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2026年6月期第1四半期決算サマリー

内山英俊氏(以下、内山):株式会社unerry代表取締役社長執行役員CEOの内山です。2026年6月期第1四半期決算説明会を開催します。

2026年6月期第1四半期の決算サマリーについてです。

まず損益については、売上高は10億800万円で、前年同期比27パーセントの成長という堅調な結果を残しました。

特に、新規顧客とリカーリング顧客の数が大きく増加しており、我々の顧客基盤を拡大した点は、グッドニュースであったと考えています。

また、既存のリカーリング顧客の客単価については一定の調整を挟みましたが、それでも第1四半期の進捗率は20パーセントと、想定範囲内で推移しました。これが売上高に関する概況です。

粗利については、売上から直接原価を引いたものとして定義しています。粗利は、4億7,400万円で、前年同期比28パーセント増となりました。こちらも堅調な成長といえる結果です。特に、分析・可視化サービスが伸長したことで、収益性も安定しました。

課題は営業利益です。マイナス約300万円と、若干の営業赤字となりました。理由としては、中長期的な成長を見据え、今回2つの先行投資を行ったためです。

1つ目は、マーケティング投資です。これは年間を通じて実施しているマーケティング投資を、第1四半期に集中させたため、販管費が増加したという結果です。ただし、年度を通じた予算内での取り組みであり、第1四半期に先行して使用したかたちとなります。

2つ目は、採用の前倒しです。現在、当社では採用が非常に順調に進んでおり、有能な人材が見つかった場合は前倒しで採用する方針を取っています。その結果、人件費が増加しています。

そのため、一時的に販管費は増加していますが、マーケティングおよび人材採用の効果は下期以降に発現する見込みであり、下期から利益成長が期待される状況です。

次に、事業ハイライトとしては、リテールメディア事業、スマートシティ事業、グローバル事業の3つの事業が堅調に進んでいると考えています。

先ほど売上高で触れた顧客単価に関連し、当社で最大の事業であるリテールDX事業において、今回、営業組織を再編しました。後ほど詳しくご説明しますが、新規顧客とリカーリング顧客への対応を一気通貫で行える営業組織にしました。

この一時的な組織調整があったことで、一定の停滞が見られました。古くからのリカーリング顧客での伸びは小さかったものの、クロスセルやアップセルの拡大を下期に向けてさらに進める計画です。

最後に、中期成長戦略と重点施策についてです。2028年6月期をターゲットとし、3つの施策を推進しています。

1つ目は、今いる場所に合わせてAIで最適な情報を届けるプロダクト標準化への投資を進めています。

2つ目は、新規顧客と既存顧客を一気通貫で対応する新たな営業体制の構築です。この体制は第1四半期でようやく落ち着きを見せており、現在、本格的な運用段階に移行しています。

3つ目は、資本力を活用して成長曲線を前倒しすることです。この3つの取り組みを通じて、2028年6月期に売上高100億円を達成することを目指しています。

Beacon Bank

我々が提供しているサービスの名称は「Beacon Bank」です。現在、8.5億IDの匿名化された行動データを収集している会社です。

具体的には、どのような情報に触れ、どのような店に訪れ、どのようなものを購入しているかなど、日常のあらゆる行動をデータ化しています。

このデータを分析や広告、さらには技術をソリューションとしてご提供することを行っています。主なお客さまは、小売、外食、メーカー、自治体、交通、観光、不動産といった分野です。

ビッグデータで日本は出遅れたが、世界で一番「変われる余地」がある

残念なことに、IMD世界競争力ランキングのビッグデータ利活用部門で日本は下位にとどまっており、大きく遅れをとっています。しかし、逆に言うと、日本は世界で最も変われる余地がある国だとも考えています。

デジタル・リアルを融合させた生活者行動ビッグデータであらゆる産業のデータ支援を展開

核となるデータとして8.5億IDの「人流ビッグデータ」をユーザから同意を得て蓄積しています。屋外ではGPS衛星、屋内ではビーコンと呼ばれるBluetoothセンサーを活用することで、屋外でも屋内でも人の行動を網羅的に把握する、非常にユニークなサービスを提供しています。

おそらくコロナ禍の時にテレビなどでご覧になった方も多いかと思いますが、この人流データは、購買データやテレビの視聴データ、Webサイト、ソーシャルメディア、アプリなど、さまざまなサイネージと連携できる非常にユニークなデータです。

スライド右側に「生活者行動ビッグデータ」と記載していますとおり、当社は人流データからスタートし、現在では8.5億ID分の行動データを収集し、あらゆるリアルなデータを包括的に集める生活者行動ビッグデータの会社として発展を遂げました。

着目した社会課題

このリアルな社会に着目した理由としては、デジタル技術がどれほど発達しても、経済活動の9割がリアルであるという点です。

一方で、このリアルな社会はデータ化が進んでおらず、「どんな人に、どこにいて、どんな需要があるか」さえもわからないという点が課題であると思っています。

価値の閾値を超えた日本発のグローバルTOP10ビッグデータカンパニー

unerryが必要とされている理由はこのような状況にあります。8.5億IDというデータは非常に大きなものであり、スライド右側のグラフに示しているとおり、現在グローバルTOP10に入るほどのID数を保有しています。

日本から生まれた企業でありながら、グローバルでこれだけのデータを持つ会社が存在するということ、その価値をぜひみなさまに感じていただきたいと思います。

提供サービス

データをどのように活用しているか、については、8.5億IDの生活者行動ビッグデータとAIを活用し、主に3つのサービスを提供しています。

1つ目は「分析・可視化サービス」です。2つ目は「行動変容サービス」で、広告サービスになります。3つ目は「One to Oneサービス」で、その場にいる一人ひとりに異なるメッセージを届けるというソリューションを提供するものです。

このような分析、広告、技術のソリューションサービスの3つを提供しています。

ビジネスモデル

ビジネスモデルについてご説明します。

まず、人流データをどのように取得しているのかについては、多くの方が使用されているアプリに位置情報の技術を提供しています。この技術が組み込まれたアプリをダウンロードした際に、unerryの利用規約またはプライバシーポリシーにunerryの名前が記載されています。

その内容にご同意いただいた方を中心に個人情報ではないデータを収集し、それを人流データとして蓄積しています。

さらに、このデータに対してテレビ視聴データやソーシャルメディアのデータを掛け合わせ、「Beacon Bank」というデータ基盤を構築しています。この基盤に基づいて、分析・可視化サービス、行動変容サービス、One to Oneサービスの3つを提供しています。

これら3つのサービスは、どの業界でも汎用的に利用できるものとなっています。

それぞれの市場に対して、小売・外食向けにはリテールDX事業、消費財メーカー向けにはリテールメディア事業、不動産・自治体・官公庁向けにはスマートシティ事業、海外・外資・越境事業者向けにはグローバル事業の4つを展開しています。先ほどの3つのサービスを各市場に合わせてチューニングしているものを事業としています。

Beacon Bankの主要数値(2024年6月→2025年6月)

現在もユーザーID数は引き続き伸びており、前回開示した内容のとおり、ユーザーID数は1年で倍増し、8.5億IDに達しました。年間データ量も年1.9兆件と約2倍となっています。また、連携アプリ数の増加に加え、Bluetoothセンサーである登録ビーコン数も着実に増加しています。

このような規模の基盤を持つ企業は非常に稀ではないかと思います。

以上が会社概要です。

各事業のハイライト

2026年6月期第1四半期のハイライトについてご説明します。

まず、リテールDX事業については、お客さまは小売業や外食産業が中心となります。売上に関しては伸びは見られたものの、やや緩やかだったという状況です。しかし、新規のお客さまが非常に多く獲得できたという点は大変ポジティブなニュースです。

新規のお客さまは今年度の売上への影響はまだ小さいですが、来年や再来年にはリカーリング顧客となり、大きな売上に貢献する見込みです。新規顧客の増加は、将来に向けて非常に重要な意味を持ちます。

また、既存顧客についてもリカーリング顧客数が今回非常に大きく増加しました。これも非常に良い点だったと思います。特に、昨年新規顧客を多く獲得したことが影響し、これらが今年のリカーリング顧客となったと考えています。

一方で、今回営業組織を大きく変更した影響もあり、クロスセルやアップセルに関しては、特に従来からのリカーリング顧客を中心に一時的に停滞が見られました。しかし、組織の最適化が一定程度進んだため、下期にはその効果が表れることが見込まれます。

さらに、中長期的にお客さまに深く提案を行うためのDXコンサルティングチームを設立し、提案活動も進行中です。この2つの要因によって、下期の売上へのインパクトを生み出していきたいと考えています。

消費財メーカー向けのリテールメディア事業は、非常に大きく伸び、最も成長した分野となりました。当社は直販も行っていますが、主に広告代理店が中心となって販売を進めているのが特徴です。当社ではパートナー向けセールスチームを編成し、広告代理店内での勉強会や、共同でのウェビナー開催、共同提案などを進めてきました。これらの取り組みにより、売上が大きく伸びたことが、リテールメディア事業の成長につながっています。

さらに、商品力を一層強化する必要があるとの認識から、さまざまな小売事業者やデータパートナーとの協業をさらに進化させていく予定です。

スマートシティ事業については、昨年はやや成長が停滞していましたが、第1四半期を終えてみると、再び大きな成長路線に戻ってきています。特に、自治体向けの観光案件の受注が非常に好調でした。

昨年は売上があまり伸びなかった事業ではありますが、その間に採用活動に力を入れてきました。その結果、一定の採用を達成し、体制の強化が実現しました。この取り組みが今年になって効果を発揮し、売上の向上に寄与しています。

グローバル事業については、昨年からようやく成長が見え始め、今年も堅調に伸びています。特にインバウンドサービスが伸びている点が特徴です。

また、海外企業の日本出店や日系企業の海外出店といった事例が増加しており、これらの事例を活用してさらに営業活動を活発化させたいと考えています。

NTTドコモと統合データプラットフォーム連携検討を開始

前回の開示にもありましたとおり、2025年7月より、NTTドコモとの統合プラットフォームの連携検討を進めています。

以前は「NTTドコモとunerryは競合なんじゃないでしょうか?」といったご質問を多くいただいていましたが、現在では「競合」ではなく「協業」というかたちで、さまざまな取り組みをご一緒する関係となっています。

Beacon Bankアンケート開始

Beacon Bankアンケートについても開始しています。unerryのデータでは「どこに行って、どんなものを買って、どんな情報に触れてたか」ということはわかるものの、「なぜ買ったか」「なぜそこに行ったか」という情報は把握できませんでした。

そのため、今回アンケートの形式で取り組みを実現しました。楽天インサイト、インテージ、ジオテクノロジーズとの協業により「この場所にいる人に対してアンケートが直で取れる」という仕組みを構築しています。

東京都「次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業」開発プロモーターに採択

「次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業」として、東京都が実施している事業の開発プロモーターに、unerryが選定されています。

スライド左側に記載している「NEXT 5G」とは、5Gをはじめとした次世代型通信技術を指します。

この取り組みでは、unerryの人流データを提供し、次世代型通信技術で何が可能になるのかについて、さまざまなスタートアップ企業の方々と一緒に東京都に提案していきます。

特に、メディア、モビリティ、飲食、防災、環境を中心とするスタートアップ企業とともに、東京都で「NEXT 5G」を活用した事業やサービスを共同で検討していきます。こちらは東京都からの受託というかたちで取り組んでいます。

『Be Smart Tokyo』において第40回調布花火で会場周辺32店舗の混雑可視化と認知施策を実施

こちらも東京都の「Be Smart Tokyo」における事例をご紹介します。具体的には、調布の花火大会において、会場周辺の32施設の混雑状況を可視化することで、来場者のみなさまにより快適に花火を楽しんでいただくための取り組みを行いました。

こちらはバカン社と一緒に実施したプロジェクトです。「この店今混んでるね、他の店に行こう」というように、来場された方々の花火を観る体験がよりよいものになる取り組みを行っています。

位置情報ビジネス&マーケティングカオスマップ2025年版での掲載

「位置情報ビジネス&マーケティングカオスマップ2025年版」が発表されました。これは一般社団法人LBMA Japanという位置情報の業界団体が発表しているもので、当社も所属しています。なお、このカオスマップは、unerryが事務局の中核を担って進めたものです。

また、カオスマップには「データ収集」「データ分析」「データ活用」という3段階が示されており、unerryは3段階すべてに名前が挙げられています。

このことからも、データの収集、分析、活用のすべてを一気通貫で行える主要プレイヤーであることが、ご確認いただけると思います。

さらに、今後重要になっていく、3Dの「高さ」や産学官連携にも当社は大きな強みを持っており、それが次のトレンドになると考えています。来年には新たな展開がお見せできるのではないかと思います。

マーケティング活動の積極化

今回マーケティングについては、第1四半期で積極的に取り組み、予算も配分した結果、販管費が上昇しました。

具体的には、ビッグデータカンファレンス「SPECTACLEs 〜The Data Masters〜」という大規模のイベントを開催しました。unerryが主催し、小売、メーカー、官公庁、大学、自治体、プラットフォーマーなどから70名以上の著名な方々にご登壇いただきました。

2,000名ほどの来場者を迎え、東京ミッドタウンホールで開催した非常に大規模なイベントとなりました。この取り組みにより、認知度の向上とリード獲得に成功しました。

詳細は割愛しますが、他にも「自治体・公共Week」や、チェーンストア業界の方であれば誰でもご存じの「ペガサスクラブ」でのトップリレーションの構築や、「小売未来Days」でのカバヤ食品さまとの共同登壇なども行いました。

このように、2025年7月から9月にかけてマーケティング活動を積極化し、支出もしました。ここから得たリードやトップリレーションが下期にどんどん成果として現れていくことを期待しています。いろいろなかたちでご期待いただければ幸いです。

業績サマリー

斎藤泰志氏(以下、斎藤):取締役執行役員CFOの斎藤です。第1四半期の実績についてご説明します。まず、業績サマリーです。売上高は前年同期比27パーセント増の10億800万円、粗利は前年同期比28パーセント増の4億7,400万円となりました。前年同期の高成長の反動を考慮しても、堅調な伸びを示した結果です。

この第1四半期は、先ほどお伝えしたとおり、マーケティング活動への積極的な投資や、計画を前倒しして人員を確保したことなどにより、販管費が増加し、結果として小幅な営業損失となりました。

この第1四半期で特に注目していただきたいのは、リカーリング顧客数の増加です。前年同期比でプラス42社の161社と、大幅に伸ばすことができました。

リカーリング顧客は、当社の中長期的な成長の基盤となる重要な指標です。これを拡大できたことは、非常に良い結果を出せたと考えています。

売上高:12ヶ月売上高

12ヶ月売上高についてです。この12ヶ月売上高は、売上の季節性を除外し、成長を適切に確認するための指標です。

スライドのグラフは、各四半期の過去12ヶ月間の売上を示したものです。第1四半期の売上は39億3,900万円で、前年同期比25パーセント増となりました。

この成長を牽引しているのは、主に分析・可視化サービスと行動変容サービスであり、いずれも3割以上の成長を達成しています。

売上高:サービス別

四半期の売上についてです。第1四半期の売上高は10億800万円で、前年同期比27パーセント増となりました。この成長を大きく牽引したのは、分析・可視化サービスです。

当社の新規顧客向け導入商品である「ショッパーみえーる」サービスの新規獲得が大幅に増加し、前年同期比47パーセント増の3億700万円という結果になりました。

One to Oneサービスについては、リテールDX事業における既存顧客の開発案件が寄与し、前年同期比22パーセント増の1億4,700万円となっています。

また、行動変容サービスについては、リテールDX事業は組織体制の最適化に伴い一時的な調整が入っていますが、リテールメディア事業が非常に大きく伸びたことから、結果として前年同期比19パーセント増の5億5,400万円を記録し、四半期単位の売上高としては過去最高となりました。

売上高:リカーリング顧客指標 ※

リカーリング顧客指標についてです。リカーリング顧客による売上高は、当社の売上全体の9割を占める顧客の売上を構成しています。

平均単価は2,000万円を超える高い水準を維持しており、前四半期からは21社、前年同期比では42社の増加を達成しました。これが、今後の成長を支える土台となっていきます。

粗利率(売上‒直接原価)

粗利率についてです。分析・可視化サービスの粗利率は非常に安定しており、8割を超えています。第1四半期では、85パーセントの粗利率を記録しました。

One to Oneサービスについては、大型開発が一巡した影響で、前年同期比で5ポイント改善し、47パーセントとなりました。行動変容サービスは、売上の増加に伴い一部外注を活用した結果、若干の低下を見せ、26パーセントとなっています。

全体では、売上ミックスや分析・可視化サービスの売上増加の影響により、全体の粗利率は前年同期と同水準の47パーセントとなっています。

売上原価

売上原価全体を見ると、直接原価は先ほどの粗利の裏返しにあたり、前年同期と同水準の53パーセントとなっています。この売上原価の内訳については、大部分が行動変容サービスの原価です。

また、間接原価の比率も前年同期と同水準となっています。基本的にはデータ量の増加に伴いインフラ費用が増える構造となっていますが、このインフラ費用を抑える努力を継続しており、それがうまく機能しているため、間接原価を抑えることができています。

販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費についてです。第1四半期の販管費は3億6,100万円で、販管費率は前年同期から7ポイント上昇しました。

大きく伸びているのは人件費や採用費です。これは、優秀な人材を前倒しで採用しているため、大きく増加している結果です。

その他の費用については、最近ではセキュリティ強化に注力しているため、手数料や支払報酬においてサーバー費用が増加しています。また、マーケティング費用として広告宣伝費を第1四半期に積極的に投下したため、増加しました。

営業利益・営業利益率

営業利益は小幅なマイナスとなり、300万円のマイナスという結果になりました。

従業員数

現在、採用活動において、順調に前倒しで人材を採用し、従業員数は増加しています。

「なぜunerryは人をこんなにどんどん増やしているのか、優秀な人材を獲得できているのか」は、採用市場において非常に高い評価をいただいていることが理由です。その背景として、PRによる認知度向上、ユニークなビジネスモデル、社会性のある事業、情報開示の高さなどが挙げられます。

このため、現在、多くの優れた人材に応募いただいています。今採用しているのは、エンジニア、営業、事業開発、コーポレート、データサイエンティストなど、多岐にわたる職種です。今後も優秀な人材は積極的に採用していきたいと考えています。

通期業績予想に対する進捗率等

通期業績予想に対する進捗率についてです。第1四半期の進捗率は、売上高が20パーセント、営業利益がマイナス1パーセントとなっています。

参考までに、スライド右側に前期と前々期の第1四半期の進捗率を掲示しています。期により多少の変動はありますが、今期は主に下期に利益を獲得していく計画です。

中期成⻑戦略のKGIと事業別内訳

内山:中長期の戦略と今期の重点施策についてご説明します。スライドはこれまでも開示している資料です。中期の成長戦略として、2028年6月期に売上高100億円を目指しています。

リテールDX事業を主力に、リテールメディア事業、スマートシティ事業、グローバル事業が順次加わる構造により、unerryは2028年6月期に100億円を目指しています。

中長期的な利益構造

中長期的な利益構造です。

直接原価率は比較的安定していますが、下がる余地があるのは間接原価率です。斎藤がお伝えしたとおり、データが増加することでインフラ費用が上昇するものの、当社の技術部門がその費用を抑える取り組みを行っています。その結果、間接原価率が低下し、さらに売上が伸びるという構造になっています。

また、販管費については、第1四半期にマーケティング費用などを前倒しで計上しているため、現時点ではかなり多く計上されています。ただし、年間を通じて人件費や採用費などの固定費的な要素を含めても、それ以上に売上が伸びる構造となっており、販管費率も低下していく見込みです。

それによって、営業利益率が上がる構造となっています。2028年6月期には、営業利益率を15パーセントから25パーセント程度と想定しています。

2026年度6月期の重点施策

我々は現在、4つの戦略に取り組んでいます。

1つ目は、潜在成長率の向上を図り、競争優位性を保つことを目指しています。そのためにはデータを増やし、多様なデータと連携することが重要であり、これを「Data Scaling Law 戦略」と位置付けています。

2つ目は、新規顧客を獲得するために、多くのパートナーと連携して取り組む「重点パートナー戦略」です。3つ目は、リカーリング顧客として単価を引き上げることを目指し、プロダクトに投資する「フライホイールプロダクト戦略」です。

また、これらすべてを支えるために必要な組織戦略が、4つ目の「人的資本戦略」です。

特に、今期注力しているのは、スライド右側の3点になります。1点目のAIプロダクトについては、生成AIなどが話題となる中、我々のプロダクトもAIと密接に連動しており、そのAIプロダクトの開発に取り組んでいます。

2点目として、新規および既存のお客さまを一気通貫で伸ばす新営業体制を構築しています。そして3点目として、資本力を活かしたM&Aなどを通じて、成長曲線を前倒しする予定です。

重点施策:①AIプロダクト開発

AIプロダクト開発についてです。

当社は位置情報の取り扱いに非常に長けています。「どんなお店に行っているか」「どんな道を歩いているか」といったIDの位置情報を活用することで、ライフスタイルを推計することが可能です。

また、来店の可能性が高い方や逆に離反する可能性がある方がどのような人なのかを把握することもできます。そこから、どのようなコンテンツを提案すれば、よりお客さまに受け入れていただけるのか、といった個々のお客さまの状況を推計するAIの開発を行っています。

それに基づき、当社では「ハイパーパーソナライゼーション」と称し、パーソナライズされた情報をさらに精密化し、一人ひとりにとって本当に必要なものだけをお届けする世界を実現しようとしています。

これによりお客さまが「欲しいと思っていたものを最初に知ることができた」「買い物体験が今日はすごくスムーズだった」と感じられるような価値体験の実現を目指しています。

このプロダクトが、今後unerryの標準サービスとなるよう、積極的な投資を進めています。

重点施策:②新規・既存顧客を一気通貫で伸ばす新営業体制

新規・既存顧客を一気通貫で伸ばす新営業体制についてです。

2025年7月に体制を変更しました。「新規開拓」「クロスセル・アップセル」、そして代理店を中心とした「パートナーセールス」に分けました。

これら3つはそもそも機能が異なりますが、昨年までのセールス体制ではすべて1つのチームにまとめられていました。そのため、どこに優先順位を置くべきかの配分が非常に難しかったことが、昨期の課題としてありました。

そのため、昨期の後半に体制を少しチューニングし、今期から、新組織体制として導入しています。

まず、セールス部門を「新規開拓」「クロスセル・アップセル」「パートナーセールス」の3つに分け、新規のお客さまを獲得した後、そのままスムーズにクロスセルチームへ引き継ぐ仕組みを整えています。これにより、新規顧客から既存顧客までを一気通貫で対応できるようになりました。

また、パートナーセールスでは、広告代理店や各種企業などの販売パートナーに対し、勉強会の実施やマーケティング支援を行うことで、売上向上を目指す体制へとシフトしました。

さらに、当社のサービスは非常に多岐にわたる特徴を持っており、それらを総合的に導入する上位顧客に対して深く刺さるサービスを提供することを目的として、スライド右側に記載している、DXコンサルティング部門を新設しました。こちらは4月から活動を開始しています。

このような取り組みにより、新規顧客を獲得しつつ、リカーリングを促進して客単価を向上させることを目的とし、今回組織変更を行いました。

数ヶ月が経過し、新しい組織も安定してきたことから、下期に向けてその効果を発揮していきたいと考えています。

重点施策:③資本力を活用した成⻑曲線の前倒し

スライドの左側の図は、先ほどご説明したビジネスモデルの図です。特に図の一番下にあるデータの幅や量をどのように増やしていくかについて、M&Aを選択肢の1つとして挙げています。

また、我々は現在、社内で投資を行いプロダクト開発を進めていますが、外部に優れたプロダクトがある場合には、それに対してM&Aや事業提携を通じて、そのプロダクトを取り込んでいくことも検討しています。

さらに、現在は小売・外食、消費財メーカー、不動産・自治体・官公庁、海外・外資・越境事業者といった分野を顧客としていますが、そもそも当社のサービスは、モビリティ、製造業、金融、ヘルスケアなど、あらゆる産業に適用可能なデータとなります。

それを新たにゼロから始めるよりも、M&Aを活用して時間を短縮することも、当社の戦略の一環として十分にあり得る手法です。今後も成長戦略を前倒しするために、資本を有効に活用していきたいと考えています。

質疑応答:スマートシティ事業の成長エンジンについて

内山:「スマートシティ事業は、どのような地域や自治体から回復が進みそうでしょうか?」というご質問です。

昨年、スマートシティ事業があまり成長しなかったことに関連して、「どのようなところから今年は成長していくんでしょうか?」というご質問かと思います。我々が中心としているのはまずは都市部です。

例えば、東京都や大阪府などの都市部では、経済活動が密接に結びついています。

先ほど「NEXT 5Gを活用し、スタートアップ企業とつなぎます」とお伝えしたように、都市部には多くの企業が存在しており、その企業と一緒にunerryのデータを活用しながら、その都市をより良くすることが、まず成長エンジンの1つだと考えます。

2つ目は観光地です。京都府を含めた日本中のさまざまな観光地では、現在オーバーツーリズムの影響で人が多すぎる状況になっています。そのため、人々がどの時間帯にどこを訪れているのかを分析することが、当社の得意分野です。観光が2つ目の成長エンジンとなります。

3つ目はモビリティです。例えば、電鉄企業がさまざまな取り組みを行っているほか、マイクロモビリティなど道路を走る乗り物が注目されています。これらをそもそもどこに配置したらいいのかなど、この分野に関しては、日本全国の多くの自治体で実績があります。

そのため、今年の成長エンジンとしては都市部と観光が挙げられると考えています。

質疑応答:グローバル事業の注力サービスと展開戦略について

内山:「グローバル事業でも、3つのサービスを展開しているんでしょうか? 需要や苦労されている点についても教えてください」というご質問です。

グローバル事業では3つのサービスのうち、特に分析・可視化サービスと行動変容サービスの2つに注力して展開しています。One to Oneサービスもゼロではありませんが、現状ではリソースの関係でフォーカスしていない、というのが回答です。

もともとグローバル事業は、特に海外のお客さまが海外で展開している、例えばアメリカの企業がアメリカで展開しているスーパーに対して、unerryがさまざまな提案を行い、「日本で実績があります」と伝えても、我々のブランディングが浸透していないことや、アメリカでの実績がないことから、最初は非常に苦労しました。これは1年から2年前の話です。

そのため、現実的なアプローチとして、まずインバウンドの旅行者が日本に多く訪れている現状を踏まえ、その方々を分析することをグローバル事業の一環として始めました。

次に取り組んだのが、日本企業がアメリカまたはアジアに展開する際の支援です。日本企業が海外市場に進出する際のサポートを2つ目の柱としました。

3つ目は、海外の企業が日本市場に展開する際の支援です。これは外資系企業や海外の企業が対象となります。

この3つの柱を軸にグローバル事業展開を行う戦略を決定しました。この戦略は昨年に開示し、非常に適合していると感じています。その結果、今年の成長につながっています。

質疑応答:需要予測系サービスにおけるunerryの強みについて

内山:「競合の需要予測サービスとの違いや貴社ならではの強みはどんな点にありますか?」というご質問です。

当社が最も得意としているのは、来店している人を最も精度高く判定できる点であり、これが「unerry」の最大の強みです。

屋外では衛星、屋内ではBluetoothセンサーを使用してデータを取得しています。この規模で、これらを一気通貫で実現しているプレイヤーは、日本ではほとんど存在しないと思います。

そのため、屋外も屋内も把握することが可能です。つまり、来店を極めて高い精度で検知できる点が当社の強みであり、それにより、極めて精度の高いAIを活用した予測が可能になる、というのが我々の強みです。

競合他社のサービスには「簡単に導入できます」といったものが多く見受けられます。

「精度は低いが、簡単に導入できる」ことを希望されるお客さまがそのようなサービスを利用している一方で、「精度を高く、しっかりやりたい」と考えられるお客さまがunerryの商品やサービスを選択いただいているケースが多いのではないかと分析しています。

質疑応答:日本国内におけるリカーリング顧客の拡大可能性について

内山:「国内のリカーリング顧客は、どのくらいで上限に達すると見ていますか?」というご質問です。非常に良いご質問をありがとうございます。

現状のビジネスモデルから推測すると、1,000社程度は到達可能と見込んでいます。

理由として、日本には小売業や外食業を中心としたチェーン店が2,200社あり、マーケットシェアの5割未満となる約1,000社については、顧客として確実に獲得できると考えています。したがって、100億円を超える売上水準も、実現可能と見ています。

ただし、約1,000社というリカーリングの水準は、小売業や外食業といったチェーンストアに限った話です。1,700以上ある自治体、製造業、ヘルスケア、金融機関など、さまざまな分野に広がることで、お客さまの数はさらに増加すると考えています。

現状の100億円というビジネスプランにおいては、まだ上限に届いておらず、さらなる成長の余地があります。そして、その先には10倍、さらには100倍の規模を目指す可能性があることも、併せてお伝えしたいと思います。

質疑応答:貸倒引当金の計上基準と与信管理について

斎藤:「貸倒引当金計上は、今後、新規取引の裾野拡大に伴って増えるのではないでしょうか?」というご質問です。

過去、当社で貸倒になったのは1社のみです。現状の貸倒引当金は、この1社の貸倒実績率に基づいて、既存の売掛金に対して計上しています。

この1社以外には貸倒は発生していません。与信管理は徹底して行っており、その後も延滞債権は発生していません。今後も与信管理を着実に行い、延滞が発生しないよう努めていきます。

質疑応答:中期成長戦略に関する方針とアップデート予定について

内山:「中期成長戦略の目標値について、今後、アップデートを再発表する予定はありますか?」というご質問です。

2028年6月期に向けては、本来ローリングで情報を更新していきたいと考えています。また、コーポレートアクションなどがある際には再発表や見直しを行い、適宜アップデートしていく予定です。

質疑応答:成長投資実施時の事前開示について

斎藤:「成長投資で一時的に利益が落ちるような時期は、事前に開示してもらえるのでしょうか?」というご質問です。

今回の第1四半期のマーケティング投資や人材の前倒し採用、その他にもプロダクトの開発、場合によっては資本を絡めた戦略投資など、これらは引き続き投資として実施していく予定です。

これらの投資には、あらかじめ計画していたものもあれば、その時のタイミングで決定するものも含まれると考えています。引き続き、決算発表や適時開示などを通じて情報を開示していきたいと考えています。

質疑応答:マーケティング投資および採用費の発生金額について

斎藤:「マーケティング投資と販管費が増加したことで赤字になったとのことですが、金額は平常時に比べてどのくらい増えたでしょうか?」というご質問です。

平常時のマーケティング投資や人材採用に関して、一時的に発生したものとしては、主にマーケティング投資と採用費が該当します。具体的な金額はお伝えできませんが、数千万円単位で発生しており、この部分が一時的に発生したものとご認識いただければと思います。

質疑応答:新しい営業組織体制に関する補足について

内山:「新しい営業組織の中身がわかりづらかったため、補足をお願いします」というご質問です。

スライドのとおり、営業組織は新規開拓、クロスセル・アップセル、パートナーセールスの3つに分かれています。また、DXコンサルティングでは、より深くお客さまにご提案できる体制を整えています。この4つの体制が新しい組織の構成となります。

質疑応答:新規顧客数増加に関する補足説明について

内山:「新規のお客さまが増えたことをもう少し実感できるように、補足説明をお願いします」というご質問です。

新規顧客数の開示は今回は行っていませんが、実際にはかなり増加しています。特に、「ショッパーみえーる」と行動変容サービスの2つをパッケージにして、日本中の小売事業者さまや外食事業者さまを次々と訪問している状況です。

それを担っているのが新規開拓チームです。日本中を訪問し、毎月「何件クローズできました」と報告する活動を行っています。その結果、これまでとは異なる次元で新規顧客が増えているのが現状です。

年度が終了しましたら、新規のお客さまを含めた数字を開示します。その際には、自信を持って良い結果をお届けできるのではないかと思います。

質疑応答:リカーリング顧客の売上貢献時期について

斎藤:「前年比でリカーリング顧客は大幅増加したのに増収率が前年に届かなかったのは、どう理解すればよいか?」というご質問です。

リカーリング顧客の売上貢献は少し先の話となります。リカーリング顧客の増加と売上拡大貢献には、通常1年から2年程度のタイムラグがあります。

現在の売上の大部分を占めているのは、前期以前にリカーリング顧客となったお客さまの売上が順調に増加した結果です。

したがって、この第1四半期で増えたリカーリング顧客の売上は、来年から再来年にかけて貢献が期待できます。

質疑応答:顧客予算の使用時期の偏りによる影響について

斎藤:「今年度の顧客予算が第3四半期に寄ったことにより、第1四半期の伸びが弱かったということはありますか?」というご質問です。

全体的に、unerryの売上は第3四半期に偏る傾向があります。お客さまによって予算の使い道やタイミングは異なり、第3四半期に重点的に使用される場合もあります。そのため、第1四半期の伸びに影響を与えた部分も一部ありました。

質疑応答:リカーリング顧客の重点顧客におけるクロスセル・アップセルの課題と対策について

内山:「決算サマリーのページで『客単価は調整を挟みつつ』という記載がありましたが、顧客単価は伸び悩んでいるんでしょうか? または下がっているんでしょうか?」に関するご質問です。

特にリカーリング顧客の中でも重点顧客である、以前からお付き合いいただいているお客さまへのクロスセル・アップセルが今回、やや停滞しています。そのため、それらの客単価があまり上がらなかったということが今回の回答となります。

全体のリカーリング顧客の客単価は約2,300万円を維持しており、リカーリング顧客数も増加していますので、全体としては堅調です。ただし、我々は重点顧客によって支えられているため、重点顧客へのクロスセル・アップセルをさらに強化することで、売上はまだ向上すると考えています。

質疑応答:DXコンサルティングチームの構成とスキルについて

内山:「DXコンサルティングの人数は何人くらいでしょうか? どんなスキルと経験の人をアサインしているんですか?」というご質問です。

現在のDXコンサルティングに関しては、4名ほどのメンバーが活動しています。まだ小規模なチームではありますが、この4名がいることで、多様な企業に対して提案が可能となっています。

メンバーのスキルや経験については、私たちのお客さまは小売関連が多いため、小売・外食企業でDX推進に携わっていた方や、元コンサルティング会社に所属していた方、また、テクノロジーのプロジェクトマネジメントに精通している方などがアサインされています。

質疑応答:間接原価の内訳とコストコントロールについて

斎藤:「間接原価率はどのように押さえ込むのでしょうか?」というご質問です。

間接原価の中身は大きく2つあり、インフラ費用と人件費等の配賦費用になります。いずれも固定費的な要素がありますが、インフラ費用についてはデータ量にひもづく変動費的な要素も含まれています。

現在はデータ量が増えていてもインフラ費用を抑えられているという事実があり、また固定費的な要素が主であることから、基本的には売上が伸びると間接費率は下がると想定しています。

内山:インフラのコントロール方法については技術的な内容も含まれます。データ量が増えるとインフラ費用も上がります。しかし、弊社では技術部門を中心に、データ量が増加しても費用が上がらないような対策を講じています。

例えば、システム構成の変更や不要なデータの削除などを行うことで、データ量の増加に対応しながらコストコントロールをうまく行える体制を整えています。

質疑応答:M&Aにあたり想定される業種や企業について

内山:「M&Aは、どんな業種や企業を想定しているんでしょうか?」というご質問です。

スライドの一番下に記載のとおり、unerryが保有するデータに類似するデータを持つ企業もあれば、unerryとは異なるデータを保有しながらも、うまく活用できていない企業も数多く存在します。

データは一定のボリュームがあり、さまざまなデータと連携できなければ、まったく価値を生み出さない点がデータビジネスにおいて重要です。

そのため、単体では価値が出ないものの、unerryと組み合わせることで価値を大きく生み出せる企業が実際に多く存在しており、そのような企業が当社にとっての狙い目であると考えています。

2点目に、プロダクトに関するお話として、データに基づいてプロダクトを作る企業は多いものの、なかなか成功を収められていない企業も少なくありません。

例えば、良いプロダクトであっても、データ量が少ないためにうまくいかない、または営業力が弱いために普及が進まないといったケースが挙げられます。そのような企業に対して、当社が資本というかたちで力を貸すことで、さらなる活性化を図っていきたいと考えています。

さらに、スライドの一番上に記載しているとおり、これまでの小売・外食、消費財メーカー、不動産などに加え、新たに製造、金融、モビリティ、ヘルスケア、農業など新しい分野でビジネスを展開している企業も対象として想定しています。

質疑応答:第3四半期に集中する利益構造について

斎藤:「通期計画とのギャップがかなりありますが、どの四半期で利益を出していくのでしょうか?」というご質問です。

当社の特徴として、第3四半期にほとんどの利益が出るという点があります。第1四半期、第2四半期、第4四半期については多少の増減はあるものの、基本的には第3四半期にその年の利益を稼ぐかたちとなっており、今期も同様の想定です。

質疑応答:GPSの限界とビーコンの必要性について

内山:「アメリカのような場所だと、ビーコンではなくGPSで足りてしまうのではないでしょうか?」というご質問です。

日本でも同様ですが、GPSは衛星からの信号を受信できることが前提となるため、利用可能な範囲は屋外が中心となります。アメリカにおいてもショッピングモールは非常に重要なエリアですが、ショッピングモールの中に入ると、衛星の信号が届かなくなります。

アメリカには膨大な数のショッピングモールがあり、その中の1店舗へ来店したというデータをGPSで取得することは困難です。

また、都市部、特にニューヨークやロサンゼルスの都心部やダウンタウンでは、衛星の信号は受信しにくくなります。これは建物の高さなどが影響し、GPSで高さ情報を取得できないためです。そのため、ビーコンの必要性があらためて認識されている状況にあります。

質疑応答:海外における競合他社の状況について

内山:「海外現地の競合他社はいますか?」というご質問です。

国ごとに状況は異なると思います。アジアに限定した場合は、現在ほぼ競合他社が存在していない状態です。

一方、アメリカに目を向けると、位置情報を取り扱っている企業は実際に何社かあります。ただし、それらの企業はunerryとはまったく異なるモデルで運営しています。

具体的には、位置情報に基づいて広告のみを手掛けている企業や、分析のみを行っている企業、または位置情報の技術のみを提供している企業になります。しかし、それだけではお客さまの課題を十分に解決することは難しいと考えています。

分析ができ、広告もでき、技術の提供も可能、という、この3つがそろっているからこそ、お客さまの売上が向上すると私たちは考えています。この3つをすべて提供できる企業は、少なくとも私の知る限りではアメリカには存在しないのではないかと思います。

質疑応答:グローバル事業の成長イメージについて

内山:「グローバル事業の売上の成長イメージについて教えてください」というご質問です。

当社の事業の立ち上がりの中では、リテールDX事業が想定以上に成長しており、金額ベースではリテールDX事業が最も伸びています。

次にリテールメディア事業、その次にスマートシティ事業が続き、最後にグローバル事業が伸びるというかたちになっています。そのため、2028年6月時点で5億円程度となり、その次の期以降にはグローバル事業がさらに伸びると考えています。

成長の順番としては、リテールDX事業、リテールメディア事業、スマートシティ事業、グローバル事業の順となります。数字の目標については、スライドをご参照ください。

質疑応答:unerryが目指すビジョンとプロダクトの取り組みについて

内山:「リテールDX事業の顧客が増えていくと、どんな世界をイメージされていますか?」というご質問です。

我々のビジョンそのものである「unerry, everywhere」に該当します。どの街に行っても、どの店に行っても、どのような情報に触れていても、実はunerryの仕組みが整っていることを目指しています。

その一例をお伝えすると、現在プロダクト投資を行っているパートの1つとして、小売業界での取り組みがあります。小売店では多くの商品が取り揃えられており、みなさまもテレビCMを目にすることがあるかと思います。

例えば、テレビCMを見た人が店舗周辺に行くと、先ほどのCMと同じ商品の情報が、店舗前でプッシュ配信されてスマートフォンに届きます。店舗内にはデジタルサイネージが設置されており、来店者に合わせて画面が切り替わったり、自分のスマートフォンにも同様の情報が配信されたりします。

その情報を見たお客さまが商品を手に取り、レジで購入すると、その購入データを活用して効果計測を行います。このような仕組みを、当社のデータと技術を用いて実現しています。

この仕組みは、現在のご利用は百数十社の企業さまにとどまっていますが、大手企業でも導入が進んでいます。今後は日本全国のさまざまな小売企業さまで同様の体験がどんどん実現できるように進めていきたいと考えています。

これまでネットの世界では当たり前に行われていたことが、リアルな場ではまったく実現できていませんでした。今後は、unerryの仕組みで次々と実現していきたいと思っています。

質疑応答:2028年6月期における100億円達成見通しについて

内山:「前年の第1四半期が好調だったということで、今期27パーセントの着地ということは、一定の理解ができます。ただし、これから2年間で売上および利益を上げていかなければいけないと考えた時に、販管費が増えると不安を感じます。2028年6月期の売上および利益の確度はどれくらいあるのでしょうか? 自信はありますか?」というご質問です。

2028年6月期に100億円を達成するという目標については、当社にとって通過点であり、達成可能と考えて計画を掲げています。

先ほどの「リカーリング顧客はどれくらいが上限ですか?」というご質問を引き合いに出してご説明しますと、小売・外食市場において、日本のチェーン店は2,200社存在します。

その中で、現状リカーリング顧客となっているのは161社であり、その一部が小売業、外食業に該当しています。このため、2,200社のうち、まだ多くの顧客を取り込めていない状況です。

今年は50億円程度の売上が見込まれていますので、リカーリング顧客が倍増することは、それほど難しい目標ではないと考えています。もちろん課題は多いものの、達成できる水準であるというのが私の現時点での見解です。

さらに言うと、先ほどは小売業、外食業についてお話ししましたが、我々のデータにはメーカーや自治体だけでも1,700市町村以上の活用先があります。加えて、製造業、ヘルスケア、金融といったあらゆる産業に広がりを持たせていけるポテンシャルを考えると、さらなる成長の可能性があると考えています。

したがって、100億円は通過点であり、その実現可能性は非常に高いと認識しながら、日々、会社運営に取り組んでいます。

質疑応答:通期のマーケティング予算について

斎藤:「マーケティング費用を第1四半期に増やしたということですが、通期の予算の変更はないでしょうか?」というご質問です。

「通期予算を超えてマーケティング費用がもっと増えるのではないか?」というご心配かと思います。これについては、通期のマーケティング予算を前倒しして第1四半期で使用したため、現時点では通期のマーケティング予算を増やす計画はありません。

質疑応答:今後の成長戦略における認知度向上策について

内山:「今後の成長戦略として、認知度向上はどう進めていくお考えでしょうか?」というご質問です。

unerryという会社は、1つの課題として認知度の問題があると認識しています。有名なBtoC企業、例えばアプリを展開している企業と異なり、当社はBtoBの企業であり、一般の日本企業の方々に広く知られている会社ではないというのが大きな課題です。

この課題に対しては、私自身のコミットメントとして、「YouTube」や一部の動画メディアを活用した露出を増やし、unerryという会社や私が目指すビジョン、また当社が社会にどのように貢献しているかを、日本の多くの方々に感じていただけるような活動を進めていきたいと考えています。

特にメディア露出を強化することで、この課題に取り組む所存です。もちろん、会社全体としてソーシャルメディアを活用する取り組みも進めていますが、それに加えて私自身のコミットメントとして認知活動にも力を入れていきたいと考えています。

質疑応答:機関投資家との面談数の増加状況について

斎藤:「最近、アセットマネジメントOneの保有割合が増えたという報告がありましたが、機関投資家の面談やアクセス数はどう変化しているでしょうか?」というご質問です。

先日の大量保有の変更報告書をご覧になったのだと思います。最近、機関投資家との面談数は確実に増えています。これは国内だけでなく海外、主にアジアの機関投資家からのアクセスが増えており、四半期ごとに面談を行っています。

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