【QAあり】サイプレスHD、「築地食堂源ちゃん」中心に競争力のある36ブランド126店舗を展開 25年10月に上場を果たし成長加速
目次

東稔哉氏:株主のみなさま、こんばんは。本日はサイプレス・ホールディングス株式会社の2025年8月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長の東です。どうぞよろしくお願いします。
本日の進め方についてご説明します。目次の内容に沿って説明を進めていきます。また、本日は質疑応答の時間を長く取るため、各項目のポイントを絞ってお話しします。
会社の事業内容について~企業理念「食の喜びをすべての人へ」~

会社紹介です。このページに記載されている弊社の企業理念「食の喜びをすべての人へ」について説明します。この理念は、特別なものではなく、日々の食事に感動や喜びを提供することを目指すものです。
具体的には、「築地食堂源ちゃん」という定食屋を中心とした飲食事業を展開しており、現在は日本国内で126店舗を経営しています。
弊社のレストランは高級店ではなく、すべてカジュアルなタイプで、例えば都心ではサラリーマンのランチや夜のちょい飲み、郊外の商業施設ではご家族が楽しい食事を楽しむ場を提供しています。
我々は現在、36のブランドを展開しています。例えば、東京ビッグサイトではフードコートをワンオペレーションで一括運営しています。また、大井競馬場内では同時に5店舗を運営しています。
郊外型商業施設では、「築地食堂源ちゃん」や回転寿司の「ABURI百貫」のほか、うどん、とんかつ、ラーメンなどの業態で一度に5店舗を出店することもあります。このように、36種類のブランドが当社を構成しているかたちとなっています。
会社の事業内容について~「源ちゃん」を中心とした、3種の主力ブランドを保有~

主力ブランドは「築地食堂源ちゃん」です。市場から朝仕入れた魚を定食にした、非常に鮮度の高い定食屋であり、夜は毎日仕入れる魚をつまみにお酒を楽しんでいただくという営業スタイルです。現在、全国の商業施設の中でも非常に人気があり、お客さまから「使い勝手のよい店」というご評価をいただいているお店です。
続いて、「ABURI百貫」です。これは回転寿司で、グルメ回転寿司と称しています。魚にはクロマグロや、活〆のタイを使用して寿司にするなど、こだわりを持った回転寿司を経営しています。
スライドの左下は「炭火焼鳥 銀座惣菜店」です。炭火の直火で焼いた焼きたての焼き鳥をテイクアウトできるお店です。
この3業態が現在の主力となっており、各地の商業施設で非常に人気のある店舗となっています。
イオングループをはじめ、三菱地所グループやJR東日本グループなど、現在35社のディベロッパーとお取引があり、その商業施設内への出店を進めています。
コロナ後64出店・37店増を実現する、32年継続出店の歴史

私どもは1993年に串揚げ専門店「串えもん」を創業したのが始まりです。その後、2025年にかけて出店を継続し、全部で126店舗を展開しています。
コロナ禍やコロナ禍後も64店を出店しており、今後さらに出店を加速させていきたいと考えています。
2025年8月期業績サマリー

2025年8月期の業績サマリーです。私どもは9月9日に業績予想を開示していましたが、当期は予想を上回る結果となりました。売上高は、発表時の112億3,000万円に対し、結果として112億8,000万円となり、業績予想よりプラス0.5パーセント上振れしました。
営業利益は7億3,000万円の予想でしたが、結果として7億6,000万円となり、プラス4.2パーセントの上振れとなりました。
EBITDAについては、予想の9億9,000万円に対し、結果として10億3,000万円に達し、3.9パーセントの上振れとなっています。また、当期利益は4億1,000万円の予想に対し、結果として4億3,600万円となり、プラス6.3パーセントの上方修正となりました。
1株あたりの利益(EPS)は32円19銭と発表していましたが、実際の着地は34円27銭となり、こちらもプラス6.3パーセントの上方修正となりました。
今年の7月と8月は非常に厳しい猛暑が続きました。当社の店舗の多くは地方の郊外型大型商業施設内に位置していますが、猛暑により商業施設がいわゆる「クールシェアスポット」として多くの集客を得ることができました。この恩恵を受け、7月と8月の業績が大幅に向上し、結果として想定を上回る結果につながったと考えています。
既存店売上

既存店売上についてご説明します。スライドの既存店売上のグラフをご覧いただくとおわかりのように、既存店の売上推移は2025年8月期において平均106.3パーセントになっています。
次に、スライド右側の既存店客数推移についてですが、年平均では105.2パーセントと、既存店のお客さまが順調に増加しています。そして、その下の既存店の客単価推移については、101.1パーセントと、こちらも順調に推移している状況です。
スライド左下の折れ線グラフをご覧ください。こちらは2020年から2024年の4年間の推移を示しています。2020年3月には新型コロナウイルスの影響が出始め、4月には非常事態宣言が発令されました。この期間は3年間にわたるコロナ禍によって、我々外食企業にとって非常に厳しい状態が続きました。
2020年を100とした場合の、2021年、2022年、2023年、2024年の売上の進捗を上場の大手同業他社と比較しました。その結果、2021年は若干落ち込んだものの、2024年には212となり他社を上回る大きな回復を果たしました。これは、コロナ禍にもかかわらず、当社が成長を遂げた証しと言えます。
四半期業績推移(IFRS)

四半期売上の推移です。こちらは過去2年間のデータで、1年を4四半期に分けています。第1四半期は9月から11月、第2四半期は12月から2月、第3四半期は3月から5月、第4四半期は6月から8月という期間となります。
棒グラフで四半期ごとの推移を示していますが、ご覧のとおり、当社においてもっとも利益が取れるのは第4四半期です。これは夏休みにあたり、この期間に売上が非常に集中するためです。
4月は歓送迎会や春休み、ゴールデンウィークがあり、第3四半期は当社にとって2番目に忙しい時期となります。一方、第1四半期と第2四半期は、比較的静かなスタートを切り、徐々に売上が上がっていく傾向にあります。
今回示した2年分のグラフは、着実な成長傾向を示しており、売上が順調に上昇していること、またEBITDAマージンも同様に向上している点が見て取れるかと思います。
通期業績予想

2026年8月期の通期業績予想です。売上高は123億円を予定しており、前期比9パーセントの増加を見込んでいます。
営業利益ですが、前期は7億6,500万円を計上しましたが、今期は8億5,000万円とし、前期比11.1パーセントの増加を見込んでいます。
当期純利益は、前期は4億3,600万円でしたが、今期は5億2,000万円を予定しています。これは前期比19.3パーセント増と、大きな躍進を見込んでいます。EBITDAマージンについても10億1,500万円で、前期比11.4パーセントの増加を見込んでいます。
EPS(1株当たり利益)は、今期40円85銭と19.3パーセントの増加を計画しています。予算計画の背景には、新規出店や既存店などの要素が含まれていますが、多様な施策を展開し、堅実な数字を出したつもりです。
例えば、新規出店10店舗の計画は、契約が95パーセント以上完了しており、確定的な出店計画となっています。何店舗出店し、どれほどの利益が上がるかという外食企業の出店計画は、株主のみなさまにとっても、重要な指標になっている点は重々承知しています。
一方で、ロードショーの際に機関投資家の方々にもご説明したように、当社は「30店舗出店します」「40店舗出店します」といった発表は行っていません。上場を機に30店舗、40店舗の出店を目指す気持ちはありますが、今回発表する内容は、確定しているもののみに限定しています。当社の店舗は業績が非常に好調なことから、全国のディベロッパーさまから毎週のようにオファーをいただいており、その中から確実に収益が上がるものを厳選して出店を進めています。
今期は10店舗の出店計画がありますが、それ以外で2店舗が10月時点で出店がほぼ確定しています。(本記事掲載時点では期首計画から3店舗増加して13店舗を計画)これらの新規出店計画については、四半期決算発表の際に、「現時点で何店舗の計画が確定している」「第2四半期、第3四半期の時点で計画が何店舗に増えた」といった情報を発表していきたいと考えています。
仮に30店舗を出店する計画を開示した場合、その詳細を店舗開発部門に引き継ぎ、同部門で30店舗の出店を進めることになると思います。
ただし、店舗出店が利益に直結したのは、1970年代に外食産業が始まった頃の話です。当時は店舗を出すことで売上も利益もどんどん増加していました。それは需給バランスが現在とまったく異なっていたためです。
現在では、無理に計画を発表して出店を進めた結果、例えば30店舗中5店舗が計画倒れとなり、減損の対象になってしまうような事態が発生すると、株主のみなさまに最もご迷惑をおかけすることになってしまいます。
そのような状況を踏まえ、当社はなるべく収益の見込める店舗をどれだけ加速して展開できるかを目標にしています。そして、四半期決算ごとに正確な出店計画を発表する方針です。この点についてご理解いただければ幸いです。
成長戦略

成長戦略についてです。スライドに記載のとおり、企業価値向上と持続的な成長に向けて、以下の4つの戦略を実行していきます。
まず、新店開発の強化についてです。現在、「築地食堂源ちゃん」やグルメ回転寿司の「ABURI百貫」、お持ち帰り専門の「炭火焼鳥 銀座惣菜店」など、ディベロッパーさまから非常に高いご評価とオファーをいただいています。「炭火焼鳥 銀座惣菜店」は、1日に6,000本近く売り上げることもあるため、こうした強力なブランドを中心に積極的に出店を進め、店舗開発をさらに強化していきます。
これまではディベロッパーさまと連携し、郊外や都心の商業施設への出店を重点的に行ってきましたが、今後は店舗開発体制を強化し、路面店やロードサイド店舗といった新たな出店チャネルを拡大していきます。当社はロードサイドへの出店はまだ行っていませんが、これを重要な事業機会と捉え、対策を進めていきます。
すでに新しい開発部門を立ち上げ、専門家の採用も完了し、さらなる出店チャネルの増加に向けた準備を整えています。この取り組みを本年度より実行していく予定です。これが成長戦略の1つです。
続いて、人財開発の強化です。スライドに記載されているように、待遇面の向上やインセンティブ制度の拡充により、働きがいのある環境を整備します。
具体的には、今期、従業員の方々の基本給を5パーセント引き上げるベースアップを実施しています。また、売上の達成だけでなく、収益や材料コスト、人件費(レーバーコスト)、EBITDA、店舗収益、1席あたりの売上や収益、前年対比、レストランフロアの順位、さらにお客さまアンケートを基にしたホスピタリティの向上といったさまざまな指標を基に、当社では月に1回表彰式を行い、インセンティブを付与することで、従業員の方々に頑張っていただいています。
こうした取り組みにより、優秀な人材をさらに採用するとともに、現在働いている人材が長く活躍できる環境を整え、生産性の向上を目指しています。各評価項目には、人事生産性や席当たり利益なども含まれ、これらを詳細に評価することで人財開発を強化し、成長戦略の一環に位置付けています。
3点目として挙げたM&Aの推進についてですが、かなり多くの話が寄せられており、現時点で詳細をお伝えできませんので割愛します。正式に決定しましたら適時開示の対象となるため、直ちに開示し、株主のみなさまにご報告します。
4番目のフランチャイズの推進についてです。以前より、フランチャイジーとして弊社の業態を運営したいというオファーをいただいている企業があります。
最近では、弊社の店舗や業態に応じたフランチャイザーとしての準備が徐々に整いつつあります。そのため、今期から少しずつ検討を開始しようと考えています。この4つを成長戦略の大きな柱として位置付けています。
株主還元

株主還元についてご説明します。当社は企業価値向上の一環として、株主還元を重要視しています。主な取り組みとして2つあり、1つ目が配当です。配当については、2026年8月期末の株主さまを対象に、予算達成を前提として配当性向20パーセントを基本方針とし、1株あたり10円の配当を予定しています。
この内容は2日前に発表した決算短信にも記載されています。当期の利益5億2,000万円に対する配当性向は24パーセントとなります。
続いて、株主優待についてです。2026年2月末及び2026年8月末時点の株主名簿に記載されている株主さまを対象に、当社の株式1単元(100株)あたり1,000円相当の商品券を贈呈することが決定しました。ただし、上限は2万株とします。
具体的なイメージはスライド下部の表のとおりです。100株保有の場合、1,000円の商品券を年2回、合計で2,000円贈呈します。また、200株保有の場合は2,000円の商品券を2回贈呈するため、1年間で4,000円となります。
上限となる2万株を保有されている株主さまには、1回につき20万円、年間合計で40万円の商品券をお贈りします。このように比例方式で株主優待を実施することを決定しました。
社内では、「年間2万株を購入いただいた株主の方に40万円分の商品券を贈呈するとして、『築地食堂源ちゃん』で40万円をどのように使うのか」という意見も出ていました。
ただ、当社が株主優待を実施する根本的な目的は、株主のみなさまに当社の商品をお楽しみいただきたいという思いにあります。
「築地食堂源ちゃん」では、毎日仕入れる鮮度の高い旬の魚を、定食やランチで、またご家族で召し上がっていただきたいと考えています。グルメ回転寿司「ABURI百貫」では、1本買いで仕入れた本マグロを、大トロや中トロといった新鮮でおいしいネタでぜひ味わっていただきたいと考えています。
また、朝泳いでいたタイをその日のうちにお寿司に仕立てると、白身は透き通るほどの鮮度です。これに塩やレモンをかけて召し上がっていただければ、格別なおいしさを実感していただけるかと思います。
こうした商品を株主のみなさまに召し上がっていただき、1人でも多くの方に当社の商品を楽しんでいただきたいという考えが根底にあります。そのため、多くの株をお持ちいただき、みなさまに当社の商品を召し上がっていただきたいというのが、基本的な考え方です。
商品券に関しては、付与方法を現在検討中です。紙の商品券をお送りするのか、QRコードやアプリを利用するのかといった方法を含め、多方面から検討を進めています。詳細が確定次第、株主のみなさまにホームページ等を通じて速やかにご報告しますので、どうぞよろしくお願いします。
質疑応答:競合先やベンチマークとする会社について
「御社はさまざまな業態を抱えていますが、上場会社における競合先やベンチマークの会社はどこでしょうか?」というご質問です。
弊社は成長戦略として2つの柱を考えています。1つはマルチブランド戦略、もう1つはM&Aです。
マルチブランド戦略については、さまざまな店舗や業態を展開している点で、競合他社としてクリエイト・レストランツHDさまをベンチマークし、競合先と考えています。
また、「築地食堂源ちゃん」は定食屋として、毎日のお食事やちょい飲み、宴会など幅広い利用シーンに対応しています。その競合他社としては、ハイデイ日高さまや大戸屋HDさまといった会社が挙げられると考えています。
王将フードサービスさまや各ファミリーレストランも競合にあたり、メニューについてもベンチマークさせていただくケースが多いため、これらの会社を当社の競合先と考えています。
質疑応答:出店ペースについて
「2026年8月期の業績予想で、出店は10店舗と説明がありましたが、出店ペースについて考えを教えてください」というご質問です。
先ほど10店舗とご説明しましたが、四半期決算ごとに出店が確定したものがあれば、随時発表していきます。
基本的に、当社は上場を機に出店を加速していく方針です。先ほどもご説明したとおり、ディベロッパーさまから「この区画で何か業態を展開できないか?」「『築地食堂源ちゃん』をこのコーナーで出店できないか」といったオファーをいただいた場合、居抜きの状態であれば3ヶ月から4ヶ月で出店が可能です。
これまでにもそのような店舗を何十店舗も展開してきた実績があります。したがって、上場を機に出店を加速し、20店舗、30店舗と展開していきたいと考えています。
質疑応答:値上げの実施状況とその影響について

「外食では原材料高騰や人件費の影響が大きいと認識しています。先ほど、客単価値上げの説明がありました。一般的に値上げにより客数が減少すると思うのですが、御社の値上げの実施状況について教えてください」というご質問です。
当社ではお米が主力の原材料です。お寿司や定食で使われており、年間では乾燥米600トン以上を使用しています。この値上げがあると、収益が大きく削られる結果となります。
そのため、2025年5月に一部の業態を除き値上げを実施しました。客単価平均20円の値上げを実施し、5月1日から8月31日までモニタリングを行いました。100円の商品を20円上げるということではなく、平均すると1,200円から1,300円の商品価格の中で、20円の値上げでしたので許容されるのではないかという感覚はありましたが、お客さまに受け入れていただけるかどうかを慎重に検証しました。
特に注目したのは、20円の値上げによって既存店の客数が減ったかどうかという点です。その結果、この表にあるとおり、5月は103.3パーセントとなり、平均20円の値上げをしたにもかかわらず、客数は前年同月比で3.3パーセント増加しました。
6月も同様の結果で、7月も同様でした。8月においては107.5パーセントとなり、値上げ後も前年を大きく上回る客数増加を達成しました。
これは、お客さまが我々の20円の値上げを許容してくださった結果だと考えています。追加でお話しすると、値上げを実施したすべてのお店でアンケートも実施し、1ヶ月で1,000通以上、4ヶ月間で合計4,000通以上の回答をいただきました。
その中で、値上げに対するクレームは一切ありませんでした。このことを踏まえ、我々は今期、11月1日から全店舗で平均20円の値上げを実施する予定です。一見するとわずか20円ではありますが、当社の店舗には月に65万人から70万人のお客さまがいらっしゃいます。仮に65万人で計算すると、20円を掛けることで月あたり1,300万円の増収となります。
これは、ほぼ真水です。人件費や食材費が変わらないため、このまま進むと12ヶ月で1億5,000万円となります。これは当社にとって非常に大きな数字です。
この数字を基に、人件費を5パーセント増やし、今期だけで1億円以上の給与引き上げを実現しています。これらの値上げにより、収益悪化の防止に寄与していると考えています。
質疑応答:ファンドの今後の展望について
「将来的なファンドの大量売り出しを懸念しています。状況や今後の展望を教えてください」というご質問です。
これは、いわゆるオーバーハングに対する懸念かと思います。実際のところ、ファンドは現時点で持分が20パーセント前後となっています。この20パーセントが高いのか低いのかは議論の余地があると思いますが、私たちはファンドの方々と綿密にコミュニケーションをとっています。
つまり、ファンドの売却がマーケットに影響を与えないかたちで進むよう、弊社とファンドの方々で話し合いを進めています。そのため、ご心配のような急激な売却による株価の変動は、売却元のファンドにとっても得策ではありませんので、それほどご心配なさらなくても大丈夫だと考えています。
質疑応答:差別化要素や強みについて

「貴社の差別化要素、強みを教えてください」というご質問です。
外食産業は、日本国内だけでも多くの企業がしのぎを削っています。その中で、当社がどのように他社と差別化を図り、これから成長の礎にしていくかについては、この資料に記載しています。
このグラフは少し興味深いもので、横軸が客単価、縦軸がユニークで、上が魚中心のメニュー構成、下が肉中心のメニュー構成を示しています。
左上には回転寿司店などがあり、その上に「築地食堂源ちゃん」というものがあります。ここは毎日河岸からさまざまな魚種を仕入れており、取り扱っている魚の種類が非常に多いのが特徴です。
ここの客単価は、定食屋やファミリーレストランと遜色のない1,200円から1,300円程度となっています。ランチでは、980円や850円といった価格のランチメニューもご用意しています。
その中で、生魚の刺身を使用しています。個人店ではよく見られますが、チェーン店として展開されている会社では意外と少ない状況です。ここに希少性があるという点が挙げられます。
次に、「ABURI百貫」です。昨今、高級寿司店で3万円や4万円といった価格帯の寿司がなかなか予約できないといった話を耳にします。そのような寿司を食べたくても機会がない方に向けて、私たちの店舗では、銀座で提供される寿司に近いレベルの商品をお届けしています。
具体的には、本マグロや、鮮度の高いおいしいウニ、生きたアワビなどを使用した寿司です。この業態は、弊社業態の中では比較的高単価のカテゴリに位置付けられ、客単価は平均して2,500円から2,800円程度となっています。おいしいお寿司をお楽しみいただける業態として、非常に高い人気を誇っているため、ディベロッパーさまからのオファーも非常に多い状況です。
こうしたところが、我々が得意とする分野です。

次のページをご覧ください。私たちが魚分野に強みを持つ理由についてです。北は青森県の五所川原市場との取引があります。今年中に北海道への進出が決定しているため、函館の生鮮市場とも取引が始まる予定です。南は鹿児島県の市中央卸売市場があります。特に豊洲の中央卸売市場は主力となっています。
全国の市場と直接取引をしています。地方の市場の買参権を持っているところもあり、バイヤーを通じて日々仕入れを行っています。魚には相場があり、そのため難しいと言われます。また、生魚の鮮度を保つのも難しいとよく言われます。ところが、当社はそれを逆手に取ります。

次のページをご覧ください。我々の1日の流れについてご説明します。だいたい23時に営業が終了し、そこから全国からの発注内容をまとめる作業が始まります。この発注業務には約2時間を要します。
その際、例えばサバが100尾発注された場合、当社のバイヤーが市場でサバを買い付けることになります。しかし、仮に豊後水道などのサバの産地がしけで、サバが1尾5,000円にまで値上がりしているような場合には、当社のバイヤーはサバの購入を見合わせます。
一方で、市場を見渡してアジが豊漁で安価かつ鮮度の良い状態で手に入る場合には、そのアジをサバの代わりに仕入れることがあります。豊洲市場内には自社の加工工場を備えており、この工場で仕入れたアジの頭を落とし、内臓を取り除いて開きます。その後、即座に現場に配送します。
現場では、仕入れたアジに衣をつけて調理し、今朝獲れたばかりのアジフライを安価にお客さまのランチとして提供することができます。また、鮮度が抜群であるため、アジのたたき丼として、お味噌汁を添えて900円といった価格でご提供することも可能です。
さらに、タイについては当社が朝に仕入れたものは活〆であり、工場で三枚おろしにして、昼にはお寿司として提供します。このように、先ほどまで泳いでいた新鮮なタイを、〆たての状態でお客さまにお召し上がりいただけることも、我々のシステム化されたプロセスの一環です。
これを午前8時に発送し、9時から10時には店舗に届けることで、ランチとして提供できる流れが構築されています。さらに、生魚の安全性や鮮度を担保し、おいしく召し上がっていただくためには、技術者の力が欠かせません。
当社には職人が200人以上在籍しており、長年にわたり活躍しています。この職人たちの力を背景に、手間のかかる商材を逆手に取って、安価で旬の鮮度の良い魚を提供することが、差別化および強みにつながっていると自負しています。
質疑応答:M&Aの検討状況と進捗について
「M&Aについて現在検討されているのでしょうか? 具体的に進捗している案件はありますか?」というご質問です。
M&Aは当社の成長戦略における重要な一環です。M&Aだけでなく、営業譲渡なども成長の一環と考えています。ただし、現段階ではさまざまなお話をいただき、個別に進めている案件はあるものの、正式に決定したものはまだありません。そのため、ここでは詳細な説明を割愛することをご了承ください。
質疑応答:店舗やのれんの減損リスクについて
「店舗やのれんの減損リスクについて教えてください」というご質問です。
店舗に関しては、2024年8月期にコロナ禍から脱却しましたが、一部、回復が遅れている店舗が数店舗見られました。これらの店舗については、すべて減損の対象として計上しています。
新型コロナウイルスは2020年4月に始まり、2023年5月に第5類へ移行し、事実上収束しました。その間約3年で、我々は51店舗を新規出店しています。
コロナ禍において、お酒を中心に提供していた店舗では、利用者がほとんどいない状況が続き、回復が遅れている店舗がありました。これらの店舗の減損を進めると同時に、出店を進める中で店舗構成が大きく入れ替わりました。
この取り組みが前期および前々期の最高益更新に寄与したと考えています。その結果、コロナ禍と比較して現在の業績は大きく上回っています。よって、各店舗を見ても、店舗やのれんの減損リスクは非常に低いと考えています。
質疑応答:株主優待の商品券について

「先ほど株主還元で株主優待の説明がありましたが、2万株を1年間保有した場合は40万円分の食事券がもらえるということでしょうか? 商品券は割引券でしょうか?」というご質問です。
商品券は割引券ではありません。例えば数千円以上ご飲食されたお客さまが、商品券の一部しか使えないということはありません。ただし、お釣りは出ませんので、商品券をフルにご利用いただき、当社の定食やお寿司をぜひ召し上がっていただければと考えています。
また、年間40万円分の食事券がもらえるという点については、そのとおりです。
質疑応答:海外進出について
「御社の店舗は日本だけだと思いますが、将来海外展開の予定はあるのでしょうか?」というご質問です。
実は、この4月にフィリピンを訪問しました。三菱商事と現地のアヤラグループという歴史ある財閥の方々にお会いする機会をいただきました。三菱商事はご存じの方も多いと思いますが、アヤラグループはフィリピン最古の財閥です。
銀行は200店舗以上の支店を有しており、不動産に関しては、国全体で商業施設を54施設所有しています。
我々はそのような状況下で、アヤラグループや三菱商事の役員の方々と議論し、海外出店の可能性を検討しました。フィリピンを選んだ理由は、同国がまさに高度成長の真っただ中にあるためです。
私が訪れたメトロマニラという地域は、それほど広いエリアではありません。東京23区をいくつか集めたような地域に、1,600万人もの人々が暮らしています。また、フィリピン全体の平均年齢は25歳と若く、2060年まで人口ボーナスが続くとされています。
実際にフィリピンでは、商業施設を数多く視察する機会もありました。また、フィリピンの方々はお米が大好きであることが印象的でした。
フィリピンでは、お米が主食という方がほとんどです。商業施設で展開している約20店舗のレストランを見ると、そのうち半数近くが日本食店であり、日本食レストランは大変な人気を集めています。
フィリピンの方々が日本食を非常に好んでいる様子がうかがえました。また、発展途上国であるフィリピンの現地の雰囲気を目にすると、まるで昭和40年代の日本のような、意欲に溢れた人々の熱気に国全体が包まれているという印象を受けました。
その頃の日本と異なる点は、1,600万人のほとんどが携帯電話を持っていることです。これにより、当社が出店していく可能性は大いにあるだろうと考えています。ただし、1店舗を出店する際には、いわゆる管理コストが大きくかかってしまうため、これをどのように実現するかについては検討が必要です。
この点に関しては、現地のメガフランチャイズの方々やアヤラ財閥の関係者から多くの紹介をいただきましたので、こうした方々と合弁企業を設立し、その企業を上場させるなどの方法で海外進出を進めるかどうか、現在検討中です。
「海外に進出するのですか?」というご質問にお答えするならば、当社は海外進出を将来的な視野に入れています。
質疑応答:配当性向見直しの可能性について
「株主還元を重視されているとのことですが、今後、配当性向アップ等見直す余地はあるのでしょうか?」というご質問です。
決算短信で示したとおり、計画どおり収益が出て10円を配当すれば配当性向は24パーセントになると、先ほどご説明しました。後ほどご説明しますが、企業価値向上に向けて株主さまの利回りを検討し重視しています。
株主還元の利回りは、収益に応じて随時更新していく方針です。その際は速やかに公表しますので、お待ちいただければと思います。
東氏からのご挨拶

私どもは、10月8日に東京証券取引所スタンダード市場に上場を果たしました。昨今、マーケットでは循環取引やインサイダー取引といった信頼を揺るがす事件が発生しています。この2、3年を振り返っても、上場承認に至るまでの基準が非常に厳しいものとなっています。
当然ながら、コンプライアンスや法令順守はもちろんのこと、コーポレートガバナンスがどのように機能しているかが重要視されています。
それから、内部統制、IT統制について厳しく審査を受けました。さらに、この会社が上場した後も、しっかりと収益を上げ続けて成長していけるのかという点についても徹底的に審査されました。
我々がその審査を通過し、承認を得られたことは大きな自信となり、今後の企業価値の向上や立派な会社に成長することへの確信につながっています。
弊社には競争力のあるブランドがあります。例えば、「築地食堂源ちゃん」というブランドが代表的です。「築地食堂源ちゃん」はまだ全国で48店舗程度の小さなチェーンですが、出店を加速させたいと考えています。
そして大手企業のように、「築地食堂源ちゃん」「ABURI百貫」「炭火焼鳥 銀座惣菜店」といったブランドを国民のみなさまが広く知る存在にすることを目指しています。
こうした競争力の強いブランドを出店することで、着実に業績を積み上げていきます。これに加えて、M&Aや事業譲渡を活用したインオーガニックな成長も同時に進めていきたいと考えています。重複する説明となりますが、株主還元を経営の重要課題として位置づけ、実行していきます。弊社は、株主総利回り(TSR)を重視しています。
TSRのロジックツリーを基に、さまざまな角度から利回り、つまり配当や株主優待だけでなくキャピタルゲインも含めて、どのように株主のみなさまに良い利回りを提供できるかを毎月の定例取締役会で検討しています。
取締役全員でTSRを少しでも向上させるための議論を活発に行っています。私たちは株主のみなさまの期待に応えられるよう、全力で業務に取り組んでいきます。
今後とも、サイプレス・ホールディングス株式会社に、株主のみなさまのご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。本日は短い時間ではありましたが、夕食時の貴重なお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。
これをもちまして、2025年8月期決算説明会を終了します。ご清聴ありがとうございました。
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