【QAあり】J-TEC、2Qは全事業増収・損失縮小 ラボサイト事業やCDMO受託事業拡大により、通期営業損益の見通しは据え置き
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山田一登氏(以下、山田):代表取締役社長執行役員の山田です。どうぞよろしくお願いします。
本日はお忙しい中、当社2026年3月期第2四半期決算説明会ライブ配信にご参加いただき、誠にありがとうございます。2025年4月から9月までの業績をご報告するとともに、今後の取り組みについてご説明します。
2026年3月期 第2四半期(中間期)の業績

はじめに第2四半期決算概況をご説明します。2026年3月期第2四半期の業績は、再生医療製品事業と再生医療受託事業の売上減少により、売上高は9億9,800万円となりました。前年同期比では1億6,300万円の減収となっています。営業損益はマイナス3億7,600万円で、前年同期比1億6,800万円の減益となりました。
2026年3月期 第2四半期(中間期)決算のポイント(実績)

決算のポイント(実績)についてご説明します。第1四半期が非常に厳しい結果であったのに対し、7月から9月の第2四半期では全事業で増収を達成し、営業損失も縮小しました。
一方で、中間期累計の実績については、前年同期比でラボサイト事業はプラスとなったものの、「ジェイス」熱傷治療において、注文をいただいた数に対し中止した数の割合が多かったことが影響しました。
また、昨年度は受託事業において受託していたプロジェクトが終了し、一時収入金がありましたが、今期中間期ではゼロとなり、減益となりました。
当社の計画に対しては、「ジャスミン」が一部医療機関での導入遅延、「ネピック」「オキュラル」でも既存施設における新規患者数の伸び悩みがあり、進捗に遅れが見られました。現在はその挽回に注力しています。
この中間期の営業損益については、再生医療製品事業の売上において「ジャスミン」の販売開始による増収の一方で、「ジェイス」の不調を補い切れませんでした。再生医療受託事業についても、先ほどご説明したとおり、特定の顧客からの一時収入がゼロだったことが影響しています。
再生医療受託事業の売上として、帝人からの受託で協業の進展によりプラス1,300万円となりました。また、ラボサイト事業では海外展開が進み、海外の顧客による利用が増加したことから、2,800万円の増加となっています。
その他要因のマイナス600万円を踏まえた営業損益は、マイナス3億7,600万円の結果となりました。
成長施策に関する進捗状況

当社が掲げている成長施策の進捗状況についてです。「ジャスミン」については、第2四半期に拠点施設を拡大し、第1四半期時点で3施設だったものを8施設まで拡大することができました。また、治療対象の患者さんにこの製品を知っていただくため、Webを活用した患者啓発活動を行っており、実際に患者さんからの問い合わせは増加しています。
皮膚領域の「ジェイス」については直近で復調傾向にあります。同種培養表皮「Allo-JaCE03」については、今年度中の承認申請を目指して順調に進捗しています。さらに、自由診療における「きずときずあとのクリニック」のリストカット痕治療についても、引き続き培養表皮を提供しています。
軟骨領域については、「ジャック」の変形性膝関節症への適応拡大に関して、今期第3四半期の保険収載を目指し、厚生労働省との協議が着実に進捗しています。保険収載後の提供体制の構築も順調に進めています。
角膜領域においては、「ネピック」「オキュラル」の既存施設での新規患者の伸び悩みが見られますが、新規施設の開拓や潜在患者への治療啓発を推進しています。また、角膜移植の症例数が日本でトップクラスの新規施設において「ネピック」「オキュラル」が採用され、第2四半期に成果が出ています。
自家CAR-T細胞については、引き続き医師主導治験を進めている状況です。再生医療受託事業については、既存顧客への役務提供が着実に進展しているほか、10月28日に開示したAlliedCel社との開発品の商用生産に向けた業務委受託契約を締結しました。
また、経済産業省の「再生医療CDMO補助金」に採択され、当社が受託事業の成長に必要な施設・設備拡張に向けて具体化を進めています。
ラボサイト事業については、国内外の新規顧客を順調に獲得しています。2026年度に上市予定の研究用腸管上皮モデルについても、技術移管を7月から開始しました。
下期挽回策

下期の挽回策についてご説明します。上期の実績で出遅れがあったものの、下期では挽回策を着実に遂行し、年間営業損益1億円から2億円を目指す方針に変更はなく、着実に対応していきます。
再生医療製品事業では、「ジャック」OAの保険収載が決定後、まず既存の「ジャック」を使用している施設において、垂直立ち上げを進めているところです。
「ジャスミン」については、使用施設数を今年度末までに20施設まで広げる予定です。引き続き、患者啓発活動に注力することで受注を増加させます。
「ジェイス」熱傷治療に関しては、2025年度第1四半期が非常に低調でしたが、第2四半期は回復傾向にあることから、下期にかけては例年どおり受注件数の増加が見込まれると考えています。
「ネピック」「オキュラル」については、角膜移植の件数が日本国内でトップクラスの新規施設等において継続使用されることにより、受注の増加が見込まれます。
再生医療受託事業に関しては、引き続き既存顧客への対応に加え、新規顧客への役務提供も進めていきます。帝人からのマイルストーン収入も下期に見込んでいます。
ラボサイト事業については、海外での販売拡大と、その需要に対応するため、現在欧州拠点の設立を検討しています。
開発パイプラインの上市目標

開発パイプラインの上市目標についてです。「ジャック」の変形性膝関節症に対する保険収載は、引き続き今期第3四半期中を目標に進めています。
自家CAR-T細胞に関しては、引き続き医師主導治験を進めています。昨年度は悪性リンパ腫に対する医師主導治験を実施してきましたが、現在は急性リンパ性白血病に対しても治験製品の製造を進めています。
ジャスミンの拡販策

ここからは、「ジャスミン」の拡販策についてさらに詳細にご説明します。「ジャスミン」を用いた白斑治療が実施可能な拠点病院は、東京都で3施設、神奈川県で1施設、愛知県で2施設、大阪府で1施設、九州では大分県で1施設と8施設まで拡大しました。
また、患者さんが白斑治療において「ジャスミン」を使用できることをよりわかりやすくご理解いただくため、当社のホームページに特設サイトを新たに開設しました。治療の流れや、「ジャスミン」を使用した治療が保険診療であること、さらにはどのような患者さんが「ジャスミン」の対象となるかなど、図解でわかりやすく紹介しています。
AlliedCel社と業務委受託契約を締結

再生医療受託事業におけるトピックです。直近では、AlliedCel社との業務委託契約を締結しました。これまで当社は、治験製品を受託してきましたが、新たなステップとして、AlliedCel社が開発中の「誘導型抑制性T細胞(開発名「JB-101」)」について、上市後の製品製造を当社が担うことを前提に、技術移管を目的とした業務委託契約を締結しました。
今回締結した契約内容は、まず技術移管に向けた製造プロトコルや課題抽出などを当社で初期調査するというものであり、その後、技術移管や上市後の生産体制の整備についても契約を進める予定です。
AlliedCel社が開発している「JB-101」は、臓器移植後の免疫拒絶反応を抑制するもので、通常は患者さんが生涯継続して内服する必要がある免疫抑制剤からの離脱をサポートする製品です。これにより、免疫抑制剤の使用によるさまざまな有害事象の低減だけでなく、移植臓器の生着率向上も見込めます。
これに向けて、当社として技術移管や承認取得、市販までの対応においても、自社で承認を受けた5製品の経験を踏まえ、さまざまなサポートが可能であると考え、協力させていただくこととなりました。
海外販路開拓支援事業補助金の採択に関するお知らせ

また、ラボサイト事業において、愛知県が公募した「海外販路開拓支援事業補助金」に採択されています。この補助金は補助対象経費の3分の2が補助され、上限は50万円です。
当社はヨーロッパでの販路拡大を目指して、ギリシャで開催された「EUROTOX 2025」という展示会に出展しました。こちらは、毒性の安全性などを研究するEUの研究者が一堂に集まる学会です。
再生医療製品事業:皮膚領域(ジェイス・ジャスミン)

各事業別の詳細についてご説明します。まず、再生医療製品事業の皮膚領域「ジェイス」「ジャスミン」の状況です。自家培養表皮「ジェイス」の熱傷治療は、第2四半期の受注が回復傾向にあります。
先天性巨大色素性母斑では、昨年度に新しい併用療法の検討で受注数が非常に多かったものの、現在はその対象患者が一巡し、受注が減少しています。現在、併用療法の治療成績を評価中です。この併用療法が有効であるという結果が得られれば、さらなる普及に向けた施策を推進していきます。
メラノサイト含有自家培養表皮「ジャスミン」については、一部医療機関での導入準備に時間を要しましたが、拠点施設の拡大や患者啓発活動により、下期に向けて受注は増加傾向にあります。
さらに拠点施設を全国展開させ、患者さんの認知を着実に広げることを目的に、情報発信や啓発活動を強化していきます。自由診療についても、引き続き当社の培養表皮を提供していきます。
再生医療製品事業:軟骨領域(ジャック)

再生医療製品事業の軟骨領域「ジャック」については、第3四半期での保険収載を目指し、厚生労働省との協議を着実に進めていきます。
また、保険収載後には速やかに製品提供を開始できるよう、既存施設での立ち上げを迅速に進めるとともに、新規施設に向けても、これまでの「ジャック」の有効性・安全性について説明会などを通じて理解を深めていただく取り組みを進めています。
再生医療製品事業:角膜領域(ネピック・オキュラル)

続いて、再生医療製品事業の角膜領域「ネピック」「オキュラル」についてです。新規患者候補の伸び悩みはありますが、販売を担うニデック社と連携し、角膜専門医による治療啓発を進めています。
また、全国トップの角膜移植実績を持つ新規医療機関で採用され、これらの医療機関で継続的に利用していただけるよう取り組んでいきます。
再生医療受託事業

再生医療受託事業についてご説明します。一般顧客からの受託については、特定顧客からの一時的な収入は今年度第2四半期の時点ではありませんでしたが、アクチュアライズ社に加え、昨年度に資本業務提携を行ったVC Cell Therapy社とも連携し、受託を進めています。
メトセラ社とは、機能的単心室症を対象とする再生医療等製品の治験製品製造に関する契約を締結し、受託を開始しています。
帝人関連では、帝人との協業は着実に進展しており、増収となっています。また、経済産業省からの「再生医療CDMO補助金」については、当社と帝人側で受託を行う帝人リジェネット社が共同で採択されており、当社だけでなく、帝人でも施設拡張計画が順調に進んでいます。
ラボサイト事業

ラボサイト事業についてです。欧州では「EpiSensA(エピセンサ)」の関心が高まっており、顧客数が着実に拡大しています。当社としても、この機会を逃さないよう本格展開に向けて人員を増強しています。
また、インドでは表皮モデルに加えて角膜モデルへの関心も高まりつつあり、インド市場のニーズに応じた営業活動を積極的に進めています。
国内においても、「EpiSensA」の技術講習会による手技指導に加え、「EpiSensA」の受託治験を帝人構造解析センターと連携して実施しており、これにより受注が拡大しています。
新規製品である研究用腸管上皮モデルについては、大阪大学からの技術移管を7月から開始しました。このラボサイト事業では、動物を用いない安全性評価の試験系製品のラインアップを充実させていきます。
私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:帝人からのマイルストーンの可能性について

質問者:受託に関して、現状で実績は減収となっており、下期の回復を待つかたちかと思いますが、下期の戦略の中に「帝人からのマイルストーン収入の計上」という記載があります。このマイルストーンを受領でき
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