スターツ出版のビジョン

菊地修一氏:スターツ出版株式会社代表取締役社長の菊地です。決算説明と、今回発表した新しい中期経営計画についてご報告します。

まず、当社のビジョンは「感動プロデュース企業へ」です。

スターツ出版のミッション

ミッションは「文化と笑顔の需要創造」です。

今期のスローガン

当社では毎年スローガンを決めています。今期のスローガンには「イノベーションで次なるミライを!」を掲げ、全社員でイノベーションを起こしていく決意のもと、新年度をスタートしています。

スターツ出版の事業領域

当社の事業領域です。スライド左側の書籍コンテンツ事業と、右側のメディアソリューション事業があります。メディアソリューション事業は「OZのプレミアム予約」事業と、ブランドソリューション事業の2つに分かれています。

2024年12月期の決算

決算報告についてです。2024年12月期はやや増収・増益で着地しています。売上高と純利益は、期初計画を達成しました。

セグメント別の状況

セグメント別の状況です。書籍コンテンツ事業は、2023年度と比較して売上高が若干伸びているものの、営業利益はやや減少しています。一方、メディアソリューション事業は、約2億円の黒字となっています。

貸借対照表

貸借対照表です。現在、自己資本比率は81.5パーセント、借入金はゼロであり、相当強い財務基盤を構築できていると思います。

2025年度 売上89億円・営業利益24億円予想

今年2025年度の予想は、売上89億円、営業利益24億円です。四半期ごとの売上の見通しの中で見ていくと、第1四半期は、昨年と比較して相当落ち込むと考えています。

この理由として、昨年は、第1四半期にミリオンヒットである『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』など、複数の大ヒット作品がありました。第2四半期以降、新創刊のコミックや映画化の作品も控えているため、後半になるにつれて、売上が拡大していく見通しを立てています。

中期経営計画の基本方針

中期経営計画です。まず、基本方針として、右肩下がりの出版市場に抗うべく、コンテンツの多層化を推進していくことを掲げています。具体的な内容は3つあります。

1つ目は、IP展開による収益の最大化です。IP展開とは、自社で開発したコンテンツを活用して展開するビジネスのことです。つまり、書籍を販売するだけではなく、そこから生まれるIPを利用し、収益につながるコンテンツの多層化を進めていきます。

2つ目は、全体的にコミックへシフトし、新レーベルの創刊ラッシュを進めることです。

3つ目は、全事業において生成AIを活用し、生産性の向上を目指すべく、スタートしました。これらをこの3ヶ年の基本方針として掲げています。

2026年売上100億円突破、2027年営業利益30億円突破へ

売上と営業利益の計画です。今期は売上89億円、営業利益24億円とご説明しましたが、来期はジャンプアップし、売上100億円を突破しようと考えています。その時には営業利益が28億円になります。

そして、中計の3年目である2027年は売上106億円、営業利益30億円を目指します。「来年から、なぜこのようにジャンプアップする見込みなのか?」については後ほどご説明します。

セグメント別 売上計画

セグメント別の売上計画です。書籍コンテンツ事業の売上は、2024年度の52億8,300万円から、2025年度は54億円とやや上げていき、2026年度は61億円を超える計画を立てています。

一方、メディアソリューション事業のほうは、粛々と売上を伸ばすことができる見込みです。

セグメント別 営業利益計画

セグメント別の営業利益計画です。書籍コンテンツ事業はかなり投資するため、2025年度は2024年度とほぼ同水準になると見ています。この投資の結果は2026年以降に現れる見通しで、来期・再来期に大幅な利益増加を予想しています。

メディアソリューション事業は、新型コロナウイルスの影響で2020年度に赤字となりましたが、その後は回復基調を維持しています。2027年度に高水準の利益を確保すべく、現在、さまざまな施策を展開しています。

1. IP展開による、収益の最大化

「IP展開による、収益の最大化」についてご説明します。現在、2025年から2027年にかけて、映画化10本、ドラマ化2本、アニメ化3本が決定しています。

内容はまだ公表できませんが、具体的なスケジュールがほぼ固まってきました。2025年1本目の映像化に関しては、後ほどご説明します。

2027年以降に関しても、当社のライツチームが、コンテンツの映像化をさまざまな場所で交渉しています。そのため、2027年以降も徐々に本数が増えていくのではないかと考えています。

また、IP売上の拡大に向けて、映画・アニメへの出資を行っていきます。この出資に対する配当は、当然その作品が成功した場合に得られるものです。そのため、一つひとつのコンテンツを見極めながら、従来より出資比率を少し高めることを考えています。

一部には、海外展開が可能なコンテンツもあります。例えば、韓国の企業とコラボレーションして、日本人と韓国人の俳優が一緒に出演する作品を制作し、日本語・韓国語・中国語で、同時配信できる可能性もあると考えています。

同時に、アジアおよび北米での海外翻訳出版も考えております。

そして、自社の書籍・コミックのグッズ販売に関しても数年前から徐々に実験しており、世の中的にキャラクターが立っているアニメ作品のグッズの売れ行きが好調であることもわかりました。今後、自社コンテンツのアニメ化等に合わせて、グッズ販売も戦略として考えています。

映像化の前後では、電子書籍や紙書籍の重版により、書店の店頭をにぎわすことができると思いますが、それに加えて、製作委員会への出資の配当、海外翻訳出版、グッズ販売等で収益機会を広げられるのではないかと考えています。

今後の3年間の展開として、2025年は映画2本とドラマ1本を予定していますが、2026年には確定している映画5本に加え、さらにアニメ作品1本が控えており、相当活気のある年になる見込みです。これにより、2026年度から売上が急激に上がってくるのではないかと予測しています。

2. コミックシフトと新レーベルの創刊ラッシュ

「コミックシフトと新レーベルの創刊ラッシュ」についてです。2025年1月から書籍コンテンツ事業部全体をコミックシフトの組織体制に移行しました。

これまでは文芸は文芸、コミックはコミックというように、文芸編集者とコミック編集者に分かれていました。現在は、ターゲット別に部署を再編成し、文芸編集者がコミック制作も同時に担当する体制へと移行しています。つまり、全員で文芸を制作し、そこでコミカライズして面白そうな作品は、同じ編集者がコミックも編集するという、『ハイブリッド型編集体制』となっています。

さらに、新しいターゲットに向けて次々に新創刊していこうと、社員がさまざまなアイデアを練り、2024年末に「野いちごぽっぷ」「BeLuck文庫」という2つのレーベルを創刊しました。

2025年2月には「ベリーズ文庫with」、3月には「スターツ出版文庫アンチブルー」、そして2025年秋口から年末にかけて「コミックゼライズ」「OZコミック」「BeLuckコミック」と、全部で8レーベルの創刊を予定しています。

2024年から2025年は、このような新しいレーベルやコミカライズの制作投資期間として位置づけています。そのため、現時点では市場に商品として出ていませんが、多数のタイトルを制作中です。

なお、コミック1本の制作には約1年間を要します。そのため、2024年から2025年の売上は、緩やかな成長にとどまりますが、2026年から本格的な収益化が始まります。

また、16ページでご紹介したように、2026年は映像化も多数予定しており、これまでの新規創刊の積み上げが収益化に寄与する時期とも重なるため、売上が大きく伸びる計画です。

読者ターゲットをさらに細分化し、新創刊レーベルを拡充

17ページの図表で示しているように、読者ターゲットをさらに細分化し、新創刊レーベルを入れ込んでいます。

例えば、子ども向け文庫シリーズの「野いちごジュニア文庫」がありますが、さらに下の小学校低学年に向けて、2024年末に「野いちごぽっぷ」を創刊しました。小学生になって初めて母親と一緒に書店へ行き、自分で手に取って選ぶような作品となっており、販売は比較的好調です。

このように小学生、中学生、高校生、大学生、大人と、細かな分類の中で新しい創刊レーベルをスタートしています。

3. 生成AI活用による、生産性の向上

「生成AI活用による、生産性の向上」です。現在、生成AIという文字を目にしない日はなく、各産業に変革をもたらしている局面だと思います。

どのセクションにも時間と手間のかかる定型業務が存在しますが、当社は全事業部において、まずこれらの定型業務を生成AIで効率化し、社員がクリエイティブ業務により多くの時間を充てられるようにする方針です。

社内業務と外部委託業務の両方において、生成AIを活用することで、納期短縮、省力化、外注費削減を実現して生産性を上げ、社員がよりクリエイティブな業務に注力できる環境づくりを進めています。

すでに当社のシステム開発部が中心となって、書籍コンテンツ事業、「OZのプレミアム予約」、ブランドソリューション事業の各事業の定型業務を洗い出し、生成AIの活用方法の検討をスタートしています。

株主還元

株主還元はとても重要なポイントです。

具体的には、配当方針の変更、大幅な増配、株主優待の変更の3つを実行しています。

株主還元 (1. 配当方針の変更 2. 大幅に増配)

20ページに記載のとおり、従来は安定配当の継続を基本方針としておりました。

しかしながら、貸借対照表をご覧いただくとわかるとおり、実はこの4年の間に業績が急速に拡大し、キャッシュが積み上がってきています。

これを社員に給与として、株主のみなさまに配当として還元し、そして、会社の成長戦略に投資していくことを経営メンバーで議論し、配当方針の変更と増配を決定しました。

変更後は、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としつつも、持続的な利益成長に合わせ、配当性向30パーセントを目標とし、配当水準の向上に努めていきます。

そして、2024年12月期期末配当は、期初に公表した1株当たり30円から50円増配の80円としました。中間配当の30円と合わせると、年間配当は2023年12月期の60円から、一気に110円まで引き上げています。配当性向は23.1パーセントです。

また、2025年度の年間配当は10円増配の120円とさせていただく予定です。

株主還元 (3. 株主優待の変更)

株主優待に関してです。これまでの株主優待では、当社のおすすめの書籍を、株主のみなさまに「ぜひご一読ください」と送っていました。

今回、株主のみなさまが、より利用しやすいものとして、「OZのプレミアム予約」で利用できる電子クーポンに変更しました。主に東名阪のレストラン、ホテル、ビューティサロンで利用できます。

以上が中期経営計画の主な骨子となります。

投稿サイトから作家を発掘、紙とデジタルの循環で読者を拡大

参考資料として、トピックスを簡単にご説明します。最初のトピックスです。当社の書籍コンテンツ事業のビジネスモデルは、投稿サイトから作家を発掘し、紙とデジタルの循環で読者を拡大していくという方法を採用しています。

書籍コンテンツ事業のレーベル別売上推移

スライドのグラフは、書籍コンテンツ事業のレーベル別の売上推移です。正直なところ、2024年第1四半期は映画の大ヒット等があり、相当な売上が出ていました。しかし第2四半期、第3四半期と前四半期と比較すると大きく下がっています。第4四半期は増加したものの、2023年の下期と比べるとやや弱い状態です。

これを打開すべく、この間に新創刊およびコミックシフト、映像化等のIP展開の仕掛けに取り組んでまいりました。そして、先程ご説明した映像化が決定しております。

しかし、映像化は放映・放送までには2年、3年程度かかります。そのため、昨年と今年の上半期あたりが、踊り場となっていることをご理解ください。

おそらく、今年の後半から売上が伸び、来年はさらに伸びていくのではないかと考えています。

女子小学生向け単行本レーベル「野いちごぽっぷ」創刊

昨年末に創刊した「野いちごぽっぷ」というレーベルで、小学3年生、4年生向けと小学1年生、2年生向けに2種類ずつ本を出しました。こちらは「全ページ遊べる本」となっており、ページの下部にクイズが載っています。

BL(ボーイズライフ)レーベル「BeLuck文庫」創刊

BL(ボーイズライフ)レーベル「BeLuck文庫」を昨年12月に創刊しました。このボーイズライフ、いわゆるBLは、マーケットとして非常に大きな市民権を得ており、今も拡大を続けている市場です。

BLとは、平たくいうと男の子同士の恋愛作品です。女性を中心に好まれており、今や一般書店でもBLが売れる時代となっています。

このレーベルは12月に創刊したばかりですが、スライド右側の作品は1月には早くも3刷目の重版となりました。

当社は文庫でBLの棚はまだ持っていませんが、棚がないにもかかわらず、すぐに重版が必要なほど人気を博しています。これは「TikTok」などで「あのスターツ出版がBLを出した」「読んだけど、すごくかわいい」と話題になったおかげです。

編集部では、同時並行で「BeLuckコミック」としてコミカライズにも着手しています。ただし、コミカライズには1年間を要するため、今年末あたりに電子版のコミックを配信し、来春には紙のコミックを創刊する予定です。

この「BeLuck文庫」の第2弾が2月20日に出ます。隔月刊レーベルとして、今後も継続的に発刊していきます。来年は、このBLのコミックの展開が本格化するため、売上利益に大きく貢献する見通しです。

30~40代女性向けレーベル「ベリーズ文庫with」創刊

30代、40代の女性向けレーベル「ベリーズ文庫with」を創刊しました。従来の「ベリーズ文庫」は、40代、50代向けの恋愛小説が中心でしたが、今回はターゲット層を30代、40代に設定しました。

この狙いはドラマ化です。当社のコンテンツには「映画やドラマ化したい」という需要が高まっており、今後はドラマ化に適した内容の作品が更に増えていくと予想しています。

2025年公開予定『青春ゲシュタルト崩壊』

今年、発表できるものとして『青春ゲシュタルト崩壊』の実写映画化があります。この作品は小説コンテスト「野いちご大賞」で入賞し、約4年前に単行本として発刊したもので、今年実写映画化される予定です。

今年はもう1本映画が控えています。また、来年はほぼ隔月ペースで映画が発表されます。

OZのプレミアム予約とは?

「OZのプレミアム予約」に関するスライドです。

掲載店舗数、予約組数は順調に拡大

「オズモール」についてご説明します。予約ビジネスに関しては、さまざまな大手企業が取り組んでいます。当社は大手ではありませんが、その中で「オズモール」の予約数は粛々と伸びており、掲載店舗数、予約組数も順調に拡大しています。

OZの「貸切・大人数予約」好調に推移

昨年、「オズモール」で開始した「貸切・大人数予約」サービスは、引き続き好調に推移しています。

このサービスは、「オズモール」に掲載している素敵なレストランを貸し切り、大人数で利用できるものです。専任のコンシェルジュを立てて法人向けにご要望に応じた施設をご案内するサービスが、昨年末に大きく伸びました。今年も3月頃の送別会・歓迎会シーズンにまた伸びてくるのではないかと思っています。

生成AI活用による、生産性向上施策の事例

生成AI活用による生産性向上施策の事例です。

「オズモール」は、毎月、多数の新規店舗を獲得しています。これまでは、新規獲得店舗のホームページ等を参考に、外注ライターが店舗紹介やプラン紹介のコンテンツを作っていました。しかし、納品までのやり取りを含め、制作完了まで1週間ほどかかり、外注コストも発生していました。

昨年12月からは、これらの制作をAIに任せています。店舗の情報を、制作システムにドロップインすると、ページ原稿が瞬時に生成されます。もちろん、最終チェックは人間の目で行います。

これによって、外注コストをかなり削減できました。制作期間も約1週間から約2日に短縮されました。

制作期間が圧縮されれば、新着店舗としてリリースできる期間も早まり、予約の獲得と売上の計上も早期に可能となります。今後は各事業でも積極的にAIを利用していく方針です。

スターツ出版のメディアブランド

当社のメディアブランドをご紹介します。昔ながらの『オズマガジン』は38年、フリーマガジンの『メトロミニッツ』は23年続いています。『アエルデ』にいたっては42年出版を続けており、「オズモール」も29年と、老舗のメディアブランドになってきました。

「地域観光の魅力」をオリジナル企画でアピール

老舗のメディアブランドであっても、各メディア単体で収益を上げられる時代ではありません。そこで、当社ではブランドを利用したソリューションビジネスを行っています。

スライドに記載のとおり、地域観光の魅力をオリジナル企画でアピールしようと、地方の自治体に対して総合的な営業活動を実施しています。

具体例としては、高知県の「どっぷり高知旅キャンペーン」を当社でプロデュースしました。地元の方々に、高知県のあるあるや魅力を数多く取材し、おもしろいネタを使った高知県かるたを作りました。

また、作ったかるたを当社の媒体やSNS、現地のイベントで活用し、地元のテレビ、新聞、Webメディアで高知県の魅力を多角的にプロモーションするという活動を行っています。

これらを年間計画を立てて行うことで、予算をいただきながら、地方自治体と組み、その町を盛り上げていく事業を展開しております。ご紹介したかるた以外にも、いろいろな方法を用いて他の地方自治体へも広げていくことを考えています。

「地域観光の魅力」をSNS配信、インバウンド対応も強化

特に、地域観光の魅力をSNSで効果的に配信し、インバウンド対応の強化を図ります。

東京・名古屋・大阪・京都などオーバーツーリズムになっている都市もある一方で、まだインバウンドの恩恵を受けていない地方が数多く存在します。それらの地域にも、日本の文化や歴史などの魅力がたくさんあります。当社ではこれらの地域を積極的に取材し、SNSを通じて情報を配信しています。

具体的には、「オズレポーターズ」というインフルエンサーを地方に派遣し、その土地の魅力を取材し動画等を制作して、台湾や中国の方々にもリーチできるように、繁体字で配信を開始しました。

このように「オズモール」のブランドを活かして地方の魅力を発掘し、発信するビジネスを、これから拡大していく予定です。

企業風土

企業風土は非常に重要です。当社は、穏やかで伸び伸びとした、社員の成長が持続できる企業風土を目指しています。

どれほど優れた戦略や戦術があっても、一生懸命動いてくれている社員が気持ちよく働ける環境でなければ、会社の成長は成り立ちません。したがって、当社は企業風土づくりに最も力を入れているといっても過言ではないと思います。

女性、若手の多い社員構成

当社の社員構成です。現在は女性、そして若手が非常に多い社員構成となっています。特にこの5年ほどは会社が急拡大したため、新卒と第2新卒を積極的に採用しました。したがって、20代の社員が全体の4割を占めています。

男女比率で見ると、全体の72パーセントが女性です。男女の育休取得率も100パーセントと、女性が活躍できる会社となっています。

社員を育成する各種施策

社員を育成するため、各種施策を数年前から実施しています。会社へのロイヤリティを高め、早期に活躍できる人財を育てていこうと、新入社員、中途社員にかかわらず、ルーキーオンボーディングプログラムなどの施策を行っています。

会社を好きになり、個人主義ではなくチームで仕事をしていく雰囲気を作っていくことを目指しています。

コミュニケーションが活発で、社員同士‘仲の良い’社風を後押しする制度

どの企業においても、社員は自分個人の仕事に一生懸命取り組んでいます。あるいは、自分の所属するチームのことはわかっても、となりのチームや部署が取り組んでいる内容についてはまったく知らず、興味もないという会社はおそらく多いのではないでしょうか。

しかし、当社はその垣根を取り払い、自分の仕事以外の仕事や、となりのチームや部署の方々とも交流することで、お互いを刺激し合い、より視野を広げられるのではないかと考えています。

そのため、シャッフルランチや大人の遠足など、社員同士が交流を深められるイベントを定期的に開催しています。このようなイベントを通じて、社内の雰囲気は和やかになり、セクショナリズムもほとんど発生しない環境になりました。全員で会社を良くしていこうという前向きな雰囲気が醸成されています。

長期ビジョン

先ほど3ヶ年の中期ビジョンをご説明しました。このスライドには、より長期的な目線でのビジョンを掲げています。

まず、コミックのコンテンツをこれから増やしていきます。あわせて、電子コミックも増やしていく予定です。

これらのコンテンツを世界へ配信していくために、アジアや北米に対する展開方法の研究をスタートしています。大手書店、大手取次を含め、すでに海外に進出しているところと密に連絡を取り合い、進め方を模索している最中です。まずは、海外展開を見据えたコンテンツを数多く制作することが先決と考えております。

インバウンドについてですが、日本は観光立国として取り組んでいくことが一番の成長戦略だと考えています。そのため、当社は東京と地方の魅力を発信することで、この取り組みを支援していきます。

当社は20年、30年、40年と東京のメディアとしての実績を積み重ね、安心・信頼のブランドメディアとしての地位を確立してきました。この強みを活かし、インバウンド観光客向けに東京や地方の魅力を次々に配信するビジネスを拡大していくことを、2つ目に掲げています。

そして、3つ目はAI活用です。この3ヶ年に関しては、生産性を上げるためにAIを活用していきますが、その次にはAIを活用した新しいサービスを立案できるのではないかと考えています。

キャッシュが積み上がってきましたので、配当を増やすのみでなく、長期ビジョンの3つに関わるような、これからのビジネスに対する大きな投資、場合によってはM&Aも視野に入れながら、さらなる事業拡大を目指します。そして、「企業価値を上げ、1人でも多くのステークホルダーに喜びを」という方針で進めていきます。

長時間のご清聴ありがとうございました。