2025年3月期 業績サマリー

河野映彦氏:代表取締役社長の河野です。私より、2025年3月期の決算についてご説明します。

業績サマリーです。当社は、リユース業態と流通卸売業態の2つをメインの柱として経営しております。リユース業態は、アップガレージという店舗を中心に展開しています。流通卸売業態は、そこから発生した新品の卸売となっています。

リユース業態は、店舗において個人からの商品の買取販売をメインに行っております。物価高の影響で世の中が大きく変化したため、継続的にお客さまのご来店が増え、好調に推移することができました。また、前々期は暖冬で、前期は通常の冬天候だったこともあり、タイヤ販売が回復したことに加え、前々期でも大きく伸びた中古のスタッドレスタイヤの買取販売がさらに好調に推移しました。

ただ、直営店は非常に好調に推移したものの、FC新規出店が計画に対して未達となり、それに伴う什器や工事の収入が減少した点がマイナス要因となりました。こちらについては、後ほど詳細をご説明します。

流通卸売業態では「ネクスリンク」というWeb卸売サイトが好調に推移し、大幅な増益増収となりました。

2025年3月期 業績サマリー

業績サマリーです。売上高は、前期比11.3パーセント増の139億8,100万円、営業利益は前期比8.3パーセント増の10億4,400万円の着地となりました。営業利益は計画に少し届きませんでしたが、当期純利益は前期比22.9パーセント増と大幅な増益となり、計画も10.4パーセント上回りました。

リユース業態、流通卸売業態ともに売上は非常に好調に推移することができました。特に、「ネクスリンク」経由の売上が大幅に伸びています。

新規出店に関しては、アップガレージ直営店で3店舗、FC店で5店舗、自転車の業態であるサイクルズで3店舗となりました。FC店出店数が計画よりもマイナスだった点が、営業利益が計画をやや下回った要因です。

また、昨年はアメリカにUSA1号店をオープンし、足元も好調に推移しています。こちらは現在、2店舗目に向けて準備しています。

また、繰延税金資産の回収可能性の見直しを行ったこと、および段階的に継続して行っている賃上げに伴う賃上げ促進税制の税額控除などにより、純利益が大幅に増益することとなりました。

期末配当については、3円増配となる32円50銭に上方修正いたしました。

2025年3月期 連結業績

売上利益とも過去最高となりました。

売上高・営業利益 推移

売上高、営業利益ともに毎年計画的かつ段階的に上げることができています。引き続き、連続して過去最高を更新していけるよう努めます。

売上高・営業利益 四半期推移

四半期推移でみても、売上高、営業利益ともに、毎期段階的に積み増すかたちで推移しています。

2025年3月期 連結主要販管費

主要な販管費の内訳です。人件費は売上増に伴って増加していますが、販管費率については、しっかりと計画的にコントロールすることで前期も32.4パーセントまで引き下げました。

業態別売上分類一覧

業態別の売上分布です。店舗売上は非常に好調に推移し、フランチャイズ関連も好調に推移しています。

一方、海外ECは前期比でマイナスとなっていますが、こちらは戦略的に行いました。リユース業態におけるビジネスの魅力や一番の利益の源泉は、現地でのしっかりとした「買取販売」にあり、これは当社にとってのビジネスの根幹でもあります。

オンラインでの販売は効率的ですが、販売後に商品が市場に戻る流れを作ることが難しくなります。特に海外販売の場合、良質な在庫が永続的に日本の循環の輪から外れる可能性があります。

国別の需要傾向を把握するマーケティング活動は重要であると認識していますが、現段階では単なる海外販売の拡大には過度に注力する必要はないと思っています。

今期も、以上の考えを前提に、海外ECの予算を組んでいます。

また、流通卸売業態も非常に好調に推移しており、売上を大きく伸ばすことができています。新規加盟店さまのみならず取扱いを増やしていただく企業さまの増加もあり、1社あたりの売上高も上昇しています。

リユース業態 チェーン合計(直営・FC)四半期推移

アップガレージチェーンの合計売上高と買取金額です。売上だけが注目されがちですが、リユース業態においては、むしろ買取金額がより重要な指標と言えます。グラフで示されているとおり、買取金額も毎年段階的に増やせていることが、業績の好調につながっています。

リユース業態 売上分類 - 店舗売上

直営店に関しては、本来であれば5店舗新規出店したかったのですが、3店舗の出店となりました。ただし、既存店はしっかりと昨対を上回って推移していることに加え、客単価も上げることができています。

リユース業 売上分類 - フランチャイズ関連

FC店に関しても、既存店の売上高は106.3パーセントと、好調に推移しています。ただし、FC店の新規出店は5店舗と、計画の10店舗に比べて少しマイナスとなっています。

流通卸売業態 売上高

流通卸売業態の売上の構成です。「タイヤ流通センター」、および受注プラットフォームである「ネクスリンク」ともに、大幅な増収となっています。

流通卸売業態 売上分類

「タイヤ流通センター」の新規出店は、13店舗でした。こちらももう少し店舗数を増やしていきたいと思っております。

流通卸売業態 売上分類

流通卸売業態における、四半期ごとの売上推移です。通期では、しっかりと伸ばすことができているものの、第4四半期はマイナスとなっています。これは、2024年3月期第4四半期に大口のスポット的なタイヤの卸販売があったためです。

その取引により前々期に売上が大幅に上がった反動により、前期は若干マイナスとなっています。ただ、そのお取引さまとは前期1年をならしてみれば、販売増につながっていることから、まったく問題はありません。

2025年3月期(中期経営計画1年目) 振り返り

中期経営計画の1年目の総括及び2年目に向けた重点施策についてご説明します。当社は、循環型社会におけるMobilityParts分野の中核的サービスプロバイダーになることを目標としています。

具体的には、中古車や中古マンション、中古住宅と同様に、Mobility関連の中古品も当たり前に売買されるような世の中にしていくための、アップガレージという業態が、その中核的サービスプロバイダーとなることを目指していきたいと考えています。

この企業像を実現できれば、現在の約10倍となる営業利益100億円の達成は決して難しい目標ではありません。さらに、時価総額も現在の10倍以上となる1,000億円となることが可能ではないかと考えており、2035年から2040年の実現を目指して動いていきたいと考えています。

この実現のために大きな3本柱を掲げ、注力していきます。

1つ目は、マーケットの拡大です。国内にもまだ出店の余地は十分にありますが、加えて国外の出店もしっかりと進めていきます。

すでにアメリカに1店舗を出店しましたが、日本のカー用品を望まれているユーザーの方が非常に多いと感じています。海外出店は未開の地ではありますが、十分いけるのではないかという手応えを持っております。

また、現時点で当社が得意としているのは車・バイク・自転車ですが、今後、いわゆる「車輪のついている」分野において中古マーケットでの取り扱い商品を広げ、更にマーケットを拡大していきたいと考えています。

2つ目は、買い取って仕入れた商品を洗浄・修正などを行いながら、次の方に使っていただくという循環モデルのもとで、効率的に多くの方に使っていただけるような良いものを提供し、それをITの力で拡大させていきます。

その1つは法人からの買取強化です。従来は、大半が店頭での個人のお客さまからの買取でしたが、近年は、企業さまからも「中古のカー用品を買い取ってほしい」というご依頼を多くいただいています。企業さまからも効率的に在庫を仕入れ、店頭に並べるという循環モデルを構築していくことで、さらなる拡大を図っていきます。

次にアプリの強化です。アプリを使っていただく方々の利便性を高めていくことは当然です。加えて、お客さまに楽しくアプリを使っていただけるように、ご利用履歴がアプリ上に表示され、自慢のお車や部品を見せることができるようにしたいと考えています。

また、我々は中古をメインに扱っている優位性を活かして、特定の期間や一時的に使われるような商品においてはレンタルサービスなども行いながら、よりユーザーの方々にとって、なくてはならないサービスを提供してまいります。

3点目は、人的資本の強化です。ITへの投資や店舗の出店、更なるマーケットの拡大のためには人が必要となります。人材へどんどん投資することで、さらに企業も社員も成長していきたいと考えています。

まず、前期から注力しております女性社員の活躍の促進です。今までは男性スタッフが多い業態であり、女性にとってはなかなか働きづらい環境もありましたが、女性の方々が前向きに、気持ちよく働くことのできる環境を築いていきます。

そのためには生の声が重要と考え、直営・FCを問わず実際に現場で働いていただいている女性社員に集まっていただき、どうすれば自分たちがさらに発展できるかを議論し、それを経営にフィードバックするというイベントを前期に行いました。今期は、さらに拡充して行っていきます。

また、次世代経営者研修を実施し、成長したいと思う人材を研修・強化することにより、さらなる経営人材を発掘し、企業の成長につなげていきます。

加えて、外国人従業員の比率も毎年増加しており、そのような方々にも気持ちよく働いていただける環境を築くことで、人的資本の強化を図ります。

これら3つを強化することで、2035年から2040年に我々の目標である営業利益100億円、時価総額1,000億円を達成したいと意気込んでおります。

2026年3月期 重点施策

今期の重点施策についてです。直営店における出店は5店舗、FC店は10店舗、自転車業態サイクルズは5店舗、アメリカは1店舗のオープンを計画しています。

前期は、直営店・FC店ともに出店意向は非常に強く、対象物件もある程度出ていました。ただ、物件を選べるようになったことで、「より良いところに出したい」という思いが強く、一方で居抜き物件であるがゆえに前店の営業終了まで待たざるをえないことが多々あり、出店時期が思うようにコントロールできないケースもありました。例えば、本来は前期にオープンを希望していた函館においても、前の店舗が2月末まで運営した結果、出店時期が4月にずれ込んでしまいました。

今期は、より多くの物件にあたり、かつスピード感をもって判断することにより、直営5店舗・FC10店舗の出店をしっかり達成していきたいと思います。

アメリカについては、現在、契約の最終段階で詳細の詰めに入っています。年内に出店したいと考えています。

次に、利益率の向上についてです。お客さまからただ安く買うのではなく、インフレに伴って新品価格が上がっている以上は買取価格も引き上げつつ、売価も上げることで利益を確保します。

また、取付メニューの拡充のみならず、タイヤ安心保証といった新品では当たり前になっているサービスを、中古タイヤにおいても、店舗による保証だけでなく損保による保証・保険にもご加入いただく提案を行うことによって、利益率の向上を図ってまいります。さらに、モビリティパーツ商品の拡充や、自転車やベビーカー取扱いの拡大を考えています。

循環モデルの拡張・効率化においては、法人買取の強化によってさらに良い在庫を店舗に提供するとともに、IT投資によってより効率的なシステムを作ります。

なお、4月の日経新聞にも取り上げていただきましたが、今期は人的資本の強化として、新卒初任給を22万円からみなし残業代込みではありますが30万円に増額し、更に若手人材の給与テーブルの見直しも行いました。このような取り組みを通じて、さらなる人材の強化を図っていきます。

2026年3月期 業績予想

中古のカー用品の市場は、新品カー用品市場(0.7兆円から1.2兆円)と比較してまだ小さいというのが実情です。

しかし、中古カー用品市場規模は700億円弱といわれている中、当社グループは約250億円のシェアを持っています。その市場におけるリーダーとして、700億円を新品のマーケット規模に近づけられるようにしていくことが、「必ず世の中やお客さまのためになる」という思いで運営しております。

2026年3月期 業績予想

業績予想です。2025年3月期の売上は、目標よりも大幅に上振れました。今期もしっかりと売上高を伸ばし、営業利益を達成すべく取り組んでまいります。

売上高は前期比10.9パーセント増の155億円、営業利益は大きく増益を図ろうと考えており、前期比25.9パーセント増の13億1,500万円を目指します。

出店は、すでに契約が済みそうなものに加えて、良いところに物件が出てきています。これらを着実に捉え出店できれば、売上高・利益の積み上げも見込めると考えます。

また、当社は創業期から25年間フランチャイズ運営してきましたが、ロイヤリティ料率や加盟金を変更してきませんでした。いただいているロイヤリティからシステム投資をやり繰りしてきましたが、今後のグループの発展を踏まえて、さらなるシステム投資が必要と考え、ロイヤリティ料率及び加盟金の改定を行います。

具体的には、下期からはロイヤリティ料率を3パーセントから3.8パーセントに変更し、加盟金は10パーセント増といたします。

アメリカにおいては2店舗目の出店を実現し、収益を引き上げます。

また、流通卸売業態に関しても、引き続き取引を効率化したいというニーズを多く聞いています。そのようなところに当社独自の提案をすることで、さらなる売上増や業務効率の改善、ボリュームディスカウントを効かせることによる利益率向上などを図ってまいります。

2026年3月期 業績予想

こちらのスライドは、出店計画と業績予想の詳細です。

米国政府による関税措置の影響について

先日リリースを出した、関税の影響についてです。トランプ政権になって以来、関税の問題が取り沙汰されていますが、当社がアメリカで運営している店舗では、約8割が商品を現地で買い取って販売できているため、関税の影響はかなり軽微だと思っています。

また、今後の海外ECに関しては、強くしていこうとは考えていません。加えて関税は基本的にはユーザーに負担いただくモデルとなっていることから、我々への影響は軽微であると考えます。

2026年3月期 配当予想

株主還元です。中期経営計画でお示ししていますが、2029年3月期までに配当性向を段階的に引き上げ、目標水準を40パーセントとします。この考えに基づき、今期の配当予想は36円50銭、配当性向33.9パーセントを計画しています。

上場以来、連続増配していますが、引き続き継続できるよう努めます。

企業理念

昨年一新した企業理念ですが、今期は、さらに深掘りしていきたいと思います。

「Good Mobility, Happy Life」は、我々のブランドスローガンです。

直営店新規出店(4Q)

自転車の業態であるアップガレージサイクルズ相模原由野台店です。この店舗では、テスト的にキャッシュレスによる買取販売を実施しています。今後も、業務効率の向上をはじめとするさまざまな課題解決に向けて積極的にテストを重ね、より良いかたちを模索していきたいと考えています。

システム・DX強化①

アップガレージアプリについてです。2022年11月のローンチ以降、順調に会員数が増えており、前期末で40万ダウンロードを超えました。今後もさらに会員数を伸ばしながら、ユーザー体験を向上させていきます。

システム・DX強化②

お客さまからいただくお声を真摯に受け止めて顧客サービスの質の向上を図るとともに、システム投資によりさらなる業務効率の改善を図ります。

システム・DX強化③

2022年から開始した、スタッドレスタイヤのレンタルサービスについてです。非常に好調なサービスであり、システム投資により、手作業ではなく完全Web予約を実現しています。さらなるサービスを提供する店舗の拡大を図りながら、ユーザー体験を向上させていきたいと思います。

サスティナビリティ基本方針に基づく活動① ~企業の継続的な成長

引き続き開示内容をわかりやすくすることに努め、併行して投資家さま向けの勉強会・説明会を行ってまいります。現状に慢心することなく、謙虚な姿勢でがんばりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。