。
したがって、今年1年間厳しかったというよりも、この4年間はずっと厳しかったのですが、今年のうちにはその靄が晴れると思っています。さらに、来年、再来年、再再来年には、4年前、5年前の私たちが辛かった時に仕込んだものが必ず咲き誇ると思います。
私は経営者として4年、5年先を見越して動いており、実現する自信があることをお伝えしたいと思います。ぜひご期待いただきたいと思いますし、期待していただける方には必ず報いたいと私たちは強く思っています。
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