会社概要

木村晃氏:木村工機代表取締役社長の木村です。まず、会社概要についてご説明させていただきます。

本社は大阪市にあり、大阪城の近くに位置しています。8つの営業拠点と3つの製造拠点で日本全国をカバーしています。

当社は1947年に伸銅品の卸売業として設立し、1953年に空調機器の製造販売業を開始してからは業務用空調を中心に事業を展開してきました。近年では、2022年には高井田工場を新設稼働させ、2023年には斜平形楕円管熱交換器(コイル)を開発しました。

事業領域

当社の事業は業務用空調機器の開発・製造・販売を主としており、その領域は産業・商業・保健の各分野にまたがります。

産業空調分野の領域は、大規模工場・食品工場・精密機器工場・データセンターなど、商業空調分野の領域は大型店舗・商業施設・オフィスビルなど、保健空調分野の領域は、医療、福祉施設・学校・図書館・ホテルなどで、これらの領域でそれぞれの特性にあった製品を提供しています。

また、当社は、建設業界との関わりが深く、ゼネコンからの発注を受けたサブコンが、当社の主要取引先になります。施主から注文を頂戴するケースもありますが、サブコンや商社経由が売上の上位を占めています。

当期のサステナビリティの取り組み

サステナビリティの取り組みについてご説明します。当社は「空気のちからで社会を豊かにする」をスローガンに「エコ」と「ウェルネス」の視点で「社会課題の解決」に真摯に取り組み、社会と自社の成長を目指しています。

具体的にはガバナンス・コンプライアンス・リスクマネジメントを基盤とし、4つのアクションを実践していきます。

当期においては、「エコ ソリューション」では、斜平形楕円管熱交換器導入製品を開発し、販売を開始しました。

「エコ トランスフォーメーション」では、各製作所でCO2フリー電力に転換することができました。また、DX認定を受けることができました。

「ウェルネス ソリューション」では、工場の労働環境改善を目的とした工場用ゾーン空調機の拡販により導入が進みました。

「ウェルネス トランスフォーメーション」では、健康優良法人認定及びホワイト企業認定を受けることができました。

当期の製品開発

当期の製品開発についてご説明します。

新開発の斜平形楕円管熱交換器は、高風速、低圧損を実現しつつ薄型の構造で、省資源、コンパクト化を実現します。これを中心とした製品のラインナップの充実を図りました。

「HP式 熱回収外調機スリム形」では、温暖化係数の低いR32を採用し、より環境負荷の低減を図っています。

「冷温水式 高性能たて形空調機」では、これまでにない省スペース化を実現できました。「冷温水式 高性能天埋形空調機」では、超うす形設計で、天井裏への設置を実現しました。

財務状況 損益計算書

それでは、2024年3月期本決算の概要についてご説明します。売上高及び各段階利益についてはスライドに記載のとおりです。

事業環境は、経済活動が正常化し、サプライチェーン対策による生産体制の国内回帰等も加わり、設備投資需要が堅調でした。これに伴い売上高は、好調に推移しました。

利益面においては、当社独自製品の売上が大幅増加したことに加え、生産工程の見直しや部品調達の多様化によるコスト低減などにより営業利益率が順調に改善しました。

設備投資の状況ですが、八尾製作所内の主工場棟、管理棟の建て替えが完了、残る工場棟の建て替えにも着手、さらに、八尾・河芸両製作所に試験研究棟建設を予定しています。

また、八尾製作所と高井田工場は2023年4月から、河芸製作所は10月から、CO2フリー電力を導入しました。2050年のカーボンニュートラルに向けた省エネ製品の開発と、製造過程に発生するCO2排出削減を積極的に展開しています。

2024年3月期 営業利益

営業利益の詳細について前期と比較すると、比較的利益率の高い独自製品の売上高が伸長したことに加えて、生産工程の見直しによる部品調達の多様化による低減などにより、売上総利益が増加しました。

販管費については、人件費の増加や荷造運賃の増加によるものです。

直近3期の業績推移

売上高・営業利益については、産業分野を中心とした設備投資等の回復により、過去最高の実績を計上することができました。

財務状況 貸借対照表

貸借対照表についてご説明します。流動資産は前年比12億3,300万円、14.1パーセント増加しています。これは営業CF増加による現金及び預金の増加および、売上増加による売上債権残高が増加したことによるものです。

固定資産については、前年比12億5,600万円、14.1パーセント増加しています。これは八尾製作所工場棟の完成により21億5,600万円増加(建設仮勘定は12億5,900万円減少)したことによるものです。

流動負債については、前年比2億6,800万円、5.5パーセント増加しています。固定負債については、前年比3億2,600万円、6.4パーセント増加しています。これは八尾製作所建て替えのための借入金が3億400万円増加したことによるものです。

純資産については、前年比18億9,500万円、24.4パーセント増加していますが、これは利益金額の増加によるものです。

財務状況 キャッシュ・フロー計算書

キャッシュフローの状況です。現金及び現金同等物は、前事業年度より3億7,800万円増加の17億1,600万円となりました。

営業活動の結果得られた資金は主に、税引前当期純利益26億8,100万円、棚卸資産の増加4億8,300万円、減価償却費4億4,700万円、仕入債務の減少額3億7,200万円、売上債権の増加額3億6,700万円等によるものです。

投資活動の結果使用した資金は主に、有形固定資産の取得による支出14億4,900万円等によるものです。

財務活動の結果使用した資金は主に、長期借入れによる収入5億円、短期借入金の純減少額2億5,500万円、長期借入金の返済による支出1億7,600万円、配当金の支払額1億4,300万円、自己株式の取得による支出8,100万円等によるものです。

2024年3月期 分野別・方式別売上高

分野別・方式別の売上高の状況についてご説明します。産業空調分野については、設備投資意欲の高まりから、職場環境改善向けの空調機器導入が堅調に推移したことと、ルーフトップ外調機や工場用ゾーン空調機が好調で、前年比12億9,600万円増加の74億1,100万円となり、構成比は53.5パーセントとなりました。

商業空調分野については、オフィスビルの「省エネ」意識の高まりから熱回収型の外調機導入が好調に推移し、前年比5億7,300万円増加の26億6,600万円となり、構成比は19.3パーセントとなりました。

保健空調分野については、シティ型、リゾート型のホテルや大学の各種施設の更新が堅調に推移し、前年比2億7,800万円増加の37億7,400万円となり、構成比は27.2パーセントとなりました。

方式別ですが、冷温水式、ヒートポンプ式ともに伸長しそれぞれのシェアは昨年とほぼ同水準でした。

2024年3月期 製品別売上高

製品別の売上高の状況についてご説明します。冷温水式エアハンドリングユニットはオフィスビル、商業施設での更新需要を取り込み、対前年増となりました。一方、冷温水式ファンコイルユニットは、若干の減少となりました。

空冷HP式空調機&外調機は、ルーフトップ外調機及び直膨エアハンが、精密機器、デーセンター関連等において導入が進んだことや、熱回収外調機が、省エネ志向の更新需要を取り込めたことで対前年大幅増となりました。

工場用ゾーン空調機は、工場現場における暑熱対策、現場環境保全案件に対する導入が継続しており対前年大幅増加となりました。

その他、工事等の増加に加え、プレートフィンコイル(熱交換器)の需要を取り込むことができ、堅調に推移しました。

受注状況

受注高および受注残高の状況についてご説明します。前期は、部品供給制約等の影響から客先による前倒し発注が増加したことで、納期が長期化し、受注残が高止まりしていました。

当期は、納期の正常化が進んでいる一方で、当社独自製品効果により見積件数が増加傾向で、受注残高は引き続き高水準にあり、第4四半期での受注高は前年同期比で9.6パーセントの増加となりました。

株主還元

利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、継続的に安定した配当を実施していくことを基本といたします。

内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、市場ニーズに応える技術開発、製造体制強化等、将来の事業展開に活用してまいります。

当事業年度の1株当たり配当金につきましては、当期の業績および財務状況を勘案するとともに、八尾製作所の主要建屋の竣工を記念した記念配当を加え、90円(普通配当65円、記念配当25円)の配当を実施する予定です。

この結果、当事業年度の配当性向は15.6パーセントとなりました。また、当事業年度におきましては2万7,100株の自己株式の取得を実施しております。

なお、2025年3月期に係る剰余金の配当予想はスライドに記載のとおりです。今後も、経営基盤の強化と自己資本利益率の維持向上に取り組むとともに、企業価値の持続的成長を図ってまいります。

業績予想 2025年3月期 通期

地政学リスクやサプライチェーン対策による生産体制の国内回帰等、国内の設備投資需要は今後も続くものと考えられ、さらに、温暖化の傾向や生産現場の人手不足等の影響により、暑熱対策、空気質改善への取り組みも増えてくると考えられます。

一方で、エネルギー、資源、部材価格高騰の長期化、為替変動の影響等による不透明感は継続するものと思われます。

このような中、売上については前期比でプラス8.3パーセント増加の150億円、営業利益については前期比でプラス16.1パーセントの増加を見込む一方で、八尾製作所の旧建屋取壊しに伴う特別損失および前期の法人税額控除が影響し、当期純利益は前期比でプラス1.9パーセントの増加の21億円となる見通しです。

2025年3月期 業績予想 分野別・方式別売上高

分野別の業績予想はスライド左側のグラフに記載のとおりです。産業分野では、猛暑が続く中、従業員の定着化を狙った現場環境改善のための需要を取り込むとともに、「陽圧換気空調システム」の営業活動を展開してまいります。

商業分野、保健分野では、通常の換気で発生する結露、カビ問題対策のための外調機関連の提案を積極化していきます。製品開発においては、「斜平形楕円管熱交換器の製品化」「制御技術の充実」「省エネ計算の提案」などにより、自然力を活用した高効率空調を確立してまいります。

また、放射空調や加湿暖房、外気冷房などきめ細かい技術を導入し、さらなる省エネ、省資源、省コスト、省スペースを実現する製品を開発してまいります。

これらの製品開発に加え、生産工程での脱炭素化に積極的に取り組み、サステナビリティを一層推し進めてまいります。

さらには、斜平形楕円管熱交換器を搭載した新製品の開発、拡販を進め、新たな需要を開拓するとともに、省資源、省コスト化できる製品からシステムまでを提案してまいります。

なお、方式別では、冷温水式、HP式ともに伸長させてまいります。

Topics:八尾製作所リニューアル

数点のトピックスをご紹介します。このように、2021年より八尾製作所の建て替えを順次進めてきました。これまでに、主工場棟、工場棟(小型・制御部品の組立)、管理棟が竣工しております。残りの工事も予定どおり順調に進捗し、来期10月頃にはおおむね完成する予定です。

Topics:札幌ショールーム開設

次に札幌ショールームについてご紹介します。札幌は、冬場にマイナス15度を記録する寒冷地にあります。このような厳しい環境下で運転データを取得し、さらなる開発・改良に活かすことと製品展示を目的としてショールームを開設しました。

最新の空調システムを体感・見学できると同時に、実際に運用したデータで快適性と省エネ性の検証も行います。

以上、簡単ではございますが、2024年3月期の決算説明を終了します。最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。