【QAあり】アズーム、駐車場サブリース事業の深掘りでオーガニック成長を加速 AI基盤「SYNAPSE」活用でストック収益の拡大へ
エグゼクティブサマリ

菅田洋司氏:代表取締役社長の菅田です。私から2025年9月期決算概要をご説明します。
まず、エグゼクティブサマリです。実績としては、外部に公表していた修正予想値をすべての項目で若干上回る結果となりました。
進行期である2026年9月期については、売上高を170億円、営業利益を31億5,000万円と予想しています。配当の方針については今回変更があり、1株当たり配当金を年間126円とし、後ほどご説明しますDOE(連結株主資本配当率)20パーセント以上の水準をしっかり維持するという方針へ変更しています。
また、前回の3ヶ年中期経営計画が終了し、2026年9月期より新たに5ヶ年の中期経営計画を策定しています。2030年9月期の目標としては、売上高500億円、営業利益125億円、ROE40パーセント、受託台数12万台以上を掲げており、非常に意欲的な計画となっています。これらを着実に実現するため、今期からの5ヶ年の挑戦が始まるという状況です。
前中期経営目標及び実績(FY2022-FY2025)

3ヶ年の前中期経営計画は、計画に対してすべての年度で若干上振れて着地しています。
前中期経営目標及び実績(FY2022-FY2025)

前中期経営計画最終年度である2025年9月期の月極駐車場受託台数については、3万台の計画に対して3万5,000台超で着地しました。
2026年9月期の位置づけと主なポイント

2026年9月期の営業利益は31億5,000万円を見込んでいます。この数値から、新中期経営計画において成長がやや鈍化したと思われるかもしれません。しかし、今期はオーガニックな成長を加速させる意図のもと、人員採用を大幅に強化しており、4月には新卒を含め大量採用を予定しています。これに加えて、オフィス面積が不足しているため、増床も行います。
進行期についてはコストが先行するかたちになりますが、5年間というスパンで見ると、その投資が上振れ要因となるシナリオを描いています。スライドには、成長投資のアクセルを踏まなかった場合の利益成長率と、アクセルを踏んだ場合の利益成長率を比較したものを示しています。アクセルを踏まない場合の営業利益CAGRは26パーセントですが、アクセルを踏んだ場合はCAGR37パーセントの達成を目指しています。
なお、当社のビジネスモデルはストック型のため、アクセルを踏んだとしても一過性の影響にはとどまらず、その後ストックとして利益に還元されていきます。そのため、前期比利益を減らしながら投資を行うという状況にはならないと考えています。
一方、スライド右側の人員増加率・1人当たり営業利益イメージでは、2026年9月期に人員増加率が25パーセントに達する見通しで、大幅に人員を追加する計画です。その後、人員増加率は徐々に緩やかになりつつも、中期経営計画期間中にストックが積み上がる予定です。
また、後ほど説明しますが、「SYNAPSE(シナプス)」というAIシステムの活用を進めることで、1人当たりの生産性を向上させ、最終年度の2030年9月期には1人当たり営業利益を1,500万円の水準まで引き上げる計画です。直近の2025年9月期の実績は570万円であり、約3倍の生産性向上を見込んでいます。
新中期経営計画(FY2026-FY2030)

スライドは新中期経営計画の目標指標です。これまでの成長をさらに加速させる計画となっています。
新中期経営計画(FY2026-FY2030)

受託台数に関する目標です。2030年9月期に12万台を目指しています。
当社の推計では、日本においてターゲットとする地域で、約60万台の空き駐車場があると考えています。この60万台の空き駐車場に対して12万台を獲得することは、TAM的な考え方でも非常に有望な市場であると認識しています。そのため、現状ではこの12万台をいかに早く確保するかに注力しています。
2025年9月期 決算のポイント

2025年9月期の決算のポイントです。遊休資産活用事業では、受託台数が3万5,000台を突破しました。稼働台数も順調に増加しており、稼働率は92.9パーセントで着地しました。「スマート空間予約」のシステム受託案件も非常に順調に推移しており、これらの粗利も収益に貢献しています。
また、増資により外形標準課税が適用され、租税公課が増加しました。一方で、所得に対する税率が減少したことで、実質的な税負担は前期比1.1ポイント減少しました。
ビジュアライゼーション事業については黒字で着地しており、ストック収益である生成AIを活用したレンダリングサービスが順調に積み上がりました。2026年9月期以降は、受注生産型のパース受託制作だけでなく、このような積み上がり型サービスの拡大によって順調に展開していく見込みです。
2025年9月期 業績概要

2025年9月期の業績概要です。売上高は134億円、営業利益は26億円、親会社株主に帰属する当期純利益は18億円となりました。非常に良い数字を残せたと考えています。
KPI推移【駐車場サブリースサービス】

KPIの推移です。引き続き受託台数を伸ばしつつ、稼働率を堅実に維持することに注力してきました。その結果、しっかり稼働できた1年だったと思います。
売上高推移【駐車場サブリースサービス】

売上高の推移です。基本的にはリーシング台数の積み上げにより増加していくモデルで、直近の第4四半期は33億8,600万円と順調に伸びています。
ARR推移【駐車場サブリースサービス】

ARRの推移です。第4四半期末時点で136億円あり、これはすでに確定している金額です。この状態で2026年9月期をスタートし、通期の170億円に向けて、引き続き積み上げていきたいと考えています。
駐車場紹介サービス売上高・問い合わせ件数推移

問い合わせ件数の推移です。2025年9月期の問い合わせ件数は40万件を超え、過去最高を記録しています。
この要因の1つは、前期期初に新設したマーケティング部門の取り組みです。当部門がリスティング広告や問い合わせ件数に関して積極的にコミットして動いた結果が、問い合わせ件数に反映されていると考えています。
KPI推移【月極駐車場賃料保証委託サービス 株式会社鉄壁】

子会社の鉄壁が展開している賃料保証委託サービスについてです。保証委託契約数は2万2,000件に達し、順調に積み上がっています。
QoQの売上高・営業利益率の推移

四半期ごとの売上高・営業利益率の推移です。第4四半期は、ショットの手数料売上があったことで営業利益率が一時的に上昇しています。中長期的には、営業利益率25パーセントを目指しています。
2025年9月期 セグメント別業績概要

セグメント別の業績概要はスライドのとおりです。
2025年9月期 営業利益増減要因[前年同期比]

営業利益の増減要因についてご説明します。主な要因としては、賃料収入が21億5,000万円積み上がったことに対し、駐車場オーナー等への支払賃料が15億9,000万円となりました。また、手数料収入が4億円超となったことで、プラスアルファで数字が乗っています。
基本的には、賃料収入から駐車場オーナー等への支払賃料を差し引いたものが積み上がりの金額となります。当社はここを常に成長させていく方針です。
2026年9月期 連結業績予想のポイント

進行期である2026年9月期の連結業績予想のポイントです。遊休資産活用事業では、営業体制の強化、本社エリアや既存の地方都市エリアの深掘りを含め、過去最大規模の受託台数・稼働台数の獲得を目指しています。
また、一部リリース済みですが、「SYNAPSE」という社内システムを活用してAIを推進することで、リーシング業務における1人当たりの生産性向上を図ります。さらに、「スマート空間予約」の個別カスタマイズニーズに基づくシステム受託開発案件の増加も見込んでいます。
ビジュアライゼーション事業に関しては、「MyRenderer(マイレンダラー)」の導入数を増やし、ストック収入増加を見込みます。また、ベトナムでのオフショア開発をさらに強化することで制作コストを削減し、利益の最大化を図るというコンセプトで進めています。
数字としては、売上高は前期比26パーセント増、営業利益は前期比21パーセント増、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比20パーセント増を予想しています。ここ3年間の当社の成長力からすると、この数字だけを見るとやや鈍化しているように見えますが、これは5ヶ年計画において、2026年9月期を投資フェーズと位置づけているためです。
2026年9月期 連結業績予想の概要

2026年9月期の連結業績予想の概要です。すべての項目で成長を見込んでいます。ただし、投資フェーズにあるため、営業利益については通常前期比40パーセント程度を目標としているところを、前期比20パーセント増の予想としており、やや物足りない数字となっています。
2026年9月期 連結業績予想の概要[営業利益増減要因]

スライドは、2026年9月期の増減要因です。
売上高の推移

5ヶ年の新中期経営計画では、売上高についてCAGR30パーセントという非常に強い成長を実現できると考えています。
営業利益の推移

営業利益はCAGR37パーセントという成長率を見込んでいます。これは、スケールを取ることによる規模の経済が確実に存在していること、さらにAI「SYNAPSE」の活用によって1人当たり生産性を向上させることで、営業利益率の向上にも寄与するという想定によるものです。
財政状態・ROEの推移

ROEの推移です。2025年9月期はプライム市場への市場変更に伴い増資を行ったため、純資産が積み上がり、ROEの水準が40パーセント台から30パーセント台に落ちています。しかしながら、今後は徐々に40パーセントを超える水準に戻ると想定しています。
配当予想について

配当予想です。DOEに関しては20パーセント以上の水準を維持する方針で、直近のROEが30パーセント程度となっていることから、配当性向は直近で70パーセント程度の水準になる予定です。ただし、ROEの改善が進むにつれて、配当性向も70パーセントから50パーセント程度まで徐々に引き下がる見込みです。
前中期経営計画(FY2023-FY2025)の振り返り[業績指標]

スライドは、前中期経営計画の振り返りです。
今後の方向性[振り返りと中期イメージ]

スライドは、今後の方向性についてです。
今後の方向性[安定的かつ高い成長性の実現]

当社は2025年の年明けより、社内のエンジニアから厳選したAI開発メンバーによるAIの活用を継続しています。
AI活用については、一度の開発ですべてが効率化するわけではなく、細かい局面ごとのAI活用を積み上げることで、徐々に改善していくイメージを持っています。2026年9月期を含め、今期末までに引き続き重点的に開発を進める方針で、開発が完了した部分から順次社内でローンチを進めている状況です。
今後の方向性[事業展開イメージ]

スライドは、今後の事業展開イメージです。
中期成長戦略[事業成長イメージ]

スライドは、中期成長戦略のイメージです。都市部には空き駐車場が圧倒的に存在しているという前提のもと、当社のメイン事業であるオーナーからの借り上げと転貸を行う駐車場サブリース事業をしっかりと深掘りし、受託ペースを向上させることに注力することを中期の成長戦略としています。
中期成長戦略 01|既存領域(サブリース)のストック拡大[成長ポテンシャル(TAM)]

TAMについてです。全国シェアはまだ1パーセント程度です。日本全国の機械式駐車場の附置義務による総台数は355万台とされており、そのうち約60万台が空き駐車場であると想定しています。そのため、2030年9月期の受託台数目標である12万台は、決して達成が難しい数字ではないと考えています。
ただし、これまでの成長ペースよりもかなり加速させる必要があるため、しっかりとアクセルを踏み、チャレンジしていきたいと考えています。
中期成長戦略 01|既存領域(サブリース)のストック拡大[プロジェクトSYNAPSE (シナプス)]

スライドは、「SYNAPSE」の概要です。
中期成長戦略 01|既存領域(サブリース)のストック拡大[プロジェクトSYNAPSE (シナプス)]

スライドは、当社のユーザーに対するリーシング営業の生産性を3倍に向上させることを目指したものです。契約に至るまでにはさまざまな業務がありますが、「SYNAPSE」を活用することで、それらの業務を一気に圧縮することができます。
現時点で業務が3分の1に削減されているわけではありませんが、2026年9月期末の段階では、リーシング業務に限れば3分の1、他の業務も含めるとおおむね半分程度まで圧縮することを目標に掲げ、生産性を倍増させることを1つのターゲットにしています。
中期成長戦略 01|既存領域(サブリース)のストック拡大[プロジェクトSYNAPSE (シナプス)]

スライドのように、当社担当者は多くの顧客対応を担当しています。そのため、1人の担当者がすべてを対応するのではなく、AIが人間に寄り添ってサポートし、提案などもAIが作成します。その上で、担当者がそれを承認するというかたちで自動化を進めています。このように運用することで、かなり効率化が図れるのではないかと考えています。
中期成長戦略 01|既存領域(サブリース)のストック拡大[プロジェクトSYNAPSE (シナプス)]

当社は創業以来、非常に多くのデータを保持しており、それをAIによって最適化することで、より高度な分析と意思決定のサポートが可能になると考えています。今はまだ開発から1年も経っていない段階ですが、今後の1年で、本当に実務に役立つAIをしっかりと作り込んでいこうと考えています。
中期成長戦略 01|既存領域(サブリース)のストック拡大[プロジェクトSYNAPSE (シナプス)]

スライドは、AIの活用及び人員強化による受託台数増加ペースの加速を示しています。受託の分野においては、やはり人が営業を行うことが基本となっています。オーナーと相対で交渉して借り上げるという仕組みのため、営業人員を増やすことが受託台数増加のペースにそのまま直結すると考えています。
そのため、駐車場リーシング営業部門の営業人員については、生産性を効率化することで余剰となった人員をオーナー向けの営業部門に配置し直し、受託台数を加速度的に増やしていく戦略を考えています。
以降のスライドについては、これまでにご案内している内容と同じです。ただし、新たな5ヶ年計画の策定とAIの活用は更新しています。
私からの決算説明は以上です。
質疑応答:利益成長ペースを高め、シェア拡大を急ぐ理由について
「中期経営計画についてです。従来以上に利益成長ペースを高め、シェア拡大を急ぐ理由と背景を教えてください」というご質問です。
当社の推計では空き駐車場が60万台あると見込んでおり、これを早めに取り切っていくことが根本にあります。一方、受託の中にはリプレイスによる受託も含まれています。他社からのリプレイスもありますが、利益率だけを見ると、他社よりも高い保証賃料を設定する必要があるため、率としては下がってしまいます。
このような観点から、まだ誰も取得していない物件を、当社が最初に取得することが利益率の観点でも有利だと考えています。先行優位性があり、スイッチングコストが高いためリプレイスが難しい商材であることからも、最初に取得するほうが当社にとって利益率の面で有利になると判断しています。
質疑応答:中期経営計画における生産性向上の根拠について
「中期経営計画の生産性向上について、3倍という刺激的な数字に驚いています。『SYNAPSE』の利用によって実現できるとのことですが、根拠となる数値や実績があれば知りたいです」というご質問です。
生産性向上3倍としていますが、これはリーシング業務だけを切り出すと3倍が可能という意味です。一つひとつの業務時間をしっかりと確認した上で、AIによってどれくらい短縮できるのかを積み上げた結果として出した数字になります。
営業業務は顧客対応やリーシング業務以外もあるため、全体的に見ると、おおむね2倍程度の生産性向上を最終的なゴールとして目指しています。
質疑応答:受託台数目標達成に向けた空き駐車場の立地について
「従来とのジャンプがないかの確認です。60万台の空き駐車場の立地について、首都圏と都市部の割合を知りたいです。また、中期経営計画目標である受託台数12万台以上は、どの立地で獲得するのでしょうか?」というご質問です。
60万台の空き駐車場のうち、大部分となる約40万台から50万台は、現在当社が営業展開しているエリアに集中しています。また、東京だけでも約100万台以上の附置義務駐車施設があります。
すなわち、東京だけでシェアを獲得しても12万台を超える余地があります。そのため、全国の都市部で展開し、しっかりと12万台という目標を達成していきたいと考えています。
質疑応答:中期経営計画におけるAIによる生産性向上割合について
「AIで生産性向上3倍を目指すとのことですが、中期経営計画では、AIによる生産性向上をどの程度織り込んでいるでしょうか? AIによる生産性向上を実現できている会社は、現時点ではほとんどないと思いますが、自信を持って言える割合を教えてください」というご質問です。
中期経営計画では、最終年度である2030年9月期に営業利益率25パーセントを目標に掲げています。この数値にはスケールメリットによる利益率を見込んでおり、AIによる生産性向上がダイレクトに効果を発揮すれば、営業利益率30パーセントの水準が視野に入ると考えています。
したがって、AIにすべてを賭けている、すなわち計画全体がAI頼みというわけではありません。ただし、AIがしっかり機能すれば、中期経営計画目標である営業利益125億円を上振れて着地するとお考えいただければと思います。
質疑応答:受託台数目標達成と営業部門人員数の関係について

「受託台数12万台以上の達成には、受託台数増加ペースを約2倍に引き上げる必要があると思いますが、スライドの営業部門人員数も2倍に増やすように見えるため、生産性はあまり上がらない印象を受けます」というご質問です。
ここは最終的に、当社営業人員が行うべき業務として残ると考えています。オーナーへの営業活動は、オーナーのもとを訪問し、提案書を一つひとつ丁寧に説明しながら信頼関係を築き、物件を受託するという側面があります。そのため、AIがどれだけ進化しても、このような人と人とのつながりの部分はしっかりと残すことが重要だと考えています。
その上で、これまで非常に労働集約的だったリーシング業務を効率化することにより、オーナーへの営業活動にしっかりと人員を投入していく方針です。
質疑応答:生産性向上目標値設定の背景について
「AIによる生産性向上を実現している会社は、現時点ではほとんどないと思いますが、自信を持って言える理由を教えてください」というご質問です。
約9ヶ月間にわたり検証を続けてきた結果、「これはいける」と判断し、生産性向上3倍という結論に至っています。また、AIのみならずシステムの改善や少ない工数で完結できる仕組みも導入しています。このため、「AIだけで生産性向上3倍を一気に目指す」というよりは「AIとシステム効率化の合わせ技で目指す」という考え方です。全体を通しては、おおよそ2倍の生産性向上を目指して進めています。
質疑応答:2026年9月期の先行投資額について

「2026年9月期の先行投資額はいくらですか?」というご質問です。
スライド中央のグラフをご参照ください。2026年9月期の先行投資額は、成長投資のアクセルを踏まない場合の営業利益である34億円と、営業利益予想31億5,000万円の差分である約2億5,000万円となります。これは主に、人材採用とオフィス増床に関連するものです。本来は34億円の営業利益が出る予定のところ、先行投資を行うことで31億5,000万円となっています。
質疑応答:駐車場の賃料動向と市場特性について
「賃料の動向について教えてください。オーナーに支払う賃料とユーザーの賃借料は、それぞれ年間どれくらいのペースで上昇していますか? また、今後の見通しも教えてください」というご質問です。
駐車場は比較的動きが速い商材だと考えています。例えば、現在のインフレ率は2パーセント程度ですが、オーナーへの支払いやユーザーへの賃料請求において、当社の感覚ではもう少し高い率で賃料自体が上がっているという感触があります。確実なことは言えないものの、肌感覚では年率で4パーセントから5パーセント上昇しているように感じます。
また、私自身、リーマン・ショックの時期にも駐車場マーケットを見ていましたが、賃料の下がり方も同様に早いものでした。そのような意味で、駐車場は先行指標となる側面を持っています。さらに、駐車場の契約・解約は通常の不動産に比べて簡単であるため、早い段階でそのような数字を織り込む性質があると考えています。
質疑応答:シェア拡大の戦略について
「中期経営計画目標である受託台数12万台以上という規模についておうかがいします。TAMと比較して小さいことは理解できましたが、規模を拡大させるには賃料目線を下げないといけないように思います。『生産性向上によって低賃料領域も収益性を確保できる』という考え方で攻勢をかけるのでしょうか?」というご質問です。
当社は、基本的に都心から攻めていこうと考えています。都心部でのシェア拡大余地はまだ十分にあると考えており、郊外に注力するのは都心を取り切った後になると考えています。そのため、現在は都心部でしっかりとシェアを取っていく方針です。
当然、一気にアクセルを踏むことで、規模拡大とともに物件単位の粗利率が若干下がる可能性もありますが、それについては販管費、特に人件費の効率化を進めることで対応します。最終的には粗利率が若干低下しても営業利益率を改善し、市場シェアを一気に拡大していく方針を掲げています。
質疑応答:受託台数目標の地域分配について
「中期経営計画の受託台数目標について、地域配分の計画を教えていただけますか?」というご質問です。
当社は16年間この事業を展開しており、それぞれのエリアで受託台数があります。基本的には東京を拠点とした受託が中心で、東京だけでおそらく半分以上の受託となっています。
一方で、郊外、つまり地方都市については、16年間の中であまり注力しきれていなかった部分がありました。これを踏まえ、今期は人員配置も含めて戦略的に地方都市の物件を受託していく方針です。
したがって、中期経営計画としては、これまでの地域比率と同様の分配になると見込んでいますが、当社としては地方都市をさらに強化するために人員配置を進めています。
質疑応答:受託台数の好調要因について
「2025年9月期第4四半期の月極駐車場受託台数は、前年同四半期比1,925台増と好調でしたが、通常受託と『Tomemiru(トメミル)』に分解して教えていただけますか? 通常受託が好調だった印象を受けますが、その場合、急増した背景を教えてください」というご質問です。
内訳は出していませんが、「Tomemiru」の規模は数百台であることから、通常受託の好調が要因です。
受託についてはしっかりとKPI、すなわち予算を設定しています。9月までの受託数値が各営業担当者の営業成績となるため、駆け込みによって例年期末に受託台数が伸びる傾向があります。
ちなみに、受託に関しては、季節性はそれほど強くなく、一年を通じて安定的な動きです。営業部門が期末に向けて駆け込みで受注を取ってくることが、第4四半期の受託好調の要因となっています。
質疑応答:リプレイスと新規受託の割合及び粗利率について
「シェアを取っていくところのうち、他社リプレイスと、まだ誰も手をつけていない新規受託の割合はどのくらいなのでしょうか? また、前者と後者の成約率は異なるのでしょうか?」というご質問です。
現在、受託している案件のおおよそ2割から3割がリプレイスで、残りが新規の受託となっています。
リプレイスの場合、もともと他社が保証賃料を設定していることが多いため、「それより高い賃料を出せますか?」といったかたちでリプレイスの案件が発生します。その場合、もともとの保証賃料より高い賃料を提示する必要があり、それによって物件単位の粗利率が通常の受託案件よりも高くなる傾向があります。
当社としては、手をつけていない新規の案件を積極的に獲得するほうが、利益率が非常に高くなると考えています。
質疑応答:競合他社について
「貴社にとって競合はどちらになりますか?」というご質問です。
以前からお話ししているとおり、日本駐車場開発や、未上場ですがパーキングマーケットなど、さまざまな企業が存在します。しかし、競合他社と比較しても、当社の受託は圧倒的なスピード感を持っています。そのため、他社と比較しても、当社の存在が一番ハードルの高いものになっていると考えています。
質疑応答:地方都市における営業効率について
「地方都市は人口が分散しているため、営業効率は若干下がるものなのでしょうか?」というご質問です。
地方都市の人口動態を見ると、例えば福岡のような地域では、今後も人口が増加するという前提です。しかし、地方と一言で言っても、その地域内の都市部と郊外では、人口に大きな格差が生じています。
当社がオフィスを出店しているエリアは都市中心部にしっかりと展開しており、営業効率をあまり下げることなく、地方でも業務を展開できています。ただし、マーケットのサイズ感に関しては、東京のように非常に大きな規模の市場がある地域もあれば、地方都市のように限られた市場規模の地域もあります。そのため、それぞれの市場規模に合わせて人員配置を調整し、効率よく受託業務を行うことが重要と考えています。
質疑応答:営業利益の成長見通しについて
「営業利益の成長率はほぼ一定ですので、営業効率が下がる規模はまだ先でしょうか?」というご質問です。
2026年9月期が投資フェーズに入っているため、営業利益の成長曲線はやや鈍化しています。しかし、マーケット自体にはまだ大きな余地があります。この投資フェーズを超えればさらにスケールメリットを享受でき、AIによる効率化も進むため、2030年9月期まで成長が鈍化することはないと考えています。
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