目次

角田浩司氏(以下、角田):みなさま、おはようございます。白銅株式会社代表取締役社長の角田浩司です。本日はお忙しい中、決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。ただいまより、2024年3月期第2四半期決算の説明を開始します。

本日は、スライドの目次に沿ってご説明します。はじめに、執行役員経営管理本部長の關濵より2024年3月期第2四半期決算内容について、その後、私より2024年3月期業績予想と中期経営計画達成に向けた取り組みについてご説明します。

決算ハイライト

關濵亮氏(以下、關濵):経営管理本部長の關濵です。それでは、2024年3月期第2四半期の決算内容をご説明します。

決算ハイライトです。売上高は、前年同四半期から9.6パーセント減少し287億900万円となりました。

当連結会計年度より、2023年3月に取得したWest Coast Aluminum & Stainless, LLCの売上高が追加され、海外売上高が21億2,300万円増加しました。

一方で、国内では依然として半導体製造装置業界の景況減速の影響が継続しており、販売数量の減少を主因として、前年同四半期比30億6,600万円の減収となりました。

売上総利益では、製造に関わる電気代や人件費などの高騰に加え、棚卸資産影響額による差益が前年同四半期から3億5,500万円減少したことで、前年同四半期比15.6パーセント減少の45億6,100万円となりました。

経常利益においても、受取配当金の増加や為替差益などプラスの要因がありましたが、結果として、前年同四半期比39.8パーセント減の14億1,900万円となりました。

連結損益計算書(PL)サマリ

連結損益計算書のサマリーについてです。スライドの表は売上高および各利益の実額と、売上高比率などを記載しています。棚卸資産影響額と為替差損益を別枠で記載し、これらを除く経常利益も記載しています。

売上高の前年同四半期比差異要因

売上高の前年同四半期比差異要因です。標準在庫品および特注品ともに、販売単価上昇による売上増加への寄与がありましたが、販売量減少に伴う減収要因が大きく、連結売上高は前年同四半期比で減収となりました。

また、白銅個別での標準在庫品の売上高については、販売重量が前年同四半期比19パーセントの減少、販売単価は8パーセントの上昇となりました。

売上高の四半期毎推移

売上高の四半期ごとの推移です。半導体製造装置業界向けの販売減少を主因とし、前連結会計年度第1四半期をピークに、直近の売上高は依然として減少傾向にあります。当第1四半期との比較では、7億2,600万円減収の139億9,100万円となりました。

品種別売上高

品種別売上高です。スライドには四半期ごとの売上高を記載しています。半導体製造装置業界向けの主力商品であるアルミニウム商品の売上高が、業界の低迷により、前年同四半期比で減少しました。

一方で、伸銅・ステンレスは増加しています。特に米国子会社West Coast Aluminum & Stainless, LLCの主要販売品種であるステンレスの売上高は、前年第2四半期比で14パーセントの増加となりました。

業界別売上高構成比率(国内)

四半期ごとの業界別の国内における売上高構成比率です。2023年3月期第2四半期との比較で、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置業界向けの比率が大きく低下しました。

一方で、その他の業界の売上高構成比率が相対的に増加しており、自動車(自動二輪)および航空・宇宙関連業界では、売上高構成比率、売上高実額ともに前年第2四半期比で増加しました。

後ほど社長の角田からご説明しますが、自動車(自動二輪)領域、航空・宇宙関連領域は、中期経営計画で重点戦略として掲げる成長領域であり、積極的な営業活動や営業プロモーションが成果として表れてきていると考えています。

セグメント別業績

セグメント別の業績です。本連結会計年度より、北米にWest Coast Aluminum & Stainless, LLCの売上高が追加されており、海外売上高の増加に寄与しています。

北米セグメントの利益については、当期に買収関連費用が発生した影響などがあり、営業損失を計上していますが、買収後の統合計画は順調に進み、今後回復を見込んでいます。

また、円建親子間借入金の為替差益6,200万円の発生などにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,400万円の黒字となりました。

中国セグメントでは、内需・外需ともに低迷しており、200万円の経常損失となりました。一方、その他セグメントでは、自動車業界の回復を主因に、タイの子会社白銅タイランドが好調に推移し、8,000万円の経常利益を計上しました。

経常利益の前年同四半期比差異要因

経常利益の前年同四半期比差異要因です。経常利益は9億4,000万円減の14億1,900万円となりました。電気代や運賃などの各種コストの上昇に加え、棚卸資産影響額の差益が3億5,500万円減少したことが利益減少要因となります。

経常利益の四半期毎推移

経常利益の四半期ごとの推移です。2023年3月期第1四半期をピークに、主力販売先の半導体製造装置業界が停滞し、引き続き直近の業績は減益傾向です。一方で、第1四半期との比較では、棚卸資産営業額の差益や為替差益が発生したことにより、4,500万円の増益となりました。

貸借対照表(BS)

貸借対照表です。2023年3月期に、戦略的な積み増しを実施した在庫商品の販売を進めた結果、2023年3月末と比較し、棚卸資産は7億600万円減少しています。

また、ベトナム関連会社Oristar Corporationの株式配当金による保有株式増加などにより、投資その他の資産が1億2,700万円増加しています。

キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローです。2024年3月期第2四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは1億1,900万円増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは6億2,300万円の減少、財務活動によるキャッシュ・フローは8億7,300万円の減少となりました。

棚卸資産減少によるキャッシュ・フロー増加要因があった一方で、売上高減少に伴う仕入れ債務減少や設備投資・IT投資による支出、法人税や配当金の支払いが発生したことにより、2023年3月末から現預金が13億1,400万円減少しました。

事業環境(1) アルミニウム・銅・ステンレスの原材料市況

当社の事業環境をご説明します。まず原材料市況の推移です。2022年3月以降、下落傾向にあったアルミニウムの原材料価格は、足元では回復傾向にあります。銅とステンレスを含め、引き続き市況動向を注視していきます。

事業環境(2) 半導体製造装置販売額と標準在庫品売上高との比較

半導体製造装置販売額と白銅個別の標準在庫品売上高との比較です。スライドのグラフは、日本半導体製造装置協会が公表している日本製半導体製造装置の販売額と、白銅個別の標準在庫品の売上高を比較したものです。引き続き、ほぼ同様の傾向で推移しています。

半導体製造装置業界は、長期的にはIoTやDX、AI、電気自動車などの進展により、需要拡大が予想されています。しかし足元では半導体メーカーの在庫調整や、生産調整による設備投資計画見直しの動きが継続しており、依然として低迷傾向にあります。

事業環境(3) 工作機械受注額と標準在庫品売上高との比較

工作機械受注額と白銅個別の標準在庫品売上高の比較です。スライドのグラフは、日本工作機械販売協会が公表している工作機械の受注動向を示すグラフと、白銅個別の標準在庫品の売上高を比較したものです。

工作機械の受注額と当社標準在庫品の売上高は、引き続きほぼ同様の傾向で推移しています。2022年3月をピークに下落の動きが継続しており、前年第2四半期(7月から9月)との比較では、内需は23パーセント、外需は12.1パーセントの受注額減少となりました。

米国や欧州での利上げや中国景気の減速、地政学的な影響などが背景にあり、引き続き世界における経済・地政学の状況を含め、市況を注視していきます。

事業環境(4) アルミ圧延品出荷金額と出荷金額に対する当社アルミニウム製品売上割合

アルミ圧延品出荷金額と出荷金額に対する当社アルミニウム製品売上金額割合の比較です。スライドのグラフは、日本アルミニウム協会が公表しているアルミニウム圧延品における6ミリメートル以上の板・円板・管・棒の出荷金額と、白銅連結でのアルミニウム製品売上高等を比較したものです。

ここで抽出したアルミニウム圧延品は、当社が主として販売するアルミニウム製品です。当社アルミニウム製品の売上高比率は、減収にも関わらず30パーセント前後で安定的に推移しています。

ここからは、2024年3月期業績予想と中期経営計画達成に向けた取り組みについて、社長の角田からご説明します。

2024年3月期 第2四半期業績予想と実績との比較

角田:2024年3月期第2四半期の業績予想と実績との比較です。当社グループ業績に影響が大きい半導体製造装置業界で、引き続き停滞が見られました。

しかし各施策により、その他の業界への積極的な拡販活動や経費の削減、出資先からの受け取り配当金や為替差益などの営業外収益の発生により、第2四半期の経常利益は、業績予想13億9,000万円から2,900万円増の14億1,900万円となりました。

通期業績予想および中期経営計画目標値

2024年3月期の通期連結業績予想および中期経営計画目標値です。半導体製造装置業界において、依然として調整局面が継続していますが、各施策の進捗による販売増加や業務改善による製造経費・販売費削減の前倒しの影響等を勘案し、業績予想は据え置きとしています。

2024年3月期第3四半期以降は、各施策による販売増加や業務改善による経費削減、およびIoTやDX、AI、電気自動車等の推進により、半導体需要が徐々に回復していくものと予想し、中期経営計画3年目の目標値は達成見込みです。

株主還元策(配当)

株主還元策です。当社の配当金は、配当性向40パーセント以上を原則としています。2024年3月期第2四半期の親会社株主に帰属する四半期純利益が上期予想を上回ったため、中間配当は1株あたり35円と、期初予想より1円増配となりました。

こちらにより、2024年3月期通期の1株あたり配当金も、期初予想から1円増配の78円と予想しています。さらなる業績向上により、少しでも多くの配当ができるよう努めていきます。

中期経営計画の重点戦略方針

2022年5月に発表した中期経営計画の進捗状況と、達成に向けた取り組みをご説明します。まずは重点戦略方針です。中期経営計画ではダントツ戦略をベースに、2023年3月期から2025年3月期までの3ヶ年の重点戦略方針を定めました。

事業の成長は、「コア事業の深化」と「事業領域の拡大」の両面からの重点戦略方針としており、これらの重点戦略の根幹として、サステナビリティ経営の推進を図ります。

重点戦略の実施状況(1)

重点戦略方針の実施状況をご説明します。まずは「白銅ネットサービス」の進化による顧客基盤の強化・拡大と利益率の向上についてです。「白銅ネットサービス」をお客さまにより便利に使っていただくため、アイテム数を増加し機能を充実させています。

利用可能なアイテム数は、2023年3月期の5万900アイテムから、9月末には6万4,700アイテムまで増加しました。今後も取り扱いアイテム数を増加させ、購入可能なアイテム数を2024年3月末までに7万3,000アイテムまで増やす計画です。

また、現在流通業者向けのネットサービスシステムである「CSネットサービス」を展開中です。こちらは、流通業者のその先のお客さまにご利用いただけるもので、さらなる拡大を図っていきたいと考えています。

2023年7月からは「白銅ネットサービス」のオープン化を行い、ログイン不要で価格見積もりができるようリニューアルしました。一般消費者向けに展開していくことで、より幅広い層のお客さまにご利用いただきたいと考えています。

2023年10月以降も、「金属3Dプリンター造形」の自動見積り・注文機能、Web上での穴あけなど図面加工の自動見積り・注文機能、図面CADデータをアップロードすることによる自動材料見積り・注文機能など、各種機能の追加を進めています。今後も、お客さまの使いやすいネットサービスを目指し、さらなる利便性向上に努めていきます。

重点戦略の実施状況(2)

成長領域の拡大・営業強化についてご説明します。当社では、航空・宇宙領域、半導体領域、自動車領域を成長領域と位置づけています。

航空・宇宙領域の拡大では、今年度より三重県伊賀市に新拠点となる伊賀倉庫を設置し、航空・宇宙業界を中心に好評のウォータージェット切断機やマシニング加工機などを稼働させています。

また、販売強化を目指し、2023年10月より営業部門に販売促進課を新設しました。見積りフォロー等のインサイドセールス活動を行い、受注率の向上を目指します。さらにインサイドセールス機能の移管により営業担当者の業務改善を図り、新規販売先等への提案型営業を強化していきます。

スライド下段に示しているグラフは、2021年3月期第1四半期を基準とした売上高指数の四半期推移です。いずれの領域の売上高も増加しています。

重点戦略の実施状況(3)

海外事業の拡大についてご説明します。2023年3月に当社の100パーセント子会社であるHakudo USA Inc.が、カリフォルニア州を拠点とする流通販売業者West Coast Aluminum & Stainless, LLCの持分51パーセントを取得し、100日間のPMI(事業統合)のフェーズを終了しました。

当該企業は、アルミニウムやステンレスの薄板販売をメインとする流通業者で、今後、当社が取り揃える豊富なアルミニウムやステンレスを中心とした、厚板の切断加工品の販売や丸棒の切断販売を実施する計画です。

また、2023年度中に当社が持つEコマースの導入を目指しており、ノウハウを提供することで大きなシナジー効果を創出する計画になっています。

今後は、米国での事業の追加拡大だけではなく、引き続き韓国や台湾での業務提携・出資検討を行うとともに、提携先に対するEコマースシステムの導入などを武器に、海外事業の拡大を進めていきます。

スライド下段のグラフは、海外事業の売上高と海外売上高比率の推移です。当連結会計年度よりWest Coast Aluminum & Stainless, LLCの業績が加わったことで、中期経営計画最終年度となる2025年3月期の目標値としていた海外売上高比率12パーセントを、前倒しで達成する見込みです。

サステナビリティ経営の取組状況(1/3)

サステナビリティ経営の取組状況についてご説明します。スライドには、ESG/SDGs経営委員会の下に設置した分科会が設定した目標や、取組状況を記載しています。

分科会の取り組みの1つとして、環境に配慮したECO商品のラインナップ拡充や拡販を行い、販売量は年々増加しています。また、ECO商品の売上高の一部を寄付することで社員の社会貢献活動への意識向上を図っています。

7月より7つ目の分科会となる、「新商品・新サービス分科会」を発足しました。今後、ESG・SDGs関連の新規事業の立案および新規商品の開発を推進していきます。

サステナビリティ経営の取組状況(2/3)

これら以外にも、昨今高まっているサステナビリティの要求に応えられるよう、サステナビリティに関する重要課題の解決に向け、各種方針や施策の企画・立案を実行していきます。

サステナビリティ経営の取り組み例

スライドには、サステナビリティ経営の取り組み例を記載しています。当社では、サステナビリティ経営の一環として、モノづくりを通じた社会への貢献に加えて、自社農園による雇用創出など幅広い活動を行っています。社内の一体感が醸成されるとともに、社会に貢献できるよう、引き続き取り組んでいきます。

以上で、2024年3月期第2四半期の決算説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:今後の北米事業の展開や、韓国・台湾への拠点展開について

司会者:「今後の北米事業の展開を教えてください。また、韓国や台湾への新たな拠点展開の考え方も教えてください」というご質問です。

角田:先ほどもお伝えしたとおり、北米事業は、まだ100日のPMIが終わったところです。当社では1階部分・2階部分・3階部分と表現していますが、1階部分はWest Coast Aluminum & Stainless, LLCが行っているアルミニウムやステンレスの薄板の拡販です。こちらの事業をベースに固めていきます。

2階部分は、当社が得意としている丸棒や厚板の切断販売の追加です。加えて、3階部分でEコマースなどを進めていきます。このような積み上げで、当社とWest Coast Aluminum & Stainless, LLCのシナジーを狙っています。

北米での今後の展開として、West Coast Aluminum & Stainless, LLCだけでは、当社の目指す「米国のモノづくりに関わるすべての方々にすべてのサービスを整える」ことはできません。まずはサンフランシスコなどの西海岸を中心に、協力してくれそうな会社を探したり検討したりしながら、さらに北米での事業を拡大させていきたいと考えています。

韓国や台湾への拠点展開については、韓国はいまだ検討段階で深まっていませんが、台湾はいくつか具体的な会社が出てきています。それ以外にも、韓国と台湾では直接販売する商品も増えてきています。しかし、さらに販売数を増やすためには、材料を販売している現地の会社との協力体制の構築が必要だと考えているため、着実に進めていきたいと考えています。

質疑応答:「白銅ネットサービス」の取り扱い品目について

司会者:「『白銅ネットサービス』の取り扱い品目は、2024年3月末までに7万3,000アイテムまで増やす予定ですが、上期はどのようなものが加わったのでしょうか? また、下期にかけて、どのような分野で増えていくのでしょうか?」というご質問です。

角田:上期は、工具関係や切削ツールに特化して増やしてきました。オープン化をすることもあり、一般消費者が買いたくなるようなものを集中的に増やしてきました。それ以外にも在庫にない材料系の商品も増やしています。

今後も一般消費者に買っていただけそうな工具類や検査器具類、また工場で使われているようなアイテムを増やしつつ、当社で「ECOシリーズ」と呼んでいる、環境に優しい商品の強化にも力を入れていきたいと考えています。

質疑応答:「白銅ネットサービス」のサービスの進捗や拡大について

司会者:「『白銅ネットサービス』の一般消費者向けサービスの進捗を教えてください。また、今後のサービス拡大の方向性も合わせて教えてください」というご質問です。

角田:先ほどもお伝えしましたが、「白銅ネットサービス」の一般消費者向けサービスについては、まず一般消費者が買いたくなるような商品をどんどん増やしていきます。そしてネットサービスをさらに使いやすく、商品説明もわかりやすくなるように取り組んでいます。

またCADデータをアップロードするとすぐに見積もりができるネットサービス「金属3D プリンター造形」には、その価格に納得いただければ、そのまま注文もできる機能を設けました。直近でもご利用いただいている会社が増えており、さらに拡大していきたいと考えています。

また、Web上のお絵かきツールのようなものにXYの座標が出てきて、「穴を開けたい」「ネジを切りたい」「座繰りを作りたい」という指示を書くと、加工の見積もりや納期が瞬時に出てくるようなサービスを、今年中にリリース予定です。

同時に、部品のCADデータをアップロードしていただくことで、簡単に見積もりや納期の概算をすることが可能です。例えば、アルミ板の加工であれば、「アルミの切り板を切断しただけならいくら」「4側面をフライス加工までするといくら」「上下面も含めて6面をフライス加工するといくら」といった見積もりが出せます。

今までは、お客さまが部品の図面から必要な材料を逆算し、当社のネットサービスに入力いただいていましたが、さらに簡単にするために本システムの導入を進めています。

一般向けの進捗状況については、まだ開始したばかりのため、大きな売上にはなっていません。今後、セールスプロモーションやキャンペーン等を通じて、お客さまにネットサービスを知ってもらうところから、時間をかけて進めていきたいと思っています。

質疑応答:サステナビリティ経営の施策について

司会者:「サステナビリティ経営について、上期はどのような施策を行ったのでしょうか? また、下期に向けて、どのようなことを進めていかれるのでしょうか?」というご質問です。

角田:上期に行った施策として、滋賀工場の太陽光パネル設置工事の事前調査・準備があります。それ以外にも、まずは従業員にSDGsやサステナビリティを知ってもらうべく、各種勉強会や、社内でのキャンペーン等を開催しました。

また、人権ポリシーも設置しました。今後、人権デューデリジェンスを進めていき、当社グループで人権についてさらに深く考えていく取り組みも進めています。またグリーン調達の推進として、各仕入れ先と打ち合わせの上、当社が購入している材料をグリーン調達の観点から見直していただく、またお約束していただくという活動に取り組んでいます。

このような細かな活動をたくさん積み重ねつつ、2031年までにどれほどのCO2が下げられるのか、またその先もどの程度のCO2を下げられるかについて、具体的なスケジュールに落とし込んだ上で、現状の施策を進めています。

今期は滋賀工場に太陽光パネルが設置されますが、その後も、福島工場等での太陽光パネル設置も検討していきます。

また当社では、「ECOシリーズ」という環境に優しい材料にも取り組んでいます。例えばアルミニウムは、精錬する時に多くの電気を使用しますが、リサイクルの時にはそれほど電気を使いません。リサイクルや、水力発電・太陽光発電で製錬したアルミニウムを積極的に取り扱い、お客さまのScope3に貢献する活動に、力を入れていきたいと考えています。

質疑応答:半導体製造装置向けの需要見通しについて

司会者:「半導体製造装置向けの数量について、第1四半期比では第2四半期で需要がより減速したという認識でよいのでしょうか? また、今後の半導体製造装置向けの見通しについて、どのタイミングでのボトムアウトを想定されていらっしゃいますでしょうか? ボトムアウト後、どのような回復ペースを想定されているかについても教えてください」というご質問です。

角田:ご指摘のとおり、第1四半期よりも第2四半期のほうが、半導体関係の注文が少し減少したと認識しています。

ただし、第1四半期のほうが多少好調だったのは、注文残となっていた、メーカーからの納期遅れにより入荷していなかったアルミニウムやステンレス等を納品できたこともあり、実際は第1四半期と第2四半期の注文量は、それほど変わらなかったと思っています。

ボトムについては、私は今がまさにボトムだと考えています。今後回復傾向になってくると認識しています。来春ぐらいからさらに回復基調が強まり、来年の下期以降には、かなり回復傾向も強まってくると思います。

完全な回復については、2025年度になるのではないかという話も聞いています。こちらも確証はないため、回復が少し早まることを期待しながら、在庫や人員の準備を進めなければいけないと考えています。

質疑応答:海外におけるEコマース事業について

司会者:「タイや米国といった海外のEコマース事業の具体的な開始時期と内容について教えてください」というご質問です。

角田:タイでは、すでにEコマースでの取引を開始しており、毎月お客さまの登録件数が増えてきています。取り扱い商品アイテム数も増加させており、ご利用いただけるお客さまのさらなる拡大を進めていきます。

米国は、遅くとも来年3月までには、Eコマースをスタートさせるべく調整をしています。

質疑応答:半導体装置市場の回復見込みと来期の上期・下期のウエイトについて

司会者:「2025年3月期の中期経営計画の達成は、半導体装置向けの市場がカギになると思います。今後の半導体装置市場の回復軌道をどのように見込んでいらっしゃるでしょうか? また、2025年3月期の業績の上期・下期のウエイトは、今期とは大きく異なるものでしょうか?」というご質問です。

角田:半導体の回復が中期経営計画のカギになるのは、間違いありません。回復見込みについては、先ほどお伝えしたとおりです。ただ、まだ確かではないということも付け加えておきます。

その上で、2025年上期・下期のウエイトについて、現在社内でも検討している最中です。具体的にお伝えできる状況ではありませんが、お客さまからいただくいろいろな情報を勘案すると、やはり下期のウエイトが高くなるのは間違いないと考えています。

質疑応答:伸銅品の増収要因について

司会者:「伸銅品の増収要因について教えてください」というご質問です。

角田:伸銅品は、ピークの時に需要が多く、メーカーから材料がなかなか上がってこなかったこともあり、受注残を多く抱えていました。言い方を変えると、お客さまにもっともご迷惑をおかけしたのが伸銅関係の商品でした。

材料が徐々に入荷されたため販売することができ、その分、売上がほかの商品に比べて高くなりました。そのため、これについては売上がよかったわけではなく、状況がそうしてしまったということもあり、我々の反省するところでもあります。

質疑応答:地金価格の見通しと影響について

司会者:「今後の地金価格の見通しと白銅への影響について、どのように考えていらっしゃるか教えてください」というご質問です。

角田:現在、アルミニウムの地金は上昇傾向です。為替の影響と認識しており、1月からはアルミ地金の値上がりにより、値上げ分の市場への転嫁を考えています。

またすでに、各アルミニウムメーカーから値上げの要請があり、10月にはアルミニウム製品の値上げをしています。お客さまに対しては非常に心苦しいですが、財務の観点からすると、棚卸資産には好影響が出ることになります。

ただ、こちらも我々が努力して得た利益ではありません。施策により着実に販売を増やして利益を出すことができるよう、今後進めていきます。

本日は、決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございました。