Voicy「ログミーFinanceの株式投資ラジオ」

オープニング

荒井沙織氏(以下、荒井):「ログミーFinanceの株式投資ラジオ」をご視聴いただきありがとうございます。今回の放送の司会を担当します、荒井沙織です。この番組は、個人投資家、アナリスト、ストラテジストなどの方々へのインタビュー、対談などを通して、みなさまとともに投資の知見を深めていくための、ログミーFinance主催のラジオ番組です。

今回の「ログミーFinanceの株式投資ラジオ」では、個人投資家のヘムさんをゲストとしてお招きし、1月27日に発売された著書、『「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』について、執筆の裏話などを含めつつ、2回の放送を通してうかがっていきたいと思います。それでは、放送スタートです。

ヘム氏の投資遍歴・投資成績

あらためまして、今回のゲストをご紹介いたします。個人投資家のヘムさんです。本日はよろしくお願いいたします。

ヘム氏(以下、ヘム):よろしくお願いします。

荒井:「ログミーFinanceの株式投資ラジオ」は初出演ということで、まずはヘムさんご自身について、ご経歴やご活動などを中心に教えていただけますでしょうか?

ヘム:はい、ありがとうございます。はじめまして。個人投資家のヘムと申します。本日はお招きいただきありがとうございます。投資歴27年目になりまして、メインの手法としては、小型割安株プラス増配期待銘柄への投資になってます。現在、約360銘柄に分散投資をしていて、運用資産は約4億円です。

最初に、僕の投資遍歴を少しお話ししたいと思います。はじめに買った投資商品は、テーマ型の投資信託でした。銀行の窓口で、IT系・バイオ系の投資信託を勧められるままに買ったというのがはじめです。

当時の富士銀行、今のみずほ銀行なんですけれども……。テーマ型投資信託はすごく手数料が高くて、比較的相場の天井圏にあるかたちで組まれることが多いので、結果はあまり良くなくて。その後、ITバブルが崩壊して、基準価格が半分ほどになって売却したことを覚えてます。

その後、個別株投資を始めることになります。と言っても、最初は財務諸表を読んだり、ファンダメンタルズ分析をしたりもできなかったので、「これからは何々の時代だ」みたいな、軽いノリで銘柄選定をしていました。

当時は「高齢化がこれから来るかな」と思って介護株を買ったり、「eコマース、Amazonとか楽天あたりが来るかな」と思って運送会社の株を買ったり、「これからの株式投資が盛んになるかな」と思って証券株を買ったりしてました。これも結果はよくなくて、介護株なんかも相場の天井で買ったかたちで、大きく損をして損切りするかたちになりました。

この頃に「今のままの投資では駄目だな」と思って、いろいろな投資を勉強することになるんですが、ここで出会ったのがバリュー投資です。ブログなどで見つけて初めて知ったんですが、このバリュー投資というのは、僕にとってすごく理に適っていると思えたんですね。「これなら勝てるかもしれない」と感じて、その後、バリュー株投資にのめり込んで勉強していくことになります。

最初は、財務諸表の読み方を学ぶ簿記とか経理、会計ですね。このあたりを勉強して、それと並行して、古典と呼ばれる名著で勉強することから始めました。ベンジャミン・グレアムとか、ピーター・リンチ、グリーン・ブラッド、ウォーレン・バフェット。ちょっと先になるとチャーリー・マンガーとか、ジェレミー・シーゲルとか。いわゆる有名な著名投資家の本があって、こういう本は古典と言われています。

この古典はすごく難しいんですが、ただ投資の初期に読む価値があるものだと思っています。ここを最初に勉強して、土台を固めて、それから自分の投資手法に落とし込んでいくというのが王道なのかなと思っています。多くの凄腕投資家さんも、この手法、この道を通ってる方が多い印象を受けています。

バリュー投資がいったい何なのかというと、本来の価値より安く売られてる銘柄を買うことです。主に財務指標を分析して、価値より安く売られている会社を探すことになりますが、もう1つ重要なことは、その割安さが解消されるストーリーを考えることです。このストーリーとは、株価が上昇しだす変化とか、きっかけを予想するということです。

この2つ、つまり価値より安く売られてる割安な銘柄を探すということと、株価が上がり出すきっかけを予想するということ。これがニコイチになって、バリュー投資ということになります。

後半の部分、その株価が上昇し出す変化とかきっかけのことを、投資の用語では「カタリスト」と言います。このカタリストにはさまざまなものがあって、利益成長とか、画期的な新商品の開発とか、テーマ化、“人気化”とか、優待が新設されるとか、自己株買いが発表されるとか。

たくさんのカタリストがありますが、要は、株価がこれから上昇していくにつながるきっかけとか変化のことです。僕の場合は、このカタリストの中で最も予想がしやすくて、かつ株価の上昇に確実につながると考えている増配を重視しています。

ここで僕の投資成績について簡単にお話しさせてください。現在、僕は6つのポートフォリオ運用していて、それぞれの成績の詳細は書斎で書いてますんで……。書斎、失礼しました。

荒井:書籍で。本当にたっぷり書いていただいていてといいますか、「(情報を)そんなに出してしまっていいんでしょうか」っていうくらいにご説明されていますよね。

ヘム:そうですね。普通の投資本に比べると、本当にさらけ出してるというか、僕の投資手法のノウハウはすべて出してるかなと。(他の方からも)そういうふうにもよく言っていただいています。

その運用中の6つのポートフォリオは、すべてのTOPIXを上回ってる状態で、全部のポートフォリオを合わせた成績でいうと、過去8年でだいたいTOPIXを累積で80パーセントを上回った成績になっています。

最初に少しお話ししましたが、僕は今360銘柄以上に分散しているので、これだけ分散していてこの投資成績ということは、運要素はかなり排除されていると思っているんですね。この運用成績からも、小型割安株投資プラス増配狙い投資の有効性というのは、少なくとも僕の投資遍歴の期間でいえば、証明できてるのかなと思っています。

ふだんの僕の活動ですが、主にXで発信をしていて、個別銘柄の分析とか投資手法、ポートフォリオの構成銘柄とその成績。このあたりをポストしています。X始めてちょうど2年と少しになるんですが、今、4万人ぐらいの方にフォローしていただいてます。

荒井:ありがとうございます。

『「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』の反響

失敗もあったということで、すごく勇気づけられるんですけれども。お話の中にもありましたが、そんなヘムさんの著書である『「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』。こちらが2025年1月27日に出版されたということで、この収録を行っているのは2025年2月5日で出版日からあまり日が経っていない段階ではあるのですが、反響はいかがでしょうか?

ヘム:ありがとうございます。おかげさまでけっこう売れてるみたいで喜んでいます。今日(収録に)来る前に見たんですが、楽天ブックスの投資本ランキングでは2位に入っていました。発売後1週間ぐらいの間は、紀伊国屋のオンラインのサイトとかAmazonなんかでも投資本の中では上位に入っていて、思ったよりも売れていて。たくさん見ていただいているかなと思います。

1冊目の活動がけっこう大変だったので、この後はゆっくりしたいなと思っているんですが、実は2冊目のお話もいただいていまして。まだ内容は何も考えてないんですが、どこかでまたそのあたりも書いていけたらいいなと思ってます。

荒井:実は私、書店で本を買うのが好きで、ヘムさんのご著書も書店で買いたいなと思って。ただ、ないと嫌だなと思って書店に電話をしたんですね。そしたら「ちょっともう今ないです」と言われたので、慌ててネットで購入しました。

ヘム:ありがとうございます。うれしいです。

荒井:その書店は、各店舗品薄みたいな感じになっていたので、必ず入手したい方はネットのほうが確実かもしれないですね。黒い表紙にグリーン、黄緑が印象的な本になっています。かっこいいです。

ヘム:ありがとうございます。

『「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』の構成

荒井:もうすでに発売から間もないですが好評という書籍なんですが、今回は2回の放送のうちの第1回目ということで、こちらのご著書についてまだ手に取ったことがない、しっかり読んだことがないという方のためにも、内容について、どんな本なのかということをうかがっていきたいと思うんですが、書籍の構成などを簡単に教えていただけますでしょうか?

ヘム:はい、ありがとうございます。まず「この本がどんな本か」ですが、先ほどお話ししたように、僕の投資手法はメインが小型割安株投資プラス増配狙いです。この投資手法の特徴ですが、「安全域が大きくて、再現性が高い」と言っていただいています。これがどういうことかというと、リスクが小さくて、誰でも真似ができるということなんです。誰がやっても同じような結果を出しやすいっていうことですね。

株で1億円以上稼いでいるような凄腕投資家のことを“億り人”と言ったりしますが、そのような凄腕投資家さんの手法には、さまざまなものがあるんですね。それぞれ素晴らしい手法で、正解はそれぞれにあると思うんですが、ただ残念ながらその手法は再現性がないものが多いんです。つまり、真似ができないということですね。

その投資家自身の腕が反映されているということで、誰がやっても同じ結果が出るわけではないのであれば、多くの人にとっては残念ながら意味がないということになってしまいます。でも僕の投資は、誰がやっても同じような結果が出しやすいかたちになるので、その意味では、みなさんにとって有用な本になるのかなと思ってます。

ただ、誰がやっても真似ができるっていう手法で、そんなに大きく儲けることはできないんです。例えば2、3年で2倍儲けるとか、そういうリターンは僕の手法では望めないです。感覚的には、7年とか8年かけて資産を2倍にすることを、より安全に、より確実に目指していこうというのが僕の投資手法です。

株式投資の指標ってたくさんの手法があるんですが、入口を間違えるとすごく遠回りをしたり、大きなリスクを背負ったりすることになるんですね。実際、投資の世界に入って、残念ながら資産を失って退場するということもたくさんあるので、入口は間違えて欲しくないんです。

投資っていうのは、人生をすごくいい方向に変えてくれるポテンシャルがあります。大きくお金を増やすチャンスもあります。ただ一方で危険性も伴っています。

ほとんどの人にとって投資の原資というのは、苦労して貯めたお金なんだと思うんです。一生懸命仕事をして、節約して貯めたお金だと思うので、そのお金で大きく損をして退場するということは、絶対避けたいことだと思うんですよね。それを、少しぐらい時間がかかっても、安全性、再現性の高いかたちで増やしていくというのが、多くの一般の方にとっても最適解なのかなと思ってます。

僕の本はその主旨、「安全で着実に増やす」という観点からいうと、良い投資手法になっているので、薦められる本になっているかなと思います。

株式投資の世界には、基本的な型があるんです。これは「儲けを得るための仕組み」と言ってもいってもいいかもしれないですが、投資で成功してる人のほとんどは、この型を身に付けて、わかっています。この型を身につけた上で自身のオリジナリティを出されてるんですが、今回の僕の本では、この基本の型の部分を説明していて、それに加えて、「僕の手法のオリジナリティはこうだよ」ということで、2つに分けて説明しています。

ちょっと生意気ですが、この今回の本というのは、現代版のバリュー投資の教科書とか、ファンダメンタルズ分析の教科書みたいな本に仕上げたつもりです。あえて“現代版”と言っているのは、この数年、日本の株式市場ですごく大きな変化を迎えているんですね。

具体的には東証が行ってる改革のことなんですが、この改革の影響で、企業は今、成長投資とかTOBとか、自己株買いとか、増配を加速させていっています。これは今までにない動きなんです。この動きに対応した投資手法というものが必要で、この本はこの動きに対応した、マッチした手法になっているので“現代版”というお話をさせていただいてます。

荒井:ありがとうございます。今だからこその手法があるということですよね。

ヘム:そうですね。先ほど話した古典、昔からあるバリュー投資を、今の環境にマッチさせたというのが、僕の投資手法だと思ってます。

荒井:再現性の高さというのは、すごく魅力的でありがたいなと思ってうかがっていました。それでは、今回の放送はこちらで締めさせていただきたいと思います。次回の放送では、ご紹介いただいた著書について、執筆の裏話などうかがっていければと思います。お楽しみに。

エンディング

今回は、個人投資家のヘムさんをゲストとしてお招きし、1月27日に発売された著書、『「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』についてうかがってきました。みなさまいかがでしたでしょうか? 

なお、本放送については書き起こし記事も公開されますので、気になる方はログミーFinanceのWebサイトをぜひご覧ください。書き起こし記事内では、次の放送テーマや出演者の募集も行う予定です。「こんなテーマを聞いてみたい」「この人に出演してほしい」など希望がありましたら、ぜひご意見をいただければと思います。

それでは今回は以上になります。また次回の放送でお会いしましょう。さようなら。