目次

濵田州朗氏(以下、濵田):本日はお忙しい中、株式会社タクマの2025年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。この4月1日より代表取締役社長に就任しました濵田州朗です。

本日は目次に沿って、決算および成長戦略についてご説明します。

はじめに

はじめに、就任にあたってのご挨拶をします。私は1990年にタクマに入社し、プラント設計やプロジェクト管理を長く経験しました。その後、2018年に経営企画本部に異動し、2021年には本部長に就任しました。

経営企画本部では、長期ビジョン「Vision2030」や中期経営計画の策定を担当するとともに、IRの取り組みを強化してきました。

この4月から社長に就任し、重責を感じているところですが、前社長の南條のもとで策定した「Vision2030」の「再生可能エネルギーの活用と環境保全の分野を中心にリーディングカンパニーとして社会に必須の存在であり続ける」ことと、利益水準として「経常利益200億円」を実現すべく、まずは今中計である第14次中期経営計画の達成に向けて、全力で取り組んでいきます。

第14次中期経営計画は、EPC事業での市場ポジションの維持拡大、ストックを最大限活用した収益モデルの確立を基本方針としています。特にごみ処理プラントの受注を着実に増やすことは、成長ストーリーを具現化するための非常に重要なステージであると認識しています。足元の状況は堅調であり、先日発表したとおり、受注や業績の目標を上方修正しました。

また、M&Aや研究開発など、成長投資を強化するとともに、政策保有株式の縮減にも取り組んでいきます。詳しくは後ほどあらためてご説明します。

我々の強みである技術力と、お客さまとの信頼関係を基盤に、社会が直面する課題の解決を通じて、企業価値の向上を実現できるよう、グループの舵取りを行っていきます。引き続き、ご支援のほどよろしくお願いします。

2025年3月期実績・2026年3月期見通し

2025年3月期の業績と、2026年3月期の見通しについて簡単にご説明します。詳細については割愛しますので、スライドのリンク先から決算補足説明資料をご参照ください。

スライドはこちら

2025年3月期 | 業績ハイライト

2025年3月期は、ごみ処理プラントのEPCやアフターサービスを中心に着実に受注を積み重ね、受注高は2,463億円と過去最高を更新しました。

また、売上高は1,511億円、営業利益は135億円と、前期比で増収増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は103億円となり、過去最高を更新しました。

2025年3月期 | セグメント別の状況

セグメント別の状況については、スライドのグラフで示したとおりです。

2025年3月期 | 主な受注実績

2025年3月期の主な受注実績です。主力のごみ処理プラントでは、DBO事業2件および基幹的設備改良工事1件を受注しました。尼崎市や東京23区など、比較的規模の大きな案件を受注できたことで、受注額の拡大につながりました。

バイオマス発電プラントは、FITの需要が落ち着いてくる中で4件を受注しました。また、汚泥焼却施設は年1件から2件のコンスタントな受注を目指している中で、前期に引き続き1件を受注しました。

2026年3月期 | 業績予想

2026年3月期については、引き続きごみ処理プラントのEPCやアフターサービスを中心に堅調な需要が見込まれています。このため、受注高は2,500億円と2期連続の過去最高を、売上高は環境・エネルギー(国内)事業と民生熱エネルギー事業の増加により、1,650億円と増収を見込んでいます。

利益面では、営業利益145億円、経常利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益117億円と、いずれも2025年3月期に引き続き増益を見込んでいます。

2026年3月期 | セグメント別の状況(想定)

セグメント別の状況については、スライドのグラフをご参照ください。

簡単ですが、2025年3月期の業績および2026年3月期の見通しのご説明を終わります。

第14次中期経営計画 | 位置付け・基本方針

第14次中期経営計画の進捗についてご説明します。昨年5月に公表した計画ですが、2025年3月期の実績や今後の見通しを踏まえ、財務目標を見直しました。

前提として、現在進行中の第14次中期経営計画は、「Vision2030」の実現に向けて、前中計から拡充してきた人的リソースを活用しながら、特にごみ処理プラントの更新や基幹改良案件の受注を拡大していく期間としています。

本中期経営計画で受注を拡大することにより、次の中期経営計画において売上や利益面における成果を獲得し、「Vision2030」の目標である経常利益200億円以上の達成を目指す計画です。

第14次中期経営計画 | 財務目標数値(サマリ)

スライドの前回公表の欄に記載のとおり、昨年5月時点では3ヶ年合計の受注高が6,000億円、経常利益が380億円という目標を掲げていました。計画策定より1年が経過し、環境・エネルギー(国内)事業では、ごみ処理プラントの堅調な更新事業を着実に受注に結びつけるとともに、メンテナンスなどのストック型ビジネスが順調に収益を伸ばしており、当初の想定よりも事業環境は良好に推移しています。

また、民生熱エネルギー事業においては、IHI汎用ボイラを買収したことなどを踏まえ、目標を見直すに至りました。具体的には、主目標である3ヶ年の受注高を7,000億円強に、経常利益を450億円に上方修正しました。

第14次中期経営計画 | 利益増減要因

利益面の増減要因は、スライドに記載のとおりです。3ヶ年累計で、メンテナンス需要の増加で39億円、EPC事業で15億円、IHI汎用ボイラの買収などその他事業で16億円の増加を見込んでいます。

資本政策

第14次中期経営計画から資本政策を開示していますが、財務目標の見直しに伴って、最終年度のROEの目標を11.5パーセント以上に修正しています。

キャッシュアロケーションについても、政策保有株式の縮減方針の強化や、営業キャッシュフローの増加に伴い、昨年5月時点から修正しています。詳細は最後にあらためてご説明します。

資本政策 | 政策保有株式の縮減

政策保有株式の縮減についてご説明します。昨年5月に第14次中期経営計画を公表して以降、株主のみなさまからいただいたご意見を踏まえて、バランスシートの効率化を図るべく、昨年11月に縮減方針の強化を取締役会で決議しました。

第14次中期経営計画の最終年度までに、連結純資産比の15パーセント未満まで縮減を進めます。金額としては約70億円規模を売却することになります。さらに2029年3月末までに、連結純資産比の10パーセント未満まで縮減していきます。

株主還元 | 自己株式の取得

また、政策保有株式の縮減で得たキャッシュを充当することで、第14次中期経営計画期間の自己株式の取得総額を当初の120億円から180億円に拡大し、資本効率の向上と株主還元の充実を図ります。現在は第14次中期経営計画期間の第2弾として、上限100億円の自己株式取得を実施中です。来年2月末に完了後、取得した株式はすべて消却する予定です。

2026年3月期の1株当たり当期純利益(EPS)は、前期比19.5パーセント増の158円となる見込みです。

以上、第14次中期経営計画の進捗に関してご説明しました。

市場環境 | 概要

最後に、2030年度以降を見据えた当社グループの中長期的な成長を実現するための戦略として、人材投資、研究開発、M&Aの方針についてご説明します。

中長期的な市場環境についてご説明します。特にごみ処理プラント事業においては、少なくとも2030年頃までは、安定的な更新需要と施設の長寿命化を目的とした基幹改良工事の需要が継続・拡大すると考えています。

将来的には人口減少によって、更新需要が緩やかに減少していくと見込まれますが、その一方で、施設の長寿命化や施設運営事業の民間委託の需要が継続すると考えています。また、カーボンニュートラルの実現に向けた設備の実装によって、ごみ処理施設の付加価値は高まっていくものと考えています。

市場環境 | 一般廃棄物処理プラント

ごみ処理プラントの市場動向について、もう少し詳しくご説明します。施設の更新や長寿命化、メンテナンスの需要が継続・拡大しています。

その背景として、一般的にプラントの寿命が20年から30年程度といわれている中、国内で稼働中の約1,000施設のうち、築20年を越えるものが7割、さらに30年を超える施設は4割を超えています。

昨今の建築コストの高騰もあり、各自治体においては、早急に建て替え工事や延命化工事を発注するのではなく、メンテナンスの強化によって、既存の施設をより長く使用していく方針を取るケースも増えてきています。

これらを踏まえて、今後も年間15施設から20施設の更新や、基幹改良工事の需要が継続すると考えています。将来的には施設への脱炭素ニーズの出現や、運営委託ニーズのさらなる増加も見込まれています。

今ご説明したごみ処理プラント事業に限らず、当社グループ全体として、各事業における将来的なチャンスを取り込むために、人材の確保に加えて、研究開発やM&Aによる投資を進めています。

人材投資

人材投資についてです。当初の方針から変更はありませんが、「Vision2030」の実現に向けて、プラントの設計・施工管理を手がけるタクマ単体で1,200名規模を確保する必要があると考えています。

2025年3月末時点で単体では1,087名の従業員がいますが、引き続き新卒採用とキャリア採用に力を入れるとともに、教育やノウハウの継承を進めることで、2030年以降を見据えた体制を構築していきます。

研究開発

研究開発についてです。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、CCUS(二酸化炭素の回収・利用・貯蔵)をはじめとする、脱炭素の実現に向けた研究開発を強化しています。

政府のカーボンニュートラル政策の動向から見ても、脱炭素に関する技術の獲得は、環境・エネルギーに関する事業を継続するため、そして当社が存続するために欠かせないと考えています。

研究開発 | トピックス

研究開発の進捗例として、2024年7月から、当社が納入したバイオマス発電所に実証装置を設置し、24時間連続して1日あたり0.5トン規模でCO2の分離回収を行う実証試験を行っています。今後はごみ処理施設などで、より大規模な実証試験を実施する予定です。

スライドは一例ですが、将来的な脱炭素の需要に応える研究開発に積極的に取り組んでいきます。

M&A

M&Aについても、当初掲げた方針から変更はありません。特に、環境・エネルギー(国内)事業を中心に、既存事業の強化やエンジニアリング人材の拡充、マテリアルリサイクルなど、周辺事業の拡大につながる案件の探索を進めています。

M&A | トピックス

2025年3月期は、民生熱エネルギー事業に関連したM&Aを実施しました。特に、IHI汎用ボイラについては、この4月に全株式を取得し、当社の完全子会社としています。来年4月には、当社グループの汎用ボイラメーカーである日本サーモエナーとの合併も予定しています。

貫流ボイラの業界2位のシェアを獲得し、売上の拡大やコスト低減などのスケールメリットを発揮することにより、収益力の強化を図ります。

今後も積極的に情報収集と検討を行い、長期的な企業価値の向上につながるようなM&Aの実施を目指します。

キャッシュアロケーション

これまでお話ししたことのまとめを兼ねて、第14次中期経営計画期間のキャッシュアロケーションについてご説明します。中期経営計画の上方修正を実施したことに伴い、営業キャッシュフローが30億円増加する見込みのため、こちらを主に配当に充てます。また、政策保有株式の縮減により創出されたキャッシュを自己株式取得に充てるなど、株主還元を強化していきます。

加えて「Vision2030」、さらにそれ以降を見据え、研究開発やM&Aにも積極的に投資していくことで、持続的な成長に結び付けていきます。

株主・投資家の皆様へ

結びになりますが、長期ビジョン「Vision2030」の実現に向けては、株主・投資家のみなさまをはじめとするステークホルダーのみなさまと真摯に向き合い、コミュニケーションを重ねていくことが不可欠だと認識しています。

お客さまや社会とともに、長期的・持続的に成長していくことによって企業価値を高め、私たちを応援してくださる株主のみなさまに満足していただけるよう、これからも全力を尽くしていきます。

引き続き、当社グループとして、株主・投資家のみなさまとの対話を継続していきますので、今後とも一層のご指導・ご鞭撻をお願いします。

以上で本日のご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。