AGENDA
米田光宏氏(以下、米田):ツナググループ・ホールディングスの米田でございます。よろしくお願いいたします。先般、11月11日に決算を開示いたしましたので、そちらを中心にご説明したいと考えております。まずは会社ならびにサービスの概要、そして2022年9月期の通期業績、2023年9月期の業績予想という順にご説明します。よろしくお願いいたします。
会社およびサービスの概要 | 会社概要
米田:設立は15年前の2007年になります。実は、設立の経緯にもつながるのですが、私はもともとリクルートという会社にいました。今もそうですが、リクルートは人を集める求人広告という部分においてはナンバーワン企業です。ただ、人手不足が非常に進んでいくと、1社からの求人だけではどうしても採用し切れなかったり、雇用だけではなく派遣スタッフを依頼するなど、さまざまな手法を使わないと人手不足が解決しません。
2007年も、現在と同様に、有効求人倍率が1倍を超えて人手不足が叫ばれた時代でした。そのため、プロダクトを売るようなサービスではなく、逆にお客さま側に立って最適なポートフォリオを実現し、その中でしっかりと採用成功に導くことを企業設立の背景としています。
会社およびサービスの概要 | 企業理念・経営理念
米田:また、企業理念でもある「つなぐ、つなげる、つながる。」も設立の背景となっています。我々には競合サービスがなく、世の中にある人材系といわれる企業をお客さまとつないだり、人材系の企業同士をつなげてソリューションに導いたりすることを生業としています。後ほど、もう少し詳しくご説明します。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):創業のきっかけのようなことを教えていただければ、見ている方も理解が深まるかと思いますので、よろしくお願いします。
米田:例えば、郊外の居酒屋で「ランチの時間にだけどうしても人が欲しい」という場合は、大型のネット広告を打つよりは、地元の求人チラシのほうがよかったりします。また、「花火大会があり、今日だけどうしても人が必要だ」という場合は、直接雇用するのではなく、派遣の方にお願いするほうが良い場合があります。
もっと言えば、どうしても生産性が問われている現在、実は採用しなくてもロボットを入れたら回るのではないかということがあります。
坂本:最近、外食産業では、配膳ロボットのようなものがありますね。
米田:そのとおりです。ですので、金融の社会でポートフォリオというものがありますが、採用において総合的に最適なポートフォリオをご提案し、成功確率が一番高いことをソリューションしていきます。それが、まさに起業のきっかけと実業につながっている部分です。
坂本:今のビジネスにもつながっているという話は、後ほどゆっくり教えていただきたいと思います。
会社およびサービスの概要 | 社会課題解決への対策方向性
米田:我々の今のマーケットが、今後どのようになっていくのかというお話をします。先ほど人手不足が叫ばれているとお伝えしましたが、やはり日本の一番大きな社会課題は人口減少で、2010年をピークに人口はどんどん減っています。
また、いわゆる活躍世代といわれる生産人口はさらに減っていきます。2030年には、約644万人の人手不足がほぼ決定事項というか、人口マーケティングの統計によれば確かなものとなっています。そうすると、現在、国内で事業所が558万箇所ある中、ほぼすべての事業所で、人手不足対策が必要になってくると考えています。
その中でさまざまな対策がありますが、我々が一番注力していきたいと考えているのが、スライドに記載した対策1の「働く場所/回数を増やす」です。生産人口は、当然減っていきますので、採用しようと思ってもなかなかできません。そうすると、今、働いている方の回転率を上げていくことでしか、644万人分の人手不足は解決しません。
スポットワーク、DXリクルーティング、テクノロジーを組み合わせることによって、一人の人が働く回数、場所を増やしながら、644万人の人手不足に対応していきたいと考えています。
坂本:人手不足のマクロ的なお話をうかがいましたが、すべての業種で人手が足りていないのでしょうか? それとも、足りている業種があるのかなどの現状も、少し教えていただけたらと思います。
米田:今、人手不足が一番叫ばれている業種が介護・医療、物流です。このコロナ禍の中で、ECが相当進んだため、関東圏内の方であればイメージがわくかと思いますが、圏央道周りには、物流センターがどんどん出来ています。
では、物流センターが出来れば物が回るかというと、そこに人が必要になってきます。中心地だけではなく、郊外も含めて人が必要になってくる点では、この物流業界で人手不足が進んでいるといえます。ただ、このコロナ禍の中で、人手が必要なくなった業界もあるのです。
坂本:それはどの業界ですか?
米田:いわゆるフードサービス業界です。
坂本:確かに、だいぶ減った感じがします。店の数も減りました。
米田:コロナ禍前の2019年当時、およそ530万人の方がいわゆるフードサービス業界で勤めていましたが、コロナ禍中の2020年初頭では、だいたい280万人ぐらいでした。
坂本:そんなに減っているのですか。
米田:はい、減っています。
坂本:フードサービス業界から減った人たちはどこに行っているのかも含めて、もう少し教えていただけたらと思います。
米田:いわゆる有効求人倍率という指標を見れば、わかりやすくなるのですが、2019年に人手不足の記事が新聞紙上を賑わせました。例えばコンビニエンスストアなどでは、人がいないため、オーナーさまがずっとお仕事しているような状態で、深夜も仕事に出なければいけないということが社会問題になりました。
もうあのような記事は、新聞におそらく1行も出ていないと思います。ある種、日本の労働マーケットの大きな母集団であり、参画しやすいという意味で、セーフティ・ネットでもあったフードサービス業界のおよそ200万人以上の方が、コンビニ業界や物流業界に流れていきました。
そのため、コロナ禍以前に1.68倍まで上がっていた有効求人倍率が1.01倍まで下がりました。そのようなわけで、このコロナ禍の状態では、マクロ的には人手不足が進んでいくものの、一部では回復したという時代でした。
ご質問内容に戻ると、そのフード業界でも、すでに人が足りなくなっています。例えば、夜、居酒屋などに行くと、今はましになりましたが、テーブルを間引きしていましたよね。
坂本:コロナ対策もありますが、やはり配膳ができないという理由ですね。
米田:おっしゃるとおりです。
坂本:店に行くと、「人が足りないため少し遅くなります」という張り紙があったりしますよね。そのぐらい足りないのだと思わされます。
米田:おっしゃるとおりです。直近の有効求人倍率の発表では、およそ1.38倍です。おそらく来年度中には1.6倍にまで戻ると思います。いわゆるフードサービス業界の有効求人倍率は、1倍を超えるとだいたい3倍ぐらいです。つまり、1人の人間を3店舗で回すということです。
これが2019年当時の有効求人倍率1.68倍までいくと、職種別ではフードサービス業界では約7倍となると見られ、相当な人手不足が起こります。ご質問の答えとしては、日本全体のサービス業を中心に、人手不足がより顕在化していくと考えられます。
会社およびサービスの概要 | 市場規模
米田:人手不足はどこにでもありますが、人材業界のマーケットは10兆円ぐらいといわれています。
求人広告、派遣業界や、最近ではHRテックといわれる、例えばタレントマネジメントや人材評価、研修などをすべて足すと約10兆円になっています。しかし、我々は、もう少し大きいのではないかと考えています。
それが、このコロナ禍の中で働き手として非常に増えたスポットワーカーという方の存在です。こちらもイメージしていただくと、「Uber Eats」は2019年当時、それほど一般化されていませんでした。ところが、今やコロナ禍の中で、家から宅配を頼みます。街を歩くと、緑色の箱を背負った人がバイクや自転車で走っています。
「Uber Eats」だけではなく、さまざまな業界でこのデリバリーという形態が増えています。しかし、この方たちが企業に直接的に長期雇用されているかというと、そうではなく「その日だけ」「この時間だけ」という働き方をされているのです。今、約300万人の方が、そのようなかたちで働かれており、2025年には500万人に達するといわれています。
イメージしていただくとわかるかと思いますが、このコロナ禍の中で「残業は駄目」と言われます。「それではお金が足りない」ということで、サラリーマンの方が土・日だけデリバリーの仕事をしたりします。
もしくは早く帰宅するため、例えばコールセンターのような普段と違う仕事を副業として行います。在宅コールセンターのマーケットも非常に大きくなっており、昼間に事務職をされている方が、夜にコールセンターの仕事をしたりします。そのようなスポットワーカーといわれる方が非常に多くなっています。
この方たちの採用は、給与の支払いがセットになっています。例えば明日だけ働く仕事に対して、給与を1ヶ月後にもらうというイメージは、おそらくないと思います。
坂本:そうですね。その日に働いているわけですからね。
米田:そのため、ペイロールといわれるようなマーケットが、今、非常に拡大していっています。スポットワーカーの給与や、業務中にけがをしたような場合に、労災に入っていない方もたくさんいらっしゃいますので、その損害補償マーケットなどの規模を考えると、これから認識市場として大きくなっていくだろうと考えています。
坂本:そこが将来の御社のチャンスになるというお話についても、後でうかがいたいと思います。
会社およびサービスの概要 | 私たちの強み
米田:我々が今、どのようなポジションでこの業界にいるかというお話をします。これは起業の経緯でもありますが、プロダクトのメーカーになってしまうと、どうしても他社のプロダクトが使えなくなります。業界最大手のリクルートが「ここは『バイトル』のほうがいいな」と思っても、当然「バイトル」は扱いません。
人手不足を解決するには人を辞めさせないことです。ただ、求人広告のメーカーは、結局、人が辞めなければ広告が出ないわけで、求人広告と定着支援、両方のサービス提供はできないのです。
スライド右側に「空白のポジション」と記載していますが、当社はお客さま側の立場に立って、いわゆる独立性と公平性を持って最適なポートフォリオを作り出します。ここが唯一であり、一番のアドバンテージだと考えており、競合ではなく、共働していくポジションです。
すべての人材業界のプレーヤーのみなさまと一緒になって、お客さまの採用課題に取り組むという意味では、唯一無二の存在だと考えています。
坂本:非常におもしろいビジネスモデルだと思います。お困りごとがあり、その中心に御社があります。「求人はどうしますか?」というご相談があった時に「一番マッチするのは工場で、地域ならここ」と提案できるということですね。たぶん、コンサルというか、そのようなお困りごとに対して、いろいろとご紹介するようなビジネスという認識でよろしいですか?
米田:おっしゃるとおりです。
坂本:だからこそ、公平性と独立性が大事という中で行われているということですね。
米田:どこかの紐付きと考えられてしまうと「そのサービスに恣意的に持っていくのではないか?」と、お客さまの不安につながります。当社はやはりお客さまの一番の味方でありたいと考えています。
坂本:たぶん、見ている方にとって一番イメージがわくのは、求人の部分のお手伝いだと思うのですが、媒体は、だいたい網羅されていて、どこでもご紹介できるような状況にあるのでしょうか?
米田:現在、日本国内で約2,800の求人手段がありますが、我々はそのすべてとご契約しています。
坂本:そこはかなり力になりますね。その他の部分も、おそらくこの業界にいる方しかわからない部分もけっこうあると思いますが、それも含めて、またご紹介いただければと思います。
会社およびサービスの概要 | 事業展開
米田:RPO事業は、まさに我々の中心事業になっています。それを真ん中にして、「あらゆるサービスを最適に、そして、公平性をもって“つなぐ、つなげる、つながる。”」ことに取り組んでいます。
会社およびサービスの概要 | 主要領域・サービス|RPO
米田:抽象度が高いため、もう少し詳細にお話しすると、例えばアルバイトの人が辞めた時に、「人を採用しないといけない。どの求人媒体に出そう?」となります。営業マンを呼んで、原稿を作り、ネットに掲載すると、応募者がきて、店長はその応募者に「何月何日に面接に来てください」と伝え、面接して採用します。これがリクルーティングプロセスなのですが、その方法を我々が代行するというビジネスがRPO(Recruitment Process Outsourcing)です。
先ほど、最適なポートフォリオをコンサルティングするとお話ししましたが、そのソリューションが必要なところに言うだけではなく、実際に我々がアウトソーシングを受けます。
坂本:採用のところまでアウトソーシングするイメージですか?
米田:基本的には面接の設定までです。
坂本:当然、可否については企業側の決定ですね。可否の手前までを巻き取っているというイメージですか?
米田:おっしゃるとおりです。
坂本:かなりの省人化になりますし、店長などの面接する人もブレることがあると思うので、とても公平に見られるのではないかと思います。
米田:我々のお客さまでも、採用だけでなく求人発注でもけっこうブレてしまいます。元気で明るい男の子が営業に来てくれたら「(求人広告を)発注してみようか」という流れになることもあるのです。
坂本:そこでミスマッチが生じると、本当にコストがもったいないですね。良い求人サイトでも、採用したい人材に合わない人をたくさん抱えているところではマッチングしませんよね。
米田:我々はこちらのサービスを、日本国内でエンタープライズといわれる大手企業を中心とした約330社に提供しています。つまり、9万の事業所のお仕事を手伝っており、年間250万人ほどの応募者を受け付けています。それにより、どの職種でどの場所であれば、どのような求人手法が最大効果を生むかというデータベースができ、それがこのサービスの強みの1つになっています。
恣意的な判断を極小化して、過去の経験値と新しい認知の中で一番最適なあり方を提案し、その業務をアウトソーシングで受けるというように、コンサルティングとソリューションを一体化して行っていることがRPOというサービスの優位性ではないかと考えています。
増井麻里子氏(以下、増井):御社は求人サイトのような自社サイトを持っていないのですか?
米田:後ほどご説明しますが、我々は一般的な求人サイトは持っていません。
会社およびサービスの概要 | 主要領域・サービス|DXリクルーティング
米田:2つ目の柱は、特にコロナ禍で増えてきている求人手法です。人口が増えてきていた2010年まで、採用の基本的な概念は「(企業が人を)集めて、選ぶ」でした。つまり、人がどんどん増えるので、広告という手法を使って母集団を増やして「選ぶ」もしくは「選ばない」という選択をするのです。
ところが、人口が減少すると「選ばない」選択をすると採用できません。したがって、「(求職者に)集まっていただいて、選んでいただく」のが、2010年以降の採用のセオリーになっています。
「DXリクルーティング」はオウンドメディアリクルーティングで、求人広告を出さずに自社のサイトに集まってもらい、集まった人に選んでもらうという方法です。今こちらが採用の本流になりつつあります。我々のDXリクルーティングサービス「Findin」は、求職者に直接お客さまの採用サイトに集まってもらうためのコンサルティングとソリューションのサービスです。
具体的には、例えばA社が宅配ドライバーを採用したい場合、人物モデルを「6月から9月くらいの9時頃に『Yahoo!』のスポーツニュースで野球の結果を見ている人」とし、そのような人に「ドライバーとして働きませんか?」という広告を直接打ちます。すると、「ドライバーをしてみようかな」「こちらの会社に行ってみようかな」という人がA社の採用サイトに流れます。
今までは、求人広告を差配していた「RPO」という戦術モデルですが、今少しずつ本流になりつつある「顧客の採用サイトにいかに求職者に集まっていただくか」についてコンサルティングおよび支援をするサービスです。
坂本:非常におもしろいですが、なかなか難しいと思います。確かに自社のホームページに来ていただければ、おそらくどのような会社なのかと他のページも見ると思います。そのような仕組みにすると、適当に求人を申し込むよりは志望動機もしっかりしていて、ミスマッチなども減るものなのでしょうか?
米田:これはお客さまとの会話ですので、定量的に補足しているわけではないのですが、会社への理解があった上で選んでいるので、やはり求人広告を出すよりも定着率が高いです。
今までの方法では、「選ばれる」ため、どうしても「僕はこんな人です」というアピールで選ばれることになります。一方、求職者が自分で「選ぶ」となると、「このような会社で働きたい」「この仕事がしたい」という人が来ます。後ほど業績報告もしますが、今一番伸びているサービスです。
坂本:どのような運用形態なのですか? 広告を貼るというのはわかりますが、お客さまは「このような人材がほしい」と入力すると、自動的に広告の候補が出てきて運用されるようなシステムなのでしょうか?
米田:半分は自動的に、残りは我々のプライベートなDMPで行います。先ほどお話ししたように、我々は年間でだいたい250万人くらいの応募者データを管理していますので、それらを含めたDMPでペルソナを設定していき、採用確率を上げていきます。
実はこのWebプロモーションは、販売促進の世界では一般的なのです。
坂本:業界では昔から、求人が少し遅れているという話は聞いていました。
米田:したがって、求人業界でこの仕組みをフロンティア的に始め、その先行者利益としてなのかは分かりませんが、今業績が伸びています。
会社およびサービスの概要 | 主要領域・サービス|スポットワーク
米田:スポットワークの事業では、一般的ではない特殊な求人サイトを展開しています。一般的な採用であれば他社のサービスがあるので、それらの組み合わせで活用していくことになりますが、この短期求人専門サイトは今までになかったサービスです。
坂本:このサービスはニッチですし、短期の求人を行う側としても一番欲しいサービスですよね。
米田:2019年までの経営課題は主に採用課題で、特にサービス業は人がいないと回りませんでした。今は採用課題からもう1つ進んで、生産性課題があります。コロナ禍であまり多くの人を抱えてしまうと、緊急事態宣言が出た場合にシフトを大幅に減らさなくてはいけません。しかし、人を採用しなければ回らないのです。
コロナ禍では「忙しい時だけ来てくれる人をいかにうまく回すか」が重要になり、各サービス業の企業は職場生産性をなんとか高めようと意識しているのです。そこでニーズとして発生するのが、レギュラーのアルバイトではなく「この日だけ」「この時間だけ」というように忙しい時だけ来てもらえる人です。また、コロナ禍による就業感の変化で「ある一日だけ働く」ということが一般的になっています。お伝えしたように500万人の方がそのような形で働こうとされています。
このような「スポットワークで生産性を上げたい企業」と「必要な時間だけ働きたいスポットワーカー」をマッチングするのが、「Shotworks」という事業になります。
坂本:混載する中でもニーズを捉えたものなので、バッティングはしないのですね。
スライドに記載されている中で、意外とデリバリーはなんとかなるのかと思うのですが、コンビニで働く人はけっこうスキルがいるのではないかと思います。こちらに関しては、ある程度コンビニでの就業経験がある人をスポットで募集するのでしょうか? それとも、仕事をしたい人を御社が実際に教育することもあるのでしょうか?
米田:「Shotworks」では当日の夕方の仕事を見つけることもでき、面接がほぼないのです。何をもって判断するのかといいますと、その方の持っている経験値です。
例えば、コンビニであれば「この屋号で働いたことがあります」「発注経験があります」「レジのみです」という経験をレジュメ化していただきます。経験者のみを採用したい場合もありますし、「レジは打つから、掃除だけしてほしい」という場合はコンビニでの経験がいらないのです。
坂本:採用側がその人のスキルを見て、選んで振り分けるということですね。
米田:レジュメ型求人モデルと考えていただければわかりやすいかと思います。
会社およびサービスの概要 | 取引実績
米田:現在、我々はスライドに記載のような企業の採用を支援しています。我々を選んでいただいている背景の1つには、求人業界における我々の独自のポジションがあると考えています。また、このような取引の規模そのものが我々のサービスの品質向上につながっています。
会社およびサービスの概要 | ツナググループの売上推移
米田:当社は2007年創業で、CAGR約31パーセントの成長をしています。このリスタートの状況で、さらに支援の幅を広げ成長を続けていきたいと考えています。
2022年9月期 通期業績 | 業績サマリー
米田:2022年9月期の通期業績についてご説明します。2022年9月期の売上高は前期比15パーセント増で着地しました。売上総利益・営業利益はコロナ禍以前から大きく回復し業績予想を上回りました。
2022年9月期 通期業績 | 売上高推移
米田:四半期ごとの売上高の推移は、回復し高成長しているとご理解いただければと思います。
2022年9月期 通期業績 | 売上高推移
米田:特に、先ほどご説明した3つの柱「RPO」「DXリクルーティング」「スポットワーク」の3領域で大きく成長しました。オウンドメディアリクルーティング支援の「DXリクルーティング」がもっとも大きく伸びています。
坂本:こちらの3分野の参入障壁についてうかがいたいです。特に「DXリクルーティング」については、御社は採用だけでなくコンサルの経験がすでにあるため、他社が参入するのは難しいのでしょうか?
米田:取引相手はやはり大手企業が多いので、コンペティションで選択されるケースが多いです。2019年以前は求人広告の会社とコンペティションを行うことが多かったのですが、今はWebマーケティングの会社が中心で、そのような会社は求人領域での経験がないため参入は簡単ではないと思います。
坂本:求人の経験やデータがあるのとないのとではやはりクオリティがかなり違うのですね。
米田:求人広告では「クリスマスに、彼女にプレゼントをあげたいからバイトしよう」という表記はダメなのです。「彼女」といっている時点でペルソナを男性に限定しており、男女雇用機会均等法に抵触します。ポジティブな表現でも「明るい元気な人、大歓迎」では人は来ないです。このような細かい知見は、まさに我々のアドバンテージになっています。
坂本:20数年前のキャッチコピーのようですね。
米田:「アットホームな職場です」などもそうです。なぜそれでは人が来ないかといいますと、今はネット社会であり、そのような表現では検索軸にならないのです。したがって、「アットホームな職場」ではなくて、必ず店名を付け、その上で「このような職場です」と紹介します。これがいわゆるWebマーケティングの中での検索軸につながる手法です。
人を惹きつける言葉のようなポジティブなものや、法律や規制のようなネガティブなものも熟知していることが、求人業界からWebマーケティングに入った我々の大きなアドバンテージかと思っています。
坂本:それが特に参入障壁になるということですね。
米田:ただし、参入障壁は徐々に低くなっていくものですので、我々自身がDMPのような新たな知見をしっかり吸収することによって、競争に勝っていきたいと考えています。
2022年9月期 通期業績 | 営業利益推移
米田:営業利益についてご説明します。我々もやはりコロナ禍で業績に非常に大きな痛手を負いました。我々のお客さまはサービス業が中心で、採用を手控えるのではなくもはやお店を閉めるというような状況が続きました。
ただし、リバウンドやリスタートの状況で黒字化を進めてこられたのは、業績だけでなくコロナ禍で固定費の削減や構造改革を進めてきたからではないかと考えています。
2022年9月期 通期業績 | セグメント別業績
米田:セグメント別業績です。我々の3本の柱であるヒューマンキャピタル事業でスコアが上がってきていることが見えるかと思います。
2022年9月期 通期業績 | 貸借対照表
米田:B/Sは業績回復により大幅に改善し、自己資本比率も30パーセント弱となりました。引き続き財務体質の改善にしっかりと注力していきたいと考えています。
2023年9月期 業績予想 | 市場環境の変化
2023年9月期の10月からの業績予想です。
マクロ環境における人手不足や人口減少は大きな社会課題であり、2022年、2023年も超採用難だと考えられます。この採用難に対して、しっかりと企業の採用支援を行うことで成長していきたいと考えています。
2023年9月期 業績予想 | 通期業績予想
当期の業績予想としては、売上高がYoYで15.5パーセントアップの147億円、経常利益が3億3,000万円としており、創業以来の最高益を目指していきたいと考えています。人的投資やシステム投資をした上で、しっかりとこのスコアを達成したいと考えて、業績予想として開示しました。
2023年9月期 業績予想 | 通期業績予想 (売上高)
引き続き、RPO、DXリクルーティング、スポットワークなどの事業を中心にトップラインを上げていきたいと考えています。
2023年9月期 業績予想 | 通期業績予想 (費用)
やはり人が持つ知見が我々の1つのアドバンテージですので、継続的な成長のため、人的投資はしっかりと行っていきたいと考えています。投資額は3億3,000万円を見込んでおり、ここが我々の投資の中心となります。
2023年9月期 業績予想 | ツナググループの売上推移
新型コロナウイルスの影響を受け、再成長に際しての求人の難しさが進む中、我々はしっかりとサービスを提供していって成長していきたいと考えています。
2023年9月期 業績予想 | 株主還元について
株主さまへの還元施策についてです。2022年9月期は年間配当金を5円としていましたが、中長期的な成長を支援していただきたいという考えのもと、配当性向の維持を踏まえて2023年9月期は8円としています。
坂本:配当と株価についてうかがいたいと思いますが、この業界の平均配当性向は具体的にどのぐらいなのでしょうか?
米田:およそ30パーセントを目安と考えています。
坂本:だいたい日本の企業が目標とするような配当性向ということですね。株価についてですが、個人投資家の中にも、配当が増えることが嬉しいという方も、株価が上がることが嬉しいという方もいらっしゃると思います。なかなかお尋ねするのは難しいですが、社長は現状の株価について実際どのようにお考えなのかを教えていただきたいです。
米田:これまで、新型コロナウイルスによる業績の悪化が株価にも非常に連動していましたが、今月11日に開示した2022年9月期の結果をもって、株主さまには少しご安心いただけたのではないかと思います。これからはどうなのかというと、やはり成長を期待していただいていると思います。
我々は、アルバイトやパートといったいわゆる非正規の方々の採用支援を中心に取り組んでいますが、おそらく2030年には、非正規の方の割合は働く人の50パーセントを超えていきます。1960年に生まれた方は、2025年に65歳になります。ではその方たちはその後働かないのかというと、働きます。ただし、やはり働くかたちとしては短期や単発であり、正社員として働くというよりは、自分のスキルを活かす働き方をしていきます。
我々が今後取り組まなくてはならない部分、つまり成長余地は非常に大きいと思っていますので、業績に連動して、さらにご期待いただいていいのではないかと考えています。株価に関しても同じように、まだまだ伸びしろがあると思っています。我々がすべきことは、業績を上げることと、サービスをしっかりと提供していくことだと考えています。
質疑応答:自社の強みや差別化戦略について
坂本:「単発アルバイトの採用を、Webでマッチングするサービスが増えてきています。御社の強みや差別化戦略について教えてください」という質問をいただいています。すでにお話しいただいていますが、補足も含めてもう少し教えてください。
米田:今まではそのようなサービスがなかったため、我々がニッチとして行ってきましたが、現在ではそれが一般的になってきました。そこで何が必要になるかというと、そういったサービスを組み合わせることが必要になってきます。
RPOはさまざまなスポットワークメディアを組み合わせて、我々のお客さまの職場にしっかりと人を提供していくサービスに進化していくだろうと考えています。非常に人手不足ですので、1つのメディアだけでは人材を採りきれません。
特にスポットワークは、まさにその日の夕方に働いてもらう方を募集するものですので、来なかったら大変なことになってしまいます。そのため、何社かの同様のサービスを組み合わせることによって、その日の夕方でもしっかりと人が来るようにしなければいけません。そのようなサービスはまさにRPOであり、しっかりと展開していきたいと考えています。
質疑応答:スポットワークのシェアについて
坂本:「御社のスポットワークのシェアを教えてください。日経新聞でスポットワークの成長性が取り上げられていましたが、それ以外に何社あるのか知りたいです」という質問です。
米田:私はツナググループ・ホールディングスの代表とともに、スポットワーク協会という業界団体の代表理事も務めています。そのスポットワーク協会として捕捉しているスポットワークメディアは、現在100サービスぐらいあります。
特にHRテックというテクノロジーを活かしたスタートアップの企業が続々と参入してきています。その中で我々のシェアはどうなのかというと、実はまだマーケット規模が捕捉されていません。
我々がスポットワーク協会を作ったのが今年の2月なのですが、おそらくそれまではスポットワークという名前そのものがありませんでした。そのような中で我々は、スポットワークの取り組みを2004年からスタートしていますので、知見の広さや業界認知という部分ではトップ企業の1つだろうと考えています。
質疑応答:働くシニア対策での成果について
増井:「御社は働くシニア対策で何か成果をあげていますか?」というご質問です。
米田:やはりシニア層の方は、若い方と比べると、デジタルに対して少し離れたところにいらっしゃることがあります。そのため現在我々は、こちらもすでにニッチになっていますが、埼玉、千葉、西東京、神奈川を中心に折り込みチラシを配布しており、いわゆる折込チラシ求人のサービスを1つ持っています。
そのメディアそのもので我々が成長するというよりは、シニアの方に求人を届けることを目的として行っています。また、各地域でシニアの方に向けた仕事説明会というかたちで、ブース展開のフェアも行っています。新型コロナウイルスの影響で一旦活動を停止していますが、現在少しずつ再開していっています。
例えば、コンビニスタッフとして働くのはなかなか難しいが、掃除ならできる、発注ならできるというように、仕事を分解することによって、そのようなフェアや折り込みチラシを通じて、シニアの方に求人情報を届けるという事業を進めています。
質疑応答:営業手法と、地方への展開について
坂本:「新たな顧客はどのように獲得していますか?」というご質問をいただいています。資料の中で、御社のサービスを使っているのは330社の9万事業所という記載があったと思いますが、補足の質問として、営業手法もおうかがいしたいです。
また、これまでは大手企業中心のお話でしたが、もう少し規模が小さいところ、地方への展開についてはどのようにお考えなのかというところも含めて、教えていただけたらと思います。
米田:我々の営業モデルは、ほとんどがご紹介とコーポレートサイトを通じたお問い合わせで、そこが一番大きいです。そのため、我々自身が訪問して営業するということはほぼありません。もう1つは、人事担当者の方は同職種間で転職するということが多いです。転職する際に、A社の人事からB社の人事へという感じです。
坂本:つまり、御社のサービスを使って転職した人が、「このサービス良いから使ってみれば?」と勧めることがあるということですね。
米田:おっしゃるとおり、そのパターンが本当に多いです。おそらく、投資家のみなさまも、ツナググループという社名はあまり認知されていなかったケースもあるかと思います。一般的な社会認知という意味では、我々の企業名は知られていないことが多いのですが、人事担当者や労務担当者といった人事業界の方が当社の名前を知っていることは非常に多いです。
そのため、職種間で転職される方に、「この会社でも同じような課題を持っているから、こちらでも提案してほしい」とご要望いただくことは非常に多いです。これが1つ目のご質問の、営業モデルについての回答です。
2つ目のご質問の、地方への展開についてです。我々はお客さまの本部に対して営業やコンサルを行っていますが、採用のアウトソーシング業務は各地の店舗に対して行っています。先ほど9万の事業所があるというお話をしましたが、北は北海道、南は沖縄まで、ほぼ全国にあります。網羅性という意味でいえばすべてを網羅していますが、例えばオーナーが1人で経営しているような居酒屋や、介護事業者などの地方の個店には、我々は現在リーチできていません。
我々が成長する中で得られた「投資与信」で、今後そのような地方リテールに関しても、しっかりとレコメンドしていきたいと考えています。おそらくその中では、広告宣伝に資金を費やすなど、選んでいただくためのお届け方をしていく必要があると考えています。
質疑応答:リスキング推進の中での商機について
増井:「御社は人材のリスキング、リカレント対策に取り組んでいますか?」というご質問と、「政府がリスキングの推進を打ち出していますが、御社に商機はありますか?」というご質問です。新たなスキルを持った方を活かしていくための対策や商機などはありますでしょうか?
米田:我々の1つの考えとして『「何でもできます」と言わない』というものがあります。そのため、現在業界で伸びているところでシステムリカレントやスキル装着という意味でいえば、IT人材というものが出てきますが、我々がそのようなお話をいただいた時は、そのような業界をご紹介します。
坂本:そこも御社が中心にいるゆえの公平性、独立性の維持のひとつなのですね。
米田:やはり新型コロナウイルスの影響によって、人材業界は圧倒的に変容しています。例えば、以前あった新卒採用のモデルも現在はありません。ナビ媒体に出し、説明会にたくさん来てもらい、幕張の大きい会場でブースをつけるといったことを行っている企業は、今はほぼありません。
坂本:最近は逆スカウト、スカウト制もありますね。
米田:そのような部分もあります。そのため、我々はそのマーケットの変化にしっかりと対応し、対応できるサービスをお客さまに装着することが仕事だと考えています。「今は商機ですか?」というご質問をいただいていましたが、商機だと考えています。なぜかというと、そのような政府方針やニーズによって、スタートアップの企業が今続々と生まれているからです。
そのようなところを我々がキャッチアップすることによって、まさにつないでいくということです。やはりスタートアップの企業は、営業に難を持っていることが非常に多いです。アイデア、技術、まさにIT人材、リファレンスやスキル装着関連のサービスを提供しているところで、「こんなアイデアがあればできるのではないか」と思いつつも、大手企業にどのように営業したらいいのかわからずにいます。
我々の一番のアドバンテージは、顧客資産、お客さまだと思っていますので、我々がそこをつないでいける、営業していけるという意味で、現在の政府方針や新たなゲーム参入者の増加は、我々にとってもチャンスだと考えています。
質疑応答:RPO事業の売上減少について
坂本:「第4四半期のRPO事業の売上が、第3四半期と比べて減少している理由を教えてください。アフターコロナのため需要が増えていると思っていました」というご質問です。
米田:お客さまの数自体は減っていません。併せてDXリクルーティングが非常に増えていると思います。RPOは、基本的には世の中にある求人メディアをしっかりと差配するためのモデルです。それが時流の中でオールドメディアになった時に、「差配はもういいから、全部DXリクルーティングで振り替えよう」という動きがありました。
坂本:つまり、使用する御社のサービスをチェンジして、RPOからDXリクルーティングに乗り換えた方がいらっしゃったということですね。
米田:はい、それが1つの理由です。さらに、2021年はコロナ禍ですので流れが少しわかりづらいですが、我々の第4四半期は7月から9月で、採用シーズンとしては一番少ない時期です。そのため、季節性とDXリクルーティングへの転化というところで第3四半期からの変化があるとご理解いただければと思います。
坂本:たしかに、YoYでは伸びていますね。
増井:特に求人が多い四半期はあるのですか?
米田:1月から3月の第2四半期です。卒業した学生が増えてくる時期であり、転勤の時期で主婦の方も増え、退職してフリーランサーになる方も3月を目処にしていることが多く、1月から3月はやはり一番求人業界が動く時期です。