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株式会社ヌーラボ5033

東証グロース

情報・通信業

目次

橋本正徳氏:みなさま、こんにちは。株式会社ヌーラボ代表取締役の橋本正徳です。本日は、当社2026年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。最後までよろしくお願いします。

本日はこの目次に沿ってご説明します。

ブランドメッセージ

はじめに会社概要についてご説明します。株式会社ヌーラボは、「このチームで一緒に仕事できてよかった」を世界中に広げていくというブランドメッセージのもと、SaaS型のコラボレーションツールをサブスクリプション形式で提供している会社です。

Mission&Value

当社は「To make creating simple and enjoyable」をミッションに掲げ、「Try First」「Love Differences」「Goal Oriented」という3つのバリューを中心に据えています。

会社概要

当社は福岡本社のほか、東京と京都を合わせた3拠点を国内に構えています。さらにニューヨークとアムステルダムに子会社を持ち、国際的なチームでグローバルに戦えるソフトウェアの開発・運営を行っています。

会社沿革

当社の沿革です。当社は2004年に設立し、創業時はお客さまのソフトウェア開発を請け負っていました。2006年から自社サービスの開発と運用を開始し、2013年に受託請負事業を終了し、自社サービスだけに集中する現在のビジネス形態となりました。

現在は、プロジェクトタスク管理ツール「Backlog(バックログ)」、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo(カクー)」、およびセキュリティとアカウント管理サービス「Nulab Pass(ヌーラボパス)」の3つの製品を提供しています。その中でも主力サービスは「Backlog」で、売上の大部分を占めています。

サービス概要

当社のサービス内容についてご説明します。主力サービスである「Backlog」、次に「Cacoo」、そして「Nulab Pass」の順にご説明します。

Backlogの利用対象ユーザー

「Backlog」は、業種や職種を問わず、多くの方にご利用いただけるプロジェクト管理ツールです。このツールはもともとソフトウェア開発の現場から生まれてきた歴史があります。

古くから導入いただいているWeb開発やシステム開発を行っている企業はもちろんのこと、社内で多数のプロジェクトを発案し、管理を行っている企業など、幅広くお役に立てるツールだと考えています。

次に、「プロジェクト管理とは?」についてご説明します。「プロジェクト管理」とは、顧客管理、案件管理、予算管理、タスク管理、お問い合わせ管理、不具合管理、コミュニケーション管理、さらにファイル・文書管理など、多岐にわたる情報をタイムリーかつ正確に管理する業務全体を指します。

プロジェクト管理の現場では、ファイルの増加によりどこに何の情報があるかわからない状況や、共有漏れによって最新の情報が反映されない、さらには誰がどのタスクを担当しているか不明なため進捗が見えない、といった課題がしばしば発生します。

このような課題の発生により、プロジェクト管理には多くの人員やツールが必要となり、多大なコストがかかることがあります。これらの課題を解決するためのツールが「Backlog」です。

Backlogの基本機能

「Backlog」は、プロジェクト管理に必要な機能をオールインワンで備えているため、面倒な準備をすることなく、すぐにプロジェクトを始められます。課題の設定、進捗の共有、ファイルの管理、権限管理などの機能を有しており、さらにコミュニケーションを円滑にする工夫もされています。

これにより、マネジメントする側とされる側の摩擦を減らし、チームメンバー間のコミュニケーションの質を向上させることができます。チーム全員がプロジェクトを進めることを目標に、前向きに仕事に取り組むことができます。

Backlogで変わること①:管理プロセスの比較

「Backlog」の機能を使用することで、従来の方法と比較して大幅に工数を削減でき、その分の時間をより付加価値の高いタスクに多く割り当てることが可能になります。

Backlogで変わること②:メールとの比較

メールでのコミュニケーションと比較すると、メールはやり取りを繰り返す中で、誰がボールを持っているのかわからなくなったり、知らないうちにCCから外れて共有が漏れ、情報が欠落してしまったりすることがあります。

「Backlog」を使うことで、誰がどのタスクを担当しているかを明確に整理でき、情報を集約して常にプロジェクトメンバーに共有されている状況を整えることが可能です。

Backlogで変わること③:エクセルとの比較

プロジェクト管理にExcelを使用されている方も一定数いらっしゃるかと思いますが、ExcelではToDoやタスクの分解が可能であっても、タスク一つひとつの詳細や進捗を細かく管理することは難しいのが実情です。みなさまも共感されるかもしれませんが、Excelの内容が次第に複雑化してしまうケースも多いのではないでしょうか。

「Backlog」を使用することで、常に最新の情報を共有でき、メンバー全員がいつでもプロジェクトの状況を把握できます。また、タスクの一つひとつにコメントを付けることも可能です。

Backlog料金体系

「Backlog」の料金の大きな特徴は、スタンダードプラン以上であればユーザー数無制限で利用できる点です。他の一般的なSaaSサービスとは異なり、ユーザー数に依存しない料金体系となっています。

ユーザー数が無制限であるという特徴を活かし、ユーザーのみなさまは、自社だけで完結しないプロジェクトを進める際に、気軽に社外の関係者を招待し、一緒にプロジェクトを進めることができます。

成長が著しいスタートアップ企業や、申請や稟議の手間が多い行政の方々でも、プロジェクトメンバーを巻き込むことが可能です。

また、大企業などツール導入時にセキュリティ面を重視する企業に対しては、セキュリティ強化オプション「Nulab Pass」を組み合わせていただくことで、提供価値をさらに大きくすることができます。

幅広い顧客ラインアップ

こちらは導入企業の一例です。幅広い業種でご利用いただいています。

Cacoo

「Cacoo」についてご説明します。「Cacoo」は誰もが使えるシンプルな機能を備え、チームのアイデア共有を加速するクラウド環境のビジュアルコラボレーションツールです。豊富なテンプレートやバージョン管理機能を活用して、チームのコラボレーションを促進します。

例えば、「Backlog」のwikiに用いるような図を「Cacoo」で描くことで、特別な編集ツールをインストールせずとも、ブラウザがあれば誰でも簡単にわかりやすい図を共有できます。

無料ユーザーを含め、世界で400万人以上の方々にご利用いただいています。

Nulab Pass

「Nulab Pass」についてです。「Nulab Pass」はヌーラボサービスを利用する組織のアカウントを一括管理するためのツールです。

シングルサインオンやユーザーの操作履歴を追跡できる監査ログ機能も提供しています。さらに、ユーザープロビジョニング機能も備えており、アカウント管理の効率化に寄与するサービスです。

【ご参考】2024年10月以降の主要サービス関連リリース

昨年10月以降にリリースした主要な新機能についてです。「Backlog」「Cacoo」「Nulab Pass」の各機能は、お客さまの声を反映し、改善に取り組んでいます。

Nulabの強み

成長戦略についてです。当社は9月末時点で1万5,000件の契約件数、145万人の有料ユーザーを誇る顧客資産、解約率0.44パーセントという高い顧客満足度に裏付けられた開発力、また、製品主導の成長を支える気軽に社外の方を招待できるライセンス形態、30億円の現預金と前受金モデルによる安定した財務基盤といった強みがあります。

これらの強みを最大限に活用し、ミッションを実現していきます。

Nulabの成長戦略

当社の成長戦略は3つの柱で構成されています。

第1に、既存プロダクトの持続的な拡大です。創業以来の強みであるリファラルによる自然成長を維持しつつ、セールス組織を強化してユーザー基盤を拡大します。また、AIを活用した機能強化により顧客体験を継続的に進化させています。

第2に、新プロダクトによる成長です。既存顧客へのクロスセルを見据えた製品やサービスのラインナップを拡充すると同時に、新規プロダクト創出のためにR&D(研究開発)や投資を加速し、新たな収益源の開拓を図ります。

第3に、非連続な成長を支えるM&Aです。シナジーが見込める企業を対象に、今後3年間で3社を目安として戦略的な買収を進め、事業ポートフォリオを強化します。

これまでの強みを活かした既存事業の成長に加え、新プロダクトによる成長やM&Aによる非連続的な成長を組み合わせることで、中長期的に売上高100億円の実現を目指していきます。

Nulabの成長戦略

当社の既存事業における売上高と利益のイメージです。当社の課題として、現在は成長が鈍化傾向にあります。この状況を受け、株主のみなさまの中には、今後の成長に対して不安を感じている方もおられるかもしれません。

このトレンドを打破し、本来の20パーセント成長トレンドへ回帰するため、今年度はそのための投資を積極的に行う「種まきの1年」と位置づけています。

変化の早い市場において、常に競争力を維持し優位性を確立していくには、未来の収益基盤の強化が欠かせません。

私たちは、売上高成長率をさらに高め、CAGR20パーセントの成長トレンドに回帰させることが企業価値の向上に直結すると強く信じています。そのため、一時的に利益が押し下げられる場合があっても、必要な施策を断固として実行する必要があると考えています。

具体的には、AIを活用した機能拡充によって製品の魅力を高め、これまで製品主導のPLG(プロダクトレッドグロース)で成長してきたマーケティングに加え、セールスを取り入れたハイブリッドな体制でトップラインを伸ばしていきます。

これらの施策は、一時的に利益を押し下げる可能性がありますが、将来的には新たな収益源となり、より強固な事業基盤を築くものです。投資が利益に先行するため、今期は一時的に減益となる見込みですが、2028年までに利益水準を回復させ、継続的に過去最高益を更新し続ける体制への変革を目指します。

ビジネスの成長に伴い拡大する広大なTAM

「Backlog」を含むヌーラボのサービス全体に関するTAMについてご説明します。

ヌーラボのサービスは、あらゆるオフィスワーカーのワークフローを一貫してサポートすることを目指しています。このようなツール群が属するコラボレーションツール市場は、2026年には世界で638億ドル、2029年には日本市場で27億ドルに成長すると予測されています。

現在、ヌーラボは「Backlog」や「Nulab Pass」を通じて日本市場でのマネタイズを強化していますが、日本市場だけを見ても成長余地はまだ多いと考えています。対象ユーザーとして、世界規模では労働人口約36億人の半分程度、日本の労働人口6,900万人に対して、どのようにアプローチできるかを検討しています。

ユーザー数に左右されない料金体系が特徴の「Backlog」をコアプロダクトとして多くの企業や団体に利用していただき、さらに他のヌーラボサービスやオプションを広く活用していただくことで、成長の可能性を秘めています。

P/Lサマリー

2026年3月期第2四半期の業績およびKPIの推移についてお話しします。結論からお伝えすると、上半期は売上高においてトップラインの成長に課題を残しましたが、利益面では通期計画に対して高い進捗率を確保した半年間でした。

P/Lサマリーの左側をご覧ください。第2四半期は売上高が10億8,700万円で、前期比6.5パーセントの増加となりました。営業利益は1億1,000万円となりました。以下の詳細は記載のとおりです。

上半期の売上高は21億5,300万円で、前期比6.7パーセントの増収となりました。ただし、この6.7パーセントという数字は、私たちが長期目標として掲げるCAGR20パーセントの水準と比較すると、決して満足のいくものではありません。SaaSビジネスにおいてトップラインの成長は最も重要であり、ここには既存事業の成熟化に伴って新規顧客獲得が難しくなっているという課題が表れています。

今期はセールス人員を増やし、大企業向けの高額プラン獲得に注力しています。しかし、クロージングまでのリードタイムが長く、収益に反映されるまで時間がかかっていることが一因となっています。

一方、利益面をご覧ください。営業利益は2億2,900万円で着地しました。前期比では減益となりましたが、これは昨年度との比較によるものです。当期初の通期計画である3億円に対しては、すでに上半期だけで約76パーセントの進捗を達成しています。

今期は40名の採用を計画し、進捗は良好に推移しました。その中でリファラル採用が進んだことで採用費を抑制できました。また、後ほどお伝えするAIに関する製品開発が進展し、ソフトウェアの資産化が進んだ結果、利益は計画を大きく上回る水準で着地しました。

今後は広告宣伝費の増加により、上半期ほどの利益水準にはならない見込みですが、通期では上方修正基準に達しない範囲での利益上振れを見込んでいます。

コスト構造(全社)2026年3月期 第2四半期

第2四半期のコスト構造です。コスト構造は、労務費を含む人件費、通信費、広告宣伝費が大きな割合を占めています。採用の増加に伴い人件費の割合が増加しましたが、先ほどお伝えしたとおり、AIに関する製品開発が進み、ソフトウェア資産化が進んだ結果、売上総利益を上振れさせる要因となっています。

Backlogの主要KPI

「Backlog」の主要なKPIについてです。左側に記載されている有料契約件数は、9月末時点で1万5,231件となり、1万5,000件を突破しました。

右側に記載した有料ユーザー数は約143万人となりました。3月末と比べて2万人減少しているのは、利用規約に違反したユーザーを排除したことが一因です。

「Backlog」の料金体系はユーザー数無制限のため、有料ユーザー数の増加がトップラインの成長に直結するわけではありませんが、「Backlog」のユーザー増加は将来のリファラルにつながると考えており、これからも大切にしていきたいと思います。

また、レベニューベースの解約率は0.42パーセントと低水準で推移しています。

Nulab Pass提供開始後の進捗

「Nulab Pass」の状況ですが、好調が続いています。「Backlog」新規導入顧客に対するセールスチームの提案活動などにより、引き続きライセンス数を順調に伸ばしており、9月末時点で前四半期より9,000ライセンス増加し、8万7,000ライセンスを突破しています。

ヌーラボのAI戦略の構想について

重要なトピックスとして、ヌーラボのAI戦略構想についてお話しします。私たちは現在、「Nulab AI エージェント」という新たな構想を推進しています。

これは、当社プロダクトに蓄積された膨大な業務データをAIが分析し、タスクを円滑に完了させる状態、いわば「キチンとシゴトが終わる世界」の実現を目指すものです。

「Nulab AI エージェント」は、「Backlog」や「Cacoo」に集約されたコミュニケーション、および実務データの蓄積によって機能します。

単なる自動化にとどまらず、AIが「この業務にはこのマイルストーンと、課題設定が最適です」といった提案を行い、チーム内のスキルやリソース状況を分析して最適な人員配置をレコメンドする未来を描いています。

これまでプロジェクトマネージャーが担っていた役割を、AIが信頼できる同僚としてサポートすることが、私たちの目指す姿です。

この目標を実現するために、「Backlog」単体で完結させるのではなく、他社の基幹システムや外部チャットツールとも柔軟に連携できる環境を整備し、より精度の高いレコメンドの実現を目指します。

この構想に向けた具体的な布石として、2026年初頭のリリースを予定しているのが、「Backlog AI アシスタント」です。

Backlog AI アシスタント:運用フェーズを支援するAI機能

「Backlog AI アシスタント」は、チャット形式で自然に会話しながらAIのチーム貢献を実感できる機能です。多くの企業が抱える、情報の散在による進捗の不透明さ、報告業務の負担、メンバーへの進捗確認のしづらさといった課題を解決します。

スライドの右側をご覧ください。具体的には4つの主要機能を実装予定です。

1つ目は情報の整理です。分散した情報を文脈に沿って紐付け、プロジェクト全体を可視化します。また、背景や目的も学習し、共有を円滑にします。

2つ目はレポートや資料の自動生成です。進捗状況を分析し、日報や仕様書などを目的に合わせた書式で自動作成することで、負担を大幅に削減します。

3つ目は会話ベースの実務サポートです。「進捗どう?」などの自然言語の質問に対して即座に状況を回答し、次のアクションを提案します。

4つ目はリスク検知です。過去の傾向から遅延リスクを予知し、早期対応を促すことでプロジェクトの停滞を防ぎます。本機能は2025年4月に構想を開始し、わずか3ヶ月でベータ版をリリースしました。

すでに100社以上のモニター企業にご利用いただいており、「質問の7から8割で的確な回答が得られた」「資料作成時間が半減した」など具体的な成果が報告されています。来年初頭の本リリースにご期待ください。

AI バックログスイーパー:起票フェーズを支援するAI機能

もう1つの新機能が、株式会社ABEJAと共同開発した「AI バックログスイーパー」です。「バックログスイーパー」とは、組織やチーム内で未処理の作業や停滞しているプロジェクト、抜け落ちたタスクを整理しながら、チームの仕事を前に進める役割を担う人を指します。この役割をAIで実現するのが本機能です。

コンセプトは「話すだけでプロジェクトが進む世界」であり、会議の内容を自動で議事録化し、そこからタスクを自動生成・整理する仕組みです。

特徴的なのは、単なる文字起こしではない点です。会議中の会話から「これは既存タスクに関連する」「これは新規タスクだ」などの判断をAIが行い、「Backlog」へ反映させます。

Slackなどのチャットツールとも連携し、「終わりました」と発言するだけで完了処理が行われるなど、会話を起点にプロジェクトが動く仕組みを実現しています。また、新規プロジェクト補完機能により、実現したい内容を入力するだけで、過去の類似プロジェクトの成功事例を参照し、最適なタスク構成や進行計画を提案します。

現在、特定のメンバーのレビュー傾向を学習・再現する研究も進めています。「AI バックログスイーパー」は、「タスク整理や進捗報告に追われるのではなく、現場とかかわりながらメンバーと対話し、本質的なマネジメントに集中したい」といった思いをかたちにするためのツールです。

「Backlog AI アシスタント」と「AI バックログスイーパー」の比較表

「Backlog AI アシスタント」と「AI バックログスイーパー」には機能に違いはありますが、記載のとおりチームの時間と心に余裕を取り戻し、人が本来向かうべき創造的な仕事に集中できるよう支援するテクノロジーです。

AIをチームの一員として迎えることで、これまで個人で行っていた仕事がチームで共有され、仕事自体の価値が創造されていきます。ヌーラボが目指すのは、AIと人がともに働きながら、チームの創造性を引き出す世界です。

AIが働く人に寄り添い、タスク管理のパートナーとなることで、従来の仕事の未来は、より温かく、豊かになると信じています。このような希望を込めて、私たちはこれからもプロダクトを進化させていきます。

私からのご説明は以上です。最後までご清聴いただき、ありがとうございました。

質疑応答:今後の利益と成長バランスについて

「第2四半期までの業績の動向に関しておうかがいします。既存事業のみでの売上目標70億円、CAGR20パーセントに対し、売上実績は前期比プラス6.5パーセントである一方、営業利益は前期比マイナス43パーセ

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