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株式会社ネオマーケティング4196

東証スタンダード

情報・通信業

目次

橋本光伸氏(以下、橋本):代表取締役の橋本光伸です。本日は、株式会社ネオマーケティング2025年9月期の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いします。

本日は、会社概要と事業概要、2025年9月期の決算概要、2026年9月期の通期業績予想、最後に株主還元についてという順番で、資料に沿ってご説明します。

エグゼクティブサマリ

エグゼクティブサマリです。2025年9月期の決算概要をお伝えします。売上高は23億600万円で前期比9.9パーセントの増加、営業利益は1,000万円で前期比30パーセント減少しています。先期に続き先行投資の期間とし、今後の売上増大を見据え、マーケティングコンサルタントの採用強化を進めています。育成を継続的に行った結果、売上高は過去最高を記録しました。

次に、主要KPIの進捗についてです。マーケティングコンサルタントの採用数は現在58名で、前期比6名増となっています。また、お客さまの数は792社で前期比72社増加し、こちらも過去最高を更新しました。顧客単価は280万円程度で、前期比で微増となっています。

2026年9月期の通期業績予想について、売上高は28億円、営業利益は1億円を計画しています。引き続き先行投資期間と位置づけ、中長期的な成長を目指した基盤強化を優先していきます。サービス内容としては、デジタルマーケティングとPRの領域を新たな成長ドライバーと位置づけ、事業拡大を目指しています。

人材採用や組織体制の整備を引き続き進めていくとともに、M&Aを含めた戦略的な投資を今期は積極的に行い、中長期的な収益性を向上させていきます。また、業界内でのポジション確立にも取り組んでいきます。

会社概要

会社および事業概要についてご説明します。2000年に設立し、現在27期目です。創業以来、私が代表取締役を務めています。当社は東京証券取引所スタンダード市場および名古屋証券取引所メイン市場に上場し、2025年9月末時点で174名の体制で業務を行っています。

トップメッセージ

当社は「Make everyone Wonderful」というビジョンを掲げ、人の心を満たす商品・サービスがあふれる社会を目指すという心意気で、日々業務に励んでいます。

単にヒット商品を連発する会社を目指すにとどまらず、老若男女あらゆる社会階層にとって必要で良い商品やサービスが存在する社会を目指しています。この目標を会社全体で共有し、日々の業務に反映させています。

事業コンセプト

事業コンセプトは、「生活者起点のマーケティング支援会社」と掲げています。当社は現在、3,000万人を超える生活者の方々から得られる情報を基に、クライアント企業に対してマーケティング支援を行っています。

生活者から得た情報をデータ活用の文脈で、具体的にどのようにマーケティング施策を実行するか、それによりクライアント企業の商品・サービスが売れ、事業が成功するという一連の流れについてノウハウを有しています。

事業系統図

基本的なビジネスモデルについてご説明します。生活者から得られた情報を基に、クライアント企業のマーケティングを支援していく流れになっています。また、お客さまからいただいた売上の一部を謝礼として生活者の方に還元するという、循環型のビジネスモデルを作っています。

さまざまなサービスを提供していますが、人と企業の架け橋となるという経営理念・事業哲学に基づき、すべてのサービスを運営しています。

沿革

沿革です。スライドの左から拠点の変遷、業務領域、売上高、トピックスを記載しています。創業時はリサーチ事業を起点とし、マーケティング施策の実行に関する事業を強化しながら売上高を伸ばしてきました。

直近数年間は売上の伸び率は鈍化していますが、投資期間を経て、これから再び成長フェーズに入っていきます。

競争力の源泉① マーケティングを一気通貫で支援

当社の特徴の1つに、企業のマーケティング支援を行う際に、必要なサービスや機能、専門人材を社内で内製化している点が挙げられます。社内の部署内でお客さまにワンストップでサービスを提供できることが強みです。具体的には、コミュニケーション面、コスト面、スピード面で優位性を発揮できるサービス提供体制や組織体制を構築しています。

競争力の源泉② インバウンドによる案件流入経路の確立

特徴の2つ目です。お客さまからお問い合わせをいただくような案件の流入経路を確立しています。

例えば、先ほどご説明した生活者プラットフォームの強みを活かし、自主調査というかたちでさまざまな情報を収集できます。さらに、独自レポートを配信し、そのレポートを閲覧・ダウンロードした方や、あるいはマーケティングのノウハウを提供するウェビナーを実施し、その参加者が見込み客となる仕組みです。

日々の業務に紐づいた活動が新規顧客の獲得へとつながる、循環型のモデルを構築しています。リード件数は約1万4,000件で、見込み顧客のプールを確保している状況です。

競争力の源泉③ ナレッジの蓄積

3つ目に、ノウハウの蓄積にも強みを持っています。当社では、年間でおおよそ3,000件以上のプロジェクトを遂行しています。

業務を内製化している強みを活かし、社内にマーケティングのナレッジを蓄積しています。お客さまと向き合うコンサルタントがそのデータベースを活用し、精度の高い提案ができるような環境を整えています。

連結損益計算書 サマリー

2025年9月期の決算概要についてご説明します。スライドは連結のP/Lです。当期の売上高と営業利益は、前期比で増収減益となっています。

前期からの先行投資が少しずつ成果につながり、売上高は過去最高を更新しました。一方で、営業利益は中期経営計画に則った先行投資を継続して実行しているため、減益となっています。

親会社株主に帰属する当期純利益については、前期に子会社の株式売却による特別利益があった影響で、今期は減益となっています。

修正後の予算計画の達成状況については、売上高と売上総利益が概ね計画どおりで、営業利益と経常利益はやや上回る結果となりました。

売上高営業利益 四半期推移

売上高と営業利益の四半期ごとの推移です。7月から9月の第4四半期単体でも、売上高は過去最高を記録しています。

サービス別 売上高

売上高をサービス別に見ていきます。「インサイトドリブン」「カスタマードリブン」ともに2桁成長を達成しました。

「デジタルマーケティング・PR」については、今後の成長ドライバーとして、今期はサービス体制の構築に注力しました。直近では引き合いが非常に増加している状況です。

「カスタマーサクセス・その他」については、株式の譲渡により連結対象外となった子会社があり、その減収分が5,000万円程度影響し、前期比で減収となっています。

貸借対照表サマリー

バランスシートはスライドのとおりです。今後のM&Aを含めた戦略的な投資を加速させることを見越し、手元の資金として10億円程度を準備しています。

KPI進捗(コンサルタントの採用)

主要なKPIの進捗についてご説明します。まず、コンサルタントは前期比で6名増加し、58名の体制となりました。中途採用は環境が変化しており非常に難しい状況が続いていますが、新卒採用については順調に人材獲得が進んでいます。

引き続き、新しく入社した方の早期戦力化施策にも注力していきます。

KPI進捗(顧客数および顧客単価)

お客さまの数は792社となり、過去最高を更新しました。顧客単価は前期比でわずかに増加し約280万円となっています。

トピックス一覧

スライドは今期のトピックス一覧です。オレンジ色で示している、足元の第4四半期のトピックスを中心に、次のスライド以降でご紹介します。

第4四半期取り組み インフルエンサーマーケティング支援サービス 「Looply (ループリー)」

第4四半期の新たな取り組みとして、一般生活者によるSNS投稿を活用したインフルエンサーマーケティング支援サービスを開始しました。当社は日頃から多様なデータを集めていますが、SNSをきっかけに購買に至るユーザーが非常に増加しているというデータを深掘りし、スタートしたサービスとなります。

このサービスは広告とは異なり、共感性や親近感、鮮度といった要素を重視しています。一般ユーザーの方が投稿するコンテンツという、信頼性の高い体験型の口コミを創出することを支援するサービスです。

フォロワー数が1,000人から5,000人といった規模の、いわゆる一般的なクリエイターを活用しています。「Instagram」や「TikTok」などを中心に、クライアントのブランドの信頼性向上とファン形成を継続的に支援する体制を構築しているところです。

リサーチDEMO ! 利用しやすい「新料金プラン」を提供開始

前期にセルフ型オンラインインタビューサービス「リサーチDEMO!」を立ち上げました。直近の取り組みとして、柔軟にご利用いただけるよう新しい料金プランを導入しています。こちらはいわゆるサブスクリプションサービスです。お客さま側で必要なボリュームのサービスを、必要な分だけ月額の定額制で継続して利用していただけるプランです。

また、モニターさまへの謝礼は、従来はお客さま側で処理していただいていましたが、当社が一括して引き受けることで、利便性が非常に高くなります。同時に、お客さまのニーズや予算に合わせてサービスをご利用いただけます。これにより、当社の収益の安定化と長期化を実現する見込みです。

上場維持基準への適合について

上場維持基準への適合についてです。4項目のうち、流通株式時価総額について、東証スタンダード市場の基準を満たしていなかった時期がありましたが、2025年9月30日時点で基準を満たし、適合している状況です。引き続き企業価値の向上に努めていきます。

2026年9月期 通期業績予想

2026年9月期の通期業績予想についてご説明します。2026年9月期は、過去最高となる売上高28億円を見込んでいます。

前期までに増員したマーケティングコンサルタントの活動を強化し、先ほどKPIで説明した顧客数の拡大を進めていきます。加えて、デジタルマーケティングやPRといった領域に特化したチームを新たに組成しました。これにより、主に顧客単価の増大を図ります。

これらを踏まえ、営業利益を1億円、経常利益を1億2,000万円とし、大幅な増益を計画しています。成長性を重視し、トップラインの伸長と継続的な企業価値向上を目指す考えです。

2026年9月期 通期業績予想(サービス別 売上高)

2026年9月期は、「デジタルマーケティング・PR」領域を新たな成長ドライバーに位置づけています。

前期比での売上高の拡大を見込んでいますが、特に「デジタルマーケティング・PR」領域では売上を93.0パーセント増の8億円規模まで拡大させ、ネオマーケティンググループ全体の成長を牽引する役割と捉えています。これを実現するための組織体制や営業体制を期初から整え、進めています。

「インサイトドリブン」と「カスタマードリブン」についても、安定成長を継続しており、それぞれ7.5パーセントおよび6.6パーセントの増収を計画しています。

2026年9月期 デジタルマーケティングを新たな成長ドライバーへ

「デジタルマーケティング・PR」領域への注力については、背景と裏付けに市場成長率の高さがある点が1つ挙げられます。

スライド左に記載されている市場調査業界の成長率は、年平均5.5パーセントで推移しています。一方で、右に示したデジタルマーケティング市場は年平均13.8パーセントと、非常に高い成長が見込まれています。

成熟市場であるマーケティングリサーチ領域では、業務の効率化を進めることでお客さまを深堀りし、安定した収益基盤を維持します。同時に、高い成長率が見込まれる分野への投資を強化していくかたちです。

2026年9月期 M&Aを含めた戦略的な投資を積極的に計画

投資計画についてです。既存事業は着実に成長させつつ、さらなる飛躍実現のため、戦略的なM&Aを通じて成長スピードを加速する計画を立てています。

M&Aは中期経営計画の成長戦略に基づき、マーケティング支援の領域で実施する予定です。マーケティングという広範な分野の中でも、私たちが展開している既存事業とのシナジーをしっかりと生み出せる企業や、クライアントに提供できる価値を増やせる企業を中心に実行していこうと考えています。

KPI目標値

各KPIの数値です。マーケティングコンサルタントは74名、顧客数は900社、顧客単価は1社当たり300万円と、それぞれ前期比で増加を目指します。

株主優待制度について

株主還元についてご説明します。株主優待制度は、株主の方々の利便性向上を目的として、一部を刷新しました。100株以上を保有されている株主さまに提供していたQUOカード3,000円分を、500株以上保有の株主さまにデジタルギフト2万円分へ変更します。

当社の投資魅力をさまざまな角度から高め、より多くのみなさまに株式を保有していただけるよう努めていきます。

他の資料はAppendixをご覧ください。

私からの報告は以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:AI活用など、利益効率性に対する取り組みについて

質問者:従来の御社のビジネスモデルは、コンサルタントの採用を含めて1人当たりの売上高を重視されていると理解しています。

しかし、今回の説明では、AIを用いた効率化や、マーケティングの1人当たりに関する利益効率性についての言及がありませんでした。将来的にどのような取り組みをお考えでしょうか?

橋本:AIの活用は社内で進めています。入口としては、営業担当者の効率化を目的に、提案書の作成や情報収集などさまざまな業務で活用しています。

メインとしては、受注した業務をいかに効率的に運用するかを先に着手しています。そこで発生していた工数や時間、人員を確実に低減できるよう、AI活用を進めています。少し具体的なAI活用の事例をご説明します。

荒池和史氏(以下、荒池):取締役の荒池です。AI活用の具体例としては、リサーチ業務でいうと、受注後の調査票の作成があります。クライアントが求める調査内容に基づき調査票を作成し、それをネット上でアップ可能な形式に変換し、アンケートモニターに配信するという一般的な流れがあります。

現在、この一連のプロセスは当社社員が行っていますが、クライアントからの調査ニーズに対して、人を介さずAIで自動的にアンケートモニターへの配信まで行う仕組みの導入に着手しています。このようにして原価を削減し、より高い利益を実現する取り組みを進めています。

質問者:基本的に顧客ニーズに応えるために、従来は人手をかけて対応していた業務を、AIを活用して効率化していくということですね。売上を上げるためのヒット率を高めるというよりは、まずはコスト削減に近い効率化を前提に進めているという理解でよいでしょうか?

荒池:おっしゃるとおりです。

質問者:トップラインを伸ばすという意味では、AIの活用に関してなにか取り組まれていることはありますか?

コンサルタントの人数とAIがどのように関わるのか、御社がまだコスト削減にしかAIを活用していないのであれば、AI活用とマーケティングコンサルタントのトップラインとのシナジーをどのように考えているのか教えていただけますか?

橋本:冒頭でご説明したように、営業、いわゆるコンサルタントの動き方は従来と大きく変わり、現在では日常的にAIが業務に組み込まれるようになっていると考えています。

当社が最も重視しているのは、お客さまと接する時間、つまり会話や商談に費やす時間です。この時間を創出するため、それ以外の業務を効率化し、時間を短縮することに取り組んでいます。

このような取り組みにより、コンサルタントがさらにお客さまと接する時間に注力できるようになり、生産性の向上や、1人当たりの売上高の向上につながると考えています。その結果、トップラインが向上すると信じて取り組んでいるところです。

質疑応答:中途採用および新卒採用・育成について

質問者:「中途コンサルタントの採用が苦戦している」とご説明がありましたが、具体的な対応策や新卒の育成などはどのように進めていますか?

森田尚希氏:取締役CFOの森田です。採用については、新卒の方を増やしていくことは当然進めています。また、ご指摘のとおり、中途採用に関しては現在苦戦していますが、入口のレベルを下げず、厳選した採用を進めています。今後、新卒採用も厳しくなっていくと予想されますが、引き続き力を入れていきたいと考えています。

質疑応答:ROEの改善施策について

質問者:御社はROEが3パーセント台と低水準にあると思いますが、改善に向けて、最も優先度の高い施策を教えてください。

橋本:現在の純資産は約10億円弱です。以前は営業利益が約3億円あり、非常にROEが高い会社だったと認識しています。ROEが低迷しているのは、利益が出ていないことが主な要因です。投資期間と位置づけてからは営業利益は数千万円にとどまる状況が続いています。 現在は投資期間に入り、利益が出ていない状況が続いているため、ROEが低下しているという認識です。ただし、投資期間を経て売上と利益を拡大させるプロセスが進む中で、ROEは当然改善していくと考えています。

質疑応答:実施した人材投資がROE改善に寄与し始める時期について

質問者:今回いろいろと人材投資をされていますが、ROE改善に寄与し始めるのはいつ頃になると考えていますか?

橋本:例えば新卒入社の方は、3年目くらいからようやく一人前になります。2年目でも成果は出てきますが、3年目くらいからかなりプラスに転じるという傾向がありますので、それを踏まえると、来期、来々期にROE改善に寄与すると考えています。

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