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和佐見勝氏(以下、和佐見):みなさま、こんにちは。AZ-COM丸和ホールディングス株式会社代表取締役社長の和佐見です。それでは、2024年3月第2四半期決算説明会を始めます。本日はどうぞよろしくお願いします。

本日は、2024年3月期第2四半期の決算概要、2024年3月期の業績予想については専務の藤田からご説明します。その後、私から成長戦略についてご説明します。

2024年3月期 第2四半期 実績

藤田勉氏:経営戦略グループで広報・IR担当をしている藤田です。本日はよろしくお願いします。また、会場にご出席もしくはWebでご参加いただいているバイサイドならびにセルサイドのアナリストの方々、投資家の方々、そして弊社を担当していただいている証券会社や金融機関のみなさまに、この場を借りて心より厚く御礼申し上げます。

それではさっそく、2024年3月期第2四半期の決算について簡単にご説明します。2014年4月8日の上場以来、売上の45パーセントを上期に、55パーセントを下期に上げるのが平均的な比率でしたが、2024年3月期はどちらかというと下期に偏重した業績の予想を立てています。

そのため、この第2四半期の売上高は965億6,000万円で前期比14.5パーセント増、営業利益は73億1,700万円で前期比43.7パーセント増、経常利益は75億4,400万円で前期比41.5パーセント増、親会社株主に帰属する四半期純利益は45億4,500万円で前期比27パーセント増となっています。

第1四半期と第2四半期を合わせた上期の実績としては、予想と比べて、売上高は102.2パーセント、営業利益は136.0パーセント、経常利益は135.2パーセント、四半期純利益は133.3パーセントの達成率となっています。こちらはあくまでも法定開示上お出ししている数字であり、本日付で連結業績の上方修正を発表しています。そちらは後ほどご報告します。

ドメイン別売上高(輸配送事業)

各ドメイン別の売上高について簡単にご説明します。まずは輸配送事業です。ラストワンマイル事業についてはスライドに記載のとおり、新規配送エリアおよび稼働台数の拡大が順調に進み、前期比7.6パーセント増となっています。

EC常温輸配送事業は前期比8.8パーセント増となりました。コロナ禍により爆発的な需要があった反動でややカーブが上がりましたが、いまだに2桁近い需要があります。EC常温輸配送事業については、ラストワンマイルからセンター間輸送、幹線輸送まで、X軸からY軸の面で受注しているところです。

ドメイン別売上高(3PL事業)

3PL事業の売上高についてです。EC常温3PL事業では、昨年から福岡の株式会社M・Kロジという中堅規模のEC運営会社をお客さまとした事業会社を連結子会社化しました。そちらの売上高およそ40億円も加味し、前期比で36.5パーセント増となっています。

低温食品3PL事業は、昨年受託した大型物流センターの通期稼動分も加えると、前期比10.1パーセント増となりました。

医薬・医療3PL事業は前期比6.1パーセント増となっています。いわゆるインバウンド消費は、中国からの観光客の数が本格化しておらず、現在およそ50パーセントから60パーセントの回復率です。我々としては、今後のインバウンド消費の増大に非常に期待しています。

経常利益分析

経常利益について、前期は53億3,100万円だったところ、現在は75億4,400万円となっています。詳しい増減分析についてはスライドをご覧ください。

損益計算書

損益計算書です。先ほどお伝えしたとおり、売上高は965億6,000万円、売上原価の構成比は87.6パーセントと前期比で2パーセント弱落ちています。その関係で、粗利益は前期の10.7パーセントから今期は12.4パーセント、OPマージンも6.0パーセントから7.6パーセントとなりました。

経常利益も先ほどお伝えしたとおり75億4,400万円で、経常利益率は前期の6.3パーセントから7.8パーセントと大幅な増益となっています。

ボトムラインについては、前期の35億7,900万円に対して45億4,500万円、構成比も4.2パーセントから4.7パーセントに増加しました。これは我々としても非常に満足できる数字だと思っています。

売上原価分析

売上原価分析です。売上原価に占める人件費を除いた諸経費は624億2,200万円で、前期比13.7パーセント増となっています。

この内訳としてはスライドに示しているとおり、前第2四半期と比較して、まず傭車費が45.7パーセントと2パーセント弱減少しました。また、センターの受託が増えているため、外注・業務委託費が12.9パーセントと伸びています。

一方、燃料油脂費も上がっているのですが、我々は3PL事業で物を運ばない会社ですので、1.1パーセントと一定の水準に収まっています。その他が14.1パーセントで、トータルで624億2,200万円となりました。

貸借対照表

貸借対照表です。スライドをご覧のとおり、資産合計は1,193億9,900万円です。純資産は421億6,800万円と記載していますが、非支配株主持分を除くと398億4,600万円で、自己資本比率は33.4パーセントになります。

業績予想の修正に関するお知らせ

冒頭でお伝えしたとおり、本日付のプレスリリースで業績予想を修正しています。売上高は5月10日発表の2,000億円から変更ありませんが、営業利益は136億円から145億円と、6.6パーセント増の計画になっています。

経常利益は140億円と発表していましたが、今回150億円に修正します。増減率としては7.1パーセント増となります。親会社株主に帰属する当期純利益は87億5,000万円と発表していましたが、今回93億8,000万円で7.2パーセント増の計画としています。1株当たりの当期純利益は74.53円を見込んでいます。

株主還元

株主還元についてご報告します。私どもは2014年の上場以来、当時の陸運セクターでは珍しく、「配当性向を30パーセント以上にする」というコミットメントを社長の和佐見が掲げてきました。直近5年間をご覧いただくとおわかりのとおり、目標配当性向は30パーセント以上を維持してきました。

前期は配当性向40パーセントをコミットしたため、今回の修正予想に伴い、配当も年間2円増配し、通期で30円にします。予想配当性向としては40.3パーセントとなります。

我々はエクイティスプレッドに非常にこだわりを持っています。つまり、ROEをどれだけ高めるかということと、資本コストをどれだけ下げるかを常に意識して経営しています。そのような意味で、株主還元についても我々の経営の意思として、お客さまに対し業績でも配当でもきちんと応えていくことに努めています。

以上で、私からの簡単な業績発表は終了します。続いて、社長の和佐見から今後の展開、成長戦略、事業戦略などについてご説明します。

EC物流事業

和佐見:当社は現在、経営戦略として、成長するEC市場に経営資源を集中させています。また、EC物流の中でも特にラストワンマイルに力を入れており、Amazonの中でラストワンマイルのトップ企業になろうと取り組んできた結果、ほとんどトップレベルまできました。

また、フルフィルメントの幹線輸送、物流センター間の輸送の仕事も受注し、こちらも数字の上ではかなり成長しています。さらに、センター運営業務にも取り組んでおり、これらの事業に2019年から取り組んできた結果、EC物流事業領域においては年平均成長率が49.1パーセントになりました。

今後もEC物流事業における機能強化を図り、取引先にご満足いただけるよう経営資源を集中させて取り組んでいきます。

低温食品物流事業

低温食品物流事業についてです。我々はもともと食品物流に強い会社でした。特に最近では、コールドチェーンで完全なる低温食品物流をお届けすることができています。

首都圏で大規模災害が発生した際の食料供給基地として、当社の本社がある吉川市の隣町、都心から約25キロメートル圏内に位置する埼玉県松伏町に食品の物流センターを構築しようと考えています。

スライドに、そのセンター構想を記載しています。敷地面積は3万6,000坪で、一企業がこの規模を開発するのは工業団地を除いて全国初であり、かなりの投資が必要になります。その投資を回収できるように営業面も強化し、優良なお客さまの開発に努めていこうと考えています。

松伏センターができると、例えば夜間であれば東京・日本橋まで30分以内で着きます。ちょうどこの付近に東埼玉道路が開通する予定です。

本プロジェクトは、食品流通のさまざまな課題を解決するための流通プラットフォームの構築を目指しています。例えば、現在物流センターの地震対策を行っています。我々は物流センターの設計関係から携わり、震度7くらいの地震にも耐えられる物流センターにしようと計画しています。

また、お客さまから信頼いただけるようなセンター作りを目指しています。食品の安全・安心においては、温度管理が命です。温度管理をしっかり行うことにより、高品質な商品を店舗にお届けできます。

低温食品物流事業

低温食品の中でも、3PL業者で産地直送に取り組んでいるのは我々だけです。スーパーマーケットに商品を販売するベンダーである問屋でも、産地直送には手を出せません。我々は現在、全国26ヶ所から産地直送の商品を取り寄せています。

例えば、今年の夏は北海道・十勝から朝採りのトウモロコシを取り寄せました。朝4時にトウモロコシをもぎ取り、大阪は伊丹空港、東京は羽田空港を経由し、15時から16時にお店に届きます。

朝採れ野菜はこれまで考えつきませんでしたが、ANA Cargoと業務提携し、航空便を使うことでスタートしました。今年で3年目となり、朝採りの野菜を北海道から各店舗に届けるといった点が評価を受けて非常に人気です。今後、さらに量を増やしていきたいと考えています。

スライドには、熊本大同青果の事例を掲載しています。熊本は野菜のほか、みかんなどの果物も豊富です。こちらを首都圏のスーパーマーケットに販売するために、我々の鉄道輸送のクールコンテナで運ぶ予定です。現在はトラックの長距離ドライバーも不足しているため、鉄道に切り替えている点が我々の特徴です。

医薬・医療物流事業

医薬・医療物流事業です。お客さまとしては、マツキヨココカラ&カンパニーがあります。今まで東海エリアにセンターはありませんでしたが、経営統合により、現在共同物流を構築しようと取り組んでいます。

本センターは約10万坪あり、かなりの商品を処理できます。名古屋駅から車で15分くらいの最高の立地に作るため、人材の確保はできると考えています。

こちらは投資と考えており、高度化したドラッグ物流モデルを作ろうと計画しています。人手よりもロボットで処理するセンターのため、今後の効率化を考えるとマツキヨココカラ&カンパニーにも喜んでいただけると思っています。

人材確保・育成 5か年で5,000名の採用を計画

人材確保についてご説明します。5年間で5,000名の採用を計画しています。現在は人手不足で集まらないと思われるかもしれませんが、ありがたいことに9月末時点で新卒が289名、中途採用が418名、合計で707名の採用実績があります。

5,000人のうち新卒者は3,000人ほどになると見込んでいますので、2024年4月の新卒者については600人を確保できるのではないかと考えています。そのため、今回は合計で1,000人を超えると予想しています。

我々の業界は人がいないと売上につながりませんが、自社でこれだけの人を集められる強さを発揮していきたいと思っています。

「2024年問題」への取り組み

「2024年問題」への取り組みです。物流業界は「2024年問題」で頭を痛めていますが、我々は3年前から対策をとってきました。年間残業時間の上限が960時間のところ、時間を有効活用して720時間で行おうと考えています。

環境を改善することで喜びをもって働けて、良質な仕事につながると思っています。今後もそのような点にしっかり力を入れていきます。

BCP物流:災害支援協定の締結

BCP物流における災害支援協定の締結についてご説明します。現在、20都道府県、33市町村、合計53の地方自治体と協定を結んでいます。かなり厳しいですが、私は3月末までに100の地方自治体との締結を目指して努力しようと考えています。

BCPについて興味がない方もいらっしゃると思いますが、地球温暖化により、豪雨や豪雪などで過去にないような大きな被害が起きています。

例えば、豪雨の際にはコンビニに物が届きません。我々は、BCP対策のためこれまで蓄積したノウハウをもって問題を解決してお店に届けようとしています。

例えば、北海道の地震や、3年前の千葉県館山市の台風でも物が届きませんでした。そこで、我々の車やAZ-COMネットの会員企業のみなさまの車を合わせて約500台を提供し、全面的に支援して問題解決に取り組みました。阪神大震災や東日本大震災などでBCP対策に取り組んできた結果、このようなノウハウを積み上げています。

連休前に山梨県知事とお会いしました。県民のみなさまに安心してもらうには、BCP対策をどれだけ真剣に取り組んでいるかが1つの評価につながるため、「『AZ-COM丸和・支援ネットワーク(AZ-COMネット)』で完全なフォローをしていただきたい」ということでした。このような依頼を受け、山梨県と一番新しい協定を結びました。

コロナ禍では、各県知事や市長とお会いしようと思っても叶いませんでした。最近はある程度会えるようになったため、さらに締結を推進していきたいと思っています。

BCP物流:取り組み事例

スライドには、谷公一前大臣から認定書をいただいた際の写真を掲載しています。ほかにも、神戸市やNPO法人などあらゆるところで契約を締結した例を掲載しています。

AZ-COM丸和・支援ネットワーク

「AZ-COM丸和・支援ネットワーク(AZ-COMネット)」です。スライドには2023年9月末時点の会員企業数が記載されていますが、現在は1,871企業となっています。年内には2,000社を超えるように取り組んでいます。

みなさまもご承知だと思いますが、我々や同業他社でも1社の力では乗り切れません。傷をなめ合うような協同組合ではなく、我々がしっかりと方針を出してリーダーシップをとり、全国の会員のみなさまに仕事を提供していくことが評価されています。

EC物流の部分でもお伝えしましたが、トラックの大型車両の仕事は、2年前はゼロでした。現在は、少なくとも1日2,300台、多い時は3,500台くらいのトラックを調達し、対応しています。しかし、長距離トラックの運転手は少なくなっています。先ほどもお伝えしたように、50歳になると長距離は運転しないというのが現状です。

今後は我々も経済活動だけでなく、物流事業を通じた社会的価値の創造にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。今後ともご支援いただければ幸いです。