2025年3月期第2四半期決算説明
宮﨑洋祐氏:2025年3月期第2四半期の決算説明会を始めます。経営管理本部担当の宮﨑です。どうぞよろしくお願いします。
当社の事業について初めて話を聞く投資家さまも参加されていますので、決算概要の前に当社と当社の事業をご紹介します。その後に、第2四半期の決算概要および今期の業績予想についてご説明します。
役員紹介
役員の構成です。スライド左上の写真は創業者の野口です。野口は2003年に株式会社N・フィールドを設立しました。N・フィールドは10年後の2013年にマザーズに上場、2015年に東証一部に上場した後、野口は退任し、2016年に当社を設立しています。
当社は2024年3月に東証グロース市場に上場し、野口を含め常勤取締役が7名います。
野口と同じくN・フィールドの出身者は、在宅医療事業を担当する鎌田、北村、地方創生事業を担当する市川の3名です。経営管理本部を担当する私と濵西、地方創生事業を担当する山田の3名は、野村證券の出身です。
企業理念等
当社の企業理念は、「人を通じて、喜びを作り、幸せを作る」です。この理念のもと、在宅医療事業と地方創生事業の2つの事業を営んでいます。
当社が支援する障がい者・シルバー人材の範囲
当社が手がける在宅医療事業と地方創生事業は、いずれも障がいがある方に関わる事業であることが大きな特徴です。
在宅医療事業と地方創生事業の連携
当社の2つの事業のシナジー効果、および取り組みの内容についてご紹介します。スライド左側が在宅医療事業、右側が地方創生事業です。九州の佐賀県、宮崎県、大分県の3県に加え、12月以降は北海道の札幌を加えた4地域において、両事業のシナジー創出に取り組んでいます。
この4地域には、在宅医療事業の「訪問看護ステーション コルディアーレ」と、地方創生事業の「コルディアーレ農園」の両方が所在しています。
シナジー創出の具体的な取り組みをご説明します。スライド中央に「在宅医療」と「精神科医療機関」とありますが、例えば、精神科の病院から退院した患者が地域で生活を始めていくにあたり、生活保護を受けながら当社の訪問看護サービスを受けていると仮定します。
生活していく中で精神状態が改善し、経済的自立を図るために仕事をしたいという気持ちになった場合には、当社の「コルディアーレ農園」を通じて、雇用主となる企業をご紹介できます。面接を経て採用されれば、その方は収入を獲得し、経済的な自立を図ることができるような取り組みです。
前回の説明会で紹介した定着率と比較すると、精神障がい者では76パーセントから79パーセントへと3パーセント改善しました。身体の障がい者のケースでは87パーセントから81パーセントに下がりましたが、知的障がい者は81パーセントから83パーセントへ改善している状況です。特に就労が遅れている精神障がい者の定着率という観点では、改善傾向にあると捉えています。
年々増加する精神科患者数
在宅医療事業の状況についてご説明します。スライドの棒グラフは、精神科の外来患者数の推移を示しています。ご覧のとおり、人口減少社会の中で、患者数は年々増え続けています。
精神科入院患者の政策的減少
精神科医療の特徴についてご紹介します。スライドの左から3つ目のグラフは、1年以上の入院患者数の推移を示しています。日本は諸外国と比べて長期入院患者が多く、一番左のグラフで示したように精神科の入院医療費構成比率が、循環器、呼吸器系のような他の診療科目と比較して高いという特徴があります。
国としては、医療費削減の実現に向け、1年以上の精神科入院患者を約5万人から7万人削減するという目標を立てています。
当社は、病院から退院した後に地域で生活を始める方の受け皿になるべく、在宅医療事業を展開しているところです。
障がい者の法定雇用率の引き上げが継続
地方創生事業における障がい者雇用支援事業の事業環境についてご紹介します。当社の障がい者雇用支援事業においては、2つの追い風が吹いています。
1つ目が、障がい者の法定雇用率の引き上げです。民間企業は、雇用している従業員数に対して法定雇用率に該当する人数の障がい者を雇用しなければなりません。
法定雇用率は2024年4月に従来の2.3パーセントから2.5パーセントに引き上げられ、2年後の2026年7月には2.7パーセントに引き上げられることが決まっています。この2回の法定雇用率の引き上げにより、新たに11万人の障がい者に対する雇用の需要が発生する見込みです。
民間企業と身体障がい者
2つ目の追い風は、身体障がい者の高齢化に伴う定年退職者の増加です。スライド左側の円グラフは、民間企業が雇用している障がい者を障がい別に示したものです。令和5年(2023年)時点で雇用されている64万人の障がい者のうち、半数以上が身体障がい者となっています。
また、スライド右側の棒グラフは身体障がい者の年齢別就労状況を示したもので、55歳以上がかなりの割合を占めています。したがって、今後は毎年多くの方が定年を迎え、おそらく今後10年で10万人程度の方が定年退職する見込みです。
法定雇用率の引き上げによる新たな雇用需要は、先ほどお伝えしたように11万人です。これに加えて、障がい者の定年に伴う退職者を補充する需要が10万人、合計で20万人くらいの需要が今後生まれてくると想定しています。
地方在住障がい者の就労機会の格差(社会構造的不平等)
そのような中で、日本の課題となっているのが、障がい者の就労率に大きな地域格差があることです。
スライドの棒グラフの左端は、東京都における障がい者の就労率を表しています。東京都は障がい者手帳保有者のうち79パーセントの方が就労中という状況です。言い換えれば、大半の障がい者はすでに仕事を持っており、仕事をしていない方はわずかということです。
このような環境下で、民間企業は法定雇用率の引き上げや、定年を迎える障がい者の退職の増加に直面しますが、都市部では新たな障がい者の採用が難しくなってくる状況にあると認識しています。
一方で、グレーの棒グラフで示した九州各県の就労率は、東京都とまったく異なる状況です。各県ともに、就労率が20パーセントを下回っており、言い換えれば、8割以上の障がい者が仕事を持てていないという状況です。
背景としては、東京都と比較して地方は、障がい者の雇用義務がある会社の数が少なく、さらに、従業員数で見た場合の会社の規模が小さい会社が多いことから、雇用しなければならない障がい者の人数が少なく、その結果として雇用が生まれにくい状況があります。
健常者の場合は東京、大阪、あるいは福岡などに引っ越して仕事を探すという選択肢があります。しかし、障がい者の方は親と同居していたり、親や地域行政のサポートを受けながら生活していたりする方が多数であり、健常者のように簡単に転居することができません。そのため、障がい者の就労においては、やはり住んでいる地域に就労機会があることが重要です。
当社は、障がい者を採用したいと思っているものの、採用がうまくいかない都市部の企業に向けて、仕事をしたいと思っていても自分が住んでいる地元で仕事を見つけることができていない障がい者をご紹介し、住んでいる地域において雇用してもらう取り組みを行っています。地方の障がい者の方の就労を増やすという点において、地方創生に寄与すべく、取り組みを継続しています。
サービス概要
当社が運営する「コルディアーレ農園」の特徴をご説明します。「コルディアーレ農園」は、障がい者が農園で安心・安全に就労ができるよう、冷暖房を完備した屋内型の農園とし、その屋内農園の中で水耕栽培を行い、就労スペースには当社の社員である看護師を複数名常駐させるなど、就労環境を整えています。
障がい者雇用のプラットフォーム(日本全国の企業が利用可能)
そのような就労環境を整えることで、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者のすべての障がい者の方が就労しております。
ハイライト
2025年3月期第2四半期の実績についてご説明します。まず、ハイライトです。第2四半期累計の経常利益は8,700万円、通期業績予想に対する進捗率は34パーセントとなっています。
2025年3月期の通期計画は、経常利益2億5,600万円、前期比31パーセント増という水準です。こちらの予想に変更はありません。
四半期売上高/セグメント利益
四半期ごとの売上高、セグメント利益の推移です。第2四半期の売上高は前年同期比13.1パーセント増、営業利益は前年同期比75.8パーセント減となりました。
第1四半期と第2四半期の合計で見てみると、売上高は前年同期比で約3億円増、17パーセント増、営業利益では3,600万円増、78パーセント増で着地しています。
一方で、2025年第1四半期と第2四半期と比較すると、四半期単体の売上高、および営業利益・セグメント利益ともに減少しています。営業利益減少の要因は、主に地方創生セグメントにおける障がい者の受け入れ純増数が、第1四半期と比較して減ったためです。
あらためて数字を見ていくと、第2四半期の売上高は、第1四半期と比較して2,500万円減、2.6パーセント減となっています。営業利益は、第1四半期対比で6,300万円減となりました。
セグメント利益では、地方創生セグメントが第2四半期の受け入れ純増数が第1四半期対比で減少したことが主な要因となり、第1四半期対比でおよそ5,800万円減となりました。
この四半期で「福岡農園」「熊本南農園」がオープンし、開設に伴い、賃料負担が発生し、減価償却が始まったことなどで原価が増えております。第2四半期においては売上が増えなかった一方で、先行投資による原価がアップしたというところも、地方創生セグメントの利益が減った要因になっています。
スライド右側の棒グラフの下側に伸びているグレーの棒グラフは全社の共通経費を表しています。徐々に増加傾向にあることが見て取れると思います。
当社では東京と福岡の2本社制という管理体制をとっています。3月までは地方創生セグメントの費用として計上していた福岡本社で管理業務に従事していた従業員複数名の人件費を、4月以降は全社共通の経費としてカウントしていることが1つの要因です。
したがって、会社全体での経費は変わらないのですが、計上される部門が全社共通に変わったというところがあります。
また、事業の拡大に伴い管理部門の人員を増員していることに伴う人件費のアップもあります。さらには、上場に伴い、印刷会社への支払いや株主総会開催に伴う信託銀行への費用の支払いなどが発生し、全社経費の増加につながってきています。
事業別KPIハイライト
事業別KPIハイライトについてご説明します。地方創生事業のARRは22億5,100万円で、前年9月に比べ約33パーセント増となっています。
利用企業数は183社、約20パーセント増です。
ARPAは、1社当たりの利用金額、月額の売上高を表しています。こちらが約12パーセント増で、100万円を超えてくるような状況になってきています。
12ヶ月平均解約率は0.23パーセントです。第1四半期の解約率は0.15パーセントだったため、水準としては依然として極めて低いものの若干上がる結果となりました。
在宅医療事業では、利用者数が2,086名、常勤換算看護師数が127名という状況です。
農園所在地
農園の開設状況等についてご説明します。現在、プレスリリースを含めて公表されている農園は、スライドに記載のとおりです。
新たに開設した農園は、「福岡農園」「熊本南農園」です。「福岡農園」は8月にオープン、「熊本南農園」は9月にオープンしました。
今後開設予定の農園は、「札幌農園」「岡山農園」です。「札幌農園」はもともと来年2月にオープンの計画でしたが、前倒しして今年12月にオープン予定です。スライド右下に記載の「岡山農園」は、年明け1月にオープン予定です。
これら4農園については、スライドでは薄い緑色の帯で表しています。4農園合わせて339名分の区画を供給することになります。
9月末時点で開設している農園は19農園です。新たな農園の開設等もあるため、9月末時点でお客さまにご案内できる空き区画数は200区画以上あります。
新たな地域への出店という観点で、当社は今回、岡山県に進出することを公表しています。岡山県に進出する背景は2つあります。
1つ目は、新たな雇用への期待です。札幌と重複する部分はありますが、当社の農園の利用企業で、岡山県に本社がある会社の雇用数はかなり多くなっています。アクセスしやすいという利点もあり、岡山に農園を開設することで新たな雇用が見込まれると考えています。
2つ目は、当社の農園を利用していない新たな顧客の獲得です。大阪より西側の地域で、法定雇用率を達成している企業の割合で見ていくと、岡山県は達成割合が5番目に低い県になります。
裏を返すと、岡山県には法定雇用率を達成していない会社が多いということになります。そのようなことから、今後新たに岡山県に所在している企業からのオーダーを獲得することも狙えるだろうと考えています。
スライドには記載していませんが、来年、熊本で農園を開設するプレスリリースも8月に出しています。こちらは後ほど簡単にご説明したいと思います。
今後の出店に関する見通しについてお話しします。まず、当社は地方創生の一環として農園を運営しています。地方は障がい者の雇用が生まれにくいエリアだと考えています。エリアを拡大していくことで、より多くの地方において雇用を創出できると考えております。また、当社の農園においては、オンラインのコミュニケーションツールを活用した雇用管理ができる仕組みがありますが、農園所在地が物理的に近い場所にあれば、利用したいという声も多数いただいています。展開するエリアを拡大することで新たな雇用主を獲得することができるという観点でも、新たな地域への出店を今後継続的に考えていきたいと考えています。
また、当社の2つの事業でのシナジーについて、冒頭で簡単にお伝えしました。在宅医療事業と障がい者雇用支援事業で、より連携を強化し、シナジーを出していくことも踏まえ、今後も出店を行っていこうと思っています。
常勤換算看護師数・訪問件数・1常勤換算看護師あたり訪問件数
在宅医療事業の状況について簡単にご紹介します。まず、スライド左側のグラフは常勤換算看護師数です。常勤換算という言葉は耳慣れないと思いますが、1日8時間、週5日働く人を1とカウントするような計算方法です。
9月末時点で、九州では12名、九州以外で115名、合わせて127名となり、6月末と比べると8名減という状況です。退職等があったため人数は減っていますが、何か問題があって看護師が減っているような状況ではありませんので、ご安心いただければと思います。
スライド真ん中のグラフは、訪問件数を示したものです。9月末で8万1,496件となっています。薄い色の棒グラフは、今期の通期計画です。年間で17万3,009件ですが、9月末の進捗率は47パーセントという状況です。
スライド右側のグラフは、1常勤換算看護師あたり訪問件数を示しています。1人当たりで見ると、6月第1四半期は101件だったところが、第2四半期は3件アップして104件になっています。看護師の数は減ったものの、看護師1人あたりが訪問する件数は3件アップとなっており、生産性という観点では、第1四半期より改善している状況です。
訪問件数に関する補足となりますが、第1四半期との比較で言うと、第2四半期は訪問件数が若干下がっています。
件数減少の要因は複数考えられますが、特殊要因としては、台風が挙げられます。東京を含めて広い地域を通過し、交通が乱れるような大きい台風が8月に2回発生しました。台風の影響で訪問できなくなったり、今年の夏はかなりの猛暑で自転車を使った訪問に影響があったりなどの特殊要因がありました。
その他の要因としては、先ほどお話しした看護師数の減少が挙げられます。
利用者数・1利用者あたり訪問件数(月間)
また、スライド左側のグラフにあるとおり、利用者数が若干減ったことも件数が減った要因の1つとなりました。
スライド右側は、1利用者あたり訪問件数のグラフです。こちらは第2四半期で6.33件となっており、第1四半期と比べて0.27件減少しています。
1利用者あたり訪問件数は、訪問件数を利用者数で割れば出てくる数字ですが、訪問件数が減少したことが1利用者あたりの訪問件数減少の主たる要因になっています。
障がい者受入純増数・障がい者受入合計数
地方創生事業の状況についてご説明します。まず、スライド左側の障がい者受入純増数についてです。第2四半期では純増が15名となりました。
スライド右側の障がい者受入数を見ると、第1四半期末の1,241名から15名増えて1,256名となっています。薄い棒グラフで示した2024年度の計画値は1,456名となっていますので、残りがちょうど200名となります。
第2四半期が終わった時点での人数ベースで進捗は約33パーセントで、全体の3分の1というのが9月末時点での状況です。
スライド左側の障がい者受入純増数については、第1四半期が84名、第2四半期が15名で、第2四半期に69名減となっている状況です。この背景として想定される要因についてご説明します。
リカーリング売上について
スライドのグラフは、障がい者雇用支援事業の売上高を、人材紹介手数料とリカーリング売上に分解し、四半期ごとに並べたものです。
まずは、全体の数字です。スライドのグラフで赤い点線で囲ってあるところが、第2四半期のリカーリング売上です。前年同期比31パーセント増となっています。
他方で、四半期ごとで見た場合、オレンジ色で表している人材紹介売上は、第1四半期は約6,000万円、第2四半期は約2,500万円で、3,500万円減となっています。
これが全体の業績へ影響したということは先ほどお伝えした部分ですが、第2四半期の2,500万円が多いか少ないかというところについては、いろいろな見方があります。第1四半期との比較では、半分以下ですから、大きく減っています。
他方で、棒グラフを昔にさかのぼって見ていくと、第2四半期の人材紹介売上は、1年間の中で1番低い金額になりがちであると言えます。
例えば、2020年度は700万円、2021年度は3,000万円で全四半期の中で最も少ない金額となっています。また、2022年度は3,700万円です。この年は第4四半期の3,600万円が最低であるため、1番少ないわけではないのですが、四半期で見れば2番目に少ない金額です。
さらに、2023年度も第2四半期の人材紹介売上は2,500万円ということで、やはり年間で見ると1番少ない四半期であったということが実績から言えます。
したがって、今回の2,500万円は、第1四半期と比べると大きく減っていますが、過去の実績を鑑みると、毎年の傾向に近い状況であるということが言えます。
では、第2四半期の人材紹介売上はなぜ毎年少なくなるのか、その背景についてお話しします。こちらは、絶対こうだというものではありませんが、要因と考えられるのは、障がい者雇用の制度です。
これは一般的にロクイチ報告と言われているもので、民間企業は毎年6月1日時点における常用雇用者数と、雇用している障がい者の人数を所轄のハローワークに報告しなくてはなりません。これは障害者雇用促進法に定められていることです。
このようなルールがあることから、障がい者を雇用する民間企業は6月1日に向けて、障がい者の雇用を確保していこう、また雇用を増やしていこうとする動向が見られます。
他方で、ロクイチ報告が過ぎた後の7月、8月、9月というのは、すでに報告が終わった直後の四半期であることや、お盆休みや夏休みがあることなどもあって数字が伸びにくくなっています。やはり報告直後ということが大きな要因だと思います。
補足となりますが、第3四半期と第4四半期の特徴についてご説明いたします。ロクイチ報告を見て、ハローワークは障がい者雇用が進んでいない会社に対して指導を行っていきます。どのような会社が指導の対象になるかと言いますと、大きくわけて3パターンあります。
1つ目は、雇用主である企業の実雇用率が全国平均の雇用率を下回り、かつ雇用しなくてはならない障がい者の人数に対し、5人以上の不足がある会社です。2つ目は、実雇用率に関係なく、法律で定められた人数よりも10人以上の不足がある場合です。3つ目は、障がい者3人から4人の雇用義務があり、かつ1人も雇用していない会社です。
この3つが、ハローワークが指導する対象となります。最終的には、今後どのように障がい者を雇っていくのかを示す障がい者の雇入れ計画を作成し、ハローワークに提出させる指導が行われます。
指導については、所轄のハローワークによって変わることがあると聞いていますが、例えば年内に雇用すると、雇入れ計画作成の発出が取り止めとなることもあるようです。企業がハローワークからの指導を受け、雇用を増やしていくための行動が見られるのが、第3四半期になります。
1月、2月、3月の第4四半期は、3月決算の会社の場合、年度の最後となりますので、翌年度のロクイチ報告に向け採用を行っていく時期となります。
また、例えば、今年のように、4月1日に法定雇用率が引き上げられるような場合も、その引き上げに向け、3月末までに障がい者を雇用していくという動きが見られるのが第4四半期の特徴です。
このように年間を通して障がい者雇用の特性がある中で、7月、8月、9月の第2四半期は、当社だけでなく他社もオーダーの少ない月になっているのではないかと思われます。
ARR・利用企業数・ARPA・12ヵ月平均解約率(安定性を示すKPI)
安定性を示すKPIです。ARRについては先ほどお伝えしたとおりですが、こちらのスライドではARRを2つの要素、利用企業数と利用企業1社あたりの支払金額に分解しています。
今回ARRが伸びた背景としては、利用企業数が伸び、かつ1社あたりの利用金額が増えたことが挙げられます。
顧客獲得時期別ARR・開始時期別 区画追加企業数(成長性を示す主要KPI)
当社にお支払いいただいている1社あたりの利用金額が増えている背景に、区画を追加で利用されるお客さまが増えてきているということが挙げられます。
スライド右側のグラフは、利用開始時期別の区画追加企業について、当社の農園をいつ使い始めたかというところと、その中で何社が追加オーダーをされているのかを表しています。以前から使っていただいている会社ほど追加の割合が高くなっています。
当社がこの事業を開始してから3年目までの間に利用を開始した会社の約7割が、追加オーダーを出されています。他方で、直近の利用開始企業ほど、この割合が少なくなっていきます。
しかし、これまでの実績から、直近に利用を開始した企業も、来年、再来年になるにしたがって、追加でオーダーされる企業が増えてくるだろうと考えています。
スライド左側の数字は、これまでの実績のアップセル率です。4割近い企業から追加オーダーをいただいています。
スライドの真ん中の顧客獲得時期別のARRを表した図は、コホートグラフと言われているものですが、左から右に移っていくに従い、少しずつ間口が広がり、お客さまの当社に支払う金額が増えていることを意味しています。
どのコホートを見ても、間口はおおむね右になるにしたがって増えていますので、オーダーを増やしていただけているということをお伝えできるかと思います。
通期業績予想
通期の業績予想についてです。冒頭でお伝えしたとおり、中間時点での業績の修正はありません。第2四半期が終わった時点での進捗率は売上46.4パーセント、営業利益31パーセントです。
私からの説明は以上です。
質疑応答:熊本の旗艦店への投資の回収見込みについて
「来年の熊本の出店についてです。スライドには5億5,000万円の取得と記載がありますが、これまでの農園の出店は、居抜き物件を利用したものでした。それにより利益を上げてきていますが、熊本の旗艦店への投資は、今後回収できる見込みはありますか?」というご質問です。
新たに農園を建設するというのはこれまでにない取り組みです。期間損益という観点では、今後、建物の減価償却費や、場所代に該当する地代家賃、このようなところは障がい者雇用がうまくいってもいかなくても、固定費として増えていきます。
一方で、障がい者雇用が進むにしたがって、水道光熱費、送迎にかかる車両費、ガソリン代、人件費などが増えていきます。主に変動的なコストになりますので、これらの費用については障がい者雇用の紹介がうまくいかなければ費用も大きく増えません。
新たな農園では、障がい者を十分に紹介でき、投資を回収できると想定していますが、もしうまくいかなければ、来期は減価償却費と地代が主なコストアップとして影響が出てくると認識しています。
質疑応答:地方創生事業と訪問看護事業、在宅医療事業の連携について
「地方創生事業と訪問看護事業、在宅医療事業における連携の状況を聞かせてください」というご質問です。
現在、九州の3地域で連携が始まっており、これから札幌でも連携が始まります。まだ十分な成果が出ているとは言えませんが、両事業の強みを活かし、今後発揮できる余地があると思いますので、どのようにすればより発揮していけるかを、具体的に項目を挙げて取り組みを開始しています。
質疑応答:A型事業所閉鎖の影響について
「A型事業所の閉鎖が、当社の業績に与える影響について教えていただけますか?」というご質問です。
閉鎖される事業所が、農園と同じ地域であれば、事業所で働いていた障がい者が農園で就労することがありえます。また、A型事業所で働いていた職員が当社の従業員になるような状況は現時点では認識しておらず、現時点で事業所の閉鎖が当社の業績に大きな影響を与えることは想定しておりません。
質疑応答:農園の利用開始企業の減少について
「農園の受入れ純増数は2021年がピークで、その後減ってきています。その要因を教えていただけますか?」というご質問です。
2021年には法定雇用率の引上げがあったことが純増数が増加した要因だと思われますが、翌年度のFY22で純増数が減少した要因は、メディアの報道による影響が大きかったと思います。昨年4月以降、厚生労働省が設置している障害者雇用分科会において障がい者雇用ビジネスについて、懸念される取り組みや、望ましい取り組みを公表し、状況を整理したことで状況が落ち着いてきたと認識しておりますが、それ以前に複数のメディアによるネガティブな報道がありました。FY22の後半においては、そのような報道を受けて、利用を検討していた企業が少し様子見になった、または利用を取りやめたことが影響として出ていたのではないかと思っていますが、FY23以降は状況が落ち着いてきていると認識しております。
下期の予定人数を200人増と見込む根拠については、足元の商談やオーダー、過去実績等の状況をもとにしています。
また、解約率が増えていますが、これについては個別要因のため一般論でお伝えするのは難しい状況です。利用企業が増える中で、業績が悪化する企業も出てきます。フィーを払うのが難しくなり、やむを得ず解約に至ったケースや、自社での取り組みを強化しようと特例子会社を立ち上げたというケースもあります。
質疑応答:障がい者雇用事業の競合について
「障がい者雇用の事業について、競合、同業者が増えている印象があります。競合との状況、御社のポジションはどのような状況になっているのでしょうか?」というご質問です。
類似サービスを提供している会社が増えてきているという認識はあります。他方で、営業の現場において直接の競合が増えているかというと、大きな変化はありません。
例えばコンペが10回あるとしたら、これまでは競合になるケースはほとんどなかった会社が、今は1回から2回程度、新たな競合として入ってきている状況と聞いています。まったく変化がないわけではないですが、大きな影響はないと認識しています。