2025年3月期通期決算
河合克也氏(以下、河合):代表取締役社長の河合です。2025年3月期の通期決算についてご説明します。
はじめに、ハイライトです。2025年3月期の通期決算は非常に良い成績で終えることができたことをみなさまにご報告します。
売上は前年同期比でプラス21パーセント、122億円を超えることができました。新規・既存顧客ともに売上高は非常に順調に推移しています。
今回、最も私たちが注力したところは利益です。経常利益として、前年同期比プラス78パーセントとなりました。2月に業績予想の上方修正を発表しましたが、これをさらに上回る116パーセントの達成率で終えました。
特に、経常利益額としては10億円を超え、経常利益率は8.3パーセントと、順調に推移し、非常に高収益の体制に戻りつつある状況です。
配当は1株当たり27円50銭と、増益に伴い配当金額の引き上げ、増配を行っています。
2025年3月期は非常に良い結果となりました。
2026年3月期 業績予想
2026年3月期の業績予想です。売上予想に対してさらにプラス12パーセントとし、売上高は138億円を目標として掲げています。
今期、最も注目したい経常利益に関しては、対売上経常利益率で目標としている10パーセントに戻す水準にチャレンジし、経常利益率は9.7パーセント、経常利益額は前年同期比プラス31.4パーセントを目指します。結果として、今期はさらなる増配でみなさまに還元していく考えです。
成長ガイドライン
私たちが目指している成長戦略についてお話しします。当社が、どのぐらいの成長速度や期限を目指しているか、というご質問を多くいただきます。スライドでは、私たちの目指している成長のスピードと確度について簡単にお伝えします。
売上高は、毎年10パーセントから15パーセントの成長を続けていくことを考えています。毎年15パーセントの成長を達成できると、10年で4倍という数字になります。少なくとも毎年10パーセントを超えることを、1つの水準に置いています。
当社のもう1つのこだわりは、やはり高収益企業であるということです。こちらもラインである経常利益率10パーセントの早期達成を目指していきます。加えて、可能な限り早く、プライム市場の上場基準を達成したいと考えています。
具体的に時価総額で250億円という目標や、経常利益でもさらなる成長を目指していきます。そのようなところを考えながら、あらためて売上高を毎年10パーセントから15パーセントの成長、利益率10パーセントから15パーセントを売上に対して出していきます。加えて、早期にプライム市場への上場を目指していきます。
ミッションとビジョン
私たちの会社についてご説明します。まず私たちのビジョンです。よくお伝えしているのが、「デジタル×フィジカル」という言葉です。デジタルとフィジカルを融合させていくことが、従前から長らく私たちがこだわり続けてきたことです。
デジタルとフィジカルの二刀流で、お客さまの未来に対してイノベーションを起こしていくことをビジョンとし、突き進んでいます。
会社紹介
新宿の本社を中心に、さまざまな自社センターを持ちながら、特にリテール、いわゆる小売業に関連する企業群を、私たちのプロモーション分野でお支えすべく事業を進めています。
リテール販促業界の現状と課題
リテール販促業界における課題と現状についてです。大きく2つの社会の潮流があると考えています。
1つは、小売業やそれを取り巻く販促活動が、デジタルとフィジカルの登場によって、昨今非常に多様化しています。一方で、多様化の裏側を見ると、実は非常に複雑化して、業務負担が増加しているということです。
さらに、今は人手不足ということで、さまざまな業種の企業が大きな社会課題として捉えています。多様化・複雑化する中で、人手不足により、お客さまの業務負担が非常に増加していることが、解決しなければいけない社会課題であると認識しています。
【参考】リテール販促業務の現状
私たちの小売業(リテール)の販促を取り巻く、具体的なツールについてお伝えします。デジタルというのは、まさに現在はコミュニケーションツールとして無視できなくなっています。例えば、SNSやアプリ、Webや店頭のサイネージなど、非常に多岐にわたっています。
一方で、私たちがフィジカルと位置づけている、従来のPOP、什器、のぼり、ポスター、トップボード、さらにデジタルとフィジカルの入り口となる決済端末やQRコード、それらの設置業務も含めて、デジタルとフィジカルの両方が現場では必要になっています。
それゆえに非常に業務が複雑化しているというのが、私たちが捉えているリテールの販促の現状です。
MICが提供するソリューション
私たちが導き出した解が、「360°フルサービス」です。具体的に言うと、お客さまの上流のコンサルティングや企画、システム開発やアプリケーション、加えてBPOというお客さまの業務受託、クリエイティブの分野など非常に多岐にわたってきました。
それから、ものづくりもフィジカルなものはさまざまなものがあります。それらをお客さまにお届けする、さらには、フィールドサポートとして設置業務や、場合によってはコールセンターのような、本部で引き受ける業務委託のようなものを、頭からお尻まですべて担っていきます。
このようなサービスによって、お客さまの販促活動の最適化を図ります。これが私たちの提唱する「360°フルサービス」という考え方です。
MICが選ばれる理由
「360°フルサービス」では、多様化して分断しているさまざまな業務を集約することで、お客さまの業務の合理化を実現します。具体的に言うと、コスト削減や、貴重な時間を創造していきます。このようなサービスが、私たちが選ばれているという理由です。
例えば複雑な販促活動をすべて賄おうとすると、お客さまのマーケティング部門やプロモーションの担当の方は、場合によっては30社から40社くらいのさまざまなサプライヤーと話をしながら、ビジネスを進捗させていかなくてはなりません。
それが当社のみ1社になることによって、非常に楽になるということです。そのようにして、お客さまに対し、コスト削減、費用対効果を高め、貴重な時間を創出していくことを掲げています。
顧客層
リテール販促活動を取り巻くところは、大きく言うと3つの業種・領域があります。私たちはこれを3つの顧客層に分けています。
例えばリテール顧客層というのは、コンビニエンスストアやドラッグストアといった、まさに商品を並べて消費者との接点を持っている小売業が中心になります。
次に、それら店舗に商品を供給している、食品や消費財、製薬や化粧品などのさまざまなメーカーやブランドがあります。
さらにはサービスというかたちで、決済やポイントサービスを提供したり、あるいは、自社で店舗を構えながら消費者に対してサービスを提供したりするサービス顧客層がいます。このような領域が、大まかに3分の1ずつバランスよく私たちのお客さまとなっています。このようなお客さまを総合的に支援しているというのが、私たちMICです。
成長戦略
私たちの事業特徴と成長戦略について深掘りしてお話しします。まず、「360°フルサービス」を、お客さまに統合的に広く、関係性も強くご利用いただいた場合、私たちとお客さまの間には、1社当たり約12億円という非常に大きな取引額が発生していきます。
このような当社のファンとなる会社をいかに増やしていけるかが、私たちにとって1つの大事な指標になっています。12億円のお取引額がある当社のファンの会社が100社になると、売上高は1,200億円となります。
さらに200社、300社としていくことで、私たちの成長を実現していきます。これがひいては、投資家のみなさまから見た当社の成長のポテンシャルだと考えています。
成長戦略実現のカギ
成長戦略の実現に向けて、非常に大切な戦略を担っている2つのサービスがあります。
1つは「Co.HUB」という、ドラッグストアを中心とした販促物の共同配送サービスです。こちらは、ベースとなるお客さま数を増やしていく、非常に重要な戦略的位置づけとなるサービスです。
もう1つは「PromOS」です。こちらは各個社に対して、お客さまの複雑な販促業務の一元化を実現する1つの肝となるサービスです。これが実装されることが、まさに私たちとお客さまの関係性をより強化するきっかけとなる非常に重要なサービスとなります。
「Co.HUB」と「PromOS」の2つの進捗が、私たちの成長を実現していく上で非常に重要な位置づけとなっていきます。それぞれについて、具体的にご説明します。
事業特徴01|販促物共同配送サービス
販促物の共同配送サービスとなる「Co.HUB」についてご紹介します。
リテール店舗における店頭販促物の実態と課題
スライドに掲載した画像は、ドラッグストアのバックヤードの写真です。左の写真は、バックヤードにさまざまなメーカーから送られてくる販促物が、残念ながら使われずに積み重なっています。
右側の写真は、各社から送られてくる販促物のダンボールを開梱したものですが、実はほとんど空気を運んでいるような状況で、各社からばらばらに送られてきているという現状があります。
これらはそこまで昔の話ではなく、令和の時代のドラッグストアの、つい最近までのバックヤードの様子です。いくつかの数字をお伝えすると、1つのドラッグストアにおよそ1ヶ月で100箱から130箱ほど、それぞれのメーカーからばらばらに販促物が届けられます。
容積率が40パーセントと考えると、60パーセントは空気を運んでいるような状況になっており、実際に販促物として使用されているのは30パーセントから40パーセントしかないというのが現実です。せっかくメーカーがコストをかけて製造した販促物ですので、リテールの店頭で掲示できるよう、あるいは、配送作業をより安く、確実に届けられる仕組みを作れないかと進めてきたのが、私たちの共同配送サービスです。
共同配送サービス(Co.HUB)
簡単に仕組みをご説明すると、これまで各社からばらばらに送られていたものを、すべて一度当社に集約し、1週間ごとに1箱で、すべてのメーカーの商品を相乗りにしてお店にお届けします。これを実現させたのが、私たちの「Co.HUB」というサービスです。
実際、社会全体のトラックの数を減らすことで、50パーセントのCO2削減を達成しています。さらに、ばらばらに届いていた100箱から130箱の箱が、週1回1箱で届くことになり、ダンボールの無駄も削減しています。
Co.HUBの実績
現在、「Co.HUB」は各ドラッグストアのリテールから多くの支持をいただき、わずか3年で新規アカウントは341社獲得しています。全国には約2万店のドラッグストアが存在しますが、そのうち54パーセントの約1万500店舗のドラッグストアの販促物が、MICのセンターを通過し、各店舗にお届けする状況になっています。
1つのドラッグストアのチェーンで、おおよそ300社から400社ほどのメーカーとの取引がありますが、すでに341社がサービスをご利用いただいている状況で、ドラッグストア業界のスタンダードモデルになりつつあります。
事業特徴02|販促DXクラウドサービス
個別の販促業務のDXを実現していく「PromOS」についてご紹介します。
メーカー企業における販促物の実態と課題
スライドの写真は、ドラッグストアに商品をお届けして販促活動を行っているメーカーの本社や本部、各営業所の様子です。
各メーカーとも、店舗で自社の商品を目立たせ、消費者により伝わるようにしていくために、さまざまな販促活動を実施し、さまざまなチェーンと一緒に取組を行っています。
ただ、残念ながら、まだ販促業務においてさまざまな無駄が発生し、大きな改善の余地があると考えています。
PromOS導入による販促業務の全体最適化イメージ
一口に販促活動といっても、企画、デザイン、編集、ツールの製造、チェーンごとの配送、在庫管理、店舗設置、お店から必要があればさらにお届けするなど、一連の作業があります。加えて、このような作業はデジタルも並行して進んでいるため、販促活動が非常に複雑になってきています。
そうした環境において、全体最適を図っていこうということで、私たちの「PromOS」というシステムを導入していただいています。販促活動や手配活動が、費用も含めて削減されるため、メーカー側の「PromOS」の導入も非常に進んでいます。
PromOSによる販促業務の最適化
「PromOS」の名前には、「プロモーションのOSになろう」という由来があります。「PromOS」をお客さまの中心に置いていただくことで、私たちがお届けしているコンサルティング、クリエイティブ、システム開発や、ものづくり、フルフィルメント、さらにはアウトソーシング、フィールドサポートといった、さまざまなサービスに統合的につながってくる可能性があります。
これらをトータルでサポートすることで、お客さまの販促業務の合理化を実現していきます。この要となるのが「PromOS」です。
(参考)大手外食チェーン様、大手食品メーカー様との取引額推移
スライドは、左が大手外食チェーン、右が大手食品メーカーと私たちとの年間の取引額の推移を表したものです。
左側のグラフのとおり、単体のサービスでは、私たちとお客さまの関係性はそこまで強いものには至りません。そこに「PromOS」が入り、お客さまの販促の合理化が実現すると、「PromOS」から私たちのさまざまなアウトソーシングサービスへとつながっていきます。まさにクロスセルを実現するための鍵となるサービス、戦略的事業が、「PromOS」になります。
右側は大手食品メーカーの例で、5年目から「PromOS」が実装され、私たちとお客さまとの関係が強くなっていることが見て取れます。私たちにとって、戦略的な「PromOS」というサービスの実装が非常に重要になっています。
成長シナリオ
私たちが描いている成長戦略です。あらためて、スライドのSTEP1、STEP2、STEP3をご覧ください。
STEP1は、平たく言うと、私たちとお客さまの口座を開いていただくということで、共同配送やその他単体サービスをご利用いただいているケースで、年間の平均取引額はおおよそ1,000万円ほどになります。
STEP2として、「PromOS」を導入いただき、販促業務のDXをお手伝いさせていただく立場になると、お客さまとの取引額は1億4,000万円ほどになります。
STEP3では、さらに派生する周辺の「360°フルサービス」を導入いただき、よりお客さまと強いパートナーシップを構築させていただくと、お客さまとの取引額は約15億円になります。
先ほどの資料の中では年間の取引額が12億円とお話ししましたが、実は私たちのサービスが既存のお客さまにさらに広がっていて、今の実績値では年間の取引額は15億円となります。
私たちの未来への最大のポテンシャルがどこにあるかというと、すでにSTEP1、STEP2、STEP3の再現性ができてきたことです。現在、「PromOS」や「Co.HUB」の共同配送によって、私たちと口座がある状態のお客さまの数は約400社になっています。
このすべてのお客さまと、販促のDXや「360°フルサービス」によってパートナーとなり、お客さまの成長やコスト改善の実現をサポートする立場になっていくと、私たちとお客さまの成長は無限大に広がっていきます。このようなことが、私たちが考えている成長戦略です。
この400社のお客さまに対して、まずは「PromOS」を実装し、その先にある「360°フルサービス」でトータルにサポートしていきます。これが、私たちがお客さまに実現していきたい、「デジタルとフィジカルでお客さまの未来をイノベーションしていく」ということになります。
組織体制
成長戦略を実現するための今期のトピックスについて触れたいと思います。まず、大きく組織を2つ改編しました。1つ目は、「PromOS」の導入に特化した組織である「事業開発部」を新設しています。この部門の主な役割は、お客さまに対して「PromOS」をより早く、よりわかりやすく実装していくことをミッションとした戦略的部門となります。
加えて、別のリリースとして、新たな執行役員として昇格の人事を発表しています。私たちの重要な3つのお客さま群である、メーカー、リテール、IT・サービスといった領域に対し、強い責任を持ってコミットし、より深掘りを進めていくため、3名の役員が中心となって、「360°フルサービス」を、それぞれの領域で強く管掌して進めていくということで、組織強化の意味で今回の改編となりました。
損益計算書
2025年3月期の通期の業績についてご説明します。冒頭のハイライトでもお伝えしたように、売上高は前年同期比で21.3パーセント増、122億7,500万円を達成しています。
それ以上に今回注目していただきたいのが、売上総利益の31.6パーセント増です。売上原価と販管費についても、会社全体の運営が非常に効率良くなったことで、結果的に経常利益率と経常利益に反映させることができました。
営業利益は9億9,800万円、経常利益は10億1,900万円と2桁億円を超え、対売上8.3パーセントという高収益の体質に戻ってきています。今期は経常利益率2桁に近づけていくことを目標に、突き進んでいるところです。
貸借対照表
貸借対照表です。今回、IPOの達成による資金調達と業績好調に伴い、特にバランスシートで大きく変わったところとしては、現預金が36億円を超え、自己資本比率も77.4パーセントと高い水準になっています。
次の成長に向けて非常に強い基盤ができたと考えていますので、今期、来期、さらに早期のプライム市場への上場に向け、万全な体制で次の成長に向けていきたいと考えています。
1株当たりの配当
1株当たりの配当は、当初の計画からさらに3円50銭上乗せし、27円50銭とさせていただきます。
取組トピックス(売上拡大①)
トピックスについてご紹介します。あらためて、売上と利益に貢献したものについてお伝えします。本日、「PromOS」の戦略的意義についてお話ししました。昨年から今期にかけて、さらに今期から来期に向けても非常に順調に進んでいるということです。
今回はプラス4アカウントとなっていますが、こちらは決してばらまき型のサービスではなく、お客さまのコスト改善、または売上成長に向けて効果があることを必ずアセスメントをした上で導入していますので、この4アカウントには非常に意味があると考えています。
取組トピックス(売上拡大②)
お客さまとの関係性において、さらに距離を近づけるために、「PromOS」の導入と併せてお客さまへの常駐も積極的に進めています。
その1つの柱であるBPO事業も、非常に順調に推移しています。お客さまへの常駐人数も、昨年からプラス15パーセントと進捗しています。ゼロ距離、より近い距離でお客さまの事業を支えていく、このようなところに貢献していきたいと思っています。
取組トピックス(コスト削減)
コスト改善についてです。製造原価についてはお話ししましたが、特に労務費というところでいうと、自動化により効率良く合理化を進めることができました。私たちのフルフィルメントセンター「るのパレット」に、自社開発の自動化システム「MonOS」が導入されました。
この「MonOS」は、「モンスターOS」ということで、まさに人がやる作業をかわいいモンスターやAIに助けてもらおうというコンセプトになっています。自社開発ロボットや、自動化システム、AIにより改善を進めていますが、この導入が非常に功を奏し、より効率良く、少ない人数で生産できるような体制が整っています。
「MonOS」や無人搬送システム「AGV(Automated Guided Vehicle)」「出荷3辺測定機」の導入効果により、収益性も大きく改善しています。
2026年3月期 業績予想
あらためて今期の業績予想についてお伝えします。冒頭にお話ししたように、毎年10パーセントから15パーセントの売上成長と、利益率10パーセントの達成により、早期にプライム市場を目指すため、上場後の今年は非常に重要な1年として考えています。
売上高はプラス12.4パーセント、138億円を今期の目標としています。加えて、さまざまな利益の改善も進めていきながら、経常利益率9.7パーセント、可能なら2桁を目指していく、このようなところを私たちの今期の計画として考えています。
トピックス(るのパレット増設)
先ほど少し成長戦略の中で触れましたが、トピックスの1つとして、「るのパレット」の増設についてご紹介します。実際の稼働は2027年春と少し先にはなりますが、フルフィルメントセンターの増設を意思決定しました。
こちらが何に効いてくるのかについて簡単に言うと、現在賃貸として外部に出ている費用を内部に取り込んで集約することで、労務費とスペースを改善し、無駄をなくす、このようなことを実現していく予定です。現状、八王子フルフィルメントセンター「はちフィル」で行っていることを「るのパレット」で行うため、習熟度低下の懸念は少なく、おそらく数千万円規模でのP/L上の収益力向上が図れると考えています。
トピックス(持株会)
最後に、大変うれしいトピックスをご報告します。私たちの正社員の持株会の加入率が、なんと70パーセントを超えました。
私たちの調べによると、平均的な持株会の加入率は40パーセントを切る水準だと把握しています。平均値をはるかに超えた7割もの正社員が、株主と同じ目線で経営に関わるような体制になったと言えます。
社員自身が明るい未来を信じてくれていることが、この持株会加入率70パーセントにつながったと考えています。結果的には、今日お伝えした成長戦略、今期、3年後、さらにその先を、私たち社員一同が、投資家のみなさまと同じ目線に立って経営に関われることの表れだと思っています。
私たちはこれまで長らく「One MIC」を掲げ、全社一丸となって「360°フルサービス」で、お客さまの企業価値最大化に向けていくことを目指してきました。それがより具体的な数値として今回表れたと考えています。
今期は非常に良い決算にできたことをみなさまにご報告するとともに、今期から来期に向けても、より前を向いて進んでいくことをお約束します。引き続きぜひ当社の応援をよろしくお願いします。
質疑応答:上方修正後にさらに業績が上回った要因について
松尾力氏:はじめに、みなさまからよくいただく2つのご質問に回答します。まず、1点目に「2025年2月の上方修正後、さらに業績が上回った要因を詳しく教えてください」というご質問です。
今年2月に上方修正の業績予想を出しましたが、さらにそれを上回るかたちで着地することができました。その要因について補足説明します。
売上に関しては、既存も新規もそれぞれ想定以上に非常に伸びました。特に既存顧客はすでに利用のある「360°フルサービス」だけでなく、新しいサービスの導入が進んだことにより売上が伸びました。また、新規のお客さまに関しても、「Co.HUB」を中心に獲得がより進み、その売上が伸びました。
コスト面についても、もともと「はちフィル」で行っていた現場のピッキングの自動化を、もう1つのフルフィルメント拠点である「るのパレット」にも拡大しました。これにより、製造労務費の抑制ができ、売上原価率が低下して利益につながりました。
質疑応答:2026年3月期の業績見通しの根拠について
「2026年3月期の業績見通しの根拠を教えてください」というご質問です。
今期26年3月期の業績見込みの根拠として、売上高とコストについてお話しします。売上に関しては、基本的な戦略として「PromOS」の導入を進めていくことを柱の1つとして考えています。そのために、新しく専用の部署として事業開発部を設置しました。その部署を中心に、「PromOS」の導入を加速させていきます。
併せて、私たち3つの顧客領域であるメーカー顧客層、リテール顧客層、IT・サービス顧客層それぞれに管掌執行役員を置き、「360°フルサービス」の深掘りをしていくことで、売上を作っていこうと考えています。
コスト面では2025年3月期にも取り組んできた製造工程のシステム化は引き続き続けていきます。さらに、今期はピッキング以外の工程のシステム化や自動化、営業サイドの営業支援ツールの導入を計画しています。このツールによって営業活動自体の生産性効率を上げ、全体として労務費の適正化を図り、しっかり利益を作っていきたいと考えています。
質疑応答:ロイヤルカスタマーの年間取引額が増加した要因について
司会者:「ロイヤルカスタマーの年間取引額が12億円から15億円へと、3億円増加した背景はどのような内容なのか教えてください」というご質問です。
河合:前提にあるのは、私たちの売上の積み上げ方があります。「360°フルサービス」のうち、企画フィーでいただくもの、システムの実装でいただくもの、常駐でいただくもの、製造でいただくもの、クリエイティブの制作でいただくものなど、大きく7つの分野に分かれています。
つまり、私たちは、単発の大きなものというよりは、一つひとつの積み重ねで年間の取引額を作っています。その中で、クロスセルが非常に進んだことが要因となります。
特に既存のお客さまにおいて、昨今、常駐の人数が増えています。また、クリエイティブに関しては、特にデジタルの動画の制作案件や企画案件なども増えています。さらに、フルフィルメントはもちろん、ものづくりなど、あらゆるサービスの実装が多岐にわたって広がりました。非常に良い状況だと考えています。
質疑応答:今期の営業方針について
司会者:「すでに400社アカウントを持っているとのお話でした。今期の営業方針は、顧客数(アカウント数)を増やすのか、1社ごとの取引金額を増やすのか、どちらですか?」というご質問です。
河合:すでに400社という非常に優良なお客さまと口座が開かれている状態にありますので、今年の1年に関しては、顧客数を増やしていくというよりも、400社の中の取引額をそれぞれ集中して高めていきます。
そのために、「PromOS」の実装を進める組織を作り、また、「360°フルサービス」につなげていくための各戦略的な組織分けを行い、管掌役員を新設しました。今期は既存の優良顧客の深堀りを進めていきます。
ただし、私自身の役割はその先のさらに未来を見据えることにあります。当然MICとしては、今のビジネスモデルだけではなく、次へのチャレンジも続けていくことになりますので、このあたりは私の責任において進める必要があると考えています。
質疑応答:「るのパレット」増設による売上総利益率への影響について
司会者:「『るのパレット増設』とのお話がありましたが、売上総利益率の見通しはどのようになりますか?」というご質問です。
河合:現在の私たちの拠点には、スライドに記載のとおり、新宿本社を中心に、フルフィルメントセンター2拠点、多摩工場、サンゲートがあります。この中で唯一、賃料を払っている契約になっているのが、八王子フルフィルメントセンター、通称「はちフィル」です。
「はちフィル」の契約期限が2年後に迫っており、次にどのような拠点戦略を組んでいくかを考える必要がありました。拠点運営の効率化を検討する中で、意思決定したのが「るのパレット」の増設です。
スライドの赤で示した場所に、当初から増設を計画していましたので、これを推し進めることとしました。
基本的には、外に出ているお金を社内に取り込むかたちになるため、人員増に関しては合理的になります。ただし、「るのパレット」増設そのものによる人員増の計画はありません。また、増設によって家賃が削減されますので、売上総利益が改善されます。
見通しについてはもう少し精査は必要ですが、P/L上で数千万円規模のプラスが出てくるのはおそらく2027年です。したがって、今期というよりは来期以降に貢献してくると考えています。収益率も、おそらく2パーセントから3パーセント程度、改善するのではないかと考えています。
補足すると、お客さまからの引き合いも非常に増えているところです。そのため、仮に仕事が同じだとしても、まずは収益力が改善されます。
一方で、非常に引き合いも増えている中で、全体を内製化することは難しいため、引き続き拡大のために外に借りる戦略にも継続して取り組み、並行して需要増に対応していく必要があると考えています。
質疑応答:持株会の加入率の高さの要因について
司会者:「持株会の加入率の高さの背景を教えてください。例えば、補助率などはどのくらいでしょうか?」というご質問です。
河合:私たちはもともと、全社員が株主や経営者と同じ目線で企業価値向上に貢献してほしいとの思いから、加入率100パーセントを目指しており、持株会比率を大事にしています。
平均的な持株会の加入率37.8パーセントに対して、このたび70.3パーセントに達したということで、非常に手応えを感じています。
正社員の加入を推し進めるために、2つの補助策に取り組んでいます。1つ目に、補助率を10パーセントとしています。つまり、持株会では10パーセント有利に購入できます。一般的な持株会と比較しても、飛びぬけて高いわけではなく、おそらく標準的だろうと認識しています。
2つ目は、現状はまだそれほど大きな金額ではありませんが、決算賞与の一部を持株会に対して与えています。社員が従業員としてよりメリットを感じてもらえる、かつ、その先の経営に対してより前向きに参画してもらえるような仕組みを、引き続き作っていきたいと思っています。
質疑応答:具体的な収入源について
司会者:「御社の収入源を具体的に詳しく教えてください。『Co.HUB』や『PromOS』のサービス利用料金などはどのようになっているのでしょうか?」というご質問です。
河合:みなさまが私たちの売上構成を分析される時に、非常に多くいただく質問です。「360°フルサービス」における、「PromOS」や「Co.HUB」などの個別のサービスをお伝えしていますが、最初からすべてのサービスが一度に導入されるわけではありません。
数十万円から、時にはキャンペーンで数千万円というケースもありますが、お客さまと私たちとの取引は、非常に細かいものの積算でできています。その中で、現段階では私たちは7つの項目に分けて請求しています。
例えば、コンサルティングでは、調査費やコンサルフィーのかたちでいただいています。システム開発では、受託型の開発のケースもありますし、「PromOS」では従量課金というかたちでご請求する項目もあります。
BPOは業務量や内容に応じて、常駐や月額で請求を重ねています。クリエイティブでは主に制作や企画に関して費用請求を行っています。
ものづくりでは、例えば、従来の印刷やノベルティ製造などの製造費として請求しています。
フルフィルメントでは、物を運ぶ金額や保管に関する月額の請求、あるいは流通加工を伴う費用を積み重ねています。
フィールドサポートでは、例えば設置代行や広告施工と撤去を行っています。そのような一連の項目を、より明確にお客さまに提示して、全体として積み上がっています。
ロイヤルカスタマーになると1社あたり15億円とお伝えしましたが、具体的には、7種に分かれた細かい項目の積み上げでできています。
質疑応答:既存顧客売上と新規顧客獲得が想定以上に進んだ要因について
司会者:「既存顧客売上と新規顧客獲得が、それぞれ想定以上だった背景をどのように分析していますか? 御社の要因と、顧客の要因で分けて教えてください」というご質問です。
河合:当然、私たち側とお客さま側それぞれに要因があります。前提として、私たちのサービスを必要とされるお客さまは、基本的に成長・拡大されている企業が多いのが特徴です。
人手不足だからこそ私たちにアウトソーシングいただくわけですが、成長しているからこそ社内リソースが足りず、私たちに頼っていただく、あるいは、成長しているからこそ社内の合理化が間に合っていないところを、私たちへ改善をおまかせいただくという流れがあるからです。
そのため、私たちがお付き合いしているお客さまは、成長している企業や、中堅から大手の中で合理化が必要な企業が多いのです。したがって、当然、お客さま側も伸びていきます。既存顧客売上については、12億円から15億円に増加したとお伝えしたように、クロスセルの部分がうまくいっています。
今期は特に共同配送や、社内の合理化を中心にお話していますが、昨今のデジタル制作事業や常駐事業、企画も含めたキャンペーンの受託なども大きく進んでいます。このようなさまざまな分野での協力について、いろいろな引き合いをいただいており、手応えを非常に感じています。
新規顧客獲得については、第3四半期決算の時に、新たにマツキヨココカラ&カンパニーさまが共同配送を導入し、全国54パーセントのドラッグストア店舗をカバーするという、非常に高い成長率となっているとお話ししました。
ドラッグストアの中で私たちが一定数のシェアを取っているという状況が非常に強く、さまざまな新規のメーカーやリテールからも、いろいろなかたちの引き合いを想定以上にいただいています。
今期や来期についての私たちの予算の立て方も要因に挙げられます。私たちのサービスは基本的に、すでにあるものを売っているわけではありません。お客さまの課題がまずあり、その課題を解決するために無形のサービスを作り上げていきます。
このような背景がありますので、高い目標を立てて営業みんなで押し込むというようなスタイルでは取り組んでいません。現状の積み上げの中で、あるいはお客さまの予測を見ながら、お客さまの課題がどこまで私たちの売上につながってくるのか、高い確度、中位の確度、低い確度などとシミュレーションし、複雑な計算をし予測を立てています。
比較的確度の高い予想に向かってまずは積み上げて、それ以上を目指しています。したがって、今回も昨年の上方修正後からさらに積み上がってきましたが、まずできる限りお約束できる数字に対して、私たちもその一歩先を目指しています。このような考え方で、当社全体の予算の積み上げに取り組んでいます。
質疑応答:売上総利益の見通しについて
司会者:「『360°フルサービス』は、サービスごとにかなり利益率が違うと思います。既存顧客の取引金額を大きくする上で、売上総利益はどのような見通しになりますか?」というご質問です。
河合:おっしゃるとおり、サービスごとに利益率は異なります。ただ、前提として、例えば印刷だから利益率が低い、あるいは、物流だから利益率が低いというわけではありません。
競争の激しいものや簡単に代わりがきくものはどうしても価格競争に陥りがちですので、利益率が下がっていく傾向があります。印刷にしても物流にしても、最近ではデジタルでの製造や、すでにシステムもそのような傾向になりつつあります。
価格競争をせざるを得ない単体の事業の作り方では、どうしても利益率が低くなります。したがって、私たちは、例えばシステムの実装や物流インフラの実装により、お客さまの全体の合理化を果たし、その上で「MICに頼むと一番早く、品質高く、かつ安く、ただし価格競争に陥らずに提供できる」という取引関係をどのように作っていくかが、私たちのビジネスの重要なポイントになってきます。
そこで私たちは、既存顧客に対して、まずはさまざまなインフラとなる物流や、基幹となるシステム、あるいはお客さまへの常駐を増やしていきます。この3つが揃ってくると、あらゆるものが価格競争から離れて、私たちのところに集まりやすくなり、相談がきやすくなります。
既存の取引額が大きくなってくると、価格競争から脱却し差別化できる傾向がありますので、当然、売上利益率が大きく改善してきます。だからこそ、シェアを広げていくのではなく、1社あたりの関係を深掘りしていくことによって、収益力の回復を目指す方針を取っています。
質疑応答:自社の弱点や足りないリソースについて
司会者:「御社の弱さ、または一番足りないリソースがあるとしたら何でしょうか?」というご質問です。
河合:弱さは強さの逆であり、足りないリソースは課題と捉えたらよいかと思いますが、今は特にリソースの確保に重点的に取り組んでいるところです。
「360°フルサービス」というモデルがある程度できあがり、そこに持ち込むための「PromOS」や「Co.HUB」という共同配送や物流の仕組みが整ってきました。これを再現性を持って実現していくことが、足元の3年、5年で私たちが取り組まなければいけないことだと考えています。
そのように一定の取引額をいただくためには、お客さまに対する理解や、まずはお客さまから信頼していただくことが必要です。その意味で、まずは前面に立つコンサル営業部隊が1つの鍵になっています。このようなリソースの採用と、どのようにその人に再現性を出していくかという教育が、1つ目の課題と認識しています。
また、「360°フルサービス」において新しいさまざまなサービスが増えてくると、社内プロセスも当然これに追いついていかなければなりません。ルールのないもの、標準化されていないもの、まだ社内で組み立てられていないものが、新しい仕事として日々増えてきます。
したがって、並行して社内の改善、社内の仕組み化が必要になっていきます。こちらに関しては、私たちは自社のシステムチームを抱えていることが非常に大きな強みです。彼らが逐一、社内改善を果たしていくために、当然、社内エンジニアの確保も非常に重要になっていきます。
そして、クリエイティブ分野でも本当に大きく引き合いをいただいています。お客さまや投資家のみなさまに実績・実例を出せず心苦しく思っていますが、動画やSNS、デジタル、キャンペーン、IPなど、さまざまな案件などいただいています。このようなクリエイティブの人材確保が重要な課題だと考えています。
まとめると「人」が課題だと認識しています。私たちが再現性を加速させていくために、引き続き、人材の採用と教育に力を入れていきます。