アジェンダ

早川与規氏:代表取締役社長兼執行役員の早川です。2025年3月期通期決算についてご説明します。こちらがアジェンダです。はじめに2025年3月期通期決算概要について、次に2026年3月期について、そして各事業の状況についてご説明します。

2025年3月期 通期 業績ハイライト

2025年3月期通期の業績ハイライトです。連結業績は、売上高120億3,500万円、前期比マイナス4パーセント、営業利益26億4,600万円、前期比マイナス46パーセントとなりました。各事業の決算ハイライトと併せて、次のページで詳細をご説明します。

2025年3月期 通期 決算ハイライト

まず連結業績については、人材マッチング事業、アドテク・コンテンツ事業が前期比増収となりましたが、連結全体では投資事業で有価証券の売却量が減少したため、前期比減収・減益となりました。

投資事業は売上高49億7,400万円、前期比マイナス25パーセント、営業利益39億700万円、前期比マイナス34パーセントとなりました。有価証券の売却量が減少したため、前期比減収・減益となりました。新規投資件数は45社と、通期計画の30社を上回る着地となりました。

教育事業は売上高17億8,100万円、前期比マイナス1パーセント、営業損失4億3,800万円、前期比マイナス4億400万円でした。開発事業・テックアカデミー事業の減少により、前期比減収・営業損失拡大となりました。

人材マッチング事業は売上高6億6,200万円、前期比プラス28パーセント、営業損失1億5,500万円、前期比プラス2億6,500万円となりました。

人材紹介事業とデザイナー特化型マッチング事業の拡大により、前期比増収・営業損失縮小となりました。

アドテク・コンテンツ事業は売上高46億2,200万円、前期比プラス27パーセント、営業利益3億2,300万円、前期比マイナス12パーセントとなりました。フォッグ株式会社のオンラインくじ「RAFFLE」が拡大し、前期比増収しました。アドテク事業が減少し、前期比減益となりました。

2025年3月期 業績予想比較(2024年11月21日に上方修正)

2025年3月期の業績予想比較です。なお、業績予想については2024年11月21日に上方修正を行っており、その数値との比較となります。

売上高はフォッグ株式会社の拡大により、業績予想のレンジを超過しました。営業利益・経常利益は、教育事業の営業損失拡大により、業績予想のレンジをわずかに下回る着地となりました。当期純利益は、業績予想のレンジ内で着地しました。

2025年3月期 期末配当

2025年3月期期末配当についてです。配当方針に基づき、通常配当と特別配当を合わせた期末配当金は1株当たり24円を予定しています。

2026年3月期 業績予想

2026年3月期の業績予想です。今期は、投資事業で大型の有価証券売却を見込めないことを主要因として、一時的に営業損失を計上する見通しです。

2026年3月期 事業セグメント別見通し

具体的な事業セグメント別の見通しです。投資事業は、現時点において大型の有価証券売却を見込まないため、売上高5,000万円、営業損失4億円の見通しとなります。

教育事業は株式会社ベストコの連結により増収し、売上高は40億円、営業利益は株式会社ブリューアスとキラメックス株式会社の経営統合により黒字転換の見通しです。

人材マッチング事業は、人材紹介事業とデザイナー特化型マッチング事業が拡大の見通しで、売上高8億円、営業損失8,000万円と増収・営業損失縮小の見通しです。

アドテク・コンテンツ事業は前期に引き続きフォッグが拡大し、売上高51億5,000万円、営業利益3億6,000万円と増収増益の見通しです。

財務状況、および来期以降の見通し

財務状況、および来期以降の見通しに関してです。今期は一時的に営業損失を計上する見通しですが、安定的な財務基盤を構築しており、高い財務健全性を維持できる見通しです。また、来期以降は全事業セグメントで利益創出可能な状態を目指します。

2026年3月期 配当方針の変更

配当方針の変更についてご説明します。資本効率の向上および資金の最適な活用を図るため、事業投資の継続に加え、株主還元を強化します。配当方針を「DOE4パーセントまたは連結配当性向50パーセントのいずれか大きい金額」から、「DOE5パーセントまたは連結配当性向50パーセントのいずれか大きい金額」へと変更します。

これにより、投資事業における短期的な業績変動に影響されず、財務基盤に基づいた安定的な配当が可能となるDOEを強化します。

2026年3月期 配当予想

2026年3月期の配当予想です。2026年3月期の1株当たり配当金は、新配当方針を適用することで、普通配当は前期同様の23円を維持する予想です。なお、2025年3月期に実施した特別配当は実施せず、2026年3月期は普通配当のみを予定しています。

事業セグメントおよび構成事業

各事業の状況についてご説明します。スライドは、事業セグメントおよび構成事業の一覧です。

各事業の状況

ここからは、各事業セグメントのうち2026年3月期業績に及ぼす影響が大きい事業について、事業戦略・競争優位性・今後の方針を説明します。

投資事業 事業戦略

ます投資事業では、テック投資で培ったソーシング力・目利き力をもとに、事業会社としての経験も踏まえた支援力を活かし、大きなポテンシャルを持った善進投資の拡大を事業戦略としています。

投資事業 事業戦略図

スライドは事業戦略を図式化したものです。戦略に基づき、善進投資の拡大と継続的なテック投資を実行していきます。

投資事業 テック投資とは

テック投資についてご説明します。テック投資では、国内のシードからアーリーステージ企業を中心に、自己資金で投資実行しています。原則として1,000万円から3,000万円、最大1億円程度の規模感で投資実行しています。主なイグジット事例はスライドのとおりです。

投資事業 善進投資とは

善進投資についてご説明します。善進投資とは、社会課題の解決と事業性の両立を目指すスタートアップへ投資する新たなチャレンジです。リード投資家として投資実行し、バリューアップのためのハンズオン支援も実施します。スライドに記載の領域に注力して投資実行しています。

投資事業 善進投資事例

善進投資の事例として、農業従事者の高齢化・人手不足、農薬・化学肥料による環境負荷という社会課題の解決を目指す株式会社NEWGREENについてご説明します。NEWGREENは山形県鶴岡市を拠点に、水田の自動抑草ロボットの開発、農業用資材の開発・販売、有機米や環境負荷の低い農産物の生産・流通販売支援をしています。

直近では自動抑草ロボットの新機種の発売、BASFジャパン社との共同プロジェクトを実施するなど、事業成長が加速しています。

投資事業 投資件数ランキング

ここからは、投資事業の事業状況についてご説明します。2024年1月から12月において、事業会社・CVCの中で投資件数1位を獲得しました。キャピタリストの生産性が向上したことで、投資件数が拡大したことが要因となります。

投資事業 キャピタリストの生産性向上

新卒中心のキャピタリストが成長したことで、キャピタリストの生産性が向上しています。2025年3月期では、キャピタリスト1人当たりの投資実行数は9件まで拡大しました。それに伴い、資金調達を実施した国内スタートアップに対する当社の面談数が増加し、接触率が拡大しました。

投資事業 保有状況

営業投資有価証券の保有状況です。2025年3月期末時点で未上場株式を131社保有、時価評価額は74億円となりました。

投資事業 投資実績

投資事業の投資実績です。投資事業ではIRRを評価軸に、投資倍率3倍のリターンを目指しています。2013年3月期から2020年3月期までに投資した保有株式の投資倍率は、未実現益を含め22倍となっています。2022年3月期から投資実行数を拡大しており、今後のリターン拡大に向けた支援を行っていきます。

投資事業 新規投資先

2025年3月期第4四半期では、8社に新規投資を実行しました。

投資事業 主なスタートアップ投資先

スライドは、主なスタートアップ投資先の一覧です。

投資事業 主なLP出資先

スライドは、主なLP出資先一覧です。多数の外部ファンドへLP出資を行うことで、運用益の計上を見込むとともに、新規投資案件のソーシング先としても活用しています。

教育事業 (株)ベストコ 概要

教育事業、株式会社ベストコについてです。ベストコは東北エリアを中心に、小学生から高校生を対象とした個別指導塾「ベスト個別」を展開しており、2024年12月末に連結を開始しています。

教育事業 (株)ベストコ 事業戦略

ベストコは、学習塾需要に対して供給が不足する地方において、直営展開により質の高いサービスを低価格で提供することを事業戦略としています。

教育事業 (株)ベストコ 外部環境

ここでは、ベストコにおける外部環境についてご説明します。現在、都市部と地方では、世帯収入、通塾率、大学進学率など所得格差、地域環境格差に起因する学力格差が存在しています。ベストコは、地方を中心に出店を行うことで、この格差の解消を目指しています。

教育事業 (株)ベストコ 競争優位性

ベストコの競争優位性についてです。ベストコでは全教室直営とすることで、3つの競争優位性を構築し、質の高いサービスを低価格で提供することを可能としています。

1つ目は、全教室で同品質の学習サービスを提供できることです。教務マニュアル、教室運営オペレーションの統一、デジタル教材・動画および学習管理システムの活用により、それが可能となっています。

2つ目は、ローコスト運営による低価格でのサービス提供です。競合が集まる駅周辺ではなく、生徒が通いやすく賃料が低い郊外へ出店すること、自立型学習により講師1人に対して生徒3人での指導が可能な体制を構築することで実現しています。

3つ目は、企業文化の浸透です。全社員・全員講師に対して、採用段階から企業文化を伝え続ける取り組み、全社員参加のワークショップの定期的な実施により企業文化の浸透を図っています。

教育事業 (株)ベストコ 今後の方針

ベストコの今後の方針です。新規出店、オンライン学習の強化により、事業成長を加速していきます。新規出店においては、東北エリアに加え、現在は中国・四国地方でも安定して教室を運営することができています。新規出店エリアは大都市圏以外を出店ターゲットとしており、まだ多くのホワイトスペースが存在しています。

オンライン学習の強化では、オンラインとオフラインの教室の掛け合わせ、完全オンライン教室の立ち上げにより、これまで通塾が難しかった生徒へリーチし、生徒数を拡大していきます。

教育事業 (株)ベストコ 事業状況

ベストコの事業状況です。教室数、生徒数ともに拡大し、創業以来13期連続で増収を実現しています。

アドテク・コンテンツ事業 フォッグ(株) 事業戦略

アドテク・コンテンツ事業、フォッグ株式会社についてです。フォッグはオンラインくじ事業の実績をベースに、IPホルダーとのビジネス領域を拡大し、IPのマネタイズ機会を最大化するプラットフォームを展開することを事業戦略としています。

アドテク・コンテンツ事業 フォッグ(株) 競争優位性

フォッグではオンラインくじ事業で培った実績をベースに、3つの競争優位性を確立しています。1つ目は、データの蓄積です。これまで1,000件以上のオンラインくじを実施した実績があり、豊富なデータから的確にファンのニーズを捉えることが可能です。

2つ目は、オペレーショナルエクセレンスです。デザイナー、エンジニアを自社で抱えることで製造・配送プロセスの効率化を実現します。効率化の進展により、ユーザー体験をスピーディに改善することが可能です。今後はAIを用いて、さらなる効率化を推進します。

3つ目は、IPホルダーとのネットワークの保有です。オンラインくじをはじめ、エンタメ業界において多くの事業を展開してきたことで、芸能事務所、音楽レーベル、出版社など幅広い顧客基盤を保有しています。

アドテク・コンテンツ事業 フォッグ(株) 今後の方針

フォッグの今後の方針です。将来的なIPOを目指し、短期的にはオンラインくじの領域拡大と海外展開、中期的には新規事業の展開と海外展開の強化を実施していきます。

アドテク・コンテンツ事業 フォッグ(株) 事業状況

フォッグの事業状況です。案件数が拡大し、オンラインくじ「RAFFLE」が成長しています。売上高は前期比プラス77パーセントとなり、過去最高の売上高を更新しました。

人材マッチング事業 ユナイテッド・リクルートメント(株) 事業戦略

人材マッチング事業、ユナイテッド・リクルートメント株式会社についてです。ユナイテッド・リクルートメントは、「RPO事業/人材紹介事業で得られるノウハウに、AI活用によるオペレーション効率化を掛け合わせ、採用効果を費用対効果高く提供する」ということを事業戦略として掲げています。

人材マッチング事業 ユナイテッド・リクルートメント(株) ビジネスモデル

ユナイテッド・リクルートメントでは、RPO大事業とエージェント事業を展開し、企業の採用活動を多面的に支援しています。

以上、2025年3月期通期決算および今期の見通しについてご説明しました。今期は一時的に営業損失を計上する見通しですが、来期以降の飛躍に向けて、引き続き個々の事業を成長させていきます。ありがとうございました。