2023年12月期決算説明
篠田庸介氏:みなさま、こんばんは。株式会社ヘッドウォータース代表取締役の篠田です。本日はお忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございます。
これより株式会社ヘッドウォータース2023年12月期決算説明会を開催します。2023年の状況および今後の当社方針をしっかりとご説明します。
目次
スライドは本日のアジェンダです。まず、今回初めて説明会に参加される方もいると思いますので、当社の成り立ちや大事にしていることを簡潔にお話しします。また、ビジネスモデルがだいぶ進んだ部分もあるため、現在行っているビジネスモデルについて多少詳しくご説明します。
そして、これからどのような未来を目指していくのかについてです。未来に向けて毎年のステップがその年の予算や業績だと考えており、いろいろな目論みや戦略をもって毎年事業を開始します。ただし、事業で目論みどおり行かないこともあります。これについてもご説明します。
それを受けて、2024年はどのような計画を立てているのかをお話しし、最後に今後の課題とそれをクリアするための戦略についてお話しします。
会社概要
当社についてご説明します。株式会社ヘッドウォータースは2005年11月に設立しました。私1人からスタートして、1人ずつエンジニアを集めて今のヘッドウォータースになっています。
当時はクラウドやモバイルなど、新しいテクノロジーがこれからどんどん世の中に出てきて、デジタル化が進んでいくだろうというタイミングでした。その中で本来、一番中心になるのはエンジニアであって、高度なテクノロジーを使って社会を変えていくような新しい価値をどんどん生み出さなければならないということがベースにありました。
エンジニアが言われたとおりのプログラムを組むだけではなく、自ら考えて主体的にビジネスを生み出したり、新しいテクノロジーの使い方を考えて世の中に新しい価値を提供したりしていこうと、そのようなビジネスにコミットしたユニークなエンジニアの集団を作ろうという思いで、ヘッドウォータースがスタートしました。
我々はそれほどアカデミックなチームではないかもしれません。しかし、クライアントの成果をしっかり理解し、テクノロジーで世の中を変えていこうという意欲を持ったエンジニアが作っているチームです。これが我々の強みの根源です。
沿革
当社の沿革です。ご説明したいことの1点目として、2014年にロボットアプリケーションサービスの制作を開始しました。こちらが大きな転機になっています。
当時「Pepper」というロボットがあり、そのアプリケーションのかなりの部分を当社が開発していました。何千台と世の中に出ている「Pepper」を本当に事業化する上で、企業が使って「Pepper」がしっかり動くことによってリターンがあるという費用対効果を実感できないと使い続けていただけません。
「Pepper」は、インターネットにつながってセンサーを制御したり、言葉を話したりするため、ある種の高度なIoTデバイスだといえます。このIoTのデバイスを使って費用対効果を出すのは、単体の「Pepper」ではなかなか難しいです。
例えばファーストフードの受付窓口に「Pepper」がいて、会話をして注文を取りますが、物を持ったりお金を渡したりすることはできないため、決済端末と連携します。また「Pepper」はそれほど賢くないため、インターネット上からより賢いAIをつないで会話をスムーズにしたり、人が遠くから来るのを認識するために別のセンサーを使ったりします。
それらを組み合わせてソリューション化し、ファーストフードで接客した人の顔を覚えてリコメンドするようなことを行っていました。大事なのは、顧客の費用対効果にしっかりコミットすることです。当社はそれを目指して、IoT、AI、ロボットの世界に入りました。
我々はこの時から世界中のAIを検証・研究し、自分たちでも学習モデルを作ってロボットやセンサーにつないで活用してきました。そのため、AIの会社としてはかなり老舗で、そのぶんいろいろな実績があります。「できそうだ」という仮定ではなく、きちんと社会に実装してきた実績が約10年あり、それが強みになっています。
2点目に、設立から18年で、AIを活かすための周辺テクノロジーの経験値を積み上げてきました。例えばスマートフォンの後ろ側でAIが動き、スマートフォンのアプリに何か付加価値を与えるといった、周辺のスマホアプリや業務システムを開発してきました。また、銀行・金融系などのセキュリティが強い環境で開発も行い、個人データやビッグデータを扱う場合に情報流出しないような環境も作ってきました。
AIは、このような総合的な実績やテクノロジーがないと活用できません。この18年間でそれを行えるような人員を増やし、経験を積んできたのです。
社歴が長いことは、ピカピカのスタートアップではないかもしれませんが、我々にはリアリティのあるAIを実装できる能力があります。そして、AIの領域だけでも10年近く経っており、日本国内でもっとも実績のある会社の1つだと思います。
市場環境認識
市場環境認識についてです。どんなにがんばって良いビジネスを作っても、マーケットがないところで戦っていては結局スケールしないため、ビジネスとしてはあまり良くないのではないかと思います。
当社が今進んでいるこの業界は、DX国内市場やAIビジネス国内市場など、今後も年間2桁成長が予測される市場です。また、昨年みなさまに認知された生成AIの市場は、今後年間50パーセント近い成長が見込まれています。我々はそのど真ん中にいるということです。
我々の能力も必要ですが、能力だけではスケールできません。私は今55歳ですが、長い人生の中で、ある種すばらしい歴史的局面でこれから事業を行えることを非常にエキサイティングだと思っています。そのような場面で、これからの人生をかけて事業を推進させられることに喜びを感じています。
事業内容
当社の事業内容です。スライドは、サービスを区分して当社の事業内容を表した図です。我々はとにかく研究・開発を大事にしてがんばっていますが、やはりクライアントの勝利に寄り添いコミットしないと企業としては勝てず、スケールしない上、市場としても成長しないと思っています。
それを踏まえて、この約10年間でいかにしてコストを安くするか、適切なコストにするか、納期を短くするか、本当にクライアントのニーズに合ったものを提供するかなど、いろいろと考えながらビジネスモデルを作ってきました。
我々は基本的にBtoBの事業をメインにしています。AIを活用することによって、企業のサービスや内部システムを効率化し、属人性を排除することによって、いかに企業が強くなるかにコミットして進めてきたのがAIインテグレーションサービスです。XRやエッジAI、生成AIなどのテクノロジーを研究し実装し、創意工夫をしながらこのサービスラインを作っています。
それを進めていく中で、AIの活用だけではなく、もっと企業のいろいろな作業をデジタル化する必要があると感じています。また、システムインテグレーションの世界は、今までは大手企業がシステムインテグレーターといわれる会社に何十億円というお金を出して丸投げし、データベースを握られていました。そして、何かを少し変えようと思ったら何千万円も取られることが普通でした。
今は、日本の企業各社が「それではいけない」と強く思っているようです。各社がみな、デジタル化を進めるためには、丸投げではなく、自分たちもデジタルに関するリテラシーを上げていかないといけないという気持ちになり始めたように感じます。最近、そのようなニーズに関連する問い合わせが非常に多いです。
DXサービスでは、「もっと内製化したい」「社内のシステムを自らデジタル化していきたい」などのニーズに寄り添って提供し、社員のDX化を進めることなどを伴走型で行っています。
システムを提供する時には、コストの問題が常について回ります。プロダクトサービスでは、みなさまが共通で使うものはライセンスを取る、あるいはプロダクトにすることによって初期費用を抑えて提供しています。これは我々にとっても月額課金型でストック収入になるため非常に良いと、継続して進めています。
これらのサービスを組み合わせながら、お客さまの成長・DXにコミットして伴走していくのが我々のビジネスです。
「AIソリューション事業」とは…
スライドは我々のビジネスをカスタマージャーニー的に表した図です。昔はAIの問い合わせに対して、何となくAIのモデルを作って渡すとお金が取れる時代でした。しかし、そのような時代はとっくに終わっており、本当に会社が強くならないのならAIを導入することはありません。そこにお金はかけないのです。
ここ1年から2年で、研究・開発ではなく、実装してきちんと成果を出したいというニーズが急激に伸びています。特に生成AIというテーマでは、実証実験のようなものはなく、実装してほしいというニーズだけです。
その中で、我々が作ってきたビジネスモデルには特徴があります。1つは、営業がすべてインバウンドということです。我々はプッシュで営業に行くことはありません。それでもさばき切れないほどのプロジェクトがくる中で、ただ待っているだけではなくいろいろな戦略をとっています。
その1つはアライアンス戦略です。他社と共同で提案したり、他社の顧客基盤を我々が活用して提案に行ったり、あるいは我々が持っている顧客に他社の製品を提案したりします。今、我々がメインでパートナーシップを組んでいる会社はマイクロソフトで、昨年の生成AIの案件のうち6割から7割はマイクロソフトからの紹介です。
また、あらゆるお客さまに同じようにサービスを提供することは無理だろうと思っています。例えば、年商1兆円の会社と年商10億円の会社では、同じサービスや同じ予算は取れません。最適化したサービスを出さないと、結局「帯に短し、たすきに長し」という状態になってしまいます。
そこで我々は、クライアントをエンタープライズ系の企業のみに徹底して絞ってお仕事をしようと考えました。その理由として、我々が扱っているのは最新のテクノロジーで、それを使って業界を変えていくにはある程度パワーがないとできません。その業界のトップ3ぐらいの会社でないと、継続的にそのようなテクノロジーを取り込んでイノベーションをすることはなかなか難しいと思っています。
我々はエンタープライズ系の企業に最適化した提案をし、パートナーについても世界中のグローバルのトップランナーばかり選んで、そのような企業を巻き込みながらソリューション化して提案するというモデルです。そのため、プッシュの営業は必要ないのが現状です。関係ができたお客さまは、内部に本当に数多くのいろいろなプロジェクトがあるため、我々は内部に入って提案も行っていきます。
生成AIに関しては、エンタープライズに生成AIを正しく導入し、実装して回しているという実績のある会社はあまりありません。わずかなSaaSサービスに生成AIを使っている会社はあるのですが、実績としては少ないため、我々への問い合わせが多くなっています。
マイクロソフトからご紹介いただいた以外の残りの3割はインバウンドです。Webで検索し、実績のある企業で探すと当社にたどり着くということで、当社はお客さまをしっかり確保できています。
2つ目の特徴として、我々はとにかくお客さまの成功にコミットして走っていることです。ほかのコンサルテーションをしている会社の場合、「このような計画を立て、このようにすれば御社は良くなる」「このようなIT化をしていきましょう」といった提案は行いますが、実装は面倒くさいしコンサルほどお金をもらえないため、やりたがらないことも多いです。下請けに任せることも多いのですが、それで描いた未来が実現できるかというと、難しいと思います。
我々はコンサルテーションのチームを持っており、顧客のDX・AI活用が成功するまで必ず伴走するというテーマでコンサルテーションを行っています。テクノロジーをどのように使って顧客のDXを実現するかというプランを立てます。
このプランは最新のテクノロジーのため、それが有効に使えるかどうかわからないこともあります。最近では、建築系の会社と一緒に、クロスリアリティのようなXR系のテクノロジーにおいてメタバースやウェアブルなどを使って、仮想現実などいろいろなものを融合させながらソリューション化することも行っています。
その中でも、実用性については行ってみないとわからないこともあります。これをアジャイル型で小さく回して、可能性を測りながら、だんだんと大きくしていくという開発を行っています。
我々は、このようにお客さまへ完全に寄り添った開発をしながら、そのニーズを外さないようにしっかりと伴走してサービスを提供しています。業界トップ3ぐらいの会社と仕事をし、最終的には、それを業界全体の変革のためにサービス化して提供します。
また、新しいテクノロジーが日々進歩していく中で、月額でお金をいただきながら、大手企業の内部に入って一緒に最新技術の実装を進めていくラボ型の支援も行っています。さらに、共通化したものについては、我々が持っているプラットフォームからライセンス提供してお金をいただいて、最終的に収益を上げていきます。
ほかにも大手のコンサルティングファームやSIerがいる中で、我々がエンタープライズ系の企業に選ばれる理由としては、当然、最新のテクノロジーを持っているからです。特に、マイクロソフトの環境を活用した開発においてこれだけの知見を持っている会社は日本ではほぼありません。
我々のゴールは、内製化支援です。先ほどお話ししたように、システムやAI活用などを他社に丸投げしてお金だけ取られていくことは、エンタープライズ系の企業にとってあまり良くないという流れがあります。昔は体力も利益もあり、社員もたくさんいたためそれが可能でしたが、現在は自らデジタルを理解して使い、自社を変えていくという気運が非常に高まっています。
最近の例としては、クラウド上にデータベースを置き、クラウド上でいろいろなサービスをつなぎ合わせながらシステムを構成して継続的に使っていきます。このデータベースは、マイクロソフトなどが日ごとにセキュリティを強化しているため、最高のセキュリティ環境となっています。
アプリケーションレイヤーには、パワープラットフォームというローコードで自分たちのアプリケーションを作れるものもあり、データベースにアクセスして何かをすることはある程度できます。
この構成で進化させていけば、いきなり50億円をかけてシステム開発して5年で償却し、また50億円かけるというような、今までのシステムインテグレーションのビジネスモデルはなくなっていくと思います。
これからは、伴走して新しいテクノロジーを常にキャッチアップして、内製化することで、それを活用しながら企業が強くなっていくのです。そのような時代に入らないと、日本企業は世界で戦えるような強い企業になっていかないと思っています。
内製化支援という言葉のとおり、我々は既存のSIに対して進化したかたちを提唱し、各企業とその未来に向かって走っています。エンタープライズ企業のみなさまが最新のテクノロジーを持っており、方向性が一致していることから、ご評価いただいてお仕事を継続的にいただいているケースが多いです。
各グループ会社の役割
当社のグループ会社についてです。一昨年、ヘッドウォータースコンサルティングとヘッドウォータースプロフェッショナルズを設立しました。先ほどのカスタマージャーニーの図でコンサルティングチームが一番上にくるため、ここがボトルネックにならないようにする必要があります。
また、コンサルタントとAIエンジニアは評価や採用の仕方が違うため、分けたほうがお互いにドライブがかかるだろうとして分けています。これが功を奏し、今、採用は非常にうまくいっており、定着も良いです。
ヘッドウォータースプロフェッショナルズについてご説明します。DX市場がどんどん伸びていくとどうしてもDXの人材が足りなくなります。AIを活用しシステム化を進める上では、まだ人が介在しなければいけない部分も多いためです。
ヘッドウォータース本体だと、どうしてもAIのエンジニアばかり採ってしまうため、これからニーズが3倍にもなるといわれるDX市場へのDX人材の供給に寄与しようとヘッドウォータースプロフェッショナルズを立ち上げました。採用基準は高いのですが、広く素養のある人やいろいろな分野でセンスのあるIT人材を広く採用し、IT人材のプールと育成を徹底して行って順調に成長しています。
また、昨年、DATA IMPACT JOINT STOCK COMPANY(以下、DATA IMPACT社)を設立しました。こちらのメンバーは日本の東工大を卒業した方のほか、現地のメンバーはほぼ全員がハノイ工科大学卒業です。専門的にAI・データなどを研究しているメンバーばかりで、非常に優秀です。
現在、非常に速いスピードでいろいろなAIの最新技術をキャッチアップし、検証・研究を行っています。すでにいくつもの案件に入り、DATA IMPACT社なしでは当社の事業のドライブは考えられないくらいの役割を担っています。
DATA IMPACT社にはまだ10数名しかいないのですが、今年は人をしっかり選んで人数を増やしていきます。メンバーは全員、英語の環境で開発・交渉ができるため、アジアや欧米・ヨーロッパからも問い合わせがけっこうある状況です。
こちらがヘッドウォータースグループとしてグローバルに進むための重要な一手としてこれから機能していくことを期待し、目論んでいます。そこに向かって順調に滑り出しているところです。
「SyncLect」
こちらは、当社の株主に毎回ご説明しているスライドです。AIを活用したソリューションはどうしても高額になってしまうため、我々は学習モデルやAIのエンジンなど、過去に作ったソリューションをすべて部品化して、これを組み合わせてソリューションとして提供しています。これによって開発の期間が短くて済むほか、コストを下げることができます。
最近では、お客さまに対して機能を提供することで、ライセンスビジネスとしてお金をいただけるようになってきました。いろいろなプロジェクトの中で、我々が提供したライセンスや部品が使われ、課金によってプロダクトの部分の売上が伸びています。
業界別ソリューション実績
業界別ソリューション実績です。スライドに記載しているものは、今までに我々が提供したソリューションで、すでに事例として世の中で動いているものが多いです。中央の図は、政府が提唱するスマートシティのカテゴリーに我々の実績を分けたものです。
IoTやAIに強く、周辺のシステムもできる我々が、どの分野で一番大きな変革を背負っていけるかというと、生成AIやいろいろな学習モデルを社会に実装していくことです。最終的に我々が目指すべき事業領域は、スマートシティのOS基盤を作っていくことだろうと思っています。
例えばトイレで忘れ物をしたら、センサーが感知して「忘れ物があるよ」と言ってくれるようなサービスが、すでに世の中に提供されて動いています。こちらはトイレ1つあたりいくらかの代金をいただきながらライセンス提供をしています。
そのような細かいソリューションがある中で、一番大事なのはデータ連携です。何かを忘れて、声掛けをされても気づかずに行ってしまったとしても、道路の交通情報とデータ連携を行えば、その人の車を追って次のパーキングエリアに忘れ物を届けることができます。
このように、連携すればできることがたくさんあるのです。データ連携の例として、我々はマイクロソフトと一緒に、渋谷区の都市OS構築を支援しています。
具体的には、渋谷区の各所にいろいろなセンサーを付けて、人や車・配送の動き、イベント、お店の混み具合などのデータを全部あわせます。そこに自分のデータを連携すると、どこに行くと楽しいのか、混んでいる場所や空いている場所がどこで、快適に過ごせるのはどこかといったことを提案できるのです。
このように、都市を快適に動かし、災害時にどこに逃げればいいのかも含めて、適切かつ瞬時に提案できるのです。IoTでデータを取りつつ、必要な個人データを提供しながらデータを連携していくと、人の幸せや生き方が変わっていくと思います。これがスマートシティの中核だと考えています。
このようなデータ連携を一歩ずつ進めており、渋谷区の案件を機に一気に進めていきたいと思っています。
今後のビジョン
そのようなスマートシティをはじめ、社会の変化をリードし、変化の基盤を提供する企業を目指しています。
「Society5.0」は、政府も推進し提唱しているビジョンです。政府が提唱して目指すものには国の予算が潤沢にあり、各企業もその方針に応じます。官公庁もいろいろなプロジェクトを立ち上げるため、我々がこの方向性で事業を行うことには、さまざまなプラスの力が働くだろうと思っています。
2023年12月期 通期 決算概要 (連結)
2023年度の振り返りとして、前進したことと目論見どおりいかなかったことをお話します。いくら綺麗ごととして大きな話をしたところで、毎年の予算が達成できなければ、ビジョンには到底行き着かないと思います。逆に、毎年の予算をしっかり達成していけば、我々が思い描いている戦略・ビジョンは達成でき、確実に思い描く未来が手に入ると考えます。
ただし事業のため、必ず毎年すべてが目論見どおりにいくとは限りません。うまくいったことといかなかったこと、また、うまくいかなかったことについて次はどのようにクリアして前へ進むかといったことを、毎年お話ししていきたいと思っています。
スライドは2023年12月期の通期決算概要です。注目すべきことは2点です。1点目は、売上高が前期比147パーセントと大きく成長している点です。特に他のAI企業では、オーガニックで50パーセント以上の成長を実現している企業はあまりないのではないかと思います。これはたまたま実現したわけではなく、あらゆる戦略や方向性、提供しているサービスが合致して実現したと実感しています。
2点目は、ドライブをかけるためにどうしても予算を使ってしまう部分もあり、営業利益および経常利益が目標未達という反省点です。
決算サマリー
決算の詳しい内容です。売上高は前期比147パーセントの成長です。売上自体は5年連続で過去最高を更新しており、順調です。特に今年は、ビジネスモデルが形になってきたタイミングです。今後も成長性のある市場の中で、戦略を続けていき、一定の成長を実現できるという実感と確信があります。
2023年は「生成AI元年」のような年だったと思います。生成AIが出てきて、非常に話題性があり、各企業も「これは使わないといけないぞ」という流れになりました。ただし、2023年前半に話題に上がりましたが、各企業には予算組みがあり、計画にないところに大きな予算は使えません。つまり、簡単なお試ししかできないのです。
そのようなお試し導入によって案件数は非常に増え、また、AIの大きな案件もあって売上上昇にかなり寄与した部分もあります。2024年は各企業も生成AIに対するリテラシーを上げて「このように使いたい」といろいろな計画が出てきました。これから予算をかけていくだろうと考えており、本格的に売上に貢献してくるのは2024年だろうと考えています。
2023年12月期については、このようにAIをエンタープライズに導入するビジネスが非常に順調に推移したことと、ビジネスモデルが非常に良いかたちで進化してきたことで、売上を確保しています。また、ロイヤルクライアントに絞っていることも、売上を確保できている理由の1つです。
目論見どおりにいかなかった最大のこととしては、第2四半期に不採算案件がありました。後ほどご説明しますが、炎上した案件を消すために人や時間やつぎ込むため、収益を上げるためのリソースを削ってしまったと思っています。本来なら、より売上を伸ばして成長させる余地はまだあったと感じています。
決算サマリー
利益についてです。ある程度予算を使いながら事業を伸ばすつもりでしたが、結果として年間予算達成率は78.8パーセントと、2割強の未達になっています。ただし、粗利額は2年連続で過去最高を更新しており、利益体質にはなっています。
一つひとつのプロジェクト事業は利益が出るようになっているものの、過去最高の利益が出なかった理由としては、第2四半期の1,455万円の営業損失があります。これは単に1,455万円の損失だったのではなく利益を上げるための機会を失っているため、その影響は相当大きいです。
それでも何とか目標達成できるようにがんばったのですが、最後に検収が間に合わなかったこともあってこのような結果になっています。非常に申し訳ないです。
多数のパートナーを活用する中で、パートナー単価の高騰もあって利益を圧迫しました。一方で、代わりにいろいろと投資できた部分もあります。ここで最大の利益を上げることよりも、これから大きく成長するために必要なことができたと思います。
決算サマリー
人材採用については、純増53名でした。前期は純増23名だったため、2倍以上の人材採用ができており、定着も実現しています。エンジニア採用がかなり進んでいますが、今後はさらに人事を強化し、採用数を増やします。
また、2023年から人事採用グループの強化も図っています。上場企業には煩雑な稟議や手続きが多いのですが、その中でエンジニアが生産に集中できるように、リーダーが行わなくてもいい事務処理は極力サポートチームで行っていきます。そして、コストのバランスや生産性向上もかなり追求しており、粗利率が上がっていると思います。
採用が全般的にうまくいっているだけでなく、これから会社を伸ばしていくためのベースの体制もかなり進化したといえると思います。
加えて、採用した方をいかに育成するかが重要です。採用した方が定着し、仲間として一緒に未来を目指してくれることが大切です。採用しても結局辞めてしまっては、まったく意味がありません。
特にリモート社会で強化すべきことは、学生から社会人となり社会に出た時に、情操的成長の機会をきちんと提供することではないかと思います。人と接することや会社や社会の中で、どのように生きればより幸せになれるかということです。1人ではなく、社会でお互いに補完したり助け合ったりしながら成長していくことが、人間社会では必要だと思います。
当社は社員の90パーセントから95パーセントがリモートワークです。その中では、そのような信頼や助け合いがないとチームとして強くなりません。
会社のことを自分のこととして考え「自分のチームや目の前の仕事だけできればいい」のではなく、仲間が困っていたら助け、会社全体の事業を強くする、バリューを高めるといったことを、視野を広く持って考えるようになっていくことが大切です。
これに関連して、2023年に譲渡制限付株式報酬制度を導入しました。当社は基本的に入社3年以上の社員に株式を渡しており、渡した株式の時価総額が、これから5倍や10倍と伸びていき、報酬として高くなることもあります。これをきっかけに成長してもらい、最後には会社を成長させて、高い報酬を受け取ってもらうことが実現できたらいいと思っています。
もう1つ前進したこととして、ベトナムの子会社・DATA IMPACT社を設立しました。こちらのメンバーは非常に優秀です。
世界でAIのコンペティションを行うような「Kaggle(カグル)」というプラットフォームがあり、そこでメダルを獲ることは、AIに携わる人の中でかなりレベルが高いことになります。DATA IMPACT社のメンバーに、設立して2ヶ月くらいで「『Kaggle』のメダルを取ってよ」という話をしたら、次々にメダルを獲ったのです。
現在、DATA IMPACT社なしではヘッドウォータースを語れないような状態になっています。
さらに、2023年6月末に株式分割をしました。会社の規模が大きくなるとともに、流通量をある程度増やさないといけないと思っていますが、これはタイミングを見て行うべきだと思います。今後、徐々に流通量を増やしてみなさまが安心して売買できる銘柄を目指していきたいと思っています。
経営指標 1
経営指標です。まず、サービス別売上高です。DXの売上高は非常に伸びています。マイクロソフトが提供している「Power Platform」というローコードでアプリケーションを作れるサービスをフックに、いろいろな大手企業の内部に入ってさまざまな案件をいただいています。
AIも同じように増えています。今期に関しては、おそらくAIの伸び率のほうが高くなると思います。これはクライアントとの対話の中で、生成AIの実装が本格的になるだろうという予想に基づいています。
また、アライアンス戦略の売上も上昇しています。特にAIは、生成AI案件を多くご紹介いただいているため、それが予算化された今期はスライドのグラフのような伸びになるのではないかと考えています。
実施案件数とサービス別案件比率については、実は案件数自体は減っています。その中で売上が伸びているのは、1件の案件が大きくなっているからです。我々はロイヤルクライアントに絞っているために1件あたり、1社あたりの売上が大きくなる傾向にあり、これが売上の成長と今後の利益につながっています。
また、スライド一番右のグラフで、2024年12月期においてOPSがなくなっています。OPSの分野はDXに近く、お客さまのニーズを受けて保守・メンテナンスをしていく分野のため、会計上DXに多く入れています。
そして、手を動かさずにいろいろな保守運用のサービスを提供していくものや、AIなどを使ってアラートを上げて課金をいただくものはプロダクトに振り分けています。そのため、今期からはOPSという項目はなくなります。
経営指標 2
経営指標としてのエンジニアの教育についてです。
今、AIエンジニアの育成がかなり進んでいます。生成AIはここ1年くらいしか歴史がない分野で、世の中で本格的に生成AIのエンジニアができる人はまだ十分にいません。当社も2023年の第2四半期から取り組んでいて、エンタープライズ系の企業で実証を繰り返しています。現場できちんと実績を積んでいる生成AIのエンジニアが数多くいるのです。
社内では、Off-JTとOJTを合わせながら教育しています。特にOJTをたくさん持っており、当社でないとこのような人材はなかなか育成できないと思います。
1件あたりの売上は伸びており、案件数は減っています。1企業あたりの年間の売上は伸び、顧客数は減っています。これは、サービスをエンタープライズ系の企業に絞っていることを示しています。一つひとつの案件は大きく、継続性の高いものになっているため、ビジネスモデルとしてはかなり進んでいっている状況です。
成長戦略の進捗状況
成長戦略です。短期的には生成AIのニーズが非常に強いため、こちらに対してサービスを提供すべく、2023年には予算を使って人材も育成しました。
生成AIのサービス提供は簡単ではありません。顧客側のリテラシーも上げないといけない部分もあるため、顧客に対するワークショップから行います。また、生成AIは日々進化したものが出てくるため、これを我々がキャッチアップして提供するラボ的な契約も増えています。
ワークショップでは、客先でアイデアソンのようなものを行います。お客さまの社内で複数のチームを作ってもらい、「生成AIを使ってどのようにしたらこの会社が良くなるのだろう」と、内省的にディスカッションするのです。そして最終的に出たアイデアを経営陣にプレゼンし、採用になると予算が出ます。
当然、深い部分の開発や生成AIの活用段階になれば、当社がいろいろなノウハウと技法、テクノロジーに対する知見を駆使して、その企業へ生成AIの導入や生成AIを使ったサービスを支援しています。
外部リソースの活用は、アライアンス戦略として他社と連携して実行するものが非常に増えています。マイクロソフトがメインですが、最近ではソニーグループとも本格的にいろいろな共同提案をしています。
中・長期では、ストック売上を上げるために、「SyncLect Generative AI」からのライセンス提供も進めています。加えてラボ契約やリカーリングのような収益構造を推進しており、これらが安定的な予算につながっています。
Globalテクノロジートップ企業とのアライアンス体制
スライドはアライアンス戦略のわかりやすい体制図です。2023年にリリースしたローソンの事例についてお話しします。ローソンの店舗の天井に、世界No.1のソニー製のAIが入ったビジョンセンサーを10個から20個付けます。そして、そのセンサーで画像解析したデータを「Microsoft Azure」上でデータ連携し、「Microsoft Azure」のサービスを使いながら分析し可視化します。
ここでトランザクションが多いと非常にコストがかかってしまい、リアルタイムで処理ができないため、現場にNVIDIAのスーパーコンピュータを置いて一時的に必要な画像解析を行います。これによりリアルタイムにリアクションでき、また現場で処理することによってクラウドとのトランザクションが減り、スタックすることないためコストもかかりません。
このような構成で、パーツにマイクロソフト、ソニー、NVIDIAを使ったヘッドウォータース製のソリューションを提供することを、今後も世界中のグローバル企業を巻き込みながら徹底して進めていきます。ラストワンマイルを担っている当社が中心となってドライブをかけながら、世界最高のソリューションを作って世界中にしっかりと提供したい考えです。
アライアンス戦略:Microsoft×Partner To Partner
マイクロソフトを中心としたアライアンスにおいては、当社のお客さまをマイクロソフトにご紹介したり、マイクロソフトと当社とソニーで共同提案したりというように、ある時はクライアント、ある時は発注元とお互いに立場を変えながら提供しています。
一方が上で他方が下請けなのではなく、自らが主体者としてビジネスを推進してこそ、マイクロソフトもNVIDIAも喜んでくれると思っています。当社は小さい会社ですが、お互いにフラットに、良いパートナーシップを持って、積極的にいろいろな提案をしながら事業化を進めていきたいと思っています。
主な取引先実績企業一覧
そのような取り組みの結果、昨年に増えた新規のお客さまをスライドに星印で示しています。基本はすべてエンタープライズ系の企業で、分野としては製造などのスマートファクトリー系で、小売、官公庁、商社、通信が特に伸びています。
2024年度12月期決算業績予測(連結)
2024年の業績予測です。売上高は前期比126.5パーセントの成長です。こちらは少しコンサバティブだと思われるかもしれませんが、我々はこちらをノルマだと思っています。その中で、全体的な市場成長は十数パーセントだと思うのですが、生成AIは50パーセントを超えるような成長を実現できると思います。
また、今期みなさまにご心配をかけました、トップラインをどんどん伸ばして本当に利益体質になれるのかという点についてです。PERや株価形成も利益に連動する部分が多いため、最終的には営業利益をしっかり出し、その中でお金を使いながら成長していくのが良いかたちです。これを証明するために、今期は営業利益において前期比238.3パーセントの成長を実現します。
2023年の重点施策は人材の採用で、人材採用数とトップラインとしていました。2024年はこれに利益も加えて、きちんとしたビジネスモデルで市場を取っていく1年にできたらと考えています。
今後の施策
今後の具体的な課題と戦略をご説明します。 1点目に、顧客をロイヤルクライアントに絞ります。ロイヤルクライアントといわれるような会社の数は少ないため、当然、顧客数は減ると思います。ただし、売上も利益も確実に上がり、継続性も上がります。コンサルチームは、エンタープライズ企業に寄り添って、企業のイノベーションと本当の意味でDXの実現を支援します。
2点目に、ライセンスモデルを増やします。同時に、ラボやリカーリング的なサービス提供を増やし、収益の安定化を図ります。
3点目は、人材採用についてです。現在グループは4社体制で、それぞれにあった採用の仕方を追求しています。これからさらに加速する考えです。加えて、M&Aも随時狙っており、いろいろと交渉をしています。こちらは良い進展があれば、その時にリリースします。
4点目は社員の待遇向上です。これは毎年の戦いですが、2023年は6パーセント程度しか給料を上げられませんでした。炎上した案件をメインに対応し、投資もしたため、利益があまり伸びていなかったことが理由です。この投資や炎上案件から学んだことを活かして、今年は利益をしっかりと出し、給与の2桁パーセントアップを狙っていきたいと考えています。
そのようなことを含めてコミュニケーションをとり、これらをきちんと実現していくことで、全体の信頼と未来に対する希望を作っていくことが今後の施策のベースとなっています。
さらに、我々は未来型の多様性のある制度・仕組み・組織を作っていきたいと思っています。譲渡制限付株式による報酬もその一例です。社員の95パーセント程度がリモートワークを実現している中で、今後はさらに、各種手当や働き方の多様化、人生のさまざまなタイミングで自身の働き方を選べるシステムなどを構築していきます。
地方で採用し2年くらいお会いしたことがないようなメンバーにとっても、お互いに良い環境を作ることで、自分の仕事にプロフェッショナルの意識を持ってコミットして生産性を上げていくような最高のチームができるといいなと思っています。
生成AI(企業がChatGPTを活用する際の課題及び課題解決)
生成AIについてお話しします。マイクロソフトの担当の方とお話しすると、統計的なデータを取ったわけではないが、当社は生成AIのエンタープライズに対する導入に関しておそらく日本でトップの実績があるということです。
エンタープライズ企業に生成AIを導入するのは簡単ではありません。セキュリティの問題のほか、きちんと効果を出すには、どのように聞いたらどのように返ってくるかというようなプロンプトの設計も必要です。さらに、企業が本来持っているデータベースを活用して、生成AIにどのように仕事をさせるかという構成も必要になります。
これを極力簡単にできるように、いろいろなものを整備した我々のサービスが「SyncLect Generative AI」です。これを活用することで、エンタープライズのお客さまがハードルをあまり感じずに生成AIを導入し、カスタマイズしながら発展できるようなサービスを提供しています。
伊藤忠商事様:生成AI活用ビジネス創造支援(生成AIサービスの外販モデル支援)
良い事例として、先日リリースした伊藤忠商事の案件があります。こちらは、マイクロソフトのカンファレンスで伊藤忠商事の方が登壇するほどの大きな話題になっています。
支援の内容としては、ワークショップから入ってアイデアソンで進め、社内全体で生成AIを使う気運を高め、さらに自分たちで生成AIの使い方を考える段階までリテラシーを上げて使っていくことが設計されています。
伊藤忠商事は食品系の商社として、相場やSNS上のデータ、流通などいろいろな食品データを膨大に持っています。そのようなデータを「Microsoft Azure」上のデータレイクに保持して、いろいろなAIモデルと連携しながら「ChatGPT」がそれを読みにいきます。「ChatGPT」自体はファインチューニングが難しいため、そこで読んだことを加えて表現します。
「ChatGPT」は、最新のことは学習していないほか、売上予想や業績予想などの数字の予想はほかのAIのほうが良いといった弱点があるのですが、論理構成を揃えることや、表現や添削は可能です。
そのような特徴から、業績予想には別のAIを使います。「ChatGPT」はその予想と、伊藤忠商事がもともと持っているフードデータも読み、論理を立てた上で、生成AIが新しいフードビジネスの企画を次々に作ります。最終的には人間がそれをアレンジしながら事業にしていくというエンジンを作っており、非常におもしろい結果が出ています。
これは、システム構成をどうしたらどのようなパフォーマンスが出るかを考え、一連のシステム構成の中で環境自体を非常にセキュアにする必要性など、いろいろな課題をクリアしないと使えません。したがって、「ChatGPT」を入れたからといって簡単に追いつける話ではありません。
我々はこれをそれぞれのエンタープライズ企業のニーズごとに取り組んでいます。「ChatGPT」や生成AIを活用して、企業がイノベーションを起こしていくことを徹底して支援しています。
生成AI(実例紹介②)
簡単な例として、音声認識の活用についてご説明します。薬局などの配送ドライバーは、仕事後のレポート作成に多くの時間を取られて、残業時間が膨大になったり疲弊してしまったりすることがあります。
このような課題に対して、「NVIDIA Jetson」を使ってある程度言葉を正確に認識し、齟齬がないかたちにします。それを「ChatGPT」がサマリー化して、レポートのかたちで表現することができます。これを「Power BI」というツールで可視化するというシステム構成にすることで、今まではできなかった声を正確に残すということがかなり実現できるようになっています。
このように、音声と生成AI、スーパーコンピュータを掛け合わせることで、今まで余分に使っていた時間の生産性を向上し、人々の生活が非常に楽になると思います。
生成AI(実例紹介③)
都市にはいろいろなデータがあります。人・車が動くデータ、過去のイベントの成功・失敗事例や参加者数など、そのすべてを都市OSのデータ基盤が持っていて、そこに「ChatGPT」がアクセスします。
モバイルやサイネージにキャラクターが出てきて、「今日、どこに行ったら私は面白いことができるの?」「ここに行ったら混んでる?」「こんなことできる場所ないの?」などと話すと、「ChatGPT」がそのデータを読んで、文章にして返してくれます。また、今、キャラクターが「〇〇さん、ここに行くと楽しいことがあるよ」と会話型で返答するサービスも作っています。
後々、これをスマートシティのUIの1つとして提供していきたいと思っています。
生成AI⑤(実績)
昨年の実績としては、エンタープライズ企業の91社から生成AIによる案件の問い合わせがありました。すべては受けきれないため、今待っていただいている会社や今年になって始めている会社もあります。受注数としては25社です。
生成AIといってもいろいろあり、画像データを読み込んで学習し、アウトプットするマルチモーダルAIラボサービスもしています。こちらもエンタープライズのお客さまに向けてしっかりと取り組んでいます。
また、XRのように、データの読み込みはウェアラブルなものを使い、アウトプットはメタバース的なものを活用しながら、裏側で生成AIが動いて作業を補助したり予測したり、指示したりするものもあります。
今年は「Microsoft Copilot」の内製化支援も行います。その企業にとってもっとも良いプロンプトの設計もします。
このように幅広くサービスを提供しています。順番に予算を立てて、最終的にはディープに生成AIを活用してDXを進めるところまで、伴走型で取り組んでいます。
ここで大事なことの1つは、企業が持つデータです。データをいかに保持して活用できるかが大事になるため、そのような基盤を持っているデータブリックス社のSIコンサルティングパートナーとなっています。
今後もこのような生成AIの活用を進めていきます。
中・長期施策:Society5.0に向けた戦略マップ
生成AIの活用には非常に大きな潮目がきており、当社は今年、ここに多くの資金・人・頭脳のリソースをつぎ込んで進めていこうと考えています。生成AIの、特にエンタープライズを通じた社会実装において、No.1を取っていくことに注力します。
業界各トップのエンタープライズ企業とともに業界のDXを進めて、渋谷区に提供したような都市OS基盤を提供することにより社会のDXを進め、最終的には都市同士を連携させて社会全体のDXを進めていければと思っています。
中期経営計画のシナリオ・ストーリー
我々の強みは、最後まで結果にコミットして泥臭く伴走するコンサルティングの力と、最新のテクノロジーをどこよりも早くキャッチアップして実装していくテクノロジーの力、そしてそのような文化だと思っています。
この強さをベースに社会のDXを進め、その基盤を提供する企業として今後も成長を続けようと考えています。
質疑応答内容はこちらよりご確認ください。