さくらさくプラス、販売用不動産売却で営業利益前年比+46.9%の大幅成長 株主優待制度を導入、5期連続の増配予定
2025年7月期 経営トピックスサマリー
西尾義隆氏:代表取締役社長の西尾です。2025年7月期決算説明を始めます。
2025年7月期の経営トピックスについてご説明します。
まず資本政策として、2025年1月末日を基準日とする株主優待制度を導入し、年間2万円分のQUOカードを進呈しています。
不動産の企画・開発においては、子育て支援サービスのさらなる充実を目的に、浅草プロジェクトの物件引渡しを2025年4月に実施し、収益を計上しています。また、買取再販売事業では売却を開始し、すでに実施しています。詳細はスライド19ページをご参照ください。
事業活動としては、2024年9月4日付で、女性向けサプリメントを販売するYELLの全株式を取得し、完全子会社化しました。これにより、フェムケア・フェムテック市場への本格参入を果たしました。一方で、ベーカリーカフェ1店舗を閉店し、進学塾1施設を閉校するなど、不採算事業の見直しを行いました。
2025年7月期 決算概要
2025年7月期の決算概要についてご説明します。
売上高は183億8,800万円となり、前年同期比で6.8パーセントの増収となりました。これは、公定価格の増額により保育補助金が増加したこと、既存保育所の在園児数が増加したこと、計画どおりの販売用不動産の売却が進んだこと、その他サービスの収益が概ね見込みどおりに積み上がったことなどが要因です。
営業利益は11億3,900万円で、前年同期比46.9パーセントの大幅な増益となりました。職員の処遇改善による人件費の増加や物価高の影響があった一方で、販売用不動産の売却、外注業務の内製化による採用費用の削減、ICT化による業務効率化などのコスト削減策が功を奏しました。
経常利益は10億3,200万円で、前年同期比18.5パーセントの増益でした。前年同期には保育所の新規開設に伴う営業外補助金がありましたが、当期はそれがなかった一方で、営業利益の増加が全体を押し上げました。また、M&Aの検討に伴う手数料などを計上しています。
親会社株主に帰属する当期純利益は6億1,100万円で、前年同期比0.7パーセントの増益でした。一部保育所およびベーカリーカフェにおいて減損損失を計上したものの、営業利益の増加が寄与しました。
四半期別 売上高ならびに営業利益
四半期別の売上高ならびに営業利益についてご説明します。
売上高の推移です。2025年7月期は、通期予想を上回る183億8,800万円を計上し、前期の172億1,200万円を超える結果となりました。特に第3四半期は、不動産売却の寄与により一時的に大きく売上が増加しています。
次に、営業利益の推移です。2025年7月期は、通期予想を上回る11億3,900万円の営業利益を計上しました。
このように、2025年7月期は第3四半期において売上・利益ともに急伸し、不動産関連収益が通期業績の押し上げに大きく貢献しました。
2025年7月期 貸借対照表
2025年7月期の貸借対照表についてご説明します。
資産の部です。流動資産は前期末比7億4,700万円増加し、47億6,600万円となりました。内訳としては、現金および預金が10億2,900万円増加し25億2,100万円、販売用不動産が新たに7億円計上されました。一方で、仕掛販売用不動産は9億9,200万円減少しています。
固定資産は11億2,700万円減少し、84億9,100万円となりました。これは主に、販売用不動産への振替や減損損失の計上によるものです。結果として、資産合計は136億3,800万円から132億5,800万円へ、3億800万円の減少となりました。
負債の部です。流動負債は2億5,400万円減少して29億4,800万円、固定負債は6億5,800万円減少して44億8,800万円となり、負債合計は9億1,300万円減少し、74億3,600万円となりました。これは、販売用不動産の売却に伴う借入金返済による影響です。
最後に、純資産の部は、5億3,300万円増加し、58億2,100万円となりました。これにより自己資本比率は38.6パーセントから43.9パーセントへ上昇しました。
剰余金配当
剰余金配当についてご説明します。
当社は、2026年7月期において5期連続となる増配を予定しています。年間配当金は、2025年7月期が24円、2026年7月期が28円を予定しています。
内訳としては、2025年7月期の中間配当が12円、期末配当が12円となり、2026年7月期は中間・期末ともに14円ずつを予定しています。
配当性向は、2025年7月期が17.1パーセント程度、2026年7月期は14.9パーセント程度となる見込みです。
このように、当社は安定的かつ継続的な株主還元を重視し、増配を継続しています。
株主優待制度
株主優待制度についてご説明します。
当社では、2025年1月末日を基準日として、株主優待制度を導入・実施しました。年間で2万円のQUOカードを進呈しています。
具体的には、基準日である1月末日および7月末日現在において、当社株式を2単元、すなわち200株以上保有されている株主さまを対象とし、QUOカードをそれぞれ1万円分ずつ、年間合計で2万円分進呈いたします。
発送時期は、1月末日および7月末日を基準日として、権利確定日から3ヶ月以内を目処に行います。
本制度は、株主のみなさまの日頃のご支援に感謝を示すとともに、当社株式を中長期的に保有していただくことを目的として導入しています。
2026年7月期 経営トピックス
2026年7月期の経営トピックスについてご説明します。
まず、株主還元の観点では、5期連続となる増配を予定しており、年間配当金は1株当たり28円を予定しています。また、年間2万円分のQUOカードによる株主優待も継続して実施する予定です。
保育所運営においては、大阪市中央区にて1施設の新規開設を予定しているほか、既存の晴海園においては増床を予定しており、受け入れ児童数の増加を図ります。
不動産の企画・開発については、子育て支援住宅開発プロジェクトを予定しています。前期においては、仕掛販売用不動産から販売用不動産への振替を行っています。
中期経営計画
中期経営計画についてご説明します。
まず、売上高の推移です。2025年7月期の実績は183億8,800万円でした。2026年7月期は178億1,000万円を計画しており、前期比でマイナス3.1パーセントの減収見込みです。これは、販売用不動産の売却が2025年7月期において当初想定を大きく上回った一時的要因によるものです。
しかし、2027年7月期には191億4,000万円、2028年7月期には201億5,800万円と、再び増収に転じる計画です。
営業利益については、2025年7月期が11億3,900万円、2026年7月期は9億8,600万円と前期比マイナス13.4パーセントの減益を見込んでいます。その後、2027年7月期には12億800万円、2028年7月期には13億3,900万円まで増加する計画です。
なお、2026年7月期は、保育所の新規開設1園と既存施設の増床を予定しています。都心部では行政による手厚い子育て支援が継続しており、児童数は引き続き増加する見込みです。また、研修サービスやフェムケア・フェムテックサービスなど、保育周辺サービスの拡充による積み上がりも計画に織り込んでいます。
会社概要
会社概要についてご説明します。
当社は「さくらさくプラス」という名前の会社です。桜が咲き、さらに「プラス」まで付いて「なんておめでたい会社なんだ」と思われるかもしれません。
社名のとおり「桜」が会社のモチーフになっており、「前を向いて、これからの未来にどうつないでいくか」を考えていける会社だと覚えていただければと思います。
当社は、2017年8月に設立され、2020年10月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。決算期は7月です。
本社所在地は東京都千代田区で、2025年7月末時点における資本金は5億8,901万9,430円、従業員数は1,804名で、そのうち臨時雇用者が453名となっています。なお、臨時雇用者にはパートタイマー、アルバイト、派遣社員を含んでいます。
当社の事業内容は、子ども・子育て支援事業です。主な連結子会社には、さくらさくみらい、さくらさくパワーズ、みらいパレット、VAMOS、みんなのみらい、保育のデザイン研究所、YELLが含まれます。
会社沿革
会社の沿革についてご説明します。
当社の起源は、2009年5月、認可外保育施設「さくらさくほいくえん」を個人事業として開設・創業したことに始まります。同年、ブロッサムを設立し、2010年には「わこうさくらさくほいくえん」を開設しました。
2011年には、初の認証保育所「つきしまさくらさくほいくえん」を開設し、2014年には初の認可保育所として、「もとまちさくらさくほいくえん」「ぜんげんじさくらさくほいくえん」を同時に開設しました。
2017年、株式移転によりさくらさくプラスを設立し、ブロッサムを完全子会社化しました。2018年にはさくらさくパワーズを設立し、宅地建物取引業者免許を取得しました。
2019年には社名をさくらさくみらいに変更し、あかるいみらいアセットと、ベトナムのHana TEDを設立しました。
2020年には東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)に上場し、2021年にはみらいパレットを設立、VAMOSを子会社化、みんなのみらいを設立しました。
2023年には保育のデザイン研究所を、2024年にはYELLを子会社化し、事業領域の拡大を続けています。
企業理念
企業理念です。共働きの世帯が非常に増えており、昔とはかなり違うということを、みなさまもすでに実感されていると思います。
共働きの世帯が、今後の日本の伸びしろになってくると思っています。労働力不足という課題がある中で、女性の活躍を推進する動きや、実際に活躍する優秀な女性が増えています。
そのような状況で、男性の育児休暇の取得率は30数パーセントと、まだ整っていません。しかし、男性と女性のどちらも働きながら社会を発展させていくというのが、今の時代の流れです。
人口は減っていく状況ですが、当社のビジネスチャンスはそこにあると考え、今、事業を拡大していこうとしています。
当社は「日本の伸びしろを、花ひらかせる。」という大きなテーマを掲げ、共働き世帯の方々を支えていけるような会社になっていきたいと思っています。
ソリューションプラットフォーム①
ソリューションプラットフォームについてご説明します。まずは第1のアプローチです。
当社は、深刻な待機児童問題を背景に、東京を中心とした日本の保育ニーズに対応するべく、不動産ノウハウを活かして「場」の課題解決に注力してきました。これが、保育所の開設・運営を基盤とする当社の成長の原点です。
そして現在、コロナ禍以降の働き方の変化を受けて、保育を取り巻く課題はさらに多様化しています。こうした時代背景を踏まえ、当社は保育の現場で得た知見を活かし、子育て家庭が抱える「時間」と「生活の質」、すなわちQOLの向上に資する取り組みを進めています。
単に「場」を提供するだけでなく、時間やQOLを総合的に支援するソリューションプラットフォームの構築を目指していきます。
ソリューションプラットフォーム②
続いて、ソリューションプラットフォームの第2のアプローチについてご説明します。
当社は、共働き家族のために保育の「場」を提供してきましたが、今後はそれに加えて、「時間」と「QOL」を向上させるための多様なサービスを提供する事業へと拡張していきます。
保育の現場から得られるリアルな悩みや課題に基づき、食育、進学教育、宿泊、レジャー、家事負担軽減、健康管理など、生活全体をサポートする複合的なソリューションを展開していきます。
これらのサービスは、外部パートナー企業との連携を通じて提供し、実際の保育の場で蓄積された課題解決ノウハウやコミュニティ開発・建築の知見を活用して構築します。
当社は今後も、「時間」と「生活の質」の両面から共働き家族を支援し、より良い社会の実現に貢献していきます。
グループの事業ポートフォリオ
当社グループの事業ポートフォリオです。当社の成長度合いとその過程を示しています。
「1. グループ中核事業」として「保育サービス」があり、「さくらさくみらい」というおめでたい名前でスタートしました。未来に向けて桜咲くというという意味を込めて「さくらさくみらい」という保育所を運営しています。現在は88施設を運営しており、利用者数は約5,000名となっています。
そこから、現在はさらなる事業展開を図っています。「3. 中核事業のノウハウ活用」の「情報資産サービス」として、みらいパレット社ではICT(インフォメーション&コミュニケーションテクノロジー)を使ったサービスを提供しています。保護者に子どもたちを育てる環境を整えたり、情報を提供したり、広告の展開などを行っています。
もう1つが「研修サービス」です。保育のデザイン研究所は当社の強みの1つです。みなさまは保育士にどのようなイメージをお持ちでしょうか?
実は、保育士の資格は更新制ではありません。一度免許を取れば、ずっとそのままです。そのため、どんどんと時代や世の中の流れ、保育の常識が変わっていく一方で、学び続けづらい環境にあります。
また、処遇が低いという話もお聞きになったことがあるかもしれません。「保育の仕事は子どもだけを見ていればよい。子どもと遊んでいればよい」と誤解されることがありますが、子どもたちを育てていくためには、専門的な知識をしっかりと身につけ、そしてそれを続けていかないといけません。
その状況を受けて、保育のデザイン研究所では研修サービスを行っています。例えば愛知県でも、保育の研修を受託しています。
このように保育に関連するサービスを続けながら、スライド下に記載している「2. 基盤能力の活用」にも取り組んでいます。冒頭で申し上げたとおり、私が以前不動産事業に携わっていたことから、良い場所に保育所を作ることに取り組んできました。
現在は、子どもを育てやすいマンションなどを開発し、提供する事業にも取り組んでいます。宅地建物取引業の免許番号も保有しています。
新しい事業として、9月1日にリリースした「フェムケア・フェムテックサービス」をご紹介します。子育てをする中で、男性と女性はまだまだイーブンではなく、当社は女性をさらに支援しなければいけないと考えています。
男性と女性では生物として違う点があり、体の負担はやはり女性のほうが多くなりがちで、生活の時間も取られやすい状況です。
そこでYELLのM&Aを行い、「フェムケア・フェムテックサービス」に参入しました。保育所でも多くの悩みを聞く機会があり、さらに女性を支援していこうというところから、事業を拡張しているところです。
スライド右上に「子育てしやすい社会を目指してさらなる事業の拡大」と示すとおり、当社は「未来にどうつないでいくか」を考える会社です。今後はさらに、未来につながる事業に取り組んでいきます。
「さくらさくプラス」という名前のとおり、明るく、そして未来につないでいけるような事業を組み立てていこうと考えています。
そのためには、共働きの世帯や女性への支援が必ず必要になってきます。そこを事業の柱として展開している会社だとご認識いただきたいと思います。
事業系統図
当社グループの事業系統図についてご説明します。
当社を純粋持株会社とし、各子会社がそれぞれの役割を担う構造となっています。
まず、保育サービスを展開するのは、連結子会社のさくらさくみらいです。また、情報資産を活用したサービスを提供するみらいパレット、進学塾サービスを展開するVAMOS、食育サービスを提供するみんなのみらいも、いずれも連結子会社です。
さらに、不動産仲介・売買・管理を行うさくらさくパワーズや、保育士・幼児教育従事者向けの研修サービスを手がける保育のデザイン研究所、フェムケア・フェムテック商品の企画およびEC販売を行うYELLなど、各社が多様な分野でサービスを提供しています。
これらの各事業は、保育所や幼稚園、各行政からの補助金、利用者からのサービス利用料や授業料、製品代金などにより収益を得ています。
このように、当社グループは、保育所運営を中心に据えながらも、幅広い周辺領域に事業を展開することで、シナジー効果を生み出しています。
保育所周辺サービスとのシナジー
保育所周辺サービスとのシナジーについてご説明します。
当社グループでは、保育所に加えて、さまざまな関連サービスを展開し、子育て世帯への支援を拡充しています。2025年7月末時点で、当社は88施設の保育所を運営しており、保育所利用者数は4,899人となっています。
0歳から6歳までの子どもおよびその保護者に対しては、みらいパレットが、システムやアプリケーションの開発・運営を行っています。
保育士・幼児教育従事者には、保育のデザイン研究所が保育研修サービスを提供しています。
さらに、子育て支援住宅の開発・紹介を担うのはさくらさくパワーズであり、出産・子育て家庭に対しては、フェムケア・フェムテックサービスを提供するYELLが商品提供や紹介を行っています。
このように、当社は保育所運営を中心としながらも、食育、教育、住宅、フェムケアなど、周辺サービスを包括的に展開し、子育て世帯の多様なニーズに対応する体制を構築しています。
基盤能力の活用 ~不動産企画・開発~
当社の基盤能力である不動産企画・開発の取り組みについてご説明します。
当社では、東京都の「東京こどもすくすく住宅認定制度」に基づき、子育て支援住宅の開発を推進しています。これは、居住者の安全性や家事のしやすさなどに配慮した、子育てに優しい住宅を東京都が認定する制度であり、キッズルームなどの共用部も助成対象となるほか、1戸あたり最大200万円の助成が受けられるものです。
当社の第1弾プロジェクトは、東京都港区西麻布にて2024年に物件の引渡しを完了しました。第2弾としては、台東区浅草で2025年に引渡しが完了しています。
また、買取再販売事業として、区分マンションを購入し、フルリノベーションを行ったうえで販売する取り組みも展開しています。これにより、資産価値の向上と収益化を同時に図っています。
不動産の活用は、当社グループの中核事業を支える重要な基盤であり、今後も積極的に展開していきます。
フェムケア・フェムテック市場 女性支援事業の拡充
フェムケア・フェムテック市場における女性支援事業の拡充についてご説明します。
当社は、2024年9月4日に、女性向けサプリメント商品「ママエール」を販売するYELLの全株式を取得し、完全子会社化しました。これにより、フェムケア・フェムテック分野への本格参入を果たしています。
「ママエール」は、妊活・妊娠中・産後の女性の体をサポートするサプリメントです。成分の選定や配合量にこだわり、「必要なもの」を「必要なだけ補える」ことをテーマとしています。赤ちゃんとママの健康を支える製品として、多くの支持を得ています。
今後は、さくらさくプラスとYELLが連携し、女性をサポートする多角的な事業展開を推進していきます。フェムケア・フェムテック領域での成長を加速させ、社会に必要とされる企業としての地位をさらに確立していきます。
フェムケア・フェムテック市場について
フェムケア・フェムテック市場の現状と今後の見通しについてご説明します。
世界市場においては、フェムケア・フェムテック分野は2016年頃から注目を集める新興市場として拡大しており、2025年には5.5兆円に達する見通しです。
国内市場でも、着実な成長が続いています。たとえば、フェムケア・オムケアサプリの市場規模は、2022年に695億円、2023年には750億円と推移しており、今後も安定した成長が期待されています。
また、カテゴリ別では、更年期ケアサプリ市場は2023年に191億円で前年比109.1パーセント、2030年には284億円に拡大する見通しです。PMSケアサプリ市場は、2023年に8億円で前年比160.0パーセント、2030年には34億円、2023年比430.0パーセントの大幅な成長が見込まれています。
このように、フェムケア・フェムテック市場は今後もさらなる成長が期待される領域であり、当社としてもこの分野での事業拡充を積極的に進めていきます。
私からのご説明は以上です。ご清聴いただきありがとうございました。
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