リックス、「メーカー商社」モデルでものづくりの課題解決支援に強み メーカー機能強化で利益率向上を図る
今日とくに覚えて頂きたい2つのポイント

安井卓氏(以下、安井):みなさま、こんにちは。リックス株式会社代表取締役社長執行役員の安井です。本日はご参加いただき誠にありがとうございます。
はじめに、本日特にお伝えしたいポイントを2つご紹介します。1つ目は、当社が世界中のものづくりの課題を解決する「メーカー商社」という業態で活動しているということです。2つ目は、利益率向上やグローバル展開を加速させるため、オリジナル品開発に力を入れているということです。
当社概要

当社は国内外の産業界において機器や部品などを製造販売する「メーカー商社」という業態で活動しています。1907年に創業し、今年で118年目を迎えました。国内は北海道から鹿児島まで計40ヶ所、海外では7ヶ国12ヶ所に拠点を展開し、顧客密着型の営業を心がけています。
当社は創業時、足袋の卸売りを主業としていました。足袋も進化を遂げ、底にゴムライニングを施した地下足袋が開発されました。
この地下足袋を、現在の日本製鉄の前身の一つである福岡県北九州市の八幡製鉄所に納入したことがきっかけで、製鉄所で仕事を得ることができました。それに伴い、顧客の現場に直接入り込んで困りごとを解決するようになり、これが契機となって現在の事業へと発展してきたのです。
当社機能と顧客について

安井:「メーカー商社」という業態についてです。当社では、自社開発を行うメーカー部門と、国内外に拠点を持つ販売商社部門を兼ね備えることで、お客さまのさまざまな課題に幅広く対応できる点が強みとなっています。
スライド右側に記載のとおり、お客さまは国内外の産業界の大手企業が中心です。鉄鋼業界では日本製鉄、自動車業界ではトヨタ自動車、電子・半導体業界ではキオクシアなど、ものづくりの各分野でトップメーカーとの取引があります。
メーカーとして製造・販売する自社製品

安井:当社はメーカー部門として、福岡県糟屋郡に自社製品を製造する工場を保有し、設計・開発・製造などに取り組んでいます。この工場では、自社製品としてロータリージョイント、洗浄装置、オイルスキマーなど、流体制御に関わる製品を開発しています。これらはなかなか見慣れない製品かもしれませんが、どれもものづくりには欠かせない商品となっています。
事業内容と強み(例:製鉄所での当社活動)

安井:当社が実際にどのように活動を行っているかについて、製鉄所での事例をもとにご紹介します。
製鉄所では、原料を溶かしたり、引き伸ばしたりと、さまざまな工程があります。当社は、その製造工程向けの設備・機器・部品などを販売しています。
当社の営業活動の大きな強みは、毎日現場に足を運び、お客さまのニーズを把握する点にあります。1日に複数回、同じお客さまを訪問することもあり、生の現場を見てお客さまと会話することで、先回りした的確な提案が可能です。
当社は、こうした活動を製鉄業界にとどまらず、自動車業界や半導体業界など、幅広いものづくりの業界で展開しています。
長期経営計画「LV2030」

安井:当社が今後どのようなビジョンを描き、何を成長ドライバーとしているかについてご説明します。
まず、2030年度までの長期経営計画についてです。売上高は現在の約1.3倍となる700億円、営業利益は約1.4倍の56億円を目標としています。これらの目標を達成し、持続的な成長を実現するためのドライバーとして、オリジナル品の開発を掲げています。
オリジナル品を開発し、メーカー商社という業態の中でメーカー要素を強化していくことが、当社にとって重要だと考えています。
メーカー機能強化(オリジナル品増加)のため「リックス協創センター」を開設

安井:成長ドライバーとなるオリジナル製品を増やすべく、研究開発施設「リックス協創センター」を昨年11月に開設しました。リックス協創センターでは、既存製品にとらわれることなく、競争力や利益率の高い新製品やサービスの研究開発の場として活動しています。
また、リックス協創センターでは当社だけでなく、お客さま、仕入れ先さま、大学、研究機関など、さまざまな機関と協力してソリューションを創出する「協創」を重視しています。いわゆるオープンイノベーションの形で共同開発・研究に取り組み、社会課題や産業界の課題を解決する製品やサービスを生み出しています。
株主還元(配当)

安井:株主還元についてです。配当は上期64円、下期82円の合計146円を予想しています。これまでの連結配当性向40パーセントに加え、今年度よりDOE4.5パーセントも導入しており、いずれか高いほうを配当として還元する方針です。
参考:売上・営業利益推移(過去10年)

安井:スライドのグラフは、ご参考までに、直近10年間の売上高・営業利益の推移を示しています。新型コロナウイルスの影響で一時的に減少しましたが、基本的には右肩上がりで成長しており、2024年度には過去最高の業績を達成しています。
以上で会社概要のご説明を終わります。
質疑応答:成長投資の効果について
塩谷航平氏(以下、塩谷):株式会社hands代表取締役の塩谷です。まず、質問の前に、我々としてリックスに注目しているポイントが2つあります。
1つ目は、先ほどのご説明にあったように、卸売業からメーカーへの転換という評価の変化に期待している点です。
2つ目は、株主還元のご説明にもありましたが、還元方針が明確かつ意欲的で、利回りのクッションがある点です。このことから、株価にも期待できるのではないかと注目しています。それを踏まえたうえでの質問です。

成長投資の定量的な効果と収益転換時期について

塩谷:本年度の第1四半期および第2四半期における費用については、リックス協創センターの減価償却費や本社移転費、それに伴う採用費などにより、例年よりも少し増加していると認識していますが、今年行っている投資はどの程度効果があるのでしょうか?
御社ではセグメント内でいくつかの業界や各セクター向けの売上を開示されていますが、具体的にどの分野で効果が出ているのか、可能であれば定量的な数字で教えてください。

安井:昨年度、それ以前も含め、リックス協創センターなどで積極的に投資を行っています。特に、リックス協創センターは研究開発分野であるため、すぐに利益につながるとは申し上げにくいのですが、同センターの目的は、既存の商材にとらわれず、新しい商材を開発することにあります。
こうした取り組みにより、種が蒔かれ、少しずつ芽(成果)が見え始めている状況です。スライドにもあるように、例えば水素関連の試験機の開発や、これまで取り組んでこなかった酪農向けロボットの開発など、新しい取り組みが次々と生まれており、それに手応えを感じています。
このように、年間少なくとも2件は必ず開発し、その中から1つか2つでも収益を生み出す事業にしていくという意気込みで取り組んでいます。あまりに利益を急ぎすぎると、技術者の研究開発意欲がすぐに収益化を目指すものに偏ってしまい、当社の研究開発を阻害していた部分もありました。
これを打破するために、リックス協創センターを設立した経緯もあり、現在のところ、順調に機能しているのではないかと考えています。
利益に関しては、我々が「深化の開発」と表現している既存のロータリージョイントや洗浄装置の高付加価値化でしっかりと収益を上げ、その利益を研究開発に回す流れで取り組んでいます。
また、社内のIT投資にも取り組んでおり、全社の情報共有や販売管理を統合した投資を行っています。しかし、この開発には少し時間を要しており、もともと今年度のスタートを予定していましたが、いくつか改善が必要な点があったことから、来年4月からの稼働を予定しています。
塩谷:新システムの稼働が来年4月からということですね?
安井:そうです。稼働を開始すれば、これまでの入力作業や、それに付随するそれほど価値を生み出さない作業を大幅に削減できると考えています。
質疑応答:オリジナル製品の貢献度と進捗について

オリジナル品戦略(メーカー機能強化)の進捗と粗利益率への影響について

塩谷:オリジナル品比率についてです。長期経営計画のスライドに明示されていたと思いますが、基本的な理解として、オリジナル品比率が上がるほど、御社の粗利率が改善すると考えています。

塩谷:オリジナル製品については、スライドにカテゴリA群からE群まで、収益性の高い順に分けて開示されていると思いますが、このオリジナル製品が全体へ及ぼす貢献度について教えてください。
また、今回発表があった2025年第2四半期終了時点でのオリジナル品比率は、中期目標の55パーセントに対して計画どおり順調に推移しているのか教えてください。
大鉙賢司氏(以下、大鉙):取締役上席執行役員管理本部長の大鉙です。第2四半期におけるオリジナル品比率は28.7パーセントで、当初目標としている数字から見ると、やや厳しい状況にあると認識しています。当社はもともと、2026年度までに40パーセント、2030年度までに55パーセントという高い目標を掲げています。
第2四半期で比率がやや低下した要因の1つとして、自動車業界におけるハイブリッド向け装置の需要が低調であったことが挙げられます。自動車セグメントについては、下期に向けて回復傾向にあり、長期的な視点としては、リックス協創センターや来年1月に稼働開始予定のインドの自社工場などで、現在種まきを進めている状況です。
また、カテゴリA群、B群については、主に当社の自社製品とグループ会社の製品が中心となっており、全体の粗利益率26パーセントに対して、該当部分はおおよそ40パーセント後半を占めています。この売上をどれだけ高めるかが、セグメント利益率を向上させる大きな要因となるため、我々はこの部分に注力していきたいと考えています。

安井:少し補足すると、2030年度までに55パーセントにするのは、かなりハードルが高いと認識していますが、そうしていかないといけないと思っています。一方で、従業員の意識を切り替えてもらうように、「従来の延長線上では目標に届かないよ」とのメッセージも込めています。
塩谷:なるほど。そのような高めのメッセージでもあるのですね。
質疑応答:下期における自動車セグメントの回復見込みについて

自動車セグメントの通期目標達成確度と販売戦略について

塩谷:少しマイナスが出ていた自動車セグメントについての質問です。特にハイブリッド自動車の影響で大きく減少していると考えられます。先ほどの質問の回答で第2四半期のオリジナル製品がマイナスだったように思いますので、計画よりも不調だった印象を受けました。下期にこの部分の回復の見通しはあるのでしょうか?
また、第2四半期決算説明の際に、売上・セグメント利益推移が低下した要因として前期に発生した単発の大型案件のお話がありましたが、それに関してどのようにカバーしていくのか教えてください。
安井:自動車セグメントについてですが、特に第1四半期は関税率がなかなか決まらず、お客さまが投資のタイミングを見計らっている状況だったと考えています。このような要因で伸び悩みましたが、第2四半期以降は少しずつ回復しています。現在の期末予想も、特に見直す必要はないと考えていますので、下期は期待していただければと思います。
特に、我々がお客さまを訪問した際に実感しているのは、バッテリーEV(BEV)分野が依然として厳しいことです。その一方で、ハイブリッド自動車の需要は今後また伸びるだろうと思います。当社では内燃機関関連商材も取り扱っていますし、特に電池やモーター関係の商材も多く揃えており、その意味では、どちらに転んでも対応できると考えています。
質疑応答:フラックス洗浄装置の売上目標と市場展望について

新規成長ドライバー(次世代半導体・インド工場)のポテンシャルについて

塩谷:次が最も聞きたい質問となります。スライドに記載のとおり、現在新製品開発においてフラックス洗浄装置が半導体メーカーの一部の洗浄工程で採用されているとのことですが、ここの売上目標があれば教えてください。
また、市場にはいくつかの洗浄方法がある中で、御社のフラックス洗浄装置がデファクトスタンダードになる可能性やその将来性について教えてください。

安井:こちらのスライドに示している次世代型フラックス洗浄装置は、特許出願中の技術を活用した新しい洗浄方法としてお客さまに提案しています。
現在の基板は高集積化しており、洗浄対象であるフラックス(はんだを乗りやすくする中間材)は最後には不要になるので取り除く必要があります。当社の洗浄装置は、そうした工程で役立っています。
特に、今回のフラックス洗浄装置は高集積化が進む基板に対応しており、基板上に配置されるインターポーザー(中間基板)とはんだの間に残るフラックスを減圧しながら除去する点が特徴です。現在、大手メーカーにもこの洗浄装置をスペックインしてもらう取り組みを進めています。
まだ仮定ではありますが、2028年頃には10億円程度の市場規模になると予測しています。そのうち当社として3割程度の市場シェアを獲得したいと考えています。また、この洗浄方法が主流となれば、それ以上のシェアを獲得することも可能だと思っています。
塩谷:2028年に10億円程度の市場に拡大するということですね?
安井:そうですね。現時点ではそのように捉えています。
質疑応答:リックスの将来ビジョンについて
質問者:安井氏が社長就任後、リックスが変わり、株価がどんどん上がるようになっていると思います。創業家ではありますが外部からいらっしゃった社長だとお聞きしています。リックスをどのような会社にしたいと考えているのか、もし大きなイメージがありましたら教えてください。
安井:私は現在、創業家の一族ではありますが、娘婿として社長を務めています。そのため、外様と言われれば外様なのかもしれません。また、これまでIR活動にほとんど力を入れていませんでしたが、今は非常に力を入れています。
みなさまにリックスを知っていただきたいとの思いもありますし、我々の長期ビジョンとして「世界中のものづくりの課題解決屋になる」を掲げています。舞台は世界であり、ものづくりがあるところには我々の商材やサービスが活躍するような会社を作り上げていきたいと思っています。
質疑応答:海外売上における製造拠点(日本・現地)の割合について

質問者:海外売上比率に関する質問です。2030年度の目標が20パーセント、2024年度が13パーセント、その前の年が13.5パーセントぐらいだったと思います。
この海外の売上について、日本で製造した商品を海外に持ち込む割合が高いのか、それとも海外製造拠点で製造した商品をそのまま現地の会社に販売しているのか、日本から出荷しているものと現地で製造したものの割合について教えてください。
大鉙:現時点の海外売上比率はおおよそ13パーセントです。例えば、中国ではロータリージョイントを製造する会社や洗浄装置を製造する会社があり、また、タイにも洗浄装置を製造する会社があります。これらのエリアについてはその地域で対応しています。
一方、それ以外の地域、特にドイツを中心としたヨーロッパや北米、また最近注力しているインドでは、まだ日本からの供給比率が高い状況です。
今後インドの市場が拡大することが予想されるため、我々としてもインドに工場を建設し、インド国内で生産したものをインド国内や海外に輸出する計画です。ただし現状では、国内シェアが依然として大きいのは確かです。
質疑応答:インド工場の稼働計画と将来的な拡張性について

質問者:先ほどの質問で、インド工場が今年の10月に竣工し、来年1月末から稼働を開始予定ということで、これまで日本で製造・輸出していた自社製品をインド国内で製造するとお答えいただきました。
インド国内での製品販売だけでなく将来的にはヨーロッパへの輸出も検討しているとのことでした。これはインドで製造した製品をヨーロッパ向けに輸出する予定との理解でよろしいでしょうか。
また、スライドには「ムンバイの営業拠点を2018年に設立」と記載がありますが、インドは人口14億人と非常に多いですし、ヨーロッパ向けも含めて工場を増設する計画や、現在の南インドから北インドへの展開予定などがあれば教えてください。
安井:基本的にインド工場については、まずインド国内をしっかり足固めするという意味で、インド国内の工作機械メーカーを中心に、インドに進出している日系工作機械メーカーとの協業を進めていきます。
我々としても異国の地でものづくりを行うのは非常にハードルが高いため、しっかりとしたQCD(クオリティ、コスト、デリバリー)が保証されなければ、インド市場にも受け入れられないと考えています。まずは十分に地固めをし、インド市場で信頼を獲得した後に、現在日本からヨーロッパ向けに輸出している部分を、インドからの輸出に切り替えていきたいと考えています。
さらに、将来的な拡張性も視野に入れて土地取得時に広い用地を確保しています。そのため、生産量が増加した場合には増産が可能なスペースも用意しており、そのような計画に基づいてインド工場を運用していく予定です。
質問者:カルナータカ州の現在の工場の土地はかなり広く、いつでも増設が可能との理解でよいでしょうか?
安井:他の工場と比べると規模は小さいですが、ロータリージョイントを製造するには十分な広さがあり、増産のためのスペースも確保しています。
質疑応答:インド工場の収益貢献の見通しについて

塩谷:インドに関する質問が出たので、先ほどの質問の続きをさせてください。インド工場で製造するオリジナル製品である、ロータリージョイントとオイルスキマーは、カテゴリB群に属すると思います。
これら製品におけるインド工場竣工後の来期売上への寄与度について、御社の生産能力が今期を100パーセントとした場合、おおよそ何パーセント生産能力が増加するという認識でしょうか?

安井:現在はもともと日本で製造している製品をインド市場に販売しているため、その分が現地生産に置き換わるイメージです。そのため、収益貢献の面ではまだ先になるかと思います。
塩谷:御社の海外売上構成比のうちインドは1.2パーセントです。現状ではすべて日本で製造した製品を輸出している段階ですが、これがインドの現地生産に置き換わる状況が見えてくるのは、イメージとしておそらく来年度ぐらいであり、どの程度生産を増やせるかが課題となるということでしょうか?
安井:インド工場が収益的に貢献してくるのは、おそらく2030年を超えたあたりになるかと思います。現時点ではそのような認識です。
質疑応答:為替影響について

塩谷:為替影響についておうかがいします。御社の今期の想定為替レートは1ドル143円に設定されていると思います。足元の為替水準を見ると、かなり上振れている状態となっていますが、この為替影響については、下期に一定の影響が発生するのでしょうか?
大鉙:我々の為替感応度はそれほど高くありませんが、ドル円で1円円安になると、経常利益でプラス600万円程度になると考えています。中間期の為替差損は現在2,600万円となっていますが、みなさまご存じのように、昨今の円安傾向が今後も期末にかけて続くと予想されます。いったん少し終息する場面もあるかと思いますが、その意味では、この為替差損は十分解消される可能性があると考えています。
塩谷:特に為替予約などは行っておらず、そのままスポットで為替影響が発生すると理解してよろしいでしょうか?
大鉙:そのとおりです。為替予約などの制度については現在検討中であり、期末までには社内体制を整えていこうと考えています。
質疑応答:人材採用状況について
質問者:私も福岡出身なので、福岡に本社があり、福岡発祥の企業という点が気になりました。人材については、県内でまかなえるケースが多いのでしょうか? それとも、東京や関西エリアから就職される社員の方もいるのでしょうか?
安井:実際のところを申し上げると、就職活動自体は福岡、関東、関西、中部で行っていますが、やはり多いのは九州です。以前はほぼ九州の人材ばかりでしたが、最近では東京や関東、関西などからの人材が少しずつ増えてきています。
正確な数字ではありませんが、私の感覚ではまだ約7割が九州出身者で、残りの3割が他地域から来ている印象です。
荒井沙織氏:今後の方針として、もっと全国から人を呼び寄せたいとお考えですか?
安井:そうですね、全国から呼び寄せたいです。しかし、当社はBtoBの会社で知名度がなかなか上がらないため、このようなIR活動に加え、採用活動にもさまざまな方法で注力しています。例えば、ターゲット広告を打つことや、学生向けコンテンツを増やすことで、当社に関心を持ってもらえるような取り組みを行っている最中です。
質疑応答:鉄鋼セグメントとデジタル関連商材の需要持続性について

塩谷:今期上期で特に目立ったのは、鉄鋼セグメントの好調です。要因として、工場での遠隔操作や自動化に関連するデジタル商材、そして研究開発に関連する装置などが挙げられていましたが、これらは今期限りの特殊要因的な需要なのでしょうか? それとも、来年度や再来年度も続く、いわゆる工場の無人化のような広いテーマなのだろうと思いますが、このテーマの持続性についてどのようにお考えですか?

安井:テーマ自体はまだ続くと思います。ご存知のように、日本の鉄鋼業界では指標として粗鋼生産量が用いられていますが、その粗鋼生産量は年々減少しています。一昔前は1兆トンだった粗鋼生産量が、現在は8,000億トンほどに減少しており、その後も下降基調が続いています。
現場では、人手不足や危険・きつい作業などの問題があり、それらをロボットに置き換える取り組みが進められています。このようなお客さまのニーズに対応できる商材を、当社は現在提供できている状況かと思います。
また、鉄鋼業界では、「高炉」を使用して鉄を製造する方法から、電気で製造する「電炉」への転換が進んでいます。
さらに、増大するCO2排出の課題に対し、クリーンなカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みに力を入れているお客さまが多く、当社はそれに対応する商材も取り揃えています。このようなところが評価されているのではないかと感じています。そのため、省人化や遠隔操作の分野については、今後もニーズが継続していくと考えています。
塩谷:これに関連するデジタル関連商材は、自社製品というよりも、さまざまなメーカーから取り寄せたものが中心で、卸売の側面が強いのでしょうか?
安井:そうです。当社が投資しているベンチャー企業の商材なども含まれています。例えば、ドローンを使用して点検を行い、その結果から「このように補修しましょう」といった提案までつなげる取り組みをしています。このようにさまざまな商材を活用しながら営業活動を展開しています。
質疑応答:半導体セグメントおよびロータリージョイントの好調要因について

塩谷:半導体セグメントも好調で、ロータリージョイントが復調してきたとの説明がありました。顧客の設備投資は昨年から旺盛なイメージがありましたが、今期特に調子がよい理由として挙げられる点はありますか?

安井:現在、データセンターやAI関連の分野で需要が増えてきていると考えていますが、半導体製造装置メーカーが一時的に落ち着いていたように感じられました。それが最近になって回復してきた印象を受けています。
当社は大手半導体製造装置メーカーに自社製品であるロータリージョイントを納めていますが、一時期発注が止まっていたものの、最近では次々と発注が来るようになっています。数年前には、半導体向け製品のため普通の組み立て施設では対応できず、専用エリアを増床するための投資を行いました。それを今はフル活用している状況で、市場も回復してきているように感じます。
また、半導体の洗浄装置についても需要が旺盛です。しかし、先が長い商材でもあるため、その先どうなるかについては我々もまだわかりません。ただ、ここ1年程度は半導体の好調が続くのではないかと考えています。
塩谷:発注から納品のリードタイムはどの程度になりますか?
安井:ロータリージョイントは、2ヶ月から3ヶ月で納品しているはずですが、装置となるともっと長く、1年程度かかるものもあります。
塩谷:稼働率はどうですか? 今後、需要がさらに伸びていくような印象を勝手ながら持っています。
安井:そうですね。稼働率もどんどん上がってきています。
塩谷:まだ100パーセントまではいっていないのですか?
安井:100パーセントになりつつあると思います。そのような時は、別の協力会社さまの工場を借りるなどして対応していきたいと考えています。
質疑応答:オリジナル製品の拡大に関する課題と解決策について

質問者:先ほどオリジナル製品比率についてのお話がありました。前回の中期経営計画では2023年までに40パーセントを目標としていましたが、実際の結果はおそらく30数パーセントだったと思います。そして、今回の長期経営計画では55パーセントを目指しています。
前回の中期経営計画でオリジナル製品を拡大するにあたり、どのような課題があったのか、また今回の長期経営計画ではその課題をどのように解決していくのか、具体的にお話しいただけますか?
安井:前回の中期経営計画では、オリジナル製品自体がまだ十分に根づいておらず、それを増やしていくための取り組みを掲げていました。
全社的にもオリジナル製品を増やしていく気運は高まっており、その実現のために、前回の中期経営計画では「NB(ニュービジネス)開発本部」という組織を設立しました。さらにその拠点となるリックス協創センターも作り、下地が整いつつある状況です。
その中身としては、自社製品の比率をさらに高める必要があると考えています。当社の自社製品は、工作機械向けのロータリージョイントが多く、この市場の動向に左右されやすい状況です。また、次の重点分野としては半導体関連が挙げられます。
この両方がうまく回ると、市況との関係もありますが、2030年度までには不可能ではない数字だと思っています。特にロータリージョイントについては、インド工場が竣工することで、オリジナル品の比率アップにもつながると考えています。そのため、粘り強く取り組んでいきたいと思います。
また、リックス協創センターで生まれる新しい商材についても、オリジナル品としてカウントできると考えています。新たな商材が生まれ、それが事業化されていくことも期待しており、その楽観的な見通しを含め、オリジナル品比率を半分以上にすることを目標に、55パーセントと設定しています。
質疑応答:上期の関税影響と下期以降の受注動向について

塩谷:上期は関税の影響で不調だったものの、下期からの挽回が見込めるとのことですが、上期に関しては他の自動車関連の部品メーカーを見てみると、関税直後でも受注が確保されていたケースもあり、業界や品目によって動きに違いが見られると認識しています。
顧客側の動きについて、上期に発注がなかった場合でも、下期に期ずれのようなかたちで旺盛な発注が来る展開も考えられますか?
安井:自動車セグメントについては、第2四半期でも回復が見られます。また、営業部門から集めた見込み情報によると、今期において特段の下振れ要因は現時点ではないと認識しています。
大鉙:鉄鋼業界、自動車業界、半導体業界のいずれについても、下期の受注に関して下振れ要因は特に見当たりません。来期に関してはまだ不確定な部分もありますが、下期については現時点で予定どおり進んでいると考えています。
安井氏からのご挨拶
安井:今回初めてリックスという会社を知った方もいらっしゃるかもしれませんが、我々は地道にBtoBの環境で世界と渡り合いながら活動しています。もし興味を持ち、投資してみようと思われた方がいらっしゃいましたら、ぜひよろしくお願いします。ありがとうございました。
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