2024年8月期第3四半期 サマリー
石井丈晴氏(以下、石井):株式会社フューチャーリンクネットワーク代表取締役の石井です。本日はご参加いただきありがとうございます。それでは、2024年8月期第3四半期の決算説明を行います。
まず、2024年8月期第3四半期業績結果のサマリーです。全体業績は、売上高12億円で前年同期比12.2パーセント増、売上総利益は7億5,500万円で前年同期比10.8パーセント増、営業利益はマイナス2,200万円となりました。
主なセグメント別のKPIです。地域情報流通事業セグメントの売上高は6億1,100万円、セグメント利益は1億6,800万円です。まいぷれプラットフォーム利用店舗数は1万7,788店舗、平均単価は8,653円となっています。
公共ソリューション事業セグメントの売上高は5億8,800万円で、前年同期比12.3パーセント増、セグメント利益は1億600万円で前年同期比17.4パーセント増となりました。
2024年8月期第3四半期 サマリー
2024年8月期第3四半期全体のサマリーです。1つ目に、「まいぷれ」の平均単価は戦略どおり順調に上昇している一方、利用店舗数が伸び悩んでいるのが現状です。
先般来ご案内のとおり、現在は上位顧客に注力する戦略をとっています。その一環として「まるまるおまかせプラン」等の高単価商品の販売に注力し、平均単価を上げることを優先しているため、戦略どおり、平均単価を順調に伸ばすことができています。
一方で、全国での販売数増加ペースは想定を下回りました。その結果、掲載店舗数は伸び悩み、セグメント売上の計画進捗率に影響を及ぼしています。後ほど詳しくご説明します。
2つ目に、展開中の新規事業は手応えがありつつも、まだスケールする段階にありません。「まいぷれのご当地ギフト」「まちスパチャプロジェクト」に関して、非常に手応えを感じています。
「まいぷれのご当地ギフト」は展開地域が拡大し、スケーラビリティ検証フェーズに近づいています。「まちスパチャプロジェクト」は非常に顧客満足度が高く、反響をいただいています。継続契約も出てきており、非常に可能性はありますが、いまだにスケールする前段階にあり、投資状況が続いています。後ほど、新規事業のところで詳しくご説明したいと思います。
3つ目に、新規公共案件の一部が特別利益の計上となりました。これにより、売上高と営業利益に影響を及ぼしています。
当社が便益を提供することによって売上高、営業利益に影響するというかたちで計画していたところが、補助金事業となったことにより、売上高、営業利益に計上がなく、特別利益のへ計上となりました。これにより純利益には貢献するものの、業績予想に影響を与えています。
そのほか、地域ポイント・施設利用活用事業・コンサル案件などの売上計上により、セグメント利益は伸長しています。
これらの事情を踏まえ、通期連結業績予想を修正します。
2024年8月期 連結業績予想の修正
連結業績予想の修正についてご説明します。2024年8月期当初の予想売上高は17億5,800万円ですが、このたび14億9,300万円に下方修正します。営業利益は7,100万円からマイナス4,600万円に、当期純利益は5,400万円から0円に修正します。
2024年8月期 連結業績予想の修正(売上高ごとの主な修正要因)
売上高ごとの主な修正要因についてご説明します。まいぷれ関連売上に関しては、主に直営の「まいぷれ」利用料をいただく部分について、従来の情報発信よりも高単価・高付加価値サービスの「まるまるおまかせプラン」を販売した結果、当初予想より11.2パーセント増加の見込みとなりました。
パートナー関連売上は、「まるまるおまかせプラン」の全国販売開始以降、順調に販売スタートしたパートナーがいる反面、まだ本格的に販売スタートできていないパートナーも多く、増加ペースが想定を下回った結果、当初予想より20.2パーセント減少の見込みとなりました。
マーケティング支援売上に関しては、先ほどご案内したとおり、新規事業である「まいぷれご当地ギフト」「まちスパチャプロジェクト」の2つについて、手応えはありつつもまだスケールする段階には至らず、当初予想より36.8パーセント減少の見込みとなっています。
公共ソリューション事業のふるさと納税売上に関しては、ふるさと納税制度の改訂に伴う駆け込み需要や競争激化による稼働自治体数の変動等の影響を受けました。これにより、寄付ペースでは前年寄付額を上回ったものの、当初より9.6パーセント減少の見込みとなりました。
公共案件売上に関しては、先ほどご説明したとおり、当初は売上計上すると見込んだものが補助金事業になったことにより、売上としては当初想定より減少する見込みとなっています。
まいぷれポイント売上に関しては、新たに大阪府貝塚市で官民共同事業ポイントがスタートしたことにより、当初予想より増加する見込みです。
目次
ここからは2024年8月期第3四半期ビジネスハイライトとして「まるまるおまかせプラン」の進捗、新規事業の進捗、その他ビジネストピックスについてご説明します。
続いて2024年8月期第3四半期連結業績のハイライト、今後の成長戦略についてお伝えします。
成長戦略における「まるまるおまかせプラン」
「まるまるおまかせプラン」の進捗についてご説明します。当社の成長戦略としては、地域情報流通事業、公共ソリューション事業の既存事業を安定収益として見据えながら、新規事業を重ねていくというかたちを考えています。
安定収益源である既存事業の地域情報流通事業においては、月次のストック収益(MRR)をどのように上げていくかをポイントにしています。
その中でも「まるまるおまかせプラン」は、従来の「まいぷれ」のプランから大きく単価を上げたサービスになっており、この販売進捗は当社事業のMRRに非常に大きく影響するかたちになっています。
「まるまるおまかせプラン」等の高単価商品の販売促進により、MRRは10億円から17億円、年次経常収益(ARR)は120億円から204億円をターゲットに長期成長を見込んでいます。ここを成長戦略の中心軸に置いて、事業を展開しています。
地域情報流通事業 MRR(Monthly Recurring Revenue)領域の成長ポテンシャル
スライド左側の図は、「まいぷれ」のターゲット市場規模の試算です。国内の事業所総数421万社の6パーセントが「まいぷれ」のターゲット獲得シェア率であり、この25万社に「まいぷれ」をご利用いただけた場合、そのうちの何件に「まるまるおまかせプラン」をご利用いただけるかを、我々の成長戦略の中心軸としています。
これにより、MRR10億4,000万円から17億1,000万円を目指すというのが、当社の成長戦略に関する数字の根拠となっています。
「まるまるおまかせプラン」の現状
2023年に販売開始した「まるまるおまかせプラン」の利用店舗数は、2024年5月時点で177店舗となっています。利用店舗数の伸びは想定を下回り、大きく拡大する段階には至っていない一方で、契約顧客においては実績が出ており、顧客満足度が高いサービスができたという手応えがあります。
また、販売する中でさまざまな課題と可能性が見えてきたため、実需に合わせたチューニングを行うべく、2024年3月にプランのリニューアルを実施しました。
その中でも、月額10万円以上の高単価で運用内容を個別設計する「エンタープライズプラン」の受注が増加中です。
「まるまるおまかせプラン」の現状
直営エリアに関しては、当初の想定どおり、新規顧客の10パーセントから20パーセントに「まるまるおまかせプラン」を付与できており、ご満足いただいています。一方で、パートナーエリアでの契約率がまだ直営実績まで届いていない状況です。
先行している中には順調に結果が出ているパートナーもありますが、まだ販売が定着していない、スタートしきれていないパートナーも多くいます。これからの伸びしろとして、パートナーへの営業指導方法や体制を強化し、成長を加速度的に進めていきたいと考えています。
「まるまるおまかせプラン」の今後の可能性
「まるまるおまかせプラン」の今後の可能性についてです。直営エリアは当初の想定以上の進捗を見せている一方、パートナーエリアではまだら模様であり、軌道に乗り始めたパートナーと発展途上のパートナーがいます。
こちらに関しては、プランのリニューアルと営業指導強化により、今後も販売数の増加や単価向上が見込めると考えています。
また、これまで蓄積したAI技術を活用しシステムに組み込む予定であり、現在開発進行中です。これにより運用効率化、利益率向上、そしてサービスレベル向上が期待でき、今後も「まるまるおまかせプラン」の可能性を非常に感じていただけると考えています。
成長戦略における新規事業
新規事業の進捗についてご説明します。繰り返しとなりますが、当社は既存事業に加えて、当社の体制、ノウハウなどの強みを活用した新規事業を積極的に展開することを成長戦略の軸に置いています。
新規事業の現状
新規事業の現状としては、全体的に事業進捗が当初想定より遅れ気味です。特定地域でのフィジビリティまで進めた事業が想定より少なかったことが大きな理由です。
一方で、進行中の2つの事業、「まいぷれのご当地ギフト」「まちスパチャプロジェクト」は今後の成長可能性のため、ぜひ継続したいと思っています。非常に可能性を感じていますし、まだこれから大きく伸びていく、成長余力のある事業だと考えています。
この2つの事業を推進しつつ、さらなる新規事業の創出、検討・検証を引き続き行っていきます。
「まいぷれのご当地ギフト」について
「まいぷれのご当地ギフト」は、「まいぷれ」によって集積した地域の魅力情報と、ふるさと納税事業で培ったノウハウを活かして「地域限定の産品をラインナップ」したカタログギフト事業です。
「千葉県版」で始まり、その後、市区町村まで落とした「船橋市版」を作り、このたび埼玉県の「川口市版」の3シリーズ目を作ることができました。シリーズ総計で販売数1,000個を突破しています。
また、パートナーエリアでの展開を開始できたことが、この事業の進捗として非常に重要なポイントだと思っています。
都道府県版と市区町村版ができたことと、直営エリアとパートナーエリアの両面で事業展開ができたことにより、これから大きくスケールアップする1つの事例が育ってきたと考えています。
販売先に関しては、BtoC向けはプロモーションで課題が多いものの、地方自治体や商工会議所、特定の法人などからの受注もいただき始めており、非常に可能性を感じているところです。
直営、パートナー、県単位、市区町村単位と、さまざまなパターンでエリアを広げていくステップができたと同時に、オペレーション自体をアップデートすることで利益率向上も大いに見込める新規事業だと考えています。
「まちスパチャプロジェクト」について
「まちスパチャプロジェクト」は、地域の魅力をVTuberとともに漫画や動画配信などのコンテンツ形式で配信する事業で、参加自治体の満足度が非常に高いのが特徴です。
漫画や配信コンテンツが数万ビューから数十万ビュー単位で視聴され、認知獲得につながっているという点で非常に高い評価をいただいています。茨城県鉾田市や岡山県新見市など、リピート契約をいただく自治体も出てきています。
こちらの事業はスケールの前段階であるものの、非常に可能性を感じています。今後はVTuberによる地域の魅力や産品紹介だけではなく、オリジナル特産品の開発や着地型企画など、特別な体験作りが必要に迫られているところです。
1つの企画を走らせるためのコストが大きいため、利益率を上げる工夫が必要ですが、今後の可能性として、推し活市場やVTuberのファンの方々の市場の大きさと熱量に、大きなポテンシャルを感じています。
当社であれば、地域に足回りがある強みを活かし、さまざまな地域のシティプロモーションに貢献できると考えています。こちらもスケール前段階ですが、このまま新規事業として検証、検討を進め、来るべき事業の拡大フェーズに備えていきたいと思っています。
新会社「地域活性AIテクノロジーズ株式会社」の設立について
先日リリースしたとおり、新会社「地域活性AIテクノロジーズ株式会社」を設立し、新たな事業を開始することについて決議しました。
生成AI技術が日々進歩し、あらゆる業務に影響を与えている昨今ですが、当社でも「まいぷれ」に生成AI技術を取り入れるべく、技術とノウハウを蓄積してきました。
この生成AIに関するノウハウ技術を「まいぷれ」プラットフォームの進化に取り入れていくのはもちろん、それ以外の部分でも地域活性に資する事業として展開できるだろうということで、新会社を作ることになりました。
事業内容としては、AI技術の活用や地域活性化事業や、先進AI技術の開発検証事業を行います。また、現在の国の政策にも合致する部分である、AIを中心とした地域事業者に対するリスキリング・ラーニング事業の展開も検討しています。
当社の体制やノウハウを活用しつつも、新しいAI技術の取得、人材採用、他社とのアライアンスなど、フューチャーリンクネットワーク本体ではなく別法人であることを活かして、機動的に事業展開・推進したいと考えています。
特別利益(補助金収入)の計上について
その他のビジネストピックスについてご説明します。
まず、特別利益(補助金収入)の計上についてです。2024年8月期は、3件の補助金収入が特別利益として計上され、当期純利益に貢献しています。
このうち一部の案件に関しては、当初、当社の売上計上対象となる受託案件と見込んでいたものの、補助金事業になったことにより、業績予想に影響を及ぼしています。
新たな受託案件
公共ソリューション事業に関して、新たな公共案件の受託がいくつか決まっています。2024年8月期第4四半期以降、公共ソリューション事業の売上利益に貢献する見込みです。
1つは、神奈川県市町村DX推進業務委託で、神奈川県が掲げる「県民目線のデジタル行政でやさしい社会の実現」に向けて、当社がアドバイスを行うコンサルティング事業です。
また、ふるさと納税の新規受託として、新潟県見附市、千葉県船橋市、千葉県匝瑳市で受託が決まっています。
P/L
2024年8月期第3期の連結業績ハイライトについてお話しします。これまでにいくつか数字をお伝えしていますが、2024年8月期第3四半期の実績をおさらいしたいと思います。
売上高は12億円です。セグメント別にご説明すると、地域情報流通事業は6億1,100万円、公共ソリューション事業は5億8,800万円で、営業利益はマイナス2,200万円、当期純利益は1,900万円となりました。
地域情報流通事業セグメント 業績概況
セグメント別の業績概況についてご説明します。地域情報流通事業は、売上高は6億1,100万円で、前年同期比112.1パーセント、営業利益は1億6,800万円で、前年同期比106.4パーセントとなりました。
前年同期比で増収する一方で、新規事業が投資フェーズであることから、利益率が悪化しています。
地域情報流通事業セグメント KPI進捗(プラットフォームの広がり)
地域情報流通事業セグメントのKPI進捗についてご説明します。運営パートナー数は173社で、前年同期比で13社増となりました。展開エリア数は932市区町村で、前年同期比55市区町村増となりました。
運営パートナー数は、第2四半期で新規契約11社、契約終了11社で、第2四半期からの増減はありません。
契約終了に関しては、より競争力を高めるために、運営の思わしくないパートナーには撤退を勧告しています。より実効性があり、より長期的成長をコミットできるパートナーに注力すべく、このようなかたちで撤退勧告を進めている結果、今回契約終了となったパートナーが11社出ています。
地域情報流通事業セグメント KPI進捗 (プラットフォームの価値)
「まいぷれ」のプラットフォーム利用店舗数と平均単価です。プラットフォーム利用店舗数は1万7,788店舗で、前年同期比364店舗減、平均単価は8,653円で、前年同期比2,927円の増となっています。
こちらは従来お話ししている戦略どおり、単価を重視しています。「まるまるおまかせプラン」の展開が始まったこともあり、顧客単価が向上し、順調に平均単価が増えています。
一方、利用店舗数は、新規契約が自然減を上回らず、純減しています。自然減に関しては、解約率が現在1.43パーセントで進んでおり、閉店・廃業等の自然解約として一定数の解約が発生する部分を上回らないと自然減になります。
現在は店舗数より単価を重視するため、どうしても新規の販売が遅れがちになっています。これは戦略どおりですが、そのために店舗数が落ちているというかたちになっています。
公共ソリューション事業セグメント 業績概況
公共ソリューション事業セグメントです。売上高は5億8,800万円で、前年同期比112.3パーセント、営業利益は1億600万円で、前年同期比117.4パーセントとなっています。
年度末には地域ポイント(大阪府貝塚市)が決定し、また施設利活用事業(熊本県玉名市)、コンサル案件(兵庫県加古川市等)などの売上計上もあり、公共案件売上高とまいぷれポイント売上高が伸長しています。
公共ソリューション事業セグメント KPI進捗
KPIの進捗です。当社が関与するふるさと納税寄付額は57億円で、前年同期比9億4,000万円増となっています。
販売管理費の推移
販売管理費の推移です。通期での増加ペースを抑制した調整を行いながら、計画的に進捗しています。
事業成長モデルの基本方針
今後の成長戦略です。当社プラットフォームの価値を高めて広げていき、広がった先に公共ソリューション事業を乗せていきます。加えて新規事業を進めていくというのが、成長戦略の軸となっています。
プラットフォームの価値に関しては、「まいぷれ」の利用店舗数と平均単価ではかり、プラットフォームの広がりは運営パートナー数と契約エリア数の掛け算で決まります。
この2つが地域情報流通事業の売上・利益となり、特にMRRに影響するため、現在非常に重要視した戦略をとっています。
当社の公共ソリューション事業は、「まいぷれ」の体制があるからこそできる公共ソリューションを軸にしているため、「まいぷれ」のエリアが広がるとともに公共ソリューションも拡充するという事業構造です。
また、当社のノウハウや体制を活かした新規事業を乗せていくことを、3段目の成長戦略として置いています。
事業成長ロードマップにおける各取り組みのステータス
スライドは、それぞれの事業の取り組みに関して、我々がまず特定地域でフィジビリティを行い、ノウハウの蓄積・システム化を行い、そしてスケーラビリティを検証し全国展開するという流れを表した図です。
「まいぷれのご当地ギフト」は、今までは特定地域のフィジビリティでしたが、パートナーエリアである埼玉県川口市でスタートしたことにより、ノウハウの蓄積・システム化に歩みを進めている状況だと考えています。
今後の成長イメージ
今後の成長イメージです。地域情報流通事業、公共ソリューション事業の収益は安定的にこれからも成長させていきます。
特に、地域情報流通事業の中心を占める地域情報流通プラットフォーム「まいぷれ」の利用料の積み重ねであるMRRをどれだけ確実に、早く伸ばしていけるかがポイントになると考えています。
これは「まるまるおまかせプラン」が何パーセント付与されるかにかかっており、目標地点はMRRで10億円から17億円をターゲットとし、成長を見込んでいます。
そして、公共ソリューション事業を成長させ、さらに現在展開中の新規事業を乗せることが、成長戦略の中心地点となっています。
質疑応答:「まるまるおまかせプラン」利用店舗数のギャップについて
司会者:「『まるまるおまかせプラン』利用店舗数は、直営エリアでは上方なのに対し、パートナーエリアでは下方とのことでした。ここまでギャップがあるのはなぜでしょうか? 営業スキルの取得に、それほど時間が必要なのでしょうか?」というご質問です。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。