【QAあり】エスコン、売上高・営業利益ともに前年比2桁増、高額物件などが寄与 「長期ビジョン2030」ではアセット残高1兆円目指す
目次

伊藤貴俊氏(以下、伊藤):みなさま、こんにちは。株式会社エスコン代表取締役社長の伊藤です。本日はご多用の中、当社の第2四半期決算説明会にご出席、またご視聴いただき、誠にありがとうございます。それでは、2026年3月期第2四半期の決算説明会を開催します。
本日は、決算の概要、当社が現在推進しているプロジェクトのトピックス、中期経営計画、並びに「長期ビジョン2030」の進捗状況についてご説明します。
2026年3月期第2四半期 連結P/L

まず、決算概要についてご説明します。2026年3月期第2四半期の連結P/Lです。売上高は351億8,100万円、経常利益は23億8,000万円となりました。前年同期と比較すると、売上高、営業利益は増加しているものの、経常利益は減少しています。通期計画に関しては順調に進捗している状況です。
2026年3月期第2四半期 セグメント概況

セグメントの概況をご説明します。住宅分譲事業は、神奈川県三浦郡葉山町においてハイエンドレジデンス「DIAMAS葉山」の引渡しなどが寄与し、増収増益となりました。
不動産開発事業も計画どおりに進んでいます。不動産賃貸事業では、4月1日に三菱ケミカルの子会社である芝リアルエステートをM&Aしたことにより、賃貸収益などが増加し、増収増益という結果になりました。
2026年3月期第2四半期 セグメント別実績

住宅分譲事業の詳細をご説明します。2026年3月期第2四半期の売上高は184億900万円、セグメント利益は31億7,300万円です。非常に利益率の高いプロジェクトの引渡しが完了したことにより、前年同期比で大幅な増収増益となりました。
また、スライド下段に示しているとおり、今期の通期引渡し戸数は1,000戸を予定しています。第2四半期末時点ですでに816戸の契約を完了しており、足元の販売状況は堅調に推移しています。
2026年3月期第2四半期 セグメント別実績

物件の詳細についてご説明します。「DIAMAS葉山」は、神奈川県葉山町の森戸海岸の目の前に位置しています。非常に希少なロケーションを最大限活用し、高価格で早期完売を実現したプロジェクトです。
この物件は高さ制限12メートルのエリアにあり、4階建ての建設が可能ですが、天井高をしっかり確保するためにあえて3階建てとしています。床から天井まで広がるハイサッシを使用した、非常にハイスペックな商品を企画しました。
「こういった商品が欲しかった」という声をご購入いただいたお客さまからいただいています。当社のハイエンド向け商品のさらなる加速につながるプロジェクトとなったと認識しています。
スライド右側に掲載している円グラフは、エリア別の売上高を示しています。関東の首都圏および中部圏で、それぞれ30パーセントを超えています。九州は20.2パーセント、関西は16.4パーセントを占めており、4つのエリアでバランスの取れた収益構造となっています。
また、来年以降は北海道のプロジェクトの引渡しが予定されており、さらに5つの拠点でバランスの取れた分譲事業を展開できると考えています。
スライド下段には、今期中に引渡し予定の分譲マンションのラインナップを記載しています。「グラン レ・ジェイド三宿通り」は10戸の小規模プロジェクトですが、高額物件であり、早期完売を実現したプロジェクトです。
3月末には一番下に記載の「レ・ジェイドシティ千里藤白台センター/ウェストレジデンス(JV)」の引渡しを予定しています。総戸数398戸の大型プロジェクトで、販売は計画を上回る水準となっており、価格帯についてもお客さまから非常に高い評価をいただいています。早期販売だけでなく、より高い利益を確保する販売活動を3月末まで進めたいと考えています。
2026年3月期第2四半期 セグメント別実績

住宅分譲事業においては、第5次中期経営計画期間中の各期毎に1,000戸程度の供給を見込んでいます。前期は1,195戸の引渡しが実現しましたが、今期は1,000戸程度で、来年度も同様の水準を見込んでいます。
昨今、建設コストの上昇が当事業を進める上で大きな課題となっていますが、当社は従来より、量を供給するというよりも、質の高い商品を提供する方針を取ってきました。今後も安定した分譲住宅の供給を推進していきたいと考えています。
スライド右下の円グラフに、分譲マンションのストックエリア比率を示しています。すでに用地を取得済みのプロジェクトの売上高計画は約4,000億円に達しており、戸数では4,700戸を超えています。
供給エリアの分布は、関東圏が35.1パーセント、関西圏が26.3パーセント、中部が18.4パーセント、北海道が13.7パーセントとなっており、事業エリア全体で非常にバランスよく分譲事業のストックが図れていることがおわかりいただけるのではないかと考えています。以上が住宅分譲事業の実績報告です。
2026年3月期第2四半期 セグメント別実績

次に、不動産開発事業についてです。今期の売上高は62億3,600万円で、前年同期比で減収減益という結果となっています。
この上半期では、スライド下段に記載しているとおり、「コーナントナリエ大和高田店」の底地をエスコンジャパンリート投資法人に売却しています。また、ピカソグループ、芝リアルエステートの保有物件に関しても、複数案件の売却が一部実現し、このセグメントで約62億円の売上を計上しました。
2026年3月期第2四半期 セグメント別実績

不動産開発事業は、当社の多面的な開発力を強みとし、事業展開をさらに強化しているセグメントです。
今期は売却済み及び売却予定契約残高の合計が9月末時点で241億5,900万円となっており、直近の10月末時点では320億円程度の契約締結が完了しています。物流施設、賃貸レジデンスを下期に売却する計画です。
スライド下段の円グラフをご覧いただくと、不動産開発事業として現在約3,000億円の物件ストックが積み上がっていることがわかります。先ほどの住宅分譲事業とあわせて、7,000億円規模の仕入れが実現できており、来期以降の持続的な成長を実現するためのアセットとして、仕入れが堅調に推移していることがご確認いただけると思います。
このストックをアセットタイプ別に見ると、賃貸レジデンスが20.9パーセント、ホテルが19.6パーセント、オフィスが3.8パーセント、物流施設が4.4パーセント、商業施設が11.6パーセント、商業底地が36.9パーセントとなっています。
特に商業底地は、昨今の建設コストの上昇の影響をあまり受けない開発案件です。このあたりのバランスを取りながら付加価値を高め、テナントからの賃貸収益をさらに獲得できる価値ある商業開発を実現していきます。
ホテルに関しては、「エスコンフィールドHOKKAIDO」のネーミングライツ取得により向上した北海道での当社の知名度を活かして、ホテル開発、物流開発、オフィス開発を推進しています。以上が不動産開発事業の概要です。
2026年3月期第2四半期 セグメント別実績

次に、不動産賃貸事業です。上半期の売上高は88億8,100万円、セグメント利益は42億2,100万円で、前年同期比で増収増益となりました。セグメント利益率については、施設のバリューアップや賃料の賃上げ交渉、支出のコントロールを積み重ねた結果、2.4ポイントの改善を達成しています。
今期の3月末に、「エスコンフィールドHOKKAIDO」の最寄り駅であるJR北広島駅の「駅西口周辺エリア活性化事業」で複合交流拠点施設「トナリエ北広島(商業施設)+エスコンフィールドHOKKAIDOホテル 北広島駅前」が開業しています。1階から3階までは商業施設、4階から13階が158室のホテルとなっています。
ホテルについては、北海道日本ハムファイターズが好調な成績を収めたこともあり、計画を上回る宿泊者数を確保しました。想定していたADR(客室平均単価)を上回る結果となり、賃貸収益に貢献しています。
さらに、4月1日付で取得した芝リアルエステートの収益も不動産賃貸事業の増収増益に寄与しています。
2026年3月期第2四半期 セグメント別実績

不動産賃貸事業の詳細実績についてご説明します。第5次中期経営計画では、フロー型ビジネス中心の収益構造からの転換を図り、安定した賃貸収益を積み上げると同時に、当社が得意とするフロー型ビジネスを組み合わせることで、ハイブリッド型の収益を実現していくことを考えています。
安定した収益構造を構築しつつ高収益を確保する戦略が奏功し、スライド上段の資産状況に記載しているとおり、2021年に取得したピカソグループ、2023年に取得した四条大宮ビル、2025年に取得した芝リアルエステートの3社合計で約1,110億円の賃貸アセットを積み上げを実現しています。
稼働状況をスライド右側に記載しており、高い稼働率となっています。芝リアルエステートについては、今後当社が保有するかたちで稼働率をさらに高めていく予定であり、さらなるアップサイドが見込める状況です。
スライド下段には、賃貸事業子会社が保有する物件の主要エリア比率を示しています。ピカソグループは関西が中心で、四条大宮ビルも関西の京都を中心としていますが、今回芝リアルエステートの物件が組み入れられたことで、関東圏の比率が高まっています。
不動産賃貸事業では、各拠点のエリアバランスを考慮しながら、アセットの価値向上を目指したバリューアップを積極的に展開し、将来の収益につなげていきたいと考えています。
2026年3月期第2四半期 セグメント別実績

新中期経営計画から次なる中期経営計画に向けて、成長エンジンとして注力していきたいのが資産管理事業です。資産管理事業の売上高は上半期で9億5,200万円、セグメント利益は4億9,700万円と、前年同期比で増収増益となりました。
我々は、先ほどお伝えした不動産開発事業のストックである約3,000億円のアセットを外部売却するだけでなく、将来的には当社グループの上場REITであるエスコンジャパンリート投資法人で保有したり、私募ファンドの組成も視野に入れて展開していきたいと考えています。
当社が開発した案件をREITやファンドなどで保有し、AM報酬やPM報酬等を積み上げることで、賃貸収益に加えてさらなる資産管理事業収入を高めていけると考えています。
その他事業の売上高は上半期で7億200万円、セグメント利益は1億4,800万円となりました。特に海外事業では、ハワイのコンドミニアム分譲に資金を投下しており、そのリターンが再来期以降に貢献していきます。このように、足元で海外事業の強化を着実に進めていきたいと考えています。
2026年3月期第2四半期 連結B/S

B/Sのご報告です。前期末の資産総額は約4,590億円でしたが、現在は約4,810億円となり、さらに資産が積み上がっている状況です。投資は極めて堅調に推移しています。
スライド下段に、棚卸資産のアセットタイプ別内訳を記載しています。分譲が約1,000億円まで積み上がっており、加えて商業、賃貸レジデンスが主要なアセットタイプとなっています。ホテルも第2四半期で積み上がってきているところです。
2026年3月期第2四半期 連結B/S

負債の部です。物件の仕入れが増加しているため、借入金も増加しています。自己資本比率は15.7パーセントと、前期末と比較して1.5ポイント低下していますが、期末時点では17パーセントから18パーセントでの着地を想定して進めています。
日本格付研究所(JCR)による格付けについては、「A+(エープラス)ポジティブ」から「AA-(ダブルエーマイナス)安定的」へとワンノッチ上昇しています。不動産の堅調な仕入れと将来収益を確保することで、当社の持続的な成長基盤をさらに高めていきたいと考えています。
格付の向上及び第2回無担保社債発行

格付けの向上に加え、第2回の無担保社債発行を上半期に実現しました。今回は、第2回期限前償還条項付き無担保社債として、100億円を7月に調達しています。調達した資金をより有効に活用して収益を上積みしていき、成果を生み出していきたいと考えています。
投資計画進捗

投資計画の進捗についてです。第5次中期経営計画は、現在2年目に入っています。3年間のグロス投資額は、スライドの表の右から2列目に記載のとおり、2,500億円を計画しています。現在は3年間のうち1.5年目が完了し、今期26年3月期の単年度計画に対する進捗率は56.4パーセントと順調に推移しています。
下半期および来年を含め、厳選した物件の仕入れを積み上げていきながら、次なる第6次中期経営計画、さらには2030年に向けた収益基盤の構築を、より確実かつ強固な計画で進めていきたいと考えています。
業績計画

業績計画です。今期の営業利益は230億円を予定しており、来年度はさらに上積みして250億円の達成を目指して取り組んでいます。
前期末の決算発表時に、営業利益計画を中期経営計画から上方修正しました。従来、今期は200億円、再来期は220億円という目標でしたが、目標を上方修正し、収益ベースを高める状況にあります。確実に結果を出していきたいと考えています。
株主還元

株主還元政策です。「累進的配当政策」の継続を掲げ、減配しないことを株主のみなさまにコミットし、前期は1株当たり48円の配当を実現しました。今期も48円以上の配当を実現したいと考えています。
まちづくり事業の展開/北海道

トピックスです。ここからは、当社が現在取り組んでいる事業の内容とその進捗についてご説明します。
まず、まちづくり事業の展開についてです。我々が現在非常に注力している北海道北広島市のJR北広島駅「駅西口エリア活性化事業」により、「エスコンフィールドHOKKAIDO」を核としたまちづくりがさらに加速して進行しています。
2023年に球場が開場し、今年で3期目を迎えました。当社は駅前西口の再開発と、このエリアの活性化事業に取り組んでおり、まず駅前のロータリーを整備しました。ロータリーの至近には、商業施設「tonarie北広島」とその上層階に「エスコンフィールドHOKKAIDOホテル 北広島駅前」を開発し、本年開業しています。
さらには、スライド右上に記載しているとおり、B敷地の「レ・ジェイド北海道北広島」というプロジェクトがあります。
このプロジェクトでは、低層階に保育所やサービス付き施設が入る予定です。これらは駅からペデストリアンデッキを通じて、商業施設からマンションへとつながります。その右奥には北広公園が広がっており、総戸数197戸の分譲マンションはすでに完売しています。
駅前のさらなる活性化を目指し、北広島市と連携しながら、賑わいのさらなる創出を推進していきたいと考えています。
まちづくり事業の展開/長崎県

こちらは長崎県大村市のプロジェクトです。西九州新幹線の開通に伴い、JR新大村駅前のまちづくり事業に参画しています。
当社、大和ハウス工業、スーパーのイズミと共同でプロポーザル・コンペに参加し、駅前の開発事業はすべて開業しました。当社は「レ・ジェイド新大村ステーションフロント」「レ・ジェイド新大村パークサイド」という2棟の分譲マンションを開発し、総戸数191戸はすべて完売しています。
地域のみなさまからは、駅前の賑わいの創出や建物のデザイン性についても非常に高い評価をいただいています。
まちづくり事業の展開/愛知県等

愛知県での取り組みについてです。当社は中部電力の子会社として、中部エリアにおけるまちづくり事業や開発事業に注力しています。
大型案件として、愛知県刈谷市にあるデンソーの池田工場跡地、約3万1,000坪の開発用地を取得しました。現在、行政と協議を進めており、開発許可を取得した上で、複合的な商業施設の開発を実現したいと考えています。
さらに、愛知県豊田市のキユーピー挙母工場跡地は敷地面積が約1万2,000坪で、商業施設と共同住宅(マンション)の開発を予定しています。
また、大型プロジェクトである名古屋競馬場跡地開発事業については、敷地面積が約6万2,000坪あります。中部電力がグループの代表企業となり、当社は商業の開発および分譲マンションの分譲をメインに取り組む計画です。
これらの事業は将来、当社の収益につながる重要なプロジェクトです。今後は内容をさらにブラッシュアップし、価値を高めることで、周辺地域のみなさまに喜んでいただける開発に取り組んでいきたいと考えています。
スライド下段右側の、土地区画整理事業についてご説明します。現在、複数の案件が進行中です。準備組合が発足してから本組合が設立されるまでには、一般的に5年から7年かかります。
事業としては、大阪府堺市高倉台土地区画整理事業、大阪府茨木市彩都東部地区C区域土地区画整理事業、大阪府河内長野市上原高向区画整理事業、京都府木津東地区土地区画整理事業、大阪府枚方市高田地区土地区画整理事業、奈良県橿原市医大新キャンパス周辺地区まちづくり、愛知県瀬戸中水野駅周辺土地区画整理事業、愛知県弥富車新田地区土地区画整理事業があります。
これらの案件については、地権者のみなさまや行政と協議を重ねながら、このエリアに必要な区画整理事業の実現に向けてさまざまなかたちで連携を進めています。
グッドデザイン賞8年連続受賞

グッドデザイン賞を8年連続で受賞しました。今回は住宅ではなく、中部電力と共同で設立したレタスの屋内型人工水耕栽培工場「テクノファーム袋井」がグッドデザイン賞を受賞しました。働きやすい環境やデザイン性が評価され、今回の受賞に至っています。以上が、上半期のトピックスです。
経営目標

第5次中期経営計画における経営目標およびKPIについてご説明します。当社は前期より、積極的な物件の取得・開発や安定した賃貸不動産の積み上げを進め、いわゆるストック収益で販管費を賄うことを実現しています。
ストック収益による一般管理費のカバー率は約115パーセントで、高い安全性を確保しています。また、会社としての収益力や成長性を示すROEは、約14パーセント前後で推移する計画です。
このバランスを維持しながら、安定性と成長性を両立させた事業展開を今後も積み上げていきたいと考えています。
資本コストや株価を意識した経営

資本コストや株価を意識した経営についてです。先ほどお伝えしたROE14パーセントを1つの目安に設定しています。当社の過去10年間の資本コストは、約7.5パーセントです。資本を無駄にせず、収益性を堅持しながら、持続的な成長を今後も実現していきたいと考えています。
長期ビジョン2030 概要

最後に「長期ビジョン2030」の進捗状況についてです。まず、「長期ビジョン2030」の概況をご説明します。
現第5次中期経営計画を含め、「深化」と「進化」を目指すべき方向として進めています。取り組んできた事業をさらに深めて中身の高いものに変えていくために、「主力事業のさらなる成長」「収益構造のさらなる安定化」「中部電力グループとのシナジー効果発揮」「資本コストや株価を意識した経営」の実現を掲げています。
サステナビリティに関しては、「多様な人材の活用」「コンプライアンスの徹底」、さらには「グループ会社を含むガバナンス・リスク管理の強化」をさらに深化していきたいと考えています。
一方で、進化としては、「開発事業・ジャンルの多様化」「国内エリア拡大」「グローバル展開」「新規事業領域への挑戦」「新しいまちづくり・マネジメント」「DXの推進」を進めていきます。
サステナビリティにおいては、「脱炭素社会の推進」「ウェルビーイングな社会の実現」を掲げています。数字だけではなく、エスコンの品質・価値をより一層高め、進化させていきたい考えです。
2030年度の定量的な指標としては、経常利益300億円、不動産アセット1兆円を目指すことを掲げています。
業績推移

業績推移と「長期ビジョン2030」の計画についてご説明します。2026年3月期の着地予想は経常利益ベースで175億円を目標に掲げていますが、2030年にはこれを300億円に成長させていきたいと考えています。
不動産アセット1兆円の達成に関しては、エスコンのバランスシートで6,000億円、残りの4,000億円はREIT(エスコンジャパンリート)並びに私募ファンド、STOや不動産特定共同事業法を活用した小口化分譲などの事業も視野に入れて進めていきます。
バランスシートを活用する部分とオフバランスを活用する部分を合わせて経常利益300億円の達成を目指し、全社一丸となって取り組んでいく方針です。
以上が当社2026年3月期第2四半期の決算説明となります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:株価の評価について
質問者:丁寧なご説明をありがとうございます。リアル会場で参加するのはコロナ禍前以来です。久しぶりに直接声をお聞きできたことを感慨深く思いました。上場直後からの展開を拝見し、非常に順調に進んでいると考えています。事業の強みやバランスシートの特徴も変わっていないと思いました。
伊藤社長に、これまでの展開を踏まえた上で感覚的な部分についてお聞きします。不動産会社であるため、PERが特に低いわけではないのかもしれませんが、御社の業績展開に対する評価や期待値としての株価や時価総額という観点では、常に過小評価されている印象があります。
事業や今後の展開において、どのような点がさらに評価されるといいと考えていますか? 投資家など、外部の方々に理解してもらうのが難しいと感じている点についてもお聞かせください。
伊藤:「株価が過小評価されているのではないか」という点については、当社としては、IR活動を通じてみなさまにエスコンの中身をご理解いただき、将来的により期待していただけるよう強化していくことが重要だと考えています。
現在のマーケットの評価については、不動産開発会社全体として不動産価格の高騰が続いている中、建設コストが増加している状況を受けて、原価コントロールや利益の確保が今後難しくなるのではないかという見方があるように思います。
我々はデベロッパーとしてのフロー収益に加え、中部電力グループに入ったことで安定した賃貸収益を一定量持つことができるようになりました。私は今年で経営を担って15期目となりますが、さらに資産管理事業を強化していくことが重要だと考えています。
現状、REITのAUMは約700億円です。これを4,000億円から5,000億円規模へと積み上げ、資産管理収益を50億円から60億円へと拡大することで、投資家のみなさまからの評価も変わってくるのではないかと思います。
フローのビジネスと賃貸のビジネスのバランスがしっかり取れてきたあとは、投資家のみなさまからさらなる評価を得るためにも、資産管理事業の積み上げが非常に重要であると考えています。
質疑応答:海外事業の展開について
質問者:「中部電力グループだから、そんなことはやらないよ」というお答えになるかもしれませんが、個人的には御社の展開において、海外での強みとして、特に開発などの分野でも取り組みを進めると、どのような展開が見られるのかと以前から関心を持っています。
中長期的な展望の中では海外での開発に関する文言が見られませんし、中部電力グループということもあり、あまり期待していないのかもしれません。御社が持つ開発力を活かし、これまで取り組んでいない領域での可能性や余地について、どのように考えているのかをお聞かせください。
伊藤:現在、ハワイで大型コンドミニアムの分譲プロジェクトに出資しています。海外事業を成功させるには、地域ごとに有力な地元パートナーとの連携が重要だと考えています。
現時点ではロサンゼルスやタイのバンコクなど複数のプロジェクトをスタートしているため、その中でリレーションを築き、地元企業との連携を強化することが非常に重要です。特にハワイでは、優れたパートナーとプロジェクトが着実に進んでいます。
ハワイのプロジェクトに単に投資するだけではなく、日本の投資家や富裕層のみなさまに不動産を紹介する窓口としての役割も担っています。これらを通じて収益を積み上げ、「長期ビジョン2030」では全体の利益の約10パーセントを海外事業から創出することを目指して、経営を進めています。
質疑応答:ストック収益を取り入れていくタイミングについて
質問者:ストック的な要素も取り入れていく展開については、コロナ禍前から積極的に取り組んでもよかったのではないかという印象を持っています。現状の進み方になっていることについて、どのように認識していますか?
伊藤:不動産ビジネスは、売買を行えば売上や利益を高めることができ、一足飛びに収益を上げることは可能です。しかし、これを持続的に実現することが重要だと思っています。一過性の収益ではなく、持続的な収益を生み出していくことを目指して経営を行っています。その中で、中部電力グループに入ることができたことで、資産を保有できるようになりました。
賃貸収益資産を持ちすぎると、会社のバランスシートや体力、資金調達面で、フローの資金が回らなくなるリスクがあります。そのため、従来の独立系の不動産デベロッパーは、フロー型で一定の収益を稼ぐ必要が出てきます。
我々は、力をつけて安定した収益を生み出し、資産管理事業を積み上げていくというフェーズに入ってきていると思います。その点では、いわゆる大手デベロッパーとは、当然ながら会社の歴史が異なります。
我々が少しずつ歩みを積み上げることで、先ほどお話ししたROEの観点など、分母が積み上がってくると、その比率に応じて収益構造も成長していきます。
そのような意味では、現在新たなフェーズに入り、より力強い成長を実現するための第5次中期経営計画であり、「長期ビジョン2030」であると考えています。この計画を2030年に達成することで、会社のステージをさらに高めていけると考えています。
また、先ほどご質問いただいた株価についても、その目標にたどり着くことで、投資家のみなさまから評価をいただけるのではないかと考えています。そのため、しっかりと実績を積み上げていく経営を実践していきたいと思っています。
質疑応答:今後の人材採用・育成計画について
質問者:モノやカネの部分は着実で、ヒトの部分も増加ペースは順調だとお見受けしています。ただし、ヒトについては今後加速させるフェーズをこれから作るというイメージでしょうか? ヒトに関するご説明があまりなかったかと思いますが、いかがでしょうか?
伊藤:人材については、当社社員の年齢構成において、30代中盤から40代前半の人材が非常に少ないという課題があります。
今年は30名以上の新卒を採用しており、定着率も高い状態です。そのため、5年先、10年先には若い人材が会社の大きな戦力となることを期待しており、教育を進めることで、将来に向けた人材確保を現在も継続的に行っています。
当社の事業拠点である名古屋や北海道を含め、特に本社機能としての東京、大阪においても実力のある社員が揃っています。これらの社員は、厳しい時代を共に乗り越えてきたメンバーであり、年齢的にも今後5年から10年は十分に第一線で活躍できる人材が拠点を支えています。
この先5年、10年の間に、現有の幹部が会社をしっかりと牽引しつつ、次世代を育てていくことで、当社の事業計画を達成するための人材構成の適正化にも取り組んでいます。
さらに、中部電力からは管理やガバナンスの面で複数名が出向等で当社に来ています。人材交流や親会社との連携を図りながら組織力を高め、中長期ビジョンを十分に達成できると考えています。加えて、人材育成が収益力および組織力の向上と連動することにより、中長期ビジョンの実現がさらに確実となると考えています。
質疑応答:分譲マンションの市況感および仕入れポートフォリオの考え方について

質問者:分譲マンションについてです。今計上している物件に関しては高い利益率が継続している一方で、分譲マンション開発用地の取得が計画比で若干遅れているかと思います。現在の分譲マンションの市況感や、今後の仕入れ方針についてお聞かせください。
併せて、御社の現在のマンションストックは4,000億円となっており、これが4,700戸に相当するため、1戸当たり約8,500万円と、現在よりも2,000万円ほど高い水準という印象を受けています。これは「DIAMAS葉山」などのような高単価案件の比率が上がっていると考えてよいのでしょうか?
伊藤:まず、分譲マンションの市況感および仕入れのスタンスについてご説明します。先ほどお話ししたとおり、住宅分譲事業において現在最も大きな課題は建設コストの上昇です。加えて、工事期間、すなわち竣工までの期間が長期化しており、その結果として資金効率も従来より悪化せざるを得ない状況にあります。
今期の引渡し予定のプロジェクトは、すでに多くの契約が進んでいるとお伝えしました。来年のプロジェクトについてもすべて着工済みであり、一部では販売も開始しています。これらはいずれも堅調な売れ行きで推移しています。
したがって、来年から再来年にかけては、ある程度の利益率を維持できると考えています。しかし、2028年度以降の住宅分譲事業の利益を維持できるかどうかについては、依然として不透明な部分があると見ています。
我々はかねてより、量よりも質を高めるという仕入れ方針で取り組んでいます。そのため、販売戸数が減少しても、販売単価は上昇しています。
例えば、東京都港区西麻布の高樹町における超高層分譲マンションが先月着工し、建設を進めています。販売は来年以降になりますが、これらの高単価プロジェクトなどで売上・利益をしっかりとカバーしていきます。
住宅分譲事業については、数字を伸ばすというよりも、当社の収益基盤となる売上・利益を確保するセグメントと考えています。したがって、ご質問いただいた収益開発物件比率が今後増加していくのではないかと見ています。
質問者:また、仕入れポートフォリオにおける分譲マンションの下振れ分について、土地区画整理事業の割合が増加し、パイプラインも豊富となっています。この状況において、収益物件開発の比率が上がるのか、仕入れポートフォリオ全体の考え方について教えてください。
伊藤:既存の収益不動産をバリューアップする点においては、当社のプロパティマネジメント会社による商業施設の取得後のバリューアップにより、複数の物件が収益に貢献しています。さらに、単に建物を建てるのみならず、底地と建物を組み合わせてバランスを取りながら、収益をしっかり確保することも考えています。
そのため、3年先、4年先の収益はデベロッパーの経営力によって大きな差が生じる可能性があると考え、当社では数年前から区画整理事業などの取り組みを進めています。このような収益を適切に組み合わせながら、安定した収益を積み上げていく方針で、今後の開発を進めていきたいと考えています。
また、近い将来、調整局面が訪れる可能性も想定しています。その際に中部電力グループとして事業機会を逃さないよう、しっかりとした事業基盤を併せて整備していきたいと考えています。
質疑応答:M&A案件の今後の展望について
質問者:子会社の取得について、先ほど三菱ケミカルのお話もありましたが、最近ではサッポロホールディングスが不動産事業を4,000億円で売却するといった話もあり、興味深い案件がいくつか見受けられます。このような好条件の案件は今後も増えていくのでしょうか?
今までの事例では、大阪、京都、東京が中心でしたが、先ほど話題に出た中部電力の件も含めて、中部では特に上場REITの組み合わせではヨシコンや東海道リート投資法人が注目されています。最近も、名鉄、ザイマックス、トーセイのようなグループで取り組まれるケースがあります。
メーカー系の工場跡地といったCRE案件が多く出てくる雰囲気もあります。ROE向上の観点から、事業会社が不動産会社を切り離すような動きが引き続き期待できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
伊藤:直近では不動産M&Aに近いかたちで3つの不動産会社を取得しており、そのようなお話をいただく機会は多くあります。いわゆるM&A会社からの情報は、価格競争となることが多く、取得後に残った社員のみなさまとのリレーションなども総合的に勘案し、案件を進めるかどうかを判断しています。
「後継者がなかなかいない」というご相談をいただくこともあります。そのような場合、総合デベロッパーとして会社を引き受け、その価値をより高めることでシナジーが生まれるM&Aについては、今後も積極的に進めていきたいと考えています。
質疑応答:北海道のまちづくり事業の展開について

質問者:「エスコンフィールドHOKKAIDOホテル」など北広島駅前の活性化事業についてお話がありました。以前、「球場の観戦権利が付いているマンションを建設したら、本州資本で非常に売れ行きがよかった」というお話があり、順調な立ち上がりだったと記憶しています。
また、「エスコンフィールドHOKKAIDOホテル 北広島駅前」に関しては絶好調だというお話もうかがっています。こちらは今後も開発が続いていくと思われますが、引き続き期待してもよいでしょうか?
一方で、先ほどから話題に出ているように建築費が高騰していることや、北広島の公示地価の上昇率が全国上位にあり、今後土地代がさらに高くなる可能性があります。
プレミアム感を持たせるかたちで本州や海外の顧客、あるいはRapidus関連の方々に販売するなど、さまざまな方法が考えられると思いますが、これに見合うだけの価格転嫁を行いながら、収益性の高い案件を継続して進めていくことはできるのでしょうか?
伊藤:今回は詳細に触れていませんが、「エスコンフィールドHOKKAIDO」至近の場所で新駅の開発が進んでいます。この新駅は球場まで徒歩4分という非常に便利な立地で、現在公表されている予定では2028年夏頃に開業予定です。
北海道、北広島市のポテンシャルについては、特に球場を中心としたまちづくりにおいて、本州などでの気温上昇を背景に、「夏季に北海道に住まいを構えて2拠点で生活したい」というお客さまのニーズが相当数あると認識しています。
このようなお客さまの期待に応える商品や住宅を開発することが、我々の使命でもあります。そのような事業機会を逃すことなく、北海道拠点での収益基盤をさらに強化していく計画ですので、みなさまの期待に応えていきたいと考えています。
質疑応答:芝リアルエステートの利益貢献の見通しについて
司会者:「芝リアルエステートの利益貢献の見通しを教えてください。また、さらなるノンコアアセットの売却などは考えられますか?」というご質問です。
伊藤:芝リアルエステートについては、この4月に物件を取得し、小さなハイツなど複数の案件を取得していますので、そのようなものは順次売却していく計画です。
質疑応答:中部電力グループ内での役割と利益目標について

司会者:「中部電力グループとして、御社が経常利益300億円を目指す意味を教えてください。中部電力グループ全体でどの程度になるのでしょうか? 他のエネルギー会社などの不動産関連ビジネスの利益と比較していかがでしょうか? もう少し利益寄与を増やすことは可能ですか?」というご質問です。
伊藤:我々が中部電力グループに加わったのは2018年で、ちょうど7年が経過したところです。その当時と比較すると、利益は大幅に上昇しています。グループ全体の中での比率については、親会社全体のバランスになるためコメントは難しいのですが、中長期で掲げる当社の利益目標においてしっかりと貢献していきたいと考えています。
ご質問のとおり他のエネルギー会社の不動産事業と比較されることもあるのですが、中部電力グループの他の不動産会社とエスコンを合わせると、不動産事業の規模は一定程度の大きさとなります。中部電力グループとして、エスコンの役割は、まちづくりや地域社会の課題を解決する開発事業に取り組み、しっかりと利益を残していくことだと考えています。より世の中に価値を見出せるデベロッパーとしてのポジションを高めていきたいと考えています。
質疑応答:不動産セキュリティ・トークンについて
司会者:「不動産セキュリティ・トークンの発行に関心はありますか?」というご質問です。
伊藤:不動産セキュリティ・トークンについては、我々も現在調査中です。どのような不動産を小口化するのか、その商品に流動性があるのかが最も重要だと考えています。そのため、購入いただいたお客さまに「取得してよかった」と思っていただける商品を作ることができるのであれば、不動産セキュリティ・トークンにもぜひ取り組んでいきたいと考えています。
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