業績の概況
小池敏弘氏:本日はお忙しい中、当社の2025年12月期第1四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。株式会社サイバーセキュリティクラウド代表取締役社長兼CEOの小池です。2025年12月期第1四半期の決算概要とトピックスについてご説明します。
業績の概況です。第1四半期の売上高は11億8,600万円、売上総利益は7億6,200万円、営業利益は2億4,000万円で着地しました。
前期の第1四半期は営業利益率が33.1パーセントでした。今期は前年同期比で減益となっています。この要因は、前期の第1四半期はデジタル庁よりスポット案件を受託したことで、売上高および営業利益が一時的に増加していたことが影響しています。実質の成長という意味では、まったく減速していないと捉えています。
ARRの推移
ARRの推移です。前年同期比プラス30.9パーセントとなりました。第1四半期の2月に株式会社DataSignをM&Aにより子会社化したため、この会社が持つサービス「webtru(ウェブトゥルー)」をARRのラインナップに加えています。
攻撃遮断くんとWafCharmの解約率
解約率です。大きな変化はなく、安定して推移しています。
売上高の推移
四半期売上高です。第1四半期は、前年同期比プラス24.4パーセントの11億8,600万円となりました。
昨年10月のM&A後に新設したジェネレーティブテクノロジー社は、主に受託開発を行う会社で、スポット売上が寄与し始めました。先ほどご説明したDataSign社については、ARRは3月末時点での計上になりますが、四半期売上高については3月から取り込みを開始しています。
営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)の推移
営業費用の推移です。昨年のジェネレーティブテクノロジー社の連結子会社化や「CloudFastener(クラウドファスナー)」への継続的な投資により、人件費と業務委託費が前年同期比で増加しています。
2025年3月からDataSign社も取り込んだことにより、人件費を中心に今後増加していく見込みです。
サイバーセキュリティクラウドの成長を支える従業員
従業員についてです。M&Aの影響でグループとしての人員数が大きく増加しています。スライドのグラフには反映されていませんが、4月1日に新卒社員が入社しているため、第2四半期末の数字は少し増える見込みです。
CTC 社より『CTC-SOC for Public Cloud powered by CloudFastener』の提供を開始
第1四半期のトピックスです。伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC社)とともに、新たなサービスを作ろうということで動いてきた「CTC-SOC for Public Cloud powered by CloudFastener」の提供をようやく開始できました。
こちらは、CTC社がもともと自社の製品ラインナップとして持っていた「CTC-MSS SOC」に、AWSをはじめとしたクラウドのセキュリティ運用を行う機能として「CloudFastener」を内包して提供します。SOCとは、セキュリティオペレーションセンター(Security Operation Center)の略です。
スライドの図の左側で示しているエンドユーザーからの要望によりけりですが、基本的にはお客さまのセキュリティの状態を24時間365日監視し、もし何かあった時には報告するというセキュリティ運用の外注サービスと捉えていただければと思います。
クラウドのセキュリティ運用は、「CloudFastener」がまさに得意とするところです。しっかりと運用し、安心して利用を継続してもらうためには、AWSをはじめとしたクラウドの幅広い知識とセキュリティに関する十分な知見の2つが必要になります。
私たちは、AWSをはじめとしたクラウドのセキュリティに特化して力を注いでいます。CTC社においては、クラウドのセキュリティ部分は専門家に委ね、お客さまにとっての包括的なセキュリティ運用を担うところは自社で行うというご判断をいただきました。
CTC社は非常に強固な顧客基盤を有しており、私たちではお目にかかることができないようなお客さまを多数抱えています。この連携をきっかけに、さらなる事業の拡大に期待しています。
AWS経済圏での販売加速に向けた戦略~認定取得による信頼性向上~
AWS経済圏における取り組みをご説明します。2025年3月に、AWS社から「AWS レベル1 MSSP コンピテンシー(Software)」の認定をいただきました。
以前から、特にAWS経済圏の中でこのような認定を取得したことをプレスリリースでご案内してきました。しかし、そのすごさがなかなか伝わりきっていないというアドバイスもありましたので、今回あらためてご説明します。
スライド上段に示した図をご覧ください。セキュリティのみならず、ITの世界はもちろん、AWSのプラットフォームを使う経済圏やエコシステムと呼ばれる世界においては、私たちのようにパートナーと呼ばれ、このエコシステムの中で生きている会社が世界中で14万を超えています。
私たちのサービスは、このコミュニティの中でAWSのユーザーからいかにして選ばれるかという点が非常に大事です。当然ですが、たまたま出会って「良い製品だね」と言っていただけることもあります。
ただし、パートナーの中で比較して、優れている点や認められている点についての外部からの権威づけも非常に重要です。これはAWSの世界のみならず、例えばMicrosoftやSalesforceなども同じです。
さまざまなプラットフォームの中でサービスを提供している会社にとっては、このような認定を取っていくことが非常に重要になります。これは、短期および中長期のどちらにおいても、成長に非常に寄与すると考えています。
特に約1年半前に「CloudFastener」をリリースしてからは、スライド下段の表で示しているとおり、いくつかの認定を取得しました。その中でも、2025年3月に取得した「AWS レベル1 MSSP コンピテンシー(Software)」は、今後の成長で非常に大きな意味を持つと考えています。
2024年5月には、「Amazon Security Lake」のサブスクライバーパートナーに認定されました。「Amazon Security Lake」は、AWS社がこれから推進していきたい機能の1つです。
この認定は、「この機能をエンドユーザーが使うに当たり、認定を取得したパートナーに話を聞くとよい」「パートナーはセキュリティのことをよく知っており、パートナーのサービスは『Amazon Security Lake』と親和性の高い製品であるため、安心して統合できる」ということを示しています。
国内企業で初の認定であり、非常に大きな意味がありますが、「CloudFastener」の製品戦略においては「AWS レベル1 MSSP コンピテンシー(Software)」の取得が一番の本丸でした。
「Amazon Security Lake」のサブスクライバーパートナーおよび「Amazon Security Lake Ready」の取得は、AWS社の社員やAWSのコミュニティの中で、ここに至るためにさらに結びつきを深めたり、いろいろな情報をもらったり、さまざまなアイデアを思いつくための布石と捉えていました。
多くのエンドユーザーがAWSを活用し、Webサービスやいろいろなアプリケーションを作っていますが、セキュリティ分野について依頼する時は、AWS社にとって一番信頼性が高い「AWS レベル1 MSSP コンピテンシー」に選ばれた企業にお願いするとよいということになります。こちらは、日本企業で初の認定です。
日本では今、MSSPが非常にはやっています。セキュリティ運用は非常に息の長いビジネスになると予想しており、セキュリティ人材は今後も不足する見込みです。
ニーズはそこまで変わらないと想定されているため、セキュリティを専門家に依頼していく動きがこれからより加速していくことは間違いありません。「CloudFastener」もそこから着想して製品化しました。
その中でもAWSを使用する状況下においては、日本企業で一番最初に「AWS レベル1 MSSP コンピテンシー(Software)」を取得できたことは非常に大きな意味があります。
これにより、AWS社の仕組みの中で、公式にいろいろなものを支援してもらったり、セミナーやカンファレンスへの参加など、できることが広がります。このようなことが、今ようやく始まってきているところです。
大変細かい話ですが、言い換えると、「CloudFastener」は自社の技術のみで「AWS レベル1 MSSP コンピテンシー(Software)」の条件を満たしていることになります。「AWS レベル1 MSSP コンピテンシー(Software)」には、「脆弱性を常に十分把握する」「最近多いクラウドでの設定ミスにきちんと気づくようにする」など、いくつかの項目があります。
多くのMSSPのプレーヤーは、外部のサービスを運用してエンドユーザーに提供します。この場合、それぞれの要件を満たす機能について、外部のパートナーの性能や事業戦略に左右され、非常に不安定だと言えます。
私たちはこの要件を満たす機能をすべて自社の「CloudFastener」に詰め込んでいるため、この点を非常に高く評価されています。私たちとしては、大きな自信につながる認定でした。
この後もいくつか取得していきたい認定があります。ここでしっかりと着実にステップを踏んでいくことが、さらなる事業成長につながるのではないかと考えています。
着々と進むCloudFastenerの導入
「CloudFastener」を利用するお客さまは、順調に増加しています。直近ではSchoo社のほか、地方自治体向けサービスを提供しているSHIFT PLUS社に導入しました。
最近、「CloudFastener」の営業に私もよく行っていますが、セキュリティのレベルを十分に担保することは当たり前です。それに加え、パートナーとして長く付き合ってくれるかをしっかりと見られているように感じています。
サポート力、寄り添う力などをお客さまに十分にお伝えし、「CloudFastener」をさらに伸ばしていきたいと考えています。
グローバルパートナー企業と顧客獲得の加速に向けて共同セミナーを開催
グローバル展開についてお話しします。最近は、北米および南米のリードが着実に増えており、商談も進んでおり、少し潮目が変わってきたと思っています。そのきっかけは、スライドに記載しているとおり、オフラインまたはオンラインのセミナーが狙ったところに比較的ヒットし始めていることです。
米国では、共同でリード獲得に取り組んでいるCStream社と一緒に、1月31日にカリフォルニアのアーバイン、その後サンディエゴで開催しました。また、4月にはサンディエゴに私も行ってきました。1回当たりの集客数は数十名単位ですが、足を運んで来てくれただけあり、かなり関心が強く、毎回商談化・リード化している状況です。
また、前回のIR資料でも少しご紹介していますが、南米のお客さまから大きな取引をいただいたことをきっかけに、それを一緒に実現してくれた南米のパートナー企業と共同で、スペイン語でのウェビナーを初めて開催しました。
いまだわからないことだらけですが、実際に他の南米の国からも引き合いが来ており、商談が進んでいるため、継続して取り組んでいきたいと思っています。
先月はシカゴで開催されたイベントにも参加し、ブースを出展しました。現在、ここからもリードが来ています。このように、しっかりと顔が見える、あるいはきちんと会話できるようなセミナーを継続していき、事業を伸ばしていきたいと考えています。
日本のサイバーセキュリティ強化への貢献を期待され、政府系ファンドからの出資を獲得
政府系ファンドのJICVGI オポチュニティファンド1号(以下、JIC)から、2025年2月に大きく投資していただきました。こちらは、2月の決算発表後に単独でプレスリリースを出し、補足資料もすでに出していますが、決算資料というかたちでの掲載は今回のタイミングが初めてになります。
グロース・キャピタル社を含め、総額21億円の資金調達を実行しました。日本のサイバーセキュリティ強化への貢献を期待されています。
先日、経済産業省が「サイバーセキュリティ産業振興戦略」を発表しました。いろいろな細かい話もありますが、大きなところでは、国内のサイバーセキュリティ関連企業の売上高を3兆円超に増やしていくといったKPIも発表されています。経済産業省のサイバーセキュリティ産業の強化に向けた政策と非常に整合性が高いということで、今回この調達が実現しました。
本日メインでお話しした「CloudFastener」へのさらなる投資や、クラウドセキュリティ領域でさらに大きな価値を発揮するためのM&Aなどを、今後継続的に実行していきたいと考えています。
質疑応答:シンガポール子会社の事業状況や今後の連結予定について
「シンガポール子会社の事業状況や今後の連結予定についてお聞かせください」というご質問です。
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