2025年3月期決算説明

岡田廣次氏:みなさま、こんにちは。代表取締役社長社長執行役員の岡田廣次です。本日はお忙しい中、2025年3月期決算説明会のライブ配信をご視聴いただきまして、誠にありがとうございます。

当社は2025年3月31日に、新たに第9次中期経営計画を発表しました。今回の説明会では、前中期経営計画の振り返りと新中期経営計画の概要もご説明します。

私たちは、さらなる企業価値の向上を目指しています。本日の説明会を通じて、当社の新たな取り組みや特徴的な強みを、より深くご理解いただければと思います。今後も引き続き、みなさまのご期待にお応えできるように、全社一丸となって取り組んでいきますので、ご支援賜りますようお願い申し上げます。

目次

本日の決算説明会では、スライドに記載の5項目についてご説明します。

2025年3月期決算:増収増益、営業利益は過去最高を更新、来期も更新へ

具体的なご説明に入る前に、2025年3月期決算の実績と2026年3月期決算の見通し、株主還元の3点について簡単にご説明します。

2025年3月期決算の実績です。売上高は、上期に引き続き、幅広い既存荷主の貨物取扱量の増加や料金改定が寄与し、増収となりました。営業利益は、利益率の高い業務が寄与し、増益を達成しました。

2026年3月期通期決算の見通しです。事業環境が不透明ですが、3PL事業やグローバル物流事業での売上拡大を見込み、売上高1,530億円、営業利益160億円と、過去最高の売上高、営業利益を予定しています。

株主還元についてです。今期の年間配当は、前期比で40円増配の170円です。当社は、上場以来一度も減配をしたことがなく、長期安定配当を継続し、今期で11期連続の増配となる予定です。今後も株主還元や資本効率の最適化に取り組み、企業価値の向上に努めていきます。

2025年3月期決算 ポイント:既存荷主中心に取引拡大、採算性改善で増収増益

櫻井充氏:常務執行役員の櫻井です。2025年3月期決算の詳細についてご説明します。売上高は1,445億7,200万円、営業利益は146億4,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益は98億400万円で、増収増益となりました。

増収の主な要因は、上期に続いて既存荷主の貨物取扱量が増加したことと、料金改定を進めたことです。営業増益の主な要因は、発電用原料など利益率の高い業務に注力したことと、2019年に子会社化した国際埠頭ののれん償却費が減少したことなどです。

親会社株主に帰属する当期純利益については、政策保有株式の縮減を進めて特別利益を計上したものの、子会社の減損損失を計上したことで微増益となりました。

2025年3月期決算 概要:期初計画には届かなかったものの増収増益

決算概要です。売上高については、中間決算時にご説明したとおり、期初に見込んでいた3PL案件が荷主の業務撤退により受注がなくなったことが影響し、期初計画を下回りました。しかし、化成品関連や大型プラント案件など、幅広い既存荷主の業績が好調だったことに伴い、貨物取扱量が増加し、増収となりました。

営業利益については、2024年問題等によるコスト上昇はあったものの、料金適正化を進めたこと、利益率の高い業務の取扱量が増加したこと、のれん償却費が減少したこともあり、増益となりました。

また、政策保有株式の売却により26億1,900万円の売却益を計上しましたが、海外現法の収益改善が進まず、固定資産の減損損失を26億7,000万円計上したため、最終利益については微増益となりました。

2025年3月期 決算概要(上期・下期比較)

2024年3月期と2025年3月期の上期・下期の比較です。中間決算でご説明したとおり、上期は幅広い既存荷主の取扱量が増加したことで増収増益となりましたが、下期も情勢に大きな変化はなく、増収増益となりました。

事業別「売上高」「営業利益」 主力の物流事業をはじめ全セグメントで増収増益

事業別の売上高と営業利益です。物流事業は、収益性が大きく改善しています。他の事業にも好影響が波及していますが、特に構内作業及び機械荷役事業については、ステンレス製品の取扱増加や料金改定も寄与しています。

2025年3月期:事業別売上構成比(前期比)

事業別の売上構成比です。今期は増収となっていますが、全体の売上構成に大きな変化はありません。倉庫業のみ、わずかに減収となっています。

2025年3月期:物流事業の内訳動向(前期比)

物流事業の内訳動向です。貨物自動車運送事業は、IT機器やモーター関連製品等が好調だったことや既存荷主の取扱増により増収となりました。

港湾運送事業は、輸出入貨物の取扱増のほか、大手発電メーカーの復調に伴い発電用原料の取扱いが増加し、増収となりました。

物流附帯事業は、梱包収入における精密機器の取扱いが増加しました。内航船収入も、港湾運送事業同様、大手発電メーカーの復調に伴い増収となりました。

倉庫業でも、大手発電メーカーの復調をはじめとした既存荷主の取扱増があったものの、前期まで好調であったコロナ禍関連の特需が減少したことが影響し、わずかに減収となりました。

バランス・シートの状況:拠点整備・拡大と基幹システム整備へ投資を積極化

バランス・シートの状況です。固定資産では、西日本の物流拠点拡充のため、広島に倉庫用地を取得しました。こちらは、2025年5月に工事を開始しています。また、現在、本社の移転を計画しており、2025年2月に用地を取得しました。加えて、次期基幹システム構築のため、ソフトウェア仮勘定を計上しています。

負債の関係では、借入金の圧縮を行っています。

キャッシュ・フローの状況:営業キャッシュ・フローを成長投資と株主還元へ

キャッシュ・フローの状況です。営業活動によるキャッシュ・フローは、増益に伴う増加のほか、前期末が休日であった影響により売上債権が減少し、前年同期比で増加しました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、本社移転用地取得や次期基幹システム構築に向けた投資により、前年同期比でキャッシュ・アウトが増加しています。

財務活動によるキャッシュ・フローは、増配に加えて自己株式取得による株主還元を進めたことにより、キャッシュ・アウトが増加しました。

見通しの前提条件:事業環境と当社の対応

2026年3月期通期の見通しについてご説明します。2026年3月期は、設備投資の増加に伴い、荷動きが活発化する見込みです。

特に物流事業においては、3PL事業、グローバル物流事業、成長ターゲットの新規案件獲得を見込んでいます。一方で、コスト高については料金改定により対応する予定です。

また、アメリカの関税措置による不確実性もリスクと考えています。当社は自動車製品の取扱量が多くないため、現時点での直接的な影響は軽微と考えていますが、今後の動向が不透明であることと、自動車産業は裾野が広く間接的な影響が見えづらいことを、懸念材料として挙げています。

2026年3月期見通し:売上高1,530億円(+5.8%)、営業利益160億円(+9.2%)

業績予想についてです。事業基調は前期と変わらず、順調に推移すると見込んでいます。

売上高は前期比5.8パーセント増の1,530億円と、今期実績よりも増収率は上昇する見込みです。営業利益は前期比9.2パーセント増の160億円と、過去最高益を更新する見込みです。経常利益は前期比4.6パーセント増の165億円と、営業利益とともに13期連続の増益を予定しています。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比22.4パーセント増の120億円を目指しており、前期に計上した減損損失がないため、大幅な増益を見込んでいます。

2026年3月期見通し「事業別売上高・営業利益」

セグメント別の見通しです。物流事業については、既存顧客の取扱増加と3PLの新規案件獲得等により増収増益を見込んでいます。

2026年3月期 案件の見通し

業種別主要案件の動向です。業界全体を通じて物流アウトソーシングに対する需要は強く、今期においても案件の堅調さが継続する見込みです。

2025年3月期は、顧客都合により3PL案件の受注がなくなったことで、期初計画を下回りました。しかし、大型プラント案件の本格稼働、発電所の稼働遅れ解消による発電用原料の取扱量増加、既存荷主である大手化学メーカーの需要低迷からの回復がありました。

2026年3月期は、医薬関連メーカーとの新規3PL案件の営業を推進中です。また、酒類の新規案件はすでに取引を開始しており、今後業務が拡大する見込みです。

決算状況の推移 今期も増収増益で、経常利益は2014年3月期から13期連続増益へ

売上高と経常利益の推移です。売上高、経常利益ともに堅調に推移しており、特に経常利益については、2014年3月期から12期連続で増益を達成しています。

今期についても増収増益を見込み、過去最高の売上高と利益を更新する見込みです。達成できれば、経常利益は13期連続の増益となります。

第8次中期経営計画(前中期経営計画)の概要と結果

第8次中期経営計画の振り返りについてご説明します。第8次中期経営計画は、2030年度に向けた長期ビジョンの実現を目指し、その最初の3年間を対象とした事業計画として策定しました。重点施策として、成長ターゲット、事業競争力の強化、企業基盤の強化の3点を掲げています。

定量目標については、中計開始前年度の2022年3月期実績である売上高1,368億円、経常利益125億円、ROE8.3パーセントを踏まえ、計画当初は、最終年度目標を売上高1,650億円、経常利益165億円、ROE8.5パーセントと設定していました。

最終年度である2025年3月期の実績は、売上高1,445億円、経常利益157億円、ROE7.7パーセントとなりました。ROEは減損損失の計上が大きく影響し、売上高と経常利益はいずれの項目も目標未達ですが、過去最高の増収増益となりました。

投資計画については、設備投資250億円、DX投資100億円、M&A100億円を予定していました。実績については具体的な数字の公表を差し控えますが、当初の見込み水準には達していません。

第8次中期経営計画(前中期経営計画)の振り返りと積み残した課題

各重点施策の主な実績と振り返りについてご説明します。成長ターゲットについては、既存顧客からの新規案件やアグリ関連の新規案件を獲得したことにより、3PL事業の売上拡大につながりました。

事業競争力の強化については、依然として、グローバル物流事業における海外現地法人の売上拡大に課題が残る結果となりました。

企業基盤の強化については、次期基幹システムの構築やRPA等による業務効率化が進展したほか、川崎研修センターの本格稼働により人材教育への取り組みも大きく前進しました。

設備投資については、農産物などの差別化分野や危険物倉庫などの拠点開設を推進しましたが、資材費をはじめとした建設費の高騰により、目標としていた件数には届きませんでした。

IRおよびSDGsに関しては、決算説明会の開催やTCFDへの対応などの開示・対応を強化しました。

第8次中期経営計画(前中期経営計画)トピックス①

第8次中期経営計画期間中のトピックスを3つご紹介します。1つ目のトピックスは、当社が取り組む差別化分野である農産物の取扱拡大に向けた基盤構築についてです。

2024年9月より、茨城エリアにおいて、農産物の芽が出ないようにする萌芽抑制保管サービスを新たに開始しました。北海道でもすでに同様のサービスを行っており、今後は苫小牧と常陸那珂を結ぶRO-RO船を活用し、常陸那珂港を新たなハブ港とすることで、全国配送体制の構築を推進していきます。

第9次中期経営計画では、物流ネットワークのさらなる強化により、農産物の取扱量拡大の実現を目指します。

第8次中期経営計画(前中期経営計画)トピックス②

2つ目のトピックスである、企業間連携による物流効率化と環境対応についてご説明します。2025年1月に、シンジェンタジャパンと三井化学クロップ&ライフソリューションとともに、農薬製品の共同配送の検討を開始したことを発表しました。

3社が連携し、物流課題と環境負荷低減への対応、さらにはデジタル技術の活用による効率化を進めていきたいと考えています。

企業間連携について、2023年7月に発足した経済産業省と国土交通省主導のフィジカルインターネット実現会議の中の化学品ワーキンググループに、当社は初期メンバーとして参加しています。また、2024年3月には日本貨物鉄道(JR貨物)とともに、ロジスティクス研究会を発足し、活動を開始しました。

その他、三井化学、ニヤクコーポレーション、安全運輸と共同で取り組んだモーダルシフトの案件が「モーダルシフト優良事業者賞(連携・協働部門)」を受賞しました。今後も企業間連携を強化し、2024年問題や業界再編に対応できる持続可能な物流の実現を目指していきます。

第8次中期経営計画(前中期経営計画)トピックス③

人的資本に関する取り組みについてです。当社は第8次中期経営計画の初年度である2022年度に川崎研修センターの運用を開始し、この3年間、人的資本の強化を目的に教育体制の充実を図ってきました。

延べ受講人数と延べ受講日数、1人当たりの研修時間も年々増加しています。「10年、20年、50年先を創造できる人財」育成を目指し、カリキュラムの抜本的な見直しや人財育成ロードマップの策定を実施し、さらには研修の整備や新たなプログラムを導入してきました。

特に、新たなプログラムの1つである戦略人財育成教育では、3PL提案や物流現場の改善に焦点を当てた研修を実施し、現場における課題解決や物流提案ができる人財の育成にも注力しました。

今後も社員一人ひとりの成長を支援し、会社の未来を創る教育に力を入れていきます。

第8次中期経営計画(前中期経営計画)の振り返り

第8次中期経営計画の総括です。マクロ要因としては、ロシアによるウクライナ侵攻や円安により、顧客の工場稼働のコストが高騰したことで生産が低調に推移しました。また、当社個別の要因としては、設備投資やM&Aが想定よりも進まなかったことから、売上の伸びが鈍化しました。

しかし、当社がこれまでに積み重ねてきたノウハウを活かして、プラントや発電用原料といった利益率の高い案件を獲得し、案件獲得は順調に進捗しました。

また、川崎研修センターが本格稼働し、これまで以上に人材育成に注力しました。これにより、3PLやDX人材の育成が進み、さらなる企業価値向上への基礎固めができたと考えています。

当社の強み・特徴:京浜工場地帯(横浜・川崎)発祥の総合老舗物流企業

第9次中期経営計画についてご説明します。まず、当社の物流事業者としての強みは、京浜工業地帯とともに発展する中で長年培ってきた業務ノウハウにより、高品質な物流サービスを提供できる点にあります。顧客現場を支える物流事業を展開し、顧客に寄り添いながら関係基盤を構築・強化してきました。

アセット型3PL事業を展開する総合物流企業として、顧客に安心感と信頼感を持っていただくため、自社アセット主義を貫いています。また、プラスアルファのオペレーションとして、顧客ニーズに応じて製造工程の一部を代行するなど、業務をカスタマイズ・標準化しています。さらに、物流デジタルプラットフォームの開発や協力会社との協業・共創を進め、物流の安定化につながる取り組みも行っています。

第9次中期経営計画:位置づけ

第9次中期経営計画の位置づけです。物流業界における当社グループを取り巻く環境は、大きく変化しています。ドライバー不足やトラックの多重下請構造に対する規制、材料費といった倉庫建設費の上昇など、従来の物流業のビジネスモデルに影響を与える事象が起こっています。

また、政府は企業再編を促進しており、特に昨年度は物流業界でも多くのM&Aがありました。当社は、これまでの手法や成功体験にとらわれていては、これらの変化に対応できないと認識しています。

そのため、第9次中期経営計画を通じてビジネスモデルの転換を図り、より効率的に事業戦略を実施する企業への進化を目指し、意識改革および組織の構造改革に着手します。これにより、目指す姿である「テクノロジーと現場力で、お客さまの未来を創造するロジスティクスパートナー」を実現したいと考えています。

第9次中期経営計画:振り返りから見えた課題と施策

先ほどご説明したとおり、第8次中期経営計画期間中では増収増益基調を継続したものの、売上の伸びが鈍化しました。マクロ要因もありますが、当社独自の要因として、M&Aや物流拠点の拡充が想定よりも進まなかったことが考えられます。

第9次中期経営計画では、積極的なM&Aおよび設備投資を推進するため、拠点開発など、M&Aの専門組織の設置による組織の改革や、起案部署・関係者に対するインセンティブの検討を進めます。これらの施策により当社グループの構造改革を図り、投資による売上拡大と資本効率の改善を目指します。

第9次中期経営計画:重点施策① 売上拡大

具体的な重点施策をご説明します。1つ目の重点施策は、売上拡大です。3PL事業において、当社はこれまで荷主業務ごとにカスタマイズする個社対応の3PLサービスを売りにしていましたが、今後は個別の荷主だけでなく、荷主業界をターゲットとして、3PLと共同物流を融合した提案を行います。

成長ターゲットでは、今後成長が予想される分野の中で、産業機械など当社のノウハウが活かせる分野と、危険物や農産物といった、当社が差別化を進めている分野を中心にサービスを提供し、売上拡大を目指します。

新規・既存荷主については、各部門で見込んだ荷主をターゲットとして売上拡大に取り組むほか、取扱いが拡大傾向である東名大幹線輸送において、危険物取扱いや品質などの強みを活かして、引き続き集荷に注力します。

グローバル物流事業では、海外現地法人と海外パートナーとの連携の中、主要荷主の多様な海外物流ニーズを捉えた提案により、売上の拡大を図ります。

第9次中期経営計画:重点施策② 事業競争力の強化

2つ目の重点施策は事業競争力の強化です。こちらでは4つの施策を掲げています。1つ目は「3PL事業の強化」です。従来は個社対応でしたが、荷主業界ごとに標準化を提案し、業界全体の競争力強化につなげます。また、輸送・保管、流通加工といった実物流の内製化を推進します。

2つ目は「ロジスティクス事業の基盤強化」です。2024年問題の対応として、安定的な輸送サービスを提供するため、自社保有車両の増強に取り組みます。また、差別化領域である危険物や農産物関連分野などの拡充に向け、新たな拠点の設置も進めていきます。

3つ目は「グローバル物流事業の拡大」です。海外物流拠点の拡充を中心に、グローバル化が加速する市場への対応力を強化します。

4つ目は「構内作業/その他事業の強化」です。業務遂行力の確保に加え、顧客に対しては作業の機械化・省人化を提案し、効率化と作業品質維持の両立を目指します。

第9次中期経営計画:重点施策③ 企業基盤の変革(その1)

3つ目の重点施策は、企業基盤の変革です。1点目は「組織の改革」です。先ほどご説明したとおり、拠点開発やM&Aの推進に向けて、専門組織の設置を検討します。

2点目は「設備投資の促進」です。設備投資に関する提案が積極的に生まれる環境作りに取り組みます。

3点目は「M&Aの実施およびアライアンスの強化」です。引き続きM&Aの検討を進めると同時に、同業他社とのアライアンスにより競争力を強化します。

4点目は「人的資本の活用と強化」です。人材確保はもちろん、人材教育にも引き続き注力します。

第9次中期経営計画:重点施策③ 企業基盤の変革(その2)

5点目は「DX戦略の推進」です。第9次中期経営計画期間中に次期基幹システムの稼働を目指し、準備を進めます。併せて、物流プラットフォームを構築することで、複数の顧客の物流情報を活用した共同配送サービスの提供を目指します。

6点目は「営業推進体制と機能の強化」です。全社営業推進体制の整備や営業支援ツールの導入を進めます。

7点目は「サステナビリティに関する取り組み」です。ESGの各分野における取り組みを推進し、すべてのステークホルダーの満足度向上を目指します。

第9次中期経営計画:数値目標

定量目標は、スライドに記載のとおりです。最終年度である2028年3月期は、売上高1,760億円、経常利益185億円を計画しています。ROEは9パーセントから10パーセントを目標としています。

投資計画については、DX投資を含む設備投資で400億円、M&Aで100億円を計画しています。資本政策は、長期安定配当を基本方針としていますが、3年間の連結ベースでの配当性向の目標を、30パーセントから35パーセント以上に変更しました。

現時点では、安定した配当の維持を重視しているため、配当性向を基準としています。政策保有株式については、今後も縮減に向けた取り組みを継続していく考えであり、引き続き保有の妥当性を精査しながら、積極的に縮減を進めていきます。

キャッシュフローアロケーション(中期経営計画期間中:2025年度から2027年度)

キャッシュフローアロケーションについてです。キャッシュ・インについては、営業キャッシュ・フローを約530億円、投資有価証券の売却と現預金を合わせて100億円から120億円ほどを予定しています。

基本的には、この中で設備投資および株主還元を行う予定ですが、M&Aなど、必要に応じて外部調達の活用も検討します。

キャッシュ・アウトについては、M&Aで100億円、DX投資を含む設備投資で400億円、株主還元で130億円から150億円を見込んでいます。

株主還元方針として、配当性向35パーセント以上の目標に加え、機動的な自己株式の取得を検討します。設備投資は、拠点の拡充やDX投資など、当社の成長につながる投資のほか、当社が保有するアセットの維持・更新の投資を行う予定です。

以上が、中期経営計画期間におけるキャッシュフローアロケーションの概要です。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

株主還元と企業価値向上への取り組みについてご説明します。当社のPBRは現状1倍に近づいていますが、安定的に1倍以上を維持することを目指し、本中期経営計画で掲げているROE9パーセントから10パーセントの達成を意識した施策を講じていきます。さらなる利益率の向上を図るとともに、積極的な株主還元策を実施し、資本の効率性を追求します。

あわせて、成長戦略による利益力の向上を維持する取り組みを、今後も戦略的に行っていきます。また、当社は株式市場での認知度がまだ低いと考えられるため、IR活動をさらに活発化させることで認知度の向上につなげ、株主のみなさまの期待に応えられるよう、企業価値を高めていきます。

株主還元:2025年3月期は、前期比40円増の170円を予定

最後に、株主還元についてご説明します。当社は、「業績と配当性向、株主資本利益率などを総合的に勘案し、長期的に安定した配当を継続」することを基本方針としています。6月の株主総会で決議されれば、2025年3月期は11期連続増配となる見込みです。

また、今中計期間においては、3年間の連結ベースで配当性向35パーセントを視野に入れ、株主還元を引き続き積極化させていきたいと考えています。2026年3月期については、現時点で中間配当を80円、期末配当を90円とし、通期で170円とする予定です。今後も投資資金を確保しつつ、株主還元の積極化に努めたいと考えています。

私からのご説明は以上です。株主のみなさまには、引き続きご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。