アジェンダ
宮崎龍己氏(以下、宮崎):株式会社セラク代表取締役の宮崎です。本日はお忙しい中、当社の企業説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日のご説明内容です。まず簡単に会社概要および事業内容をご紹介し、4点の成長戦略をご説明します。その後、2025年8月期の計画と、先日発表した第1四半期の決算内容、株主のみなさまへの還元施策についてご説明します。
当社の概要
宮崎:会社概要です。株式会社セラクは、「IT技術教育(人材育成)によりビジネスを創造し、社会の発展に貢献する」を経営方針としています。設立は1987年です。私、宮崎が創業社長として現在も代表取締役を務めています。従業員数は連結で約3,400名、90パーセント以上がITエンジニアで構成されています。
当社の沿革
宮崎:当社の沿革です。これまで新しい技術トレンドに先駆けて事業化を行うことで、規模拡大とともに利益成長を続けてきました。
クラウドシステム運用・定着化事業につながるセールスフォース領域へも、2010年代はじめから取り組んできました。これが現在のセラクCCCにつながっています。
また、2014年には農業にITで貢献するみどりクラウド事業を立ち上げ、2023年には生成系AIサービス「NewtonX」を開始するなど、大きな社会課題や未来を変えていく先進的な技術において、自社サービスを創造し、事業化しています。
今後も技術トレンドに先駆けた事業化に加え、高い利益率での成長を実現する自社サービスによって拡大を続けていく計画です。
当社が向き合う社会課題
宮崎:現在、当社が向き合う社会課題とその取り組みを簡単にご説明します。まずはIT人材の不足や、ITシステムのクラウド移行に取り組んでいます。そして、社会の大きな課題である農業および一次産業のIT化に対し、ITによる生産性向上や課題解決を実現する「みどりクラウド」事業を行っています。
さらに、生成系AIのビジネス活用に将来性を見込んでいます。急速に発展するこの市場において、AI活用ニーズの発掘から導入・運用を実現する「NewtonX」を通じて、企業のAI化を支援しています。
当社の事業セグメント
宮崎:これらの課題への取り組みを行う事業セグメントは、スライドの3つで構成されています。主な事業は、デジタルインテグレーションセグメントです。ネットワーク構築・運用などのITインフラや業務システム開発を手がけるSI(システムインテグレーション)領域と、クラウドシステム運用・定着支援などを手がけるDX(デジタルトランスフォーメーション)領域で構成されています。
SI領域は規模が大きく、長期安定的に顧客との案件が継続していくため、積み上げ・継続型での成長が特徴です。一方、DX領域は成長性が高く、先端領域のため、付加価値が高いことが特徴です。
加えて、農業ITを手がけるみどりクラウドセグメント、事業子会社であるセラクビジネスソリューションズの機械設計エンジニアリングセグメントによって構成されています。
今後の業績マイルストーン
宮崎:2025年8月期において、売上高245億円、営業利益25億5,000万円を計画していますが、今後のマイルストーンとして、まずはクラウドシステム運用・定着領域の利益率向上で営業利益率を高め、早期に営業利益40億円を実現します。
その後、現在は投資フェーズにある自社サービスが収益化フェーズに移行する段階で営業利益率を15パーセント以上に高め、時価総額の最大化を実現します。さらに、時価総額を背景にした新しい技術領域での事業拡大など多角的な成長の取り組みにより、売上高500億円への規模拡大を実現し、その後の成長へとつなげていきます。
成長ビジョン
宮崎:成長ビジョンとして、クラウドシステム運用・定着領域の将来像、みどりクラウドセグメントにおける中心サービス「みどりクラウド らくらく出荷」および生成系AIサービス「NewtonX」の成長ビジョンをご説明し、投資家のみなさまに当社の成長戦略をご理解いただければと考えています。
成長戦略① IT人材創出モデル
宮崎:IT人材創出モデルにより、新しい技術トレンドに対応してビジネスを創造することや、市場の拡大に応じて地方展開やエンジニア数の拡大を行うことで収益性を高めていくなど、当社独自のノウハウにより優位性を獲得してきました。
成長戦略① IT人材創出モデル
宮崎:加えて、パートナー組織によるエンジニアの採用に依存しない、新たなビジネスモデル構造による今後の高成長に向けた取り組みを進めています。これは、今までのエンジニア数によって成長を実現するビジネスモデルからの進化であり、その成長性は今までをはるかに超えるものになるはずです。
当社エンジニアに加え、現在は約1,500社のパートナー企業の人材をプラットフォーム上で可視化し、顧客との案件にマッチングさせる仕組みを確立しています。なお、成長の大きな力となるパートナー企業はこの半年で500社以上増加しており、システム開発会社を中心に順調に拡大を続けています。
成長戦略② クラウドシステム運用・定着の市場動向と当社の取り組み
宮崎:クラウドシステム運用・定着領域の将来見通しです。現在、世界のクラウド市場は拡大を続けており、2024年には100兆円規模に到達し、2030年までには150兆円規模に拡大することが見込まれています。
成長戦略② クラウドシステム運用・定着の市場動向と当社の取り組み
宮崎:特に、企業のITシステムのクラウド移行と、生成AIの活用がさらに進むことが予測されています。
成長戦略② クラウドシステム運用・定着の市場動向と当社の取り組み
宮崎:当社はこれをクラウド化による新市場の出現と捉え、旧来のIT人材とは大きく異なるスキルを持つカスタマーサクセス人材の育成で優位性を獲得しています。
成長戦略② クラウドシステム運用・定着の将来見通し
宮崎:この領域では、顧客管理・営業管理システムの「Salesforce」、人事・労務システムの「COMPANY」、業務プロセスデジタル化の「intra-mart」を手がけています。
この領域において当社は、単にクラウドシステムの初期開発や導入を行うのではなく、その後永続的に行われる運用や定着支援を伴走型で行うカスタマーサクセスを最大の強みとしています。
今後、年間20パーセント以上の成長率で稼働エンジニア数が増加し、顧客社数は5年で3倍の600社以上となることを見込んでいます。
成長戦略② クラウドシステム運用・定着の将来見通し
宮崎:この領域は、現在でも全社平均を上回る高い売上成長率と利益成長率で推移しているだけでなく、セラクCCCでは営業利益率15パーセント以上、COMPANY領域では営業利益率20パーセントと、利益率の高いビジネスになっていきます。これは当社のカスタマーサクセスが付加価値として市場で評価されていることに加え、人材の希少価値が高く、先行優位性を有していることが理由です。
今後もカスタマーサクセス国内No.1のポジションを確立し、利益率をさらに高めながら、売上成長率も高めていきます。
成長戦略③ 自社サービス「みどりクラウド らくらく出荷」
宮崎:「みどりクラウド らくらく出荷」についてです。当社では、2014年から農業を含む一次産業の将来課題にITで貢献するみどりクラウド事業を開始し、ビニールハウスなどの補助環境をIoTでモニタリングする「みどりクラウド」、その技術を畜舎環境に応用した「ファームクラウド」に加え、培った技術を農水産ソリューションとして提供してきました。
その中で、JAひろしまとの取り組みにより、青果の集出荷業務を効率化するQRコードとスマートフォンアプリを使った「みどりクラウド らくらく出荷」を開発しました。これが大きな効率化をもたらすと評価され、全国のJAに向けて販売を開始しています。すでに複数のJAにおいて導入の準備が進んでおり、今後は流通ラベル数に応じた売上・利益の拡大が見込まれています。
直近では年間1億2,000万枚の流通量を目標とし、将来的には集出荷以降の工程のサービス拡大や、漁業など農業以外の流通にも応用を見込んでいます。
これはまさしく農業のDX化の本流となるものです。「みどりクラウド らくらく出荷」については、実際の事例を動画でご用意しています。3分程度の動画ですので、ぜひご覧ください。
成長戦略④ 自社サービス「NewtonX」
宮崎:AI活用サービス「NewtonX」についてです。昨年の春頃からAIビジネス市場が急速に拡大しており、今後はAIの活用が進むかどうかが、企業の成長性に大きく影響を及ぼす社会が想定されています。そのような中、当社はいち早くサービスを開発し、事業化を行いました。
成長戦略④ 自社サービス「NewtonX」
宮崎:今後、さまざまな業種・業態でAIの活用が進んでいくことが予測されていますが、当社は自社での開発や導入が困難な中堅企業を中心に10万社程度を当面のターゲットとし、AIによる生産性向上の支援や、ファインチューニングといわれる企業内固有のデータをAI化することで、競争力向上の実現を支援していきます。
営業体制の強化への投資を行い、増加するニーズへの対応を進めています。今後はパートナー制度なども導入していきます。
成長戦略④ AIシフト
宮崎:当社では、AIを活用する力がITエンジニアの生産性や事業成長に大きく関わる未来を想定し、当社自身のAIシフトへの取り組みをスタートします。具体的には、教育プログラムや社内認定制度を導入します。AIを活用し、生産性を高められるエンジニアの教育育成に取り組み、また、AI活用ノウハウを社内に蓄積し、さらなる顧客貢献に活用します。
そして、顧客とのプロジェクトへの「NewtonX」の導入にも取り組んでいきます。
2025年8月期 通期計画
宮崎:進行期となる2025年8月期の通期計画です。売上高は、前期比10.3パーセント増となる245億円を計画しています。営業利益は、前期比12.1パーセント増となる25億5,000万円を計画しています。今期の配当は13.20円を計画しており、配当性向は12.1パーセントとなります。
2025年8月期 第1四半期 連結業績サマリー
宮崎:先日、第1四半期の決算発表を行いました。売上高は62億円となり、前期比で15.6パーセント増加しました。営業利益は7億6,800万円となり、前期比で46.4パーセントの増加となりました。
また、通期計画に対し、売上高が25.3パーセントの進捗、営業利益が30.2パーセントの進捗となり、計画の達成に向けて順調に推移しています。今期は、ビジネスパートナーの活用を進めたことや、エンジニア教育などの取り組みに加え、DX領域での事業拡大が進んでいることで増益となります。これは、新サービスへの先行投資があった上での増益となります。
株主還元およびステークホルダーとの関係強化
宮崎:今期も自己株式取得を実施し、継続的な株主還元を行っていきます。投資家のみなさまにぜひ当社のことを知っていただき、株主として応援していただければと考えており、今後、月1回程度のペースで企業説明会を実施していきます。
株価水準と成長戦略
宮崎:株価水準についてです。スライドは、2017年8月期からのPERおよび営業利益率を示したグラフとともに、株価推移や売上高、営業利益および各期の成長戦略との相関を示しています。売上高の成長による規模拡大を続けながら、営業利益率を高めている現状です。
成長戦略としても、クラウドシステム運用・定着領域の事業成長や、今後の大きな利益貢献が見込まれる「みどりクラウド らくらく出荷」「NewtonX」への投資と、今後の成長が見込める中で、現在の株価水準は割安だと言わざるを得ません。
成長戦略を多くの投資家のみなさまに評価していただき、我々がその戦略を着実に実行していくことで、株価水準は上がっていくものと確信しています。
また、前期、当社は40万株の自己株式取得を行い、その約半分を償却しています。2025年8月期においても同様の取り組みを進めています。業績連動型配当による利益の増加に伴う増配に加え、自己株式の取得および償却を継続することにより、株主のみなさまの持株比率は高まり、株主還元も増加していきます。
これまで実行してきたことを今後も継続して行った時の当社の将来をぜひ想像していただきたいと思います。
質疑応答:今後想定される事業上のリスクについて
飯村美樹氏(以下、飯村):「今後想定される事業上のリスクと、その対応を教えてください」というご質問です。
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