スリー・ディー・マトリックス、初の製品売上で営業黒字に転換 1Q売上高は前年比+47.7%、米国での高成長が継続
エグゼクティブサマリー
岡田淳氏:代表取締役の岡田です。本日はご多用の中、ご視聴いただき誠にありがとうございます。私から、2025年度第1四半期の決算概要についてご説明します。
まずはエグゼクティブサマリーです。第1四半期の連結売上高は21億9,000万円となり、前期比で47.7パーセント増加しました。特に米国では高い成長を維持しており、勢いが続いています。
売上高が計画を上回ったことに加え、費用削減も進んだ結果、営業利益は951万円となり、当社として初めて製品売上による黒字化を達成しました。
今後も四半期を通じて黒字を継続し、営業利益を増加させていく計画です。なお、2025年度通期の計画に変更はなく、4億円の営業黒字を目指しています。
2025年度第1四半期の業績:目次
本日のアジェンダです。財務状況および開発状況についてご説明します。資料には参考として会社紹介を添付していますが、そちらのご説明は割愛します。
損益計算書の概要
損益計算書です。事業収益は前年同期比で74パーセント増加しています。また、粗利も56パーセント増となり、営業利益は3億円以上改善し、四半期での営業黒字を達成しました。
経常利益以下については、円安による子会社貸付金などの評価益により、大きく黒字に転換しています。この点については、次のスライドで補足説明します。
(再掲)為替差損益が発生する仕組み
当社は子会社に対して外貨建てで貸付を行っているため、為替レートの変動により貸付金の金額が変動します。変動した金額を為替差損益として認識しているため、経常利益以下に為替に連動した変動が生じます。
円安が進行した場合の例をスライド右側に示しています。1ドル100円だったものが円安により1ドル110円になると、子会社貸付金などの外貨建ての金額が円建てでは増加します。
その増加分が益として認識され、これが為替差益となります。このため、経常利益や当期純利益に反映され、結果として大幅な改善が見られる状況です。
しかし、これは為替に連動した財務諸表上の損益であり、事業上のコストが増減したり、キャッシュが出入りしたりしているわけではありません。
したがって、為替によって大きく変動しますが、どちらかといえば営業利益を重視して見ていただくほうが、事業の実態をより正確に把握できると考えています。
貸借対照表の概要
貸借対照表です。売上の増加に伴い、売掛金が増えています。
転換社債の転換が進んだことで、固定負債が大きく減少しました。それに伴い、純資産が約9億円増加しています。
実績推移と3か年の計画と目標
3ヶ年計画です。今期は、売上高92億8,300万円を計画しており、前期から34パーセント増を見込んでいます。
それに伴い、営業赤字だったものを今期では黒字に転換し、4億円の営業黒字を計画しています。以降は売上を順調に拡大させ、営業利益も大幅に増加させることを目標としています。
エリア別の売上計画
エリア別の売上計画についてです。灰色の棒グラフが一昨年度、薄いピンク色が昨年度、赤色が今年度の計画を示しています。スライド左側が米国、中央が欧州、右端が日本です。
米国では、今期は55パーセントの成長を目指しており、前期と同程度の増額を計画しています。今期の成長に向け、営業リソースをすでに1.5倍に拡充しています。
営業1人当たり売上高の維持を前提として、人員を1.5倍に増加したことにより、売上も約1.5倍になる計画です。また、市場には依然として数倍の成長余地があり、売上が頭打ちになる可能性はまだ低いと考えています。
欧州は、今期は21パーセントの増加を計画しており、これは前期と同水準です。前期も21パーセントの成長を達成しました。代理店販売が主体のため、大きな営業リソースの追加は予定していません。
ドイツなど、前期に成長が伸び悩んだ国々においては、成長を見込まない計画です。一方で、耳鼻咽喉科や泌尿器科が次の柱として成長しつつあり、この分野の成長を継続させる計画です。
日本は、前期は37パーセントの成長を達成しましたが、今期は8パーセントの成長と見込みを控えめにしています。これは、大規模病院のカバレッジがすでに高いことや、新規顧客による成長が縮小しているためです。既存顧客での使用本数を徐々に増やすことに重点を置き、成長を維持していきたいと考えています。
売上高前年同期比
第1四半期の実績についてです。売上高は21億9,400万円となり、前期比で47パーセントの成長を達成しました。内訳を見ていただくとわかるように、米国が非常に大きく成長しています。
販売活動の進捗:米国
各国ごとの販売状況の進捗についてです。まず、米国ですが、スライド左端の棒グラフが前年同期を示しており、それに対して87パーセント増と、依然として高い成長を維持しています。グレーの棒グラフは計画値を表していますが、計画比に対しても10パーセント上振れしています。
消化器内視鏡領域においては、前期に引き続き、全地域において営業チームの成長が顧客獲得および売上成長につながっています。人員を増やすほど成長が促進され、その結果、貢献利益も増加する状況が継続しています。
今までは比較的アーリーアダプターを対象にマーケティングを進めてきましたが、今後はマスセグメントを本格的に攻めていくフェーズに入ります。マスセグメントは数倍規模の大きな市場ですが、これに対応するため、営業チームでは攻めと守りの両面を意識した各種施策を実施しています。
攻めについては、新規顧客の獲得がより困難になると想定されるため、データに基づいた営業や、施術・手技に応じた提案力を高めることで、より難易度の高い新規顧客の獲得に努めていきます。
一方、守りとしては、既存のお客さまの維持にもしっかりと注力し、せっかく獲得したお客さまを失わないよう努力していきます。営業の質の向上に力を入れ、今後より大きなセグメントを攻めていきます。
事業の利益創出力を強化し、今期は米国事業の黒字額拡大に貢献していきたいと考えています。
耳鼻咽喉科領域については、貢献利益の黒字を維持しつつ、堅実な成長を実現しています。
販売活動の進捗:欧州
欧州についてです。前期比で26パーセント成長しており、予算も上回っています。
消化器内視鏡領域においては、イギリス、イタリア、オーストリアで病院での使用量増加活動が順調に進み、高い成長を継続しています。また、計画には織り込んでいませんが、昨年は伸ばすことができなかったドイツでの改善施策については現在策定中です。期の後半においてアップサイドを目指し、鋭意活動を進めています。
その他の領域についてです。耳鼻咽喉科では、頭頚部外科での使用が大幅に増加し、前年同期比で70パーセント成長を達成しました。
泌尿器領域では、放射性膀胱炎の使用に加えて前立腺肥大の使用が大幅に増加し、前年同期比で2倍となっています。この2つが次の柱となる可能性があるため、引き続き高い成長率で成長させたいと考えています。一方、心臓血管外科については横ばいの状況です。
販売活動の進捗:日本
日本についてです。前期比で17パーセントの成長を遂げ、予算を10パーセント上回る結果となり、非常に順調な成長を続けています。
先ほどお伝えしたとおり、当社製品の市場浸透が進んでおり、新規顧客数は減少傾向にあります。また、顧客の規模が小規模化しているため、成長率は低下傾向にあります。
しかし、既存顧客の製品使用量を増やす施策が成功しており、成長は継続しています。また、大規模な顧客はほぼ獲得しましたが、中規模の顧客はまだ多く残されています。ここをより効率的に開拓するために営業チームの増員も検討しています。
四半期売上高
今期第1四半期の売上のまとめです。左側のピンク色の棒グラフが計画、右側の赤色の棒グラフが実績を示しています。計画の20億4,000万円に対して、実績は21億9,400万円となり、計画を7.5パーセント上回ることができました。
計画値は今後、第2四半期、第3四半期、第4四半期と高まっていきますが、これを着実に達成し、営業利益を積み上げていきたいと考えています。
四半期営業利益
営業利益についてご説明します。第1四半期は計画値に対して7,700万円改善し、900万円となりました。売上の増加に伴い、営業利益は黒字で着地しました。当社として、製品売上による初の黒字化となります。
また、バイオ業界において、製品で黒字化する事例はまだ多くありません。そのような事例に対して市場からの評価は非常に高くなっています。当社においても、第2四半期、第3四半期、第4四半期と黒字化を定着させ、市場からの評価を確実に得ることを目指して、着実に成長していく所存です。
直近で追加された/現在アクティブなプロジェクト
開発状況についてです。スライドに赤字で記載している、進捗があった箇所を中心にご説明します。
頸部(口腔咽頭領域)の止血に関しては、欧州ではすでに販売中であり、論文も公開されています。一方、頭頚部領域については、データを収集中です。
オスラー病(HHT)の止血についてです。欧州では臨床研究を準備中であり、米国ではすでに耳鼻咽喉科領域で止血としての承認を取得しており、販売中です。十分な有効性が確認された場合、HHTの症状を緩和する治療用製品として承認申請を予定しています。論文もすでに発表されています。
前立腺肥大手術における止血についてです。欧州では承認済みで、すでに販売中です。欧州での論文を現在準備中で、この論文を基に米国での承認申請の準備を進めたいと考えています。
脳外科における止血についてです。これは、新しいペプチドを使用した次世代の止血材です。今年4月に承認予定でしたが、審査が長引いています。この秋に承認が得られる見込みを立てています。新しいデータの提出など、当社が対応する必要がある状況ではなく、純粋に当局の手続き待ちの状況であり、時間はさほどかからないと見込んでいます。
直近で追加された/現在アクティブなプロジェクト
放射線直腸炎の治癒についてです。米国において直腸の粘膜治癒としてすでに承認を得ており、販売中です。ただし、臨床データが不足しているため、現在臨床研究を計画中です。臨床データを収集し、拡販へつなげ、この領域の開発を進めていきたいと考えています。
放射線膀胱炎の治癒についてです。欧州で実施された臨床研究データの一部が学会で発表済みです。このデータを基に、米国での承認申請を予定しています。
難病である炎症性腸疾患の粘膜治癒についてです。米国において臨床および基礎データの収集を進めており、「ピュアスタット」の作用機序の解明および治癒効果の検証を目的とした複数のプロジェクトが始まっています。日本では特定臨床研究が開始され、現在、群馬大学で5例の症例が組み入れられています。
直近で追加された/現在アクティブなプロジェクト
粘膜の創傷治癒については、現在米国で直腸および口腔で承認を取得しており、消化管全体での承認を目指しています。欧州ではまだ承認準備中ですが、米国では直腸と口腔で承認を取得しているため、2025年5月に消化管全体への適用拡大の枠組みで承認申請を完了しています。この適用拡大という枠組みでの審査が可能かどうかについて現在FDAと協議中で、適用拡大での審査が可能となれば、早期の承認が期待できる状況です。
食道狭窄予防についてです。こちらは欧州においてレジストリーが開始されました。日本では、特定臨床研究において20例の患者症例の組み入れがすでに終了しています。
嚥下障害予防については、現在、特定臨床研究が実施中です。
新しく取り組んでいるプロジェクトである口腔粘膜炎についてご説明します。がん治療における化学療法や放射線療法、造血幹細胞移植などによって発生する口腔粘膜障害は、患者のQOLを著しく悪化させる問題です。この障害により、痛みにより食べ物や飲み物を摂取できない状況が生じ、患者は大きな苦痛を抱えることになります。
現在、この問題に対する有効な治療法はなく、氷を口に含むことで痛みを和らげるといった対症療法が行われているのが現状です。このような状況に対し、「ピュアスタット」を塗布することで痛みの軽減や予防、さらには治療が期待できると考えられています。
米国ではすでに承認を取得しており、販売を開始しています。ただし、臨床データがないため、現在臨床研究を計画中です。この臨床データを活用して拡販につなげたいと考えています。
日本では臨床応用の検討を進めており、日本国内でも臨床研究を進める準備を進めています。
直近で追加された/現在アクティブなプロジェクト
心筋機能低下の回復、すなわち心筋を再生するプロジェクトについてです。米国のハーバード大学より論文を提出済みであり、近い将来にその論文から発表があるのではないかと期待しています。
骨充填材、すなわち骨を再生するプロジェクトです。すでに承認されている骨充填材との併用も可能な移植の担体(キャリア)として、米国で承認申請の準備を進めています。
骨充填材には人工のものや生物由来のものなど複数の種類がありますが、それらを当社の「ピュアスタット」と組み合わせて投与することで、細胞の生着や増殖をより迅速に促進することを目指し、移植の担体(キャリア)としての承認を目指していきます。
新しいプロジェクトを1つ追加しています。「DDS」と記載していますが、これは既存薬剤の持続放出システム(スローリリース)です。これは、当社マテリアルを抗生物質やステロイドなどの薬剤と混合することで、持続的な薬剤放出を実現することを期待しています。
適用領域としては、耳鼻咽喉、消化管、心血管、皮膚など多岐にわたり、もしこれが可能になれば、非常に広い領域での利用が期待されます。
現在は非臨床試験が進行中であり、幅広い薬剤との併用が可能なドラッグデリバリーの担体(キャリア)として、米国におけるさまざまな領域での承認申請を検討しています。
直近で追加された/現在アクティブなプロジェクト
こちらのスライドではアップデートはありません。以上が開発状況のアップデートのご説明となります。
エグゼクティブサマリー
最後に、エグゼクティブサマリーを再度お伝えします。第1四半期の売上高は21億9,000万円で、前年同期比47.7パーセントと高い成長を遂げています。特に米国では勢いが持続しています。
第1四半期は黒字となりました。初めての製品売上による黒字であり、業界内でもまだ少数です。この機会を活かして、会社を新しいステージへと引き上げ、評価を高めていきたいと考えています。
以降の四半期でも黒字を継続していく予定です。通期の計画に変更はなく、4億円の営業黒字を目指していきます。
以上で私からのご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
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