会社概要
木村晃氏:木村工機代表取締役社長の木村です。平素より、当社の事業活動にご理解ご協力を賜りまして誠にありがとうございます。弊社の概要及び2025年3月期の決算についてご説明いたします。
それでは、執行役員経営企画本部長の西島よりご説明します。
西島務氏:まず、会社概要についてご説明します。
本社は大阪市にあり、大阪城の近くに位置しています。8つの営業拠点と3つの製造拠点で日本全国をカバーしています。なお、現在大阪と三重の2か所に技術研究センターを建設中です。
当社は1947年に伸銅品の卸売業として設立し、1953年に空調機器の製造販売業を開始してからは業務用空調を中心に事業を展開してきました。
近年では、八尾製作所の建て替え工事を進めており、2024年4月には主力棟が稼働しました。技術開発においては、新型の斜平形楕円管熱交換器(コイル)を組み込んだ新製品を順次リリースしています。
事業領域
当社の事業は業務用空調機器の開発・製造・販売を主としており、その領域は産業・商業・保健の各分野にまたがります。
産業空調分野の領域は、大規模工場・食品工場・精密機器工場・データセンターなど、商業空調分野の領域は大型店舗・商業施設・オフィスビルなど、保健空調分野の領域は、医療、福祉施設・学校・図書館・ホテルなどで、これらの領域でそれぞれの特性にあった製品を提供しています。
また、当社は、建設業界との関わりが深く、ゼネコンからの発注を受けたサブコンと呼ばれる、設備工事事業者が、当社の主要取引先になります。施主から注文を頂戴するケースもありますが、サブコンや商社経由が売上の上位を占めています。
主な製品「冷温水式AHU」「冷温水式FCU」
当社の主な製品についてご説明します。当社では、冷温水式AHU(エアハンドリングユニット)、冷温水式FCU(ファンコイルユニット)、空冷HP(ヒートポンプ)式空調機&外調機、冷温水式&空冷HP式工場用ゾーン空調機、その他の5つに分けて管理しています。
まずは、「冷温水式AHU」「冷温水式FCU」についてご説明します。冷温水式またはセントラル空調方式とも呼ばれるこの方式は、中央に熱源装置をまとめて設置し、これによって生成された冷温水を建物内で循環させて空調します。
自然界に存在する水を使用するため環境にやさしく、大規模な建物ではエネルギー効率が良いといわれます。一方で、これらの設備の設計や工事には、専門的な技術が必要となります。
主な製品「空冷HP式 空調機&外調機」
次に、「空冷HP式空調機&外調機」についてご説明します。空冷HP式は、個別分散空調方式ともいわれます。
エリアごとに分散設置し、室内機と室外機の間を冷媒ガス(フロンガス)を循環させて空調する方式です。
空気から熱エネルギーを取り出す省エネ性の高い技術です。管理や施工もセントラル空調と比べて容易で、中小型の建物に適しています。
HP製品には、室内機と室外機を分けて設置する「直膨式」と、室内機と室外機を一体化した「HP式一体形」があります。
立形ルーフトップ外調機をはじめとする「HP式一体形」シリーズは、当社の主力製品で、室内機と室外機を一体にした構造は、冷媒ガスの使用量や漏えいリスクの低減に繋がります。
主な製品「工場用ゾーン空調機」
「工場用ゾーン空調機」も、当社の主力製品の1つです。近年の温暖化の影響による気温上昇で、職場環境の改善、従業員の健康・パフォーマンス向上を目的として、工場に本格的な空調を導入するケースが増えています。
当社の空調機は、工場や体育館など、大空間の暑熱対策に導入されています。20メートル先まで気流が十分に届くため、広い工場内でも快適な環境を提供でき、高い除湿能力で、湿度が問題となる環境でも快適さを維持できます。
また、当社独自開発の吹き出し口で結露を防ぎます。さらに、オールフレッシュ外調機と組み合わせて室内を陽圧化する「陽圧換気空調システム」では、より良い室内環境を保つことが可能となります。
Topics:新製品 冷温水式「床置うす形空調機」
トピックスとして、新製品を紹介します。
限られたスペースを最大限に活用する「床置うす形空調機」を開発しました。奥行わずか450ミリメートルから480ミリメートルというコンパクトな設計でありながら、自動制御や加湿器等の高度な機能と省エネ性を兼ね備えています。
この薄型設計により、オフィススペースを効率的に活用できるだけでなく、施工面でも大きなメリットをもたらします。
Topics:職場の熱中症対策が義務化
2つ目のトピックスとして、2025年6月1日に施行される、職場における熱中症対策の義務化について紹介します。
各職場において、熱中症予防の取組みが求められます。WBGT(暑さ指数)値は、温度より湿度の方が大きく影響します。この湿度を抑えることが熱中症対策には非常に重要で、当社の工場用ゾーン空調機の導入が進んでいます。
2025年3月期 決算概要
それでは、2025年3月期の概要についてご説明します。
当期は、受注・売上とも順調に推移し、売上高は、前年同期比15.8パーセント増の160億4,200万円、売上総利益は、前年同期比17.6パーセント増の73億500万円となりました。
その他、当期のハイライトについては、スライドに記載のとおりです。
財務状況 損益計算書
売上高及び各段階利益についてはスライドに記載のとおりです。
堅調な国内設備投資需要を当社独自製品で取り込めたことにより、売上高は好調に推移しました。
利益面では、当期純利益において、八尾製作所旧工場棟解体等による特別損失8,500万円を吸収し、売上および全ての利益項目において過去最高を更新することができました。
2025年3月期 営業利益
営業利益の詳細についてご説明します。
売上総利益は、減価償却費の増加はあったものの、当社独自製品を中心とした販売により引き続き高収益率を確保することができました。
販管費は、売上増加に伴う荷造運賃の増加により微増となりました。
直近3期の業績推移
国内設備投資の増加、暑熱対策等の需要を取り込めた結果、売上高および営業利益は過去最高の実績を計上することができました。
財務状況 貸借対照表
当事業年度末における貸借対照表はこちらの通りです。
資産合計は、建設仮勘定の増加、売上債権の増加、棚卸資産の減少、建物の減少等により、前事業年度末に比べ2,029万円増加し、221億8,956万円となりました。
負債合計は、未払法人税等、借入金の増加、仕入債務、未払金の減少等により、前事業年度末に比べ8,454万円増加し、104億2,565万円となりました。
純資産合計は、当期純利益の計上による増加等により、前事業年度末に比べ21億1,387万円増加し、117億6,390万円となりました。
財務状況 キャッシュ・フロー計算書
キャッシュフローの状況です。
当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末より1億1,767万円減少し、15億9,842万円となりました。
営業活動の結果取得した資金は、22億4,185万円となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益35億7,487万円、減価償却費5億8,842万円で、主な減少要因は、売上債権の増加額11億1,886万円、法人税等の支払額8億2,438万円等によるものです。
投資活動の結果支出した資金は19億9,508万円となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出17億9,698万円、有形固定資産の除却による支出7,162万円、無形固定資産の取得による支出5,832万円等によるものです。
財務活動の結果支出した資金は3億6,444万円となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入16億円であり、主な減少要因は、短期借入金の純減少額12億3,500万円、配当金の支払額3億2,052万円、長期借入金の返済による支出2億7,969万円等によるものです。
2025年3月期 分野別・方式別売上高
分野別・方式別の売上高の状況についてご説明します。
産業分野については、食品、電子機器、機械・精密機器等の工場およびデータセンターの新設ならびに更新案件により順調に増加したことで、前年比13億7,700万円増加の87億8,900万円となり、構成比は54.8パーセントとなりました。
商業分野については、オフィスビルの更新案件が増加し、前年比2億3,700万円増加の29億300万円となり、構成比は18.1パーセントとなりました。
保健分野については、庁舎・公共施設の大空間施設および病院の新設・更新案件が伸長し、前年比5億7,400万円増加の43億4,800万円となり、構成比は27.1パーセントとなりました。
方式別ですが、冷温水式、ヒートポンプ式ともに伸長しましたが、なかでも冷温水式の伸長が大きく、構成比で31.8パーセントとなりました。
2025年3月期 製品別売上高
製品別の売上高の状況についてご説明します。
冷温水式エアハンドリングユニットは、輸送機器・電子部品、薬品工場等の新設ならびに更新案件が増加し、対前年8億3,800万円増の30億1,300万円となりました。
また、冷温水式ファンコイルユニットも、更新案件が堅調に推移し、対前年4,300万円増の8億7,700万円となりました。
空冷HP式空調機&外調機は、ルーフトップ外調機を中心に、食品関連、機械、化学、電子部品、病院等幅広い業種で導入が進み、対前年10億9,200万円増の81億5,300万円となりました。
工場用ゾーン空調機は、工場現場における暑熱対策、製品品質対策の導入が継続して増加したことにより、対前年1億3,800万円増の14億8,900万円となりました。
その他では、工事案件等の増加したことなどにより、対前年7,600万円増の25億800万円となりました。
受注状況
受注高および受注残高の状況についてご説明します。
各分野における設備投資の増加等により、当期の受注は、前年比21.5パーセントの増加となりました。特に産業分野の需要が引き続き堅調に推移しました。
売上高が好調に推移する中、受注高においても着実な積み上げを達成しました。その結果、受注残高は引き続き高水準を維持し、対前年2.4パーセント増加となりました。
株主還元
利益配分については、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、継続的に安定した配当を実施していくことを基本とします。
内部留保資金については、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、市場ニーズに応える技術開発、製造体制強化等、将来の事業展開に活用していきます。
当事業年度の一株当たり配当金については、当期の業績および財務状況を勘案し、2025年2月14日の「通期業績予想および期末配当予想の修正に関するお知らせ」で公表したとおり120円の配当を実施する予定です。
この結果、当事業年度の配当性向は17.2パーセントとなりました。また、当事業年度においては25,000株の自己株式の取得を実施しています。
なお、2026年3月期に係る剰余金の配当予想はグラフのとおりです。今後も、経営基盤の強化と自己資本利益率の維持向上に取り組むとともに、企業価値の持続的成長を図っていきます。
業績予想 2026年3月期 通期
業績予想についてご説明します。
地球温暖化の影響や生産現場の人手不足等の影響により、暑熱対策、職場環境改善への取り組みは今後も継続するものと考えられます。
米国の関税政策の動向が注目されますが、当社は直接的な影響は限定的と考えています。ただし、関税政策が影響する企業の設備投資の差し控えや海外製部材価格が間接的に業績へ影響する可能性があるため、市場の変化に対して柔軟かつ迅速に対応を行っていきます。
また、エネルギー、資源、部材価格高騰の長期化による不透明感は継続するものと思われます。
このような状況の中、スライドの通り推移する見込みです。
2026年3月期 業績予想 分野別・方式別売上高
分野別の業績予想はスライド左側のグラフに記載のとおりです。
産業分野では、猛暑が続く中、厚生労働省より熱中症対策を事業者へ義務付ける「改正労働安全衛生規則」が本年6月より施行されることに伴い、熱中症予防対策、職場環境改善の需要を取り込む営業活動を積極的に展開してまいります。
商業分野、保健分野では、、省エネに配慮した空調システムの提案を積極的に推進していきます。
製品開発においては、自然力を活用し、高い制御技術を搭載した省エネ、省資源、省スペース製品の開発を行うとともに、生産工程での脱炭素化の実現に向け積極的に取り組み、サステナビリティを一層推し進めてまいります。
なお、方式別では、冷温水式、HP式ともに伸長させていきます。
以上、簡単ではございますが、2025年3月期の決算説明を終了します。最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。