2025年3月期第2四半期決算説明

財津裕真氏:芦森工業株式会社取締役社長の財津です。どうぞよろしくお願いします。当社の概要と、2025年3月期中間期の決算についてご説明します。

目次

本日ご紹介する項目です。会社の概要をご説明した後、2025年3月期中間期決算の概要、業績予想、株主還元、経営戦略と順を追ってご説明します。

ご挨拶

芦森工業株式会社は、創業1878 年、ロープ製造を祖業とし、繊維で培った要素技術 「織る・組む」 「樹脂(被覆)加工」 「巻取る・固定する」 「膨らませる」 を組み合わせ発展させることで、事業内容の多角化を進めてきました。

現在では「織る」「巻き取る」「膨らませる」技術を発展させた自動車用安全部品や、「織る」「被覆する」「膨らませる」技術を組み合わせたライフラインの更生といった”安全・リニューアル分野”を主力事業に「命と暮らしを守る製品」を提供しています。

1.芦森工業について(会社概要)

こちらには会社概要を記載しています。

本社は大阪府摂津市にあります。今年の11月に創業146周年を迎えました。

資本金は83億8,800万円、従業員は約2,400名となっており、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。

1.芦森工業について(事業紹介)

当社の事業内容を簡単にご紹介します。

当社は、自動車用安全部品やライフラインの更生といった”安全・リニューアル分野”を主力事業としたモノづくり企業です。事業は大きく分けて、自動車安全部品事業と機能製品事業の2本柱で構成しています。

機能製品事業は、パルテム、防災、産業資材の3部門で構成し活動しています。売上構成比率は、自動車安全部品事業が全体の約74パーセントを占めています。

2.決算概要(連結業績の概要)

2025年3月期中間期の業績についてご説明します。

当中間連結会計期間の売上高は345億2,300万円で前年同期比33億4,000万円の増収となり、中間連結会計期間としては過去最高の結果となりました。

損益面は営業利益が21億2,700万円で前年同期比10億4,200万円の増益、経常利益は17億4,700万円で前年同期比1億5,700万円の増益となり、いずれも中間連結会計期間としては過去最高の結果となりました。

一方、自動車安全部品事業において過去に製造した製品に対し、顧客が実施した保証延長対応に伴う費用負担見込額として、当中間連結会計期間において製品保証損失である9億9,000万円を、機能製品事業の防災部門において製造過程で発生した品質不良に伴う製品保証損失、棚卸資産評価損、製品補償対策費である合計1億3,000万円を、特別損失として計上しました。

その結果、親会社株主に帰属する中間純利益は2億7,500万円と、前年同期比10億1,900万円の減益となりました。

2.決算概要(セグメント別業績の概要)

セグメント別業績の概要をご説明します。

まずは、自動車安全部品事業です。当中間連結会計期間では、一部顧客および地域における生産調整の影響は収束し、原材料費の市況変動分および労務費上昇分の一部を売価に転嫁しました。

結果、円安効果もあり、シートベルト関連では、前年同期並みでしたが、エアバッグ関連、内装品関連においては前年同期比増収となりました。

よって当事業の売上高は257億1,300万円で前年同期比17億5,200万円の増収となり、損益面も大幅に改善しました。営業利益は17億9,800万円で前年同期比6億7,000万円の増益となりました。

機能製品事業です。管路更生事業であるパルテム部門は、過去最高水準であった前年度からの繰越工事を期初より着実に実施し、前年同期を上回る水準で業績が推移しています。

防災関連は、大口径ホースシステムの大型案件があった前年同期比で減収減益となりました。先ほどの特別損失を計上することとなり、改めて製品の品質を最優先とする体制を再構築し、お客さまからの信用回復に努めます。

産業資材関連では、主力の広巾織物や物流関連など各製品の販売が前年同期比で堅調に推移しました。また、新規分野である住宅・土木関連向け地盤改良商品は、当期に大型土木工事案件の施工、納入がありました。

結果、当事業の売上高は87億9,300万円で前年同期比15億8,900万円の増収となり、営業利益についても6億3,500万円で前年同期比3億2,400万円の増益となりました。

2.決算概要(連結B/S)

連結貸借対照表の状況はスライドのとおりです。

流動資産が棚卸資産の減少等により、前期末比で12億6,900万円減少しています。

また、その他負債が、下請法への対応に伴い一部仕入先への支払いサイトを短縮したこと等により、前期末比で21億1,800万円減少しています。

2.決算概要(連結C/Fと設備投資の状況)

連結キャッシュ・フローと設備投資の状況です。

営業活動によるキャッシュ・フローについては、棚卸資産の減少等により前年同期比で改善しました。投資活動によるキャッシュ・フローについては、設備投資の増加により前年同期比で悪化しました。

また、財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金支出の増加により前年同期比で悪化しました。

3.連結業績予想・推移(連結業績予想)

2025年3月期通期の業績予想です。2025年3月期は「第123〜125期 中期経営計画」の最終年となります。

2025年3月期通期予想について、先ほどのセグメント別業績の概要でお伝えしたとおり、自動車安全部品事業においては、円安効果に加え原材料費の市況変動分および労務費上昇分の一部を売価に転嫁した結果、業績が大幅に改善しました。

機能製品事業においても、主力の管路更生事業であるパルテム部門で過去最高水準であった前年度からの繰越工事を期初より着実に実施する等、順調に推移しています。

結果、通期業績は営業利益、経常利益において2024年5月10日に公表した予想を上回る見込みです。

3.連結業績予想・推移(連結業績の推移)

こちらのスライドでは、2021年3月期からの連結業績の推移を示しています。

新型コロナウイルス感染症による売上の低迷と自動車安全部品事業の収益性の低下のため利益も減少していましたが、生産調整の影響の収束や為替の影響により、業績は好調に推移しています。

4.株主還元

株主還元についてご説明します。

当社は、株主のみなさまに対する利益還元を最重要事項の一つと認識しており、安定した配当を継続的に実施することを基本方針としています。

2024年3月期の期末配当については、中期経営計画の数値目標を1年前倒しで達成したことから、1株当たり100円としました。

また、最近の業績動向を踏まえ、2024年5月10日に公表した2025年3月期通期の連結業績予想を、表記のとおり修正しました。

なお、配当予想につきましては前回予想から変更はなく、1株当たり100円を計画しています。

5.経営戦略(自動車安全部品分野)

今後の経営戦略についてご説明します。

当社は引き続き、成長市場である自動車安全部品分野と管路更生分野に経営資源を集中的に投入していきます。

1つ目の自動車安全部品分野について、みなさんもご存知のとおり、自動車業界は大きな変革期を迎えており、今後ますます電動化、自動運転化が進展するものと思われます。

自動車の電動化市場が拡大する一方、コスト競争も激化し、自動車メーカーからも原価低減が期待されています。

また、法規改正に加え、各国の自動車アセスメント、つまり評価プロセスの厳格化により、安全部品もたゆまぬ進化が求められています。

5.経営戦略(自動車安全部品分野)

当社は製品競争力を高め、次世代のセーフティシステムの開発や拡販を目的とし、2021年5月に豊田合成株式会社と資本業務提携契約を締結しました。製品競争力を高めるための施策として、豊田合成が持つ「トヨタ生産方式」の導入を進めています。

導入から今年で4年目となりますが、工程の改善や現場の意識改革が進み、品質や生産性の向上に効果が現れています。また、両社の生産拠点・生産設備の有効活用、人材の交流など 経営資源の相互活用による競争力強化も進行中です。

芦森工業が持つシートベルト技術と、豊田合成が持つエアバッグ技術を結合させることにより、シートベルトとエアバッグのセット提案を行い、個別発注ではなくセット販売で自動車メーカーの開発工数の削減に貢献し、販売拡大に繋げます。

5.経営戦略(管路更生分野)

2つ目に注力するのは、管路更生分野のパルテム部門です。当社のパルテム部門は、現在、国が掲げている国土強靭化対策を追い風として事業規模が拡大中であり、主力部門に成長しています。

地下に埋設されたパイプラインには、上水道、下水道、ガス、電気などがありますが、その多くは高度成長期に埋設され、老朽化が問題となっています。

当社はこのパイプラインの老朽化にいち早く対応し、道路を掘り起こすことなく管路の補修・更新をするという「非開削工法」を純国産技術として開発し、管路更生分野のパイオニアとして事業を拡大しました。

5.経営戦略(管路更生分野)

当社はこれまで、国土交通省の所管である下水道分野を中心に活動し収益の確保に努めてきましたが、今年の4月から上水道の整備や管理の所管が厚生労働省から国土交通省に変更になり、上下水道管理の所管が国土交通省に一元化されました。

こうした状況下で、上水道・下水道ともに当社の管路更生工法がこれまで以上に注目される可能性があります。管路の掘り起こしによる交換が一般的な上水道分野に対しても工期の短さや道路の通行止め等が不要な点をアピールし、積極的な営業活動を展開する方針です。

最後に…

芦森グループはSDGsが国際社会の共通テーマとなる以前より、「創意を生かし、社業を通じて社会に貢献する」を経営理念である社是に掲げ、自動車安全部品や防災用商品、物流省力化商品や管路更生事業等「命と暮らしを守る製品」を提供し、社会課題の解決に貢献してきました。

引き続きSDGsと親和性の高い商品の開発を進めると同時に、徹底した省エネによる環境負荷の軽減、すべての従業員が働きやすい環境づくり、社会貢献活動への取り組み等、サステナブルなものづくりを推進します。

みなさま、どうぞこれからの芦森工業にご期待ください。

最後までご視聴いただき、誠にありがとうございました。今後ともご支援のほど、よろしくお願いします。