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山田裕之氏(以下、山田裕之):ただいまより、ヤマイチ・ユニハイムエステート株式会社の2025年3月期決算説明を始めます。前半は専務取締役の山田裕之から、後半は代表取締役社長の山田茂からご説明します。本日は、スライドに記載の流れで進めます。

2025年3月期 決算サマリー

2025年3月期の決算についてご説明します。成果として以下の3点が挙げられています。1つ目は、関東エリア、特に首都圏での事業が順調に定着してきたことです。2021年頃より用地の取得と開発を推進してきましたが、昨年度から開発した案件が順次完成し、販売のほうも順調に進捗しています。

2点目は、兵庫県西宮市で展開してきた当社最大規模の戸建てプロジェクトが完売し、無事に終了しました。得られた収益に関しては、後続案件に充当しています。

3点目は、当社初となる3Dプリンター建築をリリースした点です。提携先であるセレンディクス株式会社とともに、3Dプリンター技術と在来工法を融合した新たな商品開発を進めており、現在、「大阪・関西万博」においてそのプロトタイプを提供しています。

課題については、不動産開発・販売事業において大きな減収減益となりました。関東エリアにおけるマンション事業が好調であることを踏まえて、すでに取得済みであった用地、開発用地の事業計画を再精査し、自社開発へ方針転換を図った結果です。

2025.3期 業績ハイライト

スライドは、2024年3月期と2025年3月期の業績比較を示したものです。前年と比較して、営業利益が大幅に減少しました。

スライド右側には、営業利益の増減要因を項目ごとに整理しています。当社の基本方針であるストック収益の積み上げは計画どおりに進行しましたが、販売用不動産が用途変更・計画変更により今期の売上から外れたことが、大きな減益の要因となっています。

また、兵庫県西宮市の「夙川 St Terrace 秀麗の丘」が完売したことに伴い、戸建分譲事業の利益も減少しています。さらに、関東エリアでのM&Aにより子会社を新たに取得したことで、一時的な費用も発生しました。

不動産開発・賃貸事業(前年同期比)

各セグメントの業績についてご説明します。不動産開発・賃貸事業では、前期に取得した収益不動産の堅調な稼働に加え、前年に取得したロードサイド商業施設に係る一時的費用が解消されたことで、セグメント利益は大幅に増加しました。

不動産開発・販売事業(前年同期比)

不動産開発・販売事業では、前述の事業計画の変更に加え、利益率の高い法人向け不動産販売の案件数が少なかったことが、大きな減益要因となっています。

マンション事業(前年同期比)

マンション事業では、前年の供給数が205戸だったのに対し今期は237戸を販売し、売上・利益ともに前期を上回りました。特に、関東エリアにおける新築分譲マンションが堅調に推移しています。

関東エリア(首都圏)でのマンション事業が堅調

直近のトピックスをご紹介します。関東エリアのマンション事業が順調に拡大しています。現在、「ユニハイム所沢」「アウラ立川曙町」「ユニハイム小岩」「ユニハイム朝霞本町」の4物件を販売中で、後続案件の用地取得も進行中です。

東京都内のマンション価格が高騰する中、当社が戦略的に選定した立地が成果に結びついていると考えています。

関東エリア(首都圏)での戸建分譲事業を拡大

前期のM&Aにより、株式会社大成住宅を子会社化しました。同社は、埼玉県の東武東上線沿線を中心に、戸建分譲を得意としています。しかし、用地の仕入れが課題となっていました。

そこで、当社の得意とする素地からの開発戦略を共有し、この半年間で販売用不動産の在庫を倍増させることに成功しています。取得した案件の本格的な販売は、2027年3月期以降を見込んでいますが、当社グループの成長ドライバーとして位置づけています。

初の3Dプリンター建築をリリース

続いて、セレンディクス株式会社と共同で、3Dプリンター技術と在来工法を組み合わせた、55平方メートルのハイブリッドモデルを新たに開発しました。「大阪・関西万博」では夢洲障がい者用駐車場の管理棟として利用されており、プロトタイプとして提供しました。今後は、店舗や事務所建築への展開を準備しています。

人的資本経営

人的資本経営に関して、採用方針、社内の教育研修、福利厚生など、さまざまな施策を充実させています。

前々期、前期においては外国人採用をスタートし、多様な人材確保に努めています。また、2025年3月期には育児休暇取得率が100パーセントを達成しました。2024年3月期と2025年3月期に女性新規採用は4割を超えるなど、徐々に働きやすい環境作りが実現できていると感じています。

連結貸借対照表

2025年3月期の連結貸借対照表です。棚卸資産は、新規開発物件の取得および工事の進捗により、約29億円増加しました。このうち約19億円は仕掛かりの物件で、早期の完成と売上計上を目指していきます。

また、セグメント別に見ると約7割がマンション事業で、エリア別では関東エリアの案件が過半を占めています。

資産状況と経営指標

資産状況と経営指標になります。2025年3月期末、自己資本比率がわずかに上昇し、過去最高率となりました。営業利益が減少したことから、EBITDA成長率がマイナスに転じています。

素地からの創造的な開発

山田茂氏(以下、山田茂):当社の強みについてご説明します。まず、素地からの創造的な開発についてです。当社の最大の強みは、耕作地、山林、未利用地といった素地を仕入れ、そこにさまざまな付加価値をつけて開発を行うための人材とノウハウを有している点にあります。

素地を取得した後に、各種許認可の取得や権利関係の調整を行い、開発許可、地区計画、区画整理といった手法を活用しながら、開発を進めます。そして、当該地に多様な用途の建物を企画、建設することで、その土地の持つ価値を最大限に引き出します。

当社は企画から開発、販売までの一連のプロセスを一貫して自社で担うことで、高い開発利益の獲得を実現しています。

近年、土木建設分野における工事費の上昇や地価の高騰が続いていますが、都市部の郊外や地方都市では、地価の上昇が比較的緩やかであることから、これらのエリアにおける戸建て住宅用地、企業向けの産業用地、郊外型店舗の開発を中心に、今後も宅地開発を拡大していく方針です。

なお、素地からの開発事業は商品化までに数年を要するため、中長期的な視点で事業構築を進めています。

価値を生む自由な発想の土地仕入スタイル

当社の不動産開発チーム、特に用地仕入れ担当者は、経験豊富なスタッフを中心に、多様な分野で事業経験やノウハウ、人脈を有する専門人材で構成されています。

毎週社内で開催している不動産開発会議では、メンバーがそれぞれの情報や知見を持ち寄り、土地の有効活用について多角的に意見交換を行っています。その上で、最も高い収益性が見込める用途を見極め、用地の取得を進めています。

また当社では、売上セグメントにとらわれない柔軟な用地取得と開発検討プロセスを採用しています。これにより、その土地の価値を最大化する不動産開発を実現し、地域のまち作りや活性化にも貢献したいと考えています。

経営環境の認識と今後の基本方針

中期経営計画と、2026年3月期の業績予想についてご説明をします。外部環境の変化については、土木・建設業界における働き方改革の進展に伴い、人件費の上昇や工期の長期化、さらには金利上昇による金利負担の増加など、さまざまな影響が顕在化していると認識しています。

こうした外部環境の変化を受け、大型および長期の開発案件については、コスト構造や利益水準の見直しを含めた事業計画の再検討を進めています。

一方で、こうした厳しい外部環境下においても、当社は基本方針である「土地の価値を最大化」するビジネスを継続していきます。そして、これまで関西エリアを中心に展開してきた事業戦略を、関東エリアを軸に展開することで、さらなる企業成長の実現を目指していきます。

成長戦略の概要

当社は、これまで関西エリアを中心に行ってきた、素地から一貫して宅地開発を行うノウハウを強みに、独自性の高いビジネスモデルを展開してきました。

上場以降は、さらなる企業価値の向上を目指して、より大きなマーケットである関東エリアにおける事業展開を拡大しており、M&Aや業務提携を活用しながら体制の整備を進めています。

現在はフェーズⅡとして、子会社や提携先に対して、素地からの開発と製販一体のビジネスモデルの浸透を図っている段階にあります。宅地開発用地や収益不動産を中心に、用地および物件の取得は順調に進捗しており、今後の業績拡大が期待される状況です。

素地からの開発には、許認可の取得や工事の完成まで一定の時間を要するため、前期および今期はその準備期間と捉えていますが、来期以降は業績の回復を見込んでいます。そして2027年3月期からはフェーズⅢとして、本格的な投資回収を行う計画です。

また、収益不動産の拡大に関しては、都市部において価格の高騰が続いており、賃貸不動産の利回りが低下しています。こうした状況を踏まえ、今後は郊外型店舗の開発・運営による高利回りで安定した賃貸収入に加えて、戸建て賃貸住宅の拡大による収益の確保を目指していきます。

これらの分野は、当社が持つ宅地開発力と木造戸建て住宅の建築ノウハウを最大限に活かすことのできる領域です。特に木造戸建て賃貸住宅に関しては、これまで自社保有の収益不動産として開発を行ってきましたが、今期より一般投資家や相続対策を検討している資産家向けの商品として、販売およびその請負工事の受注営業を開始します。

また、単なる請負工事にとどまらず、サブリースを組み合わせることで、管理・運営やメンテナンス業務の受注など、長期的な収益機会の獲得も視野に入れています。

企業向けの産業用地の開発も、地域経済の発展や地域活性化への貢献が期待されると同時に、当社の持つ宅地開発力を存分に発揮できる分野であると考えています。

今後、円安基調が予想される中、物流や蓄電などの新たな社会ニーズに加え、企業の効率化や自然災害リスクの回避といった需要を背景に、企業の設備投資が引き続き活発に行われると見込んでいます。

中期利益計画(2026年3月期~2028年3月期)

中期経営計画を具体的な数値に落とし込んだ資料です。計画達成に必要となる販売用の不動産については、すでに開発中、または開発の準備段階にあります。これらのプロジェクトについては、できる限り前倒しや上振れを図れるように取り組んでおり、今後は過去最高益の達成を目指していきます。

また、郊外型店舗の開発に関しては、一部の企業においてこれまでの大型・中型店舗に加え、人口3万人規模の地方都市における小型店舗への進出を強化する動きも見られています。このようなトレンドを踏まえ、当社としても地方都市での小型店舗開発を今後の成長戦略の一環として拡大していく計画です。

2026年3月期業績予想

2026年3月期の業績予想を示しています。売上高は前年同期比15.8パーセントの減少を見込んでおり、同じく営業利益は45.7パーセント減、経常利益は75.5パーセント減と、厳しい数字を予想しています。

株主のみなさまには大変ご迷惑をおかけしますが、翌期以降は現在開発中の案件が順次完成する予定であり、売上・利益ともに大きく回復していく見通しです。中長期的な視点でご理解賜りますよう、お願い申し上げます。

なお、スライド右側に営業利益の増減要因を項目別に整理しています。今回の減益で最も大きな影響を及ぼしているのは、分譲マンションの販売戸数の減少です。ただし、これは販売不振によるものではなく、完成物件の供給不足が主な要因です。

法人向け不動産販売については、現在、和歌山市において開発中の企業向け産業用地が今期中に完成予定となっており、自動車整備工場や物流倉庫の用途として販売を進めています。

関西エリアの戸建住宅事業では、兵庫県西宮市の大型分譲案件が完売し、現在は後続案件の開発を進めています。そのため一時的な減収を見込んでいますが、すでに大規模開発用地に加え、複数の中規模開発用地の取得も完了しています。来期以降に順次完成し、販売を開始する予定です。

また、関東エリアにおいても、すでに複数の宅地開発用地を取得しており、関東の子会社による用地の取得も順調に進んでいます。

今期は、埼玉の住宅会社を対象としたM&Aに伴って一時的なコスト負担が発生しましたが、来期以降はこのような負担も解消され、埼玉・東京エリアを中心とした宅地や住宅の販売の増加が見込まれることから、関東エリアにおける住宅事業の増収増益を期待しています。

配当の状況と予想

株主還元についてご説明します。2026年3月期の業績予想は、これまでの説明どおり厳しい見通しですが、2027年3月期には業績が大きく回復する計画であることを踏まえ、安定配当の基本方針のもと、配当金を据え置くこととしました。

株主優待制度

また、前年より開始した株主優待制度が非常に好評だったことから、今期も実施する予定です。特設サイトがオープンしているため、ご確認ください。

以上で、2025年3月期の決算発表に関する説明を終了します。ありがとうございました。

質疑応答:工期の長期化に対する対策について

司会者:「働き方改革により、各社とも工期の長期化が顕著になってきています。長期化に対してどのような対策を打っているのでしょうか?」というご質問です。

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