【QAあり】SHINKO、2Q単体の売上高・売上総利益・営業利益は上場来最高を記録 ソリューション事業の売上高が大幅増加
会社概要

福留泰蔵氏(以下、福留):みなさま、こんにちは。株式会社SHINKO代表取締役社長の福留泰蔵です。本日は決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。さっそく、2026年3月期第2四半期の決算についてご説明します。
まず、株式会社SHINKOについて簡単にお話しします。当社は1953年に創業し、今年で72周年を迎えました。事業内容としては、保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業の3事業を展開しています。
事業内容

保守サービス事業では、電子カルテや診療報酬明細書を作成するレセプトコンピューターなど、ウィーメックスが製造している製品をはじめ、多くのIT機器メーカーおよびシステムベンダーからの依頼を受け、機器を設置しているお客さまのもとでオンサイト保守を提供しています。保守サービス事業の売上の約75パーセントは、年間契約に基づくストックビジネスとなっています。
ソリューション事業では、取引先企業からIT機器関連の導入業務を受託し、当社で機器の選定や設定を行い、エンドユーザーに設置する業務を行っています。サービスの提供先は、民間企業から官公庁まで幅広く対応しています。
当社の強みは、システムの提案、設計・構築、導入展開といったサービスをワンストップで提供できることです。さらに、機器設置後の保守や運用サービスも提供できる点が、お客さまから評価されています。
人材サービス事業では、保守サービスを提供するカスタマエンジニアや、ネットワークの構築を行うシステムエンジニアを派遣しています。また、エンジニアがお客さまのもとに常駐する業務請負も行っています。
決算ハイライト
2026年3月期第2四半期の決算についてご説明します。決算ハイライトとして、売上高は79億7,400万円、営業利益は1億5,500万円となりました。経常利益および中間純利益はスライドに記載のとおりです。第1四半期は赤字でしたが、第2四半期では黒字へと転換しました。
本社事務所の拡張や従業員の待遇改善などの取り組みにより、人件費や販売費及び一般管理費が増加し、前年同期と比べると利益は減少しています。ただし、第2四半期は計画以上の進捗となっており、下期では複数の大型案件の受注を予定しているため、通期では業績予想どおり増収増益で着地する見込みです。
全体Q推移

四半期ごとの実績推移についてです。スライドは売上高、売上総利益、営業利益の年度別・四半期ごとの推移を示しています。売上高、売上総利益、営業利益は上場以来の最高を記録しました。
2026年3月期(第2四半期) 売上高前期差異分析

前年同期の売上高との差異分析です。保守サービス事業は堅調に成長しています。ソリューション事業はDXに伴う案件の増加により大きく伸びています。また、単価の向上などの交渉を重ねた結果、人材サービス事業も成長しています。人材サービス事業では需要が多く見込まれるため、今後も人員を増やす計画です。
2026年3月期(第2四半期) 営業利益差異分析

前年同期の営業利益との差異分析です。3事業とも前年同期比で売上高が増加したため、その分営業利益が増加しました。一方で、定期昇給やベースアップ、人員増加といった人的投資を行った結果、前年同期比で8.6パーセント増加し、マイナス要因となりました。
プラス要因としては、前年同期と比べて物販より役務が多い案件構成だったため、仕入れが減少しました。ただし、仕入れ以外の原価では、外注費の増加がマイナス要因となっています。販管費の増加については、本社拡充に伴う事務所賃借料の増加などが挙げられます。
セグメント別売上高、利益

スライドは、セグメント別の売上高と利益を示しています。次ページ以降で、セグメントごとに詳しくご説明します。
保守サービス事業

保守サービス事業は、売上高・セグメント利益ともに順調に成長しています。また、利益率も前期比で上昇しています。
オンライン資格確認機器導入後の保守が、過去2年間増加しています。また、小売店の新店舗開店に伴う需要が継続しており、ネットワーク整備後の保守にも対応しています。さらに、GIGAスクール関連では、これまで受託している保守区画に新たな区画が追加され、規模が拡大しています。
ソリューション事業

ソリューション事業では、官公庁案件の受注が徐々に始まっています。工事開始前の現地調査やアスベスト調査の検収が完了し、上期の売上高に貢献しました。今後は本格的な工事の受注に向けて取り組んでいきます。また、特にヘルスケア市場では「Windows 11」への入れ替え需要が豊富にあり、売上が大きく伸びました。
人材サービス事業

人材サービス事業では、派遣単価の交渉を継続的に行っており、一定の成果を上げることで売上高の増加につながっています。
なお、派遣者数は前年同期と比較して減少しています。これは今期大型案件を受注する予定に伴い、体制整備を目的とした人事ローテーションを派遣者側で実施したためです。
2026年3月期(第2四半期) 業績B/Sサマリー

B/Sのサマリーです。詳細については、決算短信または半期報告書をご確認ください。
2026年3月期(第2四半期) キャッシュフロー

キャッシュフローについてご説明します。先ほどお話しした大型案件への取り組みにより、棚卸資産が大幅に増加しました。それに伴う支出が大きく増加したため、営業キャッシュフローはマイナスとなっています。
投資キャッシュフローでは、中部支店の移転に伴う工事費用や勤怠管理システムのクラウド化による支出がありました。また、財務キャッシュフローでは配当金の支払いによる支出が発生しています。これにより、現預金は3億7,200万円減少しました。
採用の状況(2025年10月末時点)

2026年の新卒採用計画は70名を予定しており、現在の進捗率は約55パーセントです。中途採用については進捗率約60パーセントと、順調に進んでいます。
株式分割について

株式分割についてご説明します。10月1日付で、1対3の割合で株式分割を実施しました。詳細はスライドに記載しているとおりです。なお、株式分割による配当予想の修正はありません。期初に今期の配当を105円と発表しましたが、3分割後は35円となり、分割前に換算すると同額 です。
SHINKOを取り巻く環境

2026年3月期の通期見通しについてご説明します。市場環境については、IT人材不足、国内IT市場の成長、DX推進などにより、引き続き成長が続くと予測しています。
今期は、「Windows 10」のサポート終了に伴うパソコン・サーバー等の入替や新規購入、GIGAスクール構想第2期となる「Next GIGA」の開始などにより、当社が得意とするIT機器の設置展開の需要が拡大すると見込んでおり、上期においても関連する案件を受注しています。また、今期は官公庁の入札案件が豊富な年となっており、複数の大型案件受注に向けて取り組んでいます。
SHINKOの強み

当社は、このような市場環境およびSHINKOの強みを活かしながら成長を目指しています。事業間の送客シナジーを活かした独自のビジネスモデル、大手企業との長年のリレーションによる安定した顧客基盤、全国60以上の拠点による全国ネットワーク、700名を超える豊富なIT人材を組み合わせることで、当社の事業はさらに拡大していくと予測しています。
保守サービス事業

保守サービス事業において当社が競争力を有している点は、全国ネットワークを有し、すべてのエリアで同一品質のサービス提供が可能であることです。現在は人材不足の市場環境であるため、保守サービス事業からの撤退を検討する企業が増えているようです。当社は保守サービス事業からスタートした経緯があり、業務体制が整備されていることから効率的に取り組むことができ、コスト面でも競争力を持っていると考えています。
上場により当社の認知度が向上したことで、保守サービスに関する問い合わせが増加しています。また、上場後に拡張したテクニカルセンターをショールーム化して保守を「見える化」したことにより、さらなる効果が表れ、保守サービス案件は毎年堅調に増加しています。
ソリューション事業から保守へつながる案件や、テクニカルセンターの見学をきっかけに、今期も新規の保守契約につながるケースが多数出ています。今後も引き続き、当社の安定基盤として保守サービス事業を成長させていきたいと考えています。
ソリューション事業

ソリューション事業では、さまざまなDXを推進しています。当社の700名を超えるエンジニアによるオンサイト作業実績が高く評価され、安定して売上を伸ばしています。新規取引先に加え、大手企業との長年のリレーションの中で当社の技術力への期待が寄せられ、大型の官公庁案件で協業のお話をいただく機会が増えています。
今後は営業力をさらに強化し、パートナー各社との関係を深めるとともに、エンジニアのスキル向上によって対応可能な作業範囲を拡大し、事業の成長を目指していきます。
ソリューション事業の拡大は、シナジー効果によって保守サービス事業の成長や事業基盤の拡大につながるため、当社の成長を支える重要なドライバーとして、特に注力して取り組んでいきます。今期上期には、パソコンの入れ替え案件が数多く発生しました。10月に「Windows 10」のサポートが終了した後も、下期に引き続き複数の案件をいただいており、これらに対応していきます。
また、官公庁案件においては、上期に事前の現地調査やアスベスト調査の受注に取り組みました。今後は本格的な工事が順次開始される予定であり、それらを確実に受注できるよう引き続き活動していきます。
人材サービス事業

引き続きIT人材が不足する中、人材サービス事業においては、既存取引先から毎年多くの増員要請や新規派遣の需要があります。人材派遣の新規要請に対応するため、人材の調整を進めています。
実績及び2026年3月期計画

2026年3月期は、官公庁案件をはじめとする多くの作業系案件の獲得を進めることで、売上高183億円、営業利益8億円を目指しています。
以上でご説明を終了します。参考資料を添付しているので、ご確認いただければと思います。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:ソリューション事業におけるパートナー各社との取り組みについて
質問者:ソリューション事業でパートナー各社との連携強化についてご説明がありましたが、具体的にはどのような取り組みを進めていく予定でしょうか?
福留:ソリューション事業については、2つの方向性から拡大を図っています。1つは既存の取引先に対する取り組みです。具体的には、日本電気(NEC)やKDDIといったさまざまな企業との業務をさらに深めながら拡大を進めています。
もう1つの方向性としては、新たな取引先を増やす取り組みを進めつつ、事業の拡大に取り組んでいます。ソリューション事業については、官公庁案件の需要がこれまでになく高まっていると認識しています。特にデジタル庁関連の大型案件のうち、取引先が落札した案件で、調査や準備などさまざまなかたちでお手伝いを始めたところです。これらを着実に受注につなげ、今期のソリューション事業の拡大を目指していきます。
官公庁案件はこれまでも取り組んできましたが、今期はデジタル庁の動向から業務が増加することが見込まれ、来期にもつながると予測しています。この分野には引き続き力を入れていきたいと考えています。
質疑応答:来期の事業環境について
司会者:「来期について、成長が期待できそうな事業、あるいは事業環境をどうご覧になっているかを、簡単でいいのでお話しいただきたいです」というご質問です。
福留:先ほどご説明したとおり、今期は「Windows 10」のサポート終了があり、これはある意味で特需的な期といえます。また、「NEXT GIGA」という需要も存在します。一般的には、それらの需要の反動が来期に現れることが予測されます。
ただし、IDC JapanによるIT需要では、2024年から2029年にかけての平均成長率は、昨年のレポートの4.9パーセントから6.4パーセントへ上方修正されています。当社の事業環境において、IT需要は引き続き旺盛であると考えています。
また、政府のデジタル・ガバメント政策によるDX推進が進む中で、官公庁や自治体のIT支出は来期も継続的に増加すると予測しています。今期の案件については受注に向けて取り組んでいるところで、これらの実績を来期以降につなげていきたいと考えています。
政府関連の案件は大型案件が多く、その後の保守サービス事業にもつながるため、案件を確実に進める体制を構築していきます。官公庁案件を確実に増やすことにより、当社の事業基盤である保守サービス事業がさらに拡大・安定すると期待しています。
質疑応答:今後の事業展開について
質問者:御社の事業展開がなかなか加速しないという印象を持っています。以前にも同じような質問をしたかもしれませんが、今後どのような状況になると成長速度が変わってくるとお考えでしょうか? 課題はいろいろあると思いますが、実際にさまざまな取り組みを行っている中で、どのような選択肢をお考えですか?
福留:ご存じのとおり、当社は労働集約型の事業を展開しています。単純に言うと、基本的には社員数に伴って売上が増えていきます。どのような営業活動を行っても、最終的には社員がさまざまな作業を行うことで売上が成り立っています。
一部、物販で売上を計上している部分もありますが、物販では利益を多く確保するのが難しい事情があります。そのため、基本的には労働集約型の役務案件を中心に事業を展開しています。
当社は右肩上がりの計画を継続しており、実績として基本的に増収増益を実現しています。ただし、ほぼ人員体制の構築を伴って進めてきたのが現状です。指数関数的に売上を伸ばすためには、一つには人員を増やすことが挙げられますが、人員体制の増強には限界があり、計画的に人を増やしていくしかないという側面があります。
ご指摘のとおり、事業を急速に伸ばすためには、自社の製品やソリューションを開発し、それを外部で販売していただける体制を構築できるかどうかが1つのポイントだと思っています。自社の社員だけですべての仕事を手掛けた場合だけが売上につながるのではなく、当社が付加価値を付けたソリューションを開発し、それを展開していくことで、さらなる右肩上がりの成長が期待できると考えています。
方向性として、AIを活用した保守業務などの開発など、さまざまなことを検討しています。また、自社プロダクトの開発をいかに進めていくかが、重要な課題の1つであると考えています。
さらに検討すべきこととして、M&Aを通してさまざまな企業との協業を増やし、それによって成長速度を上げていくことも必要ではないかと考えています。
質疑応答:AIによる脅威とチャンスについて
質問者:今、「AI」という言葉が出たかと思いますが、素人目線で恐縮ですが、御社が取り組んでいる領域は将来的にAIに侵食されるリスクがありそうにも見えます。一方で、AIをうまく活用することで大きなチャンスとなり、その領域にリソースを集中させることで大きく飛躍する時期がくるとも思いました。AIの脅威とチャンスについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
福留:AIに関して、当社は脅威よりもむしろチャンスだと考えています。具体的には、AIを活用した保守・運用システムを検討しています。コールセンター業務などでよく見られますが、お客さまからの問い合わせに対してAIを使って迅速に回答するシステムの開発です。
当社のコールセンターやテクニカルセンターでも導入することが可能ですし、当社のオンサイト現場におけるさまざまなお客さま対応についても、AIを活用することで非常に効率的な運用が実現できると考えています。これはまだ構想の段階ですが、AIを活用した保守・運用によって、コストが削減できるのではないかと期待しています。
そのような意味で、当社の中でのAIを活用した保守・運用によりコスト削減を実現し、顧客の拡大も期待できると考えています。また、AIを活用した保守・運用システムを当社で構築できれば、システム自体を外販することも可能だと考えています。
質疑応答:AI関連事業における他社との差別化戦略について
質問者:AI関連は他社でも対応可能な部分があると思いますが、御社が他社に先んじて取り組むには何が必要でしょうか? また、他社では実現できない、御社ならではの領域を作り出すとすれば、それはどのようなところでしょうか?
福留:おっしゃるとおり、AIはシステムを構築すればよい話です。ただし、ご存知のとおり、どのようなデータを蓄積するかが重要なポイントの1つとなります。当社には、さまざまな保守・運用データや機器のデータ、保守現場からのさまざまな障害データといった資産があります。これらを蓄積することで、他社に対して競争力を持つ保守向けのAIサービスを構築できるのではないかと考えています。
質疑応答:役務案件の効率化と効率アップについて
司会者:「役務案件が多いとのことですが、AIの普及は御社の脅威になりますか? また、逆にAIを活用する考えはありますか?」というご質問です。
福留:当社は、役務案件の効率化にAIを活用できると考えています。先ほどもお話ししたとおり、1つの作業時間を短縮するなど効率的な運用に役立てることで、4割程度の効率アップを目指していきたいと思います。
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