会社情報
柴田巌氏:代表取締役社長の柴田です。本日はご多忙の中、当社2025年3月期通期決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。さっそく説明を始めます。
当社の概要はスライドのとおりです。前期の報告から大きな変更はないため、説明は割愛します。
世界の教育の最先端を走る EdTech カンパニー
私どものミッション、ビジョン、コアバリューについても、同じく変更はありません。ミッションは「世界で活躍するリーダーの育成」です。
ビジョンには「Life-Time Empowerment(LTE)」という象徴的な言葉を使っているように、一生涯学び続け、一生涯成長できるような学び舎になっていきたいと考えています。
バリューは「知のネットワークは、人間の能力を無限に伸ばす」です。学び続けることによって、みなさま一人ひとりの能力を一生涯伸ばし続けるという価値を提供したいと考えています。
テクノロジーを使い、今後AIの革命がいろいろなところに浸透していく時代に入っていくと思います。1歳から経営者に至るまで、文字どおり「ゆりかごから墓場まで」、テクノロジーの力も使いながら、自己成長の学び、または学び舎、一緒に学ぶ仲間、そして一生涯続く先輩・後輩・先生といった関係を作っていきたいと考えています。
事業セグメント(1/2)
事業セグメントについてご説明します。従来と大きくは変わっていません。我々は教育事業会社ですので、ミッションに掲げた世界に通用する活躍するリーダーを育成し輩出していくこと、ビジョンである一生涯学ぶための学び舎になっていくことを共通とし、リカレント教育事業とプラットフォームサービス事業の大きく2つのセグメントでサービスを提供しています。
リカレント教育事業は、スライド右上に記載したとおり、さらに4つのカテゴリに分かれています。
1つ目は、University事業系です。オンラインで社会人が働きながら学んでいき、学位を取得します。「BBT大学」「BBT大学院」、オーストラリアのゴールドコーストにキャンパスがある「BOND大学」で学位が取れる、100パーセントオンラインのeラーニングの教育プログラムを運営しています。
2005年に「BBT大学院」MBA課程が開講し、2010年には「BBT大学」経営学部、つまり経営学士が取得できるプログラムが開講しました。「BOND大学」との共同MBAプログラムは2001年にいち早く開講していますので、それぞれ15年、20年、25年の歴史を持っています。
2つ目は、法人向け人材育成事業です。事業会社や自治体、中央官庁、NPOなど、さまざまな法人のお客さまの組織力の強化、人材の強化、経営人材の育成、昨今では人的資本経営に結びつくサクセッションプランなどの、標準のプログラムを提供する階層別研修を行っています。
あるいは、お客さまのニーズにカスタムメイドした選抜型の研修や、アサインメントとブレンドしたかたちでの自己成長のプログラムなども提供しています。
3つ目は、ITマネジメント事業系です。当社のグループ会社に、ITプレナーズジャパンがあります。経営者または経営人材に今後なっていく方々にとっては、経営戦略やマネジメントを理解するだけではなく、テクノロジーも理解した上で、経営にITを活用していく能力がより一層求められてくると考えてきました。
経営者、また経営チームには昨今、デジタルトランスフォーメーション、AI革命などの最新のテクノロジーをツールも含めて使いこなすことが求められています。このITマネジメント事業系では、そのような経営とITの両方を使いこなせるようになっていくためのプログラムを提供しています。
4つ目は、英語教育事業系です。インターネットやテクノロジーを活用して、実際の社会生活や経営、ビジネス活動の現場において、コミュニケーションとしての英語能力、コミュニケーション能力を養っていく事業を営んでいます。
具体的には、幼稚園から高校生くらいまでの学生を対象に、インターネットを使った英会話の事業を展開しています。学校教育の一部や、放課後の課外活動、または国内の一条校の小学校・中学校の英語の授業の一部などに活用されています。
また、社会人に対しては、英会話を学ぶ1つのオプションとして、法人の方々の自己啓発プログラムや、将来グローバルに経営を営んでいく経営幹部候補のトレーニングプログラムの1つとして活用していただいています。
このように、かなり幅広いかたちで、英語でのコミュニケーション能力を習得していただくサービスを提供しています。
昨今では、「BOND大学」とタイアップし、ビジネススクールの学習内容をよりエグゼクティブ向けにリフトアップしたかたちでの英語のトレーニング、英語×経営の学習トレーニングを提供することを推進しています。
以上が、このリカレント教育事業のドメインです。スライドに記載のとおり、対象(横軸)は社会人で、学習方法(縦軸)はオンラインであることが共通しています。
一方で、インターナショナルスクール事業系は、プラットフォームサービス事業と呼んでいます。この事業領域は、リアルな学校またはキャンパスを構えて、幼稚園から小学校・中学校・高等学校に対して、国際バカロレア機構やケンブリッジ大学国際教育機構のカリキュラムに準拠した、インターナショナルスクールの教育を運営しています。
これまで、2013年の秋に「アオバジャパン・インターナショナルスクール」の目黒校、光が丘校の運営を開始しました。その後、晴海、芝浦、早稲田、中野、三鷹、用賀、下目黒などの拠点に、サテライトキャンパスをオープンしました。
同時に、三鷹市では、ケンブリッジ国際の認定インターナショナルスクールとして、「ムサシインターナショナルスクールトウキョウ」を運営開始しました。また、港区の元麻布では「サマーヒルインターナショナルスクール」もIB校として運営しています。
このプラットフォームサービス事業は、今後、グレーター東京、つまり東京首都圏だけに物理的に展開するだけではなく、日本全国にこのような国際教育を普及していきたいと考えており、直接拠点を開校していきます。
また、オンラインで教育サービスをコンテンツとして提供し、各地域の提携校がそれを使って国際学校や国際教育を提供していくといったプラットフォームサービスに事業を成長させていきたいと考えています。
プラットフォームサービス事業を、スライドのチャートで表現すると、学習方法(縦軸)は対面、つまりリアルな物理的な学校を持って運営していきます。そして、学習者の年齢ターゲット(横軸)は、高校生以下の、幼児・小学生・中学生・高校生を対象としています。
事業セグメント(2/2)
事業セグメントについてもう少しご説明します。スライドのチャートは、先ほどご説明した2大セグメントについて求められる素養について、プロフィールまたはプロファイルなどを意識しながら表現したものです。
幼児から経営層まで、AIに代替されない本質的な力を身に付けた「世界で活躍するリーダー」を育成することを共通項としています。年齢ターゲットは、チャートの縦軸で示した通り、下から幼児、学生、一般社員、中間管理職、経営層とあるとおり、義務教育の課程を経て、大学を卒業して職業を持ち、営利・非営利を問わず、経営に携わっていきます。
このような縦軸の流れの中で求められる能力として、探究力、英語の能力、国際的視野を持った人間としての素養を磨いていきます。
経営層に近づいていくにつれて、問題解決能力や、IT、統計、ファイナンス、マーケティングといったハードスキル、そしてリーダーシップやコミュニケーション能力といったソフトスキルを身につけていきます。
最終的には、「0から1」を生み出すような構想力を習得していくプログラムの体系として、事業セグメントを、構造を持って運営しています。
また、チャートの右に記載のとおり、AI時代を生き抜くために必要な能力という観点からは、「AIでは代替できない能力」と「AIを味方にする能力」も意識して、カリキュラムの開発・導入を継続的に行っています。
2025年3月期 通期業績ハイライト
ここからは、通期決算の概況をご説明します。まず、2025年3月期通期業績のハイライトです。売上高は77億円、営業利益は4億4,000万円、経常利益は4億7,700万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億4,200万円となっています。
前期比で、売上高は2億2,500万円増、営業利益は5,700万円増、経常利益は8,900万円増、親会社株主に帰属する四半期純利益はプラスマイナスゼロとなりました。
結果的には、増収増益を経常損益の段階までは達成することができましたが、あらかじめ株主さまに示していた業績の見通しは達成できませんでした。そのような面では、できたこととできなかったことがはっきりしている年度になったかと考えています。
FY2024業績予想に対する進捗率
スライドのグラフは、業績予想に対する進捗率を四半期ごとに示したものです。業績の予想に対しては、売上高が7.3パーセント、営業利益率が12パーセント、当期純利益が18パーセントの未達となりました。見通しに対してビハインドするかたちとなったことをお詫びします。
棒グラフは、四半期ごとの積み上げを示しています。濃い青色の棒グラフが売上高で、左から第1四半期・第2四半期・第3四半期・第4四半期、そして右端は計画値、つまり業績の見通しの数字を表しています。売上高の実績は77億円で、見通しの83億1,300万円に対して、7.3パーセントの未達となりました。
営業利益の推移は、薄い青の棒グラフで示したとおりです。営業利益の実績は4億4,000万円で、見通しの5億100万円に対して、12パーセントの未達となりました。営業利益率は、最終的に5.7パーセントで着地しました。見通しの6.0パーセントから、0.3ポイント未達となりました。
計画対比との差異の理由
計画対比との差異の理由を解説します。リカレント教育事業ついては、特にUniversity事業系、英語事業系、ITマネジメント事業系が計画値に対して未達となっています。
University事業系については、大学院の入学者に関しては前年並みの水準を維持しました。また、「BOND-BBT MBA」の入学者も前年比で増加しています。
大学部門については、日本全国のトレンドとしても、大学に進学する18歳を中心とした若者層の人口が減っているにもかかわらず、大学の数自体は横ばいか微増しているという需給関係があります。
私どもの「BBT大学」も本科生の獲得に苦戦し、計画に対して未達となりました。一方で、3ヶ月間で1つのスキルを獲得する短期集中講座は生徒が増え、売上も大きく伸びました。これが1年間を振り返った特徴です。
英語事業系については、学習者の年齢により、社会人向け(大人向け)の領域と子ども向けの領域があります。社会人向けの売上高は微増しました。また、法人向けのグローバル経営人材の研修事業も堅調に推移しました。
一方で、子ども向けのサービスは前年比で微増程度にとどまりました。予算はそれ以上の成長を計画していた兼ね合いで、業績見通しに対しては未達成で着地しました。
今後、語学の学習については、AIの導入が業界全体としても急速に進んでいくと予想していることから、私どももAIの導入などについては積極的に進めていきたいと思っています。
ITマネジメント事業系については、前年対比では売上、営業利益ともに8パーセント、20パーセントの増収増益となりました。特に、一番主力である「ITIL認定研修」は堅調に推移しました。
一方で、新たな事業領域として、アジャイルやDevopsを組織に導入していくためのトレーニングプログラムの拡充を計画していました。
アジャイルとは、俊敏に素早く小刻みにITを開発して導入し、不具合や改善課題があればまた俊敏に直していこうという、高速でPDCAを回していく設計開発導入手法です。
Devopsは、システム開発部門であるデベロプメントと、それを使ってシステムを使って業務を回していくオペレーションの組み合わせで、Devopsと呼ばれています。開発主体と、業務を運営する主体が渾然一体となって、ITを活用しながらオペレーションを効率的に回していくという、IT業界では普及している考え方です。
このようなアジャイルやDevopsを組織に導入していくためのトレーニングプログラムについては、計画していたほどは伸びませんでした。以上が、計画対比での差異の主たる理由です。
セグメント別実績(売上高/営業利益)
セグメント別の売上高と営業利益の実績です。売上高の推移は、右上のグラフのとおりです。棒グラフの左側がリカレント教育事業、右側がプラットフォームサービス事業を示しています。
リカレント教育事業の売上高は、2023年度の実績は36億3,200万円でしたが、2024年度は36億600万円と、前期比約2,600万円の減収となりました。一方、プラットフォームサービス事業は、2023年度の実績38億2,700万円から、2024年度は40億8,500万円と、前期比で約2億6,000万円の増収となりました。
営業利益の推移は、右上のグラフのとおりです。リカレント教育部門は、2023年度の1億3,400万円から、2024年度は8,700万円と、前期比で約4,700万円ダウンしました。こちらが先ほどご説明した計画対比との差異の要因となっています。
一方、プラットフォームサービス事業は、2023年度の2億5,200万円から、2024年度は3億5,600万円と、前期比で約1億400万円の増益となりました。
したがって、この2024年度においてはプラットフォームサービス事業が、売上高の伸長にも営業利益の伸長にも、相対的に大きく貢献した1年となりました。
業績推移
スライドのチャートは、2018年度から2024年度までの7年間の業績の推移を示しています。売上高を濃い青の棒グラフ、営業利益を薄い青の棒グラフ、営業利益率をオレンジの折れ線グラフで表しています。
売上高は、2018年度には53億6,000万円でしたが、その後56億円、58億8,000万円と、少しずつ堅調に伸長し、2024年度には77億円に達しました。
一方、営業利益は、2018年度には4億5,800万円でしたが、先行投資がかさんだことから1億6,000万円、2億円と、一時的にダウンしました。その後並行してコロナ禍に入っていったわけですが、2021年度は不動産アセットの売却益などもあり、4億7,100万円となりました。
2022年度にはその一時的な利益要因がなくなり、3億2,900万円となりました。そして、2023年度が3億8,300万円、2024年度が4億4,000万円となっています。
営業利益率は、2024年度は5.7パーセントで着地しました。2021年度は不動産売却益があったことから7パーセントに増えていますが、2019年度の2.9パーセントからは少しずつ伸ばしてきています。
セグメント別概況・トピックス ~法人向け人材育成事業系~
法人向け人材育成事業の業績トピックスと、今後の成長戦略についてご説明します。2025年度も引き続き、定型のサービスを提供するというよりも、ソリューション提供による事業成長を目指したいと考えています。
この2024年度も前年同期間比7パーセントの成長を達成しました。2024年に需要が大きかったカスタマイズ型の人材研修と、サクセッションプランのような次世代の経営人材の育成が、足元でも堅調でした。
トピックスをご紹介します。当社の強み領域である次世代を担う経営人材の育成の需要が安定的に拡大しています。
特に、グローバルに人材を選抜して、世界中から選抜された社員、または将来の経営幹部候補が、日本語と英語で学んでいきます。あるいは、他社の人たちと一緒に学んでいく、他流試合形式で学ぶ研修へのニーズが増えてきています。
今後の成長戦略としては、次世代経営人材育成サービスに、より一層リソースを投下していきたいと思っています。
セグメント別概況・トピックス ~法人向け人材育成事業系~
法人向けの人材育成事業の概況です。いわゆるBtoBの組織力の強化、または従業員の人材力の強化といった需要は、堅調に過去何年間か伸長しています。
特に「顧客の経営課題に合わせたソリューション提供による事業成長」が、牽引しているドライバーの1つです。2024年度は、取引件数が前年比12パーセント増、売上高が前年比7パーセント増となりました。
特に、1回あたりの受注額が1,000万円以上のVIP企業、お得意さまの企業数は、前期比20パーセント増となっています。多くの会社が組織力の強化、または人材の強化に積極的にお金を投下している傾向が見てとれるかと思います。
新規受注とは、2023年度までは取引がなかった企業から、2024年度新たに発注いただいたという意味です。新規受注の件数も順調に拡大し、法人取引件数は500社以上、前期比13パーセントの増加となっています。
これらの数字的な特徴を示したのが、スライド下部に示した、法人営業の取引売上高年度推移と、法人営業取引件数です。2024年度は、売上高が15億円強、取引件数が500社強となっています。
セグメント別概況・トピックス ~University事業系~
University事業系についてです。足元では、タイムパフォーマンスやコストパフォーマンスという言葉が広く使われるようになってきていますが、特に年齢の若い方を中心に、大学に対する概念も大きく変わってきていると当社は見ています。
コロナ禍によって、さまざまな日常生活や仕事の仕方、学び方がリモートになりました。世界中で一斉にリモートになったことがより一層鮮明にそのトレンドを加速し、定着したのだと捉えています。
この流れから、短期間ですぐに稼げる力に結びつく学習をしたいというニーズが、足元では非常に増えたと考えています。その影響が、業績に対しては、「BBT大学」の本科生の減少と、短期集中型コースの受講生の急速な拡大というかたちで表れています。
大学院のほうは、MBAの資格を獲得することができますので、入学者という観点からは前年の実績を維持する、または微増していきます。「BOND大学」のMBAコースも同様です。このように、大学と大学院では、少し外部環境が変わってきていると捉えています。
したがって、短期集中型コースで学ぶ母集団を作りながら、より一層長く体系的に学びたい方が大学や大学院にステップアップしていくというかたちで、学習を組み立て、そしてサービスを提供していきたいと思っています。
短期集中型コースでは、講座の名称自体も何を学ぶのかをクリアにし、おおむね3ヶ月で集中的に学んでいきます。例えば、スライドのトピックスの欄に記載のとおり、デジタルなテクノロジーについて集中的に学ぶ「デジタルファーストキャンプ」や、AIについて集中的に学ぶ「生成AI活用キャンプ」、ファイナンスについて学ぶ「ファイナンスドリブンキャンプ」などがあります。このような短期集中講座の申し込みが、足元では非常に増えてきています。
セグメント別概況・トピックス ~ITマネジメント事業系~
ITマネジメント系事業系については、先ほどもご説明したとおり、ITILという資格を獲得するための学びは堅調です。この領域については、2024年度もマーケットのシェアを44パーセント獲得したのではないかと捉えています。我々がマーケットの1位のシェアを持っているリーダーです。
今後ITを経営に活用していく観点からは、トピックスの欄に「Scrum Master」という言葉があります。こちらは、アジャイルやDevopsを導入していく上で、開発の体制としてラグビーのスクラムをイメージしています。さまざまなエンジニアがスクラムを組み、目的関数の1点にすべての力を集約して運営、設計、開発、リリースしていきます。
このようなコースを、ITILに次ぐ資格も備えたトレーニングプログラムとして育成していきたいと考えており、引き続き2024年、2025年も注力していきたいと思っています。
セグメント別概況・トピックス ~ 英語事業系 ~
英語事業については、テクノロジーの導入、特にAIの導入が私どもの5つのドメインの中で一番速いスピードで進んでいくと捉えています。
日本人は、英語や英会話に対する苦手意識と、学習したいという意識が併存している方が多いです。これまでは先生から学んでいくスタイルが主流でしたが、足元ではすでにAIなどを使ったテクノロジーで英会話を学んでいます。
特に初級、中級の入口くらいまでは、人間の先生に教えてもらうのと同等の学び、また場合によってはより柔軟な学びが、テクノロジーを使ってすでにできるようになりつつあります。そのような面では価格競争も激しくなり、テクノロジー競争も激しくなっていくと思います。
スライドにトピックスとして挙げたように、AI学習アプリや子ども向けのプログラムでのさらなる進化を進めていきながら、大人向けの学びは次世代経営人材の育成の中で英語で経営していく要素はより一層重要性が増すと考えており、問題解決型の英語プログラム「Mission:English」などを導入しながら、そのようなニーズに応えていきたいと考えています。
セグメント別概況・トピックス ~ プラットフォーム事業系 ~
プラットフォーム事業系に関しては、従来の流れ、足元の学校への出願の問い合わせ、学校の授業を見学したいという訪問の問い合わせ、そして実際に出願する方の数、入学する方の数も堅調に推移しています。したがって、2024年度の業績としては増収増益で着地しました。
また、グループでは1,500名以上の生徒数になり、国内で一番規模の大きいインターナショナルスクールグループに成長しつつあると捉えています。
トピックスとして、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」の在校生数は過去最高となりました。また、「アオバジャパン・バイリンガルプリスクール」の在校生数も580名と非常に増えてきています。
今後は高等学校の課程であるオンラインDPを、2025年8月にこれまでのパイロットプログラムの位置づけから正式にローンチします。すでに日本国内だけでなくアジア、南半球、また欧州などから入学者が入ってきていますが、よりグローバル色の強い多国籍のオンライン学習プログラムになっていくものと期待しています。
提携関係という観点からは、九州、関東、北陸地方の教育機関の方々と提携関係を結ぶことができたため、より一層深く掘っていきたいと思っています。また、足元の出願者の増加率に鑑みると、近い将来、物理的な校舎のキャパシティの上限まで到達することが予想されるため、並行してさらに校舎を拡張するチャンスを優先度を高めて見出していきたいと思っています。
市場環境:両セグメントとも、成長市場
事業戦略の概要、市場環境、今後の成長と収益性の強化についてご説明します。まず市場環境は、プラットフォームサービス事業、リカレント教育事業ともに今後も堅調に拡大していくと捉えています。
プラットフォームサービスに関しては、グローバルでも国内でも、学校数、生徒数、金額換算した市場成長性などは2024年度も堅調であり、いろいろなフォーキャストでも伸びていくというデータが示されています。
国内のリカレント教育事業に関しては、法人の需要が非常に堅調に伸びてきています。AIによって働き方や人間が行う仕事の内容も劇的に変わろうとしており、今後も人材への投下、または人間が行うジョブの内容の変化に応じて、プロフェッショナルディベロップメント、つまり人材の育成は市場としても拡大していくと見ています。特に、対面だけでなくオンラインを活用したブレンド型の学びによるサービスは伸びていくと捉えています。
今後の成長戦略:概要
今後の成長戦略としては、変化する市場環境に迅速に対応するための成長分野への資源集中と組織変更を行う予定です。すでに一部着手または実行したところですが、まずプラットフォームサービス事業に関しては、オンラインの事業を伸ばしていくことと、先ほどのとおり想定よりも速いスピードで入学者が増えているため、新しい拠点の開発を並行していきたいと考えています。
同時に、学校名が「アオバジャパン・インターナショナルスクール」「アオバジャパン・バイリンガルプリスクール」「サマーヒルインターナショナルスクール」「ムサシインターナショナルスクール」と、M&Aなどを繰り返してきたこともあり複数の学校ブランドで推進していますが、2025年度または向こう数年間の中でブランドを一体化することも考えていきます。つまり学校名の統一、あるいは学校名を統一しなくとも統合的なブランドの打ち出し方を考えていきたいと思っています。
リカレント教育事業に関しては、まず法人向け事業を伸ばしていくこと、そしてUniversity系は短期集中型の需要が非常に伸びているため、それらをより伸ばしていきます。
英語の獲得については、単に語学として獲得するだけでなく生活に使っていく、またはビジネスに使っていくという使い方ができる学びの機会を、テクノロジー、特にAIを使いながら進めていきたいと思っています。
グループ全体では、以上のようなかたちで教育の質、学習体系、または顧客満足度を重点的にクオリティアップしながら、最終的には教育に対する投資のリターンをきちんと可視化して示せるような意味で、高付加価値サービスを創出していきたいと思っています。
今後の成長戦略:プラットフォームサービス事業
プラットフォームサービス事業に関しては、先ほど概況をお伝えしたとおり、既存事業の収益性の向上、キャパシティの拡大への対応、また教育機関との連携の強化などを進めていきます。
既存事業の収益性の向上は、ブランドを統合しながら、各拠点の教育内容を相乗効果を出すようなかたちで、すでに幼稚園から高等学校までおおむね一貫教育の構造はできており、幼稚園の1歳児から入って18歳で高校卒業するまで、あるいはそこから大学に進学するところまでを含めて、我々が教育の一貫性を担保することを手伝いたいと思っています。
また、③の教育機関との連携強化に関しては、熊本のTSMCが拠点を持つ予定である菊陽町合志市にある地元の学校との提携や、神奈川県葉山町で近い将来開設する予定のインターナショナルスクールとの提携、あるいは北陸、石川県金沢市にある140年の歴史を持つ学校との提携をすでにプレスリリースしています。
それらに加え、国際バカロレアのような世界標準と呼ばれるカリキュラムを自校にも導入し、それをもって国際教育において、地元の教育界で非常に特徴のある、他校が真似できないような内容と品質の教育を提供したいというニーズを持つ教育機関との提携をより一層広めていきたいと思っています。
今後の成長戦略:リカレント教育事業
リカレント教育事業においては、コア事業の明確化、実行体制の最適化、そして新規事業開発支援の集約、強化を推進していきます。
コア事業の明確化に関しては、②とも関連しますが、これまで組織として、営業部隊とプロダクトの製造・提供部隊は別の部隊にしていたのですが、これを一体化することで、お客さまのニーズを引き出してくることから、カスタマイズした教育トレーニングプログラムを柔軟に提供することまで一貫できるようなバリューチェーンにしました。
したがって、企業価値向上に資する研修需要を取り込み、また当社の強みを発揮できる領域への集中、特に研修設計力や、実践性の高いカリキュラムによる即戦力育成などの製造能力を高めつつ、②にある法人研修事業本部として組織を一体化します。
その中で標準プログラムを提供するチームと、スライドに「Corporate Training Hub」とありますが、事業会社や法人顧客が求めるカスタムメイドしたトレーニングを提供する部門で専門チームを作り、他社では提供できないような、よりきめ細かい教育研修サービスを提供する体制としたところです。
今後の成長戦略:中長期戦略
今後の中長期戦略は、EdTechによる競争優位性強化と、オーガニック成長プラスアルファへの取り組みです。私どもは1998年の創業以来、「AirCampus」「AirSearch」などオンラインのテクノロジーを使って学び舎を運営してきました。
2013年からは、リアルの学校として「アオバジャパン・インターナショナルスクール」の運営を開始したわけですが、近年ではそのリアルの学校でも、オンライン学習やブレンド学習の導入を他のインターナショナルスクールに先駆けて行っています。このようなEdTechカンパニーとしての進化、特にAIの活用による新たな次元での価値の創出を進めていきたいと思っています。
さらに、非連続的な成長への挑戦ということで、今後もよいチャンスがあればM&Aなども狙っていきます。また、日本国内だけでなくアジア市場におけるEdTechのリーディングカンパニーとしての、またリーディングプレイヤーとしての位置づけをより強いものにしていきたいと思っています。
FY2025 業績予想
最後に業績予想です。スライド右端の赤い枠内が2025年度の業績の見通しです。2026年3月期は売上高で82億5,000万円、営業利益で6億円、当期純利益で4億2,000万円を目指したいと思っています。株主のみなさま、投資家のみなさまにおいては、ぜひお力添えのほどよろしくお願いします。
また、営業利益率は折れ線グラフで示したとおり、売上高82億5,000万円で営業利益6億円を目指すため、7.3パーセントを達成したいと思っています。
昨今の事業環境について
質疑応答の前に、資料ではご説明できなかった昨今の動きなどもお伝えしたいと思います。年度が変わった2025年1月以降においても、やはりBtoBのセグメント、つまり法人のトレーニングプログラムの需要は変わらず堅調に推移しています。
特に、階層別の研修ではなく、選抜して将来の候補として5年以内に執行役以上になっていくような次世代の経営人材のサクセッションプランや、10年ないしそれ以上の時間軸でそのような活躍を期待したい、次々世代以降の幹部候補の需要です。
いずれにしても、30代前半くらいのかなり早い年齢から、企業としてこれだと思う方に投資し、人材としてチャンスを与え、経営人材としての意識も含めて準備を開始してほしいと思っています。そのような需要が足元で増えてきています。
同時に、日本語で日本人と学ぶだけでなく、外国籍の人と一緒に日本語・英語の両方で学んでいくようなスタイルを打ち出したいという企業からの相談も増えてきています。これは明らかに1つの大きなメガトレンドになっていると思います。
それが体系化していくと、コーポレートユニバーシティというかたちで社内での高等教育機関という役割を担っていくことになると思います。そこまでいかずとも、仕組みとして導入し、サクセッションプランと連動しながらノミネーションして学んでもらい、学んだことを仕事でも活用して業績に貢献してもらいプロモートしていく流れがあるかと思います。
また、資料にもあったとおり、University系は3ヶ月くらいの期間でAIについて、またはデジタルトランスフォーメーションや会計、ファイナンスについて実践的に深く学ぶというニーズに手応えを感じており、特にAI系は足元でニーズが高いと思っています。
一方で、技術の進歩やトレンドもめまぐるしく変わっていくと思います。そのような観点からは、このようなプログラムは高速でバージョンアップをしていくか、またはポートフォリオの概念で、時間軸としては素早く新しいものを導入していくことが必要かと思います。
したがって、それを企画し製造してローンチしていく組織の体制も、それに合わせて高速で回転させ、多産多死型でポートフォリオとして業績を伸ばしていく組織構造にしていきたいと考えています。
質疑応答:2026年3月期の施設への投資額の見通しについて
「新校舎の建設の検討などの記述がありましたが、2026年3月期はどれくらいの施設建設の投資額を予想していますか?」というご質問です。
先ほどの業績見通しの数字の中では、投資額についてはそれほど大規模なものは見越していません。従来もバイリンガルプリスクールのA拠点、B拠点というかたちで拠点ごとに投資額を取締役会で諮り、IRRまたはROIが期待できそうな場合には追加投資する手法を踏襲していたため、今の段階では、業績に見込んでいるものがあったとしても、予備調査費のような軽微なものにとどまっています。
投資家向けIRイベントについて
2024年度においては、投資家向けのIRイベントとして、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」のキャンパスに訪問いただき、教育現場やキャンパスの雰囲気、オンラインを活用したブレンド型学習の取り組みを実際に見る機会も提供しました。
2025年度においても、そのような私どもならではの教育内容を体感していただけるような、またより深く知っていただけるような機会を設けていきたいと思っています。ぜひ参加を検討していただければ幸いに思います。
質疑応答:2026年3月期の増益予想の要因について
「2026年3月期の業績予想は、2025年3月期の期初予想と比べると、売上高は若干減少したものの増益となっています。これは「BBT大学」の本科生の減少、短期講座の増加などの事業内容の変化の影響でしょうか? もしくは、組織統合などのコストダウンの影響なのでしょうか?」というご質問です。
いくつかの要因の組み合わせになっています。1年前に2025年3月期の業績予想を作成した時点と現時点では、当社の組織構成や人的資源の配分、外部環境に基づく為替の影響など、いろいろな要素の価格水準なども変わってきています。
また、私どもが販売する教育プロダクトの粗利率、原価率も変わってきているため、全体としては、この1年間でより筋肉質なコスト構造、組織構造にしました。
また、残業などを増やすことなく労働生産性も高まってきています。売上がほぼ横ばいまたは微減で営業利益額が増えてきているのは、全体として筋肉質なコスト構造になり、営業利益率を高めていく意識がこの1年間で浸透したことを意味します。収益性が1年前と比べて伸びたかたちで業績の見通しが出せているのは、そのような背景があるかと思います。
外部環境が与える事業への影響について
日本も諸外国と同様に、お米や野菜などの食料品を中心に、足元ではやはり物価高が進んでいます。また為替による円安がメディアには多く取り上げられていますが、日銀もマイナス金利からプラス金利にシフトする方向性にあると思いますし、為替についても足元では円高ドル安の方向にシフトしています。
そのような意味では、我々も売上高を伸ばすのではなく、営業利益率、収益性を高めていくことによって売上よりも速いスピードで営業利益も確保しながら、フリーキャッシュフローでさらに将来の投資を行っていきます。
学校を拡張したり、教員の水準を高めていったり、学習方法によりテクノロジーを導入したりと、いくつかの領域でのリソースの投下がチャンスとしてあるかと思っているため、それらを進めていきたいと思っています。
首都圏以外への事業展開、今後の注力領域について
インターナショナルスクールの教育に関しては、日本国内でも東京や大阪など大都市圏のみならず、北陸、九州、北海道、東北の日本全国で、このような国際的な感覚を養った国際人としての教育の機会を提供したいと思っています。
また、それを通じて、グローバルシティズンとして大学進学、それ以降の仕事についても我が子に大きなチャンスを与えたいというニーズは確実に広がってきているかと思います。
それはインターナショナルスクールだけでなく、日本国内の教育機関の多くでそのような教育にシフトしていきたいという願望とアンビションを持っているところが増えていると思います。我々としては、それらの教育をより良いものにしていくお手伝いを通じて、事業としても伸ばしていきたいと考えています。
社会人でも、22歳で大学を卒業したら定年退職するまで学ぶ必要がないという時代はすでに終わり、これからは働きながら学んでいく時代です。特にAIやDXといったさまざまな外部環境の変化や、テクノロジーによる働き方の変化に呼応するかたちで、それらを使いこなし、能動的に自分のキャリアやライフステージをピボットする、ステップアップする、あるいはブレークスルーしてまったく違う領域に転身するための教育の機会、ひいては自己変革の機会を引き続き提供したいと思っています。
以上で本日の決算発表会ならびにQ&Aセッションを終了します。当該年度の1年間、力強いご支援いただき誠にありがとうございました。2025年度も引き続きご支援とお力添えのほど、どうぞよろしくお願いします。