【QAあり】アクシスコンサルティング、ハイエンド人材スキルデータベースは業界トップクラス スキルシェア事業は新たな柱に成長
会社概要
伊藤文隆氏(以下、伊藤):アクシスコンサルティング株式会社代表取締役社長COOの伊藤です。本日はご視聴いただき、ありがとうございます。我々がどのような会社で、何を行っているかについて、簡単にご説明のお時間をいただければと思います。よろしくお願いします。
設立は2002年で、事業内容はコンサルタントなどを中心とした、いわゆるビジネスリーダーといったハイエンド人材領域における正社員の人材紹介、およびスキルシェアの複合サービスを提供しています。
2代表制で、創業者の山尾と私の2名で経営を行っています。従業員は、2025年6月末現在で152名です。全社員の顔と名前がなんとなく一致するくらいの規模感で展開しています。
沿革についてもご説明します。2002年に設立され、2016年に今の「AXIS Solutions」というフリーランス向けのビジネスを立ち上げました。また、人材紹介会社であるケンブリッジ・リサーチ研究所を、コンサルタントのネクストキャリアを支援するという文脈でグループ化しています。
2022年には、コンサルタントの副業を支援する「コンパスシェア」というスポットコンサルサービスを開始しています。その後、2023年に東証グロース市場に上場し、2024年にケンブリッジ・リサーチ研究所を吸収合併しています。
課題解決と価値創造のパートナー
伊藤:我々のスローガンは「課題解決と価値創造のパートナー」です。詳細は後ほどご説明しますが、やはり今の世の中は、ビジネス経営の課題が非常に多岐にわたり、難易度も上がっています。
それに対して貢献し、解決していくために、人の視点で価値を提供していくことが我々のコンセプトであり、スローガンです。それを体現する人材を「戦略実現人材」と呼んでいます。
企業が直面する、複雑かつ高度化する経営アジェンダ
伊藤:背景についてもう少しご説明します。以前と比較すると、経営やビジネスの課題、アジェンダが、かなり高度化・複雑化していると言われています。
AIの台頭、少子高齢化、内需の縮小など、今までとは違うフェーズに入ってきて、経営課題、経営難易度が上がってきています。そこを我々がなんとか解決できないか、貢献できないかということで、今ビジネスを展開している最中です。
AXISのビジネスモデル | 戦略実現人材のデータベースを活用し経営アジェンダを解決
伊藤:具体的にご説明します。スライド左側に経営アジェンダ、右側に我々が戦略を実現する人材のスキルデータベースを持っていることを示しています。我々が介在することにより、課題を解決していくことで、企業・産業の成長を支援していきます。
我々の特徴的なところは、正社員の人材紹介とスキルシェアです。フリーランスを核としたスキルシェアのビジネスを複合的に展開している点が、我々の事業の特徴であると考えています。
サービスラインナップ
伊藤:サービスラインナップについて、もう少し詳しくご説明します。スライド左側に転職サービス、いわゆる正社員の人材紹介サービス、右側にフリーランス・副業のスキルシェアサービスについて示しています。
転職サービスのコンサルファーム向けは、祖業になります。2002年に設立以来、同業他社があまりいなかった時代から、コンサルティング業界向けに正社員の人材紹介サービスを展開しています。
先ほどお話ししましたが、2016年にケンブリッジ・リサーチ研究所という会社をグループ化しました。コンサルタントのネクストキャリアを支援するという文脈で、事業会社向けの人材紹介サービスをスタートしています。
同じ年に、今度はコンサルタントの独立を支援するという文脈で、フリーコンサルのスキルシェア事業を立ち上げました。現在は「AXIS Solutions」というサービス名で行っています。
その後、コンサルタントの副業を支援するという文脈で、スポットコンサルのサービスを立ち上げています。コンサルティング業界向けの人材紹介サービスから領域を広げ、現在はこのようなラインナップとなっています。
AXISの競争優位性
伊藤:当社の競争優位性について、3点ご説明します。1点目は、業界トップクラスの「スキルデータベース」を有していることです。2点目は、経営ビジネスの課題、アジェンダに応じた柔軟な人材配置が可能であることです。3点目は、戦略実現人材との中長期的な連携が可能であることです。
競争優位性 | ①業界トップクラスの「スキルデータベース」
伊藤:1点目の「スキルデータベース」についてです。スライド左側に示している属性としては、DX・IT人材、戦略・CxO人材、業務人材があります。会計やサプライチェーンなどの業務知識を持っている方が約7割です。経営やビジネスの課題解決が可能な属性の方に登録していただいています。
スライド中央に示している成長性に関しては、コンサルタントの登録者数が年々増加しています。コンサルティング会社に勤めている方の4人に1人が登録しています。
スライド右側をご覧ください。その中でも質の高さとしては、特にBIG4と言われている大手のコンサルティング会社が4社ありますが、その4人に1人が登録しているという大きなデータベースを保有しています。
競争優位性 | ②経営アジェンダに応じた柔軟な人材配置
伊藤:2点目の経営アジェンダに応じた柔軟な人材配置についてです。経営課題が非常に複雑化・高度化しているため、1人を採用すれば解決するという世の中ではありません。正社員の人材紹介、およびスキルシェアとしてプロジェクトを組むことで課題を解決していきます。その組み合わせの提供が可能な点が特徴だと考えています。
競争優位性 | ③戦略実現人材との中長期的な連携
伊藤:3点目の戦略実現人材との中長期的な連携についてです。いわゆる求職者(Candidate)の方との中長期のコミュニケーションを非常に得意としています。転職支援を1回や2回行うだけではなく、ハイエンド領域の方を支援していますので、発注者にも展開していきます。
例えばコンサルティング会社の場合、プロジェクトマネージャーといった方が転職しますので、そこで人が足りない時に我々のフリーランスを使っていただくことがあります。また、コンサルタントから事業会社に転職する方は、だいたい部長級以上ですので、そのような方たちがビジネスの課題で困った時に我々のフリーランスを活用していただきます。
このように、キャリアパートナーからスタートして、最後はビジネスパートナーになっていくことで、中長期的な関係を構築しています。こちらは業界の中ではかなり珍しいのではないかと思っています。
財務ハイライト
伊藤:今後について少しご説明します。ここからの3年間は、中期経営計画を構造改革期と定義しています。事業ポートフォリオを組み替えていくことにより、2028年6月期には売上高112億9,000万円、営業利益14億円、2031年6月期には売上高200億円、営業利益37億円を目指します。
これを進めていくために、最初の3ヶ年はいろいろな投資を行っていくフェーズと位置づけています。
成長戦略の全体像
伊藤:成長戦略を実現する上で、大きな投資を行っていきます。これにより、全体の売上のポートフォリオだけでなく、粗利のポートフォリオも変わっていきます。
どこかの部門が外的要因により一部影響を受けた場合でも、しっかり持ち直せる安定した基盤をこれからの3年間で作っていきます。それがひいては2031年6月期の経営計画にフィットする内容になってくるということで、今この3年間がスタートしています。
簡単ですが、当社の説明は以上です。
質疑応答:2025年6月期の増収要因について
坂本慎太郎氏(以下、坂本):2025年6月期は増収となりました。特にスキルシェアの部分が伸びているとのことですが、この背景を教えてください。
伊藤:おっしゃるとおり、スキルシェアが大きく伸長し、全体の業績を後押ししています。スキルシェアが伸びている理由は、主に3点です。
1点目は、体制を強化しました。かなりしっかりとした体制を組んでいます。2点目は、市場が非常に成長しています。したがって、外的要因も成長のポイントとなっています。3点目は、今まで東京だけで展開していましたが、今年の年明け頃から関西エリアをかなり強化しています。やはり、関西は非常にニーズが高いです。
坂本:東京はたくさん人がいますし、行きやすいということもあるというところですね。
伊藤:関西の企業のニーズは非常に高くなりますね。
坂本:関西に本社がある企業もありますし、経営企画部などスキルシェアを使う部署はだいたい大阪にありますが、ここが手薄だったということですね。
伊藤:ですので、非常にご好評いただいています。今お伝えした3つの点でスキルシェアが大きく伸びているということです。今後も非常に期待できるかと考えています。
坂本:「ちょっと聞きたいんだけど」というところなど、スポットの部分が伸びているのでしょうか?
伊藤:そのとおりです。
坂本:関西の支店はすでに作っており、営業ができる状況であることも強みとなっていますか?
伊藤:おっしゃるとおりです。今まで正社員の人材紹介については関西の拠点もありましたが、そこに新たにスキルシェアの拠点も作りました。
これにより、正社員紹介のお客さまに対してスキルシェアを提案するなど、いわゆるクロスセルがしっかりできるようになりました。関西拠点で両方を行っている会社はほとんどありません。
坂本:聞かないですね。やはり関西で就職したい方も、中にはいらっしゃるということですね。
伊藤:そのとおりです。
質疑応答:配当を開始した理由について
坂本:2026年6月期の配当は、初配ということで1株当たり35円を予定しています。配当に至った理由と、35円とした背景について教えてください。
伊藤:株主のみなさまに対する利益還元は、我々経営陣にとっては非常に大きなテーマであり、上場時から長らく議論してきました。
今、業績もようやく見えてきたところで、あとは内部留保と投資のバランスだけですが、我々の見立てではちょうどよいバランスに来たのではないかと考えています。これを総合的に議論し、配当を実施することに至りました。
DOE5パーセントに関しては、どのバランスが一番よいのかについて経営層でかなり議論しました。今はこのバランスが最適ではないかと思っており、安定的に成長しつつ還元も行い、次の投資にもしっかり備えられるバランスかと考えています。
坂本:非常によくわかりました。残ったお金の使い方などは、後ほどおうかがいできればと思います。
質疑応答:機関投資家からの問い合わせについて
坂本:IRコミュニケーションの整備についてです。おそらくこの個人投資家向けのセミナーもその1つだと思いますが、最近は機関投資家からも問い合わせが増えているのかを教えてください。
また、見ている方もプロはどのような話を聞いているのかが気になるかと思いますので、内容なども教えていただければと思います。
伊藤:今回からIR資料をかなりブラッシュアップしました。特にIRコミュニケーションに関してはしっかり整備し、機関投資家のみなさまからの問い合わせが増えています。
その内容に関しては、特にファクトシートがかなり充実しています。
坂本:よくある細かい数字で、多年度にわたっているものですね。
伊藤:非常にわかりやすく、仮説が立てやすくなったということで、大変評価していただいている点かと思います。
坂本:意外と個人投資家がこれを全部活用するのは難しいところでもあると私は思っています。ただし、確かに大企業を中心にファクトブックからファクトシートは整備されていることがほとんどですので、一歩早くそれを行うことで、機関投資家も使えると思いました。
伊藤:開示できるものはなるべくすべて開示することが、今回の方向性です。そのような姿勢も評価していただいているのかと思います。
坂本:今日お話があった大阪に拠点があるという点も、なかなか引きがよいのかと思います。
質疑応答:個人投資家向けのIR活動について
坂本:個人投資家向けのIR活動は、どのような場所で行っているのかを教えてください。
伊藤:本日のセミナーもそうですが、なるべくコミュニケーションの場を増やしていきたいと考えています。また、タイミングによりますが、今期は対面でお話しできる機会も設けたいと考えており、そこに向けて今準備を進めているところです。
質疑応答:中期経営計画における成長要因について
坂本:今後の成長という意味で中期経営計画のお話がありました。売上高の伸びももちろんそうですが、スキルシェアも人材紹介も伸びる予想です。この背景を教えてください。
伊藤:当社は大きく分けて3つのサービスがあります。コンサルティング業界向けの人材紹介、一般事業会社向けの人材紹介、スキルシェアです。コンサルティング業界向けの人材紹介は、昨年は採用を少し絞っていた部分がありますが、安定的に成長していきます。
坂本:その背景を簡単に教えていただいてもよろしいですか?
伊藤:昨年に採用を絞っていた背景は、コロナ禍の時にDXのバブルのような流れがあり、需要が多くありました。
坂本:今でも継続していますが、伸びがすごいですよね。
伊藤:その時に非常に多くの人を採用しました。
坂本:人材がいないからということですね。
伊藤:そのとおりです。そこでたくさん人を採用しましたが、DXのバブルが終わった時にその人たちがけっこう非稼働になってしまいました。
そのような意味で採用を少し抑制し、採用した方たちをきちんと稼働できる状態まで持っていったのが、ここ1年、2年の動きだと振り返っています。
一方で、コンサルティング業界向けのスキルシェアは、昨年非常に伸びています。ここがしっかり伸びてきたということは、コンサルティング会社自体が案件をしっかり取れてきているということです。その先行指標や我々の注力アカウントに対しては、細かくヒアリングをかけています。
総合的に見ると、コンサルティング業界全体の採用は戻ってきたと考えており、そこに合わせてコンサルティング業界向けの人材紹介の売上を組んでいます。後ほどご説明の機会があるかと思いますが、スキルシェアと事業会社向け人材紹介はしっかり投資していく段階になります。その投資対効果を表すと、スライドのような図になってくるかと思っています。
質疑応答:人材紹介のニーズについて
坂本:中期経営計画における人材紹介の伸びについてです。企業がコンサルタントレベルの専門的な人材が欲しいため、御社にお願いするということだと思います。このあたりのニーズについてもう少し教えてください。転職するポジションは経営企画室、あるいはDXでしたらシステムのほうなど、そのあたりが一番引き合いが強いかたちでしょうか?
伊藤:コンサルタントの方は、半分はコンサルティング会社に転職し、残りの半分は事業会社に行きますので、事業会社向けのサービスはかなりポテンシャルがあると思います。事業会社でどのようなポジションに行く方が多いのかと言いますと、今はDXです。
コンサルティング会社は、やはりDX周辺のプロジェクトが7割、8割を占めています。したがって、コンサルタントの方は、7割、8割はDXのスキル、ケイパビリティを持っている方です。事業会社においても、今一番の課題は「どのようにDX・デジタル化を進めていくか」ということです。家電量販店などでもDX化を進めていますので、このようなニーズが非常に高いです。
そのような意味では、コンサルタントを採用したいというよりは、DXの上流人材を採用したいということになります。上流人材は、結局コンサルティング会社にしかいません。したがって、そのニーズが非常に伸びているということです。
坂本:上流人材を実際に抱えることによって、きちんと筋が通ったDXができるということですね。
伊藤:内製化することができ、そのニーズは非常に高まっています。
坂本:ある程度の規模感になるということは、けっこうな社数がありますね。
伊藤:話がずれますが、DX人材やデジタル人材の有効求人倍率は、7倍、8倍になっています。
坂本:なるほど。バブルですね。
伊藤:つまり、約8社に1社しか採用できないということです。足りないところは、スキルシェアによってプロジェクトで埋めていこうということになります。
坂本:良い人がいたら紹介できますね。
伊藤:そこを組み合わせで行っていくことが我々の特徴かと思っています。
坂本:良い環境ですね。非常によくわかりました。
質疑応答:2031年6月期の計画達成確度について
坂本:その後も2031年6月期に向けてさらに伸びる予想ですが、こちらは意外と保守的なのか、このまま進めば達成できるような数字なのか、簡単にイメージを教えてください。
伊藤:オーガニックで伸ばしていくと、達成できるような数字だと思います。まず、コンサルティング業界のCAGR(年平均成長率)が約10パーセントです。
坂本:それを乗せていくだけでも、けっこう近いですね。
伊藤:コンサルタントの半分は事業会社に転職します。本来であれば、コンサルティング会社向けの人材紹介と一般事業会社向けの人材紹介は、売上が一緒になっていないとおかしいです。さらにスキルシェアの市場成長率を足すと、だいたい200億円に届きます。
坂本:イメージとしては、どちらが増えていくのでしょうか?
伊藤:スキルシェアが6割程度です。それを進めていくために、今この段階で構造を変えていかないと200億円にフィットしていかないと思っています。
坂本:おそらく営業の方もある程度必要ですよね。
伊藤:やはり事業ポートフォリオをもう少し変えていきます。事業会社側は伸びるポテンシャルが非常に大きいため、そこに対して投資していきます。その上で、広告もしっかり行っているかたちです。
質疑応答:テレビCMについて
坂本:テレビCMの放映についてです。このCMはおそらくネット上でも放映しているかと思います。御社のことを知るクライアントや企業向けのCMだと思いますが、御社に応募して登録するコンサルタントの方にもヒットするようなCMなのでしょうか?
伊藤:まずは、一般事業会社向けに認知度を上げていくためのtoBマーケティングという文脈でスタートしています。タイミングを見ながら、toC向けにもアレンジしていく予定です。
求人企業数が多いと、人は獲得できます。現役のコンサルタントの4人に1人は当社にすでに登録していただいていますので、データベースはありますが、その方たちが事業会社に転職したいといった時の求人案件数が今は少ない状況です。
データベースは持っていますので、そこを整えていくことが必要です。紹介先をしっかり増やしていくといった意味で、今、toBマーケティングに力を入れています。
坂本:整えることで選ぶ社数が増えて、条件が非常に良いところも増えますよね。部長職くらいで転職するというお話もありましたが、課長くらいでもよいとなると、もう少し若年の方が行けたり、広がりもありますからね。
伊藤:コンサルタントにもいろいろな方がいらっしゃり、ジュニアの方もいらっしゃいます。例えば、スタートアップまではいきませんが、IPO前後くらいの会社では、それほどサラリーを出せません。
坂本:ストックオプションですよね。
伊藤:営業企画や経営企画で年収700万円、800万円となると、やはりコンサルティング会社のシニアマネージャーは採用できません。
坂本:倍近くもらっているイメージですよね。
伊藤:そのようなポジションはやはり、ジュニアで比較的優秀な方をご紹介します。
坂本:意外と幅が広いですね。
伊藤:かなり広いと思います。
坂本:業種の幅も広そうですね。今後CMの効果が出てきて伸びていくという先ほどのお話につながりますね。
伊藤:そのとおりです。
質疑応答:スキルシェアにおける顧客フォロー体制の強化について
坂本:スキルシェアの売上高についてです。伸びた理由はすでにおうかがいしましたが、「顧客フォロー体制の強化が奏功したということですが、どのような取り組みをしたのでしょうか?」というご質問です。関西のお話のほかにあれば教えてください。
伊藤:まず、組織を拡大したことです。それによって担当を明確にしていき、企業を担当するメンバーとコンサルタントを担当するメンバーを分業にしました。
特に企業側においては、タッチポイントを増やしました。接点を増やして、プロジェクトの期待値調整や品質管理ができるようにしたのです。今の3ヶ月のプロジェクトであれば、1ヶ月を過ぎた時点で「今の状態はどうなのか」「これは継続するのか、しないのか」といった目利きがかなりできるようになり、継続率が一段と上がりました。
坂本:満足度と継続率が上がっていくのですね。
伊藤:そのような意味では、今まで以上にストック化してきたのが伸びているポイントかと思います。
質疑応答:フロント人員の担当社数について
坂本:従業員の中で、フロント部門の人員は仕事をする上で非常に大事かと思っています。フロント人員は1人あたり何社担当するのでしょうか?
伊藤:人材紹介においては、1人何社と決まっていません。例えば「年間100人採用します」という会社は1人が専任で付きますし、「年間5人しか採用しません」という会社に関しては、担当者は10社ぐらい持つこともあります。決定人数、成約人数にあわせて担当を配置しています。
あまり持っていない担当者の場合は3社から4社で、一番多くを持っている担当者は30社ぐらい持っていると思います。
坂本:そのように日々、リレーションしながら人材を紹介しているのですね。
質疑応答:M&Aに関する資本イメージについて
坂本:初配のお話がありましたが、ある程度資本が溜まってきた場合は、過去にしてきているM&Aにお金を振るのかと思います。資本についてどのぐらいが適正なのか、現状のイメージを教えてください。
伊藤:次の投資としては、広告や大型投資を行っていきます。M&Aも含めてどうバランスしていくのかについては、日頃、積極的に議論しています。まだ明確にお伝えできない部分も大きいのですが、最適なポートフォリオにしていくため、攻めるところはしっかり攻めていきます。
坂本:資本が大きく動いて当然ということですね。
質疑応答:今後の広告投資について
坂本:広告が今後の成長の布石となるというお話ですが、投資家には「けっこう予算を使ったのではないか」と思われると思います。
これに関して、やはり利益が少し落ち込むかたちにはなっていますが、広告への投資はこれで終わりですか? 第2四半期以降は回復する見込みですが、CMの手応えがある程度あったら追加投資するなどのお考えはあるのでしょうか?
伊藤:第2四半期以降でも追加の投資を行っていきます。それも踏まえての計画です。7月はテレビCMをけっこう打ち、企業からの問い合わせが1.5倍ぐらいになりました。
坂本:期初が4月の会社が多いため、仕事が見えてきて、輸出企業やトランプ氏による関税の影響も少し落ち着いてきた時期に「ここでアクセル踏もうか」ということはあるのですか?
伊藤:我々が事業を行っているハイエンド領域にはあまり季節要因がないのです。CxOが採用したい時期は決まっていないため、きちんと露出すると問い合わせがきます。
また、これをテレビでするのか、Web広告のようなデジタル、あるいはタクシーでするのかは、アロケーションの話だと思っています。今、ちょうど効果測定をしているところで、次の一手をどのタイミングで打つのかも含めて、第1四半期ではある程度、製作費などをいろいろとかけています。
坂本:時期に関しては、先ほど「1年中需要がある」とお話ししていたCxO向けですか? 御社は6月決算のため、御社に応募してくる人材にとっては第3四半期か第4四半期が動きやすいのかと思います。そのもう少し前の7月から9月に動くのが適切かと思うのですが、いかがでしょうか?
伊藤:登録いただくタイミングと転職するタイミングで、若干ラグがあります。
坂本:辞めるために準備をするのは、半年前ぐらいですか?
伊藤:そのとおりです。転職する時期としては、ボーナスのある会社は1月入社と7月入社が増えています。そこから逆算していくと、7月に広告を打つことになります。
坂本:「その人が抜けるからまた欲しい」ということもあるわけですね。
質疑応答:広告媒体について
坂本:広告について、御社のようなビジネスでは、タクシー広告とテレビCM、またはWebではどれがよいのでしょうか? 継続して出したほうがよいところと、スポットでしたほうがよいところは分かれると思います。タクシーも良いだろうと思いますが、最近は高いともよく聞きます。
伊藤:まんべんなく出すのはよいのですが、予算に限りがあるため、たくさん出すならテレビで大きく出してデジタルを薄くするなど、バランスが大事です。私も専門家ではないのですが、そのような代理店に聞いた話です。
CMを出す時、我々はフリーランスのビジネスをしているため、それに詳しい人が担当につきます。そのプロフェッショナルも交えて代理店と交渉するのです。
坂本:そうすると代理店は何も言えないですね。
伊藤:我々も自分たち側でプロフェッショナルという武器を持って、そのような方の意見も取り入れながら進めています。
坂本:スポットコンサルのようなかたちで手伝ってもらう方法もありますね。
伊藤:それに関しては、このビジネスをしていて本当によかったと思います。
坂本:プロとプロとの話し合いですね。
質疑応答:2026年6月期の平均売上単価と平均受注単価について
坂本:2026年6月期について、平均売上単価と平均受注単価が保守的とも見えます。こちらは、御社が紹介する方の給与部分が増えることもあって保守的なのでしょうか? 期が進むごとに伸びていくのかも含めて、背景を教えてください。
伊藤:まず、一番売上高、利益貢献が大きいコンサルファーム向けの人材紹介については、昨年非常に落ちています。これは、ジュニアクラスの採用が止まったのです。
坂本:先ほどのDXバブルですね。
伊藤:ジュニアが止まり、若手の採用も戻ってくるとなると、若手の決定が増えます。すると、単価差があるため、決定人数は増える一方で単価は下がることになるのです。よって、平均売上単価については少し保守的に見ています。
また、一般事業会社向けの人材紹介はこれから拡大期になっていくため、面を取りにいくかたちになっています。今まではCxO案件が非常に多かったのですが、部長案件ぐらいの年収800万円から900万円ぐらいの層もしっかり伸ばしていきます。面を取りにいって、その中で企業にさらに踏み込んでいき、CxO案件までたどり着くようなイメージです。
スキルシェアについては誤差の範囲です。
質疑応答:2026年6月期の計画について
坂本:今期の計画は保守的なのでしょうか?
伊藤:前期比ではかなりの成長率です。保守的かどうかはわからないですが、我々なりに誠心誠意、しっかり成長していく計画を考えています。
質疑応答:今後の配当方針について
坂本:配当について、個人投資家から「長期で持っていればよいだろうと思うのですが、中間配当はないのですか?」という質問があると思います。今期は初配のため仕方がないのかと思いますが、来期や未来の配当方針を教えてください。
伊藤:今期は中間配当の実施を考えています。今後に関しては、事業の状況や還元のバランスを考えて、その都度、議論していきたいです。
質疑応答:地方におけるハイエンド人材採用について
坂本:ビジネスの部分で、地方のハイエンド人材が求められていることは理解できます。しかし、関西の大阪など以外でも、地方で働きたいというニーズはあるのでしょうか? また、地方企業で「リモートで良いよ」という環境のところがあるのか教えてください。
伊藤:スライドは、岡山の中国銀行という地銀の事例です。中国銀行がコンサル会社を作りたいということで、その立ち上げを支援しました。
「東京にお住まいの方が岡山のコンサル会社に勤める」という事例で、だいたいは東京と地方のハイブリッドです。半分は東京で、半分は岡山で仕事をする、あるいは「プロジェクトの期間だけクライアント先に行く」といった具合です。
「全員が地方に引越しましょう」というのはなかなか難しいと思っています。採用する側の企業も受け入れ体制に工夫が必要です。中国銀行は、非常に上手にされたと思っています。大手のコンサル会社にいるようなレベルの方を、岡山の企業がしっかり採用できた事例です。
坂本:本来は銀行の中の方が地方に出向してそのままいるというケースも多くあるのかと思います。そのような方が入ることによって、また御社が提携することによって、再教育とまではいかないまでも、ある程度スキルが上がるのですか?
伊藤:コンサル会社を立ち上げるとなると、最初のコンサルティングのクオリティが非常に重要です。
坂本:それが信用につながります。
伊藤:最初のメンバーは重要なため、大手ファームでしっかりと経験を積んだ役員クラスの方を何人かご紹介し、そこから組織を作っていきました。したがって、コンサルティングサービスの質はかなり高いと思います。
質疑応答:M&Aのイメージについて
坂本:M&Aについて、対象としては御社に足りていない部分なのか、強化する部分なのか、予算感やイメージを教えてください。
伊藤:M&A自体は、成長を実現する上で非常に重要で有効な手段だと思っています。今もいろいろな案件を見ていますが、やはり我々が成長していく中で、我々自身がコンサルティングのサービスを展開していくことが1つの柱です。したがって、M&Aで今、自社で行っているコンサルタントの採用を強化していきます。
コンサルティングの次には、システム構築の部分もターゲットになることから、システム会社です。加えて、我々と同業の会社もターゲットになるだろうと考え、かなり幅広い視点でいろいろな企業と対話しています。
重要なのは、グループ化した企業がきちんと一緒に成長できるのかということです。我々だけの成長ではなく、双方にとってWin-Winの関係性になれるような企業と出会えたら一番良いかと思っています。
こちらは積極的に取り組んでいきたいテーマと考えています。
質疑応答:初配を実施した背景について
荒井沙織氏(以下、荒井):「減益ながら初配を実施された背景と、今後の配当や株主還元方針について教えてください」というご質問です。
伊藤:先ほどのご質問でも回答しましたが、これは以前から経営で議論しているところで、やはり利益を還元するのは経営にとって大切なテーマだと思っています。内容が整ったため、それを実行したということです。
質疑応答:中期経営計画における戦略投資について
荒井:「中期経営計画における戦略投資の重点領域と、収益回復のロードマップについて教えてください。どの事業分野に投資を集中し、利益回復をいつ頃見込んでいるのでしょうか?」というご質問です。
伊藤:特に伸ばしていきたい領域としては、「事業のポートフォリオをどのように変えていくか」に関連し、事業会社向けの人材紹介とスキルシェアです。
コンサルティング業界向けの人材紹介は安定成長でしっかり伸ばしていきます。業界成長率はCAGR10パーセントぐらいです。そこにアラインしていくと考えていますが、それ以外をしっかり伸ばしていきます。そのために広告や、人的投資をしっかり行っていきます。
結果的に、2028年6月期には営業利益14億円、2031年6月期には営業利益37億円になる計画です。
質疑応答:登録人材のデータ管理について
坂本:御社は10万人以上のスキルベースを保有しています。登録している方の属性として、どのような経験があるのか、どのようなことができるのかについては、鮮度維持や自己申告バイアスの課題があるかと思います。
鮮度維持に関しては、登録のデータを新しくすることに関して、登録した方も成長されたりいろいろな仕事をされたりするため、どのようにコミュニケーションを取るのか教えてください。
また自己申告バイアスについては、「自分はこれぐらいできるけど、このぐらい盛って書いておいてもいいか」ということがあると、見る人は「すごいな」と思うが、ミスマッチが起こってしまいます。こちらの補正の仕組みについても教えてください。
伊藤:データベースの管理については、自己申告で新たな経歴を送っていただくケースもありますが、我々には専門のチームがあり、オープンにされているSNSなどを監視しています。今は転職先などをオープンにされているSNSが多いです。
坂本:一番は社名の書いてある「Facebook」だと思いますが、「LinkedIn」もありますね。
伊藤:それらをウォッチしている専門のチームがあり、「この方はどこに転職したか」「今までマネージャーだったけど、シニアマネージャーに上がった」という情報を得て、それと本人の申告の両方で鮮度を保っています。
データベースの総量が貯まっても、結局データベースの中身が古いままだと適切なタイミングで案内できないため、そこには非常にマンパワーを割いています。
バイアス補正に関しては、難しいのですが、例えばコンサルティング業界では「この年齢ならこのポジションだ」と、だいたい逆算できるのです。そのようなノウハウがあります。
坂本:確かに金融業界なら「この年齢でこのぐらいの役職だったら、こんなものかな」とか、年収もわかってしまうような感じですよね。
伊藤:「このプロジェクトでこの期間しか入っていないのはおかしい」といったことがわかります。
坂本:紹介のプロも、実はプロだということですね。
伊藤:特にコンサルタントの方に関しては、ほぼわかります。コンサルティング会社の中でもいろいろなプロジェクトがあり、エース級が集まるプロジェクトをやりきってプロモーションしていると聞けば「この方はものすごく優秀だな」と考えます。これは業界のノウハウの話です。
坂本:私はどちらかというと「面接をして聞けばわかる」ということかと思ったのですが、より前段階でわかってしまうのですね。
伊藤:レジュメを見るとだいたいわかります。
坂本:そうすると、意外と紹介する会社とのミスマッチは少なそうですね。
伊藤:そもそも採用面接をする面接官も、そのようなことは知っています。そのため、クエスチョンを持った方はだいたい書類が通らないです。
質疑応答:広告宣伝投資の分配と回収期間について
坂本:これは数字に出ない部分もあると思いますが、「広告宣伝投資約15億円のチャネル別の分配と、回収期間の考え方を教えてください」というご質問です。これは成長するためにするとか、良い結果が出ていればさらに投資するということもあると思います。
伊藤:認知度が何パーセント上がったかというKPIを設定しています。「認知度が何パーセント上がると、理論上お問い合わせはこれだけ増えるはずだ」という試算をしているのです。
「初年度は、認知度を今の状態から何パーセント上げ、2年目は何パーセント、3年間継続するとここまで上がる」「そうすると問い合わせはこれぐらい、法人の契約数はこれぐらい伸びるはず」と、すべて仮説を立てています。
そして、その認知度が予定どおり上がっているかどうかです。上がっていないのであれば広告を出す内容を変えることや、デジタルにするというように見直すことも含めて、常に柔軟な考えで取り組んでいます。それを細かくしていくと考えており、いったん全部を数値化しています。
坂本:場合によっては、増やす、減らすこともあるのですね。
伊藤:増やしたら増やしただけ伸びるのであれば、さらに投資するかもしれませんし、逆に人の採用に振っていったほうが効果的だと思えば、再配分していくような考え方です。
坂本:けっこう大きい額ですが、気になったものがあれば柔軟に変更するということで、非常に良いお話でした。
伊藤:そのために、我々の横にプロをつけています。
伊藤氏からのご挨拶
伊藤:遅い時間までご視聴いただき、ありがとうございます。我々はもちろん、事業を成長させていく、企業価値を上げていくことを第一に考えていますが、我々が行っているビジネスは、ハイエンド人材を最適に再配置していくことによって、この国の企業・産業の成長に貢献します。
この国にとっても非常にプラスになるビジネスを展開していると自負しています。ぜひ引き続きのご支援、アドバイスをいただければと思います。
新着ログ
「サービス業」のログ