全社:2024年12月期第3四半期業績
笹井英孝氏(以下、笹井):みなさま、こんにちは。株式会社トライト代表取締役社長の笹井です。本日はお忙しい中、当社決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。まずは私から、第3四半期の決算概要についてご説明します。
第3四半期の業績です。売上収益は、前年同期比5パーセント増の127億2,200万円となりました。営業利益及びEBITDAは、第2四半期から始めたマーケティング強化施策が順調に推移しているため、広告宣伝費を想定よりも多く使用することができました。それが一時的にPLに影響し、営業利益は2億8,800万円の赤字、EBITDAは9,100万円の黒字となりました。
使用した広告宣伝費が増収効果として現れるには、一定のリードタイムが必要です。そのため、第3四半期の業績は一時的に悪化しているように見えるかもしれませんが、来期の成長を見据えた良質な投資を行っているとご理解ください。
当期利益は9月末時点で為替が円高に進んでいたことを受け、金融費用が想定以上に発生した結果、5億7,800万円の赤字となりました。なお、為替変動による金融費用について、キャッシュアウトは発生しません。
全社:販売費及び一般管理費の概説(四半期推移)
第3四半期の販管費についてご説明します。販管費の合計額は、前年同期比13パーセントの増加となりました。2023年12月期第3四半期は前年同期比16パーセントの増加でしたので、今期は費用の上昇率を抑えることができています。
費用項目別に見た場合、スライド右側の表に記載のとおり、人件費は4パーセント増に抑えられています。これは、登録求職者数に合わせたキャリアアドバイザー数の最適化施策を講じていることによるものです。
一方、広告宣伝費は、来期の成長を見据えて積極的に投下しました。そのため、前年同期比53パーセント増となりました。詳細については、後ほどご説明します。
システム関連費は、既存登録求職者に対するダイレクトメールや、SNS広告を増やしたことにより増加しています。また、その他費用は、前年同期に発生したIPO関連費用の剥落に伴い、大きく減少しています。
医療福祉事業:マーケティング強化施策の進捗状況
マーケティング強化施策についてご説明します。スライド左側の図は、広告等有料検索経由の新規登録求職者数の増加率を示しています。ご覧のとおり、マーケティング強化施策実施前の4月、5月は、前年同月比で1桁パーセント増の新規登録求職者の確保にとどまっていました。
しかし6月以降、マーケティング強化施策として、獲得単価が高い優良広告媒体に積極的に出稿したことで、6月は前年同月比10パーセント増に回復、7月には前年同月比16パーセント増にまで上昇させることができました。
6月、7月は、新たなマーケティング戦略に基づいてトライアンドエラーを繰り返していた時期でしたが、一つひとつの細かい施策効果を確認しながら、広告宣伝費を使用していました。8月以降、大きく増加していることからお分かりいただけるように、6月、7月の結果を踏まえ、積極的に広告宣伝費を使用していました。その結果、8月は前年同月比33パーセント増、9月は前年同月比46パーセント増と、新規登録求職者の増加を実現しています。
なお、広告宣伝費の使用額及び新規登録求職者の増加数は、8月に開示した修正予算の前提と比べて大きな数字になっています。
マーケティング施策の成果が当時の想定よりも早く出ており、一定の効率性を維持しながら多くの広告枠を確保できた結果、広告宣伝費が増加しています。そのため、上半期に発生した競争環境激化による広告効率の悪化とは、性質が大きく異なるとご理解いただければと思います。
しかしながら、下半期以降の新規登録求職者が売上に貢献するタイミングは、リードタイムを含めると来期以降となり、少し後ろにずれる見込みです。
したがって、下半期の広告宣伝費増加による、今期売上への効果は限定的です。短期的には業績が悪くなったように映ると思いますが、来期を見据え、十分な広告宣伝費を使用するという経営判断の結果だとご理解ください。
なお、スライド右側の図で示しているとおり、マーケティング強化施策は、優良広告枠を獲得し、相応の広告宣伝費を使用して転職意欲が高い登録求職者を確保すること、また、広告宣伝費の増加分を吸収するために、成約率を上昇させること、この2つの要素が重要となります。
これらを両立させ、人材紹介事業の収益性を維持・改善することを目的に、足もとは成約率の上昇幅を確認しながら、使用する広告宣伝費を調整しています。
私からのご説明は以上です。この後、常務執行役員管理本部長の井上より、部門別の詳細についてご説明します。
全社:売上収益(四半期推移)
井上卓暁氏(以下、井上):私から、売上収益の事業別の内訳についてご説明します。第3四半期の全社売上収益は、前述のとおり、前年同期比5パーセント増の127億2,200万円となりました。
内訳としては、グラフに緑色で示している医療福祉事業が前年同期比3パーセント増の81億6,800万円、灰色で示している非医療福祉事業が前年同期比10パーセント増の45億5,400万円です。
医療福祉事業:医療福祉事業サブセグメント別売上収益(四半期推移)
医療福祉事業内における売上収益の内訳についてご説明します。スライド左側の図をご覧ください。医療福祉紹介事業の成長率は、前年同期比マイナス2パーセントの58億8,000万円となりました。第2四半期の決算説明会でご説明したとおり、通期業績予想に織り込み済みですが、4月、5月で登録求職者を十分に確保できなかったことが、PL的には第3四半期に影響し、前年同期を下回る結果となりました。
ただし、登録求職者数の増加率は、6月以降回復傾向にありますので、来期に向けて回復していくと考えています。
次に、スライド中央の図をご覧ください。医療福祉派遣事業はストック型の事業モデルであるため、引き続き好調です。売上収益は、前年同期比17パーセント増の20億3,200万円となりました。
ダイレクト・リクルーティング(DR)事業及びICTソリューション事業を含む医療福祉新規事業については、2億5,500万円の売上収益となりました。第3四半期も着実な成長を継続していますが、事業成長のさらなる加速化が必要だと考えています。
医療福祉事業:医療福祉紹介事業の主要KPI
医療福祉紹介事業の営業社員数及び生産性についてご説明します。まず、スライド左側をご覧ください。第3四半期末時点における営業社員数は、約1,750人となりました。第2四半期の決算説明時にお伝えしたとおり、登録求職者数に合わせて、営業社員数の大幅な増加は見送っています。
なお、スライド右側の営業社員1人当たりの期間平均売上は、想定どおり前年と同水準で着地しました。ただし、1年以上の経験を有するキャリアアドバイザーの割合は増加しており、営業社員の生産性は改善できていると考えています。したがって、登録求職者数の確保がこのまま順調に進めば、いずれ売上収益の増加につながるため、1人当たりの売上も上昇傾向になると考えています。
医療福祉事業:規制関連
9月半ばに公表された、医療福祉人材関連事業者向けの新たな規制についてご説明します。
2025年4月以降、医療福祉業界を対象に、求人メディアやダイレクト・リクルーティング事業を営んでいる事業者に対しても、人材紹介事業者と同様に、転職祝い金の支給が原則禁止されることになりました。
当社もダイレクト・リクルーティング事業を営んでいます。ただし、当社の基幹事業は人材紹介業であることから、ダイレクト・リクルーティング事業においても、転職祝い金及びそれに類するような金銭の支給は行っていません。したがって、今回の新たな規制による当社事業への悪影響はないと考えています。
非医療福祉事業(建設):主要KPI
非医療福祉事業の状況についてご説明します。当社に在籍している派遣社員数は、第3四半期末時点で前年同期比7パーセント増の約2,290名となりました。派遣社員の確保は強化していく必要があり、足もとさまざまな施策を講じています。
なお、派遣単価は引き続き残業時間減少の影響があるものの、営業努力により、前年同期比3パーセント増となっています。
全社:2024年12月期第3四半期累計業績
第3四半期までの累計業績についてご説明します。売上収益は、非医療福祉事業及び医療福祉派遣事業が順調であり、前年同期比8パーセント増の446億8,100万円となりました。
しかし、医療福祉紹介事業において広告宣伝費を積極的に使用していることから、営業利益は前年同期比14パーセント減の64億700万円、EBITDAは前年同期比11パーセント減の75億3,700万円となりました。
当期利益は、為替変動が影響したこともあり、前年同期比25パーセント減の36億1,200万円となりました。
全社:2024年12月期業績予想に対する進捗率(売上収益)
売上収益の通期業績予想に対する進捗は78パーセントで、例年どおりの水準となっています。
全社:2024年12月期業績予想に対する進捗率(営業利益/EBITDA)
営業利益及びEBITDAの通期業績予想に対する進捗率は、それぞれ103パーセント、97パーセントとなっています。
医療福祉紹介事業における成約率を確認しながらではあるものの、来期の成長を見据え、今後も広告宣伝費を積極的に使用していく予定です。したがって想定どおりではありますが、第4四半期は営業赤字になる見込みです。
全社:2024年12月期第3四半期連結財政状態計算書サマリー
連結財政状態計算書についてです。財務の健全化を進めており、純有利子負債は前年同期比31億7,400万円減少しました。
全社:2024年12月期第3四半期累計連結キャッシュ・フロー計算書サマリー
今期は広告宣伝費の積極的な使用や中間納税額の変動等により、前年同期よりも営業活動によるキャッシュ・フローが減少しました。その影響でフリー・キャッシュ・フローも減っていますが、フリー・キャッシュ・フローをEBITDAで割ったフリー・キャッシュ・フローコンバージョン率は52パーセントを確保していますので、引き続き大きな投資が発生しない事業モデルを継続しています。
全社:資本政策
株主還元についてご説明します。第2四半期の決算発表時にご説明したとおり、今期から期末配当を開始する予定です。1株当たりの配当金については変更なく11円を予定しています。
私からのご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:広告宣伝費投下による通期利益の着地見込について
質問者:広告の効果が大きく出てきているとご説明がありました。第3四半期も想定以上の広告宣伝費を投下されているということですが、今期に関しては、修正された計画以上の費用投下により、利益が下振れる可能性はあるのでしょうか?
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