丸藤シートパイル、中間期は増収増益で着地 特殊品分野への営業活動・拡販活動強化と受注工事の確保が業績に寄与
会社概要

羽生成夫氏:丸藤シートパイル株式会社代表取締役社長の羽生です。本日は、当社の事業内容のご紹介と2026年3月期中間決算の業績と次期の見通し、今後の取り組みなどについてご説明します。
当社は1926年の創業以来、重仮設リースのパイオニア企業として建築、土木事業での地盤・地下の基礎工事に欠かせない建設工事用の重仮設資材の販売、賃貸、製品の加工ならびに土木建築の基礎工事の設計施工の請負業務を行っています。
「地下エンジニアリング」企業として、国土の発展と社会資本の整備に貢献するという基本理念のもとに地下工事を支え、社会に貢献していきます。
当社は北海道から大阪までのエリアに事業拠点を構え、本店、6支店、11営業所、10工場で事業展開しています。
当社の従業員数は2025年9月30日現在で399名です。
事業内容

当社は創業以来、重仮設業のパイオニア企業として、社会資本形成への貢献を理念に掲げ、建材リース業として国土の発展と社会資本の整備の地下仮設工事に総合的に携わってきました。
土木分野では河川・ダム、砂防・治山治水、海岸等の整備、交通(道路、鉄道、空港、港湾等)関連、エネルギー(各種発電所)関連の建設、老朽化したインフラ設備(道路、鉄道、上下水道、治山治水等)の維持更新、大規模自然災害の復旧工事に携わっています。
建築分野では、都市圏の再開発事業、地下の基礎工事を必要とする建物の建築などに携わっています。
まもなく100周年を迎えるにあたり、「コア事業の強化と次の100年の創造」を掲げ、「経営は堅実、仕事は誠実」の企業精神を引継ぎ、新たな事業領域へチャレンジし、お客さまの課題に応えながら、積極的に取り組んでいきます。
決算サマリー(中間期)

2026年3月期中間決算のサマリーについてご説明します。当中間連結会計期間において、売上高は、前年同期比11.1パーセント増収の185億8,000万円となりました。経常利益は、前年同期比29.0パーセント増益の11億1,000万円となりました。
増収の要因としては、建設現場の要望に沿った特殊品分野への営業活動と拡販活動を強化し、特に工事受注に注力したことによります。増益の要因としては、採算性を重視した営業活動と建設コスト高に対応した価格改善とコスト削減を継続したことが寄与しています。
損益計算書(P/L)

損益計算書についてご説明します。売上高は、民間の設備投資の底堅い建設需要が継続されている環境の下、第1四半期と第2四半期ともに順調に推移してきました。営業外収益の主な内訳は、賃貸等不動産の地代家賃収益と主要な工場に設置している太陽光発電の売電収益となります。
売上高・経常利益の推移

売上高・経常利益の推移についてご説明します。民間設備投資プロジェクトの需要が底堅く推移したことから、売上高・経常利益は直近3か年の前年同期比でも順調に増収・増益で推移してきています。
売上高の増減要因

売上高の増減要因を項目別にご説明します。当社の売上高は、建設資材の販売及び賃貸、資材の提供に付随した工事、運送、製品の加工で構成されています。
販売収入は、現場の状況に応じて資材の販売を行っていますが、採算性を重視し、前期より販売を抑制しながらも7.5パーセントの増収となりました。
次に賃貸収入は、量的には建設資材の現場への賃貸での提供をメインとしています。価格改善に取り組んだ結果、13.9パーセントの増収となりました。
工事収入はグループ会社との連携で工事受注に注力した結果、15.8パーセントの増収となりました。そのほか、運送収入、加工収入においても価格改善に取り組み、増収となりました。
キャッシュ・フロー

キャッシュ・フロー計算書についてご説明します。2025年9月末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末に比べ5億200万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの増減の要因をご説明します。
営業キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益及び売上債権の回収促進などによりプラスとなりました。
投資キャッシュ・フローの主な支出は、工事の収益力強化に向けた工事用機械の投資と工場の設備投資による支出となります。
財務キャッシュ・フローの主な支出は、配当金の支払いによる支出となります。
2025年4月から9月末までの期間では、営業キャッシュ・フローで得た資金で設備投資の支払いと株主への配当を実施した流れとなりました。
貸借対照表(B/S)

貸借対照表についてご説明します。2025年9月末の総資産の残高は、前年度末より1,300万円減少した439億5,600万円となりました。
資産の部の流動資産の減少のうち、建設資材では減価償却費に相当する減耗費の進捗による減少が主な要因となりました。有形固定資産は、工事用機械の購入と工場の整備能力・生産性向上のための設備投資により増加となりました。
負債の部の流動負債の減少は、主に仕入債務が減少したことによるものです。固定負債の増加は、主に繰延税金負債の増加によるものです。純資産の部の利益剰余金の増加は、親会社株主に帰属する当期純利益によるものです。この結果、現金及び預金は営業キャッシュ・フローの増加などにより5億200万円増加しました。
事業環境

事業環境についてご説明します。当社グループが属する国内の建設市場は、都市部の再開発事業プロジェクトやインフラ整備を中心とした民間の設備投資が堅調に推移しており、中長期的に公共事業投資も底堅い推移が見込まれます。
一方で、原材料価格の高止まりや労務費の高騰、建設業従事者の高齢化、人手不足による労務需給の逼迫及び建設業界への時間外労働の上限規制適用により、さらなる建設コストの上昇及び工事の見直しや遅延等の発生が懸念され、採算面での影響を注視する必要があります。
業績予想

業績予想の見通しについてご説明します。当社が属する建設業界は、先ほどの事業環境でご説明したとおり、採算面での厳しさが一層増すものと予想されます。
このような環境が予測される中で、当社は、業績予想については期首に発表したとおりで変更していません。売上高では2.9パーセントの増収、営業利益1.3パーセント、経常利益1.1パーセントの増益の達成に向けて採算性を重視した営業活動及び拡販活動に取り組んでいきます。親会社株主に帰属する当期純利益8.1パーセントの減益の予想に関しては、前期に特別利益で計上した投資有価証券売却益8,900万円の反動によるものです。
当社は、中期経営計画で掲げた「コア事業の基盤強化と次の100年の創造」に向けた「事業環境の強靭化」と「経営力強化」を目的とした設備投資・人的資本投資の取り組みを加速させながら、引き続き採算性を重視した受注の強化と収益拡大に注力していきます。
全社的な取り組み

全社的な取り組みについてご説明します。
当社は、2024年にスタートした中期経営計画(2024-2026年度)に掲げた、重仮設資材の販売・賃貸及び技術・工事・加工を提供するコア事業の基盤強化と収益構造の変革と強靭化に向けて取り組んでいます。建設業界のニーズに応える重仮設資材の提供に重心を置きつつ、現場の潜在需要を見定めた新工種の提案、加工案件の受注拡大を図っていきます。
また、整備能力・生産性の向上を図るため、工場設備への積極的な投資を進め、建設資材の保有量を適切に維持・管理し資産の効率性を高めていきます。加えて、技術力強化・業務プロセス改革のためのIT関連投資を進め、成長へつなげていきます。
経営力を強化するためには、当社の成長・変革を担う人材の確保・育成が必要となります。人的資本への投資を増やし、社内研修制度をさらに充実させ、社員一人ひとりが能力を向上させ、成長に向かうことができる「魅力ある企業」と「人を大切にして人を育て」の企業理念の実現に向けて多様な強い人材「個」が活躍できる企業を目指していきます。
定量的目標については最終年度の2027年3月期に売上高400億円、経常利益20億円を掲げました。前年度の2025年3月期は、売上高は最終目標の89パーセントの進捗、経常利益は104パーセントの進捗となりました。引き続き、中期経営計画で掲げた「事業構造の変革」「成長」「経営力」の3本柱を戦略的に展開し、経営基盤を強化し計画を進めていきます。
現在の取り組み状況のうち、受注工事・仮設橋梁分野の強化についてご説明します。受注工事の強化では、地域や現場特性を踏まえた基礎工事の工種・工法を現場に提供・強化しています。当社の基礎工事は、都市部再開発プロジェクトや港湾、河川工事、老朽インフラの更新などで貢献しています。主な工法のうち、ARハンマー工法、ジャイロプレス工法、TRD工法、鋼管杭施工などの強化に取り組んでいます。
また、環境負荷低減、建設コスト削減・工期短縮に寄与するRG工法を展開しています。関東圏では受注実績を重ねており、現在、中部・関西圏の建設現場への受注実績拡大に取り組んでいます。
当社では仮設橋梁の受注力強化にも取り組んでいます。国内に約73万橋ほどある橋梁のうち建設後50年を経過した割合が2032年度には約59パーセント急増し、老朽化に伴う維持・更新が進むことが予想されます。
現在でも大規模自然災害などで損傷した橋梁の復旧作業が進められている地域があります。当社はそのような地域の支援に対応していくために、社内の人的リソースの最適化を推進し、受注情報の一元化、災害が発生した地域の需要に対応した連携体制を構築し、全国的な対応力と機動性の向上を実現させ、当社の仮設橋梁が災害復旧支援活動に貢献していけるように取り組んでいきます。
工場機械化の推進

建設資材は、建設現場での使用が終了した後、当社工場へ返却されます。工場では現場で付着した泥土などの洗浄・整備を行います。現在、当社の生産拠点である工場は人手不足と高齢化に考慮し、資材整備のオートメーション化などの効率化を図っています。
敷鉄板付着物除去用機械は、建設現場で取り付けられた金属加工物などの付着物を、火力を使用しないで除去が可能となる機械です。この機械を導入することで、作業者への安全性向上、効率性、負担軽減が期待されます。現在、一部の工場で導入していますが、今後、他の工場への導入も視野に入れ、シナジー効果を検証しています。
当社は茨城工場に新たに建屋を新設し、1日当たり100体の覆工板の洗浄及び塗装、乾燥までを自動的に行う整備ラインを導入する計画を進めています。従来比で作業時間を30パーセント削減し、品質と安全性の両立を実現していきます。2025年12月からの稼働を予定しています。写真は9月に完成した新築建屋の外観の様子となります。
人的資本投資〜人材採用活動 広報活動〜

当社は、人的資本投資の強化に注力しています。当社の中長期ビジョンの1つにある「多様な強い人材『個』が活躍できる企業」の実現を目指していきます。現在、展開している採用活動と広報活動の一部をご紹介します。
大学の学食トレイ広告による企業PRでは、複数の大学の学食トレイに当社のPR広告を掲載し、就職活動を行っている大学生のインターンシップの申込拡大を図る活動に取り組んでいます。その様子を写真でご紹介しています。
また、動画配信では、当社の認知度を高める一環としてPR動画を製作し、「YouTube」及び動画配信サービスで公開、展開しています。
当社の認知度を高める一環として、2025年10月から1年間、都営地下鉄の浅草線、大江戸線、新宿線、三田線の4路線で、電車内のつり革広告を掲出しています。写真はつり革広告のご紹介です。
人的資本投資〜RS(譲渡制限付株式)制度の導入と本店・東京支店移転統合計画〜

当社従業員に対してRS(譲渡制限付株式)を付与する制度を導入しました。優秀な人材の確保と従業員のエンゲージメント向上を図るための人的資本投資の一環として導入します。
現在、当社本店と東京支店は約300メートル離れたオフィスビルでそれぞれ事業活動を行っています。両ビルに在籍する社員数とオフィスの規模及び機能の最適化を検討した結果、分散している拠点を統合することとしました。社員が1つのビルに集合することで、意思決定の迅速化、経営効率・業務効率の向上と、社員の働きがいとコミュケーションを促進し、職場の一体感の醸成を図り、さらなる成長と企業価値向上につなげていきます。
移転予定先は、現在、本店と東京支店の中間地点に建設中のオフィスビルです。2027年3月に移転を予定しています。写真は完成イメージのビルの外観とビル内のフロアのイメージです。
配当金の推移

配当についてご説明します。2025年3月期は業績等を勘案し、当初予定から20円増配の一株当たり130円としました。今後も、競争力強化のための保有資材の充実、設備増強、新工法・新技術の導入、新規事業への投資等を実施し、持続可能な利益を創出しながら、株主のみなさまへの利益還元に努めていきます。
次期の配当予想については、事業予想で売上高は増収、営業利益、経常利益は増益、当期利益は減益を見込んでいることから、前期に増配した一株当たり130円の維持とします。
株主のみなさまには、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
山留・重仮設事業とは?

簡単ではありますが、当社の事業内容についてご紹介します。当社が取り扱う重仮設資材には、鋼矢板、H型鋼材、鋼製山留材、覆工板、鋼板などがあります。これらの資材は、建物建築物の基礎や、港湾、河川工事、護岸・岸壁等の壁材などに使用され、工事の基礎が完成した後は、当社工場へ返却され、工場で整備し、次の現場で反復利用「リサイクル」「リユース」する、環境に優しい事業モデルとなっています。
一例として、建物の建築をご紹介します。建物の建築では、地下部分の基礎作りが必要となります。基礎作りには、土を掘り起こす掘削の作業を行い、掘削しながら土砂崩れや崩壊、地下水の噴出を留めるために当社が取り扱う山留材などで土留めを行います。作業工程が進捗し、基礎が出来上がれば、山留材などの資材を引き抜き、当社工場へ返却します。工場では再利用に向けて整備し、次の現場に出庫する、といった流れを簡単な図でご紹介しました。
あらゆる現場で地下の基礎工事には必需品とされる重仮設資材

また、建物の建築以外でも、あらゆる現場で地下の基礎工事の必需品とされる重仮設資材は、例えば、大規模現場での桟橋構台として使用したり、河川の復旧作業では当社が取り扱うシステム橋梁「ランドクロス」などの仮設橋梁も活躍しています。
以上で、2026年3月期中間決算の概要と当社の取り組み及び事業のご紹介についてのご説明を終了します。今後も企業価値向上に向けて取り組んでいきます。
引き続き、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
新着ログ
「卸売業」のログ




