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米倉裕之氏(以下、米倉):株式会社True Data代表取締役社長の米倉でございます。本日は当社の2023年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。これより、第2四半期の決算概要を中心に、私からご説明いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、決算概要と最近のトピックスをご説明します。続いて、会社・事業概要、当社の強みと成長に向けた事業戦略等についてお伝えします。最後に、質疑応答の時間を設ける予定です。
2023年3月期 第2四半期(2Q)決算 ハイライト
まず、2023年3月期第2四半期決算のハイライトです。売上は7億900万円で9期連続の増収となり、過去最高の売上高を更新しました。ストック型売上比率は78.9パーセントで、主力サービスのストック型売上が順調に成長しました。
営業利益は4,400万円で、経常利益、四半期純利益ともに黒字転換となりました。また、通期業績予想の営業利益を4,600万円とし、プラス29.8パーセント上方修正しました。経常利益および当期純利益も上方修正しています。
損益計算書サマリー
損益計算書です。前年の第2四半期累計の数字と比較して記載しています。売上高は7億900万円で、前期比プラス13.9パーセントと過去最高となりました。営業利益以下の利益も、すべて黒字転換しました。営業利益は4,400万円、経常利益は4,200万円、四半期純利益は4,000万円です。
ハイライト① 売上高推移:2Q累計
第2四半期累計における売上高の推移です。True Data事業は9期連続の増収を継続しており、2023年3月期第2四半期累計では過去最高を更新しています。過去11年間の第2四半期累計の売上高の推移と比較していますが、ご覧のとおり順調に増収を続けています。
ハイライト① 売上高推移:四半期別
四半期別の売上高の推移です。四半期単位ではスポット売上の動向によって多少凹凸がありますが、スライドに記載のグラフのとおり、順調に成長を継続しています。
ハイライト① 売上高増減分析:対前年同期
対前年同期の売上高の増減分析です。左端が前年の第2四半期累計の売上高6億2,200万円を示す棒グラフです。右端は今回の第2四半期累計の売上高で、7億900万円となっています。その増減の中身を分解してグラフに示しています。
左から2つ目の「ショッピングスキャン等」と、左から3つ目の「イーグルアイ」のようなストック型のサービスが、順調に継続して売上成長を果たしています。右から2つ目のスポット型売上については、昨年のコロナ禍の影響の反動もあり、増分が大きくなっています。
ハイライト② ストック型売上高推移:2Q累計
第2四半期累計のストック型売上高の推移です。主力のストック型売上は堅調に推移し、ストック型売上比率は78.9パーセントと高水準となりました。
スライドのグラフの赤枠がストック型売上高の合計額です。このように順調に伸びているトレンドにあり、売上高全体に占める比率は引き続き80パーセントに近い高水準を保っています。
ハイライト② 小売業向けストック型売上高推移:2Q累計
ストック型売上高について、小売業向け、消費財メーカー向けに分解してご説明します。
第2四半期累計における小売業向けストック型売上高の推移を示したグラフです。今期も順調に成長を継続しています。
ハイライト② 小売業向けストック型売上高推移:四半期別
小売業向けストック型売上高の推移を四半期別に示したグラフです。順調に成長を継続しています。
ハイライト② 消費財メーカー向けストック型売上高推移:2Q累計
第2四半期累計における消費財メーカー向けストック型売上高の推移を示したグラフです。契約社数の伸びはやや鈍化していますが、一方で新規の大口顧客の獲得もあり、売上の成長は順調に継続しています。
ハイライト② 消費財メーカー向けストック型売上高推移:四半期別
消費財メーカー向けストック型売上高の推移を四半期別に示したグラフです。新規の大手顧客の獲得によって、売上成長は継続しました。
契約社数が若干足踏みした要因としては、中小企業のお客さまの一部で解約があったことが挙げられます。顧客側の利益の減少によってマーケティング予算が縮小される経緯があり、その影響を受けました。
しかし、この動きは足元では落ち着いてきています。解約後に戻ってきたお客さまもすでにいるため、私たちは今のところ一時的なものだったと考えています。そのため、主力商品「イーグルアイ」の競争力が落ちてきているとは考えていません。
(参考)主要ソリューションの既存顧客売上拡大およびストック型売上推移
主要ソリューションの既存顧客売上拡大およびストック型売上推移について、当社の決算説明資料で毎回載せているスライドです。当社の売上成長の特徴を2つのグラフでご説明しています。2023年3月期の数字はすべて見込みです。
左側の棒グラフは、「イーグルアイ」の5ヶ年の売上高累計上位顧客5社の過去5年間の売上推移です。ご覧のとおり、顧客単位の売上を少しずつ拡大しながら、毎年積み上げてきています。
右側のチャートは、年度ごとに獲得した新規顧客の売上を整理したものです。毎年新規のお客さまを確実に獲得し、ストック型売上を積み重ねていることがわかります。
ハイライト③ 営業利益推移:2Q累計
営業利益についてご説明します。スライド左側のチャートは、直近5年間の第2四半期累計の営業利益の推移です。2023年3月期第2四半期累計では、4,400万円の黒字で着地することができました。
背景として、一昨年に完了したオンプレミスからクラウドへの基幹システムの全面移行に伴う大型の減価償却費の計上により、利益を押し下げています。
右側のチャートは、減価償却費を差し引く前の営業利益を示しています。ご覧のとおり、今回は減価償却前営業利益は1億円の黒字で、直近5年間で最も高い水準となりました。この大型の減価償却は、来期の第1四半期に完了する予定です。
ハイライト③ 営業利益増減分析:対前年同期
営業利益の増減分析です。グラフの左端が前年第2四半期累計の実績で、300万円の営業赤字でした。右端は今回の第2四半期累計の実績で、営業利益は4,400万円と黒字に着地しています。
その増減の中身について、分解してグラフで示しています。売上高の増収効果に加え、減価償却費が若干減少したことなどにより、黒字に転換することができました。
ハイライト③ コスト構造:対前年同期
コスト構造についてです。スライドのグラフは、前期第2四半期累計と今期第2四半期累計の全コストを比較したものです。細部のご説明は割愛しますが、売上高の伸び率が前期比プラス13.9パーセントであるのに対し、コストの伸び率が前期比プラス6.2パーセントに留まったため、利益が黒字転換しています。
ハイライト④ 通期業績予想の修正
通期業績予想の修正についてです。上期までの順調な進捗を踏まえ、この度、通期の業績予想を上方修正しました。具体的にはスライドの表のとおりです。
売上高は14億7,000万円で据え置きました。利益については、営業利益が4,600万円、経常利益が4,200万円、当期純利益は4,000万円とそれぞれ上方修正しました。
ハイライト④ 業績予想修正の考え方
業績予想の修正について、当社の考え方をご説明します。スライドに記載のとおり、売上高は第2四半期累計まで順調に推移しているため、下期については、景況感の悪化懸念を持ちながらも、現時点では業績予想を据え置く方針です。
一方で、売上原価や販管費が想定よりも低く推移していることを踏まえ、各利益の通期予想を上方修正しました。具体的には、人件費、システム運用・保守費、広告宣伝費などが期初想定よりも低く推移しています。
また、各利益についてはすでに当初の通期業績予想を超過しており、当社としては、下期は成長投資にとことん回していきたいと思っています。このため、下期の利益計画は抑制しています。この成長投資は、2024年3月期以降の大幅な利益成長に向けた基盤固めとしていく所存です。
(参考)貸借対照表サマリー
バランスシートの状況です。前期末から大きな変化はありません。
(参考)キャッシュフロー計算書サマリー
キャッシュフロー計算書のサマリーです。こちらは参考までに添付したものですので、ご説明は割愛します。
(参考)ストック型売上高2Q累計値(P9グラフの実数値)
第2四半期累計のストック型売上高について、スライド9ページの棒グラフの詳細および実数値を示したものです。こちらもご説明は割愛します。
トピックス 最近の主な取り組み
最近の当社の活動やトピックスをいくつかご紹介します。ここ数ヶ月の取り組みから、代表的なものを6つ取り上げています。この中から、赤色の吹き出しがあるトピックスについて、具体的な内容を簡単にご説明します。
トピックス Pick Up①
プラネットと業務提携し、「POSデータクレンジングサービス」を共同で開発しています。こちらは、消費財メーカーや卸売業各社のDXを支援したい、そのためのボトルネックを解決したいという思いで着手しているものです。
データ整備に関わる大量の作業が、企業のDXの課題となっています。このボトルネックを解決していくことで、一気に各社のDXが進むと期待しており、取り組みを進めています。
トピックス Pick Up②
大学生と小売業が一緒に進める産学連携の事例です。さまざまな産学連携が各地で進んでいますが、私自身も、学生と企業が連携することは非常に意義があると感じています。このような取り組みは今後どんどん進んでいくと良いと考えています。
トピックス Pick Up③
従業員の学びと「キャリア自律」の支援を目的として、「月最大10万円の資格手当」などの社内制度を導入しました。学びを支援し、リスキリングやキャリア形成を支援する施策で、会社として取り組んでいく方針です。社員にも「本当に大事なことだ」といつも伝えながら、実際に取り組みを進めています。
トピックス Pick Up④
内閣府主催の「地方創生☆政策アイデアコンテスト」の第1回オンラインセミナーに、当社執行役員の越尾由紀が登壇しました。「地方創生☆政策アイデアコンテスト」とは、「RESAS(リーサス)」を活用して地域の活性化や復興のアイデアを募るコンテストのことで、毎年行われています。「RESAS」とは、地域のさまざまなビッグデータが可視化されて、インターネット上で閲覧できる仕組みです。
今年は、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人まで、いろいろな方から約1,000件の応募がありました。「KKD(勘と経験と度胸)」という言葉がありますが、当社は「データを使って地域のためにみんなで考える」という取り組みを応援しています。また、今年の12月に行われる最終審査には、私も最終審査員として参加します。
会社概要
会社概要を簡単にご説明します。当社は東京証券取引所のグロース市場に上場しており、証券コードは4416です。
True Dataの企業理念(パーパス)
パーパスは「データと知恵で未来をつくる」です。1年半かけて全社員と対話をしながら煮詰めていったところ、このような言葉になりました。こちらを当社の存在意義として、がんばっています。
True Dataの事業モデル
スライドには、当社の事業モデルの図を記載しています。わかりやすくなるよう、社員と一緒にこのような図を作りました。
当社は小売業のPOSやID-POSといったデータを活用するプラットフォーム事業をしており、山は小売業を表しています。雲と雨は購買に関わるデータです。最近はDXという言葉が使われていますが、これらを活用するためのいろいろなテクノロジーがあります。しかし、各小売業ごとのデータの中で見える世界というのは、やはり限定されています。
当社はこのようなデータを統合することにより、市場全体がわかるようなデータに精製します。また、ガバナンスなどをきちんと担保した安心・安全なかたちで蓄積することで、いろいろな人が活用し、いろいろな恩恵が生まれ、またそれが循環していく、というプラットフォームをイメージしています。
当社の事業構造の整理
プラットフォームの裏側はこのような構造になっています。POSやID-POSというデータが軸にはなりますが、それだけではなく、いろいろなデータを掛け合わせていきます。
データを使用する前には、まず「データクレンジング」と呼ばれるデータを整える工程が必要です。その後にデータの蓄積・管理、分析を行い、最終的に使いやすいかたちでソリューションとなって提供されるという構造です。
(参考)POSデータとID-POSデータ
データについて簡単にお話しします。POSデータとは、小売業において売上の100パーセントを示しているものです。商品がどのように売れたか、どの商品が1番売れているかなど、ランキングやトレンドはこちらのデータでわかります。
ID-POSデータは、IDと紐付いたポイントカードや会員カードを使って買い物されることによって、人の軸で購買を捉えることができるデータです。購買を人の軸で捉えることは、人口が減少していく日本の市場において特に重要な役割を果たします。
(参考)ウレコン(全国の消費者購買情報を公開)
「購買を人の軸で捉えるとはどういうことか」を可視化したのが「ウレコン」という当社のサービスです。いろいろな商品やカテゴリーごとのランキングや男女比、「何歳が買っているのか?」「何時に買っているのか?」「何曜日に買っているのか?」といったことがわかります。
このような人を軸にした売れ行きのデータを、誰もが使えるようにしたいという思いのもと、「ウレコン」はインターネット上で無償公開しています。
プロから評価を得るID-POSデータ分析ツール(SaaS)
このようなデータをどのように売上につなげているかについてお話しします。基本的には月次課金かつ年間契約のSaaSソリューションとしてお客さまに提供しています。
「ショッピングスキャン」は、小売業のお客さまに導入していただき、小売業のデータを入れて、小売業の商品におけるいろいろな消費行動・購買行動を分析して活用できます。また「イーグルアイ」は、統合されたデータで日本中の消費者の消費を分析できます。
ショッピングスキャン(小売業向けID-POSデータ分析ツール)
スライド中央にあるのが「ショッピングスキャン」の画面です。小売業の社内分析で使うケースや、小売業に商品を納品しているメーカーに自社のPOS/ID-POSデータを開示して、「このようにすれば、さらにお客さまの役に立つのではないか」といった商品提案を受けるために使うケースがあります。
ショッピングスキャンのビジネスモデル(SaaS)
「ショッピングスキャン」には、主に2つのビジネスモデルがあります。1つ目は、小売業の現場で活用されるモデルです。
2つ目は、スライドの小売業とメーカーとの間に「データ開示ツールとして提供」と記載していますが、メーカーが小売業のデータを分析して、どのような商品や売り場を提供するのがよいか提案するために活用するモデルです。
イーグルアイ(消費財メーカー向けID-POSデータ分析ツール)
「イーグルアイ」は日本の消費者全体を分析するようなツールです。実際の画面をスライドに表示しています。
イーグルアイのビジネスモデル(SaaS)
「イーグルアイ」は非常にシンプルで、最速で2日前までの消費者の購買行動がわかります。このツールを使用して、メーカーから小売業のお客さまに対して、データに基づいたご提案をすることが可能になります。
当社の顧客・パートナー
スライドに記載のとおり、当社のサービスはいろいろなお客さまにご採用いただいています。
当社サービスのラインナップ
当社サービスのラインナップです。データプラットフォームの会社として、まずは小売業ごとの購買データをDXなどに活用することで、お客さまにとってよりよいお店になって売上収益を最大化するようなお手伝いをしています。1つの小売業の中に置ける商品は限られていますが、データを統合することで消費者全体および市場全体を把握して理解することができます。
スライドの1番下にオレンジ色の枠で「さまざまなビッグデータのかけ合わせ」と記載していますが、昨今は、いろいろな消費者のビッグデータを掛け合わせて活用する動きが起こっています。当社ではデータをいろいろなかたちでコネクトしたり有効活用したりしながら、価値を何重にも生み出す構造になっています。
当社事業の特徴
当社の強みと成長戦略についてです。データやテクノロジーは、人類が手に入れたパワフルで新しい道具だと思っています。この道具を使って何を実現するかという目的が大事であり、道具を使うこと自体は目的ではないと思っています。料理に例えると、データは食材で、テクノロジーは調理器具、つまり道具です。包丁もあれば、電子レンジやオーブンもあり、いろいろな道具があります。
さらに、料理するためのレシピや使い方といったノウハウがあります。この3つが合わさって初めて料理ができる、つまり、目的が達成できるということです。当社はこれらの工程をワンストップで提供することにこだわってきました。
当社の消費者購買データ
当社の消費者購買データについてです。当社のプラットフォームを活用いただく小売業は徐々に増えており、スライドに記載されている規模のデータをプラットフォーム上で抱えて、さまざまな顧客を支援しています。
(データの精製)消費財メーカー社内でのデータ活用の課題
実は、データの活用にはいろいろなボトルネックがあり、社内で活用しようと思ってもなかなか進まないという課題があります。
(データの精製)消費者ビッグデータ活用の差別化要因
同じ商品でも小売業ごとに違う商品表記でデータベースに入っており、違う分類がされていますので、ひとつにまとめて市場を把握しようとしてもなかなか難しい部分があります。当社はこのようなデータを整え直して、全体を把握できるようにするプロセスを埋め込んでいます。
業界内プレイヤーと当社の関係
業界内プレイヤーと当社との関係、ポジショニングについてです。当社の強みは現在も増え続けている莫大なデータ量と、データが大きいが故にいろいろな使い方に対応できることです。
これらのデータは消費者をより理解するためのマーケティングリサーチにも使えることはもちろん、それ以外にも広告を打ったときの効果検証や、どのような人に広告を打つと良いかというターゲティングなど、いろいろなかたちでの活用が可能です。
この膨大なデータ量をバックグラウンドとした活用の幅の広さと、何にでも使えるという部分が、当社の特徴だと思っています。
一方でテクノロジーについては、テクノロジーに強い会社と提携するかたちで、ともにお客さまに価値を届けられるようになってきたと思っています。
(テクノロジー)データプラットフォームに求められる要件
テクノロジーは処理精度がどんどん上がっており、データもどんどん大きくなっています。また、AIによってロジックもどんどん進化しています。そのような状況で、テクノロジーに何が求められているかといいますと、パフォーマンスと安全性(ガバナンス)です。
これらをグローバルなテクノロジー企業と一緒になって実現していかないと、世の中のスピードやお客さまの期待を超えるものはできません。
(テクノロジー)経営資源・競争優位性
だからこそ、当社としては強いソリューションやテクノロジーを持つパートナーと連携し、自分たちだけがすごいという世界ではなく、パートナーとともにどんどん未来を切り開いていく世界への方向性を持っています。
(参考)DXにより推進される消費者ビッグデータのかけ合わせ
先ほど少し触れましたが、世の中的にID-POSを中心としたデータのコネクトが進んでいます。人流データとID-POSの組み合わせなどを行いながら、人の流れを始めとしていろいろなものの可視化が進んでいます。
また、AIによる予測なども可能になりつつあるため、いろいろなもののポテンシャルが見えるようになっています。データとテクノロジーは人類が手にしたパワフルな道具ですので、このような動きは非常に楽しみなものでもあります。
ターゲット市場と進化の方向性
当社の成長戦略におけるターゲット市場についてです。「イーグルアイ」や「ショッピングスキャン」などを、SaaSソリューションとしてコツコツと売上を積み上げています。スライドの図のとおり、中央にデータマーケティング市場があり、その周りに、広告市場やアナリティクス市場などのデータを必要としている巨大な市場が横に存在するという全体感だと思っています。
成長戦略
当社はデータマーケティング市場においてコツコツ売上を積上げており、非常に安定した成長の土台になっていますので、データプラットフォーム企業として当社がネットワークする小売業態を、ドラッグストアからスーパーマーケット、ホームセンターというように水平拡大していくことを考えています。また、同事業モデルを海外に展開していく方向性で進んでいます。
成長戦略(続き)
新しい市場である広告市場とアナリティクス市場については、AIに強い会社もありますし、広告領域も非常に大きなプレゼンスを持つ既存のプレイヤーもいます。
しかし、そのような会社であってもデータを自分たちで準備することには本当に苦労しているため、当社と連携することでスピーディーに進化を深め、ともに成長を作っていくことを、広告市場・アナリティクス市場の2つの市場で実現しようと考えています。
競合環境
競合環境についてです。繰り返しになりますが、「ショッピングスキャン」はドラッグストアで非常に導入が進みましたので、これからはスーパーやホームセンターなどの小売業に導入を広げる努力を続けていこうと思っています。
そして、データの大きさや網羅性を強みに、ID-POSを中心に消費全体の市場でもトップのポジションを盤石にしたいと考えています。
サステナビリティへの取組み
こちらのスライドは、サステナビリティにおける方針を示しています。
サステナビリティ:Action 1,2
簡単に言いますと、お金をかけなくても役に立つことはたくさんあると思っています。したがって、当社としては工夫しながら社会や地域を支えていく取り組みを続けています。このような考えは、若い社員や新入社員も非常に強く持っていますので、我々の世代を含め、むしろそれ以降の若い世代・将来の世代のために、できることは工夫しながら取り組んでいきたいと思っています。
「Action 1」として、当社はいろいろな可視化ができますので、可視化することでさまざまな取り組みが進みます。「Action 2」として、無料にできるデータは無料で提供しています。無料であれば活用が進みますので、こちらも工夫しながら、取り組みを支援しています。
「Action 3」は教育支援です。データ・テクノロジーは新しい道具です。データリテラシーがなくても現場で使えて、みんなが効果を得られることが大切だと考え、ビッグデータマーケティング教育を支援しています。また同様に「Action 4」として、地域の活動を支援し、活性化に向けて取り組んでいます。
サステナビリティ:Action 5
さらに「Action 5」として、間接的な教育機関への支援や地域支援だけではなく、自分たち自身もビジネスモデルを通じて、社会課題解決への直接のアプローチを行っています。デジタルデータは近い・遠いといった「距離」がビジネスにあまり関係しないという特性を持っています。微力ではありますが、その特性を活かした働き方など、当社ができる範囲で行っています。
質疑応答:「ショッピングスキャン」の顧客数について
司会者:「『イーグルアイ』の顧客数は開示されていますが、『ショッピングスキャン』の顧客数はどうなっていますか? ID-POSデータの源泉になるため、気になりました」というご質問です。
米倉:データの源泉については顧客数よりも、購買データ量4.8兆円というかたちでの表現をしています。さまざまな売上規模の小売業がありますが、合算して4.8兆円となっています。購買データ量をKPIとして推移を見るのが、一番正しい見方だと考えています。
質疑応答:スポット案件の傾向について
司会者:「スポット案件の剥落で、四半期単位では第1四半期比減収ですが、下期のスポット案件もこの傾向が続くのでしょうか?」というご質問です。
倉沢学氏(以下、倉沢):当社の傾向として、四半期単位の売上には凹凸が多いです。 売上をストックとスポットに分けてご説明しますと、ストック部分は、基本的に毎四半期少しずつ積み上がっていく傾向があります。
スポットは実際のところ、いつ入るかわからないという傾向があり、第2四半期もご指摘のとおり、第1四半期に比べると若干下がっています。同じように第3四半期、第4四半期と下がり続けることはおそらくないと思っていますが、スポットに関しては、当社も今後どうなるかが完全に読みきれるわけではないとご理解いただければと思います。
米倉:新型コロナウイルス感染症の拡大前は、インバウンド購買のスポット案件に大変需要がありましたが、コロナ禍で急に需要がなくなってしまいました。
一方で、当社が主に提供しているストック型のSaaSのモデルの中で、より深掘りしたいというような本格的な調査のニーズがあります。個別のカスタマイズなどを行うとけっこう大きな金額になるため、おしなべてDXの観点で追い風を受けている状況にあります。
マクロの話をすると、原材料高や為替の影響などいろいろな理由から、お客さまの利益が非常に圧縮されている業界があります。その場合、マーケティング予算が絞られてしまうため、なかなかお金を使えません。一方でマーケティング予算が余っていて、お金を使いたいという場合はスポット案件が出てくる場合もあります。
このように複合的な要素があり、当社はデータが大きいことが競争力ですので、需要がある時はスポット案件は増えますし、需要が少なくなるとスポット案件は増えにくくなる傾向があります。全体のトレンドとしては右肩上がりですので、濃淡はありますが、中長期的には増えていく流れであることは変わらないと思っています。
質疑応答:データクレンジングによる業績へのインパクトについて
司会者:「データクレンジングにより消費財メーカーのDXが劇的に進むとのお話でしたが、貴社業績へのインパクトはどの程度でしょうか? 修正予想には反映されていないように見えますが、どうですか?」というご質問です。
米倉:コツコツとSaaSで売上を積み上げながら、新たな市場での売上を爆発させるような話をしていますが、現時点では、どのタイミングからどのぐらいのポジティブな影響が出てくるかを、今は開示をしていません。今後、はっきりと業績に影響が出てくる際にはきちんとご説明したいと思います。
質疑応答:上期コストが想定より下回った要因について
司会者:「上期コストが想定より下回った要因は何でしょうか? 人件費、システム運用・保守費、広告宣伝費が期初予想よりも少ないとしていますが、それぞれ想定より少なかった要因を教えてください」というご質問です。
倉沢:利益のみを今回上方修正した理由は、人件費、またシステム運用・保守費、広告宣伝費等の費用が当初組んでいた予算よりは低く推移しているためです。個別にご説明をしますと、まず人件費は、若干の退職が要因であるのと、ここのところ人材市場がタイトな状況のため、計画していた採用が少しずつ遅れており、若干数字に出てきています。
またシステム運用・保守費については、当社は常に費用の効率化に取り組んでおり、今期もその効果が出てきたことが一番大きいと思います。さらに広告宣伝費は、今期もWeb広告等含めたいろいろな新規施策を行おうと、上期に少し多めの予算を積んでいましたが、おかげさまで業務が繁忙のため、一部未消化の予算があり、低く推移しました。
質疑応答:利益に関する業績予想について
司会者:「今回、利益に関する業績予想が上方修正されましたが、この進捗率ですと下期に向けてかなり保守的に見ているように感じます。投資を強化するといっても人材投資などであれば、下期の利益0とまではならないのではないでしょうか?」というご質問です。
米倉:下期の利益が0とはならない可能性はありますが、当社としては、中長期の成長のためにできる限りの投資はしていきたいと考えています。しかし、当社が決断すればできることと、決断してもできないことがありますし、そのタイミングが四半期ごとにきちんとくるかもわかりません。
例えば人の採用の場合は、今の勤務先ときちんと話をし、ご迷惑をかけないように転職をすると入社月にズレがどうしても出てきます。間に入ったエージェントに払う費用もタイミングがずれてくることがあると思います。
お約束した金額や利益には到達したため、あとは成長のために使っていきたいと考えています。ご質問のとおり、下半期の利益が0にはならない可能性はありますが、0にするぐらいのつもりで積極的に成長投資に取り組んでいます。
質疑応答:クラウド移行によるシステム投資の減価償却費について
司会者:「『来期からクラウド移行によるシステム投資の減価償却費が大きく減る』とのご説明が以前にありました。正確にはいつから減りはじめるのでしょうか? また今期から来期にかけてだいたいいくらぐらい減るのでしょうか? 差し支えない範囲で教えてください」というご質問です。
倉沢:2024年3月期の第1四半期でこの大きな償却は終わります。売上原価の中の減価償却の大半がクラウド移行の償却費で、今期は年間1億円少々です。単純計算で4分の3がなくなるため、少なくとも来期は7,000万円程度は減ってくると見込んでいます。
質疑応答:円安や原価高の影響について
司会者:「円安や原価高の影響が出ているかどうか教えてください」というご質問です。
倉沢:昨今の円安や原価高について、当社自身はIT・デジタル産業のため、仕入れなどに関する直接の影響はほとんどありません。ただし、売上原価の中に一部実質的にドル建ての取引があり、円安の場合は若干のビハインドにはなりますが、全体のコストに与える影響はあまり大きくない状況です。
むしろ、当社のお客さまへの影響が大きく、原材料高や光熱費高騰が影響を与えているのは、報道されているとおりです。上期には一部の中小の顧客でマーケティング予算への影響があり、お客さまの解約があったのは事実です。
ただ、現在の状況はすでに落ち着いており、そのようなお客さまは戻ってくる傾向があります。総じて、原価高や円安の影響はそれほど大きくなかったと捉えています。
質疑応答:上場して良かった点、良くなかった点について
司会者:「上場してそろそろ1年経ちますが、社長の所感を聞かせてください。上場して良かった点、良くなかった点など教えてください」というご質問です。
米倉:まず上場を通じて、企業や事業の成長に必要な信頼が向上したと感じています。また、人材の充実がどんどん進み、お客さまへの提供価値を拡大し、コーポレート機能が強化されました。成長のためには、攻めのガバナンスも守りを固めることも両方必要ですが、そこに人材が非常に効いてくるため、その部分にも大きく寄与したと思っています。
また、資金の調達方法が多様化しました。いろいろな方法がありますが、当社の中長期の成長を考えた時には、やはりM&Aが有効だと考えています。このような、次の成長ステージに向けた打ち手のバリエーションが増えたことに大きなメリットを感じています。
確かに上場コストがあり、非上場のほうが楽だったという見方もありますが、中長期のその企業価値の向上が目的だとすれば、圧倒的に上場のメリットが大きいと考えています。
質疑応答:小売業の面を押さえる方針の進捗と見通しについて
司会者:「今期は小売業の面を押さえていくという方針が示されていたと思います。スライド11ページのグラフを見るとまだ数字に表れていませんが、現状の進捗と見通しを教えてください」というご質問です。
米倉:小売業の面を押さえていくことは、当社の事業の基盤を強化する上で、ビジネスモデルでの重要な取り組み課題です。上期では、まだ数字に表れるところまで到達していないのが現状です。
一方で、「イーグルアイ」に比べ「ショッピングスキャン」は、非常にリードタイムが長い傾向があります。データを基幹システムからつなげる際に、小売業のスケジュールなどが影響するため、ずれている場合があります。
確かに導入していただくまでの時間は長いのですが、当社自身が戦力拡大するための備えは着実に進んでいます。成果が出てくるのは来期以降になるかもしれませんが、着実に前に進んでいます。
質疑応答:M&Aや資本提携の検討状況について
司会者:「M&Aや資本提携を積極的に検討する方針だとご説明がありました。最近の検討状況を教えてください」というご質問です。
米倉:M&Aや提携に関する当社のスタンスは一切変わっていません。当社は、他社との協業をテコにした事業展開のため、提携案件も非常に多く、常に検討している状況です。また、時間を買うという意味でも、M&Aによる非連続の成長を作りにいくことには前向きです。
実際に、かなり踏み込んだ検討に入った案件もありましたが、ディールには至らなかったというのが現状です。明確にシナジーが発揮できることは絶対条件としながら、今後も積極的に検討したいと考えています。