東北電力、小売販売電力量の減少等により前年比減収減益 販売拡大の取り組みを強化し挽回を図る
目次

石山一弘氏:代表取締役社長の石山です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。早速ですが、「2025年度中間決算の概要」等について、資料に沿ってご説明します。
業績概要

はじめに、「業績概要」についてご説明します。
売上高については、小売の販売電力量が減少したことなどから、前年同期に比べて1,426億円減の1兆1,689億円となりました。
次に、経常利益については、女川2号機の再稼働や、燃料費調整制度のタイムラグ影響による差益の増加などによる収支改善があったものの、市場や販売環境の変化に伴う収支悪化や送配電事業における需給調整費用の増加などから、前年同期に比べて276億円減の1,256億円となりました。
また、親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期に比べて183億円減の876億円となりました。
連結経常利益の前年同期からの変動要因

連結経常利益の前年同期からの変動要因についてご説明します。
女川2号機の再稼働効果350億円や、燃料費調整制度のタイムラグ影響による差益の増加150億円などの収支改善があったものの、市場・販売環境の変化マイナス290億円や、送配電事業マイナス247億円などにより収支は悪化しました。
結果として、連結経常利益は前年同期比276億円減少の1,256億円(燃調タイムラグ影響除きでは426億円減少の1,026億円)となっています。
燃料費調整制度のタイムラグ影響

燃料費調整制度のタイムラグ影響については、前年同期が80億円程度の差益だったのに対し、当期は230億円程度の差益であったことから、差引で150億円程度の収支改善となりました。
電力販売実績・主要諸元・収支変動影響額

小売販売電力量は、競争進展に伴う契約切り替えや産業用における稼働減などにより、前年同期に比べて12億キロワットアワー減の279億キロワットアワーとなりました。
一方、卸売販売電力量は、相対卸売が増加したことなどから、前年同期に比べて21億キロワットアワー増の111億キロワットアワーとなりました。
これにより、全体の販売電力量は、前年同期に比べて8億キロワットアワー増の390億キロワットアワーとなりました。
電力供給力実績

電力供給力実績について、ご説明します。
自社発電については、出水率の向上ならびに女川2号機の再稼働に伴い、水力・原子力の発電電力量が、それぞれ増加しました。一方、自社火力については、女川2号機の再稼働などに伴い、発電電力量が減少しました。
また、共同火力において、定期点検などにより発電所の稼働が減少したことから、他社受電電力量が減少しました。
セグメント情報(連結)

セグメント情報(連結)です。発電・販売セグメントで134億円の減、送配電セグメントで247億円の減、その他のセグメントで15億円の減となっています。
セグメント別の状況(発電・販売)

発電・販売セグメントでは、女川2号機の再稼働による収支改善や、燃料費調整制度のタイムラグ影響による差益の増加があったものの、市場・販売環境変化による収支悪化などにより、経常利益は前年同期比134億円(燃調タイムラグ影響除きでは284億円)の減益となりました。
セグメント別の状況(送配電)

送配電セグメントでは、調整力の調達単価の上昇などに伴い需給調整関係の収支が悪化したことなどから、前年同期比247億円の減益となりました。
なお、エリア需要は、前年に比べ夏季の気温が高く推移したことによる家庭・業務用における冷房需要の増加などから、4億キロワットアワーの増加(前年同期比101.0パーセント)となりました。
主な子会社の業績

主な子会社の業績です。
貸借対照表(連結)

貸借対照表(連結)です。総資産は前年同期比で431億円増加し、5兆4,413億円となりました。また、自己資本比率については、前年度末から1.3パーセント改善し、19.6パーセントとなりました。
損益計算書(連結)

損益計算書(連結)です。売上高は、前年同期比1,426億円減の1兆1,689億円となりました。経常利益は、前年同期比276億円減の1,256億円となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期比183億円減の876億円となりました。
収支比較表(連結)

収支比較表(連結)です。電灯・電力料収入については、電灯料が102億円増加した一方、電力料については605億円減少しています。また、CIF差・アワー差により燃料費も535億円減少しています。
キャッシュ・フローの状況(連結)

キャッシュ・フローの状況(連結)です。フリー・キャッシュ・フローは、前年同期比マイナス625億円のマイナス1,185億円となっていますが、こちらは、主に預入期間3ヶ月超の譲渡性預金などの増加影響によるものです。なお、今年度内に全額満期到来となります。
2025年度業績予想および中間配当・期末配当予想

続いて、「2025年度の業績予想および中間配当・期末配当予想」について、ご説明します。
2025年度の業績予想および期末配当予想については、4月に公表した数値から変更していませんが、足元の動向を踏まえ、主要諸元の見通しのみ変更しています。
このうち、小売販売電力量は、中間期までの実績傾向を反映し、通期の見通しを下方修正しましたが、現在それを挽回すべく、域外を含めた販売拡大の取り組みを強化しています。今年度後半にかけて、そうした取り組みの成果が出てくるものと見ており、今回はその一部しか織り込めていませんが、下方修正した分を取り返し、上積みが図れるよう、引き続き、積極的に販売拡大に取り組んでいきます。
また、2025年度中間配当については、4月に公表したとおり、「1株当たり20円」としました。
東北エリアの電力需要拡大と当社の取り組み①

続いて、「電力需要拡大と当社の取り組み」について、ご説明します。
中ほどのグラフでお示ししているとおり、東日本エリアの電力需要は、今後10年間で約10パーセント増加する見通しとなっています。
また、当社エリアの電力需要見通しも、データセンター・半導体工場の新増設により、前年想定から上方修正され、今後10年間で3パーセント程度の増加が見込まれています。
さらに、今後の成長ポテンシャルとして、データセンターが挙げられます。東北・新潟エリアは、大都市圏に近く、冷涼な気候、再生可能エネルギーが豊富であることなどから、データセンター立地に適した環境にあるものと考えています。
そうした利点と当社グループの強みを生かし、当社販売電力量の拡大につなげていくため、本年7月にデータセンター誘致に関わる専任チームを法人営業部内に設置しました。
東北エリアの電力需要拡大と当社の取り組み②

また、当ページ左下では、国の「GX2040ビジョン」を踏まえたGX産業立地政策の概要を紹介しています。
このように、ワット(電力)・ビット(情報通信)連携等を通じたデータセンターの適正立地、地方分散に向けた機運が高まっていることを踏まえ、10月16日、当社は、NTT東日本株式会社さま、株式会社日本政策投資銀行さまと東北・新潟地域の強みを最大限に生かしたデータセンターの誘致を推進することを目的とした業務協力協定を締結しました。
今後、各社の強みを生かしながら、データセンターの誘致を通じた新たな産業・雇用の創出による地域活性化・産業振興に貢献していきます。
コーポレートPPA~①脱炭素拡大の背景とサービス概要~

続いて、「コーポレートPPAの拡大に向けた取り組み」について、ご説明します。
第7次エネルギー基本計画において、2050年までのカーボンニュートラル実現と2030年までの温室効果ガス排出削減に向けた再生可能エネルギー導入の拡大が掲げられ、企業のCN実現に向けた機運の高まりが顕著となっています。
当社グループでは、こうした動きをビジネスチャンスとして捉え、「よりそうnext+PLUS」におけるグリーンビジネス事業の重要な取り組みとして、再エネ電気を提供するコーポレートPPAサービスをはじめとした様々な「グリーンエネルギーソリューション」を組み合わせた最適なご提案を行っています。
コーポレートPPA~②当社グループの強み・受注実績の拡大~

当社グループが提供するコーポレートPPAサービスは、再生可能エネルギーの適地である東北6県・新潟県を事業ドメインとして、数多くの再生可能エネルギー発電事業者との接点を有していること、お客さまのご要望に応じ、使用する再エネ電源の選定等サービス内容を柔軟かつきめ細かにカスタマイズすることで、長期にわたって安定的にサービスを提供することを強みとしています。
オンサイトPPAサービスは2020年度、オフサイトPPAサービスは2023年度からサービスを開始しており、いずれも順調に受注実績を積み重ねています。コーポレートPPAサービス全体として右肩上がりの状況が継続しており、今後も「成長が期待できる分野」として力を入れていきます。
当社(東北)エリアにおける電力需要の見通し

続いて、当社エリアにおける電力需要の見通しについて、ご説明します。
2025年1月に電力広域的運営推進機関が公表した「全国及び供給区域ごとの需要想定(2025年度)」において、当社(東北)エリアでは、今後10年間でプラス3パーセント程度(22億キロワットアワー程度)電力需要が増加する見通しとなっています。
今回想定では、全国的にデータセンター・半導体工場の新増設に伴う需要増加を見込んだ影響等による増加が見られ、当社(東北)エリアにおいても、2030年度から2033年度の平均では、前回想定(2024年1月公表)と比較してプラス2.4パーセント程度(18億キロワットアワー程度)、電力需要が上振れする見通しとなっています。
次世代ネットワーク構築のための送電系統の増強

東北電力ネットワーク株式会社では、カーボンニュートラルに向けた再エネ系統連系や、広域的な需給運用を行う地域間連系線の整備・増強を進めるため、広域系統整備計画に基づき「北海道本州間連系設備」、「東北東京間連系線」および「東北北部エリアにおける電源接続案件募集プロセス」に係る工事を進めています。各工事の詳細については、資料をご覧ください。
グリーンビジネスの展開状況

グリーンビジネスの展開状況について、ご説明します。
「2030年代早期に200万キロワット以上」の目標に対し、2025年9月末時点で約90万キロワットの実績となっており、順調に進捗しています。
また、前段でご紹介したコーポレートPPAサービスの具体的な展開状況について、右下の表で示しています。2025年9月末時点で、合計出力約20.9万キロワットとなり、多くのお客さまに当社サービスを導入いただいています。
女川2号機の状況

続いて、先日公表した「特定重大事故等対処施設」、いわゆる「特重施設」の工事完了時期の見直しについて、ご説明します。
当社は、女川2号機の特重施設について、関係法令に基づく設置期限である2026年12月22日までの工事完了を目指し、工程の短縮などに最大限取り組んできましたが、今般、工事完了時期を2028年8月に見直すこととしました。
これは、昨今の建設業界における労働環境の変化によって生じる影響など、当社の努力だけでは対応が難しい外的要因も踏まえ、改めて工程を精査した結果、見直しが必要と判断したものです。
株主・投資家のみなさまから、今後の持続的な安定運転に対するご期待の声をいただいている中、2026年12月23日以降、工事完了まで運転停止を余儀なくされることについて、重く受け止めています。
一方、特重施設の設置期限については、現在、原子力エネルギー協議会「ATENA」が、原子力規制委員会に対し、建設業界における労働環境の変化を踏まえ、3年延長するよう要望しているところですので、そうした動向を注視するとともに、当社もATENAの一員として適切に対応していきたいと考えています。
原子力再稼働に向けた取り組み状況

東通1号機の安全対策工事の完了時期については、プラント審査準備が整う2027年3月頃の公表を目指しています。
また、女川3号機については、適合性審査申請に向けた準備の一環として、地質データ拡充に向けた地質調査を実施しています。
当社の財務目標(1)

当社は、2026年度と2030年度をターゲットとした、利益目標[連結経常利益]・財務健全性目標[連結自己資本比率]・収益性目標[連結ROIC]から成る、3つの財務目標を設定しています。
2024年度は、連結経常利益(燃料費調整制度のタイムラグ影響除き)2,347億円、連結ROICは4.8パーセントとなったほか、連結自己資本比率は2023年度末の15.4パーセントから18.3パーセントに改善するなど、順調に進捗してきました。
当社グループを取り巻く事業環境の変化は大きく、競争の進展やインフレに伴うコスト増、金利の上昇、燃料市況・為替等の動向など不確実性が増している状況にありますが、「よりそうnext+PLUS」のもと、電気・エネルギーを中心に収益拡大に向けた事業を展開することにより、厳しい事業環境が想定される2025年度においても、1,900億円の連結経常利益を確保し、着実に自己資本を積み上げ、引き続き、財務基盤の早期回復に取り組んでいきます。
当社の財務目標(2)

また、財務目標達成に向けた進捗等をより定量的にご理解いただくため、事業別に「目標達成に向けた収益率」と「ROIC実績」を分解し、示しています。
財務目標指標の進捗状況

なお、各財務目標指標の進捗状況は資料のとおりです。
利益水準・財政状態の推移

利益水準・財政状態の推移を、グラフで示しています。
ウクライナ危機等により、2022年度の自己資本比率は10.5パーセントとなりましたが、その後は順調に自己資本を積み増しており、2025年度末の見通しは19.5パーセント程度となっています。
売上高・各利益の推移(連結)

売上高・経常利益・親会社株主に帰属する中間純利益の推移は資料のとおりです。
各利益の四半期推移(連結)

経常利益・親会社株主に帰属する四半期純利益の四半期推移は資料のとおりです。第2四半期単体での比較では、経常利益は前年同期比48億円の増加、四半期純利益は45億円の増加となっており、改善しています。
財務指標の推移(連結)(1)

総資産営業利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)の推移は資料のとおりです。
財務指標の推移(連結)(2)

株価純資産倍率(PBR)、株価収益率(PER)の推移は資料のとおりです。
財務指標の推移(連結)(3)

フリー・キャッシュ・フロー、デット・エクイティ・レシオの推移は資料のとおりです。
販売電力量(小売)の月別推移

販売電力量(小売)の推移は資料のとおりです。
燃料消費量実績

燃料消費量実績の推移は資料のとおりです。
主なプレスリリース(1)

2025年度上期における当社の主な取り組みについて、2ページにわたってご紹介しています。
こちらのページでは、「農業由来カーボン・クレジットの活用」や「統合報告書の発行」、「DX人材育成に関する産学連携協定の締結」について紹介しています。
主なプレスリリース(2)

こちらのページでは、「営農型太陽光発電事業の展開に向けた業務提携」や、「中間停止していた女川2号機における発電再開」、「東北電力ネットワークにおける託送供給等約款の変更届出」について記載しています。また、「取次委託契約による首都圏のご家庭向け電気の販売開始」についてもご紹介していますので、ご覧ください。
終わりに

本日、私からの説明は以上となります。引き続き、各事業における収益・成長の追求や財務目標の達成に向けて取り組むとともに、株主還元やIR活動を通じた資本市場との対話を充実させることにより、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指していきますので、何卒よろしくお願いします。
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