2024年4月期第1四半期決算説明

田角陸氏(以下、田角):みなさま、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。ANYCOLOR株式会社代表取締役CEOの田角です。2024年4月期第1四半期の決算について、取締役CFOの釣井よりご報告させていただきます。

業績サマリー

釣井慎也氏(以下、釣井):取締役CFOの釣井です。私から第1四半期の決算ハイライトについてご説明します。まず、売上高は89億4,800万円、前年同期比プラス50.9パーセント、営業利益は40億4,400万円、前年同期比プラス90.5パーセントと、全体観として非常に良い決算であったと認識しています。前年同期と比較しても高い成長性を継続しており、期初計画対比でも想定を上回っていると言えます。

2024年4月期 第1四半期決算

個別に見ていきます。まず、日本国内で展開しているVTuberグループ「にじさんじ」についてです。「にじさんじ」単体の売上高は74億4,700万円、前年同期比プラス80.7パーセントとなっており、我々が展開しているユニットプロデュース施策の成果が出ていることが主な要因であると考えています。

この第1四半期は、既存VTuberによるユニットである「ChroNoiR」や「ROF-MAO」、また昨年デビューしたユニットの「VOLTACTION」などが中心となって収益に貢献しています。このようなユニットによる施策がファンの方々に好意的に受け入れていただけていることが、足もとでの成長の大きな要因だと思います。

また、「にじさんじ」は100人超が所属している大きなVTuberグループですが、グループとしての施策も好評いただいており、この第1四半期には、昨年開催した4周年記念ライブイベントのBlu-rayを発売しましたが、これが単一商品としては過去最大の売上となりました。また、毎年夏に「にじさんじ」のメンバーを挙げて「にじさんじ甲子園」という企画の配信を実施していますが、今年はそれに関連したグッズ販売を実施し、売上が非常に好調となりました。

一方で、「NIJISANJI EN」は前年同期比マイナス16.3パーセントと、やや厳しいスタートとなっています。背景としては2つあると考えています。

まず、「NIJISANJI EN」のユニット「Luxiem」の大型施策の有無が挙げられます。昨年の第1四半期は、「Luxiem」のデビュー半年を記念したハーフアニバーサリーグッズを販売しました。このハーフアニバーサリーグッズは、過去施策の中でも非常に評判のよい施策でしたが、施策の性質上、こちらはデビュー半年を経過したタイミング特有の施策であり、この第1四半期には類似の大型施策がなかったことが、前年同期との大きな違いの1つだと思います。

また、「NIJISANJI EN」は英語圏に在住している配信者が中心となって英語で配信活動を行っているグループですが、そのグッズ購買には、海外のみならず日本国内からの消費もあります。具体的には、視聴時間で見ると9割弱が海外からの視聴となっていますが、コマース領域に関しては、国内からの消費も一定程度あります。

足もとでは、日本国内の「NIJISANJI EN」ファンからの消費が国内の「にじさんじ」のほうに流入していると見ています。それが「にじさんじ」の好調の要因の1つにもなっていると思いますし、「NIJISANJI EN」単体で見た時に少し数字が落ち着いてきている要因にもなっていると考えています。

この2つの背景を受けて、「NIJISANJI EN」では、より海外在住の方々を中心としたファンベースの拡大に取り組んでいきます。

また、コスト面については、引き続きしっかりと改善が進んでいます。直接変動費を中心に、前年同期比でマイナス7.6ポイント改善しています。主にサプライチェーンや発注先の見直しなどを通じて、より効率的なコスト構造を追求した結果であると認識しています。

売上高推移(四半期)

「にじさんじ」「NIJISANJI EN」それぞれの売上の推移を掲載しています。まず、「にじさんじ」に関しては、コマースとプロモーションの2つが順調に推移しています。

コマースについては、先ほどもお伝えしたユニット展開の施策がファンの方々に好評いただいております。また、プロモーションについては、案件の大型化が進んでいると考えています。既存クライアントからのリピートや、1案件に起用されるVTuberの数の増加など、さまざまな要因によって1案件当たりの単価が上がってきています。

一方で「NIJISANJI EN」は、先ほどもお伝えしたとおり、コマースを中心に昨年と同じタイミングとの比較では落ち着いた数値となっています。こちらに関しては、継続的な新規VTuberのデビューや既存VTuberのサポート体制の拡充を通じて、海外ファンの拡大を目指していきたいと考えています。

営業利益率推移(四半期)

営業利益率の推移について個別に見ていきます。直接変動費率の改善が営業利益率に大きく寄与していると考えていますが、第1四半期は特にイベント領域での改善効果が顕著であったと認識しています。

イベント領域は、それほど収益性が高い領域としては位置付けていなかったのですが、地道な原価改善に取り組み、その成果を出してきました。こうした取組みは今後も再現性のあるものであり、第1四半期での大きな収穫であったと考えています。

その他の原価や販管費は人件費が中心であり、売上高対比では11.5パーセントと比率が下がっていますが、人員拡充は将来への投資という観点で非常に重要な位置づけでもあり、ここは抑制することなく将来に向けた積極的な採用を進めている状況です。したがって、この比率が下がっているのは、売上の成長がこうした投資のスピードを上回ってきた結果とご認識いただければと思います。

結果として、営業利益率も45.2パーセントと、四半期では過去最も高い利益率となりました。

VTuber数およびANYCOLOR IDの推移

VTuber数と「ANYCOLOR ID」の状況です。まずVTuber数について、「にじさんじ」では前四半期対比で2名減少しています。これは、この第1四半期で2名のVTuberが卒業した一方で、新規デビューがなかったためです。「NIJISANJI EN」では、この第1四半期で新規デビューが3名、卒業が1名で、2名の純増となっています。

VTuberデビューという観点では、「バーチャルタレントアカデミー(VTA)」においてデビュー前の教育研修活動を行った上でデビューさせていく体制を取っています。先日プレスリリースでもご報告しておりますが、「バーチャルタレントアカデミー」における情報管理等のコンプライアンス強化として、足元で体制の見直しを行っています。ただし、それが期初に見込んでいた新規デビューの計画に大きく影響することはないと見ています。

また、「ANYCOLOR ID」数は順調な新規ファンの流入が見て取れます。足元の四半期末では100万アカウントを超えています。

従業員数

従業員数の状況です。先ほどもお伝えしたとおり、積極的な採用活動を行っています。第4四半期は新卒採用を行った影響で人数が大きく増えていますが、この第1四半期も引き続き採用を増やしています。

幅広い職種で採用しているものの、傾向としては将来に向けた事業拡大や技術的な投資という観点での採用が多くなっています。我々はVTuberユニットの展開など、さまざまなかたちで社内プロジェクトの単位でビジネスを執行していますが、そうしたプロジェクトを管理できるPM人材などを採用しています。また、エンジニア領域の人員が増えていますが、これは主にスタジオエンジニアです。ハイクオリティな配信をするため、スタジオ運営を行うスタッフの採用を中心に進めています。

さらに、海外関連を担当する従業員の採用も積極的に行い、先ほどお伝えした「NIJISANJI EN」について、しっかりと人員の面でも増強していきたいと考えています。

2024年4月期 業績予想の進捗

今期の業績予想の進捗についてです。まずこの第1四半期の売上高は、当初発表していた業績予想から27.1パーセントの進捗となっています。また、利益指標についてはいずれも30パーセント超の進捗です。期初に見込んでいた第1四半期の計画を上振れて進捗しており、非常によいスタートが切れていると考えています。

業績予想はこのタイミングでは従前の業績予想を据え置きとしますが、今後の事業進捗に応じて適時に見直していきたいと考えています。

スライド右側の項目は期初に実施すると予定していたもので、チェックマークが実際に第1四半期に行ったことです。

継続的な新規デビューと既存ユニットの更なる強化については、「NIJISANJI EN」で新規デビューを行いましたし、今後も「にじさんじ」「NIJISANJI EN」ともに積極的なデビューを計画しています。

VTuberによるユニット展開は、この第1四半期にも大きく貢献している「ChroNoiR」「ROF-MAO」「VOLTACTION」などが好調です。また、2020年にデビューした「VΔLZ」というVTuberユニットがこの6月に単独のライブイベントを実施しました。会社としては、このようなかたちでユニット展開していく数の厚みを増していきたいと考えています。

領域別では、コマースとプロモーションが好調だという点は先ほどお伝えしたとおりです。

さらに、第1四半期は海外イベントへの出展を積極的に行っています。日本国内のみならず、海外におけるファン層もしっかり獲得していくために取り組んでいます。

継続的な新規デビューと既存ユニットの更なる強化

各取組みについての具体例です。まず新規デビューに関しては、「NIJISANJI EN」から新規VTuber3名のユニット「Krisis」が活動を開始しております。2023年の3月と4月に、「にじさんじ」から「Oriens」「Dytica」という、それぞれ4名ずつのユニットがデビューしていますが、これらと同じく「Krisis」もヒーローをコンセプトに活動するVTuberです。「にじさんじ」と「NIJISANJI EN」を統一した世界観で表現したのは、我々としては初の試みです。

また、スライド右側は、先ほどお話しした「VΔLZ」による単独ライブイベントです。6月に開催して非常に好評いただきました。今後もYouTubeチャンネルの運用強化やコマース施策の展開を通じてしっかり注力していきたいと考えています。

コマースとプロモーションが成長を牽引

コマースとプロモーションの状況です。プロモーションの領域における展開例として3つ掲げていますが、1つは左下に記載している「崩壊:スターレイル」の大型配信企画です。こちらは「にじさんじ」および「NIJISANJI EN」から30名以上のVTuberを起用している大型企画であり、多くのVTuberが所属する「にじさんじ」ならではの施策であると考えています。

くら寿司とのコラボキャンペーンについては、リアルな店舗を展開しているくら寿司との協業であり、飲食代に応じたプレゼントや、「ビッくらポン」でグッズが出てくる、あるいはVTuberが企画したお寿司が食べられるなど、まさにVTuberのIPという側面とタレントという側面の2つを上手く掛け合わせた施策になっています。

「​​マスターオブスキル - For the GLORY-」は中国で制作されたアニメ映画ですが、日本語版への吹き替えの声優として我々のVTuberが登場します。VTuberのキャラクターとしての出演ではなく、声優としてこのようなかたちで活動する取り組みはVTuberのタレント的側面を活用した施策となっています。

積極的な海外イベントへの出展によるファン層の拡大

最後に第1四半期の海外イベントへの出展状況です。北米、アジア、欧州で幅広いイベントに出演しています。UKのバーミンガムで開催されたイベント、LAで開催された「Anime Expo」、さらには香港、台湾、上海、ソウルと各地域でアニメ関連のイベントに出展しており、現地におけるファン獲得や現地企業からの案件獲得に注力しています。

これらは我々のビジネスでいうイベント領域とは異なっており、イベントへの出演案件としてBtoBの領域であると捉えています。これにより収益や利益を大きく稼ぐというよりも、これらを通して海外ファン層や海外クライアントの拡大に取り組んでいきたいと考えています。

以上が、第1四半期の決算ハイライトです。

質疑応答:今期の振り返りについて

釣井:「第1四半期は社内想定に対してかなり上回ったという印象ですが、見解を聞かせてください」というご質問です。

田角:「にじさんじ」では、コマースを中心に強く成長していると考えており、引き続き通期予想の達成に向けて取り組んでいきたいと思っています。「NIJISANJI EN」に関しても、コンテンツ制作の強化や収益機会の拡大にしっかりと取り組み、さらなる事業成長を目指していきたいと考えています。

質疑応答:業績予想の上方修正について

釣井:「今回、進捗率から見て上方修正もあり得たと思いますが、見直さなかった背景を教えてください」というご質問です。

まず、第1四半期の業績は期初計画比で上振れている状況であり、進捗は非常によかったのですが、前期は2度も業績予想修正を行っていることもあり、もう少し業績の進捗を見た上でより解像度の高い状態で、あらためて業績予想の修正を検討したいと考えています。

質疑応答:認知度について

釣井:「私自身もVTuberを活用したイベントを行っており、若い方々の熱気を感じます。昨年と比べても認知度は上がっている印象ですが、いかがでしょうか?」というご質問です。

田角:くら寿司とのコラボキャンペーンなど、さまざまな方が目にするコラボレーションも増えており、若い方々を中心に熱気を持ってコンテンツに触れていただいています。

質疑応答:「NIJISANJI EN」の言語問題について

釣井:「日本のファンが『NIJISANJI EN』から『にじさんじ』に移行しているということですが、日本人のファンが『NIJISANJI EN』を視聴する際に言語が壁になっていない理由について教えてください」というご質問です。

田角:「NIJISANJI EN」も「にじさんじ」も、音楽のコンテンツには力を入れています。非言語的に楽しめるコンテンツでもあるため、そのような側面でさまざまな言語圏のファンのみなさまに楽しんでいただける要因になっていると考えています。

ただ、少し長い目で見れば、視聴者が日常で使っている言語との一致はやはり重要です。そのため、「NIJISANJI EN」では海外ファン層の拡大に注力していく必要があると考えています。

質疑応答:衣装変更によるKPIへの影響について

釣井:「壱百満天原サロメが衣装を変更していましたが、このような変更によるKPIへの影響はありますか?」というご質問です。

田角:KPIへの直接的な影響はないと思います。しかし、新衣装のお披露目などは、ファンの方々や認知いただいている方々のエンゲージメントを高める施策として重要視していますので、引き続き注力していきたいと考えています。

質疑応答:第2四半期の見通しについて

釣井:「第4四半期は、第1四半期によいスタートが切れるように少し業績を抑えていた印象があります。この影響を考慮すれば、第2四半期は少し落ち着いた数字となりそうですか?」というご質問です。

第4四半期ではプロモーション領域を中心にそのような面があったと思っています。またコマース領域では、第4四半期に「にじさんじ」の5周年関連グッズがよく売れました。その一部がこの第1四半期にずれ込んできている部分があると認識しています。

これらは毎四半期でそのような影響が出ています。例えば、この第1四半期に販売を開始した「ChroNoiR」の5周年グッズも、第1四半期にすべての発送が完了しているわけではなく、一部の収益は第2四半期に入ってきます。そのような点は他のグッズに関しても同様です。

我々の業績として、四半期間で見た一定のボラティリティはあると考えていますが、年間の計画で見ると、例えば第2四半期予定の施策が第1四半期にずれ込む、もしくは第2四半期予定の施策がなくなる等の計画からの乖離は特段生じておらず、第1四半期、第2四半期ともに計画どおりで各施策の実施は進捗していると考えています。

質疑応答:「にじさんじ甲子園」の見通しについて

釣井:「『にじさんじ甲子園』が第2四半期に開催されますが、第1四半期にも効果があったことから、第2四半期にもコマース事業への効果が期待できると見てよいでしょうか?」というご質問です。

「にじさんじ甲子園」関連のグッズに関しては、第1四半期にも発送があり、第1四半期として計上されている部分がありますが、8月以降に発送になっているものもあるため、第1四半期および第2四半期にそれぞれ影響が出ています。

これは「にじさんじ甲子園」に限りません。特に四半期期間の後半に販売開始されたグッズ等を中心に、一定程度そのような側面があると認識しています。

質疑応答:営業利益率の継続性について

釣井:「第1四半期の営業利益率45パーセントの継続性について教えてください。第2四半期以降も同程度、あるいはそれ以上の利益率を期待していますか?」というご質問です。

まず、この第1四半期の利益率の背景に一過性の要因があったかどうかですが、特になかったと思います。そのような意味では、一定の継続性はあると考えています。

変動費について再現性があるかたちでコスト構造の改善を図れていると思っており、それ以外の人件費を中心としたコストについては、売上高自体が絶対額としてどれほど上がってくるかによって比率が変わってきます。

我々としては、引き続き高い成長性および収益性と、人材を中心とした積極的な投資を両立させていきたいと考えていますが、それらを踏まえてもこの足元の利益率が一過性のものであるとは考えていません。

質疑応答:「NIJISANJI EN」の進捗状況について

釣井:「『NIJISANJI EN』について、期初計画対比でどのように進捗しているかご教示ください」というご質問です。

期初計画における「にじさんじ」と「NIJISANJI EN」の内訳は社内的に明示的に定めていませんが、あえて社内想定の「NIJISANJI EN」の期初見込みと第1四半期実績を比較すると、「NIJISANJI EN」に関しても上振れて進捗していると言えます。

質疑応答:『NIJISANJI EN』の回復について

釣井:「『NIJISANJI EN』のコマースが苦戦しているように見えますが、今後も『NIJISANJI EN』よりも『にじさんじ』が主な成長ドライバーになっていくのでしょうか?」というご質問です。

田角:ここはまさにVTuberのコンテンツに関するところですが、日本のアニメコンテンツ市場を見ても、国内での消費と海外からの消費という意味では半々ぐらいです。VTuberの領域においても同様の比率を目指せるのではないかと考えています。

もちろん、どちらも成長のドライバーとして重要視していますが、長期的に見て「NIJISANJI EN」が「にじさんじ」と並ぶ程度の成長を目指していきたいと思っています。

質疑応答:競争環境・外部環境について

釣井:「競争環境・外部環境について教えてください」というご質問です。

田角:環境について、ここ最近で大きく変わった実感はありません。しかし、VTuber業界自体は参入することがそれほど難しくないため、引き続き多くの会社が新規参入すると見ています。

そのような中でVTuber事業を行うにあたり、我々としてはブランドやコミュニティとの信頼関係を構築していくことで、業界における確固としたポジションを取り続けていくことができると考えています。引き続きその部分を大事にしていきたいと思っています。

質疑応答:第2四半期から第4四半期における一過性の要因について

釣井:「今後の第2四半期から第4四半期にかけて懸念しておくべき一過性の要因等があればご教示ください」というご質問です。

現時点では、特に会社として懸念している一過性の要因や、計画対比での大きな相違は起きていないと認識しています。ただ、その時々の施策に一定程度の強弱があり、昨年同様で業績のボラティリティはあると思いますが、一過性要因として気にすべきものではないと考えています。

質疑応答:「NIJISANJI EN」のコマースの状況について

釣井:「国内のコマースが堅調だった一方で、『NIJISANJI EN』のコマースをあえて抑えたということはありますか?」というご質問です。

「NIJISANJI EN」に限らず「にじさんじ」もそうですが、この第1四半期に、実態と異なるようにあえて何かをしたということはありません。

質疑応答:「NIJISANJI EN」のコマースの売上について

釣井:「『NIJISANJI EN』に関して、日本からのグッズ購買が減ったということですが、海外からのコマース売上は前年同期比で増えているのでしょうか?」というご質問です。

具体的な数字は開示していませんが、海外のファンによるグッズ購入は前年同期対比で増加しています。

質疑応答:株主還元方針について

釣井:「配当などの株主還元方針を教えてください」というご質問です。

株主への還元については、重要なテーマのひとつであると認識しており、その手法、時期、規模をどうするかという点は検討を行っています。

一方で、我々は成長過程にある企業であり、成長投資についても検討しています。VTuber事業への投資やM&Aや事業提携の可能性は常に追求しています。株主還元については、そのような成長投資とバランスをとって検討していきたいと考えています。

質疑応答:今期の粗利率の見込みについて

釣井:「今期に見込んでいる粗利率のイメージをご教示ください」というご質問です。

現時点では、業績予想では売上総利益は開示していないため、具体的にお伝えすることは差し控えますが、営業利益率からの逆算で見ると、昨年対比で粗利率の前提は大きくは変えていないと言えると認識しています。

質疑応答:「NIJISANJI EN」から「にじさんじ」へのファンの移動について

釣井:「『NIJISANJI EN』の日本人ファンが「にじさんじ」に移ったということですが、ファンの資質が『NIJISANJI EN』向けのコマースグッズから国内コマースに振りわけられたということでしょうか?」というご質問です。

田角:まず数字としてはそのように理解しています。「NIJISANJI EN」は、新しくVTuberグループを立ち上げるにあたり、すでに展開していた「にじさんじ」のファンの方々にも新しいファン層にもアプローチできるコンテンツを作りたいと考えていたものです。それが成功したことで「NIJISANJI EN」を立ち上げることができました。

「NIJISANJI EN」には国内のファンと海外のファンがいます。その中には「にじさんじ」を見たことがなく「NIJISANJI EN」から知ってくださった国内のファンも多いと思います。そのような方たちが「国内のほうも見てみよう」と、「にじさんじ」にも興味を持ってくださっているという流れが起きていると考えています。

「にじさんじ」と「NIJISANJI EN」という隣り合わせのグループを展開している以上、タイミング次第でファンのみなさまの関心が循環することは双方向に起こり得ると思っています。コマースの領域でも、もともと「NIJISANJI EN」のファンだった国内の方が「にじさんじ」にも興味を持ってくださり、購入に至っていると認識しています。

質疑応答:広告主の引き合いについて

釣井:「『にじさんじ』のプロモーションについて、広告主からの引き合いの強さに変化はありますか?」というご質問です。

田角:これまではゲーム業界など近い業界のクライアントが多かった一方、直近の1年では、飲食店やコスメブランドなど、さまざまな業界からの引き合いが強くなっています。さらに海外のクライアントも興味を持ち始めてくれている状況です。